Menu
 > レビュワー
 > イニシャルK さんの口コミ一覧
イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1490
性別
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/22718/

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  日本のいちばん長い日(1967) 《ネタバレ》 
岡本喜八監督の戦争映画というと「独立愚連隊」や「肉弾」といった悲壮感の中にもどこか明るさのあるイメージが強いので、本作はちょっと喜八監督らしくない作品だと思うものの、このような大作映画にありがちなダラダラした中だるみ感がなく、橋本忍脚本による重厚な人間ドラマと喜八監督の演出の力強さによって長時間にも関わらず最後までとても面白かった。昭和20年(1945年)8月15日に玉音放送が流れて終戦に至るまでの経歴という内容も興味深く、宮城事件とかぜんぜん知らなかったのでとても衝撃的だったし、今まで生放送とばかり思っていた玉音放送が録音だったことにもビックリ。オールスター大作なので出てくる俳優陣も脇役・端役に至るまでこれでもかというくらい豪華なメンバーを揃えていて、その点でもみどころ。陸軍大臣を演じる三船の鬼気迫る演技、笠智衆演じる仏様のような総理大臣も印象深いが、やはり特攻隊を見送る伊藤雄之助のあの表情が忘れがたい。 喜八監督の映画の中では異色作かもしれないが、一度は見ておくべき傑作だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2024-04-24 17:56:15)
2.  日本侠客伝 絶縁状
シリーズ第8作。このシリーズでは珍しく現代を舞台にしているが、そこが原因かどうかは分からないのだが、見ていてどうも違和感があるし、マキノ雅弘監督らしい勢いも感じられないのがちょっと残念。もちろん面白くないことはないし、藤山寛美の存在など笑える要素もあるのだがなにか物足りなさが残るし、悪役は前回に続いて渡辺文雄が演じているが、あまり間を置かずに見たせいか、ちょっとまたかという気になってしまった。ラストの殴り込みシーンだけはマキノ監督らしさも出ていて、高倉健もカッコイイのだが、全体としてやはり何か惜しい気がする。それにやはりこのシリーズや「昭和残侠伝」シリーズは現代よりも明治や大正を舞台にしていたほうがしっくりくるとあらためて感じた。それに音楽もこれまでずっと担当していた斎藤一郎から木下忠司に代わっているが、この違いも少し影響してるのかな。服役中の親分を演じている伊井友三郎がとても味わい深く、印象的だった。
[DVD(邦画)] 6点(2022-12-29 19:22:06)
3.  日本侠客伝 斬り込み 《ネタバレ》 
このシリーズを見るのもかなり久しぶりなのだが、やはり面白い。今回はラストに殴り込みがあるのはもちろんだが、冒頭にも殴り込みがあり、マキノ雅弘監督の観客に対するサービス精神というものを感じるし、高倉健演じる主人公に幼い息子がいるという設定も新鮮で、何か今までと違うことをしようという意気込みが伝わってくるし、その意味で言ったら金子信雄が最後まで善人というのも東映の任侠映画ではなかなかに珍しい。(どうせいつか裏切るだろうと思って見ていたのでかなり意外に感じた。)脇役陣もマキノ監督らしく賑やかで楽しく見ていて気持ちがいいし、やはりマキノ監督は脇役ひとりひとりの個性を引き出す演出のうまさは群を抜いていて、だからこそ主役の高倉健だけでなく、主人公の周りにいる仲間たちがみんな魅力的に描かれているのが良い。それに任侠映画のラストというのは主人公が捕まって終わりというパターンが多い中、今回はそう思わせておいて捕まらない終わり方になっていて、それが清々しく、なんとも後味の良い終わり方で、任侠映画としてはちょっと異色かもしれないが、こういう終わり方は好きだな。この最後のシーンで子供を連れて歩く高倉健と藤純子の笑顔がなんとも素敵。
[DVD(邦画)] 8点(2022-11-13 17:34:34)
4.  憎いあンちくしょう 《ネタバレ》 
石原裕次郎&浅丘ルリ子主演のロードムービー。全体的に軽いタッチで描かれていて(ひたすら重苦しかった「愛と死の記録」と同じ蔵原惟繕が監督とは思えないほどに。)なかなか楽しめた。既に下の方も書かれているが、浅丘ルリ子がのちに「男はつらいよ」シリーズで演じるリリーの原型のようなマネージャーを好演しており、やっぱりこの女優にはこういうキャラクターがよく似合っていると思うし、裕次郎も自身とオーバーラップするような大スター役がピッタリとはまっている。それに、ディレクターを演じる長門裕之(桑田桂祐にしか見えない。)も見ていてなにか笑える存在でよかった。しかし、芦川いづみに関しては前回見た「風船」での珠子役が素晴らしかっただけにこの映画ではイマイチパッとしないのが残念。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2022-02-12 23:57:58)
5.  日本一のゴマすり男 《ネタバレ》 
シリーズ第3作。植木等主演の日本一の男シリーズの中でも前々から見たいと思っていた映画だったのだが、ようやく見る事ができた。とはいえ、このシリーズ自体をかなり久しぶりに見たので果たして楽しめるかというのにちょっと不安もあったのだが、その思いは冒頭すぐのバスから降りた植木等演じる主人公である中等が軽快に歌いながら笑顔で元気に走っている姿を見て吹き飛んだ。この出だしのシーンを見るだけでこちらも元気になれるし、前向きな気持ちになることができる。今回はゴマすりを武器に主人公が出世していくが、とにかく相手をおだてておだてて褒めまくる。これが普通ならやな奴と映ってしまってもおかしくないところを、植木等だとそうは感じさせない不思議な魅力があり、こんな生き方が実際にできたらいいなとつい考えながら見てしまう自分がいる。古澤憲吾監督の演出にも相変わらずで、このシリーズの底抜けなパワーは植木等のポジティブな魅力に加え、古澤監督独特の勢いのある演出によって生み出されるものでもあると感じることができ、その意味では古澤監督と植木等はまさに名コンビだと思わずにはいられない。(クレージー映画では坪島孝監督の作品ももちろん好きだ。)クレージーキャッツの面々も何人か出ているのだが、ハナ肇が出ていなかったり、谷啓がラストだけの登場(ノンクレジット)だったりして、このあたりからこのシリーズは植木等の単独主演作という方向を確立し始めた感もある。主人公にバイトとして雇われた学生の中に加藤茶がいて、さすがに若く、セリフもあり、けっこう目立っているので印象に残った。舞台となるのが自動車会社で、実際にヤナセが協力していることもあり、登場する外車もどれもカッコよく、その方面でもじゅうぶんに楽しめる映画になっている。
[DVD(邦画)] 8点(2022-02-06 23:33:11)(良:1票)
6.  日本侠客伝 雷門の血斗 《ネタバレ》 
シリーズ第5作。今回は足を洗って演劇一座になった元ヤクザとかつて対立していたヤクザとのいざこざを描いていて、芸能とヤクザという観点からすれば興味をひくし、シリーズを順番どおりに見てきて、今までは錦之助や鶴田浩二といった大物スターが脇で助演していたのが、今回はそういった助演がないのも高倉健がいよいよ本格的に売れはじめたというのが分かるのだが、マキノ雅弘監督の演出はこの監督らしいにぎやかさはあるものの、どこかおとなしい気がしたし、全体的にも面白いことは面白いのだが、なにかパッとしない部分も多かったか。藤純子も久しぶりに見るのだが、これも役柄的にちょっとイマイチ。それでも脇役陣が良いのがマキノ監督らしいところで、藤山寛美がクライマックスで健さんと一緒に殴り込むという役なのは珍しいし、またマキノ監督のこのシリーズではおなじみの長門裕之の登場が後半からというのも珍しい感じがする。(その分、今回はあまり目立っていない気がするが。)元ヤクザとしてのさすがの貫ろくとすごみを見せる島田正吾も良い。若干の物足りなさもあるのだが、それでもなんだかんだ言って楽しめる映画にはなっており、娯楽映画としての水準はじゅうぶんにクリアしていると思う。でも、マキノ監督の良さが出た任侠映画はもっとほかにあるとも感じる。
[DVD(邦画)] 6点(2019-01-04 14:14:16)
7.  日本侠客伝 白刃の盃
シリーズ第6作。今回はこれまでこのシリーズの脚本を手掛けていた笠原和夫や野上龍雄が関わっておらず、中島貞夫監督と鈴木則文監督が脚本を手掛けているが、舞台が運送屋で高倉健の役柄がトラック運転手であったりするのはこの間まで何本か見ていたためか思わず鈴木監督の「トラック野郎」シリーズを思い浮べてしまいそうになるのだが、もちろん「トラック野郎」のような話にはなっておらず、マキノ雅弘監督らしい任侠映画になっていて、先週見た「雷門の決斗」より面白かった。高倉健ももちろんカッコイイが、やはりマキノ監督の映画は脇役陣がイキイキとしていて、長門裕之、大木実はもちろん、砂塚秀夫も印象に残るし、東映任侠映画には珍しい気がする伴淳も良い味を出している。今回も悪役は天津敏だが、その演技は見ていて本当に憎たらしくなってくるし、高倉健演じる主人公がいかにしてこの悪役を倒すかというのがこのシリーズの見どころなのだが、マキノ監督はそのあたりの見せ方がうまく、ここがしっかりしているからラストの殴り込みシーンに大いに盛り上がることができるのだと思う。ドラマとしてはやや湿っぽく感じる部分も多く、少し気になるものの、それでもマキノ監督の演出は安定感があり、安心して見ていられるのが良い。高倉健の妻役を藤純子が演じている(出番がそれほど多くないのがちょっと残念。)が、このシリーズで主人公が妻帯者なのは初めて見たような気がする。
[DVD(邦画)] 7点(2018-09-16 13:13:56)
8.  日本侠客伝 決斗神田祭り 《ネタバレ》 
シリーズ第4作。このシリーズ今のところ順番どおりに見てるんだけど、4作目にして脚本をひとりが担当しているのがなにか新鮮に感じる。いつもの東映の任侠映画だと悪役であることの多い河津清三郎が最後まで善玉という捻ったキャスティングも面白く、多少違和感はあるものの、これはこれでいいし、善人役を演じていても悪役とは違う持ち味を出している河津清三郎の演技の幅の広さが感じられる。しかし、今までの三本と比べるとなにか物足りないのも事実で、主人公が火消しでタイトルに祭りと入っているといういかにもマキノ雅弘監督らしい盛り上がる設定ながら、どこかマキノ監督の演出もおとなしめで、躍動感もあまり感じられなかったのは残念だったか。高倉健と藤純子、鶴田浩二と野際陽子(←だよね。)それぞれのドラマも何か物足りないし、鶴田浩二の単身殴り込みのシーンも説得力に欠けイマイチグッとくるものがなく、鶴田浩二が殺されてしまったあとに高倉健が殴り込むというのはパターン上分かってはいるが、少々まどろっこしく感じてしまったのもちょっと残念。マキノ監督らしく脇役陣は光っていて、藤山寛美や出番はそれほど多くないものの長門裕之も印象に残る。でも全体としては決してつまらなくはないもののやっぱり物足りなさが残る一編であることは確かである。
[DVD(邦画)] 6点(2017-05-26 21:15:36)
9.  日本侠客伝 関東篇 《ネタバレ》 
シリーズ第3作。このシリーズ見るのもかなり久しぶりなのだが、いかにもマキノ雅弘監督らしいお祭り的な明るい作風で、とにかく楽しい映画だった。この前まで同じ高倉健主演の「昭和残侠伝」シリーズを見ていたのだが、それとはまた違った面白さがある。高倉健演じる主人公も多弁で陽気なキャラクターで、こういう健さんもいいし、冒頭の長門裕之との喧嘩のやりとりなど微笑ましく、後年の出演作では見ることのできない健さんの魅力というものが感じられる。健さんだけでなく、やはりほかの登場人物たちが賑やかなのもマキノ監督印で、みんなイキイキとしている。前回見たマキノ作品である「昭和残侠伝 唐獅子仁義」が暗めな作風だっただけにこれは嬉しい。ラスト、虐げられていた魚河岸の人々が団結して悪玉と乱闘を繰り広げるという展開は今まで見た東映任侠映画ではなかったもので、新鮮だし、このクライマックスのガヤガヤした雰囲気もマキノ監督らしいところ。主題歌も担当している若き北島三郎演じる寿司屋のアンちゃんがいい味を出している。ラスト、悪の親玉にとどめを刺すのが健さんではなく、鶴田浩二であるのも意外だった。健さんとともに逮捕されていく鶴田浩二が言う言葉が重みがあって印象に残る。しかし、このラストは健さん主演作にも関わらず、鶴田浩二がいいところを全部持って行ってしまったような気もするのがちょっとと思うところもある。でも、まあいいか。
[DVD(邦画)] 8点(2016-02-20 17:50:11)
10.  日本暗殺秘録 《ネタバレ》 
桜田門外の変から226事件までの日本の暗殺テロ事件の歴史をオムニバス形式で描いた東映のオールスター大作。描かれる9つの事件はそれぞれを題材に個別に映画化していてもじゅうぶんに見ごたえがありそうなボリュームを感じるのだが、それをオールスターのオムニバスでやってしまったところがいかにも東映らしい企画で、東映だからこそできた映画だろう。最初の20数分間にダイジェスト的にひたすら暗殺シーンを描いているが、普通なら単調になってしまうような構成でも勢いがあり、それをほとんど感じさせないのがいい。その中で印象に残るのはやはり高橋長英主演のギロチン社事件のエピソードで、冒頭の土手で友達に自らの思考を話すシーンや、最後のシーン、死刑台に向かうときの独白がどこかこの主人公 古田大次郎の切なさが感じられて良かった。そして本作のメインエピソードである千葉真一主演の血盟団事件。このエピソードだけはたっぷりと時間を割いて描かれており、単なる見世物的でなく、主人公 小沼正の生き様を描いた人間ドラマとしても見ごたえのあるエピソードだ。小沼を演じる千葉真一は「仁義なき戦い 広島死闘篇」の大友役で、狂犬のようなキレた演技が印象に残っているが、それから4年前の作品である本作ではそれとは逆の繊細さもある青年役を演じていて新鮮だし、この小沼も大友と同じくハマリ役だと思う。「広島死闘篇」で北大路欣也が演じた山中を最初は千葉真一が演じることになっていたというのも本作の小沼を演じる千葉真一を見ればよく分かるし、もし演じていたらどんな山中になっていただろうとつい思ってしまった。その小沼の同志である藤井を演じる田宮二郎はこれが大映を解雇されたあとの初出演映画だそうだが、やはり存在感があり、熱演を見せていて素晴らしく、その熱演に本人のやっと映画に帰ってこれたといううれしさも垣間見えた。それからお竜さんとはまったく違う印象を残す藤純子も良かった。最後の226事件のエピソードが途中まで白黒というのもドキュメンタリーチックで効果的だった。主人公を演じる鶴田浩二が年齢的にちょっと無理のある青年将校の役だが、きっちりとハマっていて、存在感があり、ヤクザ映画でのカッコ良さとは別のカッコ良さがある。そして、死刑を待つだけの仲間たちが入った牢を横切るときの演技がなんともいえず、その鶴田浩二に一人ずつ声をかける仲間たちにも切なさを感じずにはいれない。このシーンはまさに名シーンだろう。全体的に見るとちょっとオムニバスとしては不満があるのも事実なのだが、骨太な力作で、見終わったあとはじゅうぶん満足できる映画だったと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2014-08-16 09:32:12)
11.  にっぽん泥棒物語 《ネタバレ》 
山本薩夫監督が実際に起きた冤罪事件をもとにフィクションとして手がけた社会派喜劇。三國連太郎扮する主人公 林田儀助の泥棒時代のエピソードがかなりコミカルに描かれていて思った以上に喜劇要素が強く、どこかすっとぼけた味わいがあり、山本監督の社会派監督としてだけではない一面が感じられた。でもやはり、この主人公が列車転覆事件が起きる直前に線路を歩いていて怪しい9人の男とすれ違ったあたりからが山本監督の本領発揮といえる社会派ドラマになる。この事件で捕まった人たちの冤罪を証明するように周りから言われても、今は泥棒稼業を辞め、結婚して子供もできて、泥棒だった過去を隠して平穏な生活を手に入れている身では家族のことを思うととてもできないという林田の心の葛藤が胸を打つ。そんな林田が証言を決意するシーンはとても感動してしまった。ここまででもじゅうぶんドラマとして見ごたえあるのだが、ラストの証言シーンもみどころで、ここはもう三國連太郎の独演会といってよく、皮肉めいたことを次々と言うのだが、それが物凄く笑える。中でも「警察は自分よりも嘘をつく。嘘つきは泥棒の始まりというが。」というセリフ。元泥棒である主人公が言うからこその皮肉がこめられていて、笑えると同時にこのセリフにはそれ以上の底知れぬ凄さを感じた。喜劇映画のなかに冤罪という重いテーマを入れてしまうといつの間にかシリアスになりすぎ、喜劇的な部分がおなざりになってしまうのではと心配だった面もあったが、この証言シーンのおかげで最後まで喜劇映画であることを忘れない映画になっているのがいい。林田と腐れ縁の刑事を演じる伊藤雄之助のネチネチとした演技もやはり印象に残るし、妻を演じる佐久間良子や、冤罪被害者の一人を演じる鈴木瑞穂も良かった。でもこの映画はやはりなんといっても主演の三國連太郎に尽きる映画で、出演作の中ではあまり知られていないようではあるが、間違いなく本作も代表作の一本だろう。三國連太郎の喜劇といえば「釣りバカ日誌」シリーズをどうしても思い浮かべてしまいがちだが、やはりそれだけではないということを本作を見ると感じることができる。
[DVD(邦画)] 8点(2014-04-17 17:50:24)(良:1票)
12.  日本一の男の中の男
古澤憲吾監督による植木等映画、かなり久しぶりに見たが、やっぱりものすごい勢いがあって面白い。昇進できると張り切っていた植木等演じる主人公 小野子等がストッキング会社の会長(東野英治郎)の一声で転勤することになり、最初は落ち込むが、すぐにポジティブな考えに転換するところはこのシリーズらしい展開でこれだけで見ていて前向きになれるし、このシリーズの植木等を見ていていつも思うが、人生何があっても明るく生きていこうというのが感じられ、見た後にとても元気になれるのがこのシリーズの魅力だとあらためて思う。既に青観さんが書かれているとおり、本作でも植木等演じる主人公は頭の回転が異様に早く、行動力があり、言いたいことは相手が目上の存在だろうがズバズバ言う。これが見ていて非常に気持ちよく、この主人公にある種、憧れのようなものも感じることができるし、本当に嫌なことなどきれいさっぱり忘れさせてくれる不思議な魅力がある。そして勢いのある古澤監督の独特の演出も面白さに拍車をかけていて飽きさせない。とくに軍艦マーチをバックに女子社員たちが屋上で行進するシーンはいかにもこの監督らしいシーンで印象に残る。これまでのシリーズで浜美枝が演じていたヒロインを本作では浅丘ルリ子が演じている(日活を辞める前後の頃だそう。)が、とくに違和感はなく、むしろどこかクールな感じで新鮮に感じられた。浅丘ルリ子といえばなんといってもリリーであるが、このシリーズには寅さんシリーズと違い、ペーソスとかそういうものは基本的になくひたすらお笑いに徹しているところが潔く、そこも魅力的で好きだ。(もちろん、寅さんシリーズも好きなんだけどね。) 本作を見終わってクレージー映画や、植木等主演の喜劇映画をまたもっと見たいと思ったし、また、今の日本映画にはもっとこういうあっけらかんとした前向きな映画が必要なのではないかとも感じた。 やっぱり植木等、好きだ。
[DVD(邦画)] 8点(2014-02-06 23:22:31)(良:1票)
13.  日本侠客伝 浪花篇 《ネタバレ》 
「日本侠客伝」シリーズ第2作。今回は弟の遺骨を引き取るために横浜から大阪へとやってきた健さん扮する堅気の主人公がそこでヤクザどうしの争いに巻き込まれるというストーリー。1作目とはまた違う雰囲気だが、個人的には1作目よりもこの2作目の方が面白かった。マキノ雅弘監督らしい盛り上がりのある演出がこの映画でも効いていて、とくにクライマックスの鶴田浩二の殴り込みに健さんが助太刀に入る展開は心地よく、そこからラストの二人が雪の中をあるいて行くシーンまでだれることがない。脇役陣もいい味を出していて、前作にも出演していて今回もメインキャストの一人を演じる長門裕之や、健さんが身を寄せる組の親分を演じる村田英雄(主題歌も担当。)、エピローグでちらっと出てくる屋台のうどん屋を演じる藤山寛美に至るまで抜かりなく魅力的に描かれていてあらためてマキノ監督の役者への演出のうまさも感じられた。中でも東映時代劇ではヒーロー役を演じていることが多い大友柳太朗が悪役を演じているのが印象的で、ヤクザ映画では初めて見たが、抜群の存在感を放っているのは新鮮に感じた。前作では長門裕之の恋人が南田洋子というのがややマキノ監督のお遊び的なキャスティングで面白かったが、今回の長門裕之の恋人役は八千草薫、それでいて南田洋子も出ているというひねりが面白い。鶴田浩二は前回の錦之助のような役回りではなく、さっき書いたように健さんと一緒にクライマックスで一緒に殴り込みをする役柄で、健さんを食い気味ではあるが、やはり健さんともどもカッコイイ。でも、冒頭の出演者クレジットで主演の健さんではなく、鶴田浩二がトップなのは無理があるし、一応、シリーズものなので少々違和感を感じる。
[DVD(邦画)] 7点(2013-07-21 18:35:00)
14.  日本侠客伝 《ネタバレ》 
マキノ雅弘監督、高倉健主演による任侠映画シリーズ第一作。東映が時代劇から任侠映画に移行しはじめた時期の作品ではあるが、かなり豪華なキャストで、力の入った映画になっている。東映の任侠映画は何本か見ているが、この初期作にしてパターンが既に出来上がっていて、初期作ということをあまり意識せずとも楽しめた。津川雅彦と長門裕之の共演もマキノ監督の映画では初めて見るような気がする。長門裕之の片思いの相手が南田洋子であるのは思わず突っ込みたくなるが、これもマキノ監督ならではのことだろう。健さんは開始20分ほどしてからの登場だが、登場までがけっこうじれったかったが、登場してからはなんだか安心。でも、特別出演とある錦之助の扱いがなんだかなあという感じで、単身殴り込みの前の妻(三田佳子)とのシーンは良かったものの、その後、拳銃片手に殴り込みをするのは違和感バリバリで、せめてドスを片手に殴りこんでほしかったし、死に方もあっけない。本人もこれは不本意だったのではないかと思う。それに錦之助といえば時代劇俳優という印象がどうしても強く、こういう任侠映画ではちょっと浮いて見え、その意味でももったいない気がする。錦之助が宮本武蔵を演じた同時期の「宮本武蔵」シリーズ(内田吐夢監督)ではライバルの佐々木小次郎を演じる健さんに違和感があったが、この映画では逆のことが起きてしまっている。錦之助は時代劇にこだわりがあると聞いたことがあるが、この映画を見てあらためて錦之助は時代劇でこそ映える役者なのだと思った。
[DVD(邦画)] 6点(2012-12-08 13:02:27)
15.  ニュージーランドの若大将 《ネタバレ》 
若大将が社会人となって2作目。本作は前作「フレッシュマン若大将」と同じ自動車会社が舞台で直接の続編のようになっているが、若大将と節子(酒井和歌子)の関係はいつものようにリセットされているので少し不思議な感じ。社会人という設定となった若大将はスポーツをやらなくなり、シリーズの見どころの一つがなくなったことでなんだか地味な印象だが、その代わり社会人となった若大将はすっかり学生気分が抜けており、劇中節子から評されているように仕事熱心なモーレツサラリーマンという感じに描かれてはいるがポジティブなキャラクターは変わらないのが嬉しい。前作に続いて久太郎(有島一郎)が若い女に惚れるエピソードがあるが、今回はうつみ宮土理。この頃ちょうど「ロンパールーム」のお姉さん役を卒業後、本格的に芸能活動を始めた頃だろうか。(古い話だな。)前作同様若い女に夢中の久太郎がかわいらしい。前作で夫婦となった江口と照子(中真千子)が相変わらずアツアツなのがわざとらしく感じる部分もあるが、微笑ましくもある。
[DVD(邦画)] 5点(2012-02-10 23:13:44)
16.  日本一のゴリガン男 《ネタバレ》 
日本一の男シリーズ第4作。冒頭の上下逆に撮影された映像をバックにしたタイトルバックが印象的。植木等のキャラは相変わらずポジティブで、彼を見ていると本当に悩みなんかどこかへ飛んでいきそうなくらいに明るくなれる。古澤憲吾監督らしさもよく出ていて面白かった。植木等が人見明と一緒に「しびれ節」を歌うシーンはなんだか新鮮だった。ほかのクレージーの面々が桜井センリ一人しか出ていないのだが、もうこの頃にはこの日本一の男シリーズは植木等単独主演シリーズとして確立してたんだろう。「誠に遺憾に存じます」と、植木等の持ち歌の歌詞を口にする左ト全がなにかお茶目。時代劇の悪役という印象の強い進藤英太郎が東宝現代劇の喜劇に出てるのはちょっと意外な感じがする。コック役の田中邦衛はほぼ青大将そのままの演技のような気がして、でもそれが逆に面白かった。
[DVD(邦画)] 7点(2010-12-15 02:18:00)
17.  日本一のホラ吹き男 《ネタバレ》 
植木等主演の「日本一の男」シリーズ第2作。相変わらずイキイキとした植木等を見ていると元気になれるし、屈折した主人公が一念勃起してトントン拍子に出世していく物語は見ていて痛快。古澤憲吾監督の演出の勢いもやはり植木等が出ていると「若大将」の時より増しているように感じる。主人公が一念勃起するきっかけとなる先祖の自伝を読むシーンで急に時代劇が始まるあたりは凝っているし、殺陣師として久世竜が参加してるのもそのためだろう。ドモリの谷啓が酒を飲むことでドモリを治すあたりは「次郎長三国志」のパロディーのようで笑える。ここからクレージーキャッツのほかのメンバーがあまり出なくなるのは少しさびしい気もするが、それでもじゅうぶんに面白かった。それにしてもこの頃の植木等って普段からこういうキャラだったんじゃないかと思うほどのハマリ役で、本人が普段は物静かで真面目な人だなんて微塵も感じさせないのがすごい。主人公の祖母役で飯田蝶子が出てるけど、つい見ていて若大将のおばあちゃんを思い浮かべてしまう。
[DVD(邦画)] 8点(2010-12-01 01:56:57)(良:1票)
18.  日本一の色男 《ネタバレ》 
「無責任男」シリーズの進化系と言われる「日本一の男」シリーズ第1作。「無責任男」シリーズ2本同様に植木等演じる主人公のパワーあふれるサラリーマンの活躍が見ていて楽しいし、冒頭から卒業式で歌われる「蛍の光」から突然、植木等がコミカルな曲を歌いはじめる導入部から笑えて、タイトルの出るタイミングも古澤憲吾監督らしい演出で引き込まれた。植木等演じる主人公はとにかく女にモテまくり、仕事も出来るという男にとってまさに理想ともいうべき存在で、本当にこの頃の植木等の姿を見ると元気が出る。ただ、ラストシーンはあれだけモテていた主人公が本命の恋人(藤山陽子)に振られるというもので、どこか「男はつらいよ」シリーズのような感じで少し切なかった。こういうのは植木等主演の喜劇映画ではかなり異色な感じで、このシリーズの雰囲気にややそぐわない気もするが、個人的にはこういうのもアリだと思う。クレージーキャッツのほかのメンバーも出演していて楽しいが、先日谷啓が亡くなったこともあり、もうメンバーの中で生きているのは二人だけなんだなと思うとやっぱりさびしい気がした。犬塚弘と桜井センリにはほかのメンバーの分まで生きていてほしいと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2010-10-06 18:25:17)(良:1票)
19.  日本海大海戦
「日本のいちばん長い日」、「連合艦隊司令長官 山本五十六」に続く「東宝8・15シリーズ」の第3作で、日露戦争における日本海海戦を描いた大作映画。先週見た「日本海大海戦 海ゆかば」で東郷平八郎を演じていた三船がこの映画でも同じ役を演じていたりして何人か出演者がかぶっているのだが、こちらのほうが甘っちょろいエピソードもなく、純粋に日露戦争の経緯や政治ドラマが描かれていて見ごたえのある硬派な戦争映画に仕上がっていて面白かった。三船演じる東郷は「日本海大海戦 海ゆかば」でも重厚な存在感を放っていたが、本作では名実ともに主人公として描かれているためか、やはりこちらのほうがより存在感が大きくカッコイイ。「日本のいちばん長い日」と「連合艦隊司令長官 山本五十六」でナレーターを担当していた仲代達矢が役者として出演しているのは満を持してという感じがする。(三船との絡みがなかったのはちょっと残念。)しかし、なんといってもクライマックスのバルチック艦隊との戦闘シーンは三笠側の視点だけでなく、ちゃんとバルチック側の視点も入り、いかにして三笠がバルチック艦隊に勝てたかが非常にわかりやすく描かれているほか、その特撮に関しても同じ戦闘シーンを描いているにもかかわらず「日本海大海戦 海ゆかば」とは全く違う印象で、本作にも助監督として参加している中野照慶監督の自己満足に終わった感が強かったあちらに比べて見ごたえ充分な仕上がりで改めて円谷英二監督の特殊技術の描写のうまさを感じさせるスペクタクルシーンとなっていて素晴らしかった。そういえばこれが円谷監督の遺作だったはず。
[DVD(邦画)] 7点(2009-08-18 14:12:09)
20.  日本一の若大将
若大将シリーズ第3作。シリーズを順番どおりに見ているわけではないのだが、前の2作ではなかった加山雄三の歌う歌が冒頭から流れ、劇中にも澄子役の星由里子と歌うシーンやソロで歌うシーンがあるなど、加山雄三がこのあたりからスターになりつつあったのだなあと感じる。それはさておき、今回も田中邦衛演じる青大将のどじぶり(若大将と彼の絡みはやっぱり楽しい。)や、有島一郎や飯田蝶子といった脇のレギュラー陣や左ト全演じる和尚が笑わせてくれて何にも考えることなく楽しめた。加山雄三の父である上原謙が今回は青大将の父親役というのも面白い。若大将が父親(有島一郎)から勘当されるのはシリーズお決まりのパターンだが、今回はラストの父親が若大将の気持ちに気づくシーンで思わずちょっとウルッと来てしまった。当初このシリーズはこの回で終わる予定だったみたいで、このシーンを含めて終盤はそれを思わせる展開になっているのだが、それがあってか、今まで見たこのシリーズ(そんなに数多く見たわけではないんだけど。)の中でも今回はなかなかの出来だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2008-12-23 22:31:14)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS