1. 人狼ゲーム 夜になったら、最後
《ネタバレ》 「全米初登場第10位!」というあまり見たことない控えめな(でもよく考えると十分凄い)煽り文句に心動かされて鑑賞。停電!道路遮断!繋がらない携帯電話!雪山のホテルに館詰め!さあ人狼ゲームの準備は整った!との予告編はなかなか魅力的でしたが、実際のところ出鱈目とは言わないまでもJARO案件の匂いがプンプンします。自然災害と何者かの工作により孤立する町。一度は住民全員でホテルに泊まると決めたものの、被害者が一人出た時点でもうバラバラ。みんな自宅に帰ってしまいます。そりゃそうだ。殺人鬼が宿泊者の誰かと疑われる状況ならば、一緒に泊まるメリットはありません。このあたり設定がゆるい。せめて外は猛吹雪で帰宅不可にしないと。もっともソリッドシチュエーションが過ぎるとこの後の展開が続きません。「人狼ゲーム」の名が付いているものの実際は「ゲーム」ではなく「ルール」もありません。怪しい住民を順番に吊るす事は出来ませんし、殺人鬼も厳戒態勢下では容易に獲物を狩れません。ある程度人を流動させるのは仕方がないかと。ただ折角閉鎖空間で高まった緊張感が、フィールド開放と共に霧散してしまったのは残念でした。「人狼ゲーム」とはあまり関係なく、何人か殺され何人か事故死。終盤にきて急にストーリーが渋滞した気がします。結局「人狼なんて居なかった」じゃなかった点は評価しますが、サスペンスとして楽しめるかというと微妙。ブラックコメディと割り切って観た方が良さそうです。 [インターネット(吹替)] 6点(2024-09-21 16:51:31) |
2. 新・三茶のポルターガイスト
《ネタバレ》 以下は私の受け止めであり、あくまで「個人の感想」です。予めご承知おきください。 前作では霊の「手」が出現しましたが、本作では「頭部」「上半身」も姿を現しました。続編らしく現象がちゃんとスケールアップしています。中でも衝撃だったのは『オカルトセブン7★』なるアイドルちゃんのステージに突如として現れた「仮面の男」でした。11人グループなのに「1人増えている!」と現場は騒然。失礼ながらこの時点で爆笑です。と同時に「ガチ」の看板が跡形もなく消えました。この件も含め「不可思議な現象」に対して科学分野の専門家が現場検証を行いましたが、超心理学者も物理学者も見解は「やらせ」で一致しました。「物理学とはあらゆる可能性を排除し構築されてきた理論。もし覆るような発見があれば即ノーベル賞だ」という物理学者の言葉は重いと感じます。 ここで注目したいのは「超常現象」の定義です。科学者は先の言葉のとおり「あらゆる可能性を排除して残った事実」を指すのに対し、オカルト支持者は「不思議な事はオカルトに違いない」でした。印象的だったのは「仮面の男」が消えた跡から「枯れ草」が見つかった件。現場に居合わせた者の共通認識は「多少臭うかも」でしたが、角由紀子氏のみ「あの臭さは異常。ジップロックを何重にもしないと漏れ出てしまう」と語っており「認知バイアス」の存在が伺えました。「呪物は臭い」がオカルト界隈の常識です。あるいは「息を吐くように嘘を付く」症例かもしれませんけど(失敬)。この件に限らずオカルト支持派の主張は主観ばかり。「あんな狭い場所に長時間人が潜むのは困難だ」「この現象を人為的に起こすなら一体いくら経費がかかるのだ」「仕込みがバレたら恥ずかしい。だからヤラセは無い」「スタッフを心霊騒動に巻き込むのは道義的にありえない」などなど。仕舞には「霊が居ないことは証明されていない」です。私の耳には「ギブアップ」に聞こえます。 「客観」の科学VS「主観」のオカルト。双方仮説止まりで誰も核心(物証)へ踏み込もうとしません。武士の情け?ビジネスにおける阿吽の呼吸?いずれにせよイニシアチブは施設所有者&映画制作サイドが握っているため、不完全決着が彼らの意思です。いわば「両者リングアウト」。昭和のプロレスでした。なお今回「水が噴き出る鏡」については完全スルーでした。鏡を外せばトリックの有無は一目瞭然なのに。この一点からも本現象の正体が垣間見えます。 さて、ここからは私が推測する【騒動の顛末】です。【発端はプロモーションも兼ねたオカルト好き社長の些細な悪戯。次第にエスカレートしていき世間にも知れ渡り引き返せなくなった。噂を聞きつけたオカルト界隈や映画制作会社はビジネスチャンスに乗っただけ。真相を知るのは事務所関係者の一部。真相を知らぬ(どうでもよい又は知らぬフリを含む)取り巻き多数。洒落が通じなかった一般人(陣内、デニス含む)が大多数。なお明らかに“やりすぎ”な「仮面の男」は、社長からの「消極的なやらせの告白」ではないか】以上。最後の一文は「匙加減を間違えた過剰なサービス精神」な気もしますが。 前作の私の投稿をお読み頂けると分かりますが「ガチ」であることを少しでも期待した自分を恥じています。「オカルト」に「ガチ」なんて概念は無い事をすっかり忘れていました。UWFでもあるまいに。やはりポイントは「仮面の男」と考えます。あれは「この作品はフィクションです」宣言。街裏ぴんく氏の「女芸人としてやらせてもらってます」と同質のボケです。つまり前作の感想で私が提示した「選択式回答」の答え合わせをすると④が正解でした。ぴんく氏の場合ピン芸人なのでツッコミ不在ですが、映画では科学者がツッコミ役です。しかしながら学者先生は芸人ではないため、まるでキレがありません。だから観客は戸惑うのです。いっそカミナリのたくみ君を連れてきて「こんなのオバケな訳ねえな!」と角由紀子氏の頭をはたけば分かり易くコントが成立しました。東京ホテイソンの「い~や普通にアイドルファンの男子」でも良いでしょう。 冷静に振り返ると最初から「ガチ」の看板など掲げられていなかったのかもしれません。「映画はフィクション。ドキュメンタリーはノンフィクション」という先入観がいけなかった気がします。今回私は劇場鑑賞こそしなかったものの、普段は手を出さない新作レンタルをしています。お値段500円也。社会勉強代としてはリーズナブルと思います。「自分だけは絶対に詐欺に引っ掛からない」は「あり得ない」が身に染みた貴重な体験でした。流石に本作で打ち止めだと思いますが、万が一にも続編で「あらゆる可能性を排除した本物の超常現象」が確認された場合は陳謝して考えを改めると共に点数を変更します。勿論その時はノーベル賞受賞も併せて御祝い申し上げます。 [インターネット(邦画)] 0点(2024-09-16 16:27:56) |
3. 13日の金曜日(1980)
《ネタバレ》 小学生の頃に鑑賞済み。今回およそ40年ぶりに再鑑賞しました。当然犯人は誰か知っていますが、それにしてもミスリードが上手くありません。預言者気どりの爺さんを犯人と思わせたいのは見え見えですが、垣間見える犯人の身のこなしが老人のそれではありません。極めつけは射的場への呼び出しの件。助けを求めていたのは明らかに女性の声でした。この時点で女性犯人説が頭をよぎるだけでマイナス。時代的に「ラジカセ」があるなら子供の声を再生すれば済む話ですし、それが無理なら打刻音や光を使う「気配り」が欲しいところです。残念ながら詰めが甘いと感じます。果たして犯人は〇〇だった訳ですが、その狂気にこそ震えるものの、戦闘力はありません。殺しは不意打ちか騙し討ちのみ。まともにやりあったら、若い女性である主人公にさえ勝てません。事実、主人公との直接対決では何度も態勢を崩され逃亡を許しています。この体たらくは殺人鬼として如何なものか。力関係は相対的なものです。己が弱いのであれば相手をもっと弱体化させれば問題ありません。クライマックスの演説用に、毒でも麻酔でも使えばいいのにと思ってしまいました。ラストの湖上シーンはホラー映画史に残る名場面だと思いますが、妄想なのが残念でした(ですよね??)。もっとも続編を考慮するなら「伏線」と捉えられなくもありませんが、どうなのでしょう。子供の頃は『エクソシスト』も『オーメン』も『13日の金曜日』もざっくり同じホラー映画。どれも滅茶苦茶怖かった記憶がありますが、大人になって観返すと気づかなくていい粗まで気づくようで。初鑑賞時なら8点、今評価するなら頑張ってもこれくらいです。(以下余談)今回某W●W●Wオンデマンドで鑑賞したのですが、サムネイルが酷いネタバレでした。ちなみに『猿の惑星』セルDVDのパッケージも有名なラストカットがそのまま使用されています。たとえば公開後四半世紀以上経過したメジャータイトルならネタバレして良しみたいな風潮とか不文律とかあるのでしょうか。日常会話で有名映画のネタバレを不用意に食らっても笑って許せますが、せめてこれから映画を観ようとしている人に対しては「気配り」が欲しいと思うわけです。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-09-29 19:20:06) |
4. シュシュシュの娘
《ネタバレ》 現代版脱力系忍者コメディを必殺仕事人風に~吹き矢を添えて~。小洒落たレストランのメニューみたいですが、コンセプトはこんな感じかと。ただし悪代官や殿様は現代では官公庁に該当するようで、悪事が生々しくていけません。風刺を超えて、体制批判・政治思想すら感じさせます。シュール&ナンセンスコメディの出来は悪くないので、もっと素直に楽しみたかったというのが本音です。雑味がエグいのです。プロパガンダにしても偏り過ぎでしょう。 復讐譚としては因果応報のバランスが悪いと感じました。ヤリチン男への制裁は兎も角も、当局への復讐は明らかにやり過ぎです。司法の裁きや社会的制裁が望めないから裏稼業の出番なわけで、このまま放っておいても彼らは失脚しました。それでもなお彼らを鞭打つ、いや吹き矢を突き刺すのであれば、今流行の(?)『倍返し』でしょう。復讐は等価報復が基本。超過報復が肯定されるのは、理不尽且つ甚大な被害の場合に限定されます。皆殺しって八つ墓村か。まあ実際のところ全員死んではいないでしょうが、脱力系コメディとリベンジものの相性がそもそも良くないのだと思います。 次にタイトルについて。忍者を表す擬音は『ニンニン』と相場が決まっています。ただこれだと著作権の問題が発生するかもしれませんし、不思議なことに伊東四郎氏の顔もチラつきます。となると次点としてサササやヒタヒタ等が忍者っぽい擬音候補として挙げられそうですが、本作ではシュシュシュが採用されていました。これは忍者というより吹き矢の擬音。そう、本作では忍者刀や手裏剣、クナイや撒菱等名だたる人気忍者武器を差し置いて「吹き矢」がフォーカスされていました。これまた通好みな選択。しかしよくよく考えてみれば、自作し易い、携帯し易い、金属探知機に引っ掛からない等、武器としての「吹き矢」の優秀さが際立ちます。殺傷力こそ毒次第でしょうが、自然界に猛毒は溢れていますし。本作を観たらきっとエア吹き矢芸の家元こと、コサキンの2人も泣いて喜ぶんじゃないでしょうか。 [インターネット(邦画)] 5点(2023-07-28 19:24:09) |
5. シン・仮面ライダー
《ネタバレ》 庵野監督がイニシャル『シン』で仮面ライダーを創ったら、まあこうなるわなという映画。基本的に納得しかありません。おそらく歴代シンシリーズの中でも圧倒的に間口は狭く肩幅ほど、ハードルは棒高跳びレベルと推測しますが、案外「こんなの楽しめるのは俺だけだろ」な層も相当数いるのでしょう。じゃなきゃこれだけ大掛かりなメディアミックス企画は成立しないですもんね。あるいは多くの大人が「儲かりまっせ」の口車に乗っかたのか。どうなんでしょう。 あれこれ考察を楽しむのが庵野映画の鑑賞流儀かもしれませんが、個人的には「仮面ライダーが死ぬ程カッコよくて」「浜辺美波さんが神がかり的に美しい映画」という理解で十分という気がします。特に浜辺美波さんファンは爆増したに違いありません。『最優秀キャメル革ロングコート女子』と『気絶担がれ女神オブ・ザ・イヤー』の2冠受賞の快挙は史上初なのでは。 (以下余談)ついに買ってしまいました変身ベルト。2号バージョンを。コミュ障で陰キャの本郷猛にはシンパシーを感じますが、惚れるのは一文字隼人の方。陽キャの仮面に隠された孤独や愁いに惹かれるのかなあ。一文字の笑顔はライダーキック以上の破壊力があったようです。 [映画館(邦画)] 8点(2023-03-19 11:58:25)(笑:1票) (良:1票) |
6. JKエレジー
《ネタバレ》 3737さん、2番投稿失礼します苦笑。 『貧乏は諸悪の根源』との名言がありますが、主人公にとって諸悪の根源は貧乏ではなく家族でありました。事態は想像以上に深刻で、高校卒業と同時に家を出るなどと悠長なことを言っている場合ではありませんでした。直ちに、今すぐに、避難すべき案件。火事と一緒のレベル。兄の引き合わせで、クラッシュビデオという名のAVに出演したのがそもそもケチの付けはじめ。パンツひとつ見せていないと主人公は開き直りますが、それが詭弁であることは彼女自身が一番よく分かっていること。とはいえ、普通にバイトしても保護費と相殺されるだけですし、母が残した進学資金が残っているはずもなく。彼女にしてみれば、クラッシュビデオだけが希望に繋がる生命線だったのでしょうが、実は絶望に繋がっていたという。それでも、八方塞がりという訳ではありません。進学が難しいなら就職だって立派な選択です。しかるに彼女は自ら未来を閉ざす選択をしてしまいました。ヤクザと関わり合いになるなど百害あって一利なし。彼女は「もう振り回されたくないから」と言いましたが、逆に自ら振り回されに行っています。まともな就職すら危うい状況に追い込まれたことを彼女はまだ自覚していません。振り下ろしたツルハシでの一撃にカタルシスを得られない時点で、この物語は破綻していると考えます。 [インターネット(邦画)] 5点(2022-09-15 18:59:27) |
7. 死の実況中継 劇場版
《ネタバレ》 ※かっぱ堰さん、お先に投稿失礼します。かっぱさんの考察の深さやリサーチ力にはいつも感心させられます。読んでいて不快にならないのも素晴らしいです。レビュー心待ちにしております。 邦画ホラーは基本地雷だらけです。5点なら当たりの部類。それでもごく稀にホームランがあったりするのが困りもの。『口裂け女2』とか『人狼ゲーム』シリーズとか。予習なく当たりを引き当てた時の得も言われぬ快感たるやもう。こうしてB級ホラーに魅せられた者たちは、人生の貴重な時間を無駄に費やしていくのです。あな恐ろしや。 実は本作を中ほどまで見進めた時点では、これは大当たりを引いたのでは?と色めき立ちました。劇中劇に妄想系?意外とテクニカルなホラーの様相だったのです。それに赤い服の女もいい感じ。変にカクカク動いたりせず、見事なフォームで小気味よく走ってくるあたり逆に不気味。得物にナイフや包丁ではなく裁ち鋏を選ぶセンスもナイス。これはきちんと考察せねばと身構えたのですが、終盤失速しました。結局はただ「呪いのURL」をクリックした者を襲うだけのガサツな女でした。イデオロギーの無さにガッカリ。もっとも都市伝説の殺人鬼にイデオロギーを求める方がどうかしているのですが。明らかに不自然な登場の仕方であった親友も妄想ではなく実在していたみたいです。赤い服の女が何処ぞのyoutuberみたいに自撮りしながら音声実況を付けてくれたら(これが真正の迷惑系youtuberや!)アッパレを差し上げたところなんですけども、惜しいなあ。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2022-09-09 00:28:38) |
8. シン・ウルトラマン
《ネタバレ》 観たい人はほぼ観終えたであろうタイミングでやっと劇場鑑賞。それも私自身久々の映画館来訪で、ノーラン監督の『テネット』以来のご無沙汰ぶり。今回出張で地元を抜け出したついでに念願を叶えました(生活圏内には新作が公開される映画館はありません)。空白の約2年間の間に料金も値上がりしたようで、ちょっとした浦島太郎気分です。コロナ恨めしや。早く気軽に劇場鑑賞やライブに行ける世の中になって欲しいものです。すみません、舞い上がって前置きが長くなりました。感想に入ります。 率直に言うと想像以上に「面白くなかった」です。少なくとも『シン・ゴジラ』のようなエンタメ性は感じられず、ひたすらマニアックなオタク志向のエピソードが続きました。間口は狭く、敷居は高く。物語に起伏が無いので、ともすれば退屈してしまうかもしれません。しかし面白くないから駄目だとは思いません。少なくとも本作にはウルトラマン愛が詰まっていました。本気でウルトラマンを空想科学で検証し、現代にアップデートさせた努力に拍手を送りたいです。メフィラス星人やゼットンの新解釈とその帰結。ゾフィーではなくゾーフィの呼称。その拘りはリスペクトに値します。ただし、長澤まさみさんのケツ叩き癖など、おじさん丸出しのギャグは如何なものでしょう。センスは欠片も無く、シラケる御仁も多いに違いありません。それが分からぬ監督ではないでしょうに。あるいは監督は腹を括ったのでしょうか。おじさんの、おじさんによる、おじさんのためのウルトラマン宣言。その判断が賢明とは思いませんが、かつてウルトラマンに心を奪われたおじさんである私が、本作を否定できるはずもありません。「そんなに人間が好きになったのかウルトラマン」その台詞を聞けただけでもう何も言いますまい。見事な「大人だまし」映画でありました。 [映画館(邦画)] 9点(2022-07-08 20:59:46)(良:3票) |
9. 女子高生に殺されたい
《ネタバレ》 殺したい(わからんけどわかる)死にたい(まあわかる)自分で死ぬのは怖いから殺されたい(なんとなくわかる)。殺されることに悦びを感じる(きゅうにまったくわからない)。 殺される快楽?相当ハイブローな性癖ですが、オートアサシノフィリアなる呼び名があるそうで。勿論普通はイメージするだけでしょうが、本作の主人公はリアルに女子高生に殺されようと計画しました。しかもJKなら誰でも良かった訳ではなく、お目当ての少女が育つのをじっと待ち、JKになった彼女に近づく為に教員免許まで取得し、希望ポストの前任教師を失脚させ、その娘の担任に納まるという大掛かりな下準備を成し遂げます。足掛け9年の壮大な企み。その熱量と実行力たるや変態を通り越して感動さえ覚えるロマンシング・サガでありました。設定こそアブノーマルかつトリッキーなれど、サスペンス趣向は本格的で、ケイ田中の計画の全体像や背景が判明していくにつれ、戦慄しました。伏線やミスリードも上々でミステリーとしても見応えがありました。最後こそグダグダでしたが、そこに至る過程の用意周到ぶりは見事なもので、先生はリアルに優秀な人なのだと思います。あるいは、性癖の為になら頑張れる人だったのかな。『哀愁しんでれら』といい本作といい、もはやサイコパス役の第一人者と言っていい田中圭さん。ただのイケメン俳優ではなく、良いポジションを得たものです。圭さん以外の役者さんでは、生徒役の若手女優の皆さんが充実。見事に美女揃い。中でも柔道少女の茅島みずきさんの存在感が抜群でした。やっぱり長身美女はいいですな。 [インターネット(邦画)] 7点(2022-07-08 00:55:54) |
10. 死霊館 悪魔のせいなら、無罪。
《ネタバレ》 第1作目も2作目も採点は7点。感想もほぼ同じで、王道オカルトホラーとして良く出来ていると思うが「実話もの」の触れ込みはプラスにならない。本作も基本的に同じですが、やはり「実話」と言い切ってしまうところが気になります。背骨が300度曲がったり、死体が歩いたりしていますけど大丈夫ですか。「実話に着想を得たフィクション」じゃ駄目なのですかね。まるで「カニ風味カマボコを蟹として提供されている」みたいな不信感があるのですが。それに本事件の実際の加害者はまだ存命のようで、DVD特典で体験談を語っちゃってるんですよね。まあ、彼ら目線ならそれが真実なんでしょうけど、遺族の気持ちを慮るとやるせない気持ちになります。本シリーズの「実話」とは「週刊実話」みたいな使い方の「実話」だということをちゃんと周知しないと駄目なんじゃないかなあ。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2022-05-06 22:49:20)(良:2票) |
11. 女子高生暴力教室 牝蜂の復讐〈OV〉
《ネタバレ》 前作で死亡したミドリ(星美りか)に代わって、本作では餓狼(画廊ではないはず)のマキ(朝日奈あかり)が主人公を務めます。私はAVを観ないので(嘘ですが)彼女を存じ上げませんが、大変お綺麗な方でした。ただ星美さんには有った華のようなものは感じられず、主役の存在感はありません。演技的にも芳しいとは言えず、例えば「タイマン仁義」とやらの台詞の言い回し「〜です」の言い方ひとつにも致命的な演技力不足が伺い知れました。その点、同じセクシー女優出身でも亜紗美嬢の存在感たるや群を抜いており、いつものように周りとはレベチの異次元本気演技で作品の品質維持を一手に引き受けていました。やっぱり亜紗美嬢はモノが違いますな。コメディとしては1作目より本作の方が少しだけ出来が良い(胸くそ要素が少ない)ですが、エロやアクション目当てならもっと良質な作品が他にありますので、基本的には亜紗美さん目当ての方にのみオススメの作品となります。因みにタイトルに『牝蜂の復讐』とありますが、これは『女番長シリーズ 牝蜂の逆襲』(1971)をオマージュしたものと思われ、内容に則すなら『山猫団の復讐』の方が適切であったと考えます。 [インターネット(邦画)] 5点(2022-03-12 23:41:36) |
12. 女子高生暴力教室〈OV〉
シリーズコンセプトは『死霊の盆踊り』に同じ。とりあえずおっぱい出しときましょう。だから本作登場の成熟型JKの皆さんはノーブラがデフォルトです。往年の芸能人水泳大会以上にポロリ乱発祭りが堪能いただけます。ただし、その有難みや満足度も『死霊の盆踊り』レベルであることも申し添えます。 タイトルに『暴力』が付いていますが物語のベースは、バイオレンスでもなければアクションでもなく、明確にコメディだったと思います。さもなくば、いくら10年前の作品とはいえ、あんな北斗の拳みたいな無茶な設定がまかり通るとは思えません。そういう意味でコメディというジャンルはつくづく最強だなと思うわけです。このような作品の主演に所謂セクシー女優の皆さんが選ばれたのは当然の成り行きと言えましょう。それではまず1作目の感想から。といっても言及したいのはストーリーではなく女優さんであります。本作の主演は、星美りかさん。私はAVを観ないので(嘘ですが)彼女を存じ上げませんが、大変チャーミングな方でした。舌足らずな感じがまた良く、ヒロイン適正にプラスが付きます。一般映画やドラマ等の演技畑で活躍できる方だとお見受けしました。(以下続編の『牝蜂の復讐』につづく) [インターネット(邦画)] 5点(2022-03-12 23:40:51) |
13. JUNK HEAD
《ネタバレ》 輪廻転生を描きながら、生きる意味を問う物語。と見せかけて、実は全然違うのかもしれません。監督の狙いは別にあるのかも。説明不足を自分勝手に脳内補完している可能性も否定できません。そういう意味では、映画の完成度は決して高くないと思います。無駄な描写が多いですし、ストーリーテーリングも上手くありません。必要以上にグロテスクですし、結末も尻切れトンボ。しかしながら、本作の訴えかける力はズバ抜けていました。画面の端々から謎の迫力が溢れていました。全ての芸術作品の使命は観客に何かを感じさせる事。その観点で本作は(私にとって)満点に違いなく、もう諸手を挙げて賞賛したいです。映画の出来の良し悪し等とは、また別次元の話。こういう映画こそ傑作と呼びたい。こんな気持ちになったのは、湯浅政明監督の『MIND GAME』、内田けんじ監督の『運命じゃない人』を観た時以来であります。 [インターネット(邦画)] 10点(2022-02-21 19:16:10)(良:1票) |
14. 真・鮫島事件
劇中の時代設定がコロナ禍の映画を初めて見ました。2年もマスク生活が続けばこれがニューノーマル。登場人物がマスクをしていない新作映画の方に違和感を覚えるようになるのでしょうか。いやな世の中ですな。マスク着用が当たり前になると俳優さんも大変です。例えば本作のヒロイン武田玲奈さんのように大きな瞳で鼻筋の通った女優さんならマスク着用でも画面に映えますが、そうでないと厳しそう。微妙な感情の起伏をマスク越しに伝えるのも大変でしょうし。全体的にオーバーアクトが流行するのかもしれませんね。 タイトルに『真』が付くのは、『真・ゲッターロボ』か『シン・ゴジラ』にあやかっての事でしょうか。どちらにしても無印の『鮫島事件』映画が無いとおかしいワケで、このあたりの事情はかっぱ堰さんが補足していただいています(いつも丁寧な背景考察ありがとうございます)。物語について言及したい点は特にありません。所詮は与太話。コロナ禍でさぞ撮影大変でしたでしょうねと思うくらいです。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2022-01-24 18:48:40)(良:2票) |
15. 地獄の警備員
《ネタバレ》 いわゆる『不条理ホラー』。とはいえ、殺人鬼の思考など普通は理解できなくて当たり前。そういう意味では不条理である事が道理であるとも言えます。富士丸の狂気は不条理そのものでしたが、彼の最期は道理に適っており、不条理行動に一貫性がありません。逆に言えばそれがむしろ不条理とも言えなくもなく。何を言っているか分かりますか?自分でも何が何だか分からなくなりました。そう、この難解ぶりこそ、まさに黒澤清映画の証。ただし、私が愛する黒澤ホラーの奥行は本作からは感じ取れず、凡作との評価になります。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2021-12-20 23:10:51) |
16. 地獄の花園
《ネタバレ》 学園ヤンキー漫画の世界をOL社会の派閥争いに置き換えたナンセンスコメディ。いや、元ネタだってナンセンスである事に変わりはなく、突き詰めれば本職の皆さんの縄張り争いだって右に同じ(だから『アウトレイジ』はコメディと見紛う)。現代社会(法治国家)において暴力を是とする価値観は、すべからく滑稽なのだと思います。とはいえ、そんな真面目ぶった考察は本作には不要であり、「大島の雑な口紅」とか「強面ベテラン男優の卑怯なキャスティング」に注文通りバカ笑いしながら、マトリックス風(意外と見せ方が上手い)バトルアクションを素直に楽しむのが正しい鑑賞姿勢と思われます。個人的には、コーンロウ菜々緒嬢の異次元フォルムに心を奪われ(何かに似てる。そうだ。狩猟犬ボルゾイだ!)、永野芽郁様の「全員まとめて殺してやる!」に魂を射抜かれました。誰が何と言おうと傑作認定いたします。ちなみに「全員まとめて殺してやる!」はあまりに好き過ぎて、着信音に設定しました。 [DVD(邦画)] 9点(2021-12-14 18:19:37) |
17. 新感染 ファイナル・エクスプレス
《ネタバレ》 低予算から大作まで、猫も杓子も『ゾンビ映画』だらけ。それだけ魅力的かつ作り易い題材なのでしょう。『噛まれたらアウト』のシンプルなルール、荒廃した世界、サバイバル、アクション、ゴア描写、そしてヒューマンドラマ。この組み合わせは『奇跡のレシピ』と言ってよく、まさに映画界の『カレー』であります。上手い監督が作れば極上品が拝めますし、素人監督でもそれなりに形になる魔法のジャンル。そんな数多あるゾンビ映画の中にあって本作が特別なのは、ゴア描写を完全に排除したことです。お約束ともいえる『捥がれた手足』や『飛び出す内臓』なんてグロテスクな表現は一切ありませんし、血飛沫を浴びたシャツはオレンジに染まり、まるで『ナポリタンをこぼした人』のよう。お子様でも安心なファミリー映画仕様でありました。事実、私は家族揃って(最年少は小3女児)お茶の間で鑑賞しています。そう、本作はゾンビ映画界の『カレーの〇子様』でした。しかも本家『カレーの王〇様』は大人の口には合いませんが、本作は辛味こそ無いものの旨味やコクは一級品なので大人が楽しめる優れもの。ただし、『流れ的にこのあたりで主要キャストが退場するな』とか『ここはこうやって切り抜けるんだろうな』みたいな予想はことごとく的中します。あの人なんて、ドラマチックにする為だけに“噛まれにいってる”ものなあ。『期待を裏切らない』とも言えますが『驚きがない』とも言えます。まさに既製品クオリティです。普段使いのお家カレーとしては満点で十分コレで満足ですが、心を鷲掴むサムシングは独創性の中にこそ存在するため9点や10点にはなり得ません。よって8点満点で8点映画との評価です。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2021-10-30 16:58:19)(良:2票) |
18. 新解釈・三國志
《ネタバレ》 NHK人形劇から始まり、横山光輝の漫画全60冊を誕生日プレゼントでねだり、吉川英治の小説も読みふけり、スーパーファミコン版光栄の『Ⅱ』は50回以上中国全土を統一した『三国志』大好きな私。さらに福田雄一コメディも大好物で『新解釈』なるアプローチも面白そう。期待値はかなり高かったのですが、見事に空振りました。何がまずかったかと考えたのですが、純粋に『物語』が面白くなかったのだと思います。『三国志』の高い認知度に胡坐をかいた粗い脚本が諸悪の根源と考えます。メインとなる物語で魅せてこそ、福田コメディの生命線、アドリブや悪ふざけが活きる訳で。もっとも本作については、悪ふざけもセンスを欠くものが多く、特に渡辺直美の容姿体形を揶揄するネタは、東京五輪開会式案『オリンピッグ』より数倍タチが悪いものでした。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2021-10-22 23:17:27)(良:3票) |
19. 樹海村
《ネタバレ》 『犬鳴村』に続く恐怖の村シリーズ第2弾。今回は青木ヶ原樹海(富士の樹海)の奥にある自殺志願者が作った架空の村がタイトルだそう。自殺しようと樹海に入ってはみたものの、死に切れない、でも帰れない。だからここで暮らそうと村が出来たとか。まあ、流石に無理筋です。生きたいと願う気力が無い者がサバイバルなんて出来ませんから。結局のところ、樹海の樹木と同化した“半人半木”みたいな謎の集合体がわらわら出てきますが、正直何のことやらよく分かりません。あの中にシャキーンのジュモクさんが混じっていても気づかない自信があります。さらに『コトリバコ』なるネット由来の与太話を物語の核に据え、ひたすら気持ち悪い展開が延々と続くと。最終的に“ちょっと切ない系”に落とし込むあたりはシリーズ共通項でありますが、あくまで“気持ち悪い”がメインであって“怖い”の芯を全く食わないため、フラストレーションが溜まりました。これはホラーなのかな?個人的には、まだ『犬鳴村』の方がホラーとしての体裁を保っていた気がします。 それにしても、ただでさえ自殺名所のイメージが根付いてしまった富士の樹海が、こんな形でさらなるネガティブキャンペーンをされるなんて本当に迷惑な話だと思います。青木ヶ原樹海って世界文化遺産であり国立公園でしょ。みんな楽しく素晴らしい自然景観を満喫しましょうよ。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2021-10-16 01:05:26)(良:1票) |
20. 人狼ゲーム デスゲームの運営人
《ネタバレ》 本作は、桜庭みなみ、土屋太鳳ら新進気鋭の若手俳優の熱演と、巧みな脚本で人気の劇場作品『人狼ゲーム』シリーズ最新作。今回は初めて男性が主役であり、プレイヤーではなく運営側にスポットを当てた異色作です。偶然プレイヤーの中にかつての教え子を見つけた主人公が、彼女を助けようと奔走するお話。当初は運営なんだから難なく助けられるのでは?と考えましたが、そう単純でもないようで。ゲームはWEB配信されており衆人環視。仮にそんなのお構いなしに救出しても、口封じされては意味が無いと。なるほど。逆に言えば、ゲームを規定通りクリアさえすれば、約束どおり報酬が支払われ開放されるということ。正直眉唾ですが、少なくとも運営末端レベルの認識はそうなのでしょう。で、彼女を生き残らせるための作戦が、本ゲームの裏で極秘に進行します。他のプレイヤーからしてみれば『とんでもない話』ですが、何となく流せてしまうのは、この程度の『出来レース』や『依怙贔屓』は現実社会で日常茶飯事だからです。残念ながら。また、主人公が見返りなく破滅のリスクを背負った点も、彼を許せる要因となっています。2人は血縁でもなければ、恋人友人でもありません。一時の家庭教師と生徒など、他人と変わりません。赤の他人の為に彼は命を懸けました。だから嘘臭いとか偽善だとは思いません。中村倫也主演の『人数の町』、昨今のコロナ感染予防に対する姿勢、あるいは某メンタリストの発言にしてもそうですが、人は顔が見えないとただの数字に変わります。いくらでも鈍感になれるもの。でも本当は一人ひとりに人生があり、決して軽んじられものではないはずです。顔見知り程度だとしても、主人公の中で眠らせていた『想像力』と『倫理観』を呼び起こすのに十分な刺激だったのだと思います。 さて、物語は意外な結末を迎えますが、ヒント・伏線の類はきちんと提示されており、注意深く観察していれば主人公より早く『真相』に辿り着く事も可能だったと思われます。サスペンスとして上質な証。ただし、冷静になればなるほど、プレイヤーの人選や事前準備等に疑問が湧くのも事実。そんな設定上の粗を有耶無耶にしてしまうのが『早仕舞い』でした。真相を明かしてから終幕まであっという間。整合性をとるだけでなく、観客を煙に巻くのもテクニックのうち。今回も脚本は良い仕事をしていたと思います。 深夜ラジオのネタコーナーなど、レギュレーションを守らないぶっ飛んだネタのウケは良いですが、同時にコーナー終焉が近いことも意味します。今回の変則仕立ては、その事を強く意識させるものでした。 [DVD(邦画)] 7点(2021-08-31 19:35:11)(良:2票) |