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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2593
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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1.  竜とそばかすの姫
終幕後、何とも言えない神妙な面持ちを作らずにはいられなかった。 駄作だとは思わないし、エンターテイメントとしての複合的な意味合いでの華やかさと、エモーションを持つアニメーションだったとは思う。 だが、同時に、アニメ映画として誠実な傑作かと言うと、そうではないなと思う。 非常にアンバランスで、その不安定さが、とても下卑たものに見える瞬間も少なくはなかった。  主人公のアバター名が「ベル」であることをはじめ、ディズニー映画「美女と野獣」へのオマージュが多い映画だなとは序盤から感じたが、ストーリー展開を追うにつれその要素が大きくなり、オマージュというよりも、新しい解釈と新しいアニメーション表現を携えた“細田守版リメイク”、いうなれば「新世紀 美女と野獣」という趣向が強かったと思う。  圧倒的なビジュアルと音楽の融合によるイマジネーションの渦のようなアニメーション表現は圧倒的であり、独創性に溢れていた。 だが、あまりにも「美女と野獣」要素が強く、その独創性がイコール“オリジナリティ”の創出だったかと言われると、個人的には少々疑問が残った。  そういった超有名作との類似性も含めて、ストーリーそのものにおける“新しさ”はほぼ皆無だったのではないかと思える。 女子高生の主人公が抱える喪失と痛み、出会いと再生のプロセスは、極めてオーソドックスだったと言えよう。 そして、それを描いた現実世界の描写は、インターネット上の仮想世界の華やかさに対して、きっぱりと「地味」だった。  だがしかし、その「地味」な現実世界の描写こそが、このアニメ映画においては白眉のポイントだったとも思える。 少女の抱える傷心と、普遍的な心の機微が、高知県の田舎を舞台にしたアニメーションの中で、繊細にきっちりと描かれていた。 むしろ、それに対して派手で、壮大で、イマジネーションに溢れているはずの仮想世界の描写の方が、何だか既視感を覚え、面白みを感じづらかったと言える。 そういう意味では、田舎に住む女子高生の、地味でノスタルジックで瑞々しい現実世界の生活描写をもっと長く丁寧に描き出していてくれたなら、今作に対する印象はもっと変わったと思う。   そして、この映画における最大の“難点”は、やはり、最終的な決着の付け方だろう。 「児童虐待」という非常に重く切実な現実社会の闇を取り上げているにも関わらず、ストーリーの帰着があまりにも浅く、おざなりだったのではないか。 主人公のまるで合理的でない無鉄砲な自己犠牲的行動にも納得がいかないし、周囲の「大人」とされる人たちの存在の空虚さと無責任さにも不快感を覚えた。 実際に、同じような環境下、もしくはもっと劣悪な状況の中で虐待を受けてしまっている子どもたちは世界中に存在するわけで、それを主人公の“ファンタジー”的な言動であたかも解決したように見せてしまうことは、配慮に欠けるし、不誠実に見えて仕方がなかった。 もちろん、そういう題材を扱っている以上、製作者側にそんな適当な気持ちは無かったのだろうけれど、やはり誤解を生じてしまう描き方であったことは否めないし、根本的な作劇の軽薄さが露呈しまっていると思う。   前述している通り、大部分においてエモーショナルな映画ではあった。 インターネットの仮想世界におけるイマジネーションも、現実社会の風景を描いたノスタルジックも、秀逸なアニメーションで描き出すに相応しいものだった。 しかし、細田守という、いまやこの国を代表するアニメーション監督の作品である以上、主題となるストーリーの不誠実さや軽薄さは致命的であり、看過できるものではない。 商業的に巨大になってしまったブランドは、往々にして誠実な視点を見失いがちだ。細田守監督には、今一度、クリエイターとしてのエゴイズムを突き詰めて、唯一無二の作品作りに挑んでほしいなと思う。
[映画館(邦画)] 5点(2021-08-09 09:05:36)(良:2票)
2.  陸軍中野学校 竜三号指令
大日本帝国陸軍時代に実在したスパイ養成機関出身の諜報員たちの姿を描いたシリーズ第三弾。 主人公椎名次郎が、戦禍に向けて混沌が加速する上海の地で、危険な諜報任務を繰り広げる。  一作目、二作目と、諜報員としての才覚と経験を高めてきた椎名次郎が、ついに本格的なスパイ活動を展開していく様は、先ず単純に娯楽性が高い。 「007」とまではいかないが、“M”的存在の草薙中佐から秘密道具的なガジェットも提供され、窮地に陥った主人公がその秘密道具を駆使して危機を回避する描写は、「地味」ではあるが、なかなか楽しい。  そして、やはり主演俳優市川雷蔵の存在感が光る。 シリーズ三作目にして椎名次郎像もすっかり板についた様子で、常に淡々と立ち回りつつ、己の職務と宿命に全うする様は哀愁にあふれている。 今作では、敵地に潜入するために地元中国人に扮して関所を通り抜けるシーンがあるが、その際に見せる聾唖ぶりが巧みだった。  時は大戦前、椎名次郎をはじめとする諜報部員たちは、国際的対立を何とか水面下で収束させるために命をかける。 今作でもまた幾つもの屍が主人公の前に横たわる。しかし、その犠牲も虚しく時代は世界大戦への突き進んでいく。 スパイ椎名次郎の苦闘は続く。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-10-17 15:18:21)
3.  陸軍中野学校
市川雷蔵演じる主人公の渇いた物腰が、この映画が醸し出す空気感のすべてを体現している。 その様は、とても整然として美しい反面、おぞましさと狂気がふいに顔を見せる。 この男は一体何を考えているのか。 ストーリーの進展と共にそれは絞り込まれ明らかになってくる筈なのに、クライマックスに突き進むほどに、彼の心情は靄がかかるように見えなくなるようだった。 それは即ち、主人公・三好次郎もとい椎名次郎が、本物のスパイに成った表れだったのかもしれない。 スパイ・椎名次郎は、僅かに残っていた愛する者への情を、使命という名の非情で闇の中に埋め込み、世界の混沌へと歩み出していった。  実在したスパイ養成所「陸軍中野学校」の実情を描いたこの50年前の映画は、決して一筋縄ではいかない娯楽性と狂気性が入りじ混じっている。 描き出される時代と舞台に共鳴するように、この映画そものものが非常に混沌としている。 ただし、混沌としてはいるが、難解なわけではない。映画としては、娯楽作品としての立ち位置をきちんとキープしている。 それはまさしく、往年の日本映画界の底の深さであり、ただ凄い。  美しき能面のような主人公が、この先どのような“表情”を使い分けて、スパイという生き方を全うしていくのか。 そして、彼が手繰り寄せるのは、世界の平和か、それとも更なる混沌か。 この後のシリーズ作品を観ていくのが、楽しみでもあり、恐ろしくもある。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2018-10-16 15:50:21)(良:1票)
4.  リリーのすべて 《ネタバレ》 
原題は「The Danish Girl」、直訳すれば“デンマークの女の子”。 当然、主人公である“リリー”という「女性」を指しているだろう。また、“リリー”に最期まで連れ添った「妻」のことも指しているだろう。 ただそれならば、“Girl”ではなくて“Woman”でもいいのでは?と、語学力の乏しい日本人としては思える。 そこには、生まれた瞬間から”間違った身体”を与えられてしまった「女の子」の心象そのものが表れているように思える。  ”彼”が、無意識の内に秘め続け、皮肉にも彼を最も愛した女性によって解き放たれた少女性。 このシンプルなタイトルが含んだ意味と人格は、重層的で、豊かなドラマ性を孕んでいる。   さて、この映画は、「悲劇」だろうか。  この題材を、「悲劇」として描いたことに対して、トランスジェンダーの層からも、そうでない層からも、一部批判が渦巻いているらしい。 個人的には、この物語は、決して悲劇だとは思えなかった。 勿論、映画の顛末となっている出来事は、悲しい。けれど、”リリー”自身にとってこの物語が本当に悲劇なのであれば、それはもっともっと悲しい。  たとえ、死の淵の一寸のことであったとしても、彼女は、自分の魂が望み続けた“あるべき姿”を果たした。 何もわからない、何も知らない、無知な他人にとっては、その姿が死に急いでいるように見えるかもしれない。 しかし、そうではない。 彼女にとっては、その「瞬間」こそが、生きるということの目的であり、真価だったのだろう。 彼女の最期の言葉は、真に幸福感に溢れていたのだと思う。思いたい。   まあ何と言っても、エディ・レッドメインが凄い。 昨年の「博士と彼女のセオリー」でのホーキング博士の演技で舌を巻いたわけだが、今作での表現力もまた凄まじい。 自分と同い年と知り、益々今後どのようなキャリアを積んでいくのか楽しみでならない。  そして、タイトルの意味でも言及した通り、この映画は主人公リリーの物語でもあり、同時に彼女に寄り添った妻ゲルダの物語でもある。 彼女を演じた新星アリシア・ヴィキャンデルは、凄まじい主演俳優に匹敵する存在感を示し、素晴らしかったと思う。 彼女の存在がなければ、当然リリーはその人生を全うできなかっただろうし、この際どいバランス感覚を要求される作品自体が破綻していたことだろう。  ”リリー”の妻であり芸術家であるゲルダの“物言い”や“振る舞い”が実に現代的で、この映画が描く時代背景に対して一寸違和感を覚える。 けれども、それは、無知で無理解な「時代」に対して、彼女が思想的にも精神的にも、そしてそれらを踏まえた立ち振舞的にも、いかに進歩的であったかを表しているのだと感じた。  自分が思うままに生きること自体が困難だった”彼女たち”は、きっと多くの悲しみを受け続けたことだろう。 しかし、彼女たちの悲しみの上に、ほんの少し進歩できた今の社会があり、ほんの少しずつ進歩し続けていることも事実。  ならばやはり、この映画は、彼女たちの人生は、「悲劇」なんかじゃない。
[映画館(字幕)] 9点(2016-12-24 23:30:14)
5.  陸軍中野学校 雲一号指令
冒頭、スパイと成った市川雷蔵演じる椎名次郎は、北京に向かって朝鮮半島を北上している。 きな臭さが立ち込める時代、いよいよ“スパイ・椎名次郎”の暗躍が始まるのかと高揚感が生じる前に、主人公は本国に呼び戻される。そして、神戸港で相次ぐ輸送船の爆破事件の調査を命じられる主人公。地元の憲兵と衝突しつつも、首謀者を暴いていく。  スケール的には小規模なストーリー展開にまとまったシリーズ第二作。 ストーリーテリングとしてもそれほど際立った驚きはなく、ジャンルムービー的に展開し、良い意味でも悪い意味でも落ち着いて観られる作品に仕上がっている。  そんな中、見どころとなるのはやはり「市川雷蔵」その人だろう。 前作で自らの人生を捨て去り“スパイ道”を邁進することを決めた主人公・椎名次郎の能面のように美しい無表情が、二作目にしてもはや癖になる。 徹底されたポーカーフェイスの中にさりげなくも絶妙に表れる怒りや悲しみ。垣間見せる人間らしい感情を瞬時に押し殺す椎名次郎の葛藤こそが、この作品の味わい深さの肝だろう。  また今作においては、スパイ活動の中で演じ分ける大阪商人ぶりも見逃せない。 軽薄な商社マンになりきって、反逆者の懐に入り込むシーンは、国産スパイ映画ならではの面白味を、市川雷蔵の芸達者ぶりとあわせて楽しめる場面だと思う。  さてこれから主人公が、開戦前のきな臭い時代をスパイとしてどのよう生きていくのか。 また幾つもの屍を乗り越えて、椎名次郎は、スパイの道を歩んでいく。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-12-03 19:00:32)
6.  リップヴァンウィンクルの花嫁
“夢現(ゆめうつつ)”。  映画が終わった劇場の座席でしばしぼんやりとしながら、その言葉が頭に浮かんだ。 “ひとり”では、決して、抱えきれない痛みと、抱えきれない愛おしさ。 どこまでも切なくて、どこまでも残酷な映画だった。  白昼夢のようでもあり、悪夢のようでもあるこの歪な映画世界は、まさに現代社会の“ひずみ”を映しだした“リアルな寓話”だ。 社会の片隅でひっそりと肩を寄せあって眠る彼女たちの生きる様は、とても悲しくて、とても美しい。 二匹のランブルフィッシュのように、やがて彼女たちのまわりに余計なものは何も無くなって、二人だけの唯一無二の世界を構築していく。  束の間の、いや、ほんの一瞬の、幸福。 辛苦に溢れた世界の只中で、苦しみ、悲しみ、それでも、「この世界はさ、本当は幸せだらけなんだよ」と謳い上げたこの映画の、彼女たちの強さを讃えたい。  この奇跡のような映画を彩ったのは、“彼女たち”の存在感に他ならない。 主人公を演じた黒木華とCoccoが、この映画の中で息づくことで生まれたアンサンブルが、あやうく、愛おしい。  黒木華が岩井俊二作品の中で自然に息づくことはある意味容易に想像できていたが、Coccoがこれ程までに、岩井俊二の映画にフィットし、そしていきいきと支配していくとは思っていなかった。 そして、10代の頃から、この映画監督と、稀代の歌姫を信奉し続けてきた者にとって、それはあまりに感慨深い特別な映画体験だった。   彼女は、「この涙のためなら、わたし何だって捨てられるよ。命だって捨てられるよ」と、歌うように愛を伝える。 彼女は、新しい景色の風に吹かれながら、空っぽの左手の薬指を愛おしそうに眺める。  嗚呼、この世界の、ほんとうの価値が見えてくるようだ。 一ヶ月の期間をあけて二回この映画を観て、その直後に原作小説も読み終えた。けれど、まだこの物語のすべてを整理しきれてはいない。 きっと、一生、付き合っていかなければならない映画なのだと思う。  人は、強く、儚い。 そしてそのどちらも美しい。 今はただそう思う。
[映画館(字幕)] 10点(2016-05-20 00:15:42)(良:1票)
7.  リンカーン
運命の投票が行われている議会の喧騒をよそに、“彼”は我が子を懐に抱え一緒に昆虫図鑑を読んでいる。 端から見ると、気が気でない心情を紛らわしているようにも見えるけれど、きっとその時彼は、本当に息子と図鑑の中の虫たちのことしか頭になかったと思う。 常に自分の目の前に置かれた物事に心血を注ぎ続けた人。エイブラハム・リンカーンとは、たぶんそういう人だったのだろう。  この映画を観て何よりも驚いたのは、「奴隷制度の撤廃」が成されたのは、奴隷制度を絶対的な違法と定める合衆国憲法修正第13条が、可決成立されたからに他ならないということ。  英雄的な大統領が「奴隷解放宣言」をしても、「自由」を謳う北軍が優勢に戦局を進めていても、憲法が改正されなければ、奴隷制度の完全撤廃には至らなかったであろう事実。 そして、この映画は、憲法改正を成さなければ、人種差別の根本は民衆から消え去る事無く残り続けるだろうことを見抜き、何としてでも憲法改正を推し進めた「偉大な政治家」の姿を描いていた。  そこには、“リンカーン”という固有名詞に対して人々がイメージするであろう聖人的な人物像は無く、時には「俺は合衆国大統領だ!」となりふり構わず最大権力を振りかざしてでも、己の信念を貫き通そうとする等身大の男の姿があった。  米国史に明るくないので、この映画の時代背景に具体的なイメージが付随しないのは残念に思った。せめて南北戦争の流れくらいは把握しておけば、もっとこの映画に登場する人物たちの一挙手一言動に感動できたかもしれない。  ただそうでもなくても、この映画が伝えるリンカーンという政治家が成した功績の重さと、彼の人間的な感情は充分過ぎる程に伝わってきた。 監督と主演俳優の功績はもちろん大きいが、この映画に携わった誰一人として手を抜いてないであろうことがびしびしと伝わってくることこそが最も素晴らしいことだと思う。  先だって観た「ジャンゴ 繋がれざる者」に続き、米国史における奴隷制度の実情を垣間見て、気持ちが悪いくらいの嫌悪感を感じ続けた。 そこに映し出された人間の残虐性は、決して米国に限ったことではなく、世界中の歴史の中で繰り返されてきたことであろうことに、更に虫唾が走る思いになる。 しかし、そう思えるということは、幾分なりとも世界が良い方向へ変わってきていることの証明でもあろう。
[映画館(字幕)] 9点(2013-05-25 07:25:27)(良:1票)
8.  竜馬の妻とその夫と愛人
三谷幸喜ならではの坂本竜馬と彼をめぐる男女の人間模様が愉快に感動的に描かれる。竜馬の妻を演じた鈴木京香、その愛人を演じた江口洋介、妻を慕う義兄を演じた中井貴一とそれぞれユーモラスで人情的な好演を見せるが、何といっても竜馬の妻の夫を演じた木梨憲武の喜劇俳優ぶりが素晴らしかった。最高に可笑しく、感動的なノリさんのパフォーマンスに涙する。ケッサクの名に相応しい映画だった。
[映画館(邦画)] 8点(2013-01-12 23:02:59)
9.  リアリズムの宿
冬風が吹きつける日本の寂れた裏通りを歩いていく冴えない男二人。 “顔見知り”程度の二人の絶妙な関係性が、妙な間と可笑しみを生んでいく。 そこには希望もなければ、絶望もない。“美しくないもの”をきっちり美しくなく描き出す辛辣さと、可笑しさ、それらに裏打ちされたリアリズム。  山下敦弘監督(「リンダ リンダ リンダ」)のこの映画をずうっと観たいと思っていたけれど、地元のレンタル店ではなかなか見つけることが出来ずにいた。 最近になって特に観たくなっていた最大の理由は、尾野真千子が出演しているからだった。 ふと訪れた自宅から遠いレンタル店でようやく今作のパッケージを見つけ、やっと鑑賞に至った。  つげ義春の原作らしく、創造以上に“つかみきれない”感覚は、エンドクレジットが映し出された瞬間に覚えた。 良い映画とも悪い映画とも大別できない浮遊感みたいなものを、観終わってしばらく感じていた。  その浮遊感こそ、この映画が描こうとしたことだと思う。 人の世は、楽しいものなのか、美しいものなのか、素晴らしいものなのか。 大概の場合、その答えは「ノー」と言わざる得ないけれど、それでもふいに訪れるわずかな“光”の“ようなもの”を求めて、ふらふら、ふわふわと多くの人間は生きている。  人も、物も、風景も尽くうらびれているこの映画は、その突き詰められた“うらびれ感”の中で、「それでももうちょっと生きてみるのも悪くない」ということを呟くように伝えてくる。
[DVD(邦画)] 8点(2012-01-17 16:09:30)
10.  リトル・ランボーズ
“なにか”に触れ、自分のその先の人生をかけるくらいに熱狂する。それは、すべての“男の子”に与えられた「権利」だ。 その熱狂が、たとえ盲目的で何かしらの弊害を生んだとしても、熱狂したその瞬間こそが彼らにとっての「宝物」であり、生きていく中でその価値はきっと揺るがない。  生活環境が全く異なった11歳の少年二人が、「ランボー」で共鳴する。 主人公二人の共通項が詩人のアルチュール・ランボーのことであればひどく退屈な映画に思えるが、シルベスター・スタローンの「ランボー」であることが映画の面白さを引き立てる。  厳格な信仰の元で育ちあらゆる娯楽を禁じられた少年が、悪たれだが映画が好きな少年に引き込まれ、嗜好を爆発させていく様が愉快で解放感に溢れている。 個人的に、かつて映画製作を志していた時期があるので、少年たちが喜びを爆発させるように映画づくりに没頭する様を観ているだけで、この映画を否定することなどできなくなる。  少々意味不明な交換留学生のフランス人の存在感や、主人公たちそれぞれの境遇の中途半端さに対して、この映画が求める抑揚に乗り切れない部分もあった。 ただそういう難点を補ってあまりある“輝き”がある映画であることは間違いない。
[DVD(字幕)] 7点(2011-12-23 10:12:08)
11.  リトル・ミス・サンシャイン
ひとクセもふたクセもあるバラバラの家族が、美少女コンテストに出場が決まった娘のために、一路カリフォルニアまで“オンボロワゴン”で走り出す。 様々なトラブルが次々起こる“家族旅行”を通じて、崩壊寸前の家族の「再生」を、時にユニークに、時にシニカルに、そしてハートフルに描き出したスバラシイ映画だった。  崩壊寸前の家族像を描きながら、この映画は冒頭から愛らしさに溢れ、心をくすぐってくる。 それは、この家族が決して悲劇的にバラバラな状態ではないということに他ならない。それぞれの思いの中で、微妙な“すれ違い”は生じているが、根本的にはそれぞれが自身の家族を愛し、必要としている。そういうことが、鮮やかに映し出される映像美とキャストのさりげない表現力によって、映画の全編を通して伝わってくるのだ。  この映画は6人の家族そのものが主人公だと思うが、それを演じたキャスト陣がそれぞれとても素晴らしかった。 今作の強烈なおじいちゃん役でアカデミー助演男優賞を獲った名優アラン・アーキンや、父親役のグレッグ・ギニアの存在感は申し分なかったが、やはり印象的だったのは、ミスコンを目指す幼児体型の眼鏡少女をこの上なくチャーミングに演じて見せた小さな女優アビゲイル・ブレスリンだ。バラバラの家族を繋ぎとめる唯一の“かすがい”として天真爛漫さを振りまくオリーブ役を見事に演じきっていたと思う。  トラブル続きの“家族旅行”を終えた時、彼らをとりまく様々な物事は決してすべてがうまくいったわけではない。むしろ、客観的に見れば色々なものを失ったと言える。でも、彼らはみんな出発前にはなかった心からの笑顔に溢れている。 この家族が得たものは何にも代えがたく、その価値はこの映画そのものの価値だと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2010-09-29 12:44:41)(良:4票)
12.  LIMIT OF LOVE 海猿
何の前触れもなくいきなり巨大フェリーが座礁して、海上保安官の主人公は当然救出作業に向かい、そこにたまたま喧嘩したばかりの恋人が乗り合わせていた。 という展開が、冒頭十数分の間に矢継ぎ早に繰り広げられ、あまりに唐突なストーリー展開と安直さに対して、脚本の稚拙さを先ず感じずにはいられなかった。 映画開始から30分程で既にクライマックスのようなシーンに突入するので、熱い台詞回しとアクションシーンの割に盛り上がることが出来なかった。  主人公の恋人(加藤あい)は早々に救出されてしまい、全体2時間弱の尺をこの後どう展開させるというのか?そういう不安に覆われながら、映画は進んでいく。  結果、どういう映画に辿り着いたかというと、やっぱり“熱い”映画だった。 「稚拙」というワードが、結局終始ちらつくことは否めない。ただし、描かれる映画世界はただただ愚直で、熱い。  何の工夫もない映画と言ってしまえばそれまでだろうが、僕は、主人公たちが馬鹿正直にひたすらに自分の職務を全うしようとする姿に熱くなるべき映画だろうと思った。 脚本的にもっと面白く、もっと感動的に出来る要素は大いにあると思うが、映画自体の方向性は決して間違ってはいないと思う。
[DVD(邦画)] 6点(2010-06-23 16:50:29)
13.  リベラ・メ
主人公をはじめとする人間描写がことごとく希薄だったように思う。ストーリー的に納得はできるが、ドラマとして感情移入が全く出来なかったことが致命的だった。必要以上に登場人物が殉職していく展開にも軽薄さしか感じなかった。火事の描写自体は迫力があっただけに、人間ドラマに丁寧さがなかったことは残念。
[ビデオ(字幕)] 3点(2009-06-25 16:17:53)
14.  リトル★ダイナマイツ/ベイビー・トークTOO
1も2も吹き替えで観た。赤ちゃんの吹き替えが1は所ジョージで笑えたんだけど、2はアナウンサーの福沢でグレードが下がっていた。こんなレベルの続編にもしっかり主演しているあたりに、トラボルタの当時の売れてなさぶりが伺える。
[地上波(吹替)] 2点(2009-06-25 16:08:05)
15.  リプレイスメント・キラー
ジョン・ウーっぽいアクション映像は迫力はあったが、所詮物まねの域は越えていなかった。単純に楽しめたので別にいいのだけれど、強く印象に残るようなインパクトはなかった。
[映画館(字幕)] 4点(2009-06-25 15:05:41)
16.  リーサル・ウェポン2/炎の約束
パート1のアクションの王道的作品に比べると極端にコメディ要素が入りすぎている気がする。ゆえに迫力は落ち、見応えもなくなっている。
[地上波(吹替)] 4点(2009-06-24 15:42:42)
17.  リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い
個人的に、こういう個性派集団的アクションは問答無用に大好きなので、観ないわけにはいかなかった。さらにそのキャラクターそれぞれが文芸作品の伝説的主人公というのだから、期待は否が応にも高まる。で、映画はというと、もともとこの手の設定が好きなので決して楽しめないことはなかった。が予告などで期待していたシーンは前半で消化してしまい、後半の盛り上がりがイマイチだった。そもそも主人公の超人さに対して、敵のキャラクターのインパクトがなかった。それなのに、いちいち手こずるものだから爽快感に欠けた。設定自体、かなり滅茶苦茶なのだから、もっと破天荒なストーリーと演出であれば、かなり秀逸な娯楽大作に仕上がっていたと思う。御歳73歳のショーン・コネリーの体のキレには驚かされた。続編があるのなら、期待したい。
[映画館(字幕)] 5点(2009-06-23 23:28:09)
18.  リアリティ・バイツ
個人的には少し観る時期が早かったのか、それほど共感を持つというまではいかず、「あーウィノナ、カワイイなあ」と思うばかりだった。青春時代の苦悩っぷりが良く描けているという雰囲気は感じたので、今観るともっとハマるかもしれない。今作のような、ある世代の観客のみが感じるものが大きい映画というのも大切だと思う。
[ビデオ(字幕)] 6点(2009-06-20 17:23:57)
19.  リーサル・ウェポン
同シリーズの全体的なイメージはメル・ギブソン、ダニー・グローバーの掛け合いを軸にした奮闘振りを描いた明るいものなんだけど、パート1である今作はこれ以降のシリーズ作と比べると、実にシリアスでアクションの王道的迫力に満ちている。
[地上波(吹替)] 6点(2009-06-20 17:10:15)
20.  リング(1998)
やはり怖いです。貞子がテレビから出てくるシーンのインパクトは物凄かった。ホラー映画だから怖いのは当たり前だけど、触れ込み通りに観客を怖がらせるというのはやはり凄いと思う。個人的にはホラー映画は根本的に苦手なので、ただ怖いという感想しかないが、日本映画の売りとしてホラーというジャンルを確立したこの映画の価値は大きい。
[地上波(邦画)] 6点(2009-06-20 17:04:29)
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