1. シン・シティ
キル・ビルの世界について行けなかったので、この映画もちょっと厳しかった。ちょっと昔っぽいエログロナンセンスの劇画をそのまんま一流の俳優が演じているこの作品の独自の世界、実験的な雰囲気は成功していると思うし、シャープでざらついた画像がビリビリ見る者の衝動を刺激する。でも…。この平和なニッポンでも高校生が通行人を憂さ晴らしにエアガンで撃つってご時世ですから…。おもしろいんだけど、楽しめなかった。 [映画館(字幕)] 4点(2005-10-08 16:04:53) |
2. シンデレラマン
ロン・ハワードって、地道に真面目に生きてる人を温かい視線で描くのがうまいですよね。悪くはないんです…。結構感動したし…。でもなあ…中学生の頃、シルベスター・スタローンの「ロッキー」を見て、何だかじっとしていられなくなって意味もなく早朝ランニングを始めたんです。今考えても何でそんなこと始めたのかわけが分からないんですが。その頃の私は世の中のことを何も知らないガキだったからそれだけのインパクトを受けたのか、今の私が薄汚れた疲れた大人になったからなのか…。見終わって「オレも何か頑張らなきゃ!」と感じたかったです。 [映画館(字幕)] 8点(2005-09-19 22:39:05) |
3. Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?(2004)
ずいぶん前に邦画の方も見ましたが楽しめました。リチャード・ギアは「十分に幸せで満ち足りているはずなのに、何かが足りない」と感じ始める中年以降の男性の胸のうちを自然な演技でうまく表現できていたと思う。雑誌か何かのインタビューでギアが「この映画は人生の中盤以降を過ぎた男性が家族と一緒に自分を再発見する物語だから米国でも受け入れられた」と話していたのを読んだ気がしますが、確かにそんな感じ。私も映画の中のギアの年齢に近いですが(外見は太陽と冥王星ぐらい離れてますが…)端から見たらくだらないとか滑稽だと馬鹿にされても結構、俺はこれが好きなんだ、と言える趣味を見つけたくなりました。 [映画館(字幕)] 8点(2005-04-24 15:23:21) |
4. ジャスト・マリッジ
《ネタバレ》 パンツがダルダルの馬鹿っプル演技に加えて、短気でわがままでモノをよく考えない旦那。まあ、ブリタニー・マーフィーの方は性格のいいお嬢様風の感じだったけど、アシュトン・カッチャーの役はひどすぎ。恋敵の男の方が良い奴に見える。映画の重要な部分でもあると思うのだが、社会的地位の違いを乗り越えて愛し合う2人を応援する気持ちになれない。だって、せっかくヨーロッパに行ってるのに野球中継みたり、ホテルで火事出しておいて、「注意書きを英語で書け」とか逆ギレしてる奴、友達になりたいですか? 私は嫌です。ラストのインタホン越しの愛の告白はいいけど、いかにもとってつけたみたいだった。何だかなあ…。これ、アメリカでヒットしたんですかね。アメリカ人の一般人はああゆう「わがまま男」をほほえましいと感じるんだろうか。頼むから新婚旅行で日本には来ないでねと思ってしまった。ラブコメディには点数甘めなんですけど、この作品は後味も良くなかった。 1点(2004-12-01 02:35:14) |
5. ジョゼと虎と魚たち(2003)
《ネタバレ》 見終わった後に何とも言えない切なさが残るけど、不思議と後味は悪くない。ラスト、電動車いすで風を切って街を行くジョゼの顔をカメラは映さないが、涙を流してはいないのだ。静かに鮭を焼くジョゼの顔はそれまでの童女のような幼さがウソのようになくなった大人の女性の美しさ。恒夫は残酷にジョゼを捨てたが、映画では描かれていないけれど、それは「障害の壁」とかいったステレオタイプな理由ではないのだろう。ただ、「もっと好きな女ができた」だけなのだ。だって、ジョゼを好きになる時も恒夫には彼女の障害に対するためらいなどはなかったのだから。ジョゼと恒夫の間に起きたのは、若い男女の間によくある出会いと別れのエピソードのひとつ。だけど、それでジョゼは人目を気にせずにたくましく生きる強さを、恒夫は人の弱さを思いやる優しさを知った。不器用でも、結果が残酷でも恋愛は人をかようにも変えることができる。単純に設定だけを見ればちょっと前に大ヒットしたフジテレビのドラマに似てるけど、こちらは見て良かったな、と素直に思いました。 9点(2004-10-01 13:21:20)(良:1票) |
6. THE END OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に
テレビシリーズを見ながら、考えた…。例えば、こう。ある高度に発達した文明を持つ異星人が壮大な実験を計画した。自分たちのDNAを持つクローンを生命が進化できる環境を持つ惑星に送り、そのDNAを元に生命がどのような進化を遂げ、変異が誕生するのか観察する。クローン体は生命の「源」として遠い惑星上に新たな発生と進化を引き起こし、やがて、その生命が進化し科学や文明を得て、クローン体そのものを発掘し、調査する程度に至った段階で、「実験終了」を告げるセンサーの役目も負っていた。クローン体は新たに生まれた生命すべてのデータを収集、母星に送信後、生命体をすべて原子からなる生命以前の初期の状態へ戻す機能も与えられている。ところが、ある惑星ではエラーが発生し、惑星全体の初期化に至らず、進化を与えた生命体の一部が残ってしまった。さらに、生命体は独自に異星人のクローンのコピーを作り出し、初期化から逃れるために、強大な力を持つ異星人の新たな「消去センサー」に闘いを挑んできた。異星人にはもうひとつ手段があった。自らの生命を作り出した存在としての「クローン体=異星人」は、知能を持つある一定程度以上の発達を遂げた生命体には「神」という存在として深層意識に刷り込んであった。神との闘いは知能を持つ生命体にとっては自己の存在を問い直す作業となり、心の中の自己崩壊トリガーを作動させることができれば、生命体は進化と存続を止め、自ら終局への道を選ぶはず…。等々。でも、映画の方を見て、真面目にストーリーを考えてみた自分が自己崩壊しそうになった。優れたSF作品になりそうだったのに、ちょっと残念な気がした。 0点(2004-07-06 14:29:36) |
7. 潮風のいたずら
《ネタバレ》 結構好きな映画。落ち込んだ気分の時に見たくなる何本かの一本です。ゴールディは似たような役が多いけど、この映画は相手役がダンナだということもあり、「これが地なのか?」(まさかそんなことはないだろうけど)というほど自然な演技に感じる。記憶が戻って、いったんは金持ちのダンナ(映画の中での)の所に戻って、辛く当たった使用人たちに謝罪するところとか好きなシーンです。アメリカの田舎のお母さんから高級ドレスの似合うマダムまで、ゴールディの魅力もよく出ている。まさに「ファニーフェイス」。アメリカ人男性の感じる「かわいい女」ってのがこういうゴールディに集約されるんでしょうね。 8点(2004-04-11 11:37:51) |
8. 地雷を踏んだらサヨウナラ
辛口です。この映画を見る人はいくつかのパターンに分かれると思います。まず「主人公を演じる浅野さんのファン」「戦場カメラマンの一ノ瀬さんに興味がある」「カンボジアという舞台に興味がある」。私はどっちかというと3番目でした。アンコールワットに行ったことがあるし、一ノ瀬さんの写真も見たことがある。戦場カメラマンの写真展にも何度か足を運んだことがあるし、報道で活躍するカメラマンに知り合いもいます。その上で感じたんですけど、主人公がまったく報道カメラマンに見えない。どうしてか、というと、カメラの構え方とか、写真を撮ってる時の体の動きとか、いろんなものがまさに「素人」にしか見えないのです。浅野さんのファンには申し訳ないが、良いテーマを扱っているだけに、かなり残念です。アンコールワットはまさに「人類の遺産」と言って良い建造物です。しかし、同じくらい素晴らしかったのが、戦場でもたくましく生きる子供たちの笑顔。戦争でいつも犠牲になるのも、一番弱い子供たち。それを伝えようとした一ノ瀬カメラマンの生き様を伝える映画だからこそ、カメラの使い方とか何気ない仕草とか、もっとプロらしく見える演技がほしかった。 3点(2004-03-30 13:13:47) |
9. シービスケット
《ネタバレ》 事前に「感動できる映画なんだ」と期待しすぎたせいか、涙が出るほどではなかった。悪役のウォーアドミラル側の人たちがあまりにもステレオタイプな悪役だったし、シービスケットがレースであまりにも強すぎるのも何だか「予定調和」な感じがした。それでもなお、「見て良かったな」と思わせるのは、この映画に込められた前向きなメッセージがちゃんと届いたから。骨折した騎手、腱を痛めた馬、過去に心の傷を負ったオーナー、それぞれが自分にうち勝って立ち上がるお話は実話ベースだけにやはり引き込まれる。好きなシーンは互いに再起不能に近い怪我を負ったレッドとシービスケットが木陰で昼寝するところです。一瞬、「馬飼いたいな~」と思ってしまった。でも、日本じゃ馬は北海道にでも行かなきゃ飼えないし。一生懸命走ってる俳優(?)の馬、かわいいです。 8点(2004-02-25 13:35:51) |
10. シン・レッド・ライン
書き尽くされてますが…。戦争映画好きなんですけど、入れなかった。主人公? のジム・カヴィーゼルが何を考えているのか最後まで分からなかった。戦争が嫌なのか? 軍隊組織が嫌なのか? 上官が嫌なのか? 人を殺したくないのか? それが伝わらなくて、何だか話がぼけたような気がする。その辺、「部下を死なせたくない」と夜中にこっそり祈ってる大尉さんと、「クソに埋められた気分だ」(だっけかな?)とか部下から反感を買ってることを意識しながらも昇進のために鬼になるニック・ノルティの方が分かりやすかった。ただ、日本人がへたれに描かれてるという感じはしなかった。戦争になって、食べるものも食べられなかったら、あんな風になりますよ。どんな人だって。戦闘シーンは「プライベート・ライアン」を意識したのか、かなり迫力ありました。 4点(2003-12-27 03:47:25) |
11. 真実のマレーネ・ディートリッヒ
《ネタバレ》 久々に「心に染みた」映画でした。ナチに反発し、故郷を捨てたディートリッヒがベルリンに落とす爆弾を作るために戦時国債を宣伝する姿、終戦後のベルリンで母親と再会する声、戦地へ恋人のジャン・ギャバンを追いかけていくくだり、すぐれた反戦映画でもあり、恋愛映画でもあり、音楽映画でもあると思いました。美しく、強かったディートリッヒの鮮烈な生き様に感動しました。戦後、ドイツ公演で唾を吐きかけられるエピソードは映画を見ている者ですら胸をえぐられるように悲しい。また、盛大ではなかった葬式にハリウッド関係者の姿がなかったことも。しかし、死後、やっとディートリッヒは故郷に迎えられる。そのエピソードがナレーションで語られる時、小さな映画館は泣いている観客の鼻をすする音だらけでした。ドキュメンタリー仕立てなので、普通の映画ではありませんが、ディートリッヒの人生がまるで映画のようにドラマチックなので、どんどん引き込まれます。帰りに思わず「モロッコ」を借りました。白黒の画面の中のディートリッヒはやはりとてもきれいな人でした。 10点(2003-12-18 17:08:10)(良:1票) |