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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2392
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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21.  マッド・ナース 《ネタバレ》 
主演のキチ〇イ・ナースの女優、ご面相はお世辞にも美形とは言いかねますが、たしかにナイス・バディでエロさはハイレベルでした。彼女をエロ・ナースに仕立てて3D映画にしたらコスパがいいB級映画が一本撮れるんじゃない?でもなんで3Dなんだろう(笑)。発想はまあ置いとくとしても、肝心の脚本がメタメタな出来ではどうしようもないでしょ。このナースは知能犯的なサイコパスなのかと思いきや(ていうか、そういう設定はこの手の映画ではありふれているぐらい常道)、途中からは小細工もなしに見境なく殺し始め、最後は病院内で阿修羅のごとく職員や患者を殺しまくるありさま。これじゃまるでナース版テッド・バンディか津山三十人殺しですよ。ここまで来ちゃうとこの女の頭の中はどうなってるんだって感じですが、そりゃキチ〇イのやることですから貴方たちに理解できるわけないでしょ、と監督が開き直ってる感じがします。でも実話ではなくあくまでフィクションなんですから、そこら辺はもうちょっとちゃんとして欲しかったですね。あと登場人物、とくに男がみなバカばっかりなので余計疲れます。とくにラストを飾るエロ・ナースの隣人の非モテ男、こんな愚行を仕出かすために前半からチョコチョコ出没して伏線を張っていたとは、こりゃ演じる俳優も情けなくなったことでしょう。 アメリカのナース服ってあんなに胸元が開いていてスカート丈が短いもんなんですかね?こりゃ健康保険制度が無くて高額請求されても入院したくなりますよ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2021-03-06 22:04:06)(笑:1票)
22.  マネー・ショート 華麗なる大逆転 《ネタバレ》 
この手のジャンルの映画を観るたびに実感するのは、複雑な経済事件を判りやすく映画化することにかけてはハリウッドはほんとに上手いということです。リーマン・ショックについては、日本人はおろか最大の被害を被ったアメリカ庶民ですら良く理解していないのが現状ですからね。とは言っても、リーマン・ブラーザースやベア・スターンズと言った投資銀行の名前とヘッジファンドというものの存在などを最低限知っていないと、ちょっときついかも。 物語はサブプライムのインチキに気が付いた三組のヘッジファンドが軸になって進行します。この中でもクリスチャン・ベイルの怪演が光りますけど、やはり軸となるのはスティーヴ・カレルだということには皆さん異存はないでしょう。劇中ずっとキレまくっているかのような迫力、そういや彼が笑うシーンはなかったんじゃないでしょうか。彼らはけっきょくリーマン・ショックで大儲けするのですが、三組とも後味が悪い勝利で『華麗なる大逆転』なんてカタルシスはどこにもないエンディングです。「俺たちが勝つということは沢山の人たちが破滅することを意味するんだ」と説教するブラッド・ピットのセリフには、製作者の思いが込められていると思います。それにしても、脇役ながらも劇中でもっとも無欲そうでこんなカッコよいセリフを宣うブラピ、これもプロデューサーとしての特権行使なんでしょうかね(笑)。 恐ろしいのは、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のディカプリオが演じたジョーダン・ベルフォートが特異な人物だったわけではなく、実はウォールストリートはジョーダン・ベルフォートだらけだったという事実でしょう。そう考えると、日本の金融業界はほんと甘ちゃんです、ウォールストリートに食い物にされるわけです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-07-12 19:43:31)
23.  マリー・アントワネット(2006) 《ネタバレ》 
いやー、正直言って自分にはなんでこんなに酷評されるのか理解できません。とくにフランスでは評判が悪かったそうですが、これはフランス革命を否定的なニュアンスで描いたように捉えられたのだろうか?皆さんはソフィア・コッポラに何を期待していたんでしょうかね。贅沢三昧の生活と愚行のあげくに革命に囚われてギロチンの露と消えた生涯を、ストレートにソフィアが映画化するわけないじゃないですか。マリー・アントワネットをガーリーなセレブとして表現する、やはり彼女にしかできない発想だと自分は感心しました。 この映画は、実は『ロスト・イン・トランスレーション』と同じ視点でマリー・アントワネットの宮廷生活をガーリー・ムーヴィーとして撮っているんです。異邦人としてフランス宮廷に嫁いできたアントワネットの孤独は、『ロスト…』のスカヨハの抱えていた疎外感と同じです。アントワネット役にスカヨハじゃなくキルスティン・ダンストを持ってきたのは、個人的には彼女の顔は好みじゃないけど、正解だったのかなと思います。もっとも実際のアントワネットはバストサイズが100センチを超える巨乳だったそうで、そういう面では実像からはかけ離れているんですけどね(笑)。そしてソフィア・コッポラと言えば欠かすことのできない音楽選びの感性、仮面舞踏会のシーンなんてまるでNYのクラブみたいでほんとセンスいいですよね。やはりコッポラのファミリーネームがものを言ったのかヴェルサイユ宮殿で撮影を許されるという快挙、これはもう眼福としか言いようがないです。ソフィアはセレブライフを撮らせたら、やはり右に出るものはいませんよ。 “19世紀はフランス革命に始まって第一次世界大戦で終わる”と解釈する風潮が広まってきましたが、ルイ16世とマリー・アントワネットの処刑で始まりニコライ二世一家の惨殺で終わったヨーロッパは、まさに“王殺し”の世紀だったと言えるでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-25 23:36:27)(良:1票)
24.  マッカーサー 《ネタバレ》 
第二次世界大戦における有名な米国の陸軍将軍を三名あげると、それはアイゼンハワー・パットン・マッカーサーとなることは間違いないでしょう。アイゼンハワーは軍人としての能力よりも政治力・外交力が秀でていて、パットンはその正反対で根っからの実戦型ファイターで政治力はゼロ、この二人の特性を兼ね備えていたのがマッカーサーということになるでしょう。ある意味この三人中でもっとも複雑な人間性を持ちドラマチックな人生で映画の素材としては申し分ないのですが、凡庸な脚本のおかげで退屈超大作となってしまいました。ジェリー・ゴールドスミスを起用したりして『パットン大戦車軍団』を意識しているのは明瞭ですけどその出来は比べ物にはならないレベル、そりゃ『パットン』の脚本はフランシス・フォード・コッポラの傑作ですから分が悪いですね。演じるグレゴリー・ペックはジョージ・C・スコットのパットンほどではないにせよそれなりに雰囲気は出ていました。ペックは尊大で傲慢な人物を演じさせたら間違いはない俳優だったと感じます。ストーリーテリングはマッカーサーの言動をただなぞっただけで、映画としての見せ場は乏しかったと思います。原爆投下で日本が降伏したので日本進攻作戦がなくなり「原爆は悪魔の兵器だ、使う必要なかった」と毒づいたのに朝鮮戦争では「満州に原爆50発落とさせろ」と主張したり、フィリピン時代は人種偏見が(アメリカ人としては)ないように見えたのに“I shall return”のためにはフィリピン民間人がどれだけ死のうが意に介さなかったり、ボンヤリ観ていると矛盾した言動ばかりでさっぱり人物像が伝わってこないでしょう。そりゃあ「俺は戦争が死ぬほど好きだ」の単純なパットンの方が理解させ易いでしょうが、マッカーサーのより複雑な人格に斬りこめないのだったら映画化した意味はないです。 米国は伝統的に功績のあった軍人や大統領の名前を軍艦名や兵器の愛称に使いますが、アイゼンハワー(原子力空母)パットン(戦車)と違って未だにマッカーサーの名は使われていません。ここら辺に米国政界や軍の彼に対するある意味冷ややかな評価が垣間見れるのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2020-04-27 19:26:01)
25.  マックィーンの絶対の危機(ピンチ) 《ネタバレ》 
タイトル・ロールでもちろん主役はスティーヴ・マックイーンだが、“Steven”マックイーンとなっていてアレっと感じますが、“Steven”が本名なんだそうです、まあどうでも良いことですけど。それより驚かされるのはそこで流れるキューバン・スタイル(?)の妙にノリノリの主題歌で(実はバート・バカラックが作ったという説あり)、まるでエルヴィス・プレスリーの映画を観ているような気にさせられます。マックイーン当時28歳で初主演、でも役柄は高校生で友人の級友たちと大活躍(?)するという内容なのでまあ製作者としては青春映画のノリだったのかもしれません。いちおうパラマウントというメジャーが関わっていますが配給関係だけだったみたい、プロデューサーのジャック・H・ハリスは典型的なB級映画屋だったからドライブインシアターなんかで上映するために製作されたのかな。おまけに低予算ですから手を抜けるところは徹底していて、肝心の人喰いアメーバがお食事するところやダイナーが炎上するシーンはどこにもなし、最初観たときは放映時にカットされたのかと思いましたよ。最後のオチも「えっ、ほんとにそれでいいの?」と愕然でしたが、ラストの“?”マークはまさか製作側の自虐ネタなのかもしれませんね。けっきょくこのお話しは一晩の出来事だったわけで、映画史上もっとも短時間で撃退されたモンスターという称号が与えられるんじゃないでしょうか。 ちなみにラストが“?”マークで終わる映画を他にも観た記憶があって「なんだったかな~」と頭をひねったら、思い出しました、ピーター・イエーツの『大列車強盗団』でした。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2020-04-24 17:20:12)
26.  マタンゴ 《ネタバレ》 
東宝特撮にはいわゆる“変身人間シリーズ”というジャンルがありますが、本作はその作品とは明らかに違う独特なテイストを持つ異色作だと思います。これは星新一や福島正美が原案に係わっているところが大きいでしょう。「観客対象が大人なのか子供なのか判らん」という声も聴きますが、東宝特撮は『怪獣総進撃』あたりまでは(これでも)アダルトを想定して撮られているので、こういうダークなストーリーテリングは見受けられないことはない(変身人間シリーズも総じて暗いお話し)。この映画が他の東宝特撮とは決定的に異質なのは、「明るく楽しい」がモットーの東宝としては珍しく人間の闇というかドロドロの関係性を強調した脚本で、これは大映の初期ガメラにも相通じるところがあります。残念なのはやはりマタンゴ人間の造形センスで、誰が見てもキノコ雲のカリカチュアだと感じると思います。これはもともと製作側の意図するところでもあり、初期デザインはもっと露骨にキノコ雲に寄っていてこれでも修正されたものなんだそうです。 とは言っても久保明に始まり久保明で終わるストーリーテリングは、初見の時は凄まじい衝撃を受けましたよ。あの難破船の正体が最後まで謎のままで終わる不条理さがこの映画に深みを与えている感じがします。そして個人的にいちばんショックを受けたのは、あの小泉博がすました顔してヨットで単独逃亡しちゃったことですね。ふつう上手い俳優なら、表情なんかにこの艇長の人間的な弱さを伏線みたいに表現するでしょうが、役者としては不器用な小泉博なんでいつも通りの真面目キャラの演技で通し、それがかえってサプライズを強調させる効果があったのは皮肉です。そしてこの映画の最大の謎は、果たして久保明はマタンゴを食べたのか?ということになるでしょう。昔から自分なりの解釈は、彼は歯をくいしばって頑張ったのに島に君臨するスーパーナチュラルな作用で、結局マタンゴ人間化してしまったというところです。だからこそ、好きな女性と供にマタンゴ人間になって幸せに暮らすという人生の選択に失敗した結末が強調されるんじゃないでしょうか。 余談:こんなドロドロ人間関係の七人でしたが、水野久美がインタビューで語っているところによれば、ロケはキャンプ気分でみんなとても楽しかった思い出になっているとのことです。役に成りきらされるメソッド演技で撮影されなくて良かったですね(笑)。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-03-18 20:37:35)(良:1票)
27.  マックQ 《ネタバレ》 
この映画を観たのは学生時代、自分を含めて20人ぐらいしか観客がいない名画座でした。マックQが暗殺者を返り討ちにしたシーンで、目撃者が警官に証言するところで「私の名前はジェームズ・カーター…」と言ったところで半分ぐらいの観客が爆笑したんです。その当時は大統領選挙が始まっていて、民主党のジミー・カーターという候補に日本でも注目が集まっていました。ご丁寧に字幕でジェームズをジミーと変えてウケを狙っていたんでしょうが、それがガラガラの名画座で見事に成功したってわけです。余談でした。 『ダーティハリー』のハリー・キャラハン役へのオファーを蹴って後悔することになったジョン・ウェインが、悔し紛れに遅まきながら初の刑事役に挑戦した一編です。舞台はシアトル、お話しは警察内部の麻薬の横流しとそれに気付いて一匹狼になって真相を追及する初老のデカ、まあ70年代の刑事もので良く見かけるパターンです。とうぜんウェインは馬じゃなくカッコよい車(フォード・マスタング?)を乗り回すんですが、なぜか住まいが小型クルーザーだったりして、なんか刑事らしくないキャラです。そしてコルト・ピースメーカーからチェンジした武器はイングラムⅯ10、私もこの銃を始めて見たのが本作でしたが、ただの長方形の箱にグリップをつけただけみたいなアヴァンギャルドなスタイルにはショックを受けたものです。ウェインは慣れない現代劇でしかも初刑事役ということもあってか、どこかぎこちない感じが強かったです。監督がジョン・スタージェスですからあまり盛り上がらない地味なストーリーもそつなく纏めていますが、ラストの海岸でのカーチェイスだけは正直見ものです。地味な絵面かもしれませんが、波打ち際をあれだけ猛スピードで車を疾走させるのは高度な運転テクニックが必須です、良い子は真似しないでね。 良く判らんのが最後の閉め方で、麻薬の横流しは殺された同僚刑事とその妻が主犯という撮り方なんですが、その刑事や愛人を消したのはいったい誰?という当然の疑問があります。これは上司のエディ・アルバートたちが黒幕という解釈しかできないのですが、みんなで仲良くコーヒーを飲んでエンドって、いったいどうなってるの?
[映画館(字幕)] 5点(2019-11-28 22:30:41)
28.  マンハッタン無宿 《ネタバレ》 
むかしTV放映で観ているはずなのに、ストーリーも何も全然記憶に残っていない、おかげで新鮮な気持ちで観ることができました(笑)。マカロニ映画界隈から復帰したころのイーストウッドですが、当然ながら若いですし何より「こんなにイーストウッドってイケメンだったっっけ」と感嘆するほどの美男子ぶりです。なので、まるでジェームズ・ボンドばりに出会う女性とヤリまくる展開はもっともです(納得するな!)。よく“西部劇の現代版”とか“ダーティハリーの原型”とか本作は評されることが多いですが、私にはどちらも適切な評だとは思えません。だってNYで早々に拳銃を奪われるし、劇中イーストウッドはガンを撃つことはおろかずっと丸腰だったわけで、普通の西部劇や刑事ものの主人公としてはあり得ないでしょう。おまけに格闘してもほぼイーストウッドは全敗、これじゃあ私の記憶から欠落してしまうの無理ないです。私の中では“イーストウッド=ガメラ”という分類なんですが、その心は“どちらも相手と闘うときはけっこうダメージを受けて血を流す”なんですが、本作のイーストウッドはいくら何でも弱すぎでしょ。極めつけはラストの犯人逮捕で、バイク転倒でダメージくらったけど、いったん逃げ切った犯人がパトカーを見て引き返したおかげ(なにも同じところに戻ってこなくても…)じゃないですか。そもそもこの犯人がどんな罪を犯したのかすらスルーしているから、イーストウッドがなんで無茶してまで病院から連行しようとするのか理解しづらいし感情移入もできません。 よく考えると、この映画の中では誰も死んだり殺されたりしませんでした。こんな刑事アクションは非常に珍しく、当時の“Love & Peace”の社会風潮を反映させた脚本だったのかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-04-09 23:24:16)
29.  魔界転生(1981) 《ネタバレ》 
この映画を製作後40年近く経っても人々の記憶に残っているのは、やはり千葉真一の柳生十兵衛と沢田研二の天草四郎の対決というインパクトがなせる業でしょう。千葉真一の十兵衛はこの映画で四度目のとなる彼の当たり役、でもこの一作しかないんですけど沢田研二の天草四郎も映画スター・ジュリーが演じたもっとも有名なキャラとして日本映画史に君臨しています。本作でのジュリーの存在感は半端なしで、真田広之とのキス・シーンまでありその妖艶な色気はクラクラさせられます。原作を大胆にアレンジしたストーリー(細川ガラシャまで登場させるところなぞ、原作者の山田風太郎は絶賛していたそうです)には、江戸時代初期の有名人や事件がてんこ盛り状態、佐倉惣五郎や刀匠村正まで登場し最後は明暦の大火で江戸城天守閣炎上ですからねえ。この炎上する江戸城内での十兵衛と但馬守の柳生親子対決の迫力といったら壮絶です。若山富三郎といえば殺陣の技は日本映画史上ナンバーワンとの呼び声ですから、千葉真一との対決はまさにドリームマッチです。このシーン、炎上する室内と役者の合成が偉く上手いなと感心してたら、なんとほんとにセットを燃やして撮ったそうで、もうクレイジーとしか言いようがないです。そんな危険な現場で無傷でチャンバラできるのは、そりゃ千葉真一と若山富三郎しかいませんよ、ジュリーに至っては軽く火傷したそうです。 この映画こそ、毀誉褒貶のある角川映画が残した最高傑作だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2019-03-23 23:32:51)(良:1票)
30.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
屈辱の『サンダードーム』から30年、突如としてマックス・ロカタンスキーが我々の前に帰ってきた!老いぼれてしまったメル・ギブソンは当然使えないとして、二代目マックスを拝命したのがトム・ハーディ、まるでこの人はマックスを演じるために俳優を職業にしていたかのような馴染み具合です。冒頭でいきなり愛車を分捕られて泣き別れ、鉄格子のマスクをつけられて人間輸血袋にされるなどはけっこう今までのマックス像を塗り替えるような展開でした。そしてシリーズの特色だった女気のなさもシャリーズ・セロンや美形アマゾネス(?)を活躍させることでついに汚名返上となったわけです。でもそんな俳優たちの演技に目を向ける余裕がないほどの驚異的なカット数、映像の放つ情報量はすさまじいレベルに達しています。もちろんCGのヘルプもありますが異形のバギー&タンクローリー&バイクの実車を使った迫力は息をのむほどで、そもそもこの映画の三分の二は疾走シーンなんじゃないかな。マックスにフラッシュバックする過去やフュリオサが片腕を喪失した事情など、細かいことは敢えて語らないストーリーテリングも好きです。 ほんとに「行って帰ってくる」だけの単純なお話しなんですがこれは『2』以降に共通したコンセプトで、それを35年かけてここまで昇華させたジョージ・ミラーは大した奴です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2019-03-18 21:48:39)(良:1票)
31.  マッドマックス サンダードーム
どう考えてもこの映画はティナ・ターナーを起用してゴージャスに盛り上げるのが製作意図だったはずなのに、盟友バイロン・ケネディの事故死で意気消沈していたジョージ・ミラーのせいでピンボケな映画になってしまいました。彼女が演じたキャラは善なのか悪なのか良くわからんところが魅力的なキャラですが、ストーリーの中盤以降は存在しないも同然になってしまったのはこの映画の大失敗です。サンダードームでマックスと差しでタイマンぐらいしてほしかったな。実はわたくし公開直後にビデオで観てるはずなのに、見返すまでずっとバータータウン内で物語が進行していたと思っていました。つまりマックスが砂漠に追放されてからのストーリーが記憶から欠落していたのですが、確かに後半部分のパワーダウンでは印象に残らなかったのは無理もないでしょう(ひょっとして途中で観るの止めたのかな)。マックス自身もほとんど活躍しなかったしね。 マッドマックス三部作で最低作という汚名を残してマックスは伝説の中に消えていったけど、30年たってジョージ・ミラーはシリーズを再始動させて借りを返せたわけです。さあ、いよいよ『怒りのデスロード』を観るぞー!
[CS・衛星(字幕)] 4点(2019-01-28 23:37:48)
32.  マッドマックス2
およそ30年ぶりの再鑑賞でしたが、「もっと大掛かりなお話しだったんじゃね?」というのが、改めての感想です。三作目の『サンダー・ロード』と記憶がごっちゃになってたのかもしれませんが、それだけ初見の時の受けた衝撃が大きかったのかな。今まであまり観返してこなかったのはこういう埃っぽい映画が生理的に苦手だったからですけど、世間では三十年で本作の評価はうなぎのぼり、いまや映画史に残る存在になってしまいました。そりゃ本作がなければ『北斗の拳』は今の世に存在してなかったかもしれないと思うと、『ブレードランナー』と並ぶ80年代が生んだ「後世の文化に多大な影響を与えた映画」であることは間違いなしです。 ラストの「その後マックスの姿を見かけることは二度となかった」というモノローグは渋すぎです、でも私たちは4年後にこの荒廃した世界の片隅で繰り広げられるマックスの違う物語を観ることになるんですけど、それはまた別のお話し。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-03-25 22:07:23)(良:1票)
33.  マネーモンスター 《ネタバレ》 
TVの財テク番組で銘柄推奨を派手にぶちかます、考えるだけでも製作側には恐ろしくリスクがありますよ、こんな番組のキャスターは命がいくつあっても足りません。日本じゃ絶対にあり得ない番組ですけど、アメリカではたとえCSやケーブルテレビ放送だったとしてもモデルとされる様なコンテンツがあるんでしょうかね、気になるところです。 ジョディ・フォスターもすでに何本も監督経験があるんで、手堅く撮っています。どこか雰囲気が、彼女も出演していたスパイク・リーの『インサイド・マン』と通じるところがあったような気がします。ストーリーの行き先は序盤でほぼ推測できますが、お話しの引っ張り方というかサスペンスの盛り上げ方はなかなかの手腕かとお見受けいたしました。説得させるつもりで警察が連れてきた彼女が犯人を罵倒し倒すところはもちろんですけど、個人的にはジョージ・クルーニーが命を懸けて買い推奨したのに、逆に値が下がってゆくところが爆笑でした。序盤はチャラい業界人丸出し、乱入されてからの小人物感丸出しのうろたえ振りを見せながら、だんだんとシリアスになっていつものクルーニーになってゆくジョージ・クルーニー三変化も愉しめます。だけどあんな短時間で真相を暴いてしまうというのはご都合主義全開で、ここでも最近のハリウッド映画お得意の“困ったときはハッカーを使え”でした。この風潮、何とかなりませんかね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-09-24 23:04:43)(良:2票)
34.  幕が上がる 《ネタバレ》 
昔のモーニング娘。の超駄作を引き合いに出すまでもなく、日本のアイドル映画というやつはロクなもんがないというのが世間の常識。そう考えると(あくまで)アイドル映画として観る限りでは最も良く撮れた作品と言えるかもしれません。これはもう原作があるので如何ともし難いところなんですが、登場するJKたちがあまりにも優等生過ぎるのでリアリティーが無さすぎるところで、原作者の平田オリザの作家としての限界なのかなと感じます。授業シーンなんかでは確かに存在は確認できるのに、男子生徒がまったく登場しないのは、これまたストーリーテリングの不自然さを際立たせている気がしました。存在感の希薄な他の演劇部員どころの騒ぎではありません、まるっきりエキストラしかいないんで、ここは女子高かと突っ込みたくなります。色恋沙汰に発展させないためかもと思いますけど、こういうところがアイドル映画の限界なんでしょう。 ももクロの中でひとりNHKのオーディションに合格するだけあって、百田夏菜子の演技力はちょっと光ってました。あの演出センスを疑うモノローグがなければもっと印象が良かったと思うんですけど、これは彼女の責任じゃないですね。この人はアイドル辞めても女優として成長してゆく予感がします。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2017-09-23 21:43:12)
35.  マッドマックス
ピーター・ウィアーやピーター・ジャクソン、そしてジョージ・ミラーといい70年代にデビューしたオーストラリアやニュージーランドの映画監督に共通しているのはぶっ飛んだアナーキーさだと思います。彼らは今じゃそれなりの巨匠となっていますが、その中でもミラーだけはデビュー時の狂気をはらんだアナーキーぶりをまだ濃厚に発散している感じがします。この映画はアメリカじゃヒットしなくて日本でのバカ受けが世界に広まってカルトになったそうですが、考えてみれば本作がなければ偉大なる『マッドマックス2』も生まれなかったし、つまり『北斗の拳』も誕生しなかったしストリートファイターも存在してなかったかもしれないんですよ。 中身は非常に粗削りなB級アクション以外の何者でもないんですが、これほど観る者を虜にするB級映画は滅多にありません。あの衝突シーンはスタントに死者が出たとホラを吹かれてもそりゃ納得しますよ。この映画の素晴らしいところは、広大な地平線とそれに区切られた空が下手な役者以上に演技しているとしか思えないところです。デビュー作でこんな画を見せるなんて、やはりジョージ・ミラーはただものではなかったんです。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-03-04 22:40:04)(良:1票)
36.  マイ・ファニー・レディ 《ネタバレ》 
『ラスト・ショー』や『ペーパー・ムーン』などの映画史に残る名作を70年代撮ったピーター・ボククダノヴィッチ、いつの間にか名前を聞くことがなくなりましたが、あの頃の勢いを考えるとウディ・アレンと並んで現代アメリカ映画界を代表する名匠になっていてもおかしく無かったんですけどね。彼が失速し始めるのと同時期にアレンの快進撃が始まったという事実も、なんか皮肉なことですけど。 久しぶりに観たボクダノヴィッチ映画はオープニングの雰囲気やスートーリーテリングはウディ・アレンにそっくり、おまけに主役がオーウェン・ウィルソンですから、「なんかどっかで観たような…」とデジャヴ感が満開です。お話しはブロードウェイの舞台製作をめぐるいわゆるシットコムです。演出家のウィルソンが遊んだコール・ガールが女優の卵で舞台のオーディションにやって来て…という展開なんですけど、まずこのコール・ガール役のイモージェン・プーツがなかなかのキュートでよろしい。この娘と演出家を巡って、「おいおい、いくら何でもそこまで世間は狭くないだろ」というほとんどドタバタコメディと言っていいぐらいのお話なんです。冷静に考えると実にくだらないストーリーとも言えますが、ストーリーテリングの軽妙洒脱さと役者たちのそれぞれのツボにはまった演技のおかげで、これはけっこう愉しめました。かつてのボクダノヴィッチ作品のミューズ、シビル・シェパードとテイタム・オニールがちょい役で顔を見せてるのも見逃せません。シビル・シェパードは予想通りの劣化ぶり(演技の方じゃありません)でしたが、ウェイトレス役でちらっと出てくるテイタムちゃんにはびっくりさせられました。そりゃおばさんなのはしょうがないですけど、あんなムッチリでしかも巨乳になっていたとは、ほんと我が眼を疑いました。まさか特殊メイクじゃないでしょうけど(笑)。でも最後の最後で登場するタランティーノの方がやっぱサプライズ度が高いでしょう、こんな使い方ってアリ? 最後にネタバレされますけど、劇中でオーウェン・ウィルソンが使う口説き文句が実はエルンスト・ルビッチの『小間使い』でのシャルル・ボワイエのセリフだったというオチ、こんな洒落はシネフィルであるボクダノヴィッチらしくてほっこりさせてくれる終わり方です。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-11-28 20:21:34)(良:2票)
37.  マーターズ(2007) 《ネタバレ》 
前半はアート系が入ったような先がまったく読めないストーリー展開。いきなり日曜の一家団欒を楽しんでいた家族を突然の侵入女がショットガンで皆殺し。どてっぱらにあんなでっかい風穴を開けられたお母さんが突然蘇生するところは、そのあり得なさから本作で唯一クスッとさせられるところかもしれません。そしてグールみたいな姿に変わり果てた女が登場するあたりからもう背筋のゾワゾワが止まらなくなってしまいました。カッターナイフやカミソリの刃で人体を切り刻む映像がこんなに不快なものとは想像もしませんでした。日本刀やマチェーテでばっさり斬られる方が絶対いい、もし自分がやられるならね。 ほんとにすごいのは上映一時間を過ぎてから、もうちょっとあり得ないです。なんの救いもないラストもまたひどい。 でもよく考えてみるとこれってホラーなんですかね、サブカルに色目を使った鬼畜映画というのが正しいんじゃないでしょうか。『ムカデ人間』シリーズの方がはるかに後味が良いと感じてしまうほどです。 井口昇や山口雄大といった日本を代表する鬼畜系監督がDVDのコメンタリーをやってますが、口をそろえて「この映画をさすがに人に勧めることはできない、人格を疑われる」「ウン〇みたいな映画」と本音を語っていたのにはちょとびっくりでした。彼らみたいなホラーマニアに言わせると「ホラーにはロマンがあるけど、この映画は…」ということらしいです。
[DVD(字幕)] 3点(2016-10-12 23:51:38)
38.  マルサの女2 《ネタバレ》 
マルサ板倉亮子が闘いを挑むのは今回は今となっては懐かしい存在の地上げ屋軍団、前作が街のパチンコ屋だったんですから敵キャラもスケールアップしています。ただ伊丹十三自身もかなり力みかえっている感じで、本作あたりからそれまで伊丹映画が持っていた風味が消えてゆくのでした。■まず言及しておかないといけないのは今回の悪役である三國連太郎で、前作の山崎勉を意識しすぎていたのか暴走気味の演技です。板倉亮子たちマルサがもう単なる狂言まわしみたいなストーリーテリングになってしまい、これは失敗だと思います。“巨悪に挑む”という脚本の意図は判りますが、地上げ屋・政治家たちをあまりにグロテスクに描きすぎて、なんか出来の悪いアクション映画を見せられているみたいです。それ以上に鼻白んだのは大して映画を観ていないわたくしでも10箇所ぐらい指摘出来るほどの過去の名画からの引用というかパロディ・カットで、それがまたセンスが悪いんです。笠智衆が登場するシーンなんかは彼のキャラはまるっきり『東京物語』のパロディで、こんなベタなことして誰が面白がると思ったのか不思議です。■前作を凌駕したと唯一言えるのは本田俊之のサントラで、これはほんとに素晴らしい。のっけからサンバのリズムを多用して、バブルの頃の世相を暗喩している秀逸なセンスです。そして後半から使われ始めてラストにフルで流れるグルーミーなメインテーマは、邦画サントラ史上に残る名曲だと思います。■板倉亮子たちマルサは巨悪には手もつけられずに涙をのむ虚無的なラストを迎えます。でも撮影時には神のみぞ知ることだったんですけど、その後のバブル崩壊で地上げ屋・大手都市銀行・総合商社は壊滅的なダメージを受けたことを思うと感慨深いものがあります。このバブルの狂乱を具現化した様な混沌とした映画の中で、ただひとつ伊丹十三が成功したのは、「宗教を忘れた戦後の日本人が唯一信仰していたのはカネであった」という鋭い問題提起だったんじゃないでしょうか。■伊丹没後の現在では詮無いことですが、板倉亮子のその後というか現在の姿をもう一度スクリーンで観てみたいものです。まあ常識的に考えればすでに役所は退官して、税理士でもやっているという感じでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2016-04-04 23:00:45)
39.  マチェーテ・キルズ 《ネタバレ》 
ロバート・ロドリゲスって人はほんとおバカですねえ、これはもちろん褒めてるんです。中坊のときにこの脚本を書きました、ってロドリゲスに告白されても余裕で納得のまるでリュック・ベッソンの『フィフス・エレメント』みたいなバカなストーリー。いま話題のチャーリー・シーンを大統領にキャスティングというのもB級映画道が良く判ってらっしゃる、またそれにチャリ公がまるっきり素のままの演技で答えてくれます。おまけにあのガガ様までムダな使い方してくれちゃって、と言うかあの殺し屋全然意味が判らないんですけど(笑)。マチェーテ=トレホもどんどん初期のジェームズ・ボンドみたいに無敵になってくるし、だいたいあんだけ撃ちまくられても弾が中らない、中ったら中ったで再生手術みたいなもので甦っちゃうし、けっきょくお前は不死身じゃないか! くだらないガジェットが次々登場するのはご愛敬ですけど、あのミサイルだけはほんと参りました。マチェーテを載せたまま発射されるけど青い線を切ったら無力化されて墜落って、心臓が止まったらミサイル発射というサスペンス(らしきもの)はいったい何だったんだよ!始めから導線を切断するだけで良かったんじゃん!…でもこのバカバカしさは好きです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2015-11-20 21:07:09)
40.  マンハッタン物語 《ネタバレ》 
ナタリー・ウッドのイタリア系はともかくとして、スティーヴ・マックィーンがギリシャ系(?)というのはちょっとムリ感がありますね、まあ映画の出来には関係ない話しですけど。 監督ロバート・マリガンが得意とする典型的な小品ですけど、良く練られた脚本なのでイイですよね。冒頭の無人のホールにだんだん人が集まって来て、実はそれは「ミュージシャン取引市場」だったと判るオープニングがイイですね。そこでいきなりマックィーンはナタリー・ウッドから「妊娠した」と告げられるんですけど、まあ撮影年代を考えればヒロインが中絶する展開になるはずもなく、ラストのオチはだいたい判るわけです。でもそこに至るまでの紆余曲折がなかなか秀逸で、走るぐらいしかアクションを見せないマックィーンの静かな演技が秀逸です。彼の出演作の中でもおそらくもっともアクションが少ないキャラだったと思いますが、「むく犬の様な眼」だと評された若き日の彼の演技が堪能できます。ナタリー・ウッドも良い演技なんですけど、あの人の良い若旦那をあて馬に酷使するところはいくらなんでも可哀想です。 観終わって気が付きましたが、けっきょく主要登場人物に悪人がひとりもいない映画でした。
[ビデオ(字幕)] 7点(2015-10-10 21:31:23)
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