1. 女相続人
純情無垢な娘に近づく男は財産目当てなのか、それとも愛情からなのか。 題材としての新鮮味はないが、父と娘、そして得体の知れない男と、三者三様の人間模様が丁寧に描かれていて面白い。 モンゴメリー・クリフトの色男ぶりと演技の安定感はもちろん、ルックスはとても若い娘には見えないけれど、ヒロインの演技の振り幅も大きな見所。 ラストはややぬるい。もうひと捻りというか、もっと強烈なオチが欲しかった。 [ビデオ(字幕)] 5点(2013-09-12 01:40:46) |
2. 音楽(1972)
オープニングの耽美な映像が印象的な作品。 原作は未読だが、内容自体はとても面白く、丁寧なシナリオというよりは俗っぽい作りでインパクトを感じさせてくれる。 ただヒロインのオーバーアクションぎみの狂気的な演技が勝ちすぎて、彼女の深層心理に隠された謎をもっとじっくり見たかったなという感も。 増村監督らしいと言えば、らしいサスペンス作品。 [DVD(邦画)] 4点(2013-06-27 13:53:53) |
3. 女はそれを我慢できない
理屈抜きで楽しいラブコメ。女性を一流に変身させるという点では、「ボーン・イエスタディ」と「マイフェアレディ」をかけ合わせたような内容だが、特に音楽がよかった。 50年代のポップス、ロックンロール、ジャジーな曲まで、様々な名曲がたくさん流れて、とても心地がいい。そのぶんストーリーには多少もっさり感があり、ヒロインの心情描写も決して丁寧に描かれているというわけではないけれど、ラストはわかっていても、ちょっとジンとしてしまった。 ヒロインの女優さんは目を見張るほどの超グラマーで、胸も大きいが、ウエストのあまりの細さにはびっくり。 カラーで絵もわりときれいだし、クラシック映画を気楽に鑑賞したいという点ではお薦めの作品。 [DVD(字幕)] 5点(2013-02-08 02:14:42) |
4. お嬢さん乾杯
戦後まもない作品ながらも、洒落た作品を作りたいという制作者側の心意気が伝わる、コメディータッチのラブストーリー。 時代背景に合わせた主役たちの状況設定が興味をそそらせるし、主人公の描写もいいのだが、ヒロイン原節子の感情表現がとても読みづらい。 うれしいのか、愛想笑いなのか、ときどき本当に嫌そうな引き攣り笑顔を見せるので、観ていてちょっとイライラしてくる。 ヒネリやオチは目立たないストレートな恋愛モノだけど、軽快で明るいテーマ曲と古い東京の市街地が映るシーンだけは印象に残っている。 [DVD(邦画)] 4点(2013-01-31 02:52:17) |
5. 俺たちは天使じゃない(1955)
人情味溢れる脱獄犯三人の描写が面白いコメディ映画。 それぞれのキャラが立っていることはもちろん、特にハンフリー・ボガートはふだんから鉄仮面の顔つきだけに、ギャップが楽しめる。 ハートフルなストーリーもいいが、ややテンポが遅く、総体的にもっさりしている感は否めなかった。 後半はややドタバタぎみの展開で、ちょっと観る人を選ぶかも。良質な作りといった印象は受ける作品。 [DVD(字幕)] 5点(2013-01-09 09:22:08) |
6. ALWAYS 三丁目の夕日‘64
鈴木オートの親父のキャラが異様に面白いのと、懐かしい昭和のレトロ感が見所の映画。 ベタベタな人情シーンの連続は個人的にはきついのだが(特に吉岡絡みのエピソード)、シリーズの売りなのでこれはこれでいいと思う。 前作から5年も時間が流れてしまったけど、次回は何年になるんだろ? [ブルーレイ(邦画)] 3点(2012-11-08 01:54:03) |
7. お茶漬の味
倦怠期を迎えた年配夫婦の姿を、小津らしい演出で描いた作品。 鉄仮面でいかにも気難しそうな佐分利信が、恐妻家の役を演じているギャップが楽しい。 逆に奥さん役の木暮実千代は気の強そうな容貌をしているので、こちらは優しい顔つきの淡島千景あたりが演じたほうがもっと楽しめたかも。 "お茶漬"を小道具代わりに、夫婦の機微をさらりと描く。 うまいですね。センスのよさに思わず溜息が洩れました。 ラストはややクドくなったけど、こちらもさらりと終わったほうがよかったのでは? [DVD(邦画)] 7点(2012-10-28 20:56:08) |
8. 鴛鴦歌合戦
邦画発のミュージカル映画。しかも時代劇オペレッタ。 もちろん海外同ジャンル作品のハイセンスさとは比べようもないけど、"粋な" ミュージカル映画なんて、生まれて初めて観た。 曲数は異様に多く、片岡千恵蔵や市川春代はもちろん、志村喬までがんばって歌ってます。 愉快、痛快、何も言うことはなし。理屈抜きに楽しむ娯楽映画。 [DVD(邦画)] 8点(2012-10-08 12:04:08) |
9. 男はつらいよ 寅次郎真実一路
今回はマドンナが人妻ということでやや抑え気味だが、 相変わらず、寅さんの行動やセリフがハチャメチャで面白い。 マドンナの夫役、米倉の哀愁感たっぷりのキャラが対照的で印象深かった。 何も考えずに楽しめる国民的映画。 [地上波(邦画)] 4点(2012-10-01 08:38:56) |
10. 狼たちの午後
実話をベースにしたドラマということで、強盗犯と人質になった行員との間で、 人間ドラマ的な要素が展開されるのかと思ったら、やはりパチーノの役者として魅力を前面に 押し出した作りの作品だった。決して凶悪ではない彼の人間臭いキャラを通し、当時の社会情勢や "アメリカ"がよく伝わってきます。実際の犯人はただのイカれた奴だったんだろうけど、 ここが本作の一番の妙味でもあるかと。映像はあまりよくない。 [DVD(字幕)] 6点(2012-09-01 02:59:24) |
11. 女の園
ドイツ映画「制服の処女(1931)」がモチーフになっているのか、内容はほぼ同じも、 ストーリーの厚みはこちらのほうが上。著名な出演女優さんたちの各エピソードも隔たりなく、 バランスよく描写されている。構成、映像、演出ともによく、テーマも十分伝わった。 ただ高峰秀子の役柄がとても女々しくてネガティブなので、総体的に重苦しい雰囲気は漂わせる。 彼女のキャラ自体が、ストーリーのキーポイントになっているので仕方がないんだけど・・・。 鬼教師兼寮長の高峰三枝子が好演。 [DVD(邦画)] 6点(2012-08-25 06:03:28) |
12. おにいちゃんのハナビ
タイトルと冒頭の部分だけでラストが見えてしまう、とてもストレートな作りの映画。 主演の二人が好演、特に妹役の女の子がとても明るく、頭を丸めているせいか、 アイドル女優に見られがちな気取りがなくて、自然体で演じているという感じだった。 ロケーションもいいのだが、後半から徐々にベタな演出が目立ち、終盤からラストにかけては さすがにうんざり感が・・・。寡黙な父親役演じる大杉蓮も、こんな見せ方じゃもったいない。 兄思いの妹の描写が印象的な作品だった。 [DVD(邦画)] 4点(2012-07-06 02:56:44) |
13. 女は女である
単なる男と女の痴話喧嘩を描いた内容なれど、カラフルな色彩にポップな映像演出と、 遊び感覚を目一杯詰め込んだ娯楽性の高い作品に仕上がってます。 明るく楽しいコメディーということで、ゴダール作品の中では比較的取っつき易いのかな? フランス映画が好きな人、特にヌーベルバーグ好きには十分満足できる映画かと。 [DVD(字幕)] 5点(2012-05-24 08:57:21) |
14. 女はみんな生きている
タイトル通り女性向け、女性の解放といった内容の映画。 ヒロインたちの状況設定はかなり極端だなという印象もあるけど、 そのぶんテーマは判り易いし、ややコメディー・タッチの流れなので、あまり気にならないかと。 専業主婦と娼婦という組み合わせが面白いし、男どものダメダメっぷりも笑える。 キャスティングも、チャラチャラした俳優が出てないのがいい。スカッとしたい女性にはお薦め。 もちろん男性も、それなりに楽しめる作品かと思う。 [DVD(字幕)] 5点(2012-02-20 06:07:09) |
15. 女のみづうみ
タイトルから連想できるように、不倫を題材に「女の性」を描いた作品。 淡々としたセリフの掛け合い、心象描写を表現した峻烈なモノクロ映像や演出と、 ふっとフランス映画を思わせるような、それでいて邦画独特の泥臭さも残している、 一風変わった面白い作品に仕上がってます。ストーリーに多少のもっさり感は否めないけど、 女の性と女を性の対象として見る男との対比が、妙味を感じさせてくれる映画だった。 [DVD(邦画)] 6点(2012-02-14 02:11:25) |
16. 女教師
学園を舞台に、女教師へのレイプを題材にした清水一行原作のドラマ。 永島映子は好きな女優さんだけど、普通っぽさがこの役柄にはぴったり。 彼女をレイプする教え子が古尾谷雅人、他にも結構有名どころの役者さんが顔を揃えてます。 原作がしっかりしているのか、教育現場の問題点、レイプされたヒロインの苦悩、 少年側の心情などもそれなりに描かれているが、意味のないエロシーンがやたら入ってきて、 やはり中途半端さは否めなかった。にっかつだから、しょうがないんだけど・・・。 [DVD(邦画)] 2点(2012-02-04 19:33:18) |
17. 鬼教師ミセス・ティングル
「スクリーム」の脚本家の監督作品ということで、そっち系統の作品かと思ったら、 サスペンス・コメディー?はたまた青春映画?というちょっと変わった展開を見せる映画だった。 結果的にどっちつかずの内容になってしまった感があり、オチなどはとても後味が悪かったが、 鬼教師役の女優さんのキャラがとても際立っていて、彼女の存在を知れただけでも、 鑑賞した価値があったかな。学園物ということで取っつき易いし、場面もあちこち飛ばないので、 気楽に映画を鑑賞したいときにはいいかも。 [DVD(字幕)] 4点(2012-01-06 06:02:05) |
18. オフビート
主演のジャッジ・ラインホールドは好きな俳優さんで、結構期待したのだが、 見事に肩透かしを喰ったコメディー映画だった。設定が今一つピンとこないうえに、 音楽やロマンスを絡ませたストーリー展開が、中途半端で空回り・・・というか、 平たく言えばつまらないです。笑えるシーンの少ないドタバタ劇、 コメディー映画は難しいんだなという印象を抱いた内容の作品だった。 [ビデオ(字幕)] 2点(2011-12-08 18:20:21) |
19. オンリー・ユー(1994)
ヒロインの設定、冒頭からのお話の流れがあまりにも乙女チックかつ無茶すぎて、 結局最後まで物語に入っていけなかった。主役の二人はとても爽やかでいいんだけど、 ラストの演出も気恥ずかしいし、ラブコメといっても、これはちょっとキツい。 ロケーションはいいので、ローマやベニスなどを観光旅行した気分になれるところはお得かも。 [DVD(字幕)] 3点(2011-12-01 15:40:06) |
20. 狼よさらば
チャールズ・ブロンソン主演ということで、どことなくハードボイルドの雰囲気漂うが、 主人公の心情を核にした、一応人間ドラマのジャンルなのかな?といった内容の作品。 中盤以降の展開やラストの結末などは、合点がいかない人もいるかとは思うけど、 ちょっと考えさせてくれるドラマには仕上がってます。主人公に感情移入できるか否かも、 鑑賞者によってまちまちかと。映像演出は、昔のテレビ映画という感じで観易かった。 [地上波(吹替)] 5点(2011-11-28 08:13:31) |