1. 大草原の渡り鳥
《ネタバレ》 アキラが流れ着く→ヒロインルリ子と会う→ジョーとこぜりあう(ジョーは鼻っ柱を折られる「あいつやるじゃねーか」)→信雄が暗躍する(ジョーはしぶしぶ協力する)→ヒロインの危機・アキラが立ち向かうが多勢に無勢→ジョーが助太刀をする→信雄無様な最期を遂げる→アキラ(ヒロインと結ばれず)去って行く。ネタバレも何も、「渡り鳥」はだいたいこれで説明ができる。「アキラの法則」だ。ギターを抱え歌いながら敵中におりてくる、が周りは歌を聴いているだけで襲い掛かろうとしない(小林信彦氏もあげておられる)これも「アキラの法則」だ。斎藤監督自身は「ギターを持った渡り鳥」「口笛が流れる港町」をフェイバレットにしておられるが、世評がなぜ故この作品がシリーズの最高傑作、としているかといえばそれは俳優小林旭の持つ「スケールの大きさ」をフィルムに焼き付けた最良の作品だからという事を断言してしまおう。 後年大滝詠一+阿久悠の「熱き心に」で示された「日本離れのした風景+現実離れのした浪漫」のモチーフが、この作品には表れている。アキラには大草原と陰がよく似合う。そこが海と太陽が似合った裕次郎との大きな違いだろう。偉大なるワンパターン、だから素晴らしい。大スクリーンで見てみたい一本。 [ビデオ(邦画)] 7点(2013-07-04 19:29:07) |
2. 旅芸人の記録
《ネタバレ》 この映画をスクリーンで観る事ができて本当に良かった。ラストショットで誰もが感じる徒労感の意味がビデオ鑑賞とスクリーンのそれではまるで違うから。観客席で自分は旅芸人一座と一緒になって激動の時代を生き抜いてきた、新しい世代に「命のバトン」を受け継ぐ事ができた、生きてて良かった!という感覚がわき出てきた。最初と最後のシチュエーションは同じだが、ラストの彼らは疲労困憊(これは映画館の観客もまたしかり)ではあるが明日への希望が見えた素晴らしい名場面ではないか。ギリシャ神話とその歴史に詳しければなお一層良さがわかったのに、と後悔の念を持ちつつこの点数にする。追記/監督アンゲロプロスはこの映画デビュー作から一貫して国家や宗教、人種を越えた人間の存在意義やそういった人々の真の拠り所が何なのか探求し続けた映像作家であったと思う。そんな彼の作品をもうスクリーンで観る事ができないのが残念だ。ご冥福をお祈りします。 [映画館(字幕)] 9点(2012-02-05 15:23:57) |
3. 大脱走
《ネタバレ》 E・バーンスタインのテーマ曲から始まる、これはまさに「大人の鬼ごっこ」映画。「絶対脱出不可能な~」という刑務所か!?とも言いたくなるのもわかるが、そんな事をも吹っ飛ばしてくれる痛快・爽快・楽しさに溢れている。もちろん俳優達の豪華さもさることながら、映画としての魅力の一つである印象的なショット=例えば飛行機から抜け出たプレザンスが見つめる国境近くの風景若しくはコバーンが入っていくスペインの山のショット、ビッグXチームが銃殺される処など監督スタージェスがうまくやっている事も忘れてはならない。まあTVで映画館でソフトで何回観たことか。それでも全く飽きないのはこの映画が多分大人になってしまった映画ファンにとっての「童心回帰」、「わくわく感」を高揚させられるからでしょう。吹き替え版も素晴らしい。マックィーン=宮部昭夫、ガーナー=家弓家正、ブロンソン=大塚周夫、コバーン=小林清志。ああうっとり。願わくばスクリーンで吹き替え版、観てぇ~!(私が好きなのは「運が良かった」だけで脱走に成功したコバーン=セジウィック。マックィーンのオートバイ・ガーナー+プレザンスの飛行機に比べ自転車とは!) [映画館(字幕)] 10点(2008-08-23 00:17:40)(良:1票) |
4. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 P・ハイスミスの原作のテーマが「自己の喪失」であるのでどちらかといえばリメイク版の「リプリー」の方が原作に近いしマット・デイモンの方が「才人トム・リプレイ」なのだろうと思う。だが作品を流れるそこはかとない哀愁(ニーノ・ロータのメロディ!)そして主演のドロンの名演によってこの作品はサスペンス映画のエバーグリーンとなった。はっきり言ってドロンは好きな俳優ではないのだがここではその「下種な」雰囲気が見事に「背伸びをした成り上がり感」をかもし出していて絶品。ここではヒロイン、マリー・ラフォレはおまけ。モーリス・ロネの方がよっぽど不思議な色気を出している。ヌーヴェル・バーグの若手監督達にさんざん虚仮にされたルネ・クレマンの怒りの一本! [映画館(字幕)] 9点(2008-01-27 21:26:36) |
5. 大地の子守歌
《ネタバレ》 これは監督増村最後の名作でしょう。13歳の少女が一緒に暮らしていた祖母の死を境に無理やり売春宿に連れて行かれその過酷な労働の結果盲目になる。そんな悲惨な境遇にもかかわらず彼女は必死で生きていく。極端な事を言えば彼はこれで燃え尽き、後はこの映画の搾りかすのような作品(TVシリーズや映画)の演出・脚本をし続けて人生に幕を閉じたと考えています。同年「青春の殺人者」で強烈な印象を残したヒロイン原田美枝子に対してとことん過酷な事を強いておきながらそこから生まれる強靭な「芯」を持つ女性の美しさを引き出してみせた、これは昔若尾文子(様)や渥美マリに対して行った演出行為と変わりません。演出等にくどさも感じられますがラストに至るまで見ごたえは充分。DVD、まだ出ませんねぇ。「でんきくらげ」「しびれくらげ」は出るみたいですが。 [ビデオ(邦画)] 8点(2007-12-09 20:56:09) |
6. ダイナマイトどんどん
男は傍から見て実にくだらない事でも何故だか力を込めて突き進むもの。男には女性以上にメルヘンな部分があること。時に童心を発散しないと駄目な事。確かにだれるっちゃぁ、だれるが良いではないか。喜八映画の「男」ってなぁどうしてこうもワクワクさせるのだろうか。ニンキョー! [映画館(邦画)] 6点(2007-12-06 21:48:19) |
7. ターミネーター
《ネタバレ》 改めて振り返ると「現代で命を失った未来人の子供が生まれる(ややこしい)」という設定はありえないのではないか、と考えてしまったがそんな詮索を無意味にしてしまうほど力の溢れた一本。何よりもこの映画は悪役ターミネーターの存在感もさることながらヒロインであるサラ・コナーの成長譚として見るべき。彼女を導く未来の戦士カイル(マイケル・ビーン好演)も良い。そして最後に強調したいのだが骨になったターミネーターのストップモーション撮影!CGに見慣れた人には苦笑ものかもしれないがカクカクだから良いのだ!これにより一点追加。 [映画館(字幕)] 7点(2007-09-09 14:28:45)(良:1票) |
8. ターミネーター2
良くも悪くもこの映画と「ジュラシック・パーク」がCGの映像効果を世間に強く知らしめる一本となったのかなぁという気がする。確かにJ・キャメロンの畳み掛けるようなアクションシーンは圧巻でその後に続く「団栗の背比べ」的作品群に比べれば映画としては楽しい。ただこの映画のポイントは母親であるサラと息子カイルの成長譚であるべきで一作目に感じた「未来からの戦士カイルの志の継承」という部分で話が薄っぺらくなってしまい説得力に欠けるというのが正直な感想。 [映画館(字幕)] 5点(2007-09-09 14:17:07) |
9. ダンシング・ヒーロー
《ネタバレ》 「ミュージカル・スター」というのは全身を映されてナンボだというのに、足のクロース・アップを映されてはな~んもならん。申し訳ないのですが私はこの一本でこの監督の映画に見切りをつけました。古い人間と、お思いでしょうが。 [映画館(字幕)] 3点(2007-01-22 23:03:58) |
10. 誰かがあなたを愛してる
極私的チョウ・ユンファの最高傑作はまさしくこれ。異国の地で暮らしている寂しさを漂わせつつ、精一杯の明るさで振舞う彼の演技は素晴らしい。また若くしてこの世を去ったダニー・チャン、この後映画界を引退したチェリー・チャンにとってもこの映画は「最高の瞬間をフィルムに残せた」奇跡の一本。 [映画館(字幕)] 10点(2006-06-03 00:26:42)(良:3票) |
11. 大丈夫日記
ハリウッドに渡って以降チョウ・ユンファがさえないのは多分アメリカ人が「男たちの挽歌」シリーズしか見ていないからだ。「風の輝く朝に」「誰かがあなたを愛してる」といった繊細で優しい彼の演技の資質を使わない、というのはもったいない。「寅さんが好き、渥美清と競演したいんだ」と言った彼の発言はリップサービスではなく彼の演技の器で充分対応できただろう。この映画によって彼は喜劇役者としても稀有な才能があるという事を我々に教えてくれる。美女二人も可愛くて好きだがユンファの友人でいつもハラハラしているレイ・チーホンが特に良い(彼自身も「挽歌」で悪役のイメージがつきすぎたのでこの役は大のお気に入りだとか)「大丈夫」というのは中国語では「立派な、男の中の男」というニュアンス。どこがじゃい!とは思うがみんなでベリ~ライシ~ね~。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-04-17 17:12:05)(笑:1票) |
12. ダーティハリー
《ネタバレ》 「暴力刑事(ここではもちろんデカと呼ぶ)物」というジャンルを打ち立てた金字塔。歩道橋に立つイーストウッドが現れる所・夜のスタジアムを俯瞰で捉えたショットに監督ドン・シーゲルのセンスの良さを感じる。山田康雄氏の吹き替えで。 [地上波(吹替)] 9点(2006-04-17 03:48:15) |