141. ジャッカルの日
《ネタバレ》 ひたすらターゲットに向けて一歩一歩進んでいく暗殺者と、それを地道にじわじわ追っていく捜査官。その構造だけで、中途半端な盛り上げを入れずに最後まで通した構成は潔いが、それならば知能戦的な部分はもっと見たかった。この描写だと、能力に優れたから対決やバトルが生じたというよりも、互いに相手の抜けている部分に助けられたように見えてしまう。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-10-19 02:57:51) |
142. 親鸞 白い道
誰が何をしたいのかということはさっぱり分からないのに、全編を通じて制作者の気合だけは異様に感じられるという、謎の怪作。これだけのキャストを埋没させ、シーン同士の相関関係などほぼ無視してでも、とにかく撮りたい絵で撮りたいシーンを撮るという執念の徹底ぶりは、逆に凄い。 [DVD(邦画)] 5点(2014-08-21 03:04:37) |
143. 知りすぎていた男
《ネタバレ》 冒頭、何気ない世間話の中で、自分の情報はことごとく聞き出され、こちらは相手のことは何も知らない状態になっている、というのは、物凄いこだわりを感じさせ、導入部としては最高なんですよ。しかしその後は、ラストまであらかじめ考えず、思いつきで脚本をつなげていったのではないか?と思わせるほどの場当たり的な展開の連続で、テンションが冷めていくのです。そもそもこの主人公、陰謀とか暗殺とか誘拐に立ち向かうには、ノーガード過ぎを通り越して天然過ぎだしね。アフリカ式のレストランでじっくりとシーンを撮ってくれたのは、ちょっと現地に行った気になって面白かったので、+1点。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2013-09-23 14:00:45)(良:1票) |
144. 衝動殺人 息子よ
《ネタバレ》 この主人公の目的は、「国による犯罪被害者補償制度を実現すること」である。国は、国民に対して安全な生活を提供する義務があることの一環として、犯罪の発生を阻止・抑止する義務がある(その反面として、刑罰権や捜査権を有している)。したがって、発生してしまった犯罪は国家の保護不十分の結果であるとはいえるから、その延長として、国に対して補償制度を求めることは、ロジックとしては正しい。かつ、金銭的側面とはいえ、当該被害者に現実的な回復をもたらすこともできる。ところが、その後の犯罪被害者保護運動は、刑事手続そのものに関与することを要求し始め、さらには、公的手続内で被告人と直接接することをも要求してしまった。彼らは、被害者保護運動をどこに対して向けていこうとしているのだろうか?裁判手続への関与や、それに基づく刑の執行によって、被害者の何が、どのように回復したのかということについて、どこかで検証はなされているのだろうか?●映画的には、情緒的描写に流れている部分が多々見受けられ、逆に主人公の被害者訪問部分はあっさり流されているのが残念。あれだけのキャストを用意したのだったら、そここそ、個々の被害者の受け取り方はどのように違っていて、どのような人たちが存在するのか、ということを明確にすべきだった。ただし、高峰秀子の存在と演技は、作品を冷静の領域にとどめることに貢献している。彼女にとっては、女優引退作でもある。 [DVD(邦画)] 5点(2013-01-06 03:20:01) |
145. 幸せのポートレート
《ネタバレ》 この主人公は、気が強いとか神経質とかいうよりも、言動はむしろ人格障害とかヒステリー状態に近いんですよね。なので、話の前提の部分で説得力がありません。みんなの心理が動き出してぶつかり合う翌朝のところは多少面白いのですが、それ以外の部分は凡庸で、さりげなく豪華なキャストが生かされていません。ただ、クレア・デーンズを素直に魅力的と感じられたのは久しぶりかも。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-12-28 03:28:44) |
146. 白い婚礼
《ネタバレ》 こういう設定なんだから、変に上品にまとめようとせず、オッサンの葛藤や欲望をもっとむき出しにした方がよかったんじゃないかと思うが。ただし、ラストの虚脱感や喪失感はなかなか強力だったので、+1点。 [DVD(字幕)] 5点(2012-05-31 01:20:16) |
147. 人生はビギナーズ
《ネタバレ》 事前の予想に反して、父親は作品の冒頭数分で亡くなってしまう。あとは、その後の自分の生活と、父親の言動の回想(さらには、自分の幼少時の回想)が重なり合ってくるという仕掛け。ただ、そうであればなおさら、その父親の存在を自分がどのように乗り越えたのか、という点が重要になると思うが、その辺はあまり明確ではない。女性と無事つきあえるようになりました、というだけでは、物語の着地点としては弱すぎる。 [映画館(字幕)] 5点(2012-03-12 04:13:44) |
148. ジャイアンツ
全体がとてつもなくゆったりじっとり進行していくのに、結局は個々のキャラクターの描き分けがあまり上手くできていないので、ただ長いだけに感じてしまいます。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-12-27 03:19:47) |
149. シン・レッド・ライン
これだけの豪華キャストでも、監督にとっては全員駒にしかすぎないというワガママぶりが素晴らしい。俳優陣の見せ場などはことごとく無視、あくまでも撮りたい映像をひたすら撮り続けるだけ。その徹底ぶりは、それはそれで潔い。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-12-18 05:08:41) |
150. ジャック
コッポラとロビン・ウィリアムスはまったく合わないということを如実に示してしまった作品。全体を通じた雰囲気が妙に重く、ロビンの持ち味をことごとく封殺している。というより、ロビンが子供を演じているようにしか見えず、大人の中身が子供であるという人物がそこにいるように見えない。その他の描写についても、外見と内面のギャップがもたらすおかしさや哀しさが浮き彫りになっておらず、またラストへ向けた持って行き方も、何とも安直。 [DVD(字幕)] 5点(2011-10-05 02:10:38) |
151. 主人公は僕だった
《ネタバレ》 作中の人物と作家とが対面して人生がクロスするというのは、どちらにとっても、次元の境界が消滅するほどの重大な事態なのであって、そうであれば、もっともっと日常からの逸脱や破綻を期待してしまうわけなのです。ところが、この作品では、その後も何となく無難に収束してしまって、せっかくの物語としてのインパクトを弱めています。あえていえば、原稿を読み終わった教授が平然と「この物語は傑作だ。だから君は死ぬしかない」と言い切るところなどは、逸脱の萌芽が見えていたりしますが、それもそこだけで終わってしまいました。似たような発想の「トゥルーマン・ショー」と比べると、突き抜け度において大きな開きがあります。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-03-25 03:08:03) |
152. しあわせのかおり
《ネタバレ》 料理を限りなく美味しそうに撮っているという一点は非常に優れているのに、それ以外のところが・・・工夫のない説明台詞の連発にはげんなりしたし、勤務先の上司や児相の職員が作り手に都合の良いステレオタイプな設定なのもがっかり。そういった部分の安直さが足を引っ張っています。それと、最後の両家の晩餐会、料理が本当に美味しかったのであれば、もっと会話も弾んでいるだろうと思うのですが。これではただ「食べているだけ」です。 [地上波(邦画)] 5点(2011-03-20 00:45:38)(良:1票) |
153. しあわせの隠れ場所
《ネタバレ》 みんなが期待するとおりにそのまんま進んでいるだけであって、ドラマもなければ変化もない。無難にまとまってはいますが、映画というよりは再現特集番組に近いのではないでしょうか。キャシー・ベイツも全然活用できてません。ヤングMCの"Bust A Move"というかっこいい選曲には+1点したいのだが、事故の原因として使われてるんでは・・・。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2011-03-16 03:12:14) |
154. 真珠の耳飾りの少女
映像部分での華麗な色彩と、登場人物全員のジメジメっぷりのギャップが、これほど激しい作品も珍しい。ただ、人格描写が深いところまで至っていないので、結局は薄っぺらく感じてしまいます。 [DVD(字幕)] 5点(2011-02-02 01:38:06) |
155. 人生は、奇跡の詩
《ネタバレ》 ここまですべてが都合良すぎだと、そりゃやりすぎってもんです。そもそも、この内容なら別にバグダッドで展開する必要はないのでは?それによってあちこちに分かりやすい無理(というか破綻)が出ていますよね? [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-01-05 00:12:43) |
156. 小説家を見つけたら
《ネタバレ》 どうみても、バスケットにウェイトを割きすぎではないのか?主人公は、隠遁した作家の生活を覆すほどの文学に対するセンスなり情熱があったはずであって、そうでないと話の前提が成り立たない。その辺にもっと時間を割いてほしいところでした。アンナ・パキンも、ストーリー上さして機能していないのがもったいなさすぎる。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-01-02 01:48:05) |
157. シリアの花嫁
《ネタバレ》 対象選定と設定の斬新さだけで5点。しかし、これだけぎりぎりのシビアな状況を描写しているはずでありながら、そもそも何で花嫁はこの人と結婚したいと思ったのか、というコアの部分の掘り下げが不足しているのが気になる。また、前半、未整理にたくさんの人々が次々に出てきたので、誰が何をしようとしているのかがよく分からなかった。最後のまっすぐに歩いていくシーンの単純な衝撃で大分得をしている。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-12-04 02:51:21) |
158. ジェラシー(1980)
終始陰鬱間漂う作品世界はなかなか心地よくはあるのだが、各シーンの細かい切り方や順序の入れ替えなど、最初から最後までほとんど同じような構成で進められると、途中からはかえって単調になってしまう。作品としての存在感はあるが、中身は印象に残らない。 [DVD(字幕)] 5点(2010-08-10 23:04:12) |
159. シンデレラマン
あまりにもストレートすぎて、中身が印象に残りません。同じような演技の同じようなシーンが繰り返されている感じ。尺もここまで長くいらなかったのでは? [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-07-16 00:31:55) |
160. 十八歳、海へ
《ネタバレ》 まさしく、主人公2人が思いつきだけの発言と行動で最後まで全部行ってしまうというだけの作品。しかし、そのコンセプトだけで最後まで押し通してしまった監督の執念は逆に凄い。しかし、永島敏行も森下愛子も、小林薫でさえ、この頃は揃って演技が上手くないのにはびっくり。辛うじて見られるのは島村佳江。 [DVD(邦画)] 5点(2010-07-05 00:53:31) |