21. サブウェイ・パニック
《ネタバレ》 これ面白かった。この無骨な雰囲気、この音楽(ど、ど、ど、どん、ぱらら~)ああ70年代サスペンスのわくわく感!W・マッソーがいい味出してること。ヘンなチェックのシャツに冗談みたいな黄色いネクタイ下げて、犯人に泣きついたり悪態ついたり。「現金到着!」とかましたのにはシビレた。おやじぃっ。CG不使用のカークラッシュの迫力も満点だし、余興で出てきたみたいな日本人団体もちょっと笑わせてくれるしで見所満載。そしてなんといってもラスト。「ぶぇっくしょん」「お大事に」がちゃっ。うわーっ粋だなーっお見事! [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-09 00:56:41) |
22. サマーストーリー
ベタといえばベタな、新味の無いラブストーリーかもしれないけど、映像の美しさと、主演女優の透明感が補って余りある滂沱必至のイギリス映画。心と感性がまだ水分をいっぱい含んでみずみずしい、そうだなあ20代までに是非観てください。 [映画館(字幕)] 8点(2012-01-27 18:32:07) |
23. サイコ(1960)
人が殺されるシーンは、そのものずばり目撃するよりも想像させられる方がずっと怖いのだ、と思い知らされた作品。外国の、カーテンのあるシャワー室はその後今でもちょっと恐怖感がある。 [ビデオ(字幕)] 8点(2011-12-04 00:01:23) |
24. ザ・ハント(2020)
《ネタバレ》 おお、これがリアルな今の米国なのですね。J・ブラムお得意の切り口で見るカオスなアメリカを映した本作はまさに旬のモノといえます。 リベラル派も保守派も実に分かりやすくステレオタイプに描かれて、どちらもおちょくられてる。ぱっと見てすでに外見から、狩られる側はプアホワイト。肥満体型、銃愛好者、陰謀論者とわかりやすい。狩る側はセレブ、スーツ着用、アンチ差別主義、温暖化への高い問題意識、とこちらの分類もみごと。リベラル夫婦は差別はイケナイ、という主義の下「狩られる人間」を選別する際も黒人を入れなくては、と主張するのだった。もう何をか言わんや。 極端な二派の中で一人、ヒロインのクリスタルが中道でハッキリ言うとまともに見えて安心します。まともといってもアッサリ人を轢き殺して顔色一つ変えないんですけども。まあ強い。 二極に分断していがみ合うアメリカ社会の縮図をさくさくとなぎ倒す彼女がとにかく爽快。手法としてB級サバイバルアクションを選んだのは実に正解に感じます。 観客に主人公を絞らせない意外な序盤もパンチのある演出です。 終盤の女同士の格闘シーンは少し長いかも。どのくらいが吹き替えなのか分かんないけど、ヒラリー・スワンクもベティ・ギルピンも暴れてるうちだんだん疲れてきちゃってるのが妙にリアルでした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-07-30 21:54:53) |
25. 座頭市血煙り街道
《ネタバレ》 もはやキャラクターと化した勝新の座頭市。本作は子どもと絡んでの安定の人情噺で泣かせます。もうベタでもいい。むしろベタを求めます。「ああーとんだことに関わっちゃったなあ」との市のボヤキを聞いて嬉しくなる。子どもを親に託して隠れて泣く市と一緒に泣く。時代劇、楽しいな。 そうそうたる女優陣の若き頃が見られます。それに近衛十四郎氏を見て息子の松方弘樹氏を想起する世代の方が今や多いでしょうね。そっくりなんだもの。どうにもバラエティ番組に出ていた松方氏の陽気ぶりがチラついて、集中を削がれちゃった。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2023-04-13 23:14:40) |
26. 最高の花婿 アンコール
《ネタバレ》 ヴェルヌイユ家の皆さんにまた会えて嬉しい二作目です。 前作から引き続き人種差別問題に加え、さらにLGBTやタリバンテロまで盛り込んでまあ一層賑やかでごった煮の様相なのですが、小綺麗にまとめられているのはフランス流エスプリの力でしょうか。 受け入れる側の偏見がクローズアップされがちな人種差別問題ですけれど、二作目はやや掘り下げてきまして‶異文化の中での生活を選んだ側”の意識の持ち方にも言及しているのが興味深いです。「アジア系ならヌンチャクで、アフリカ系なら山刀か!?」といきなり店員に噛みつく前にもう少し冷静に、という描写が可笑しい。 勝手に「チベット開放運動家」に捏造された婿さんには同情します笑。そしてクセのある神父も健在です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-08-01 18:25:05)(良:1票) |
27. ザ・ロック
人物のキャラが粒立っていて、人と人のやりとりが白熱する‶映画らしい”映画。ベテランらの演技はもとより、人物造形がきちんと考えられている脚本力が高いです。良い映画って台詞が上滑りせず、リアルに響くんですよ。台詞を自分のモノにしているコネリー、E・ハリス、ニコラス・ケイジの安定感ときたら。個人的にはニコラスのぼやきが一段良かった。 どちらかというと監獄でのメインパートより、カーアクションの出来の良さが印象的でした。これまで何百台と疾走&壊れるクルマを見てきましたが、本作のカメラが切り替わり過ぎないすっきり演出は屈指の見やすさと迫力でありました。 ところで常々思うんですがFBIとか刑事って職権振りかざして一般人の車を奪って犯人追跡の後、壊してしまうパターンが確立してますね。アレってちゃんと補償してくれるんですかね。街中で運転中に刑事には会いたくないなあといつも心によぎります。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-05-11 23:05:11) |
28. サボテン・ブラザース
ああー。ばかだー。もう恰好から馬鹿だもん。決めポーズで殺しにかかってくるもん。 屈託度は限りなく低く、純度の高いバカ。 無駄に良い身体のキレとか意外と練られている脚本とか、馬鹿をやるために投入されている労力がなんかもう尊く感じる。 観終わって脱力しつつ清々しくなっている自分がいました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-10-17 17:04:08) |
29. 30年後の同窓会
かつて戦場で青春を共にした三人。時が流れてすっかりオヤジになったそれぞれの佇まいが渋いです。居るだけで画が持つ、ベテラン俳優の風格を感じます。 思わぬ成り行きで数日間を共に過ごすうち、それぞれの心にわだかまっていた過去を清算しようと思い立つというのは中年期のドラマとして良くある流れではありますが、各人のキャラクターが良いので一緒に付き合おうという気になります。 声高に力を込めて何らかのメッセージを伝えようとする映画ではない。かといって、ノスタルジーに浸るだけの切なさダダ洩れ作でもないです。 まだまだセピア色に染まるには早い彼ら。でも重ねた歳月の重さと深みが感じられる演技にじーんときました。彼らと同世代なら尚しみじみと良い映画だなあと感じられると思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-10-12 00:08:24) |
30. ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー
《ネタバレ》 マイケル・マンとJ・カーンというのも幸福な取り合わせだと思う。「男」でなく「漢」を撮りたい監督と、武骨でちょっと粗野な感じも併せ持つカーン。この手の男優さんはめっきり少なくなりました。最近はみんな小ぎれいでデリカシーも満タンになっちゃって。 徹頭徹尾男汁が溢れ出る。金庫破りのシーンひとつにしても実に丹念に時間をかけてカメラ固定で「男子一生の仕事」ぶりを描写。ついでに仕事を成功させた直後のカーンの埃ですすけた顔も長映し。この時の満足げな表情もまた渋い。 嗚呼、己はカタギになれぬ身と悟った男は幻想を破り捨て、女房を追い出し手を血に染めに向かうのだ。自宅も店も後腐れなく破壊して。ボンネットに映える電飾の煌めき、夜の空を焦がす炎。映像も美しい。 どうですこのハードボイルド気質。撮っててシビれちゃっただろうなー。わたしはハードボイルド苦手なんですがね。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-08-17 23:18:46) |
31. 砂漠の流れ者
《ネタバレ》 まさか「暴力監督」サム・ペキンパーにこんなトボケた一作があるとは思いもしませんでした。なにしろペキンパー作ということで中盤くらいまでずっと、いつケーブル・ホーグが血の雨を降らせるのかと待ってましたよ。あれ、でもこのオッサン復讐だなんだと口にしててもさして怨念の熱量は高くなく、標的の一人にはなんかぐだぐだと情にほだされ(というか復讐が面倒になったみたい)、せっかく築いた自分の事業もくれてやる始末。おい。 惚れた女に再会したと思ったらあっけなく天に召されて、その最期すらどこかへらへらとお気楽で。なんとまあ。好きなことやってぽっくり死ぬ、これもペキンパー流の「漢の美学」なのかも。 ホーグの死の元になったのが次の時代の主役であるクルマだ、というのもね。彼らの時代の終焉を告げる象徴にも見えます。道なき荒野を馬と共に往き、自由に生き方を選べた時代はケーブル・ホーグと共に終わりを迎えました。 生も死も自己責任で、その分生命力も強くスケベ心も隠さず、「おっかなくない」本作のペキンパーの男たちはとりわけ魅力的でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-06-03 23:34:42)(良:1票) |
32. 最後の晩餐 平和主義者の連続殺人
《ネタバレ》 いっぱい人が死ぬ(というか殺される)けど、タッチはユルめというのが結構人を食ってます。それも政治信条・宗教・モラルetcが対立する相手を論戦の末やっちまうという、およそディベート下手な我が民族はそこまで熱くならないであろうシナリオ。 かなり黒さが濃いブラックコメディですが、落とし方も含めて楽しかったです。まずこの大学院生らがいけすかない。インテリで無自覚の高慢ちきらがそこそこリッチな共同生活を送りながらあーだこーだと理屈っぽいんだ。だがしかし所詮は世間知らずの頭でっかち。海千山千のTVキャスターR・パールマン登場後は、彼の意外にも常識的な中道の見解にことごとく論破され、パニックになって仲間割れ寸前。いやー小気味良かったですねえ、ここ。 顛末がどうなったかは静止画で知らされます。子供が描いたようなその情景のまあ皮肉なこと。自ら用意した毒杯に足をすくわれた。そんなもの用意してなきゃいいのよ初めから。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-10-07 17:41:50) |
33. ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
《ネタバレ》 変人だらけのシュールな物語。変わってんだけど、一人一人の中で自己完結してるというか、引きこもりタイプの変人さんが多いためか、例えばコーエン兄弟作品のように変と変で化学反応を起こす、ということが無い。ただただゆるーっと展開し、さして何も起きない。けど私このぬめっとした感じ、好きです。ジャージ親子の父であるB・ステイラーは見てきた中で一番良い仕事をしているように感じるし、メンタルをリストカットしている眉無しグウィネスは目がうつろの迫真演技。それにG・ハックマンがすごく良くないですか。さすがというか、大御所でいてこのコミカルさ、今さらながら凄い演技の幅を感じる。ロイヤルというクソジジイに「愛すべき」という文言が乗っかるのは、ハックマンだからこそ。 息子に疎まれつつ、めげずに孫にアタックするじいちゃん、大好きだけど万引きはイカンな。 凝りに凝った美術は冴え渡り、室内の1カット1カットが絵画のよう。印象に強く残る個性派ムービーでありました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-11-04 00:56:00) |
34. ザ・ベイ
《ネタバレ》 POV形式のパニック・ムービーものとしては、今まで観た中でも出色の出来。「手ブレ」もそこそこ抑えられてるし、各映像の繋ぎ方もなめらかで話がブツ切れにならず展開する。これって結構技量が要るんじゃないのかな。 いや怖かったです。寄生物のグロテスクなシーンも多い。海洋汚染と海水ろ過装置の不完全さ。鶏糞に含まれるステロイドによる異常発育とか、ノンフィクションとはいえ妙に説得力のあるワードが並び、ワタシは膝を抱えてがたがた震えました。 こういうディザスターものは幽霊ホラーと違って「こういうことが起こったらどうする?」と突きつけてくるので答えがみつからない限り動揺してしまう。竜巻とか大雪とかは自分なりに切り抜ける手段を見出しているけど(ほんまかいな)水はなあ。どうしよう怖いよう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-02-23 00:24:46)(笑:1票) |
35. ザ・ドア 交差する世界
《ネタバレ》 まず、ちょっと勘違いしていたのだけど、あのドアはタイムマシンではなくてパラレルワールド的な、隣の世界への扉だったのですね。だから5年前の自分を殺しても、現在の自分には影響が無いのね。いつ消滅するのかと思っちゃった。それでは話が展開しないわけですが。 ”そっくり”だけど”自分のじゃない”擬似家族の気持ち悪さがうまく醸し出されていると思いました。娘は気付いて懐かないし。ああそうなるのか、と変に納得しながら観ていたら、あの扉は他の人にも開かれていてすでに「先輩」がいるという驚きの展開であります。どうしても視野が主人公エリアになってますからこちらも。 生きるため自分を殺すって、どういう心理になるのかな。自殺とも違うし。そこらへんが描かれてなかったのが残念。 摩訶不思議なストーリーをこしらえたものですが、ラストの納まり方は奇跡的にベストな形になりました。子を失った夫婦二人が元の鞘に納まってつくねん、と庭に佇む。別世界で生きる娘の姿を心に抱いて。違うのは流れる時間のみ。 喪失に出会っても、乗り越えるより他に術はないのです。取り戻せないものへの、心の対処を不思議な筆致で描いた作品でありました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2017-01-17 00:08:02)(良:2票) |
36. サン★ロレンツォの夜
《ネタバレ》 子供というのは未熟な生き物だ。あの”禁じられた遊び”のなかで墓の十字架を勝手に使ってマイワールドを作っていたように。6才の女の子にとって、戦時は非日常。夜中に村が爆破されるのをどこかわくわくしながら待ったり、財産を消失したおばさんがイヤリングを預けてくれたことで胸が躍ったりする。こういうコドモ感覚、私もかつて持っていた。遠い記憶の中に。 大人の感性で捉えると耐えられないほどの苦痛を、子供の「?」フィルターを通して酷さを緩和しているような描写の映画である。 しかし観賞している私はもう大人なので、あののどかで美しい麦畑で、厳かな聖堂で、何が起きたのか悲しいかな知っている。コドモ側の「イヤリングもらって嬉しい」、「米兵さんは風船をくれて親切」と並行して起きている大人側の苛烈な現実。あまりのギャップに心をどこに置けばいいのかわからなくなった。 少女は母になりわが子に語る。それはおとぎ話のようだけど、内包されたただならぬ事実をその子も長じるにつれて知るのだろう。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-07-29 23:38:31) |
37. サプライズ(2011)
《ネタバレ》 これは、けっこうしっかり誠実に(?)作っているな、と思います。登場人物が一人また一人訳も分からず殺されてゆくというすでに百出のプロットをどう見せて客をのせるか。10人もいる人物のキャラクターをしっかり紹介できているのがエライです。初期のゾンビものの傑作もそうでしたが、「この人はどういう性格か」をちゃんと描いて、単なるモブシーンの一部にせずこちらに思い入れを持たせることに成功しています。ここでは兄弟仲がよろしくない、とか兄嫁の意地が悪い、といった押さえるべき点が要領よく披露されます。長男はエラソーに振舞っていましたが、実は一番人間的だったりしました。 印象が薄いor足手まといな者から次々消えてゆくのもセオリー通り。そして展開が早いのも飽きさせない要因でしょう。身内の企み、というネタばらしのタイミングも丁度良いと思います。そこからお話は一転し、事情を知らないのは女主人公一人であると客は知らされ、見守る立場になる。がんばれ、とますます力が入ります。 エンドレスリピートの隣家の音楽や、不気味なアニマルマスクという小道具も効いてます。暇つぶし的に殺された隣家の二人は気の毒でしたが、社会的モラルに照らしてあまり感心できない人たち、という保険もかけてありました。誠実だ。 [DVD(字幕)] 7点(2016-01-25 18:34:28)(良:1票) |
38. サイド・エフェクト
《ネタバレ》 構成や演出が巧くて、ベテランかつセンスのある作り手だなと感じます。ソダーバーグびいきだからでしょうか。 ただごとではない不穏な導入で引きこまれ、さらにルーニー・マーラもJ・ロウも嘘か誠実かどちらともつかない演技である。腹に一物抱いているのは誰なのか、ワタシは最後まで判断つかなかった。ここらへんのじらし方、うまいですねえ。死んだ亭主の取引相手が絡んでくるのじゃないかと勘ぐったくらいだ。 肝心な所はうまく覆い隠しながら、真実を展開してゆく手際はシンプルで明瞭。オートバッグの不可解、実在しない同僚、盗撮の証拠、と女の疑惑が徐々にふくらんでゆき、ついに悪が敗北する、このカタルシス。近頃の作品は黒幕的な奴がまんまと生き残って後味悪くエンディングを迎えるものも多い中、小手先のどんでん返しなどしないストレート型のサスペンスは大変小気味良かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2015-09-05 23:53:03)(良:1票) |
39. 三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船
ここの点数は低いけど、私は93年度版のよりこっちのが好みです。画がキレイですし、枢機卿がお気に入りのクリストフ・ヴァルツだっていうのも大きいんだけども。他の人物たちもダメの典型王様もこれはこれで良いし、ロシュフォールの渋いかっこ良さ、見惚れます。ミラの悪女も美しい。4人の銃士の存在感はいまいちかな。ダルタニアンのロマンスがどうとかより、宮廷での王妃VS枢機卿の陰謀描写の方が見応えあったりします。飛行船がばーっと空を覆う場面は、映画館で観たかったなあ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-14 00:48:11) |
40. サイン
《ネタバレ》 ・・私これけっこう気に入ったんですが・・みんな厳しいなあ。私も初めは予告のミステリーサークルの画からしてうさんくさいなあと警戒してたのですが、しかしテーマは一人の男の魂の再生の物語だったですよ。たぶん監督、予兆と何をリンクさせようかなあと考えて、幽霊は使っちゃったからよし、宇宙に担ってもらおう、としちゃったもんだから客の耳目がそっちに行っちゃったうえにエイリアンの造形がちと陳腐で評価散々の憂き目に。いや抑えに抑えたメル・ギブソンの演技、P・フェニックスの大真面目っぷり、良いじゃないですか。映画の質感も抑制が効いて上品。亡き妻の部屋から、不穏な電話を受けるメルを撮る場面や包丁に写し出された“何か”の影、ブラウン管に映る“例のもの”。ひっそりとして研ぎ澄まされたようなカメラワーク。うるさい音楽に耳を煩わされることのない静けさ。電話の音には飛び上がった。所々にはさまるユーモアも好き。ああー消されちゃった叔父さんの“水着特集”、メルも絶句するぺかぺかのアルミ帽子。“ムー”みたいな本を三人で拝読、ちゃかすメルと怒る息子が可愛い。みんなばかにするけど、現実にあんな報道があったら誰でもホアキンになると思うよ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-04-12 01:28:42) |