1. ターンレフト ターンライト
《ネタバレ》 物語の主役である男女が最後の最後で出会うとか、運命や偶然をテーマにした恋愛物は幾つかあるけど、ここまで両者がニアミスしまくる映画は初めて観ました。原作は絵本なんですか、一体どんな絵本なんでしょう…。観ていてここまで鈍感なカップルが世界にいるのか?と思える程の壮絶なすれ違い、そのすれ違いが切なくも面白いです。脚本のテンポが良いんでしょうね。離れ離れになった二人の関係の繋がりを電話や紙切れ、または赤ちゃんや犬などの存在を使って表したりと映画的でユニーク!最後の見事再会を果たした後も、二人の“その後”を簡潔にワンシーンで描いているところに好感が持てます。日本でもこれくらい勢いのあるラブストーリーを作って欲しいですね。ただ一つ気になったのがこの映画のもう一つの主役である邪魔者カップルの存在、キャラクターは面白いけど結局彼らは成長しなくて良いのか…?と思ってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-03-16 18:16:43)(良:1票) |
2. 第七のヴェール
《ネタバレ》 おいおいジェームズ・メイソン、ロリータでまだ懲りてないのかよ…と思ってしまいます。実際はあの作品から15年以上も前の作品なんですね。1945年と言えばヒッチコックが傑作「白い恐怖」を世に生み出し、ビリー・ワイルダーが「失われた週末」でアカデミー賞を受賞した年ですが、いずれの作品も登場人物の心理描写を売りにしているのに対して、この「第七のヴェール」はそれらの作品と比べるとややインパクトが弱いように思えます。冒頭のスリリングな導入シーンは勢いがあって良かったのですが、その後のドラマ部分はやけに単調さが目立つし、ラストのオチに至っては肩透かしな感が否めません。とは言え主演のアン・トッドの異様な美しさ、そして現実から記憶の世界へとオーバーラップしていくところの手法の巧みさなど、ミステリアスで見事な雰囲気を創り上げています。そもそも巨匠たちの作品と比較すること自体が酷な訳で(お前が言うなよ!)、普通の映画として観ればなかなかだと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-12-26 19:13:44) |
3. 堕天使のパスポート
《ネタバレ》 自分は移民でも不法入国者でもないので(当たり前だ)、ちょっと主人公たちの気持ちに理解し難いところもあったけど、実際にこういう臓器売買等の実態があるのかもしれないと思うと遣り切れない気持ちになります。普段我々が何気なく日常の中で感じている"自由"、その自由への代償を支払わなければならないという現実が存在する事実。最後に彼らが取った行動は決して正当化できるものではないですが、純粋に愛する者を救う為だという理由で素直に納得できました。事実スカッとしたし。それからオドレイ・トトゥはやっぱり才能ある役者さんですね。「アメリ」や「愛してる、愛してない…」でのブッ飛んだ役柄から、こういうシリアスな役までこなせるとは。これからも一歩一歩着実に俳優としてのキャリアを積み重ねていって欲しいです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-11-11 17:12:38) |
4. 卵の番人
《ネタバレ》 これだから卵と関わるとロクなことがないんだよ…、「ファニーゲーム」然り「ハリー、見知らぬ友人」然り。まず冒頭の五分間がデジャブの連続、ここで一回も欠伸をしなかったら勲章を差し上げます(笑)。この監督の作品は先に「キッチン・ストーリー」を観ていたのですが、全くこれっぽっちも作風が変わっていないことに驚きました。これがノルウェー流のジョークなのでしょうか。特にしつこいぐらいのトイレのシーンは笑いました。月面着陸の実況と画面の映像がシンクロするところは、確かジャック・タチの映画でもやっていたような。相変わらずこの人の作品は自分一人で部屋に閉じこもって、ゆったりとコーヒーでも飲みながら観たいです。そんな味わいのある映画です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-10-19 18:16:57) |
5. 大地
《ネタバレ》 う~ん、プドフキンの二の舞…(泣)。昔のソ連映画って個々のショットは文句無く素晴らしいのですが、その反面ストーリーが結構チグハグで観ていてどうしても途中で集中力が途切れてしまいます。本作も例外ではありません(あくまで主観なのですが)。ただ先程も言ったようにウクライナの広大な土地の映像、果てしなく広がる青い空、風に靡く大草原、辺り一面に咲き渡るひまわりの花々と、自然風景の描写は美の頂点を極めています。特にトラクターによる稲の刈り込み作業のシークエンスは、もはや一大叙事詩と化しています(笑)。スポークンタイトルの反復表示、役者の鬼気迫る表情、クライマックスは観ているこちらが押し潰されそうになるくらいの圧倒的なパワーに満ち溢れています。雨上がりの後の宝石の如く輝きを放つ林檎のように、後世に伝えていくべきロシア映画が産んだ遺産です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-27 23:53:54) |
6. ダーク・スター
《ネタバレ》 いや~ショボいショボいとか言いつつも、これがなかなかどうして結構よく出来ている。まさか人間と爆弾が現象論についてディスカッションする映画なんて世界中で探してもこれ一つでしょう。ビーチボールもしくはゴムボールにしか見えないエイリアンにおちょくられて、マジ切れしている乗組員の姿も笑える。最後はサーファー姿のあまりのカッコ良さに泣けてくる(うぅ…)。 [DVD(字幕)] 7点(2005-07-10 13:15:36)(笑:1票) |
7. 太陽は、ぼくの瞳
《ネタバレ》 素晴らしい、ここまで素朴で美しい感性を持った監督がいるなんて。日本人も見習うべし!問題はお金じゃないでしょうに。手で物を見て、音で世界を感じる。「雛か」と気付いた時にはもう既に上手いなぁと思わされている。「世の中は不公平だ」なんて言っている場合じゃありません、この映画を観て久しぶりに神様を信じたくなりました(先生良いこと言うなぁ)。それにしてもこの監督って前作『運動靴と赤い金魚』と言い、クライマックスにハリウッド映画顔負けの一大スペクタクルを持ってくるのが好きみたいですね。スローモーションの多用により緊張感が引き立ちます。内容的には同国の監督マフマルバフの『サイレンス』と被りますが、個人的には断然こちらの方が好みです。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-06-06 19:35:35) |
8. 旅芸人の記録
『霧の中の風景』は素直に素晴らしい!と思ったのですが、これはいくら何でも退屈すぎです。一種の回顧録として、こういう激動の時代を歩んできた人たちにとっては「分かる分かる」ということになるのでしょうが、如何せん無知な自分には難解すぎました。終始感動とは違う意味で大量の涙が溢れ出してきます。ただ観ていて長回しということを忘れさせるほどの長回し映像は素晴らしい。結局感想は「ヤクセンボーレ!」ということで。ただ単に自分の馬鹿さ加減を露呈しているだけのような気がしますが、4時間もの時間を費やしたからには何かしらレビューを書きたいのです(わがまま?)。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2005-05-29 11:22:51)(笑:1票) |
9. 対話の可能性
《ネタバレ》 トレビアン!(笑)こういうアイディアを思い付いて、それをそのまま映像化できてしまうところがヤン・シュヴァンクマイエルという人の非凡なセンスを物語っていると思います。様々なパーツで作られた人の顔が相手を飲み込んではまた吐き出すという、反復動作と機械的な動きが印象的な「永遠の対話」。「情熱的な対話」は男女間の痴話喧嘩を見ているようで面白い。いつまで経ってもお互いの話が噛み合わない「不毛な対話」は日常でもよく見かけるような気がします。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-05-20 22:46:41) |
10. 第七天国(1927)
決して華やかだから天国なのではない、心が豊かだからこそ天国なのだ。 7点(2005-03-04 17:53:37)(良:1票) |
11. ダンス・ウィズ・ウルブズ
ケビン・コスナーが余りにもおめでた過ぎて最後まで馴染めなかった。お人好し過ぎるインディアンたちもどうかと思うが…。ただダイナミックな映像には圧倒された、これは是が非でも劇場のスクリーンで観たかったですねぇ。ちなみに今回観たのは4時間のバージョンの方ですが、個人的に全く長いとは思いませんでした。 6点(2005-01-29 22:31:56) |
12. 探偵[スルース](1972)
いつ面白くなるんだろう、と辛抱強く待っていたらそのまま終わってしまったという感じ。世間では傑作の誉れ高い作品のようですが、僕には合いませんでした。まず思っていたほどコメディではなくそれほど笑えない。いくらゲームとは言えお互いにやっていることは度を越えているので、どんでん返しによる痛快!というよりも観ていてただ不快感だけが残りました。それでもローレンス・オリヴィエとマイケル・ケインの心理戦を見られただけでもこの映画を観た価値はあると思うし、もともとが舞台劇というだけあって凝りに凝ったセットや小道具は必見です。不気味な笑い人形から、ピエロに扮装したマイロが梯子を登るシーンは絵的にもユニークでした。それにしても「スルース」ってそういう意味ですか・・・、どうやら僕は初めからこの映画の見方を間違えていたようです(汗)。 5点(2004-08-26 21:56:35) |
13. 第十七番
《ネタバレ》 もともとは舞台劇の映画化らしいのですが、ほとんど小男のコントになっちゃっています。通過する電車の雑音と死体の映像がシンクロするところや、手の影がドアノブに迫るシーンなど。時折「おぉ!」と思わせられる場面も多い。でも単純な話ながらも観ていてけっこう混乱してしまいましたよ。「あれ、この人さっきの人じゃん」とか「いつの間にか登場人物増えてる?」みたいな感じで・・・。クライマックスの暴走列車はモロに模型なんだけど、それなりに迫力感があって良かったです。 5点(2004-05-15 09:59:30) |
14. タイムマイン
《ネタバレ》 アインシュタインの相対性理論もびっくり~!ていうかまさかこれほどまでにショボい映画だったとは・・・。あれだけやっておいて最後まだ懲りてないのかよ、主人公。もう勝手にしてくれ。 4点(2004-04-20 17:54:46) |
15. たそがれ清兵衛
普段は時代劇なんて全く観ないのですが・・・、観るとしても黒澤明の時代劇ぐらいですかね。この映画はとても良かったです。ただ人生を平凡に生きたかった一人の男、たそがれ清兵衛。彼の生き様は全てにおいて誠実であり、また悲哀の人生でもあった・・・。監督の自己満足的作品が量産される今の邦画界において、こういう映画の存在は実に貴重なものだと僕は思います。山田洋次監督の次回作「隠し剣 鬼の爪」、いくら時代劇に乏しい僕でもこれを観たら絶対に期待せずにはいらない作品だ。今から公開が素直に楽しみです。 8点(2004-03-06 00:37:56) |