1. つぐみ
一つ一つの描写がいちいち観念的で、「これって雰囲気いいでしょ?」という感じで。つまり、登場人物が「生きてない」のです。したがって、どこまで話が進んでも、台本がそのまま進んでいるようにしか見えません。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2023-09-22 01:45:31) |
2. 妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ
《ネタバレ》 導入部から前半での凡庸かつ官僚的な描写に、前作や前々作もこんなに段取りと口先台詞だけでできてたっけ?としばし疑問に浸ってしまったが、最後までそれで行ききってしまったのにびっくりした。例えば、クライマックスになるはずの妻夫木が西村を説得する場面、妻夫木の台詞内容もそれを受けた西村のリアクションも、50年くらい前のテレビドラマレベルそのまんま。というか、それを別の日常場面で画面上表現するのが映画ではないのか。夏川の家出後の家族会議という美味しすぎるはずの場面も、西村と橋爪の新旧頑固親父対決なんてのはいくらでも見たいと思うし、また今作ならではの意味があると思うのだがが、その方向には発展しない。全体の中でコメディを感じさせたのは、風吹ジュンが家政婦の体で登場するくだりくらいでしょうか。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2023-04-04 00:26:48) |
3. 追跡(1947)
《ネタバレ》 ジャンルとしては血筋ドロドロ系というか、家族内(主人公はよそ者)の確執や怨念をじわじわと描き続ける。また、記憶探求系の視点を入れているのは、この年代の、ましてウエスタンでは珍しいのではないかと思う。ただ、肝心の真相自体が、引っ張るだけ引っ張った上で、大したことないのだな・・・(敵役の検事があれだけ主人公をつけ狙う理由も不明)。とはいえ、展開は定番や予想を次々に外してくるので、見ていて楽しめはします。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-10-06 00:41:27) |
4. 翼よ!あれが巴里の灯だ
導入部からずっと思っていたのですが、主演がジェームズ・スチュワートというのが、何とも合ってないんですよね・・・。この人の場合、前提としてその辺のどこにでもいる一般人という枠組みがあって、その人物がずれていったり覚醒したりああだこうだ思い悩んだりというときに本領を発揮すると思うのです。いきなり大西洋を横断してやろうという突出した発想を思いついて、しかもゴリゴリ実行してしまうというある種社会から逸脱した人物というのは、やっぱりきちんと表現できてないんじゃないのかな・・・。ひたすら飛行機のショットを積み重ねる後半は制作側の執念を感じて悪くなかったので、点数はそこに対して。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-06-11 01:18:19) |
5. 追跡者(1998)
《ネタバレ》 スナイプスは孤独な逃亡者にほとんど見えない、逆にダウニーは登場時から怪しさ全開。つまり、作品の前提世界が成立していないのです。それと、あれだけいろいろネタや背景をばらまいておいて、最後にあの病室のシーンだけで全部収束なんて、広げた大風呂敷を何もたたまずに終わってしまった気が・・・。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2018-11-06 00:57:47) |
6. 妻への家路
《ネタバレ》 最初の夫が密かに家に近寄るシークエンスだけで、緊迫感がただごとではないのです。ドア1枚の隔たりという状況をフルに生かした心理の綾の重なり、そして台詞も音楽も排して延々と静寂を引っ張る的確な演出が、震えが来るほどの重量感をもたらしています。また、娘を単なる2人の間の子という存在ではなく、きちんと脇役として絡ませているのが、中盤以降のさらなるドラマを生んでいます(顔を切り取られた写真のくだりの鋭さ!)。そしてラストシーンもやはり、台詞なしの進行が果てしない重量感をもたらしています。欲を言えば、扉の下から差し入れたメモは後半にも何か使い道がなかったかとか、ファンという(謎の?)男の処理ももうちょっと何かあっただろうとかいう気はしますが。 [DVD(字幕)] 8点(2018-07-03 02:11:31) |
7. ツーリスト
デップとアンジーをキャスティングしてしまった時点で失敗。演技の相性は良いように見えないなあと思っていたらまさにその通り。しかもこのクラスになると、何かがごちゃごちゃと起こっていても、あまり危機に見えません。これでもかというくらいのベネチアの風景は視覚的に楽しめましたので、点数はそこに対して。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-09-23 01:54:31) |
8. 月に囚われた男
《ネタバレ》 話の構造は極めてシンプルだし、変に大騒ぎしないからこそ、目の前の危機感がじわじわと染み渡ってくる。無駄なし、無理なし、ムラなしの清冽な作り方が、作品を心に残るものにしている。●主人公の目覚ましの曲がチェズニー・ホークスの"The One And Only"というのは、明らかに狙ってますね。2回もかかってるし。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-07-30 02:16:27) |
9. 冷たい熱帯魚
《ネタバレ》 本当のワルほど、見た目や物腰はワルっぽくはなく、むしろ一般人より腰は低く丁寧である。それによって相手のガードを下げさせるのが、犯罪の第一歩だからである。なので、導入部のでんでんの演技は大正解。ただし、途中からはやたら怒鳴ったり怒ったりするシーンばかりになってしまって、せっかくの設定が生かされていない。●妙子がどうみても描写不足、というか、途中から脚本上ほったらかしにされている。突然の侵入者である村田に対して、その受け取りが(いいように引きずり込まれている夫との対比という観点からみても)どのように変化しているのかを押さえるべきだった。特に、序盤で村田と寝てしまい夫への秘密を抱えるという心理の綾まで設定しているのであれば、なおさら。せっかくの神楽坂恵のバストがもったいない。●途中からの社本の逆襲はいかにも唐突なのですが、それでも、再度の一家の食事のシーンあたりで、今度は前とは一変して妻と娘を人格支配してしまう社本、という終わり方なら最高でした。愛子に対しては、解体だけ言いつけて後は放置、の方が流れとしてむしろ自然と思いますけど。 [DVD(邦画)] 6点(2015-03-23 03:18:36) |
10. ツレがうつになりまして。
作品の根本として、漫画をそのまま映画化したかったのか、そのような漫画を作成するに至った原作者自身が表現の対象なのか、その軸がはっきりしていないのが一番の問題。そして、前者であるとすれば、そういうただの乗っかり的な安直な姿勢は問われるべきであるし、後者であるとすれば、登場人物の内面は何も表現されていない。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-01-25 02:44:51)(良:1票) |
11. 翼は心につけて
30年くらい前には、こんな感じのテレビドラマはたくさんありました。ある日突然主人公に障害や難病が発生し、それでも頑張りました!みたいな。しかしこの作品は、各シーンの置き方も台詞の1つ1つもどこまでも説明的で形式的で、レベルとしてはテレビドラマ以下です。もっとも、石田えりを発掘したという点においては本作には大いなる歴史的意義があるのですが、ここでのド下手な演技には、後の名女優ぶりの欠片も見当たりません。それでも当時の人たちはこれを見た上で彼女をその後も育成しようと思ったわけで、その慧眼ぶりを讃えたい。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2014-12-21 02:47:26) |
12. ツリー・オブ・ライフ
たかが一家族のウダウダを、全宇宙の歴史にも匹敵するほどの一大絵巻だと位置づけてしまえるハッタリぶりと大風呂敷ぶりが、さすがテレンス・マリック。この人には、見る側への配慮のためにどうのこうのというのは一切似合わない。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-11-10 02:34:35) |
13. 劔岳 点の記
《ネタバレ》 山岳映像の数々は撮影の大いなる苦労を想像させるが、肝心の脚本が説明台詞ばかりのグダグダなので、映像としては良くても、映画としてはほとんど機能していない。また、測量や登山をテーマとしていながら、その技術的ディテールや専門知識の部分にまったくふれていないのも問題です。あと、最後にもっともらしく登場する手旗信号ですけど、手旗は1文字1文字の発信に手間がかかるので、文字数を最小限にするのが常識です。本当にやっている人なら、あんな情緒的でダラダラした文面は送りません(そして、本当に送信しているのであれば、あんな高速の読み上げにはなりません)。何でも事実どおりにやるだけが能ではないとは思いますが、肝心のクライマックスのところでこうして露骨に手を抜かれると、さらに醒めてしまうのです。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2014-10-14 00:18:05) |
14. 月夜の宝石
ほのぼのアイドル映画の雰囲気で進行していながら、登場人物ほぼ全員が、やっていることは滅茶苦茶で、論理的一貫性もなければモラルもない。しかも各登場人物が、自分がやっていることに何の疑いもなく堂々と自信満々であるのが凄い。そのうち、アナーキーでパンキッシュな空気すら感じてしまう。さすがフランス。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2014-02-07 00:18:41) |
15. 椿三十郎(2007)
オリジナルも別に好きなわけではないが、それなりの一つの完結した世界であるオリジナルに対して、何をいじったり新解釈をしたりするわけでもなく、そのまんまそのまんまのリメイクというのは、創作行為としての根本を疑われても仕方がないのではないだろうか。その志の低さにおいてすでに評価することはできないし、そのような作品に出させられることによってキャリアに無用のマイナスを残してしまうことになる役者陣が不憫だ。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2013-05-16 00:37:06) |
16. ツォツィ
《ネタバレ》 作品としての構成は単純なのだが、ラストシーンに至るまで余計な要素に浮気せず、原始的な説得力を持たせることに成功している。また、乳をもらった女性宅から主人公が出てきて、カメラが横に動いて別の店内の仲間をキャッチする動きなど、撮り方にもさりげないこだわりが感じられる。一番印象に残ったのは、紙袋を抱えた主人公が土管の野原を訪れるシーンで、ここが作品に一本の芯を通していると思う。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-11-26 01:11:36) |
17. 翼のない天使
シャマランがこんな単純でまともな方向性の作品をつくっていたというのがそもそも驚き。ただし、作品世界の構築力はまだまだであり、ちょっと話が進んだらすぐ息切れしそうになる雰囲気が漂っている。後の作品群の源流みたいなものは感じる。 [DVD(字幕)] 4点(2011-07-28 01:10:00) |
18. 翼に賭ける命
《ネタバレ》 あまりにも設定も進行も都合良すぎというか、それぞれが行動に至るまでの描写がものすごく適当です。結局、最後のこの結論がありきだったのでは? [CS・衛星(字幕)] 3点(2011-02-27 23:18:32) |
19. 追憶の切符
《ネタバレ》 自分が親に捨てられたからといって、レポーターとして取材対象夫婦に絡み出すという初期設定は、かなり強引ではないのかな。なので、切符云々も設定のための設定という気配が漂っているし、途中のところは無理に山村の風景に寄りかかっていないかという気もするが、上品に締めるラストはなかなか良いです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-02-11 00:58:11) |
20. 追想(1956)
話の設定が大きい割に、脚本が舞台劇の域を脱していない。つまり、似たようなシーンがチマチマ繰り返されてしまっている。謁見シーンの緊迫感がなければ、かなり印象の低い作品になっていただろう。ただ、バーグマン以上にずしりとした存在感があるユル・ブリンナーはさすが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-12-03 02:21:14) |