1. 田舎司祭の日記
《ネタバレ》 「へっ、今度の司祭、青二才じゃねえかよ」 「説教なんて聞いてらんねぇ」 赴任した田舎の教会で、冷たい視線の中、 この若い司祭は、可哀そうな夫人の魂の救済をやってのける。 それを目撃した若い女性からの、審判の対応がなされる。 やがて、そこにいられなくなった司祭は、のたれ死に・・・ ラストの言葉 「それがどうした。すべては神の思し召し。」 圧巻、巨匠ブレッソンの見事な落ち。 いつか、俗物の老司祭が、女性の魂の救済をやってのけ、 女性たちから審判の対応にさらされ、最後にどんな言葉を残すか?なんて 映画も観てみたい。 [DVD(字幕)] 10点(2024-10-13 15:52:48) |
2. いとみち
《ネタバレ》 田舎のポーッとした女の子がメイドカフェで働く。 ここで「昭和」の映画なら、田舎娘が風俗でどう苦労するかが 丹念に描かれてるとこだが、令和の今は違う。 仲良く仕事に居場所を見つけていく。 最初はスイングガールの三味線版かと思いきや、違った。 この主人公のいとの三味線は、聞かせる本格的なものだった。 ラストのメイドの姿の女の子が、足をひらいて、きばって 三味線を弾く。 監督はこれを描きたかったのかなぁ・・ とにかく津軽弁が聞きづらい。 とくにいとちゃんの津軽弁はハングル語みたいだった。 [DVD(邦画)] 7点(2024-07-21 22:45:31) |
3. 市子
《ネタバレ》 見応えあり! あの血の繋がってない妹に下した行為。 そこから、どんどん周囲を巻き込んで、最後はあのラスト。 犯罪者の映画と思って観ると、また違う感想も抱くが、 自分もあの立場なら、と説得力ある演出に思わず嗚咽しちゃう♪ 人生で唯一、幸せだった長谷川君との生活がシミジミ語られて、 コロナ禍で我々を励ましてくれた「にじ」を花ちゃんが鼻歌の 余韻をひくラストでした・・ [DVD(邦画)] 7点(2024-07-08 00:23:44) |
4. 一心太助 天下の一大事
《ネタバレ》 時代劇というと、武士道は死ぬことと見つけたりというくらいだから、 悲壮感漂う内容が多いが、一心太助はいいねぇ・・ 江戸っ子の話だから、斬った張ったが、無い。 漫画ど根性ガエルの世界観に通じるものがある。 侍じゃないから、喧嘩に負けて、悔し涙でやけ酒飲むシーンもあり、 サラリーマン哀歌だよぉ、これ。 クライマックスは、祭りだ、喧嘩だ、の大騒ぎ。 さて、色ボケ役人から、純情カップルは守られるか?最大の見せ場。 興味ある人は、観てください(笑) [DVD(邦画)] 7点(2024-06-29 03:00:24) |
5. インディ・ジョーンズと運命のダイヤル
《ネタバレ》 今年のクリスマスを飾る映画は、今年話題になった本作。 スピルバーグに監督してもらいたかったけど、中々力作に仕上がっています。 2時間近くになって、収束不可能な展開になり、あれあれ、これどうなるの?って思ったけど、 最後にカレンアレンが出てきて、本作は、愛でたく完結となります。 いやぁ世界史を思う存分、ネタにできるとこが羨ましいとこ。 紀元前のローマなんか出てきて、考古学者としては、これ以上の幸せはないと思います。 愛すべきシリーズ物でした。 途中ダレてきてて、ジェラシックパーク3みたいにスピルバーグ棄てたかと思ったけど、 いやぁ、なかなかどうして見応えある一本だったと思います。 (そうですね。前の方のレビュワーさんが言ってるように、スターウォーズのその後に近い感じもしますネ) インディジョーンズ、最高! [DVD(字幕)] 8点(2023-12-24 23:53:13) |
6. 1秒先の彼女
《ネタバレ》 ワンテンポトロイ男性とワンテンポせっかちな女性のラブストーリー。 とても素敵な作品で、台湾好きになりそうです。 この話のミソは、ワンテンポトロイ男性が、神様のご褒美か、一日だけ得するという話。 逆にせっかちな女性は損するのですが・・ いやぁ男の素直な願望だよね。 時間が止まれば、好きな女性のとこに行きたいって・・ でも話はかなり捻ってて、よく出来てる。 (時間が止まるわけではないんだね、太陽はちゃんと動いているから(笑)) バスの運ちゃんと郵便局の窓口の女性のロマンスってのもいい。 地味だけど、大事な仕事だもんね。 素敵です。 [DVD(字幕)] 8点(2023-11-05 21:31:19) |
7. 異端の鳥
《ネタバレ》 悪魔の子の行く先々で、悪魔的なことが起きる。 しかし、この世が悪魔のような世であり、この子は旅人だった・・ というような寓話かと思ってたら、ナチスの手から逃すために、 おばさんの家に預けてもらってたところから話の始まる、現実の話だったことがわかる。 それがラスト分かると、劇中の、あのコトもあのコトも、 ほんの7~80年くらい前の、この世界で起こってたことなのだと気づかされる。 鑑賞後の、気分の落ち込みは、かなりハードだった。 (この落ち込みが、感性がマヒしたものだったと、レビュー読んで、気づかされた・・) [DVD(字幕)] 7点(2021-05-16 18:42:57) |
8. 糸(2020)
《ネタバレ》 また好きな映画が増えた。 今の若い俳優が演じる、運命の糸の話。 平成時代をまるごと総括したスゴイ映画。 やはり瀬々監督は凄いな♪ でも昭和の大歌手を平成に閉じ込めたのは、ちょっと悔しかったかな?(笑) [DVD(邦画)] 9点(2021-05-11 01:10:20) |
9. 一度も撃ってません
《ネタバレ》 最高! これは阪本順治ワールドを楽しめるかどうかで、評価が分かれると思う。 チャンドラー風ハードボイルドの世界を彼がどう料理したか・・ チャンドラー風だから、派手なアクションシーンがないのは当然。 しかしここに阪本順治のツボがどう収まるかが最大の見せ場。 そして、それがあのバーでのにらみ合いになるのだ。 どんなジャンルにも、阪本順治のセンスが光る。 スゴイです! イブモンタンの真夜中の刑事、観た~い! 某レンタル屋の発掘良品でやってくんない? [DVD(邦画)] 9点(2021-03-13 17:03:06) |
10. 1917 命をかけた伝令
《ネタバレ》 サムメンデスは巧いね。 現代を代表する作家の一人だよね~ 全編1カット! でも、それを知ってても、途中でそんな演出より、 話にひきこまれてしまう。見事だよね。 伝令が伝わるかどうかの緊迫感は薄かったが、 伝えるべき隊にたどり着いても、それが作戦が始まったばかりの時ってのが巧くてね。 サムメンデスの弟に聞いた実話がベースなんだね。 メンデスって思ったより、高齢?(55歳!若いじゃん!) これからも、もっと作品発表してほしい。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-14 22:25:09) |
11. 異母兄弟
《ネタバレ》 田中絹代が堪える、耐える。 彼女は戦時中の国民の嘘を呑み込んで、演技していた。 末の男の子が好きになった女中を、二人一緒にさせない絹代の演技の深さ。 「陸軍」の絹代と比べると興味深い。 三国連太郎も怪演。 軍人の時、出世していく息子を褒める時、戦後、ボロボロになった時のそれぞれの三国。 目力を演技できるのかなと思ってしまう位の変わりよう。 このズレた夫婦を通して、戦争を描いてる。 どちらかというと兄弟の軋轢を描く映画ではなかった。 [DVD(邦画)] 7点(2020-06-07 11:28:59)(良:1票) |
12. 生きものの記録
《ネタバレ》 タイトルで損をしているが、さすが黒澤明!面白い! 水爆の放射能は、誰もが怖いだろう。 令和の今は、原発の放射能が怖くない人はいないでしょう。 しかし、皆、忘れたふりをして、目の前の問題に夢中になっている。 この老人は、ちょっと異常にデリケートで、有能であるがために、具体策まで考えて、それを強行しようとする。 ブラジル行がそれだ。 それを周りの人は、禁治産者という法的に判断できぬ人、現実が分からぬ人として、 なんとかしようとする。 確かにわがままな老人の世迷言の一つかもしれない。 しかし、最後に孫をおんぶして、老人の見舞いに来る女性には、 そこには愛があったと思えていたのだろう。 さすが、黒澤節! [DVD(邦画)] 7点(2020-05-28 02:10:07) |
13. イカリエ‐XB1
《ネタバレ》 チェコの映画。1963年の映画。 2001年(68)やソラリス(72)よりも前である。 スタートレックのヒントになった映画でもある。 チェコの国立映画学校出身の人材が60年代より活躍はじめる。 チェコヌーヴェルバーグである。 この映画もそのひとつである。 ストーリーは宇宙に人類以外の生命体があり、ダークスターやなぞの星雲の 宇宙の未知の脅威より、イカリエを救ってくれることで、新たな生命体との 遭遇を果たすという話である。 最後のその生命体の惑星の都市は、まるで広島の焼け跡のようであったことは、 僕の考えすぎか・・ [DVD(字幕)] 7点(2020-04-19 20:51:17) |
14. 居眠り磐音
《ネタバレ》 いや、これはシリーズ化すべきでしょう! とぼけていると思えるほど、切れ者のおっとり磐音。 生活は貧しく、周りのみんなも手を貸すほど。 ところが映画前半に描かれてる彼の背負った痛み。 どうもそこに釈然とせぬ、何かがある。それは本編では語られない。 また彼の心から恋い慕う幼馴染が、やはり前半での出来事ゆえ、 生活が追い詰められて、吉原の世界に入っていく。 頭も切れ、剣も抜群、性格もおっとりして好青年の磐音だが、それを 阻止できぬラスト。 もう切なくて・・ 是非!彼女との恋の結末を描くシリーズ化を! [DVD(邦画)] 7点(2020-01-19 18:45:57) |
15. イレイザーヘッド
《ネタバレ》 心に封印した、子どもの頃の小動物を虐待した記憶を 引っ張り出すような映画。 まぁそういうのもアートの役目なのかな。 何してるんだろ、この人、何者だろ、この人、リンチのそういう演出術は もうこの頃から出てきてるね。 SFXを白黒で撮影すると、悪夢みたいな新鮮な映像になるのは、発見だった。 [DVD(字幕)] 6点(2019-09-13 20:53:16) |
16. 1987、ある闘いの真実
《ネタバレ》 30年前、隣の国はこんな国政のもとにあったなんて・・ どうりで、韓流ブームで一気に見応えある文化が流れてきたんだね。 マグマのように溜まってたんだ・・ 社会派ドラマとして骨太ですが、実話と知ると、考えさせられます。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-11 22:44:19) |
17. イヤー・オブ・ザ・ホース
《ネタバレ》 ヴェンダースが「ブエナビスタソシアルクラブ」をつくったように、 ジャームッシュが本作を創ったのだろうと思った。 ヴェンダースの場合、リスペクトを込めてだった。 しかし、本作は最後のろうそくを抱いて唄うシーンは、 ジャームッシュと通ずるところがあるように思う。 ニールヤングは詳しく知らないが、早速CDを借りに行こうと思う。 カントリーでもない、ロックでもない(ロックなんでしょうけど(笑))、心地いい時間がそこにはあったからだ。 [DVD(字幕)] 7点(2018-11-15 12:24:49) |
18. 犬ヶ島
《ネタバレ》 ウェスアンダーソンらしい、コミカルなテンポで話がズンズン進む。 これってストップモーションアニメなんだね。 CGアニメとは違う、切り絵的な感じがいい。 そうだよね、ウェスにはCGは似合わない。 冒頭の五匹の犬の登場シーンに七人の侍の曲が嬉しい。 日本大好きらしく、どこか大友克洋の「AKIRA」っぽい感じも ちょこちょこ入ってる。 感情移入して観る映画ではなく、ただウェスアンダーソンワールドである。 でも日本って犬と接するとき、「かわいい」って言葉で思考停止しちゃうけど、 なるほどアメリカでは犬はこんなこと考えてるんだろうなというのが現れてて、面白かった。 ノラ犬のすね具合がアメリカ人好みのヒーローみたいだね。 [DVD(字幕)] 7点(2018-11-10 15:57:09) |
19. 怒り
《ネタバレ》 鑑賞後は何も言えなかった。ただ愕然としていた。色んな要素の入っている映画である。一つの殺人事件の容疑者3人とその周辺を描くことでこの国の見えにくい、もう一つの側面を描き出している。李相日監督は新潟出身の方ではあるが、日本人映画監督が描くことから逃げている、米兵暴行事件を素材に取り上げていることは感謝したい。 [DVD(邦画)] 9点(2017-07-22 17:05:19) |
20. イレブン・ミニッツ
《ネタバレ》 映画というものは、基本的に人生賛歌であるべきだと思う。でなければ、2時間近くの時間を観客に都合してもらって、失礼だと思う。この監督、「アンナと過ごした~」を前に観たが、結構つらい内容だった。とても手放しで人生賛歌といえる作品ではなかった。そんな監督の最新作。映画冒頭、一体観てる我々はどこに連れていかれるのだろうという、パズル形式の演出。自分はパズルの断片が少しづつ揃っていくような映画は嫌いではない。タランティーノをはじめとして、秀作が多い。でもそれはラストにしてやったりというカタルシスがあったからだ。この映画は、パズルが全部そろって、作品を見渡すと「絶望」と書かれてあるようなラストだった。観終わって、嫌な気分が残った。演出だけの映画という感じだ。 [DVD(字幕)] 5点(2017-06-11 01:53:56) |