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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3872
性別 男性
年齢 53歳

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1.  わらの犬(1971)
すみません、コレ、好きなんです。ヘンな映画ですけどね。バイオレンスを片田舎のフツーの家庭の日常に持ち込んだ、画期的(?)な作品。 何しろ、ヤな奴ばっかり登場する、この不安感。主人公ですら、そんなに好感もてるヤツじゃない。妻が村の男に暴行されるも、彼女の自業自得みたいな面がある上、その事実を主人公がまるで知らないってのがスゴイ。普通なら、クライマックスで展開される暴力は、この事件に対する復讐として描きそうなものですが、本作ではそうは描かない。暴行事件自体はこれでもかと我々の前で描きながら、一方、知らぬは亭主ばかりなり、あくまで哀れでマヌケな小心者として描かれる。そして、クライマックスの一軒家での攻防戦は、まったく別の事件をきっかけに巻き起こり、ここに至って主人公はブチ切れる。「ここは自分の家だ」という、ただその理由で迫りくる敵と戦い、言う事を聞かない妻に対しても暴力を辞さない(この点からしても、本作は「復讐譚」の真逆を行ってます)。もうここからは、ホラーかオカルトの世界。暗闇の中で周囲から隔絶された一軒家、ここではBGMも用いられず、霧笛だか何だか知らんけど不気味な低音が断続的に聞こえてくるだけ。無軌道な破壊が繰り返され、そして鮮烈な銃声が響き渡る。 外から迫りくる敵の狂気に対し、ダスティン・ホフマン演じる主人公も、完全にイッちゃってます。いったん暴力に踏み出せば、もう引き返すことはできない。ラストのセリフにもそれが表れていて、虚無感に満ちた余韻が残ります。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2016-12-30 09:17:29)
2.  わが谷は緑なりき
ウェールズ地方の炭鉱の町を舞台に、ええと、要するに、一家離散のオハナシですね(←その安っぽい言い方やめなさいっての)。一家の様子、町の人々の様子、さまざまな事件が、一家の末っ子の少年の目を通して描かれていくのですが、その見事な繊細さ。内容的には全然関係ないけど、中勘助の『銀の匙』をどこか思い出させるものがあります。炭鉱の町らしい、煙を吐く煙突群の幾何学的な面白さと、炭鉱の中の厳しさ。自然の美しさと冬の寒さの厳しさ。人々の交流と反目。これらが何ともノスタルジックに描かれ、どこまでも引き込まれていきます。上記のように、結局は一家がバラバラになっていってしまうのですが、そこに浮かび上がってくるのはむしろ、人と人との「絆」。映画が、悲しさよりもむしろ懐かしさをもって描かれていくのが、かえって感動を呼びます。神々しくすらある映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2011-04-28 21:57:22)(良:1票)
3.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 《ネタバレ》 
長すぎた製作準備期間の末、通常では実現し得ないところまで膨張しきった妄想が、なぜか見事に実現してしまった、まさに異形の大作。時代の移り変わりの中、姿かたちを変えながら何度も現れる、同じ人物、同じ部屋、同じ街。それを描く、ありとあらゆるシーンひとつひとつが、“ドラマ”をはらみ、我々に訴えかけてくる。そう言う意味では、表面的で判りやすい要素が多いのかもしれないけど、やはり面白くてカッチョよいのだ。ここでの“ドラマ”とは、ある意味では“トリック”でもある。ラストにおけるマックスとの再会は、ストーリー上の大きなトリックであるけれど、これ以外にも細かいトリックがある。例えば、悪ガキどもの放火シーン。最初は、新聞に小便をかけていると、我々に思わせ、ああ、悪いヤツらだな、と思わせる。次のシーンで、小便ではない別の液体であることが判る。次に「タバコ→火」ときて、げげっ本当にトンデモない奴らだ、ってなことになる、この衝撃性。あるいは、晩年のヌードルスとデボラの再会シーンも面白い。女優のデボラは舞台化粧で真っ白けの顔、年齢不詳で若い頃と変わらない。初老のヌードルスと若いデボラが出遭う、不思議な瞬間。会話の中でデボラが化粧を落としていくと、年齢がその顔に現れ、時間軸は急速に合致する。このような小さなドラマが再現なく現れては消える4時間(完全版)。ラストのヌードルスの笑みは、解釈は色々あるのかもしれないけど、私には、セルジオ・レオーネ自身の満足の笑みのように思えて仕方ない・・・・・・。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2008-03-23 14:55:04)(良:1票)
4.  私は告白する
犯人からの告解を受けてしまった神父が、殺人事件の真相について口を噤まざるを得なくなる。というのは、後にジャック・ヒギンズが『死にゆく者への祈り』でも使ったネタ。他にも類例がありそう。 この『私は告白する』では、神父自身が容疑者となってしまうところがミソ。告解の件以外にもウラには事情が色々とあって、ヒッチコック作品にしては少々、ゴチャゴチャした印象もありますが、周囲からの視線を描くカットなどで主人公を追い詰めていく描写などは、いかにも、といった感じ。 犯人は意図的に神父を陥れようとしたのか?といった辺りをさらに描けば、さらにゴチャゴチャしてさらに大作になったのでしょうが、さすがにそこまでは風呂敷を広げず、90分少々にまとめ上げています。あくまで視点の主体は神父側。もっとも、犯人側の模様も幾分は描かれ、犯人の奥さんの存在が妙に印象的・・・なのはアン・バクスター演じるヒロインとの対比から来るのかもしれませんが、いずれにせよ、この奥さんが意外なキーパーソンとなります。 結末に至る展開は、「わざわざ犯人がペラペラと真相を語るのはおかしい」という声もあると思いますが、それを差し引いても、私は、こおシーンで見られる「犯人と神父とが再び対峙する」という盛り上がりの方を採りたいです。邪悪さが前面に出た、冒頭シーンの変奏としての告解。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-10-31 07:26:28)
5.  ワイルド・ワイルド・ウエスト
とてもクダラなくってとても面白い映画だった、という記憶はあったものの、久しぶりに観て、いくら何でもここまでクダラなくってここまで面白かったか、と。 西部劇の世界にハチャメチャなマシンが登場し、まさに荒唐無稽の極み。それらのマシンがもっともらしく蒸気機関仕立てなのがこれまたアホらしい(戦車も登場するけど、それを「Tank」などと、当時あり得たはずのない呼び方で呼んでたり。まさにオーパーツ中のオーパーツと言えましょう)。 けれど設定ばかりがアホらしいのではなく、ストーリーもデタラメで、ウィル・スミスとケヴィン・クライン、どんな高い崖から転落しても平気だし、砂漠の中に取り残されようと気が付いたらアッと言うまに敵に追いついている。二人の脱力するような会話さえあれば、どんな危機も乗り越えてしまう(=無かったことにしてしまう)、この実に堂々たる、厚かましさ。 ウィル・スミスはこのバカバカしい役をコミカルに演じようとするけれどどこかギコチなくって、そのギコチなさが妙に可笑しく、一方のケヴィン・クラインは「こういうバカバカしい役はオレに任せろ」とばかりに器用なところを見せて、その器用さが妙にハズしてる、という気もするのですが、その二人を組み合わせると、いやコレ、なかなか悪くないんじゃないの、と。 クダラなさ満載、メカへの愛着満載。いいねえ。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2020-11-23 08:24:37)
6.  ワイルド・アパッチ
西部劇の時代なのに、野球の場面でピッチャーがアンダースローで投げてなかったり、カーブを投げてたり。ってのがちょっと気になったのですが、調べてみると、なるほどコレ、時代的には別に、おかしな話ではないみたい。 ってのはどうでもよくって、それにしてもこの映画、面白い。自分が中高生の時にワクワクしながら映画観てた、あのワクワク感を思い出させる面白さで、ちょっと感激してしまいました。アパッチ族の一部が保留地から逃走、略奪や殺戮を繰り返す。で、その討伐のために騎兵隊が向かうのだけど、この敵であるところのアパッチ族一味が、とにかく強くてとにかうコワい。彼らが凄まじい虐殺を行うには、彼らなりの理屈や論理らしきものがあって、しかしそれは「こちら側の人間」には何らの共感を覚えることができないもので、従って到底理解できないもの(そういや、sympathyの字幕の翻訳が「同情」になってたように思ったけど、この場合はちょっと変では?)。この素晴らしく得体の知れない相手との死闘、いやもう、コレですよコレ。 悪意のない虐殺、悪意すらもない虐殺、という、その怖さ。その怖さに立ち向かう人々の姿。ああ、そうか、だからパニック映画って、あんなに面白かったんだ。 騎兵隊の追跡に協力する「訳知り」風のオッサンに、バート・ランカスター。さらにアパッチ族の若者も協力者として同行しており、この二人がいわば、騎兵隊と敵のアパッチ族の一味との間に位置している。ま、この味方の二人でさえこんなに不愛想でとっつきにくいんだから、敵はもっと得体が知れん訳ですな。 で、単純に「敵=悪」という勧善懲悪の物語ではなくって、悪意のない敵に対し、恐怖と怒りから、むしろ騎兵隊の中にこそ敵に対するドス黒い「悪意」が芽生えかけてくる、こういう皮肉もまた、本作の怖いところ。 そしてあとは、いかにしてこの恐るべき敵に、いや恐怖そのものに、立ち向かっていくか。その戦いがこれでもかと描かれる。ハラハラしワクワクすることこの上なし。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-05-14 23:10:45)
7.  ワイルド・ギース
囚われの身となっているアフリカの要人の救出に向かう、傭兵部隊の活躍。まずは冒頭、無謀な計画が事務的に淡々と語られていく感じが、イイんですね。で、傭兵たちが集められるんだけど、これがまたイイ歳こいた冴えないオッサンの集まりで、精鋭と呼ぶには程遠い。オッサンたちの集団が、訓練受けてても、出撃しても、ホノボノしていて、なーんだかピクニックみたいなんですな。いよいよ開始された救出作戦の方もやたら順調に進み、これじゃ映画の尺がだいぶ余っちゃうね、と思いきや、後半、雇い主に裏切られた彼らの艱難辛苦が始まる。ここで、前半のホノボノムードの中で描かれた各キャラが生きてきます。冷静なリチャード・ハリスに、少しトボけたクールさのロジャー・ムーア。その他忘れ難きポンコツメンバーたちを、次々に危機が襲い、容赦なく命を奪っていく。全体的に、実際の傭兵がアドバイザーとして参加したとは思えないヘンテコな戦闘シーンが多いようにも思えますが(兵士が散開せず団子状に突撃してはバタバタ撃ち倒される、ってのはカメラアングルを優先した結果か。銃を持ってるのにナタを振りかざして襲ってくるのは、これはナゼ?)、それでも、無数に襲ってくる敵とオッサンたちとの戦いは大いに盛り上がり、いい味出しまくりの出色の戦争映画だと思います。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2015-03-01 09:45:35)(良:1票)
8.  ワイルド・レンジ 最後の銃撃
K・コスナーの頭頂部もチトさみしくなってきて、R・デュヴァルと並んでるとまさに、大ハゲ小ハゲという趣きですが(ゴメン。しかし「大」の方はよく進行を食い止めていると思う)。この二人が演じるカウボーイ、軽口を叩いて見せる年長のR・デュヴァルと、やや無口な年下のK・コスナーを観ていると、何となく「その後のブッチとサンダンス」のようにも見えてきて、うれしくなってきます。内容はといいますと、どこからともなくやってきた流れ者のカウボーイたちが、土地の有力者と対立し、決闘する、という、オーソドックスなもの。それを、決して若くはない主人公の二人が、西部劇そのものを懐かしむかのように、ゆったりと物語を紡ぎます。映画で描かれる物語は、舞台も限定され、期間的にも短いもの。だからこそのゆったり感。もちろん、前半における覆面集団とのやりとりから、ラストの決闘まで、劇的で緊迫感のある場面も多いのですが、一方では中盤における大雨の一夜、執拗に降り続く雨が、夜の長さを象徴していて、持続する時間そのものが印象的。そしてクライマックスの銃撃戦もたっぷり時間をとっているのですが、さらには空間もたっぷりとって、これが特筆モノの、物凄さなのです。細かいショットの積み重ねでいかにも撃ちあっているように「見せる」、というイマドキの演出ではなく、ここで見せつけられるのは、本当に人間同士が撃ちあう姿。暴力の表面的な演出ではない、暴力そのものの光景、これはハッキリ言って、衝撃的ですらありました。ラストもゆったり時間をとり、いささか甘ったるいのかも知れないけれど、これは愛の物語、西部劇への愛の映画なのだから、これはこれで良いのではないか、とも思えます。
[DVD(字幕)] 9点(2010-04-04 08:55:19)(良:1票)
9.  わが故郷の歌
イラン・イラク国境を舞台にした、クルド人の爺さんと2人の息子の珍道中であります。あまり馴染みのない風景や風俗描写に目を奪われますが、一方、どっからこんな俳優見つけてきたのやら、というイイ味出しまくりの登場人物たち、なんだかカウリスマキ調とでも言いたくなる雰囲気も。かつて爺さんの元を去った女性から手紙が届き、その女性を探しに行く物語ですが、途中のエピソードが何ともユーモラスで、ウマい。喧嘩のシーンなんか、いかにも「ポカスカ」っちゅう感じでマンガっぽい。子供たちが紙飛行機飛ばすシーン、一人早まって飛ばしてしまう奴がいるのには笑ってしまいました(リアルすぎるが、演出なのか?ホントに早まったのか?)。また、ロードムービーでは「行きずり」で終わってしまうような脇役たちが、この映画では思わぬところで再登場するなど、エピソード間に繋がりがあるのにニヤリとさせられます。でも映画全般があまりにもナチュラルな描写なので、作為的な感じはしません、何か映画全体が一種の変奏曲であるかのような印象も受けます。そして、映画を通して鳴り響く通奏低音が、戦闘機の爆音なのです。ユーモラスな描写の合間に、執拗かつ不気味に響き、映画の背景を暗示し続けます。イラクに入ってくると、戦争の臭いが強くなり、舞台は雪に閉ざされて寒々としてきます、それと共に、フセイン政権下での悲劇がより強く押し出されてきます。しかしそれを決して「絶望」としては描いておりません。ラスト、雪の中を、子供を背負って歩くミルザ爺さんの姿は確かに心細い、しかし有刺鉄線を踏み越えて行く姿には、奥底から湧き上がる力強さも垣間見えるように思えます。 それにしても、お茶が本当においしそうでありました!
9点(2004-06-12 01:41:47)
10.  ワイルドバンチ
まさにガビガビに乾き切ったような映画。全編これ砂煙。始めの方で、馬に乗った一行が砂山を転げ落ちるシーン、別に意味無いシーンとは言わないまでも、単に砂煙上げるために「撮ってみたかった」だけじゃないの?と思えてくる。そんな殺伐とした雰囲気の中、登場人物の男たちはまるで最初から死に場所を求めているよう。いや別に自殺願望があるわけじゃないけど、全然前向きな態度でもナイ。端から見れば徒労のようにも見える危険を犯しながら、荒野を彷徨う。そして。 "Let's go." " Why not?" これだけで通じる。観る側にも通じるのである(敵地に赴く四人。シビレタ・・・)。まさに壮大なる犬死に、その犬死にの美学。砂煙、銃声、血しぶき。もう戦争映画にすら凌駕しそうな壮絶さ。ペキンパーっちゅうと悪く言えば(私にとってはむしろ褒め言葉ですが)「コケオドシ」、しかし、本作はその「コケオドシ」の究極の結晶体ともいうべき、一つの奇跡のような作品、でありましょう。
9点(2004-01-18 02:20:47)(良:1票)
11.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアンモンキー
ワンチャイの外伝、と銘打ってて、リー・リンチェイも出演してませんが、要するにウォン・フェイホン先生の少年時代のオハナシ。父親役がドニー・イェンなのでこちらが主人公か、と思いきや、少年時代のフェイホン先生も大活躍してます。このキレのある見事なアクション、演じてるのが実は女の子、というのに驚きつつも、そう言われてみれば確かに、という感じもして、何だかイイ話。 子供の頃からこんなに優秀だったフェイホン先生、してみると『酔拳』に登場したのは、あれはニセモノだったのか、、、 勿論、ドニー・イェンを始め、皆さん、素晴らしいアクションを次々に披露してくれます。おかげで、ストーリーなんて無いに等しいくらいですが、「鉄猿」なる義賊を巡ってひたすら格闘アクションが展開されます。出演者の身体能力に加えて、ワイヤーアクションに早回し(逆にスローモーションも活用)、これらを組み合わせれば、人間に出来ないコトなんて、この世に存在しないんじゃないのかなあ、と。 マキビシみたいなヤツが投げつけられて鎖が切れると火花が飛び散ったりする、芸の細かさ。 ラストの炎の上での死闘まで、目が離せない!!
[インターネット(字幕)] 8点(2022-06-25 10:22:52)
12.  ワイルド・スピード 《ネタバレ》 
このシリーズも第1作からはかけ離れた世界観に突入していて、思えば遠くへきたもんだ、と、ため息のひとつも出るのですが、久しぶりに第1作に戻って復習しておこうかと。 で、今更気づいたんですが、てっきりこのシリーズのタイトルは「Fast & Furious」だと思いこんでいたところ、第1作の冒頭を見ると、FastにもFuriousにも、それぞれ「The」が付いているではないですか。今まで、「Fast≒Furious」みたいなニュアンスのように捉えていたけど、実は「Fast⇔Furious」と捉えるべきだったのか? とか言っても、そのことと映画の内容との関連は、サッパリわからんので(汗)、何でもいいんですけどね。 この第1作目、クルマ愛が全編に漲りまくっていて、正直、クルマに疎い私にはついていけない世界なんですが、映画を楽しめるか否かとは関係なし。曲芸のようなカーアクションの羅列に走っている最近のシリーズ作(もちろん嫌いでは無い)とは違って、ガチンコ感のあるカーアクションが楽しめます。 何より、第1作ということもあって、ポール・ウォーカーとヴィン・ディーゼルとの出会いが描かれており、このシリーズにはめずらしく、ちゃんとストーリーがある(笑)。潜入捜査モノでありながら、そこにまつわるドキドキ感があまり感じられないのは惜しいところですが、それはあくまで、物語がふたりの関係性に焦点をあてているから。もちろん、「潜入捜査&カーアクション」という路線は、『フェラーリの鷹』を思い出させてそれだけでもうれしくなってくるのですが、ああいうムダなクラッシュを連発する映画とは路線を変えたことが、長く続くシリーズとなった秘訣でしょうか(いや、『フェラーリの鷹』は殿堂入り、別格の作品ですけどね)。 踏切を飛び越えるシーン、続いてヴィン・ディーゼルのクルマが宙を舞うシーンは、第1作にして、シリーズ中屈指のシーンだと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-08-15 14:23:04)
13.  若さま侍捕物帖 紅鶴屋敷
殺人現場に残される紅の折り鶴。紅鶴屋敷にまつわる怪事件を、いつもヘラヘラしていていかにも頼りない橋蔵若さまが、快刀乱麻を断つかのごとき名推理で解決してみせる。ホント、こんな真剣みのカケラもないニヤけた若造に、涼しい顔でやすやすと解決されたんでは、悪人どももたまったもんじゃないと思いますが、推理して良し、戦って良し、ニヤついて良し、大川橋蔵の大スターぶりを大いに堪能できます。 それにしてもコレ、オモシロい。暗がりで顔を上げればそこにはきっと(妙にオドロオドロしい顔で)人が立ってて「ギャーッ」と驚く、というカマシがムダに何度も繰り返され、極めてアホらしいのですが、アホらしくても面白いものは面白い。とりあえず、それぞれに思惑があったり無かったりする雑多な人物が登場し、思わぬ事件が発生して思わぬ展開、何だこりゃ何がどうなってるんだと思っていると、ちゃんと若さまが名推理で解決し、しかも殺陣もしっかり楽しちゃうという寸法(二刀流!)。 映画ってメディア、ミステリに向いているんじゃないか、と改めて思います。事件の断片を断片のまま提示しても、小説の場合ほど作為を感じさせない、っていうか、むしろ映画って、そういうものなのでは。 すべての映画は、ミステリである、と言っては、言い過ぎですかね。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2018-05-04 15:35:28)
14.  わが青春に悔なし
冒頭、京大事件(滝川事件)をモデルにした物語であることが示されるけれど、内容的にはその後日談のような展開が中心で、弾圧による夫の死と、残された妻が力強く生きていこうとする姿が描かれます。後半、スパイの身内として冷たい視線を浴びつつも、農作業に励む原節子の姿が、これでもかこれでもかと描かれる、このあたりのプロレタリアートな感じが、例によって例のごとく、もうホラー一歩手前なんですけれども。 あまりこの路線を突き進むと、都会生活よりも田舎の農作業の方が尊いんだ、みたいな感じになってきちゃって、胡散臭くもなるのですが、農作業の後、川で休める手と、ピアノを弾く手とが呼応し、うまく回帰していく。いや、それより何より、後半の迫力自体が、そんな胡散臭さなど吹っ飛ばしてしまう訳ですけれども。もの凄い「怒り」のようなものが、感じられます。 そして実際、この泥まみれで働き続ける原節子の美しさ。最初の方でうわー変な髪型だなあと思ってたら(失礼)、その布石だったか、と。 なんと、杉村春子ですら美しく見えてきてしまう、ってそんなアホな(って、そんな失礼な)。 ところでタイトルに「青春」なんていう言葉を入れちゃうのは、どうなんですかね。実際の内容よりだいぶ甘い印象になってしまいますが。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2017-04-23 09:43:07)
15.  ワイルド・スピード/MEGA MAX
シリーズにこれまで登場してきた、自由に走りまくるクルマ。そこにとんでもなく不自由なオモリぶら下げて、カーチェイスの新しい力学を切り開いてみせた、この点だけでも本作、実にスバラシイと思います。何が何やら、とにかく破壊、とにかくハチャメチャ。中盤、あれこれと現金強奪計画の準備が描かれる割には、実際のクライマックスではとんでもない力技に走り、とんでもなくアタマ悪いと見せかけて、最終的には中盤の描写にもそれなりに意味がありそれなりにアタマ悪くない、という結末。でもやっぱり、これだったら、中盤をもう少し削ぎ落してもよかったんじゃないの、とも思いますけれども。ま、とにかく、カーチェイス、ごちそうさまでした。
[地上波(吹替)] 8点(2014-09-07 16:36:40)
16.  ワイルド・スピード/EURO MISSION
ストーリーはと言うと、「良い者チームと悪者チームがカーチェイスで戦います」というだけ。両者の間で多少の交換トレード(?)らしきものはあるけれど、ヒネリという程のヒネリは無く、いたってシンプル。ややこしい点があるとしたら、ハゲとムキムキが多いので、誰がどちらのチームだったっけ、と混乱する方もいるかも知れませんが。でも、こんなシンプルなオハナシになっているのは、アクションの凄さに対する自信の裏返しかも知れません。やり過ぎ、走り過ぎ、壊し過ぎ。地面を這いまわる2次元的なカーチェイスが、ここではまるで3次元の空中戦のような。それどころか、もはや、カーアクションは重力を超越し、3次元の立体世界での戦いに向っています。とりあえず、お腹いっぱい。ありがとう。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-03-02 20:38:06)(笑:1票)
17.  ワーロック(1959)
この作品からは強い怒りが感じられます。何しろ登場人物たちを片っ端から対決させて、ほとんどみんな殺してしまうんじゃないか、と心配になっちゃうような展開、ですから。ゴロツキどもに悩まされているワーロックの町。人々は、ヘンリー・フォンダ演じる保安官を雇って、これに対抗しようとする。やってきた彼は、なかなかにアクの強い男。いつも堂々とし、どんな危機にも臆することなく立ち向かい、しかしその一方では周囲に溶け込もうとすることなく我が道を行く男。すなわち、ヒーロー。彼は言う、今は皆に必要とされている自分も、やがて疎ましがられるようになるだろう、と。実際、彼の予言通り、彼はやがて邪魔者扱いされるようになっていくのたけれど、このあたり、当初の、人々の彼に対する卑屈なまでの期待と、後半の掌を返したような冷たい態度との対比が、露骨なまでに強調されていて、「良心的大衆」のもつ無責任さを厳しく糾弾しています。さてさてしかし、忘れちゃいけないのが、本作の主人公、リチャード・ウィドマーク。実際、冒頭で最初にクレジットされているのも彼。しかし本作の彼は、持ち前のアクの強さはH・フォンダとその相棒A・クインに譲り(この二人の示す同性愛的な関係も、世俗を超えたヒーローが伴うファンタジーの変形をみることもできるかもしれない)、ここではあくまでフツーの人であり、何とも頼りないチンケな小男の役。不器用な男。しかし彼は、大衆的な良心ではなく、自分の良心に従って行動する。ヒーローたるH・フォンダの「行動」に比べりゃ、普通人たる彼のそれはずっとスケールの小さい「行動」かも知れないし、実際、彼は何もできなんですけれども、彼がチンケであればあるほど、彼が何もできなければできないほど、彼の、まず行動を起こそうとする「勇気」が印象づけられます。そして彼を目立たぬながら物語の中心に据えたことによって、本作は、単なる「ヒーローいじめ」の物語ではなく、「ヒーローが存在できなくなった時代において、ヒーローが、ヒーローらしく退場する」という独特の物語、重層的な物語になりえたのかな、と思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-07-07 08:20:25)
18.  私はゾンビと歩いた!
ヴァル・リュートン製作の怪奇映画シリーズ。これが意外に秀逸。まず冒頭の、二人の人物が歩く海岸の風景。まあタイトルからして、二人のうち一方が人間で一方がゾンビなんでしょう、とかいうことはどうでもよくって、すでにこの光景からして超自然的な印象を受けます。独白で進められていく物語は、雪の都会の一室から、南の島へ。そこでは非日常的な世界が主人公を待ち受けている訳ですが。そうそう、本作、S・ブロンテの『ジェーン・エア』を下敷きにしている、みたいに言われたりもしますけど、いやいやむしろ、この雰囲気はE・A・ポーの『アッシャー家の崩壊』の世界ではないでしょうか。本作におけるゾンビってのは、例の人間を襲ってバリボリ食うヤツじゃなくて、“熱病によって何もわからなくなり夢遊病状態の人”なんですね。だから必ずしもモンスターじゃない(いや、ちょっとコワい顔のゾンビも登場しますが)。ゾンビ自体はモンスターじゃないけれど、物語の背景はとっても呪術的、そして宿命的な要素があり、まあ要するに「よくわからん不気味さ」ってのが横溢しているのですね。やはり怪奇映画たるもの、こうでなくては。そのアッシャー家的は宿命の物語を裏打ちするのは、「音」による不気味さ。森から響く太鼓の音であったり、塔に響くすすり泣きであったり。また「風」なども気持ち悪い雰囲気を出すのに効果を上げてますね。短い作品ではありますが、怪奇映画らしい雰囲気を楽しめる作品です。
[DVD(字幕)] 8点(2012-08-28 22:47:14)
19.  ワイルド・スピードX3/TOKYO DRIFT
「DKって何の略か知ってるか?」「・・・ダイニング・キッチンか?」「ドン小西だよ」。別に、“ダイナマイト・関西”でもいいんですけどね。いやこの映画、面白かった! “変なニッポン”の描かれ方が、あまりにも高い完成度に達していて、ちょっと山口雅也の『日本殺人事件』すら思い出してしまいました。そのシュールさに大笑いし、カーアクションに手に汗握り、ラストの「その手があったか」というオチに一本取られ、実に楽しめました。カーアクションの見どころの一つは、“ドリフト”の曲芸のようなテクニック。しかしやっぱり、2台の車が互いにぶつかり合いながら追いつ追われつを展開する正統的カーチェイスが、やっぱりワタシ大好きでシビレちゃいます。特に、“渋谷のど真ん中でのカーチェイス”という、絶対あり得ない映像を見せてくれたのには、もうひたすら頭が下がっちゃいます。ただこの映画、惜しかったのは、せっかくカーチェイスを展開する自動車を特徴的な色にしているのに、夜のシーンで色を捉えきれていないために、観ててやっぱり、どっちの車を誰が運転しているのか判りにくくなってしまっている事。何か撮影にもう一工夫いるんじゃないですかね。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2010-06-08 00:39:53)(良:1票)
20.  ワルキューレ
史実に沿う、という物語上の制約は確かにあります(クーデターは成功するのかしないのか、という「最後はどうなる?」的オモシロさを期待するのなら)。でもね。やっぱりこの映画のオモシロさって、映像そのものから伝わる凄み、ですよね。まさに力作、映像の凄みがドラマを生み、これによって映画が圧倒的な緊張感をはらみます。そもそも、私が本作のDVDを観ていたら、ロクすっぽ観てなかったカミさんがふと画面に目をやって(最近、DVD観賞に付き合ってくれないのです。ってこんなトコで愚痴ってどうする)、一言、「こういう制服姿って、カッコいいよね」と言ったのが、まさに、映画のストーリーとも、誰が善玉で誰が悪玉かという設定とも、全く無関係に発せられた、本作の本当の魅力を指摘した発言だと感じました(でもたまには一緒にちゃんと観ようぜ。だから愚痴るなっての)。トム・クルーズ演じる主人公、映画開始早々に爆死して「えーもう終わりなの」と心配させられるけど(んなアホな)、実は体に大きな障がいを受けつつも、九死に一生を得る。これまでの映画ではしばしば、肉体の欠損は、安直にも、悪人の象徴として描かれてきたフシがあるのだけど、この映画では、そういった“善悪”ではなく、“狂気”“凶暴性”を表しているかのような。時代の狂気に立ち向かう、それとは別の狂気、そう言って悪ければ、恐ろしいまでの信念。内なる凶暴性が、強固な「制服」の中に渦巻き、まるで嵐の前の静けさ、爆発寸前の緊張感、といったところ。体が不自由になった主人公は、確かにスーパーヒーローのように飛んで跳ねての大活躍、という訳にはいかないのだけれど、わずかに残された指があれば、電話を武器に戦うことはできる。残された指は、敵に対する武器であり、無くした指、手、眼球は、映画を観る我々に対する武器、とでも言えますか。静かで激しい、闘争の映画でした。
[DVD(字幕)] 8点(2010-01-23 04:31:39)
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