1. エイリアン:ロムルス
《ネタバレ》 本作はエイリアン1の後日譚との設定らしいが、公開から40年以上経ってもこうした高品質な新作が製作されることに、かえってオリジナルの秀逸さが際立つ位置づけの作品ともいえる。 したがって、本作は作品の完成度として「1」や「2」を凌駕することを目指したわけではなく「エイリアン」という秀逸な世界観を現代の撮影・音響技術でブラッシュアップして、新しい世代にも訴求しようとして製作されたような気がした。 その意味で「過去作の良いとこどり」との指摘も腑に落ちる作品。 同様に、過去作を観ていない(か忘れた)人でも分かりやすい内容だったし、「3」以降は観てない(もしくは忘れた)私でも十分楽しめた。 特に、小惑星群との衝突へのタイムリミットや、宇宙船内の無重力スイッチなど、工夫された舞台設定が、より緊迫感のある展開に寄与している。 また、アンドロイドの「アンディ」役もチップの入替によりキャラ変するところを上手に演じており、見応えがあった。 今回は、ドルビーシネマの高品質シアターで鑑賞したこともあり、特に音響の迫力や臨場感は凄まじかった。 その意味では、可能なかぎり高品質なシアターでの鑑賞をお勧めしたい。 いずれにしても、テーマパークで2時間楽しめる新作「エイリアン」のアトラクションと考えれば、鑑賞料金は安いもんでした。 [映画館(字幕)] 7点(2024-09-20 17:03:21) |
2. エンド・オブ・キングダム
《ネタバレ》 「フォールン」シリーズ第2弾。 凄腕の米シークレットサービス、マイク・バニングが舞台をホワイトハウスからロンドン市街に移し、今回も大暴れ。 今回は朝鮮半島のテロ国家に代わり、イスラム圏の武器商人一族を中心としたテロ組織が相手だ。 それにしても、こんな脚本でイギリスは怒らなかったのかと思うくらい、ゆるゆるの警察や諜報組織のため、敵のトンデモなテロ攻撃(6か国の首脳を同時に殺害しようとするなど)を易々と許してしまう展開に、興ざめした。(よく見たら米英共同製作だったみたいだが) スターウォーズの「オーダー66」じゃないが、味方の中に敵があんなに紛れていたら、さすがのジェダイといえども全滅は免れなかった訳で。 ていうか、中東とかならともかく、G8の先進国の首都で、あれだけの緻密かつ大規模なテロ活動を数年掛けて準備しつつ、情報が全く漏れないなんて万が一にもありえない。 今回も元特殊部隊というバニングの能力が炸裂し、不可能と思える状況から大統領を救うわけだが、二人が生還することは最初から分かっているので、リアリティなど気にしないで、スティーブン・セガールの「沈黙」シリーズを観るが如く、安心しながら無敵アクションを楽しめばよいのかもしれないが。 特にバニングの容赦ない攻撃や、最後のトランブル副大統領による敵アジトの殲滅シークエンスは、「アメリカを敵に回せば最後は必ず後悔するぞ」という、おぞましい「アメリカファースト」主義が見え隠れしており、現在の某大頭領が観たらとっても喜ぶのでは、とか思ったりした次第。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2020-06-22 14:24:22) |
3. エンド・オブ・ステイツ
《ネタバレ》 ジェラルド・バトラーが腕利きのシークレットサービスを演じる「エンド・オブ~」3作目。 ジャンルとしてこういう「大統領を守る!」的な映画が好きなこともあり、どうしても観てしまう。 ストーリー自体はよくあるパターンを踏襲しており、鑑賞中に展開が読めてしまう点や、お決まりの「家族を取り戻す」的な展開も挿入される訳だが、それらを許容した上で、何度も窮地に陥りつつひたむきにターゲットを守り抜く主人公の凄腕さを楽しむ、というのが本作を観る正しい作法だろう。 その中でも、今回大統領を襲う「ドローン兵器」の威力は凄まじく、こうした最新テクノロジーの破壊描写は一見に値するし、トレーラーでのカーチェイスにも工夫が見られ、終盤のビルにおける攻防戦でも、カメラの位置やカット割りの効果で緊迫感と見応えのあるクライマックスになっている。 そして三作目ということもあり、大統領とバニングとの信頼関係も本作の見所となっている。 本作は「ダイハード」の続編のように、敵が代わるだけで、安定の味わいを提供してくれる作品と割り切って観ることをオススメしたい。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-04-24 11:37:26) |
4. 映画 ビリギャル
《ネタバレ》 原作未読だが、出版当時ベストセラーになっていたので大まかなストーリーくらいは知っている状態で鑑賞。 本作は実話に基づいていることに加え、一にも二にも有村架純がはまり役だったことに尽きる。 有村は自分の気持ちに正直で無邪気な主人公「さやか」を大変魅力的に演じていた。彼女の代表作の一つにしていいと思うくらいだ。 どこまでも子供の可能性を信じ「この子はいい子なんです」と我が子を尊重し続ける母親や根っから前向きな塾講師と、一方で全身全霊を息子に傾けて自分の夢を押しつける身勝手な父親や教え子をクズ呼ばわりする担任教師という対照的な構図の中で、当然ながら最後は母親+塾講師・さやか組が勝利するわけだが、受験や部活をめぐる親との葛藤は誰しもが経験した題材であるし、さやかを中心とした登場人物の感情描写(および役者の演技)が大変うまく、わかっていても感情移入し心を動かされるシーンがいくつかあった。 また塾講師の「やればできると言わないでください。やってできなかったら余計に自信を失いますから」というセリフも印象に残った。 本作は、子供は関わる大人によってどうにでも変わりうること、そして一人の人間が変わることが周囲をも変えるほどの力があるという普遍的なメッセージを内包しつつ、鑑賞後に爽やかな余韻を残す良作だった。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2016-02-15 11:50:48) |
5. エンド・オブ・ザ・ワールド(2012)
《ネタバレ》 小惑星の地球への衝突が防ぎきれないものとなり、地球滅亡まで残り3週間となった時、いったいどんな事が起こるのか。こういったシチュエーションでは否応なく人間存在の本質が浮かび上がるので、終末ものは好きなジャンルのひとつだ。本作では、迫りくる小惑星の描写もなければ、大統領の演説もなく、あくまで主人公の身の回りに起こる出来事を追っているところに面白さがあった。滅亡が迫っていても「健康」や「道徳」といった価値を失わない人もいれば、全てを捨てて享楽に身を任せる人もいる。終末が迫っているのに、何の疑問もなく来週も来ようとするハウスキーパーや、こんな時に交通違反を取り締まる警官には笑ってしまうが、実際はこんなものなのかもしれないと思わせるのが本作のユニークさだろう。 暴動のシーンはあるものの、全体的にパニック描写は控えめであり、特に後半は本当に滅亡が迫っているのかわからなくなるほど、穏やかなトーンで物語が進んでいく。悲壮感もないが、もちろんハッピーエンドでもない。不思議なラブストーリー。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2015-09-22 14:21:07) |
6. エンド・オブ・ウォッチ
《ネタバレ》 ロス市警の二人のバディが主人公。劇中でも主人公自身がビデオカメラを回してる設定にしているため、よくある密着取材のようなノンフィクション感を自然に表現できている。特に印象に残るのは、警官達のフランクさ(日本ではありえない!)と、犯罪者たちの悪態のひどさ!こんな劣悪な治安環境でも警官という仕事をするそれぞれの理由があるわけだが、ひょんな事からメキシコマフィアの標的になり、ボスの電話一本で命を狙われる二人。二人ともやられた!と思わせて……のラストは意外だったが、最後にやられた日の数時間前の映像で終わる構成がよかった。毎日が命がけの仕事だからこそ、次の瞬間を考えることなく、明るく冗談を飛ばし合う二人に、なんだか感動させられた。 [DVD(字幕)] 7点(2014-03-13 11:47:49)(良:1票) |
7. エリジウム
《ネタバレ》 皆さんおっしゃる通り、SFとしての世界観の構築という面で評価すべき作品。21世紀末、裕福な人々は環境が汚染された地球を離れ、エリジウムなる人工衛星都市の市民となってハイクラスな生活を謳歌している、経済力のないその他大勢は汚い地球に住み続けなければならない、こうした差別設定には十分な歴史的リアリティがあるから、どういった世界観が観客に提示されるのか、大いに見てみたい衝動にかられた。結果はまあまあ期待を裏切らないレベルだったと思う。地球では警察ロボットが治安を維持し、ブリキのおもちゃみたいな保護観察官ロボットが窓口で対応、その他薄汚い街と同居しているハイテクノロジーなどなど、機械による管理社会の一つの未来図が視覚化されており、それなりに楽しめた。だが、ストーリーはダメダメ。幼なじみをエリジウムに連れて行く、という前フリはよいが、結果的には、アクシデントのためどうしてもエリジウムに行く必要ができた主人公が、偶然アーマード装置を取り付けられ、これまた偶然トンデモないデータを脳に転送され、これまた適役が偶然幼なじみを拉致したおかげで、エリジウムで再会、奇跡的な防御態勢の甘さのおかげでスパイダーもエリジウムに到着、同じく奇跡的なイージーさで、メインシステムにアクセス、見事クーデターに成功??主人公の意思とかはあまり感じられないその場しのぎのストーリー展開には全くカタルシスを感じることができなかった。 [DVD(字幕)] 5点(2014-02-09 15:49:34) |
8. 永遠の0
《ネタバレ》 原作は「命を惜しむ戦闘機乗り」というこれまでに描かれなかった異色のキャラクターを主軸に、現代ともリンクさせた家族愛や同志愛、さらにはミステリー要素も盛りまれ、その底流にゼロ戦や、太平洋戦争史といったミリタリー面からのアプローチを誠実に描いたところに秀逸さがある作品だが、本作はまずこうした原作に対する監督のリスペクトがしっかり感じられる作品とはなっている。特に歴史考証がしっかりなされた衣装やセット(戦後のバラック小屋などは地味だが手抜きをせずに作っている等)に加え、本作の面目躍如はリアルな空戦シーンなど、監督がこだわったであろうシーンもVFXの進化によって過去にないレベルで再現されている点だ。反面、現代パートは定点での取材シーンが中心のため、画面に動きをつけるのは難しかったと想像されるが、ベテラン俳優の演技力がしっかりそれをカバーしていたと思う。特に本作が遺作となった夏八木勲は味のあるいい演技を見せている。もし宮部久蔵なる人物が実在していて、その史実に基づいたフィクションとして製作され、エンドロールで実際の写真が映し出されたと想像すればおそらく嗚咽クラスの感動があったかもしれないが、作中でも語られていたように、戦争で死んだ人、生き残った人にも、それぞれのドラマがあったことを改めて想起させてくれる点で、この作品が平和な時代に生きる私たちに有益なメッセージを投げかけていることは間違いない。 [映画館(邦画)] 8点(2013-12-28 20:46:44)(良:1票) |
9. エンド・オブ・ホワイトハウス
《ネタバレ》 原題はギリシャ神話になぞらえて「オリンポス(ホワイトハウス)が陥落した」というそのままのタイトルだが、見終わってみれば確かに、あのホワイトハウスが陥落するとしたらこんな感じになるの?という一つのイメージを見せられた「だけ」の映画。冒頭の自動車事故も何に衝突したのかよくわからないし、大統領の葛藤もイマイチ伝わらず、代理となった下院議長(モーガン・フリーマン)も主人公を信じるだけで、見せ場なし。主人公がホワイトハウス内を知悉していることをもっと利用したシークエンスがあっても良かった。朝鮮テロリストのキレ具合は良かったが、こんなシチュエーションは万が一にもありえず、後に何も残らないアクション映画だった。 [DVD(字幕)] 4点(2013-12-16 18:20:45) |
10. エクスペンダブルズ
《ネタバレ》 言わずと知れた豪華アクションスター総結集!の呼び声高かった本作。若干衰えたとはいえ、主役級を張ってきたキャストが一同に勢揃い。本作はこの豪華さを楽しんでくれ!とのスタローンの声が聞こえてくるような作品だ。ストーリーなどは皆さんご指摘の通り、ある意味王道で妙なひねりもなく安心できます(笑)。アクションシーンの切り替えが早かったり、暗いシーンが多いのは、アクションの切れの悪さを補うためかと穿った見方をしてしまいました。ただ頻出するナイフアクションは高レベル。個人的にはシュワルツネッガーとブルース・ウィリスとスタローンがワンシーンに収まっているカットはやっぱりシビレましたね。豪華絢爛・味わい濃厚でした。 [インターネット(字幕)] 5点(2012-12-12 17:46:35) |
11. SP 革命篇
《ネタバレ》 連ドラ・野望篇はいずれも未見。国会議事堂のセットは本物と見まがうばかりのクォリティーの高さ。しかし、舞台が国会議事堂ゆえに、スケールがこぢんまりしてしまい、しかもこれだけのたいそうな仕掛けも結局は尾形の私怨に端を発しているのかと、少し興ざめ。内閣総理大臣がラスボスという設定も陳腐に感じた。総じてテレビスペシャルでいいくらいの内容だった。 [DVD(邦画)] 5点(2011-09-21 10:50:11) |
12. es[エス](2001)
《ネタバレ》 まずこのストーリー全てが実話ではない。映画としては面白い題材だが、この作品のストーリーはタチの悪い状況下における、タチの悪い奴らによる、タチの悪いケンカに過ぎないのでは。実際はどんな人格をもった人間が各グループを構成するか、なかんずくどんな人がリーダー格になるか、にも大きく左右されるものだし。この作品の場合、派手にケンカをしかけた主人公の無分別な行動が全ての引き金になっているのが興ざめ。看守チームが実験室を占拠するあたりからの暴走は現実にはありえないと思ってしまうから、ここも興ざめ。しかし「牛乳残すな!」のところでプレスリーおやじがリーダーに「ちゃんと言うことを聞かせた方がいい」と言われ、しばし考え込み、主人公に初めて罰を与えに行くくだりなどは、人間心理をよく描いてはいると思う。ともあれ何より私がインパクトを受けたのはこの映画の内容以上に、(ここのレビューにもあるように)この映画を観た多くの人々が、このいささか大げさなストーリーにある種のリアルさを感じていること、つまり自分自身も置かれた状態によってはこれくらい暴走するかも、と思っていること、そのこと自体が最もおぞましい。 [DVD(字幕)] 4点(2007-05-07 21:47:19) |
13. エンド・オブ・ザ・ワールド<TVM>(2000)
《ネタバレ》 はじめは、ありがちな終末パニックものと思って、気軽に借りてみたのですが・・・。観終わってしばらくは立ち直れないほどのインパクトを受けました。全面核戦争の本当の恐ろしさをリアルに見せつけられた感じです。ラストは一応ハッピーエンドといえなくもないですが、設定上、人類は最後には「一人残らず」死滅してしまう物語です。その設定に改めてショックを受けました。人類が生きた証をこの地球で誰も知ることはないという空しさ。 現実問題として放射能に汚染されているのに、本当に太陽の下木々が青々としているのかわかりませんが、その美しい地球の描写が、かえって人間の愚かさを強調していました。役所で安楽死の薬が配布され、それを自分の家族に飲ませるほどの絶望と悲しみは想像できません。家族がいる人は是非観てほしいです。 今なお、核戦争や新種のウイルス等の危険が去らず、この美しい自然の中、愚かな人類だけが死滅していく可能性がありえることを改めて気かせる映画でした。 これを観てから、ネヴィル・シュートの原作「渚にて」と、グレゴリー・ペック主演の同名の前作も購入して観てしまいました。映画としては、前作よりこちらの方が現代版だけに感情移入しやすいと思います。 細かいことを言えばつめが甘いところも沢山ありますが、原作が素晴らしいのと、テーマの重要さでインパクトのある映画だと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2004-06-07 11:19:59) |