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プロフィール
コメント数 3957
性別 男性
年齢 53歳

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1.  燃えよデブゴン
この邦題を考えた人はマジで偉いと思います。後から考えれば「これしかない」という邦題なのですが、これを自分で思いつけと言われても、なかなか、できることではありません。言い得て妙、語感も良く、聞いてしっくり、見て納得。サモハンと言えばデブゴン、どころか、デブゴンってホントはサモハンって言うらしいぜ、ぐらいの定着度合い。この邦題が、日本におけるカンフー映画受容史に一定の影響を与えたことは、間違いない!と思うんですが、どうでしょうか。 とか何とか、力説するほど、内容は大して面白くはないんですけどね。チンピラとのゴタゴタやらしょうもない誘拐事件やら、とりとめのないオハナシに、演出の方もあまりこなれていない印象。ちなみに監督・武術指導もサモハンがやっており、武術指導の方はすでにかなりこなしてますが、映画監督としてはキャリア初期ですね。 せっかくの笑わせどころ(と思われる部分)も、あまり見せ方がうまくないもんで、もう一つピンと来ないんですよね。バナナのくだりもよくわからんし、サングラス買う際のポスターのネタも、もうちょっとうまい見せ方がありそうなもの。 しかし、終盤のタクシーに乗りそびれるあたりからは、絶好調。ようやく映画が活き活きとしてくる。でもって、待ち受ける3人の敵との対決の場所は、倉庫。殺風景ゆえに、かえって盛り上がるところです。 デブゴンと言うからには(本人が自ら名乗った訳ではありませんが・・・)役作りでもう少し体重を増やして欲しかった気もしますが、体形や顔立ちのコミカルさと、キレのあるスピーディな格闘の動きとのギャップ、まあ、充分ではないでしょうか。 チョイ役で、ユン・ピョウの姿も。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-02-04 16:49:18)
2.  燃える平原児 《ネタバレ》 
エルヴィス・プレスリーが、白人を父、先住民を母に持つ主人公を演じた西部劇。これを見ても、何ゆえエルヴィス・プレスリーがあんなに大スターとしてもてはやされていたのやら、さっぱりわかりませんが、それは必ずしも悪い意味ではなく、あくまでこの大作とは言えない西部劇の出演者の一人として、複雑な境遇の青年の役を好演しています。一応はファンサービスなのか、歌声も披露しており、言われてみれば、スターらしい色気が無くも無いような気もしてきますが、おそらく気のせいでしょう。ということで。 この作品、何ともまあ、救いのないオハナシでして。主人公一家の周りでは、白人と先住民たちが、ひたすら対立しまくっていて、襲撃シーンなどもなかなか容赦のない描写。この一家はその家族構成ゆえ、できればこの対立に巻き込まれたくない。だけどそれを周りが許す訳もなく。そして周りが許さなければ、この一家を軸とした新たな対立の種が生まれてしまうことに。 最後まで何も解決することはなく、ラストシーンの別れが対立の終着点として描かれるこの悲劇、それをアクションを交えつつテンポよく描いていく手際の良さ。スターが主演だろうと何だろうと、B級西部劇の香りがいたします。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2023-05-07 07:45:13)
3.  モスラ(1961)
シン・ゴジラがユニークだったのは、ミニラがゴジラへ変身する過程をちゃんと見せたところ。いや、ミニラでは無かったですけれど、とにかく、ゴジラの形態を変化させた・・・というのはつまり、ゴジラをモスラ化させた、とでも言いますか。 モスラってのは要するに、映画の中で形態を変化させる怪獣、ですよね。幼虫と成虫、2形態で怪獣映画を楽しめる、というのもあるのですが、なんかこの過程が、神秘的、というよりは、不気味。 怪獣というものは、街を破壊するために現れる、いわば悪意の塊のような存在ですが、実際には、デカ過ぎることもあって(あるいは人間が小さすぎることもあって)、悪意があるんだかどうなんだかよくわからない。その最たるモノが、このモスラ。 小美人を誘拐してきて金儲けを企む人間どもの方が明らかにワルい訳で、モスラは小美人を救うためにやって来ただけ。しかしそれすらもよく判らなくって、モスラは淡々と破壊を続ける。その特殊効果が、お見事としか言いようがない。1954年のゴジラのモノクロ映像ならではの迫力に対し、カラーになってアラも目につくようになり、そりゃミニチュア撮影であることは丸わかりなんですけれど、それでもなお、ミニチュアでここまで表現できるのか、という驚きの連続。ほぼ、究極レベル。 ついに禁断の東京タワーまで破壊の手を伸ばすモスラ、しかしここで繭にこもりサナギと化してしまう。人間たちに対しトドメを刺すことも無く、我が道を行くその行動パターン、これ、十分に不気味です。 神、ってのは、そういうもんだと思う。 羽化してからの成虫モスラの羽ばたく姿も、これまたお見事。ホント、ここまで表現できちゃうんですねえ。 登場人物はゴジラで見たような面々が目立ちますが、その中心にフランキー堺の人懐っこい顔があって。破壊に次ぐ破壊が描かれる怪獣映画ながらも殺伐とせず、ユーモラスな雰囲気を醸しだしているのも、ゴジラやラドンとは一線を画していてユニークなところ。
[インターネット(邦画)] 8点(2022-07-05 22:53:09)
4.  燃えよ剣(1966)
「燃えよ剣」の映画化、と言っても原作の一部だけ。土方歳三という人の規格外ぶりを描くには、やはり宮古湾の海戦までは描いて欲しいところではありますが、そこまで行ったらもう函館までもう一息、完全映画化の超大作になっちゃう。と言うわけで、この作品では池田屋騒動まで。え、それじゃまるで「坂の上の雲」を日清戦争までしか映画化しないようなもんだ、ってか? そう言うなかれ、ちゃんと、池田屋騒動の中にこの作品ならではの仕掛けを織り込んで、土方歳三にしっかり活躍の場を与えてます。 土方さんとか沖田さんとか、もっとシュッとしたイメージを持ってしまうのですが、この映画では皆さん、だいぶ暑苦しいです。ちょっとギラギラした感じがある、と言ってもよさそうなくらい。エネルギッシュです。 正直、監督さんも俳優さんの多くも、あまり馴染みが無く、松竹だし大丈夫かな、とか思っちゃうのですが、いやいや、しっかりした作品だと思いました。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-05-29 20:57:46)
5.  最も危険な遊戯
遊戯シリーズ第1弾、なのにいきなり「最も危険」などとブチ上げると、ヒットしてシリーズ化した際に次はどのくらい危険にすればいいのか判らなくなる。という教訓が「あぶない刑事」で活かされたのかどうかはさて置き。 松田優作演じる、一見風采が上がらないものの実は凄腕の、ええと、こういうヒトを何て呼んだらいいんですかね、とにかく一種の仕事人。 そのメカニックと言ってもよい、キレのある動きは、このシリーズの象徴と言ってよいもの。とにかく凄みを感じさせます。 そして独特のカメラ長回し。動きのあるアクションは時に、カメラが写しうる範囲を超えてなお継続し、しかし映像と音は、今展開されている死闘の空気感を如実に伝え続けます。 お金なんかかけられなかったんでしょうけど、あの屋上での闘いなんて、どんな大作にも引けを取らない、名シーンじゃないでしょうか。
[インターネット(邦画)] 8点(2021-07-03 18:42:57)(良:1票)
6.  モンスター・イン・ザ・クローゼット/暗闇の悪魔
オープニングから、ロイド・カウフマンだとかマイケル・ハーツだとかトロマだとか、縁起でもないクレジットが見えたような気がしたけど、きっと気のせいでしょう、さらには出演者のクレジットの中に、ジョン・キャラダインだのポール・ウォーカーだのという名前が見えたような気がして、ああ、やっぱり今日は眼の調子がおかしいんだ、だってそんな訳がないもんね、とか思ってたら。 何とこれが、ホントなんだから、困っちゃうんです。ジョン・キャラダインとポール・ウォーカーとがトロマで出会う。いやあ、困った。 もっとも、ポール・ウォーカーは子役時代で、知らなきゃ誰だかまず、気づきませんけど。 それはともかく本作。「クローゼットにはオバケがいる」、という、トイレの花子さん的な定番ネタで、全く誰にも予想出来ないぶっ飛んだ映画を作っちゃった、アッパレな作品です。メチャクチャですけど。 要するに、トイレの花子さんを退治するために自衛隊が出動する、ってな感じです。 モンスターの着ぐるみの中に入ってるヒト、本当に無事だったんでしょうか。チープな映画の割に着ぐるみの造形がよく出来ているのですが、造形のみならず耐火性にも優れていそうな。 ド派手なドンパチから、人を食ったラストまで、まあ見事にアホらしく、やっぱりトロマは一味違うねえ。 一味違うと言っただけで、決して美味しいとは一言も言ってませんが。
[インターネット(字幕)] 6点(2021-05-13 23:07:02)
7.  モアナと伝説の海
CGで描かれる登場人物たちのスベスベとした質感が、どうにもソフビ人形に見えてしかたがない、今日この頃。 そのソフビ人形がたちが、歌って踊って、それはそれはもう、見事な動き。 悪趣味に光るヤドカリの化け物(?)まで、活き活きとした動きを見せて。 しかし何よりも圧倒的なのが、海の描写。水の描写。 こんなの見てると、人間、絶対に水に溺れたりなんぞしないような気がしてくる。 油断厳禁。
[DVD(吹替)] 7点(2021-02-27 20:23:35)
8.  モンスターズ/新種襲来
モンスター映画の体裁を借りて、戦争というものの真実を描こうとした、というのが製作の意図なら、そもそもあのヘンな生き物がチョロチョロ走り回ってる時点で「これは架空のオハナシです」とわざわざ念押ししているようなもんで、完全にブチ壊しだし、それが意図でないなら、どうしてこんな作品になってしまったのか、もっと訳がわからなくなります。 いや、別にモンスターが出てくるのがダメだと言うつもりは毛頭無くって、出すなら出すで、それなりの工夫して、相応の魅力をもって描いてくれればいいんです。それで観る我々が惹きつけられたら、そこにはリアルを超えたリアルがある訳で。残念ながら本作のモンスターは、中途半端もいいところ、もはや目障りな存在でしかない。 背景のフォーカスがあっていない遠景をモンスターが走っていたりすると、ちょっと「おっ」と思わせるものがあるのに、たちまちカメラはモンスターを追いかけ、モンスターもわざわざカメラの中心に入ろうとこちらに寄ってくる。これにはゲンナリ、私の心の「おっ」を返してくれと言いたくなるではないですか。言えば返してくれそうな気もするけど。 冒頭、浮かれていた若者たちが、実際の戦場の恐怖を体験する、という、何やら批判精神モドキのようなものを匂わせつつ、皮相的なリアリティを追求してみせ、「言いたいことがありそう」な映画には仕上がるけれど、何が言いたいのか実際にはワカラン、というよりゴメン、まるで興味が湧かない。この作品が、あの素敵なギャレス・エドワーズ監督作の続編を名乗っているもんだから、余計に残念に思えます。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2020-12-06 15:26:02)
9.  森の石松鬼より恐い
「森の石松」の舞台演出に悩む演出家が、ある日タイムスリップして石松本人になっちゃう、というSF超大(?)作。 という訳で、演出家役の錦之助がカツラ無しで登場し、なかなかレアです。しかし錦之助、時代劇カツラをかぶっていないと、結構、フツーのおっさんで、こんなにもオーラが無いのかと。いや失礼。 それが、目が覚めると自分が森の石松本人になっていて、その事実を飲み込むまでがドタバタの連続。そのネタでここまで引っ張るかと思うくらい引っ張るのですが、この石松ワールドの配役が、冒頭の現代のシーンと被っているせいで主人公も混乱する、ってのがどうにも可笑しく、ああ、あのヒトがこの役で再登場するのか、と大いに楽しませてくれます。そんじゃあ寿司屋の大将・鶴田浩二もきっとどこかに再登場するよね、と期待していると、まあ再登場はするものの、これはちょっと肩透かしですが。 とにかくこの前半の引っ張りで、主人公が簡単にこの世界に入り込めない、ってのがあるからこそ、あれやこれやの事件に巻き込まれ、彼自身も「石松」としての自分にめり込んでいく後半が、冴えわたるんですね。ただのドタバタに終わらず、クライマックスではしっかり、森の石松譚を堪能させてくれます。 例によってというべきか、屋外ロケシーンとスタジオセットシーンで、あまりに声の響きに差があり、これ何とかならないもんですかね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-01-25 03:06:08)
10.  主水之介三番勝負
劇中のどれとどれとどれが合わせて「三番勝負」なのか、よくわからん、というか、まあそれはどうでもいいのですが、例によって例のごとく橋蔵スマイルがまぶしい本作。 剣術指南役をめぐる争いから、師匠が闇討ちにあうんですが、橋蔵演じる主水之介は破門の身。次の師範代に指名された里見浩太朗のとりなしもあって、橋蔵は破門を解かれるものの、里見浩太朗もまた敵の凶刃に倒れ、右腕を失ってしまう。という訳で、橋蔵と里見浩太朗のキラキラ感あふれる友情エピソードとか、ライバル・天知茂のシブさと焦燥感の二面性、はたまた近衛十四郎サマの浮世離れしまくった剣豪ぶり、もう見どころ満点です。こんな言い方をしても信じてもらえないかもしれませんが(笑)。 回想シーンが妙に前衛的な演出だったりして、時代劇が妙なエリアへとハマりかけている雰囲気も味わうことができますが、まあ主人公がスマイル橋蔵なので大きく逸脱することはありません。このヒト、煩悩の塊みたいな感じで、とても剣豪には見えないけど。 その一方で、天知茂の存在を食ってしまう(ストーリー上の都合、という部分もありますが)のが十四郎サマ。このヒトはどうしていつも、「さっき、ひとっ風呂浴びてきました」みたいなサッパリした表情をしているのでしょうか。 ラストは橋蔵vs十四郎の一騎打ち。このシーン、ちょっとマカロニウェスタン風味が入ってますけれど、こちらも65年の映画ですから、実は時代をホンの少し、先取りしていたのかも。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2019-06-09 11:10:45)
11.  猛獣大脱走(1983)
動物園から逃げ出した動物たちが人間に襲い掛かるパニック映画、ってなコトなんでしょうけど、まーあんまし「襲われてる感」ってのはありません。作品中でいちばん印象に残るシーンというと、冒頭、猛獣のエサとして登場する、ウシか何かの生首でして。かなりインパクトあります。ギョッとします。これを超えるシーンは本編には登場しません、ハイ。 という訳で、肝心のパニックシーンは、調教された動物たちでもって和やかに撮られておりますが(ゾウさん頑張れ~もっと演技しろ~)、夜の街にチーターを走らせてみせたのは、これは比較的頑張ってたかな、と。 緊迫感の無さは、主人公のツラ構えにも表れていて、一体どこからこんなサエない俳優を見つけてきたのか。有名人だったらゴメン。 ラストのオチは、これ、手塚治虫の某短編作品みたいですね(アチラのネタバレになるのでタイトルは省略しますが)。アチラの方が数段、効果的ですけれども。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2018-06-30 02:15:22)
12.  目撃(1997)
希代の大泥棒を演じるイーストウッド、明らかに変装やらコスプレやらを楽しんでますねえ・・・。 冒頭の無言で続けられる侵入の作業で、主人公が只者ではないところを見せつける。そして彼が偶然目撃する、ある殺人事件。その中心人物が大統領であることは、劇中の登場人物である主人公はとっくに知っているハズだけど、観ている我々にはそれを後から徐々に知らしめる面白さ。 中盤も、基本的にはエド・ハリスを事実上の主人公といっていいくらい登場させ、監督ご自分はほどよく登場し、ほどよく役柄を楽しんでます。 それにしても、このお話、世間は狭いというか、偶然が多すぎるというか。いや、骨組みだけ見りゃ結果的にはそうであってもいいんですけど、脚本上、もうちょっとうまくゴマかしてくれてもいいのになあ、という気もします。 あと、主人公を泥棒という「悪人」に設定しつつ、自分の良心と家族愛から、大統領をも敵に回す物語、それなりに重いオハナシでもあるのですが、やっぱりラストがちょっと弱いかな、とも。難しい場面ではありますが。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-01-29 08:53:44)
13.  桃太郎侍(1957)
市川雷蔵が一人二役で、雷蔵ファンは2倍楽しめる作品。なんだかどうだか。 跡継ぎをめぐるお家騒動、あわや毒殺されそうになる若殿が雷蔵で、さらに若殿には生き別れの弟がいてこれも雷蔵。ちょっとイナセな浪人で、なぜか桃太郎などというふざけた偽名を使っている。で、この桃太郎が若殿サイドと陰謀サイドの両者からスカウトされてしまったことから否応なく騒動に巻き込まれ、やがて自ら若殿の身代わりとして、陰謀に立ち向かっていく。わかりやすくて楽しいオハナシ。実際、両陣営が相手方のことを名前ではなくただ「敵」と呼んでいるのがこれまたわかりやすい。 雷蔵がクリソツの二人を演じていますが、どっちがどっちだか我々が混乱するようなこともありません。活躍する方が桃太郎、活躍しないで声の高い方が若殿。ただ、周囲の人間がこの「同じ人間が二人いる」という事態をどうと捉えているのかは、正直、ちょっとわかりにくい・・・。ま、深く考えないことに。 ちょっと演出がもたつく面もあったり(桃太郎が顔にアザのようなモノを貼っているのが、正体を隠すためなのやら何やら、中途半端)、殺陣ももうひとつキレがなかったり(雷蔵だからしょうがない?)するのですが、明るく楽しく、ホンの少ししんみり、結構楽しめます。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-09-22 17:40:23)
14.  燃える昆虫軍団 《ネタバレ》 
子供の頃、確か水曜ロードショーで放送されてたっけか。水曜ロードショーって、なーんかコワそうなエゲツなさそうな映画ばっかり放送している印象があって(実際はそうでもなかったのかも知れないけれど)、あの穏やかなオープニングがいかにも、嵐の前の静けさを思わせたもんです。 で、なぜか家族そろってこういう作品を観てたのですが、まだ小さかった私は途中で寝て、後半の展開を翌日、親に教えてもらう、というのがいつものパターン。この映画も、火を発する昆虫が、車を燃やしたり、電話の受話器にへばりついてて髪の毛を燃やしたり、オソロシゲな場面の数々にたまりかねて(であったか、それとも単に眠かったからかは、もう忘れましたが)、布団に入り、翌日、その後どんな恐ろしい展開になったか、父親に聞いてみると、「男の人があの昆虫を飼いならして、言葉を言ったらその文字の形に昆虫が並ぶねん」「でも最後はその昆虫に殺されるねん」とのこと。子供心にも「なんのこっちゃ」と思いつつ、映画ってのはスゴイなあ、そんなアサッテの展開にまで広がっていくのか、と、何やら壮大な感じすら受けたもんでした。 ・・・当時のオヤジの説明、実際の映画とはちょっと違ってましたね。それとも私が何か聞き違いでもしてたのか。別に、飼いならしたり、自由に言う事聞かせたりする訳じゃ、なかったんですね。 しかし、自然を愛するサワヤカ系の教師が、後半、だんだんマッドサイエンティストになっていくあたり、なかなかよく描けております。いやそんな描写はいいから、もっと昆虫の襲撃を描けよ、パニックを描けよ、と思わんでもないけれど、いやこれがオリジナリティというもの。いいじゃないですか。さらに最後は「?」な幻想風味のカタストロフィ。いや確かに、当時のウチの親も、私へのあらすじ説明に困ったであろうことは、想像に難くないですな。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2016-01-16 01:55:45)(笑:1票)
15.  モンスターズ/地球外生命体
なんか妙にオモシロかったんですけれども。オモシロさの理由の1つは、これはまあ、ギャレス・エドワーズ監督がこの後抜擢された『ごじら』を先に観ちゃったから、でして。ああ、本作の色んなネタが流用されてたのね、と。怪獣による破壊の跡の描写とか、光る怪獣のタマゴとか、怪獣同士のラブラブシーン♡だとか。しかし、怪獣の直接的な描写よりも、怪獣が暴れた後の廃墟が主に描かれ、主人公の行く手に(あ、この作品、一種のロードムービーです)それが次々に現れて、具体的にそこで何があったのかはワカランけどとにかくロクでもないことが起こったんだなあ、そういうロクでもない状況の中に今、いるんだなあ、ってことはとてもよく伝わってきます。そう、コレって、『地獄の黙示録』みたい。冒頭で口ずさまれるワルキューレの騎行までもが『地獄の黙示録』と関係しているとは言いませんけれども、あの何とも得体の知れぬ気持ち悪い雰囲気、よく似てます(船で移動し始めたら、特に)。 で、主人公のふたりは怪獣が跋扈するメキシコからアメリカへ無事に逃げ切れるのか、一見そういうオハナシなのですが、さにあらず、というか、「結局、逃げるところなんて無いやんか」「逃げても大していいコトなんか無いやんか」「要するに逃げなくてもいいやんか」みたいな、現代社会の生きにくさをそのまま投影したような身も蓋もない感じが、かえって妙にシックリきたりして。 あと、いかにも低予算であることを謳い文句にして紹介されがちな作品ですが(実際、低予算なんでしょうけれど)、決して安っぽさを感じさせないのは、やはり見せ方のうまさでしょう。
[DVD(字幕)] 8点(2016-01-13 22:40:44)
16.  モホークの太鼓
いっしょに観ていた幼稚園の息子が突然「この人、エイリアンみたい」と言い出し、その後もしきりにエイリアンエイリアンと言ってるもんで、アンタそりゃエイリアンじゃなくってインディアンやろ、と。まあどうでもいいことですが。 独立戦争時代の西部開拓地域。そこに若夫婦がやってくる。旦那はある程度この未開の地にも慣れた感じだけど(例によって、ヘンリー・フォンダの分別顔がちょっと憎たらしいんですが)、不慣れな奥さんの方は驚きの連続、最初は気丈に振る舞うも、やはりたまったもんじゃない。という訳で、旦那の方はどうでもいいとしても(笑)、奥さんの成長というか変化が、ひとつの見どころですね。しかしそれ以上に、このまだ開拓途上にある混沌の地において光っているのは、やはりいい味だしまくってる脇役陣ですね。どうしてこうもジジイやババアを描くのが上手いのか。いや上手い下手は別にして、こうも面白く描くのか。 基本的には白人同士の戦い、軍人か否かを問わず、誰もが命がけで戦わねばならぬこともある。んだけど、その双方に、先住民の協力者がいる、という描写も面白いですね。で、敵方についた先住民、家屋に火を放ち、凶暴なのかと思いきや、根性オバちゃんに振り回される人のよさも見せたり。 そんでもって、クライマックスの砦の攻防、盛り上がります。さらには超絶ランニング。一体何十km走ったのか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2015-12-06 08:25:48)
17.  燃えよドラゴン
金もかかってないし出来もよくない作品、と思いつつ、何度も観ちゃう作品、70年代なら例えばこの『燃えよドラゴン』、80年代なら『コマンドー』とか。ま、いろいろありますわな。この作品、ブルース・リー作品の中でも、代表作と言ってよいのでしょうけど、作品自体はそれなりにデタラメで、それなりにワケがわからない。まずそもそも、ブルース・リーが本作において主人公扱いなのかどうか、まあ一応主人公だとして、このヒト、道を極め悟りを開いた仙人のような人かと思いきや、これ見よがしにトンボ返りしてみせたり(顔が写って無いのでリー本人ではなくスタントマンなのか、としたらさらにこのシーンの意味がワカラナイ)、復讐に燃えた悲壮な表情を浮かべたかと思いきや、明るいチャラけたところも見せたり。戦いの前、しなやかな構えのポーズを見せたかと思えば、イザ格闘が始まると奇妙な堅苦しい動き、視線もアサッテの方向で、こんな挙動不審な格闘シーン、ブルース・リーならではでしょう。そしてカッコいいんだか何なんだか、例の怪鳥音。そういったよくわからない一切合切が集まって、結局「ブルース・リーのあらゆる魅力、あらゆる表情が詰め込まれた、最高の逸品」になってしまったのが、本作という訳で、まあある種、映画史の脇道に燦然と輝く奇跡のような作品でもあります。そうそう、勿論ブルース・リーだけが本作の魅力じゃない、サモ・ハンがいる、ジャッキーも(どこかに)いる、そして何より、香港のシュワルツェネッガーことヤン・スエがいる(Gメン’75!)。鏡の部屋での戦いもワクワクするし、最後にポツンと残されたハンの義手、これはもはや、ひとつの哲学でしょう(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2014-10-30 22:55:36)
18.  モンテ・ウォルシュ
これは寂しい、寂し過ぎる西部劇。前半はカウボーイのおっさん達がガキのようにはしゃいでいる。んなコトばかりしてるから時代においてかれるんだけど、こればかりはしょうがない。で、この映画、これといって事件は起こらない。いや中盤あたりから事件は起こるんだけど、事件によって物語が展開するというよりも、まず「西部の男たちのどうにもならぬ落日」への流れがあり、そこに事件がポツンポツンと配置されていくような印象。彼らなりに精一杯生きて、時には派手に暴れつつ、結局は静かにフェイドアウトしていく。詩情あふれる映画、なんて言うとありきたりだけど、一体この寂しさは何なのか。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-03-27 23:41:00)
19.  もつれタンゴ
ダンスホールを舞台に、2人のバンドマンがクローク係のオネエチャンを狙って喧嘩するオハナシ、というのなら普通だけど、ここにもう一人の男が加わって三つ巴の喧嘩になるのがミソ。って、2人が3人になったからと言って、どやねん、ってなとこですが、その明らかにオジャマ虫である3人目の男が、チャップリンであるとうところがミソ。チョビ髭もドタ靴も無い、普通の扮装の小男であるチャップリンが、出演者の誰にも負けるまじと、ひっきり無しにコミカルな挙動不審ぶり(笑)を演じる芸の細かさに、また一方ではこれでもかと激しく動き回る。こういう作品を通じて、自分のキャラクターを作り上げていったのかな、と。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2014-03-18 22:33:43)
20.  モンスターズ・ユニバーシティ
モンスターズ・ユニバーシティ、それは魑魅魍魎が集まる大学。って言うと、バカボンパパの出身校バカ田大学を連想してしまったのですが(笑)。子供と一緒に大いに楽しませていただきました。続編でしかも一作目よりも時代的に前の話を描くとなると、多少なりともデッチ上げっぽい感じがしてしまうんじゃないかかと思うところを、本作は見事に自然で無理のない「モンスターたちの若き日」を描いていて、まずもって好感が持てます。内容的には、他のグループとの競争がストーリーの骨格になっていて、これ自体は普通「ネタ切れの時の苦し紛れ」な設定であって、無理が無いとは言い難いのですが、いわばこれは長い長い助走、ちゃんとその後のひと波乱ふた波乱あって、ここでそれまでのすべてが生きてくる。感心いたしました。あとこの映画、ギャグも冴えていて、あのお母ちゃんの洗濯機のシーンなど、笑いが止まりませんでした。ちなみに、ウチの下の子が一番ウケていた場面は、エンドクレジットの後のヒトコマですので、最後まで席を立たないことをオススメいたします。
[映画館(吹替)] 8点(2013-07-10 22:48:18)
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