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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2251
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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1.  プレステージ(2006) 《ネタバレ》 
張り巡らされた伏線が次々と回収されていく終盤の快感はまさに絶品。印象的なシーン(潰された鳥、無数のシルクハット、そしてボーデンの台詞の数々等)が脳裏にフラッシュバックされます。はたと膝を打つ感覚が堪りません。“プレステージ(偉業)”、その一瞬の為に“多大な犠牲を払う”主役2人の生き方の対比がドラマのメインストリームでした。ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベイルが濃厚な人物像を見事に体現してくれています。唐突なSF設定があまりに荒唐無稽ゆえ、拒否反応を示す向きもあるようですが、よく考えれば本作は奇術師の映画。マジックのタネにケチをつけるのは粋ではない気がします。例の流行の映画ではありませんが、“ありのままに”受け入れるのが正しい鑑賞姿勢かと。所謂『難解』映画とは一線を画しますが、解釈に幅があり、かつ奥行が感じられるのが素晴らしいところ。思う存分物語の“裏側”を推理推測して愉しんでください。その中でも最重要ポイントと思しきものは次のとおり。ステラが発明した“瞬間移動マシン”の隠された効用に最初に気づき、実用化したのは一体誰だったのでしょうか?
[CS・衛星(字幕)] 9点(2014-06-24 18:57:23)
2.  フィッシャー・キング 《ネタバレ》 
罪の意識を負いながら、罰が与えらないこと。贖罪が叶わぬことは、罪の重さを知る者にとっては最大の罰です。理不尽な形で愛する者を失うこと。これもまた神から罰を与えられたようなもの。ジャックはともかく、バリーには何ら非がありません。しかしこういった悲劇が突如降り掛かるのも現実です。重い罰を与えられた2人の出会いは、単なる偶然か、あるいは神の配剤か。いずれにしてもこの出会いが、2人の人生を動かします。瀕死の状態の彼らを救った“癒し”。それは聖杯に象徴されます。もちろんウソ聖杯にその力はありません。彼らにとっての聖杯は、恋人の支えであり、友情でした。心を傷つけるのも人なら、癒すのもまた人。もっともジャックは後悔の念を、バリーは妻を失った悲しみを、一生負い続けるのは変わりません。真のハッピーエンドは、本作には存在しないのだと思います。しかし2人は罪に対する“許し”を得ました。僅かな許し。でもそれが生きる力になるのだと思います。重いテーマでありながら、自分は楽しく、そして正面から物語と向き合えました。脚本が抜群に素晴らしい。駅の舞踏会、夜の公園シーンを、忘れることはないでしょう。
[DVD(字幕)] 9点(2007-02-25 00:19:04)
3.  プリシラ(1994)
3人のショウパブのおかまを乗せて荒野をひた走る大型バス「プリシラ号」。目指すは遥か彼方の田舎のホテル。ステージの依頼があったから。彼女らに降りかかる、いや巻き起こす、アクシデントなんて何のその。だってあたしたちは天下御免のドラッグクイーン。おかまに怖いものなんてありゃしない。何時でも何処でも、あたしたちはあたしたち。主人公は社会的マイノリティであるおかまさんです。都会の空虚な空気の中では泳げても、田舎の保守的な空気の中では泳がせてもらえない様を、哀しくも可笑しく、そして繊細に描いています。心を傷つけられても、あっけらかんと振る舞い、前向きに生きる彼女たちの強さに触れると、自分も頑張らなくてはと思えてきます。全編下品のオンパレードですがどこか上品。きっと彼女たちの生き方に品があるからだと思います。主演3人の熱演、ぱちぱちのメイク、ど派手な衣装、口パクのステージに魅了されてください。気が付くと自然に顔がほころんでいる、オーストラリア発の素敵なロードムービーです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2006-05-24 18:01:18)(良:1票)
4.  FALL/フォール 《ネタバレ》 
ネタバレあります。ご注意ください。  2人が塔の上で取り残された時点で残り時間60分と知り頭を抱えました。「詰み」の状態からあと1時間も何を見せられるのかと。延々と回想だったり懺悔だったりは御免だなと感じておりましたが、なんと!なんと!!サバイバルサスペンスとしての「展開」が多数用意されていました。しかも『大ネタ』まで仕込む抜かりなさ。いや私もあの時は「そんなの無理だろ」と突っ込んでいたんですよね。思わず声に出して。でも火事場の馬鹿力(米国だとファイヤーフィールドのシットパワーですか?)なんて言葉もありますし渋々納得していたところ。ですから真相が明かされて膝を打ちました。 喩えるなら、エベレスト山頂でフルコースを供されたような驚き。見事なエンターテイメント性に感心しました。さらに素晴らしいのは物語の芯にテーマが一本通っていたこと。それはもうTV塔のように真っすぐと。『チャレンジの価値』『生きるには覚悟が要る』これらを雄弁に物語る終盤怒涛の畳みかけに痺れました。エンディングも申し分なし。この手のソリッドシチュエーションスリラーでは、結構平気でバッドエンドが用意されていたりするので内心冷や冷やでした。絶体絶命の大ピンチで本当に絶命さる脚本なんてクソくらえなんだよ!失礼しました。取り乱して下品な言葉を使ってしまいました。脚本家の皆様の苦労も知らず勝手な事を申しました。お詫び申し上げます。 「どうせ迷惑系配信者の自業自得の災難。設定も出オチみたいなものだし期待できないな」と高を括っていたせいもありますが、予想外にハイクオリティな作品に驚いた次第です。最後に褒めてばかりも何なので、バランスを取るために若干の駄目出しを。クライミングを趣味にする人間があの体脂肪率のワケがない。以上です。
[インターネット(吹替)] 8点(2023-10-07 02:18:21)
5.  BLUE GIANT 《ネタバレ》 
原作既読。というより大ファンです。大好きな故に、期待より不安の方が大きかったのですが・・・杞憂でした。大変素晴らしかったです。特にライブシーンの映像表現、そして何より音楽が。身体を震わせるジャズの音圧は自宅では味わえぬご馳走。これは劇場で観て正解でした。ずっと観ていたい(聴いていたい)と思える120分。あっと言う間でした。物語についても原作の魅力を理解しており好印象。やはり「一生懸命」は胸を打ちます。ずっと半泣き状態でした。玉田はもっと評価されていい男です。原作エピソードの取捨選択については概ね納得出来ました。問題はクライマックスの変更部分。これはファンなら賛否両論出るだろうなと。あれはある意味ファンタジー処理だったと考えます。救いがあり感動もありますが甘口に味変しているため、苦味を知る(原作の結末を自分なりに昇華した)ファンからすると「それは違うんじゃないの」と感じるかもしれません。「観客の望みを汲み取り区切りを付けた」変更の意図は理解できるものの、JASSのドラマは続編できっちりフォローしているため、余計なことしたな感は拭えません。熟成する前に出来立てワインを開けてしまったような「勿体なさ」を感じる訳です。まあ、好みの問題でありファンならではの拘りの範疇の話でありますが。 それにしても本当に音楽が想像以上でした。ジャズっていいなと思わせた時点で映画化した意味は十二分にあったと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2023-05-13 17:16:40)
6.  プリデスティネーション 《ネタバレ》 
もし本作が『フォレスト・ガンプ/一期一会』と同じ日本の配給会社だったら『プリディスティネーション/一人相撲』だったに違いない。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-05-05 11:16:59)(笑:2票) (良:2票)
7.  プリズナーズ 《ネタバレ》 
ネタバレしています。未見の皆様ご注意ください。  タイトル『プリズナーズ』は、主にキリスト教に対する“囚人たち”を指すと思われますが、私はこの分野で語るだけの教養を有していないため、キリスト教を一般的な“価値観”(ルールあるいは思想でも構いません)に置き換えてみることにします。それでも大筋は変わらないと考えます。 『囚人たち』は、特定の誰かではなく全ての人々を指すもの。社会生活を営む人間は、必ず所属するコミュニティ共有の価値観に“囚われて”生きているからです。これが前提。しかし本作では圧倒的多数が支持する価値観(=法律)に沿わない者が現れました。誘拐犯と主人公です。ここで注目したいのは、彼らが価値観を無視した理由。2人とも自らの内なる価値観を優先させたのです。そう、私たちは単一の価値観のみに縛られている訳ではありません。時に相容れない複数の価値観に囚われて生きています。要は、どの価値観を優先させるかの問題。誘拐犯の価値観は論外ですが、主人公が優先させた価値観は多くの人々の共感を得る事が出来るでしょう。“我が子の命を守る”は金科玉条。水戸黄門の印籠クラスの威力を持ちます。しかしながら、同等以上の価値を有するのが“私はあなたを殺さないので、あなたも私を殺さないでください”の対人相互不可侵の約束。人が群れて暮らす上で最初に必要だった原始のルールで、いわば基礎の基礎。最上位に置かれる“価値観”です。ですから、主人公が優先させるべき価値観を逆転させたと感じた時、私たちは「遣り過ぎだ」「それは無い」と判断した訳です。 因果応報が尊ばれるのが映画の世界。対人相互不可侵の大原則を破った主人公がキツイお仕置きを受けるのも道理です(注:これまでの主人公の行動に従えば、真犯人の目星がついた時点で問答無用で拘束すればいい話。映画のルールに則って、彼はあえて罰を受けたと見て取れます)それでも主人公は相手の命を奪う一線は越えていなかったので、彼もまた一命を取り留めたのでしょう。もっとも、普通ならあの笛の音は気づかない。気づけない。気づいた警官こそ法律の象徴であり、彼が蔑ろにした価値観に他なりません。見ようによっては、なんとも皮肉な結末と言えそうです。
[インターネット(吹替)] 8点(2021-06-30 20:27:32)
8.  ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を 《ネタバレ》 
『全編台詞無し』の特異な仕掛けが如何にも洒落臭く、ブラジャーというアイテムの選び方にそこはかとないハイセンス風味を感じ(だってパンティじゃないんですもの。この設定なら普通はパンティでしょうよ)、きっといけすかないおサレドラマなんだろうなと高をくくっておりましたが(←イヤなら観るなって話ですが苦笑)、これがどうして、面白い!きっちり、しっかり、コメディでありました。それも結構なナンセンスぶり。不条理を押し通すために、不合理な『台詞無し』をぶつけてバランスを取る作戦。というか、登場人物に不条理の釈明をさせない為に、台詞を消したのでしょう。これは『Mr.ビーン』でも採用されている手法ですが、かの作品はローワン・アトキンソンという唯一無二のコメディアンがギミックの拠り所として存在しているのに対し、本作は純粋にナンセンス行為そのものを“無言の言い訳“の対象としている分、高難易度な構成と考えます。いずれにしても技ありの、見事な演出法でありました。ヒューマンドラマと社会風刺という二つの山に、ナンセンスコメディを被せた、まさにブラジャースタイルの映画(ちょっと上手いコトを言ったよ!赤面)。主人公が探していたのは、果たして本当にブラの持ち主だったのでしょうか?『幸せの青い鳥』ならぬ『魅惑の青いブラ』に導かれ、主人公が辿り着く至福のエンディングに、どうぞ涙してください。前述したように、やや気取った感もあり、取っつきは悪いかも知れませんが“こんな趣向の映画もある”という意味でも観ておいて損はないと思います。いやー反芻する度、旨味が溢れてくるお麩のような後味。いい映画です。 なお、便宜上鑑賞環境を【映画館(字幕)】としていますが、字幕、ありません。
[映画館(字幕)] 8点(2020-02-17 20:55:58)(良:1票)
9.  ブラックパンサー 《ネタバレ》 
アメコミヒーローもののフォーマットは、どの作品も大体同じ(敵役とのバトルアクション&自らの強大な能力をどう活かすかのイデオロギー論)なので、あとはヒーローの見た目や性格、能力・世界観が趣向に合うかどうかの問題。そういう観点からすると、超好みだったなと。王位継承バトルは『キン肉マン』世代にはドンピシャですし、空は飛べない、飛び道具もない、基本地味で無敵感があまりない能力や、インスタ映えなどしなさそうなルックスは渋くてイイ感じ。そして何より脇を固める女ソルジャーの皆さんがカッコイイこと。このあたりは『ワンダーウーマン』にも共通しますが、鍛えられた肉体美から繰り出されるお姉さま方のアクションには惚れ惚れします。原作を承知していないのですが、妹の天才科学者が次々とお役立ちアイテムを発明するパターンのヤツですかね。本作のヒーローは地味なところが長所だと思いますので、続編製作にあたり、あまり強力な武器とか、えげつないスキルは身につけない方向でお願いしたいです。アベンジャーズ系はほぼ観ていないのですが、本作を契機に観てみようかしら。(以下、声優・百田夏菜子さんについて)吹替版を鑑賞しました。正直、不安は大いにありました。確かに『かいけつゾロリ』では合格点がつけられる(偉そうにスミマセン)お仕事ぶりでしたが、アニメの吹替と実写のそれは、似て非なるもの。生身の人間の場合、まず声に対して経験則が働きます(安田大サーカスのクロちゃんの声が笑えるのは、経験則が裏切られるから)。その点、シュリ役の女優さんと夏菜子さんの顔立ちが似ており一安心。声質で違和感はありません。あとは演技の部分。今まで数多くの人気俳優さん(演技派を含む)の残念な吹替を目の当たりにしてきたので、内心ハラハラしておりました。五感に訴えかけられる演技と、声だけの演技は別物。しかし、嬉しいことに杞憂に終わりました。夏菜子さんが本来持ち合わせている茶目っ気がキャラクターにピッタリ。素晴らしい出来映えでした。勿論、これは夏菜子さんに基本的な声優のスキルが備わっていたからこそ。歌、演技、ナレーション、ギター。最初は下手でも逃げずに挑戦することで身に付けてきた”表現力”が、ここで実を結んだものと考えます。餅は餅屋は正論ですが、大谷だってメジャーで二刀流を目指す時代。欲張ることは罪ではありません。何でもやる、何でもチャレンジできるのがアイドルの強みでしょう。
[映画館(吹替)] 8点(2018-03-05 00:51:23)(良:1票)
10.  フライト・ゲーム 《ネタバレ》 
物語の肝は“もしかして本当は主人公が犯人じゃないか”という点にありました。巧妙な芝居か、あるいは飲酒による記憶錯乱か。いずれにしても彼が犯人である可能性は、真犯人が姿を現す直前まで不明でした。このミスリードが成功したのは、実はリーアム・ニーソン主演の別作品のおかげ(念のため作品名は伏せますね)。役者のパーソナルイメージを利用したワザアリなミステリーだったと思います。娘の死から逃げた主人公が、同じ年頃の少女を救うクライマックスはベタですが泣かせます。リーアム・ニーソンのアクションはセガールよりもスタイリッシュで、個人的にはかなり好みです。
[DVD(吹替)] 8点(2015-09-05 22:51:54)(良:1票)
11.  ファンタスティック Mr.FOX 《ネタバレ》 
キツネ父さんの主義主張は明快です。野生動物らしく生きたいということ。本能に従い、家畜は襲わせてもらいますし、欲しいモノがあれば勝手に頂戴しますよと。元来、そういうナチュラル派人生観の持ち主です。ところが家庭を持つとなると、少々話はややこしくなります。妻子を養う事が人生の最優先課題に変わります。信念に対して妥協を余儀なくされることも。その結果が新聞記者というワケ。でも血は抑えられぬもの。再び、主人公は野生動物の生き方を選択しました。これはもう生き様の問題。本来、他人がとやかく口を挟める問題ではありませんが、巻き込まれる方はたまったもんじゃありません。それでも所属するコミュニティ(野生動物業界、そして家族)から彼が排除されないのは、人徳(狐徳?)の成せる業でしょうか。おそらくキツネ父さんが理想とする野生動物の在り方とは、幻のオオカミを指すのでしょう。大自然の中で、何ものにも囚われず、自由に生きる。それと比べるとシガラミが多く、また人間文化に染まった彼のライフスタイルは、野生動物の美学に欠けるかもしれません。ただし、環境順化を拒否したが故にオオカミは絶滅に瀕したとも言えます。環境に適応しながら、かつ己が信じる生き方を貫き、そして見事に家族を守り切ったキツネ父さんは、まさしくファンタスティックな男という気がします。ただし、私なら妥協しまくってでも、家族を守る道を選びますけれども。『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』ほどアーティスティックではなく、『ウォレスとグルミット』ほどアクションが切れるワケでもない、何処となく垢抜けない印象のクレーアニメ。しかし、それでも信頼のウェス・アンダーソン印。私にとってはお気に入りの一作になりました。
[DVD(吹替)] 8点(2014-06-30 19:58:05)
12.  フッテージ 《ネタバレ》 
(未見の方はご注意ください。ネタバレしています)  ホラー映画の登場人物に対して、こんな風に思ったことは無いでしょうか?「あーイライラする。危機感が無さ過ぎる。そんなんだから、殺されるんだよ」と。私はしょっちゅうそう思います。特にB級ホラーで。本作でも、早い段階でそう感じました。「執筆なんていいから、早く家族を連れて逃げろ」何度心の中で叫んだ事でしょう。ところが、ところが、です!そう思った観客は、全員アウト。主人公より先にお陀仏でした。上から目線で主人公を批判した自分が恥ずかしいやら、悔しいやら。主人公(観客)に判断ミスを犯させる手口が実に巧妙だったと思います。犯人特定のヒントは数多く出されていました。①一家惨殺なのに子供一人だけが行方不明。②殺害過程を撮影したのは一体誰?③腕力の要らない殺し方ばかり。観客の脳裏に、衝撃的な殺人鬼の正体が浮かび上がってきます。そう、これが罠でした。重要なのは“犯人は誰か?”よりも“どうしたら殺されないか”。それなのに恐怖と驚きに支配され、冷静な判断がままなりません。注意深く、思慮深く、情報を吟味して行動出来れば、悲劇を回避することは十分可能だったと考えます(事件現場が繋がっているとの情報は事前に提示されていました!!)。それに謙虚な態度も大切。某副保安官を単なるミーハーの情報屋と見下さず、彼からの電話にすぐ出ていれば……。いやー後味が悪いです。でもこの後味の悪さは自業自得。理不尽ではないので納得出来るのです。(以下余談)フィルム観賞で感染。引っ越しで発症。邪神ブグールの呪殺システムは、まるで感染症です。キャリアの段階ならば、命に別状はありません。ここがミソ。ブグールはあの手この手で家人を怖がらせ、引っ越すように仕向けてくるワケです。では、もしカラクリを見抜き、家に居座り続けたらどうでしょうか。ブグールはルール無視で子供を操ってくる?いや、多分そうはなりません。この手のシステムは規則が絶対のはず。子供が成人するまで、引っ越しを我慢できれば助かる気がしました。もっとも私の場合、機械音痴なので8mmフィルムを見つけても無視するかもしれませんが。
[DVD(吹替)] 8点(2014-05-03 19:28:33)(笑:1票) (良:2票)
13.  50/50 フィフティ・フィフティ(2011) 《ネタバレ》 
日本で“難病もの”と言えば、“最後は主人公が死んで悲しい泣けるお話”と相場が決まっています。一時期邦画で大流行しましたし、夏にTV局発のキャンペーンでアイドル主演のスペシャルドラマが製作されることでもお馴染みです。刺身に醤油、トンカツにソースと同じくらい定番の味付け。ですから本作の軽やかアッサリ風味の味付けは、単純に新鮮でした。泣かなくてもいい難病もの。これだけで技あり。観賞に値すると考えます。【風味=音楽】は軽くても、旨味はしっかり、コクもあるのが素晴らしいです。主演のジョセフ・ゴードン=レヴィットは、今をときめく堺“半沢”雅人を彷彿とさせるアルカイクスマイルが印象的。あの頬笑みは、おそらく心の防波堤。ガン告知前から爪を噛んでいた点からも、主人公の不安定な内面が窺い知れます。今回の一大事は、そんな主人公を激しく揺さぶりました。露わになる心の隙間。欠けていたピースは何だったのか。それは親子の絆だった気がします。「愛している」それだけで繋がれるのは肉親だからこそ。息子に「初めまして」と挨拶していた父親に蘇る家族の記憶。胸が締め付けられました。お父さん役の俳優さん、MVPです。揺さぶられた事で人間関係も篩いに掛けられた模様。「難病の彼氏を支えるアタクシってステキ!」な勘違い女とキッパリ別れられたのは不幸中の幸いでしたが、何より彼がツイていたのは、親友が側に居てくれた事でしょう。デリカシーって何?それ美味しいの?な奴ですが、「50%のギャンブルなんて最高じゃん」と言い切り、彼女の浮気を躊躇なくチクれる(しかも本人の目の前で!)ガサツさに、主人公は随分と救われたと思います。本当の優しさを知っている男でした。セス・ローゲンには殊勲賞を差し上げましょう。カウンセラーと患者という関係から始まる恋物語は、「結婚したのか?オレ以外の奴と」でお馴染み某携帯恋愛ゲームと同じくらい激しくツッコミたい衝動に駆られますが、彼女の方に打算が感じられないので許すことにします(笑)。お幸せに!
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-03 18:58:15)(良:3票)
14.  武士道シックスティーン 《ネタバレ》 
皆が竹刀を振るう中、磯山が手にするのは木刀です。武蔵が巌流島で手にした櫂の木刀。少なくとも彼女の意識の中では。“試合”ではなく“死合”、“打つ”ではなく“斬る”なのだと思う。真剣勝負。遊びの剣道に負けられない。負けるはずが無い。その想いが彼女を支えています。一方、西荻が手にする竹刀はどうでしょう。彼女は勝ちたくないと言う。本気で勝負して負けるのが怖いと言う。相手に打ち込む気概の無い刀は、穂竹のように撓るばかり。剣士の刀ではありません。たった一度負けた相手に固執した磯山。一見して“嫌な奴”を慕う西荻。2人が惹かれ合ったのは、自分に欠けている“必要なもの”を相手の中に見つけたからだと思いました。父親の生き様に呪縛された者同士、何か通じるものがあったのでしょうか。まさに“縁”です。異なる価値観を取り入れることで、2人は新たな自分を発見しました。でもそれは楽しい事じゃない。一度獲得した自分の基準を崩すのは苦痛なもの。特に磯山にとっては、自らの生き方を否定しかねない危うい行為でした。事実、磯山の刀は一度折れましたし、西荻の剣は乱れに乱れました。でも乗り越えたからこそ、今の2人が在る。折れた磯山の刀は力強く再生し、西荻の刀には芯が入りました。16歳。青春真っ只中。この時期にどんな人と出会ったか、どんな経験をしたかで、その後の人生が大きく変わる。「私を見つけてくれてありがとう」そんな台詞が言える友と出会えた事は一生の宝物。「剣道をやっていればまた会える」やせ我慢で平静を装う磯山が切ないです。切ないけれど羨ましい。2人はきっと、素敵な大人になってくれることでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-08-13 21:25:21)(良:3票)
15.  フィッシュストーリー 《ネタバレ》 
一握りの天才や偉大な指導者のおかげで、私たちの文化文明は発展を遂げてきたのだと考えます。その他大勢はその恩恵を受けてきただけ。何か申し訳ない気がする。人は“社会の歯車”と称されますが、自分の存在などちっぽけ過ぎて、小さなビスにも満たないと思えます。たった今、自分が消えたって何の支障もなく世の中は回っていく。それが現実。生きている意味を考えた途端に、自己の存在価値を見失う。だから、売れないロックバンド『逆鱗』のたった1曲の歌が世界を救うという筋書きに、強く勇気付けられました。自分も生きている意味がある、そう思えることが本当に嬉しい。『フィッシュストーリー』という楽曲にスポットが当たっていますが、見方を変えれば実に多くの人たちが世界を救う役割を担っていたことに気付きます。原作を日本語訳したハーフ顔の男、その本を家に持って帰ったおばさん、正義の味方をコックに雇った汽船会社の人事担当、多部ちゃんに数学の楽しさを教えた先生…。“友達の友達はみな友達だ”ではないけれど、世界中全ての人が何かの役に立っている。こじ付けかもしれない。でも、こんなホラ話なら大歓迎です。ただ、物語の構成自体はテクニカルだとは思いませんし、『アヒルと鴨~』もそうでしたが、ストーリーに中弛みを感じるのは中村監督の短所だと思います。でもキャスティングの的確さとメッセージを伝える技量の高さがマイナスを十分に補っていると感じます。今後も原作伊坂+監督中村のコンビに期待します!
[DVD(邦画)] 8点(2011-03-30 21:05:33)(良:5票)
16.  プライマー 《ネタバレ》 
タイムトラベル映画は数々あれど、本作ほど頭を使う作品は滅多に無いと思います。難解過ぎるのはエンターテイメントとしてどうかという気はしますが、本作の場合は許せます。理解するためのポイントは丁寧に(フェアに)説明していますし、それでいて観客を惑わす仕掛けも抜かりない。質の高いサスペンスの趣です。とにかく2回は観ないと始まらない。自分は全容を把握していませんが、もう一度観たいと思わせる魅力のある作品でした。(以下ネタバレを含みます。現時点での考えをまとめます。) 2人が創り出した箱は何でしょう。タイムマシン?いや「人生やり直し機」と言った方が的を射ている。セーブポイントまで戻って、人生をやり直す。株の値動きを見てきたから大金が手に入るという寸法です。夢のような話。でも都合の良い事ばかりじゃありません。箱に入る度、肉体は深刻なダメージを負います。1分が22時間に相当するなら、6時間なら約1年。寿命を削って時間を買っているようなもの。体がオカシクなって当然。字が満足に書けないのは純粋に加齢のため。ダブル(分身)の問題もある。同次元を共有している新しい自分と古い自分。“今の人生は上書きされるための人生か?”その疑念を抱いた瞬間から、遣り切れなくなる。人生の価値が失われる。エイブに至ってはリセットするために分身を手にかけます。もう何が何だか分からない。“幸せになるため”のやり直しで、今まで積重ねてきた全てを失ってしまう2人。残ったのはボロボロの体と日陰の生き方。悲しすぎます。でも時間の重みを、不可逆だからこそ価値のある時の流れを、心底思い知りました。余談)実は本作鑑賞後は、人生をリセットできる感覚がなかなか取れず困りました。大雑把に生活してしまうような。やり直せると思うと生き方が雑になる。イヤイヤほんとに怖い映画です。
[DVD(字幕)] 8点(2009-03-25 18:47:15)(良:3票)
17.  腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 《ネタバレ》 
劇場公開前日の某テレビ番組で披露されていたエピソードが思い出されます。監督から「(最初の演技よりも)2割気だるい感じで」と指示されて演技したサトエリ。少々やり過ぎだったらしく「今度は8割元気な感じで」と言われたところ、「じゃあ最初のでいいじゃん」と思ったそうです。サトエリがどういう女優なのかよく分かる。そもそも澄伽という役、よほど演技力に自信がないと務まらないと思う。というか恥ずかしくて出来ない。サトエリが自身を丸写しにしたような(大変失礼)この役を引き受けた時点で、本作の成功は約束されたと思います。人間の嫌な面全開のストーリー。みんな不器用なのでしょう。でも愛おしいと感じないのは、バカじゃないから。超自己中心主義、悲劇のヒロインからの開き直り、人生から目を逸らし続けること。どれも苦難を乗り越えるためのテクニックです。サトエリ、妹ちゃん、永作。タイプは違えど、みんな生きる術を心得ています。一人不器用なうえにバカだった永瀬が死んだのは、至極当然の結果。かくも人生は厳しい。傍からみたら惨めだろうと情けなかろうと、最終的に生き残った者が勝ち。泥だらけであどけなく眠るサトエリは、紛れもなく勝者だと思いました。でも共感はしませんが。追伸。サトエリ絡みの投稿はいつもこんな論調になってしまい、誠にすいません。もしかしたら、自分はサトエリが好きなのかもしれませんね。好きな子には意地悪する、みたいな。
[DVD(邦画)] 8点(2008-07-10 19:22:50)
18.  プラダを着た悪魔 《ネタバレ》 
自分はファッションに興味がありません。ミランダほど強烈な上司の下に付いたこともありません。でも琴線がうずくのです。社会人1年生の頃を思い出します。今から考えると信じられないくらいに青かったと思います。使えない、本当にダメダメな新人でした。でもプライドだけは一人前だったりするです。だから仕事はつまらないし、辛いし、頭にくるのです。最初の頃のアンディと同じ。とくに彼女の場合は、ファッション業界に興味が無かったから尚更でしょう。自分の価値観の範疇の外。角界に例えると分かり易い(かな?)。例えばアメリカ人の新弟子。「OH!フンドシなんてナンセンス。」「チョンマゲカッコ悪いネ。」「股割りナンテ痛いだけヨ。」こんな事を言ったら、多分とっても“カワイがられる”でしょう。でもどちらに非があるかは一目瞭然です。世の中には理不尽な事がいっぱいあります。腑に落ちない事だらけ。でも観方を変えると、受け取り方も変わるのです。もしかしたら、自分が知らないだけで、意味があるのかもしれないのに。よしんば、本当に無駄な仕事だったとしても、一生懸命やれば充実感はあるでしょう。個々のマイナスを避けるよりも、トータルでプラスになればOK。それが生まれ変わった主人公の姿だった気がします。ただ、彼女は気付いてしまいました。大成する素質はあったのに、横綱の生き方に魅力を感じなくなってしまいました。大横綱も理事長になったら、あの体たらく(失礼)。寂しい。虚しい。自分には違う生き方が合っていると気付いてしまいました。どちらが良いか、悪いかの話ではありません。彼女は彼女の選んだ道を歩いていくのです。ちなみに関取になれずに廃業した元力士は、どんな業種でも潰しが効くそうです。“忍耐”“努力”なんて最近では流行らない言葉。でも大切なことは、いつの世も変わりません。頑張った人には、頑張っただけの報いがあると信じたいです。最後はちょっと泣けました。
[DVD(字幕)] 8点(2007-09-13 18:09:57)(良:2票)
19.  不機嫌な赤いバラ 《ネタバレ》 
最初はニコラス・ケイジに同情しまくり。頭ではマダムの寂しさを想像できても、やっぱり憎たらしい。彼を主体にストーリーが進行するから尚更です。マダムに対する見方が変わるのは、物語が彼女の視点に移行した時。久しぶりに訪ねてきた息子に喜ぶマダムの顔は、ごく普通の母の顔。しかし静かに息子の願いを断った顔は、元ファーストレディのそれでした。その表情が絶妙です。彼女が置かれてきた状況、抱いてきた想い、それらを瞬時に察することが出来ました。心の隙間を縫って彼女の心が流れ込んでくるよう。不意をつかれて涙しました。ここからの畳み掛けが上手い。観客には、マダムがニコラスを重用する理由が明かされ、彼女に対する理解が深まります。さらにニコラスも、彼女と酒を酌み交わすことで気持ちを通じさせます。一気に和みムード。しかしマダムの表情は晴れません。今後の成り行き(病気に起因する悲劇)を予感した矢先の急展開。虚をつかれました。ニコラスの心情を慮ると辛過ぎる。彼は後悔の念に苛まれたはずです。マダムのわがままを許してしまった、己の甘さを責めたと思う。彼女と打ち解けたがゆえに、出てしまった緩み。ただし、運転手と対峙した時に彼がとった行動は、後悔に由来したものではありません。この時の彼はプロではなかった。彼はただただ、マダムを助けたかった。その強い想いが伝わってきます。ビジネスを超えた繋がりを感じずにはいられません。ラストも秀逸。退院時に車椅子に乗れという看護師。その規則に論理性はありません。車の座席位置でモメたのとは訳が違います。それでもなお、規則に従えと言うニコラス。彼の顔をじっと見据えた後、従うマダム。2人の新たな絆を感じます。マダムの人生は、得たものより、失ったものの方が多いかもしれない。でも最後に信頼できる人間を得られたのは、何よりの幸いだと思います。不機嫌なバラは、これからも不機嫌であり続ける。それが彼女らしく生きることだから。そしてニコラスの髪も抜け続けるでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-06-20 17:41:22)(笑:1票) (良:2票)
20.  フラガール 《ネタバレ》 
本作は「仕事」のお話だと思いました。仕事にはJOBとWORKがあります。生計を立てるため、お金を稼ぐことが目的のJOB。そして頭と体を使って、人のため社会のために役立つ物やサービスを生み出すWORK。その両方を兼ね揃えたものが「仕事」です。生みに苦しみはつきもの。ですからどんな仕事でも辛く厳しい(逆に言うなら辛く厳しくないものを仕事とは言いません)。そして辛く厳しいがゆえにやり甲斐があり、また誰かのためになる(評価される)喜びが、仕事への愛に変わります。炭坑夫、センターの植物係、フラの先生、そしてフラガール。どれも立派な仕事です。炭坑夫はかつて「黒いダイヤ」と称えられた石炭を、命をかけて掘り出すのが役目。国の根幹であるエネルギー資源を担い、天皇陛下まで炭坑に入ってくださったという自負がありました。しかし哀しいかなその誇りは失われてしまった。センターの植物係がストーブを借りるために土下座が出来るのは、仕事を愛しているから。フラの先生は初め仕事をしていませんでした。自分に失望し、生徒たちを蔑んでいた彼女は、ただの負け犬でした。でも父に殴られた娘のために、銭湯の湯船にまで乗り込んでいったとき、彼女は初めて先生になれた気がします。フラガールたちも初めは素人。技術以前に意識のレベルで。しかしフラに誇りを持ち、本番のステージだけが仕事ではないと理解した(練習も営業もすべて仕事。だから落盤事故の時も踊ることを止めなかった)とき、初めてプロになれたのだと思います。現在は仕事への評価が見えにくい時代です。成果ばかりが求められる。だから本作の炭坑夫のように、仕事はただ辛いものに感じてしまう。でも本来の仕事とは、そういうものでは無いはず。喜びがあるもの。厳しい練習の積み重ねの上に提供される素晴らしいダンス。その成果に対する正当な評価。お客さんの喜ぶ顔、歓声がダイレクトに伝わる喜び。本作が観る者の心を打つのは、私たちが求める「仕事」の姿がそこにあるからだと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2006-10-30 18:19:44)(良:1票)
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