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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

●今週のレビュー
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1.  彼岸花
いいですねー、京ことば。主人公一家と京都の親戚母娘の会話の両極端なテンポがもたらす絶妙なリズム。両者ともに、より際立っていました。静かなる紳士ぜんとした男が唐突にわいた娘の結婚話しにイライラし、物分かりの良い妻にも意見され、「おい!うるさい!ラジオ消せ!」と怒鳴るシーン。怒鳴られたことによる困惑のなかで、夫の心情を察して微かな笑みを浮かべる妻。ウチだったらギロッてにらまれて1週間は口を聞いてもらえないことまちがいないだろう、、ということで、苦々しくも羨ましい、でもやっぱりいいなぁと思えるシーンでした。小津の他の作品のように、同じ部屋でも色々な方向から撮っているんですが、赤いヤカンに代表される小物たちの存在が混乱を避ける目印となり、またその可愛らしい自己主張が心を和ませます。誰もいない廊下の片隅にある赤い座布団の敷いた籐の椅子が、場面の切り替え時に度々映し出されますが、静かな余韻に浸るいい間(ま)を作り出すとともに、最後の最後に妻がその椅子に座る画の伏線にもなっているのには驚きました。小津の映画はこういう驚きに溢れています。
[DVD(字幕)] 9点(2005-06-23 18:20:29)(良:1票)
2.  ピストルオペラ
夢や幻想の部分をあり得ない(現実感の無い)映像で見せる映画はいくらでもあるが、鈴木清順の映画は違う。すべてあり得ない世界。とくにこの作品は顕著。同じワンシーンなのにカットごとに登場人物の立ち位置が変わったり背景が変わったりする。前のカットの画は次のカットにはなくなっています。どんなに細かいカット割をしていてもこれは清順流ワンシーンワンカットなのです。(ワンシーンをワンカットで撮るのではなくワンカットがワンシーン。)そしてこれはどんな芸術分野においても出来ない、映画だからこそ出来る表現。従来の観客にやさしい映画文法をぶっ壊したのはゴダール。壊すことによって映画の表現方法の幅を広げ映画にしか出来ないことの可能性を提示した。清順映画はまさにその可能性を最大限に使いつつさらに「美」で被う。この「美」は監督のセンスそのものでまさに天才の技。これまでの作品でも奇天烈なカメラワーク、あり得ない編集、奇妙な演出に驚かされてきたが、仮に奇を衒うことを目的に作ったとしても毎回毎回あっと言わせるなんて凄すぎる。大正浪漫三部作がいかにも”芸術”って雰囲気を持っていますが、私はこの『ピストルオペラ』で気絶しそうになりました。
9点(2004-10-22 11:51:34)(良:1票)
3.  ヒア アフター 《ネタバレ》 
主人公は死んだ人間と交信ができる。本当にできるのか。冒頭に兄の紹介でやってきた男は第三者の知るはずのない情報を理由に本物だと確信する。つまり本当に交信ができるのだ。この映画のヒロインのように登場した料理教室の女はそれが本物であるがゆえに唐突にヒロインでいることをやめる。その力は主人公を苦しめる。兄を亡くした少年の手をとり死者と交信する。たしかに交信している。一度終わったかと思ったら、そのときの少年の寂しげな顔を見たあとに「まだ何か言ってる」と交信の続きが語られる。ここは本当に交信が成されているのだろうか。主人公の機転で少年を立ち直らせるために話を作ってるってことはないだろうか。何が言いたいのかというと、その力を信じられない人に対してその力を使う場合は過去にあった秘密の暴露をしなくてはならない。一方、端からその力を信じる人にはその必要がない。それが本当なのか嘘なのかはどうでもいい。本当を前提としているから証明がいらない。結果、過去を語らず、未来を語ることができる。「信頼」を前提とした対人関係が示されているのだ。「死後」を共感できる人との出会いは「信頼」から入る対人関係の成立の可能性を意味する。つまり運命の人(の可能性)。よって主人公ははじめて明るい未来へと目を向けるのだ。そのことをあまりにストレートに見せてしまうラストシーンに呆気にとられながら、その強烈な幸福感に泣いた。
[映画館(字幕)] 8点(2011-04-25 16:18:58)(良:4票)
4.  ヒズ・ガール・フライデー
同じくホークス監督の傑作『赤ちゃん教育』ではヒロインのマシンガントークに翻弄されることで笑いをとっていたケイリー・グラントが今回は見事な掛け合いで笑いをとる。セリフが終わらぬまにセリフが重なることの繰り返しに観てるこちらは呆気にとられるしかなくその計算しつくされた怒涛の会話の応酬に感心しきり。元夫婦という設定が活きていて、説明なくても「ああ、あの人の策略ね」「ああ、またやられた」とロザリンド・ラッセルがうんざりぎみにしてやられた表情をするだけで(これがまた楽しい)、スピーディな展開に水を差さないのがいい。言葉のラッシュのガチャガチャ感をさらに煽るグラントの身振り手振りもサイコーにおかしい。ハイテンションに乗じて強引に終わらせるのも「楽しかった~!」という余韻を残してくれていい。こういう楽しい映画を新作で観たいなあ。
[映画館(字幕)] 8点(2009-06-09 13:08:12)
5.  美女と野獣(1946) 《ネタバレ》 
詩人コクトーは詩では表現できない視覚的美の最たるものを見せてくれる。小説家コクトーは小説では表現できないジャン・マレーへの愛を見せてくれる。演劇家コクトーは演劇では表現できない幻想的な世界を見せてくれる。豪華なセットが、特殊メイクが、ジャン・マレーの相対する二役が、カーテンのゆらめきが映画の極致を見せてくれる。そのうえ、シュワッチ(とは言わないが)と空を飛んでいっちゃうんだから、拍手するしかない。
[DVD(字幕)] 8点(2007-05-02 11:46:58)
6.  悲情城市
日本が戦争に負け台湾を撤退した日から、数万人の死者を出した2・28事件を経て台北を臨時首都と定めるまでの激動の四年間をある家族を通して描いてゆく。歴史的大事件を描いた作品は数あれど、その中にあってこの作品ほど人間を映し出した作品はそうはない。あくまである家族の怒涛の四年間を描いており、政治的な事件はその背景でしかなく、しかし背景でしかないその事件が深く深くのしかかり、生活を脅かし、尊い人生を奪ってゆく様が静かに、時には激しく描かれてゆく。戦争そのものも、植民地状態の様も、2・28事件も、蒋介石も出てこない。侯孝賢は大作を撮っても、なにげない仕草を丁寧に、なにげない視線を大切に描いてゆく。それでいて見応えのあるものに仕上がっている。いや、だからこそ、なのでしょうか。丁寧に描いたもののひとつひとつが時代をはっきりと映し出している。歴史大作においてミステリアスな事件の真相やドラマチックな人情劇やダイナミックな騒動を封印できる監督が、今いったいどれだけいるだろう。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-10-11 17:18:39)(良:1票)
7.  桃色(ピンク)の店 《ネタバレ》 
社長というキャラはとりあえず年寄りでえらそうにふんぞり返っていたらそれなりに社長に見えるもんです。でも実際、年寄りでえらそうにふんぞり返ってればみんな社長かと言ったらそうじゃないし、そうだとしても社員はついてこない。この作品の社長は何よりも大切な愛妻を社員に寝取られ(と思って)、そいつが憎くてたまらなく、とうとう解雇してしまう。しかし自殺を考えるほどのショックを受けているにもかかわらず、個人的な憎しみとは別に、解雇した社員の能力を私情をはさまず正当に評価し、でき得る限りの紹介状をつくる。ここに社長としての資質が見事に描かれている。さらに社長が仕入れたシガレットケース(でしたっけ)に関するエピソードや最後のボーイとの会話に人間的魅力をも存分に見せることで、この人だからこそ社長になり得て、この社長だからこそ人がついてきて、この社長の店だからこそこの極上のドラマが生まれる、となる。ルビッチの映画を見てると、傑作って簡単にできるものだと錯覚してしまう。
[ビデオ(字幕)] 8点(2005-06-15 15:05:54)(良:2票)
8.  ピアノ・レッスン 《ネタバレ》 
自分の作品の評価に役者の演技と映像美というのはかなり重きを置いている。そういう意味では完璧に近い作品。なのに10点9点をつけれないのは私が男だからなのだろうか?確かに女性に対して封建的な時代背景の中、そんな社会を無視するかのような現地の人間に惹かれ自己を確立していく主人公には共鳴できるところもあるが、旦那がピアノを弾く主人公に魅せられ愛してしまうという展開にされるとどうしても旦那のほうに感情移入してしまい歯がゆさを感じてしまう。なので評価の悪い方の意見もわかる気がする。あの生々しい性描写は良かったです。最初は女性の監督なのにと思ったが女性の監督ならではなのでしょう。ラスト(自分で捨てることを決断しておきながらピアノとともに海に落ち、また這い上がる)も最初はよく解からなかったのですが、後に妻に「もし私と子供が崖から落ちそうになったらどっちをたすける?」というベタな質問をされなぜかこのシーンを思い出し解かったような気がしました。身体の一部でもあるピアノが海に落ちていく様を見てとっさに彼女はピアノを選んだのだろう。だが海の中でピアノよりも彼への愛が自分の中で大きい事をあらためて感じ...ということですよね。女なら普通にわかること?えっ?男でもわかるって?失礼しました。
8点(2003-09-19 11:59:30)(良:2票)
9.  羊たちの沈黙 《ネタバレ》 
独房のガラスごしなので大丈夫なはずなのに何かあるのでは!という緊張感、天才精神科医であり異常犯罪者のレクターがFBI訓練生であるクラリスを精神鑑定ならびに治療をしてしまうという展開、そして中盤からの二人の主役の活躍(クラリスはバッファロー・ビルの捜査、レクターは脱走劇)、と見所満載の秀作です。特にガラスごしのシーンでは何かやらかしそうな雰囲気いっぱいなので、後の脱走劇が娯楽映画的にも成功している。ストーリーもサスペンス的な要素よりも二人の微妙な関係に重きを置いているのがいい。
8点(2003-07-22 18:44:28)(良:1票)
10.  必死の逃亡者 《ネタバレ》 
ボギー久々の悪役はやっぱり様になる。この作品はどこにでもある一般的な中流家庭を襲うってところがミソ。だから当然主役のお父さんもまた一般的フツーのお父さん。映画を引っぱるだけの存在感なんてない。ここでハンフリー・ボガートの強烈な存在感が必要となる。抵抗することが強いのではなく家族を守ることが強いのだともってくる父と息子のアメリカ映画らしいドラマが退屈にならずに済むのも、父や娘が外出を許されるという緊迫感を阻害させるような展開でもそれをあまり感じさせないのもボギーから発せられる危険なオーラがあるからに他ならない。手下がゴミ収集車を追いかけに出たり娘と恋人のあれこれがあったりとドラマを盛り上げる各エピソードが多すぎるような気もするがそこから裾野を広げずにあくまで核は家族であり、よって舞台は家であるということを徹底しているところが好感が持てる。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-10-14 17:04:47)
11.  引き裂かれた女
リュディヴィーヌ・サニエが好き。どの映画でもかわいい。そしてエロい。初老のオヤジがこの小悪魔ちゃんに翻弄されるのかと思ったら初老のオヤジの前で小娘と化すサニエ嬢。中年男の夢。なんて素晴らしい。といってもエロい画はスクリーンに映されない。私の脳が勝手に補完して私を悶絶させるのだ。なんていやらしい。シャブロルの映画であることも忘れ、夢の世界にどっぷりとはまる。でもこれもシャブロルの罠だった。いつものシャブロル映画のあっけない終幕が待ち構えているのだ。またしてもやられた。またやられたい。その後のエピローグにはそんじょそこらの監督には真似の出来ない軽やかさがある。常連ブノワ・マジメルがボンボンを好演。
[映画館(字幕)] 7点(2011-09-01 15:43:09)
12.  ヒーローショー
井筒監督の過去作品における「若者の暴力」はどちらかといえば肯定的に描かれてきた。「喧嘩」という暴力。それは暴力であるまえに若者の言語でもあった。そしておそらくは監督自身も経験してきた暴力であったはず。しかしこの作品で描かれるのはひたすら「負」でしかない暴力だ。コミュニケーションもなければモラルもない。拳の痛さは金属バットから伝わる鈍い痺れへと鈍化し、集団でしか行動できず、一方的な暴力しかなく・・そう、もはや喧嘩ですらない。この映画を見る前、舞台が東京であることにかなりガッカリしていたのだけど見て納得。監督は「今」の若者をはじめて描いてみせたのだ。その「今」の象徴が東京なのだ。バーチャルな妹も「今」を表すアイテムに過ぎない。そして「今」の若者、「今」の暴力に怒っている。ちゃんと喧嘩せえやと。ちゃんと成長せえやと。井筒のおっちゃんは怒っているのだ。その熱い想いが鬱陶しくならない程度に染み渡っていい感じ。
[DVD(字幕)] 7点(2011-05-10 16:09:27)(良:2票)
13.  ヒッチャー(1985) 《ネタバレ》 
スピルバーグ『激突!』を彷彿させる執拗且つ不条理な展開にバイオレンスとアクションが加わる。おそらくシナリオだけ見たらえらくチープな三流映画だ。不条理から来る恐怖感だって『激突!』にはるかに及ばない。にもかかわらずこいつは面白い。最大の立役者はもちろんルトガー・ハウアーだ。殺人鬼なのに狂気を見せないその人間離れした表情は『ブレードランナー』のレプリカントのよう。殺人鬼の最期もまたそれが定めだと言わんがごとく死ぬために戦ったレプリカントを彷彿させる。そしてその姿を捉えた映像がとにかくかっこいい。靄の中に浮かぶヒッチハイクするために親指をつきあげるその後姿。クライマックスのロングコートにショットガン。そのどれもが広大な荒野を背景に絶妙の構図に収まる。ハウアー無き後のラストカットはそのかっこいい構図にC・トーマス・ハウエルが車とともに収まる。シブイねえ。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-10 15:34:52)
14.  ビリー・ザ・キッド/21才の生涯 《ネタバレ》 
パット・ギャレットが撃たれるシーンから始まるのだが、これから始まる物語が過去のことであり、その「過去」である物語の冒頭と「今」であるパットの最期が何度も切り返されるオープニング、この構成がめちゃくちゃかっこいい。そして原題どおりのパットとビリーの物語が始まる。このオープニングが秀逸なのはかっこよさだけではなく「死」へと向かう物語であることを予告しているからでもある。法などあって無いような時代がいよいよ終焉を迎えようとする西部開拓時代の末期、同じ穴のむじなの二人が保安官と無法者として対峙する。しかし同じ穴のむじな。二人ともが死へと向かうことに抗うことができないその切なさが漂う。そのことを代弁するボブ・ディランの「天国への扉」。ここにバイオレンスの巨匠はいない。いや、ペキンパーはたしかに暴力をスローモーションでショー化してきたが、その暴力の中に悲哀を込め続けたのも確かなのだから、これこそが彼の真髄なのかもしれない。ちなみに見たのは「特別版」。
[DVD(字幕)] 7点(2010-02-18 16:13:18)
15.  人のセックスを笑うな
ヌードモデルとして服を脱がせてゆくところにしてもチュッチュチュッチュとキスするところにしても布団の取り合いにしても、はたまた好きな男が自分ではなく別の女とラブラブなのをつまらなそうに傍観する女も、その女を好きな男がさらに遠慮しがちに見守る視線にしても実に生々しい。生々しいのだけど、それらはけしてリアルだから、自然体だから生々しいのではなく、むしろ反対に、一見恋人同士にしか理解できないような内々のラブラブをカメラの前で女優と男優が恥ずかしげもなく、いや、恥ずかしさが微妙にあるからこその生々しさであり、けしてユリとみるめの恋愛が生々しいのではなく、ユリを演じる永作とみるめを演じる松ケンの擬似恋愛が生々しい。そして、えんちゃんではなく蒼井、堂本ではなく忍成の立ち振る舞いが生々しいのだ。この、演技ではなく俳優たちの素が出ているような感じは井口監督の前作『犬猫』にも言えるのだが、演じるものが「恋愛」になることでより生々しさがわかりやすく画面にこびりついているような気がする。ドキドキした。こういう偶然撮れちゃったような奇跡的な画を意図的に普通に撮っちゃうってのが凄い。
[映画館(邦画)] 7点(2008-04-10 11:45:15)(良:1票)
16.  日陽はしづかに発酵し・・・
荒唐無稽なファンタジーともいえるが、単純にそう言ってしまってイメージできる範ちゅうを超えている。旧ソ連から現ロシアと近隣の小国に連なる歪んだ近代史が原型としてあるだろう、その独特の終末世界観は、荒唐無稽でありながら実に生々しく、登場する人間も生々しくもありながら実に「死」に満ちている。映される舞台は閉鎖的だが、画面は恐ろしいほど奔放である。そして色彩・・ソクーロフの何が凄いって、ソクーロフの作品それぞれが別個の独創性を持っていることだ。色彩はその独創性に大きく貢献している。これを観たときは、処女作『孤独な声』に衝撃を受け、その余韻も冷めやらぬうちに続けざまで観たせいで、また、あまりに異にする作風に戸惑いながら観たせいで、作品よりもソクーロフの才能に驚愕してしまったのだが、それゆえにもう一度観直したい映画。
[映画館(字幕)] 7点(2007-10-15 15:01:45)(良:1票)
17.  陽のあたる場所
物語は金で目がくらみ人間らしさを見失ってしまったための悲劇、つまり資本主義を糾弾したものがベースにあるのですが、カメラはメロドラマを捉える。その背景には撮影時の赤狩りに対処したという事実があるらしいのですが、まちがいなくエリザベス・テイラーの美貌がメロドラマへの欲求を加速させています。そして訪れる、肩越しから超どアップで捉えたチュー!!映画史上に残る美しいキスシーン。リズの美貌があのシーンを可能にし、あのシーンがリズのその後の活躍を確約したといっても過言ではないと思う。そして物語はこのシーンへ向けて進み、このシーンが余韻としてその後のシーンに影響を与えている。
[DVD(字幕)] 7点(2007-03-23 13:28:55)(良:1票)
18.  拾った女
スリとすられる女、そしてそれを見ている男、と主要な人物が交互に写されいきなりサスペンスを盛り上げるオープニングシーンは電車の揺れの再現、窓からの光、新聞紙などの小道具の使い方も含めて何気ないけど完璧に観客をひきつける。この映画はストーリーもじゅうぶん楽しめるがストーリーを堪能しなくても楽しめる。まずなんといってもテンポがいい。テンポがいいから唐突なラブシーンにも酔える。印象深いシーンは多々あるがコミカルな部分を背負っていたタレコミ屋の老女がゆっくりと大げさにクローズアップされてゆくシーンがとりわけ印象に残る。彼女のコミカルな会話が走馬灯のように蘇り彼女の人生、はたまた下層級の生活の厳しさまでもが浮き彫りにされてゆくというとんでもなく素晴らしいシーンです。娯楽映画としてのツボをおさえた作品であると同時に細部へのこだわりに満ちた作品です。
[映画館(字幕)] 7点(2006-07-07 11:50:13)
19.  ヒストリー・オブ・バイオレンス 《ネタバレ》 
『ヒストリー・オブ・バイオレンス』・・「暴力の歴史」から連想するのは「戦争」。この作品で戦争が語られることはない。でもその根源となる暴力のアメリカにおけるスタンスが露呈されていると思う。そもそも暴力によって獲得した地、、アメリカの歴史は暴力と切っても切り離せない関係にある。暴力が描かれているのに嫌悪感を抱かせないつくりになっている「西部劇」の構成をそのまま現代へ転化させ、家族を守るという大儀を与えられた主人公がとてつもなく強いガンマンさながらに超人的強さを見せつけながら敵を倒してゆく。冒頭で見せたモーテルでの暴力の醜悪さとは異にする「正しい暴力」によって。しかしこの映画は暴力を肯定していない。『許されざる者』のイーストウッドがそうであったようにモーテンセンの顔もまたただの人殺しの顔だ。暴力の世界にいた者は暴力に誘われる。暴力には暴力で解決させることしか出来ない。アメリカが抜け出すことの出来ない暴力の連鎖が描かれているように感じた。息子の「暴力の目覚め」もまたアメリカの抱える遺伝子の継承を意味しているのかもしれない。ラストシーンは感動的だ。しかし暴力を許さざるをえないアメリカを象徴しているようでもある。
[映画館(字幕)] 7点(2006-06-05 12:16:49)(良:3票)
20.  昼顔(1967)
まず夢がなんともエロチックなわけですがこれをどう捉えるかによって解釈が変わってきます。セヴリーヌの潜在的性願望と捉えるのが自然なのでしょうが、はたしてそうだろうか。セヴリーヌは少女時代のトラウマによって不感症となっています。そして夫を愛しています。夢は夫のために不感症を克服したいと願っているセヴリーヌの葛藤の表われではないでしょうか。そう考えるとですねぇ、夢以外のシーンは全て妄想で、不感症克服へのステップとして娼婦としてのわかりやすいステップアップが描かれ、色々な性癖を持った客たちが彼女を治療してゆく、、というのはどうでしょうか。さらに不感症という夫に対する負い目と同じく夫にも妻の介護なしでは生きられないという負い目を背負わせ、最後にはそれまで隠していたことを暴露し、二人に幸せが訪れるという彼女の妄想。全部が妄想と考えれば一番わかりやすくて楽なんですがそんな簡単、、じゃないですよねぇ。見れば見るほど引き込まれる作品です。
[DVD(字幕)] 7点(2005-04-26 17:10:04)
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