1. ブロークバック・マウンテン
脚本に何のひねりもなくてもいい映画は撮れる、ってことですね。映画は差別と暴力にあふれ、多くの人びとが貧しい一昔前のアメリカ南部で出会ったゲイのカップルを淡々と描写するだけ。もしもこれが不倫の男女カップルだったら、映画になりようもないどこにでもある話。だけど、その一種キワモノ的なテーマで普遍的な「一組の出会い」を淡々と描くことで「人を愛するとはどういうことなのか」と考えずにいられない。言ってしまえば、最初に禁じ手というか反則を使っているようなもの。それが映画の価値を落とすものではないと思うけど、大衆芸術たる映画の手法としては万人受けするものではなくなる結果を招いたのでは…。アメリカではヒットしたそうですけど、ここ、日本ではアカデミー取ったのに客席はがらがら。テレビ放映も難しそうな気がするなあ…。そんな風に考える自分も偏見にとらわれているのだろうか。 [映画館(字幕)] 8点(2006-04-09 22:46:37) |
2. ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]
いやまあ、マンガみたいなんですよ。でも、元がマンガなんだから仕方ない。でも、X-MENほどはアドレナリンが出ないんですよね。う~ん何でだろ。超能力が地味なのかなあ…。ミスターファンタスティックの伸び伸び能力、いまひとつ強さを感じなかったですね。ヒューマントーチもやたら飛び回ってるだけだったし…。まあ、「2」に期待かな? [映画館(字幕)] 6点(2005-09-19 22:27:48) |
3. ブラックバード・ライジング
これ、つくった人の志はきっと高いのだと思います。歩兵戦闘車とか出てきますから、たぶんイタリア軍が撮影に協力したんでしょうね。民族紛争のむなしさとかたぶんいろいろ訴えたいのだと思います。でも…。いかんせん、戦闘シーンが激しょぼでした。派手なパッケージ写真にだまされて「ブラックホークダウン」みたいな作品だと思って借りると、完全に肩透かしをくらいます。 [DVD(吹替)] 2点(2005-06-27 01:36:29) |
4. フォーガットン
《ネタバレ》 私は日本の配給会社の宣伝文句に完全にだまされました。「シックスセンスを上回る衝撃のスリラー(結末だったか?)」だっけか? 映画の最中、私はずーっとあらすじの裏を読もうと一生懸命オチを考えていました。見てしばらくしてから、20年ぐらい前に読んだショートSFを思い出しました。ある日、男が理想の美女と出会う。次々に望みのままの生活を手に入れるが、ある日、美女は去っていく。失意の毎日を過ごす男。ところが、世界の情勢が悪化し、世の中は核戦争へ。人類は滅亡するが、男の生活だけはまるで「いけす」のように安全で平穏なのです。理解不能の事態におびえた男がさまよい歩いていると、釣りをしている男に出会う。男もある日、理想の美女に出会っていた。「なぜ、誰がこんなことを?」と問う男に釣り人の男は答える。「我々が疑似餌で魚を釣り、それを楽しむ理由が魚に理解できるかな?」と。振り返ると、男の背後に黒い箱が浮かんでいて、箱の中からじっとこちらを見ている視線を感じる…というお話。「彼ら」は正体を見せない方がきっと怖かったですよね。 [映画館(字幕)] 5点(2005-06-05 14:56:56) |
5. ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月
ここのレビューを見て、「ああそうか、あそこはあの映画のパロディだったのか」と納得。感謝です。今回のブリジットも大ボケ&大ドジの連発だけど、最初の方はちょっと勘違いと暴走が過ぎるんじゃないの、と引いてしまった。でも、刑務所に入るあたりからだんだんとまたブリジットが好きになり始める。完璧でいつも感情を見せないマークのめっちゃくちゃなケンカもお約束だけど笑わせる。今回はMI-5まで動かしちゃって、もうほとんどスーパーマン級の活躍。結果として、何度も大声で笑ってしまった。しっかし、レニー・ゼルヴィガーさん、すごい太り方。役作りのためとはいえ、すごい女優根性です。 [映画館(字幕)] 7点(2005-04-11 01:35:24) |
6. プリティ・イン・ニューヨーク
《ネタバレ》 最初の方の感想に同感。ミラ・ジョヴォヴィッチのロマコメ? と迷わずレンタルしたが、主人公の男が何だか「いい奴」に見えないんだよなあ…。最近のアメリカ映画の男ってこんなんが流行ってるのかな。わがままで子供っぽくて、所構わず怒ったりわめいたりする奴。「こんな情けない男だっていつかは運命の人に出会えますよ」というアメリカ版もてない君の妄想を脚本に盛り込んでいるんだろうか。ただ、友達以上、恋人未満の2人がだんだん互いの気持ちに気づき始めるというあらすじはメグ・ライアンとビリー・クリスタルのあの映画みたいで楽しかった。ミラが遠回しに自分の気持ちを伝えようとしたり、オーウェンに昔の恋人から電話があった時にぐっと嫉妬をこらえたりする表情がかわいい。聞いたことないレーベルだし、インディ系の制作なんだと思いますけど、ほのかなB級感があって楽しめました。口が大きくて金髪で胸の大きな典型的アメリカ美人のデニス・リチャーズ(もちろん悪くない)と比べると、スレンダーでタイプがまったく違うミラの美しさが対照的で、うまい配役だと思った。デニス・リチャーズがあそこまで性格が悪くなかったら、どっちを選ぶか相当に悩むだろうなあ…と、そこだけは主人公の男に感情移入できる。まあ、そんな出来事は彗星が衝突して地球が砕け散っても、私には起こらないだろうが。 6点(2005-02-08 16:52:26) |
7. フルメタル・ジャケット
キューブリックは「2001年宇宙の旅」で人類が道具と出会い、道具を通じて「進歩」を経験する様を描いた。「じゃあ、道具(テクノロジー)をなくしたら、人類そのものの存在は進歩してるのかい? 結局、猿(類人猿)の殺し合いと同じレベルのままじゃないか。だけど、そうであってほしくない。いずれそうではなくなるはずだ」という願いを込めたのだろう。この映画は(今現在も)「猿同士の殺し合い」から進歩できないでいる人類がヒトそのものすらを殺人の道具に変える様を描いた。イギリスで撮影されたというベトナムの市街戦のシーンは迫力満点で戦争映画ファンの鑑賞眼にも耐えるものだろう。戦争からも30年以上が過ぎているのに、この戦闘シーンは今、毎日テレビニュースで放送されているイラクの市街戦の場面とダブる。武器=道具(テクノロジー)は変わったが、人類は何ら進歩をとげていない。キューブリックの突き放した、冷たい視線を感じる。地球で最も強い猿グループを率いるリーダーは不思議なことにホントに猿のような顔をしている。 9点(2004-11-13 13:09:42)(良:1票) |
8. ブラザーフッド(2004)
《ネタバレ》 早くに亡くなった父親代わりに弟の面倒を何くれとなく見る兄、戦場で命乞いをする敵を撃ち殺せない心優しい弟のお涙頂戴映画か…と最初の方で思ったが、後半はどんどん重くなる。弟を除隊させたいばかりに鬼神となって敵と闘ううち、人の心を見失う兄、その兄の変わり様に心を痛める弟。守るべきものをすべて失った後、兄は本当に人の心を失ってしまう。だが、心優しい弟が命がけで戦場のまっただ中へ飛び込んでいき、餓鬼のように人を殺し続ける兄を再び人の姿へ引き戻す。心を取り戻した兄は再び身を捨てて弟を救おうとする。だが、私は兄も弟に救われたのだと感じた。故郷の友達、同じ民族が殺し合い、憎しみ合う、吐き気がするような凄まじい負の感情がスクリーンを覆い尽くし、頭がくらくらするようです。だけど、兄弟が再び互いの心を理解し合う場面で何とも言えない「癒し」があふれる。感心したのは、ことさらに政治的なメッセージを打ち出していない点(マーケティング上の判断かもしれないが)。反共、反米、反日、何がが突出してる印象はなく(韓国や北朝鮮の人が見たらどうなのか分かりませんが)、そこがかえってリアリティを感じさせる。国で一番の売れっ子俳優を使って、こんな骨太な映画がつくれる韓国のパワーにも脱帽。場面の切り替えがややせわしなく感じたり、ちょっと突っ込みたくなる所もあったけど、久々に涙腺を乱れ打ちされた。しかし、遠い過去の出来事を描いた物語ではあっても、同じようなことは今も海の向こうのどこかで続いており、朝鮮半島は今も分断されているという現実を思い出し、ふと我に返る。いろいろなことを考えたくなる映画でした。 8点(2004-07-03 10:32:22) |
9. プロフェシー
《ネタバレ》 蛾男? の正体がさっぱりわかりまへん。何か意味ありげな変な角度からのショットとか、突然「ドン!」って大きな音で驚かせるあたり、どっかのインド人の監督さんの手法に似ているようで気になります。オチはそれなりに考えてあるんだなあ…と思ったけど、結局、蛾男ってどんなモノで、何をしにやってきたのかさっぱり分からないので、某インド人監督の最近の駄作と同じく、「えっ? これで終わり?」という座り心地の悪さが残りました。アメリカでも日本でもヒットしなかったんじゃないですか。大衆をバカにしてはいけません。 2点(2004-05-17 23:12:08) |
10. プライド・運命の瞬間
この映画の評価は政治的な思想に左右される面もあるはず。いろんな先入観をもって見てしまう映画でもある。だが、私はこの映画を評価する人もしない人も認めた上でこの点数とします。敗戦国が勝者によって一方的に裁かれる映画として、有名な「ニュルンベルク裁判」という映画があります。若きマクシミリアン・シェルが敗戦国ドイツの弁護士として戦犯の弁護にあたり、法廷で堂々と連合国の正義の欺まんを突く弁舌でアカデミーを取りました。見たのがずいぶん前なので、完全にはストーリーが思い出せないものの、一見ナチスを弁護するかのようなシェルの演技で、なぜユダヤ資本が支配するハリウッドの映画界でオスカーを取れたのか疑問でした。その疑問が「真実のマレーネ・ディートリッヒ」という映画を見て氷解した。ニュルンベルク~ではディートリッヒ扮するある女性(確か戦争未亡人)が「ドイツ一般市民はユダヤ人の虐殺を知っていたかどうか」という問いに、劇中では「もちろん知らなかった」と答えるのですが、撮影中にディートリッヒ本人はその台詞を言うのを当初拒否したというのです。しかし、共演の俳優が「ナチスと闘った君が言うから観客は(それを)信じるのだ」と諭したというのです。ドイツは赦されたわけです。歴史的事実、どのような国家的行為があったか詳細には知りません。だが、罪を受け入れ赦されることを「許された映画」だからこそ、シェルの弁舌が感動を呼び、ディートリッヒはドイツ人を免罪する台詞を述べる必要があったのではないでしょうか。かたや、この映画。きっと、観客が感じるべきものは、どこかできっと共通しているし、切り口や作りようによっては、思想に関係なく大勢の人々に感動を与えたはず。ですが、結果はこの通り。片方は歴史に残る名作であり、もう一作は政治的プロパガンダとの色眼鏡で見られる迷作です。邦画として歴史に名を残したとの評価も聞いたことはありません。戦争の被害と加害、政治的立場を超えて感動を呼ぶ内容であってほしかったが、そうではない。そこは日本国民のひとりとして残念でもあるし、恥ずかしくもあります。 3点(2004-04-01 20:44:16)(良:1票) |
11. ブラックホーク・ダウン
戦争映画好きとしては、評価したい部分もあるし、ストーリーもよくできてると思う。だけど、リアリティがあっても感動はない。そこが「プラトーン」や「フルメタルジャケット」やあまたの<歴史に残る>戦争映画と一線を分けた気がする。戦争映画なのだから、人類の最も愚かな行い、戦争を描くのだから、何かメッセージがほしい。それがなくては「アクション映画」なのだが、この映画は見ているとやはり痛々しく、辛い。だから「戦闘映画」とでも呼ぶべきものなのだろう。アメリカ万歳というメッセージはそろほど色濃くないのかもしれないが、しかしながらその愚かな行為を戒めるメッセージもない。どこがどう、とは指摘できないが、惜しい所をかすってる気はする。本当はいい点を付けたい気もするが、あえてこの点に。 3点(2004-03-23 23:33:47)(良:1票) |
12. プラトーン
《ネタバレ》 最初に映画館で見た時、エリアスとバーンズが対立した村の作戦の後、兵士たちが村に火を付けて、小さな子供なんかを抱えて重い足取りで立ち去る場面で、何だか無性に涙が出たのを覚えてます。みんなが「止めた方が良い」「ない方が良い」と思っているのに、どうしても止められず、なくならない戦争。人間の業の深さを象徴してる場面のような気がしました。このレビューでも分かれてますが、私は個人的にはエリアス派かな。映画見ながら、「こんな上司がいる会社で働きたいなあ」と思ったものです。 9点(2004-01-02 22:55:14) |
13. ブルース・オールマイティ
ジェニファー・アニストンが好きなので見に行きました。ジム・キャリーの演技って、大げさな上に「俺っておもしろいだろ?」的な自信過剰が鼻について、私はほとんど笑えないんです。唯一おかしかったのは、ライバルのキャスターが滅茶苦茶な言葉をしゃべるシーンだけど、あれはジムの演技じゃないし。最初から最後まで、主人公のわがまま身勝手さにまったく共感できませんでした。前半の主人公の立場が神様を呼び出したくなるほどの挫折に感じられないからです。それに、改心? した後もそんなに良い奴になってる感じもしませんでした。自分のせいで大勢の人にものすごい迷惑をかけていることにまったく思いが至らない主人公がどうしても「ただの嫌な奴」に見えてしまう。それに、前半の段階で既に「こんな彼女がいたら十分幸せだろうに…」って思えてしまうんですけど。 3点(2004-01-02 18:55:05)(良:1票) |