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Yuki2Invyさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1615
性別 男性
自己紹介 基本的に3~8点を付けます。それ以外は、個人的に特別な映画です。

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1.  情婦 《ネタバレ》 
史上最高レベルに「いったい何考えてんだよ」な邦題ですが要は私と同じ様に、もォ~マレーネ・ディートリッヒしか見えてなかった、というコトだとは思うのですね。今作の彼女は正に圧倒的!で、最初の登場シーンのオーラ全開なサマにせよ、件の"Damn you!"なんてワタシ最初観たときは10万ボルトか!てぐらいにシビレまくりましたし、その後証人台で涙を流すシーンの神々しい程の美しさもまた!(美しいでゆーともう一つ、変装をロートンにネタばらしして再び髪を掻き上げるシーン、カット切り替わった後の裏から見た横顔が、実はワタシ大好きなんですよね)。今作時点で56歳とは、ちょっと信じられませんです。  このとおり、彼女の演技その他のレベルはもう凄まじいのですが、本作がスゴいのは彼女と相対すべきチャールズ・ロートンとタイロン・パワーもまた負けず劣らずな高品質の演技を披露しているという極め付きの豪華さでしょう。そしてもう一つ、彼らの法廷での様子というのは全て「『演技をしている』という演技」だとゆーのも中々面白いですね(ディートリッヒとパワーは劇中の実際として、またロートンは弁護士として法廷では感情を表に出さない、という意味で)。二重構造とゆーかある意味で少しメタな、とも言えるかと思うのですが、ソコに関しても3人の演技には違和感が無いのがまず素晴らしいですし、そしてそのコトがラスト5分における「本音」の暴露大会というドンデン返しのスーパーな衝撃にまた繋がっている、とも思うのです。サスペンスとして一段上、とゆーか、実に精密に好く出来た作品だと思います。その部分のシークエンスの「あれよあれよ」なハイテンポぶりも、また他に類を見ないというレベルで最高ですし。  そのドンデン返しを爽やかに締めくくるのがこれまたエルザ・ランチェスター。彼女にしたって助演としての出来は出色で、こんなのもう完成度が高い!(参りました!)と言う他ないですよね。傑作かと。
[DVD(字幕)] 9点(2021-10-06 18:05:45)
2.  シェルブールの雨傘 《ネタバレ》 
ミシェル・ルグランの音楽があまりにも素晴らしい。であるからして「100%歌」というかなり攻めてる形式も、この作品に関しては成功だとしか言い様が無い。特に、ラストの感傷の素晴らしさたるや(個人的には映画でこんなに泣いたことは他に無いってレベルで号泣しましたですよ)。恋愛映画では圧倒的に一番好きですし、あと今作のドヌーブがワタシ的には「映画史上最高の美人」でありますね。  私はまた、純・恋愛映画とゆーのには構成要素は3つしかないと思っている。「愛し合う美女とイケメン」+「悲しい別れ」+「ムーディな名曲」ただこれだけだ、と(もちろん、ハッピーエンドな恋愛映画もあるだろ!というツッコミは百も承知ですが)。だから、特にルグランの力ゆえに、今作は恋愛映画の白眉のひとつたりえるのであろう、と。
[DVD(字幕)] 9点(2020-10-25 03:29:28)(良:1票)
3.  ショーガール 《ネタバレ》 
ハダカというのは、それを隠して恥ずかしがるからエロいのだ。誰も彼もが脱ぎまくりな本作、全員揃ってハダカ如きを恥ずかしいなんて思っちゃいない(それは羞恥心が無いサマを「演じて」いるのではなく、本当に馴れっこになってしまっていることを意味する)。ので在るからして、実のトコロはこれが全然エロく感じなかった…というのが正直な感想(ある意味残念)。しかし、だからこそ本作のダンスシーンからは、性欲と切り離されることを強制されてきた「ハダカの美の歴史」を、逆の側から超越した真に純粋な「肉体の美しさ」を感じ取ることが出来るのだと言える。俗悪なモノの中だからこそ、本当の美しさが際立つ、この単純な方法論こそがヴァーホーヴェンの真骨頂である。  それはストーリーの面でも同様で、ただ自分の最悪な状況を打開したい、自分を証明したいと願うだけの前半の持たざるノエミは実に美しく、翻って、一たび手に入れた「虚栄」を守ることに固執し、「もっと多く」を望むために手段を選ばない後半の勝ち誇ったノエミは実に醜い。しかし彼女は、敗北と引き換えにひとつの真理を得て虚ろの都を去ってゆく。それこそが人間の成長であり、これは何とも痛快なグッドエンドじゃないか!と思うのだ。  非常に単純な物語ではあるが、重ねて、これこそがヴァーホーヴェンの真骨頂であり、彼の最高傑作であると私は確信している。
[DVD(字幕)] 9点(2020-05-05 12:20:38)(良:1票)
4.  ショーシャンクの空に 《ネタバレ》 
人生は時として悲劇的で、醜く、哀れなものに為り得る。だがそれでも、人生には常に希望があり、そして必ず美しいのだ、という映画。ラストシーンに全てが凝縮されているように思う。
[インターネット(字幕)] 9点(2019-11-21 21:24:47)
5.  シャイニング(1980) 《ネタバレ》 
ホラーと言うよりビックリ箱な驚かし系や、ただただ大袈裟に禍々しいだけのモンスター系な恐怖描写が蔓延る昨今のホラー映画を観飽きてくると、本作のホラーとしての素晴らしさが良く理解できるというものである。幻覚・幻聴と現実が綯交ぜになった映像空間(敢えて双方の質感を全く同じにすることで、その混ぜこぜ感をより増している)を用いて、何が起こっているのか、何が真実なのかが分からないというシンプルで基本的ながら非常に強力な不安・恐怖を巧みに醸し出すとともに、狂気に陥るジャック・ニコルソンをしてこれも何を考えているのか、何を仕出かすのか分からないという「危険と謎」の恐怖が見事に演出されている。  特にニコルソンの「腹に一物有る」感じ(それは狂気から来る憎悪・殺意その他ではあるが)、そして腹に一物が有りつつも最後の一葉でそれを封じ込めている感(この感じが正に導火線に火の付いた爆弾の如き危険人物感を醸している)と、終盤、終に爆発する狂気の演技は一世一代の名演と言える。加えて、実はシェリー・デュヴァルの怖がる方の演技(それは機嫌の悪い夫を恐れるシーンでも、殺人鬼と化した夫に慄くシーンでも、果ては完全にパラノーマルな現象を目の当たりにしたシーンでも)はこれまた出色な出来。更に言えば、バーテンダーとグレイディの抑制しつつもやっぱりどこか超越的な(人外の)演技も非常に味わい深い。この演技の質の高さに加え、映像美・画的な部分のクオリティも一部芸術的とも言えるレベルに達していると言う完成度の高さ。ホラーとしては文句無しにオススメできる作品。
[DVD(字幕)] 9点(2019-11-21 00:41:28)(良:3票)
6.  死滅の谷 《ネタバレ》 
コレは確かにナンとも強烈な……ブニュエルが今作を観て映画監督になろうと思った、てなコトらしいですケド、個人的には(コレもその影響自体は一般的に認知されてる)ベルイマンとか+彼の『第七の封印』とかへの影響…てのがより強力かもなって印象ですね。それは技術的な部分のみならず、今作が先進的・芸術的な表現技法を駆使して描き出すトコロの力強いテーマ性の部分にもまた大いに見て取れると思うのです。中盤の3つのストーリーで実に極上なるファンタジックの渦の中に見事に引き込まれたと思うやいなや、ラス前のエピソードの余りの冷徹さにモ~首がもげる位の勢いで現実に引き戻される、この感覚が実に鮮烈で、かつ(映画的にエッセンシャルな)「快感」だったと思うのですね。うーん、まだまだ、子どもの頃にコレを観せたら(ブニュエルとかベルイマンとかと同様に)ひとりの人の人生を⇒それを通して世界の在り方をも少し変えてゆける様な超・パワフルな作品だと思われますね。傑作。
[DVD(字幕)] 8点(2023-11-02 17:41:15)
7.  シン・仮面ライダー 《ネタバレ》 
私は正直なコトをゆーと「え、何でこんなに評判悪いの?」というレベルでメチャクチャ楽しめてしまったのですが、帰って来てこちらのレビューも全部読みましたがソッチにも完全に納得はしました。今サラ私が言うコトでもないでしょーが、重ねて、完っ全に「監督の趣味」でしかない映画であって、だから極めて人を選ぶ・ニッチな作品だというコトではあるのでしょう。しかし同時に、こんな奇天烈な質感を映画として楽しめるとゆーのはソレこそ、この地球上でもごく限られた領域&限られた時代に生まれたからこその「特権」だとも思いました(個人的には、特に今作のチープなCGによるアクションをアクションとして受容可能なのは、実はオリジナルの直撃世代よりはもう少し我々の世代寄り=平成・2000年代のテレビ特撮に少しでも親しんだ世代…なのではねーかと思いましたね)。私は素直に、この映画を存分に楽しめたという自分の境遇を神に感謝したいと思います。面白い映画でした。  とは言え、一言だけ言っておきたいとしたら、この映画って(立派な原作が別に在るにも関わらず)本質的な中身ってまたほぼほぼ旧『エヴァンゲリオン』と同じじゃなかったですか?(+細かい演出のコンセプトとかだってそーだし)でも、演出手法とかの「外観・見て呉れ」或いは「好きな=またやりたい」展開の運び方とかに関しては、私も別にセルフオマージュだって全然好いじゃんか、とも思うのです。ただ、例えソレが自身の最大の信念・価値観であったにせよ(そしてソレばっかり描く=貫くとゆーコトにも確かに大きな価値が在るモノだとは思えども)も~アレから30年にもなるのですよね?個人的には、ならばソレ=その「中身」は多少は変化している・してゆくべきではねーのか、とも(少しダケ)思ったりはしましたですかね(⇒ある意味、シンプルに「人」として)。  ※コレはいよいよ、私もエヴァの新劇場版を観ないといけないのでしょーかね。。事前情報を入れる位なら、直接全部観た方が好いと思うので。。  ※プラス、以下余談: 今作の採点に関しては、個人的に少し外的な要因とゆーのがあって、第一に件の『シン・ウルトラマン』よりはコッチの方を上にしたいと思ったのですね。全体的にはごく似通った質感+諸々のクオリティだとも思ったのですケド、まず(先ほど少し腐したとは言え)テーマ的な部分で今作の方がより共感可能だったコト、あと全体的なテンポも今作の方が好みに近かったコト、が理由です。しかし、実は『シン・ウルトラマン』はその直前に観た『ULTRAMAN』に(本来は5点相当なのに)心情的に6点を付けるしかなくて、だから『シン・ウルトラマン』は(本来は6点相当なのに)7点になってしまって居て、んで今作はそれ故に(前述どおり)8点とするしかなかった…のですよね。従っての結論、今作は「7点寄りの」8点という評価としてご理解頂ければ…と思います(ソレでも、個人的にも良作の範疇であるコトには変わりはねーです)。宜しくお願い致します。
[映画館(邦画)] 8点(2023-03-26 15:00:39)
8.  シラノ・ド・ベルジュラック(1990) 《ネタバレ》 
いや、シンプルに面白かったすね~テーマ自体、シンプル…とゆーか非常に普遍的な話だとは思うのですよ。「外見」か「中身」か、どちらもある程度は自分でコントロール出来るモノか、とも思いますが、例えコレが現代であってもやはり(自分の努力では)どーにもならないレベルの領域とゆーのはいずれにも存在するとは思うのですね(=だからソコで藻掻く彼等には、誰でも一定の共感は出来るのかなと)。  そして今作が素晴らしいのはコレもシンプルに、その「外見はカッコ悪いケド中身はカッコ好い」という(ちと考えればそんなに簡単でもない演技の仕事を)ジェラール・ドパルデューが極めて高いレベルで実現・体現しているコトそのものだと思うのですね。ソコまでも十分に面白かったですが、オーラスの彼の演技には完全に観入ってしまいました(この部分と、重ねて全体通してもお話の組立て・個々の演劇的演出といったシナリオの出来が今なお十二分に優れているモノだってのも確かかと)。いわゆる現時点の「決定版」というヤツなのではないでしょーか。是非。
[DVD(字幕)] 8点(2022-10-27 11:02:36)
9.  驟雨 《ネタバレ》 
あまり広く観られている映画でもないのかも知れないのですケド、今作ってマジでスゲー面白いのですよね(大昔にたまたま観れた時にもチョー意外だったのですケドね)。でも、コレが何故にこんなに面白いのか?てのは正直言って私にも好くは分からないのですわ。そもそも、雨が降ったら旦那を駅まで迎えに行く貞淑な細君にせよ、七面倒臭いご近所付合いにせよ、少なくとも往年の世代にとってさえソレはもはやノスタルジイと化しているのでしょうし、我々世代にとってはソレはもうファンタジーでしかないのでして。しかしながら重ねて、とにかく全編メチャクチャ面白いですし(私なんか)終盤はもうゲタゲタ笑って観てましたのですね(何年振りかの再見でさえ)。皆さんも機会があれば是非。  多分に時代的な要素を含みつつも、決して全く普遍性の備わらない映画ではないとも思いますが、少しだけ気になっているのは(前述どおりの)今作の捉え方についての世代間差異だとか、或いはコレって海外の視聴者には「刺さる」のかなあ…なんてコトですね。国内でももうチョイ観易くなるとイイな…と思いますし(DVDのレンタル取扱いは未だになさそうだし)、なんならカンヌクラシックスとかで上映されたら尚イイな…なんて思ったりも。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-03-06 00:09:23)
10.  資金源強奪 《ネタバレ》 
3億円の奪い合い!というフォーマットはワリと好くあるシンプルなモノかとも思うのですが、異常なまでに状況・敵味方がコロコロと切り替わる、その意味では結構ややっこしい話に見えなくもないよーな気もします。しかし、意外なホドに全然分かり難さとかは感じませんし、と言うか根源的にはやっぱ非常に単純な「誰も信じられない」というダケのお話で、不自然さも殆ど無くむしろ「然もありなん」と実に納得してスンナリと観てゆけるのですね。その上で、やはりこんなに凄まじく諸々のテンポが好い(好すぎる)映画とゆーのも他にあまり見当たらねーなというレベルでもあって、その面からは至上に爽快・痛快な超優良娯楽作でした。地味に凄いですねコレ。  北大路欣也が善すぎず悪すぎず、かつ軽すぎず重すぎずで好かったですね(ガタイはちょい身軽めではありますが、ソレで最終的に梅宮辰夫と張り合うとゆーのも好いバランスだったと思います)。邦画では今やちょっと役者が見当たらないですが、海外・アジア(韓国)とかでリメイクとかしてくれたりしないかな、と思ったりしますね。
[DVD(邦画)] 8点(2021-11-05 22:42:01)
11.  しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス 《ネタバレ》 
ともすれば、非常に「前時代的」とも見えかねない夫婦・男女の在り方だとも思われるのですよ。いわゆる自由選択的な恋愛というモノではなくて、二人ともそうしなければ生きられなかった、という中で辿り着いたカタチなのは確かでしょうし。ただ、生きていくために二人連れ添う、というその関係が次第に真実味を帯びてゆくのも好く分かりましたし、ソレは(あくまで今作においては添え物として描かれる)モードの画家としての立居振舞いも同様に見えて、ただ「一緒に生きていきたいから一緒に居る」或いはただ「描きたいから描く」というどちらも非常に本質的なモノに感じられ、まただからこそ非常に尊いモノにも思われました。静かですが、実に芯を食った話だと思いましたね。良作以上かと。
[インターネット(字幕)] 8点(2021-10-27 22:12:42)(良:1票)
12.  JUNK HEAD 《ネタバレ》 
正直、コレは凄いですよ。アンビリーバボーですよ。「大したもんだなあ」というか(暢気)、しかし人間の可能性は無限だ、とも思いましたね。もちろん、その果てしない努力がこうして実を結ぶというコトを如何にして最初に「信じる」コトが出来るか、というコトだとも思うのですけど。やはり、人生を賭けるに値するのはひとつ、夢だけなのかも知れない、と思いました。  内容については敢えて触れませんが、諸々のクオリティは保証できるものです。一点だけ注意するとしたら、今作は三部作の一作目としてつくられているので単体の映画として完結しているものではない、ということだけ、鑑賞前に頭に入れておいた方が好いかと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2021-04-13 23:28:44)
13.  ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 
確かに、ともすればアレなオチだと思います。ただ、一生彼女を背負い続けることが出来るのか、という現実に直面したときに、誰しもが十分に強くなれるという訳ではないのも事実でしょう(少なくとも私自身は、同じ状況でその決断は出来ないと思います)。その意味では私はこのラスト、自分の無力さに涙する主人公にはその面からは大いに共感できましたし、それを許容したジョゼの優しさ・強さにも深く感じ入りました。人間というものの描き方として、私はここはかなり好きですね。そしてこの恋愛は、決してふたりにとって無意味なものであった訳ではないのです。その直後にジョゼの変化・成長を感じさせるシーンを持ってきてそれでジ・エンド、という流れも巧みであり、また適切だったと思います。そこは、アレなオチを演出・演技のテクニックで巧く乗り切った、という感じだといつ観ても思いますね。  色々と変わりダネな映画だと思いますが、この映画で一番変わっているのはやはりヒロインでしょうか。見た目や喋り方、性格も含めて、パッと見はどーにも魅力的には見えないのですが、じーっと観ていると次第に魅力が滲み出てくるというか、そこら辺の表現も奥ゆかしく、また巧みだったと思います。その大部分を担っていた池脇千鶴は、やはり凄い女優だと思いますね。
[DVD(邦画)] 8点(2020-12-29 17:44:46)(良:1票)
14.  静かな雨 《ネタバレ》 
『四月の永い夢』と少し似た様なテーマかも知れない。より正確に言うなれば『静かな「永い」雨(と月)』とでも言うか。  ただ主人公の生活は、孤独な研究生活にせよ一転してこよみと共に生きる「進まない時の中」にせよ、思いがけず平穏でありつつも(それは主人公あるいはこよみの障碍がある中でも、という意味で)しかしその裏に確実に絶望を宿すという点では、あくまで静かな(しかし決して止まぬ)雨、なのだろうと思う。大事なのは、そこに差し込む月の光、つまりほんのささやかであっても、それでもそこに確かな「希望」というものがあるということなのだろう。でもそれはあまりに頼りなく、か細い幸福。それを噛締める様な2人を描き出すラストは、グッドエンドと言えるのか、それともそうではないのか。観ている私も哀しいのか、それとも違うのか、不思議な感覚とでも言うか。  比較的「言葉」の力を活用して肝心なトコロを描く監督だと思っていたが(流石「詩人」と)、今作では「音楽で語る」方向に少しシフトしていた様にも思われる(それだけ音楽の出来が好かったということだとも)。これまた非常に繊細で、かつ万人受けする(みんながしっくり来る)様な作品でもないかと思われるが、あくまで個人的にはとても好き。
[インターネット(邦画)] 8点(2020-12-25 23:48:56)
15.  娼年 《ネタバレ》 
人の生業は須く、人の欲望の海の中を自らの才覚と度量で泳ぎ抜くことなのであって、だから職業に貴賤は無い筈だと信じている。所謂「究極のおもてなし」たる仕事を通じて、主人公は実にポジティブに人間というものについての理解を深めていく。その意味では、本作はわりかし単純な若者の成長物語だと思うのだが、率直にその面の出来はよく言って普通程度で、どうしても本作、その「仕事」の場面の表現の出来の良さと内容の高度さの方に意識が奪われていってしまう様に思われる(勿体ぶらずに言えば、一般映画としては異例なまでに、エロくて変態でかつ生々しいということですね)。  特に松坂桃李のその面での演技の迫真ぶりは出色で、素直に頑張った!と最大の賛辞を贈りたい。女優陣も、総じてかなり頑張っていると言えるが、120%な桃李くんに比べると、これも総じて最後の一葉の恥じらいが感じられなくもない(それが良いのかも知れないが)。とは言え、本作はエロに関しては個人的には文句の付け様など無く、素直に満点を差し上げたい。桃李くんと西岡徳馬の「タイミング」がドンピシャだったシーンなどは思わず手を叩いてしまった程である(飛びも飛んだり)。  もう一人、その道を極めた到達者の風格を漂わせる江波杏子も実に凄まじかった。奥ゆかしくも一方で何とも妖艶なその「絶頂」は、女優陣の中で一番真に迫っていたと思う。この映画が遺作というのは、ある意味実に格好好い(否、格好好過ぎる、のかも知れない)。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-06-01 23:48:10)
16.  処刑山 ナチゾンビVSソビエトゾンビ 《ネタバレ》 
冒頭に「前作のおさらい」が十分にあるものの、非常に直接的な続編なので、出来れば前作観了後の鑑賞をお勧めする(まあ、おさらいが結構チャンとしてるので、あんまし気にしなくても良いけど)。  スプラッタの大盤振舞いぶりは引き続き(今作では、無辜の一般市民を女子供もろともに出てくる端から虐殺しまくっており、インモラル度は前作以上かも)、しかも本作はそこに加えてコメディ面とアクション面で大幅な進化が見られ、アメリカン・ド素人・ゾンビ討伐隊だのスーパー暢気地元警察だののキャラが多数追加でとても楽しいコメディ面も然ることながら、終盤のナチゾンビVS赤軍ゾンビの大乱闘をはじめとする格闘アクションも分量タップリ、終いには戦車まで動員して大砲ブッ放しまくって爆発しまくる展開も含め、正に素晴らしきB級娯楽ホラーの力作と言ってよい仕上がり(ここまで来ると、エロがほぼ無いのが少しだけ残念)。色々と結構にムチャな設定・展開も多いのだが、テンポ良くコンパクトに纏めて勢いで最後まで乗り切れており、あまり気にせず楽しめると思う(まあ、気にした方が負けなジャンルだとは思うが)。  正直、この類いの映画としては最高レベルに出来が良く、これが5年以上も配給されなかったのはハッキリ言って謎(個人的には『ブレインデッド』とすら比較し得るレベル)。B級コメディホラーとしては超オススメ。
[映画館(字幕)] 8点(2020-02-10 00:03:39)(良:1票)
17.  ジョジョ・ラビット 《ネタバレ》 
コミカルな側面を前面に出した宣伝がされていた様に思うが、コミカル要素が無くてもヒューマンドラマとして完全に成立する話の内容である。むしろ本作のコミカル描写は全て、戦争の狂気を具現化するものとして描かれている(ホロコーストをはじめ、子供までを体制賛美と殺戮に駆り立てていることそのものが笑えない喜劇だという)。本作が真に描き出さんとするものはもっと静かで、真摯だ。その意味では普通に結構マジメな戦争系ヒューマンドラマだった。  ただ、こういった重い題材をテーマにしながらも、生活感や種々の生々しさを極力排除&状況設定も単純化・抽象化したどこか寓話的な雰囲気に、表面上のコミカル要素を足し込んで、子役の無邪気さ・可愛さをミックスして練り上げた作品全体の空気は、実にポップで何とも楽しいのだ。それはきっと、本当に伝えたいものを(例えば子供にも)苦しむことなくすんなりと飲み込んでもらうためのオブラートのようなものなのではないかと思う。その意味ではとてもポジティブなアプローチだなと率直に感じた。  そして、そうは言ってもこの題材の映画を現代的でコミカルでポップ、かつテーマはマジメに仕上げるなど、常人に可能なワザとは思えない実に卓越した仕事だと言って間違いは無いだろう。そもそも、ホロコーストを描いた映画をビートルズで始めてボウイで終わるって、音楽感覚ヤバいでしょ。やはりこの監督には、底無しのセンスを感じる。
[映画館(字幕)] 8点(2020-01-18 01:34:24)(良:2票)
18.  シンデレラ(2015) 《ネタバレ》 
内容はみんなの知ってる童話そのまんまなのだが、矢鱈と気合入れて製作されており(金の掛け方がエグい)、特にCGの出来なんかは実に素晴らしくてとってもファンタジックな映像世界が目の前に広がる。個人的にこんなの実写化する意義があるのか非常に疑念があったのだが、これは一本取られたと言う感じ。その上に、大人の鑑賞にも耐えるべく様々な工夫(随所で演出がややビターだったり複雑だったりグッとくるハートフルだったり)が添加されており、クオリティは単なる子供向け映画のレベルには無い。  敢えて難癖を付けるなら、元ネタアニメのミュージカル要素がどっか行っちゃった点か(代わりにヘレナ・ボナム=カーターが妙にハイテンション)。あとシンデレラは眉毛太過ぎな気がする(可愛いけど)。ただ王子が超イケメンだし、ケイト・ブランシェットを筆頭に脇役陣の演技もかなり良いし、爽やかなハートフル面も含めて実は非常にオススメ。流石のディズニー。
[インターネット(字幕)] 8点(2019-12-14 11:54:06)(良:1票)
19.  女王陛下のお気に入り 《ネタバレ》 
ブリティッシュ・ロイヤル・ドロドロ愛憎劇(女だらけの三角関係)。狡知全開で下劣極まりないエマ・ストーンも新鮮・鮮烈で良いのだが(若い頃から妙に目が「据わって」るから猶更凄みが有る)、女王らしい尊大さ・浮世離れ感を十二分に漂わせつつも、絶望と孤独に塗れた「魂が冷め切った様な」悲哀を醸し出すオリヴィア・コールマンが極めて秀逸で絶品。また、豪奢で薄暗いセット面も良い雰囲気(蝋燭の暗い照明が印象的)。ただ、若干暢気なタイトルに比して結構なドロドロ具合で、一部相当にドギツイ描写もあるのは一般向けには注意(流石の変態ランティモス)。
[映画館(字幕)] 8点(2019-12-07 17:38:11)
20.  地獄の血みどろマッスルビルダー<OV> 《ネタバレ》 
自主製作で15年掛けて2009年に完成…とゆーコトで、それでも俳優を使った主要部分の撮影は90年代中盤~2000年代初頭までで終わった⇒そこから延々編集等してた…て事情のよーです。画質が超・荒いコトを脇に置けば、確かに登場人物の感じ(ファッションとか)的にも90年代っぽい質感ではありますし、ホラー的にもそれこそ、まず全体として『死霊のはらわた』に非常に似通ってて、後は『死霊のしたたり』『ブレインデッド』とかこの頃のドイツの(キ○ガイ)連中、とかの質感にもかなり近いモノ・描写の似ているトコロを感じ取れますかね。加えて自主製作ってコトで、個人的には『鉄男』みたいな味わいもまま高度に感じられたかと思います。  重ねて、ホラーとしては90年代スプラッタのごくコッテコテなヤツ…を志向してる作品だと思うのですが、まず最初にあくまでB級としては、全く全然好く出来ている・完成度の高いジャンルホラーだと思いましたよね。モチロン「B級として」ってコトで画質をはじめそこら中の「安っぽさ」には目を瞑るとしても、構成や全体のテンポ・スプラッタの分量+過激さ・(コミカルに振った)オチの付け方、なんかからは、先に述べた完成度や纏まりに加えて監督の「信念・美学」といったモノまでごくしっかりと感じ取れたと言いますかね。やはり何より「こう撮りたくて=こーいうのが好きだから」こう撮っている、とゆーのが実にヴィヴィッドに伝わって来る、そのコト自体が大きくまず一つ、そしてそれに(個人的に結構に)共感できてしまう…とゆーのが二つ目として、それ自体はある意味「(B級)映画鑑賞」とかって次元に無い別の行為の齎す快感ではなかったか、と思ってしまいました。最近だとそれこそ『JUNK HEAD』を観た時に得た感動にも非常に近いな…と。  再度、ホラー好きにならば全力でオススメ出来る作品だと思いますので、お暇なら是非。プラス、私の観た完全版(2012年に監督が微修正を施したバージョン)のレンタルDVDだとオマケで監督のインタビューが収録されてるのですが、この短い10分強の内容がま~た非常に面白かったのですよね。こちらも是非、併せてご覧いただければと思います(正直、ココで1点アップしてます)。
[DVD(邦画)] 7点(2024-03-01 14:27:51)
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