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1.  ベートーベン
単なるありがち動物系ホーム・コメディかと思っていたら、予想外に面白かった。よく見ると、脚本には仮名でジョン・ヒューズが加わっているんですね-、なるほど。よって、家族間のかけ合いや呼吸もきちんと決まっているので、コメディとして成立していますし、またその中で肝心の犬も生き生きしています。また、チャールズ・グローディンとボニー・ハントというキャスティングが、ほどよく一般人感を醸し出しながら、一方できちんと場を引き締めるという効果を発揮しており、作品の芯を確保しています。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-09-04 01:07:09)
2.  ペリカンマン 《ネタバレ》 
冒頭でいきなり、ペリカンが人間の男になる。そのネタ一発だけで、最後まで押し切ります。見事です。また、中身はペリカンという設定に忠実に、主人公はペリカンっぽい動き(?)を忘れません。途中からは突然異様な才能を発揮したりするのですが、それもまた良し。もしかすると、トコトコ歩きながら天然を貫く主人公の造形は、チャップリンを意識したのかもしれませんし、人外的な異形のキャラクターと地域の調和という視点は、「シザーハンズ」のようにも見えてこなくもありません。全体としては、ここはもうちょっと引っ張るだろうというところでもサクサク先に進みますし、また随所でやたら都合の良い展開も目につくのですが、これは一冊の絵本を構成するような感じで作ったのかも。なお、一瞬登場する謎の寿司居酒屋も見どころです(笑)。
[DVD(字幕)] 6点(2024-03-11 00:08:33)
3.  ベティ・サイズモア 《ネタバレ》 
俳優と役の区別がつかなくなってそこにのめり込む(どころか会いに行く)だけだったらライト・コメディなんだけど、そこに導入部の夫をめぐるシークエンスが入ることによって、妙に重くなっている。さらには殺し屋2人から追跡されるロード・ムービーへ。と、普通だったら収拾がつかなくなるところなんだけど、コメディ演技をシリアスにできるレネー・ゼルウィガーという奇跡のキャスティングによって、そこで全部引き締められました。ただ、フリーマンがレネーにのめり込むというのが、写真だけの理由ではどうにも弱いんですよね(フリーマンの重々しさというキャスティングも含めて)。一応、ドリス・デイとか40年代とかいう台詞で説明をつけようとしたっぽいんですが、やはり無理がありました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-06-20 01:19:23)
4.  ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 《ネタバレ》 
いくらでもエンターテインメント的に盛り上げられる素材であるのに、あえてそこを外して地味にやろうとしているように見えるのは、「リンカーン」のときもそうだったな。しかしそうなると、ストリープもハンクスも手持ち無沙汰というか、どう演技していいのかよく分かっていないように見える。「リンカーン」のときはデイ=ルイスのもともと浮き世離れした人外的な存在感にすべてが吸収されたわけだけど、ストリープやハンクスはあくまでも対象素材を分かりやすく噛み砕くのが持ち味であるため、こういう演出には合わないのです。またそれ以前に、このストーリーって、それまであまり経営を分かってなさそうだった代表が、ここぞというときに決死の判断をするところに意味があると思うんだけど、ストリープがそれをやると、最初からどうとでもやってしまいそうな万能感が醸し出されてしまうので、物語が成り立たないのだな・・・。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-06-18 21:19:06)
5.  ペリカン文書
そもそもジュリア・ロバーツが、無力な女子大生には全然見えないのですが(この人の場合、もともと老け顔だからなあ)。デンゼル扮する記者に協力を得るという設定なのですが、むしろ顎で使ってそうです。それはさておいても、何か壮大な陰謀とサスペンスを構築しようとしているのは窺えるのですが、話がどこまで行ってもチマチマした雰囲気で進んでいるので、結局何だったのと思ってしまいます。脇役も巧者揃いのはずなのですが、ほとんど生かされていません。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2022-05-15 16:14:49)
6.  ベルリン陥落 1945 《ネタバレ》 
タイトルからは戦史もの的な内容を想像しますが、それとはかなり違います。原題の「あるベルリンの匿名女性」の方がよほど本質を表しています(そもそも主人公にも役名がない)。すでにソ連赤軍によって包囲されたベルリンのある一角が舞台なのですが、対象はずばり、レイプ対策です。しかも、助けは何もありませんし、奇跡も起こりません。ただそこで起こった出来事をそのまま描いています。多くの作品がこれまで目を背けていたかもしれない場面にも、容赦なく立ち入っていきます。その中で、無力な主人公が持っていたのは、ただ1つ、「絶対に生きのびる」という意志の力だけ。そうであるからこそ、この作品は、今日に生きる我々にも普遍的な価値を有しています。
[DVD(字幕)] 7点(2022-04-18 21:45:03)
7.  ベニシアさんの四季の庭
英国貴族の家に生まれながら放浪の旅に出て、そのうち京都大原の古民家に居を構えたベニシア・スタンリー・スミスさんを捉えたドキュメンタリーです。しかし、ベニシアさんはハーブ研究家ということなのですが、そのハーブのディテールに全然踏み込まれていない。また、それはその他の(家の周りに多種多様に植えられている)植物についても同様です。ひいては、そのような前半生を有しているベニシアさんが、日本の、あるいは京都の何にそこまで魅入られたのかということも明らかになっていません。一方で、夫との関係のドロドロとか子供との関係の苦労とかについては妙に詳しく立ち入られていますが、別にそっちの方はいらないんだけどなあ(それはほかの家族を対象とした場合でも可能だから)。四季折々のいろんな風景は美しく撮られていて、撮影の手間ひまはかけたのだろうとは思いますが、それだけでは足りません。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2020-12-19 15:49:36)
8.  ペインテッド・ヴェール ある貴婦人の過ち 《ネタバレ》 
妻の不倫に話が始まり、その後舞台は中国の奥地へ・・・という概要を聞いたら、どんなアジア版「愛と哀しみの果て」みたいな壮大な世界が?と期待するのですが、まったくそんなことはありませんでした。まず、導入部の描写自体が観念的で説明的で、ただ筋を追っただけ、になってしまっています。場所が中国へ移動してからは、ひたすら「この疫病にどう立ち向かうか」だけであって、最初の設定はどこかに行っている。しかも、そのように妻に不倫される地道な純朴男に、エドワード・ノートンがまったく合っていません。売り文句では愛と背徳のメロドラマみたいになっていますが、これはメロドラマとは言わんでしょ。
[DVD(字幕)] 3点(2020-12-18 23:24:12)
9.  ペーパーバード/幸せは翼にのって 《ネタバレ》 
もっとすごくいろんなドラマチックなことが起こっているはずなんだけど、描き方がえらく日常的というか平坦というか、とにかくベースがのんびりしているので、社会的背景を含めた迫力というものがないのです。輪をかけて、肝心の子供があれこれワガママなだけでさして可愛くないというのが良くない。ラスト20分の突然の緊迫感はなかなかでしたが、それだけでは覆せませんでした。
[DVD(字幕)] 4点(2019-03-19 01:44:19)
10.  ヘッドハンター(2011) 《ネタバレ》 
前半の頭脳系窃盗モノから、中盤、予想を裏切って追いまくられ状態になるあたりまでは良かったのですよ。ただ、そこから収束に向かうところで、風呂敷をまとめられずに強引に振り切ってしまいました。それと、こういう主人公設定をしたのですから、問題解決も、銃だの何だのではなく知恵と機転でやってほしいところでした。
[DVD(字幕)] 5点(2019-01-02 20:44:14)
11.  ヘッドライト 《ネタバレ》 
もっと切ない大人のラブロマンスを想像していたのですが・・・全体的に、演技がゴツゴツしていて、不倫という設定がもたらすはずの高揚感とか逸脱感が感じられないのです。したがって、平坦な印象になってしまいますし、悲劇的なはずの終幕も、予定調和に見えてしまいます。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2017-12-02 23:56:08)
12.  ヘイトフル・エイト 《ネタバレ》 
タイトルで8人と言っていながら、舞台となる洋品店に集まったのはどう数えても9人。最初のクレジットでもっともらしく「タランティーノの8作目」とか言っていながら、それも数が合わない。この時点ですでに、「全体がインチキ宣言」はなされているわけです。なので、こちらとしても、毒を入れた犯人は誰かとか、偶然集まった登場人物には実は個々にこういう背景が、なんていうオーソドックスな謎はどうでもよくて、いつもの「気がついたらやたら時間が経っている会話の積み重ね」と、怖そうに登場したカート・ラッセルでもあっという間に埋もれてしまう各キャラのアクの強さを堪能するわけです。ただそれでも、中盤まではいろいろ心理の綾やその噛み合わなさが重なって面白かったのですが、終盤が単調になってしまったのは残念でした。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2017-07-18 00:48:05)
13.  へザース べロニカの熱い日
やりたいことが何なのかもはっきりせずグズグズのままで終わっているのだが、かといってカルト作として語り継がれるには、発想の斬新さやここぞというところでの突き抜け感がなく、変にこぢんまりとまとまってしっているという、何とも中途半端な作品。
[DVD(字幕)] 3点(2017-01-30 01:22:14)
14.  ペントハウス 《ネタバレ》 
いろんな登場人物を手際よく整理していきながら目的の窃盗計画に収斂していく前半はなかなかだったのですが・・・後半は何かネタ切れ気味で、「え?それだけ?」という感じでした(スライドとチャーリーが離脱するというひねりも、結局は生かされていない)。あと、演技面では、私はエディ・マーフィ以上に、マシュー・ブロデリックの意外な元気のなさが気になりました。周りに合わせちゃった?
[CS・衛星(字幕)] 5点(2016-09-17 02:12:22)
15.  ペン偽らず 暴力の街
1948年、埼玉県本庄町で、暴力団と町議会と警察の癒着(というか一体化)を市民とマスコミの運動で追放した「本庄事件」を、そのわずか2年後に映画化したもの。俳優陣は映画会社の枠を超えて大集結しており、そのことからも、この作品化に向けた情熱と原動力を感じ取ることができる。こういう純粋な初期衝動に満ちた作品は、もちろん評価せざるをえません。山本薩夫監督らしく(クレジットは「演出」ですが)、描写の上での虚飾を排し、不自然な展開の上下動を入れることもせず、地道に日常的シーンを積み重ねているのですが、その作り方がまさに作中の市民や記者の行動と一致していると同時に、今日の我々にとっても、日々の不断の努力を怠ってはならないという警報たりうる効果を導いています。
[DVD(邦画)] 7点(2016-08-12 00:23:40)
16.  変身(2005)
やる気のない演出、中学生の部活以下のレベルの脚本、意図的かと思ってしまうくらい酷い音楽と、三位一体に揃ってしまった凄い作品。こんなものにつき合わさせられてしまった優ちゃんが何よりも不憫。
[CS・衛星(邦画)] 1点(2016-07-09 02:12:31)
17.  ペコロスの母に会いに行く 《ネタバレ》 
どうしてこういう「地方が舞台」あるいは「認知症が素材」の作品って、ことごとく、雰囲気はほのぼのっぽくしようとして、出てくる人は次から次へとみんないい人、という判で押した作りになるのかなあ。目新しさが何もないです。最後に追憶と幻想のクロスでまとめてしまったのも、制作側が現実の重みを受けきれなかったという「逃げ」のようにしか感じられません。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2016-03-28 01:23:13)
18.  弁天小僧
とにかく描写がとっちらかっているというか、各シーンがばらばらでつながってないというか・・・肝心の弁天小僧がいかなる人物であって、何がしたい存在なのか、ほとんど分かりませんでした。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2015-05-27 21:14:39)
19.  ベガスの恋に勝つルール
前半の喧嘩なり対立の部分が下品すぎで露骨すぎで、思考のひねりやウィットというものを感じないので、その時点でコメディとして成立していないのです。笑わせる箇所はそこそこあったと思いますが、その雑な雰囲気がすべて打ち消してしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2013-07-28 03:40:01)
20.  別離(2011) 《ネタバレ》 
●ミステリーとして見た場合は、証拠の現実感が素晴らしい。扉の位置関係、階段の汚れ、病院到着の際のやりとりなど、どちらに有利な証拠もそれなりにある。目撃証人も2人ほどいるが、どっちに有利な結果になるのか、どちらの結論にも転びそうである。見ている側も、行きつく先が見えないまま否応なく巻き込まれるという仕掛け。●ドラマとして見た場合は、各登場人物の心理のぶつかり具合が見事。どこかでバランスが壊れて破綻しそうになりながら、元に戻ったり、また別の問題が起こったりして、解決した部分とそうでない部分を残しながらラストに収束していく。その設定に応えた役者陣の演技力も特筆すべき。●伏線を随所で撒いていながら、回収しているものもいないものもある。その手法がもたらす先の見えなさが、日常生活の中での生々しい不安定性を表現することに成功している。
[DVD(字幕)] 8点(2013-01-07 01:46:50)
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