1. シカゴ(2002)
「オール・ザット・ジャズ」でノックダウンです。格好いい。70年代にここまで楽しく、ここまで冷徹にスキャンダリズムを皮肉った舞台を作ったフォッシーにまず乾杯。そしてフォッシーと、エンタテインメントをこよなく愛することを隠さない、この映画のスタッフに拍手。リチャード・ギアが下着姿で踊ったときにはちょっとのけぞりましたが、それも含めて、「やる時はやる」役者たちはさすがです。 8点(2003-11-30 15:13:59) |
2. 戦場のピアニスト
《ネタバレ》 大まかな内容は、観る前から想像がつく。それでも引き込まれるのは、誰もが状況次第で、とてつもなく非情になりうるという現実の重さ故でしょうか。爆撃を受けたときのリアルな耳鳴り、そして緊張の果てのユーモアが秀逸です。 8点(2003-09-23 13:36:04) |
3. 容疑者Xの献身
《ネタバレ》 よかった。だいぶ前に原作を読んだとき、「謎解きと心理の密接な関連」が最大の見せ場になっている小説なので、これは地味過ぎて映像化が難しいと感じた。結果的には、納得の出来。「地味」に徹した堤真一の演技、特に天井で4色問題を考えるシーンが、泣ける。「派手担当」の福山雅治とも意外にいいバランスで、なんだか直木賞受賞作「X」の映画化企画が先にあり、その地味さを埋め合わせるためにテレビシリーズを作ったのでは、と思っちゃったほど。 全然関係ないけれど、テレビシリーズのスピンオフ「ユンゲル」を観たら「ユージュアル・サスペクツ」のオマージュになっていて、笑いました。 [映画館(邦画)] 7点(2008-10-26 19:37:58) |
4. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 深夜なのに、かなりの入り。評判通りとにかく怖い。正当派パニック映画といえるのでは。特に音。雷などの大音響も、席の後方から聞こえるかさこそ動く小さな気配も。普通の下町が粉々になる絶望感で、始まる前は結構賑やかだったグループも息をのんでました。物語は、とにかく一個人が逃げまくるだけ、という点が好感もてた。大統領も学者も、祖国愛も人類愛も皆無。解説も主人公が聞く風評のたぐいだけ。ドラマとしては、何かもうちょっと伏線が欲しかったかもしれないけれど。 [映画館(字幕)] 7点(2005-07-03 13:19:36) |
5. ハウルの動く城
《ネタバレ》 強い少女は健在。やっぱりワルツと美しい映像、特に冒頭近く、空を歩くシーンが素敵。この時点で恋に落ちたってことじゃないでしょうか。美しい自然を旅したあと、ちっぽけな下町の帽子屋に帰ってくるところも良い。ただ城を壊すあたりから、意味がよくわからなくなったけれど。老女の包容力が妙に印象に残りました。 7点(2004-11-24 00:49:08) |
6. コラテラル
《ネタバレ》 まるで舞台のような対話劇。運転手と検事、そして銀髪のトム・クルーズが狭いタクシー車内で語りまくる。エンドロールが流れたとき、たまたま後ろの席にいた観客同士が、「なにこれ」と怒っているのが聞こえた。確かにサスペンスとしての新味はないかもしれない。しかし、だからこそ、夜を超えていく野性の印象が、奇妙に後をひく。音楽がどれも格好いい。 7点(2004-09-17 01:49:32) |
7. 半落ち
《ネタバレ》 小説を読んでいたのに、泣けました。深夜ですが老若男女よく入っていて、やっぱり鼻をすする人が多かったです。 冒頭の取り調べまでの速いテンポ、次々惜しげなく出てくる渋いキャストで、引き込まれちゃいました。人物一人ひとりの背負うものが善悪一辺倒でなく、深い。確かに説明は少なく、盛り上がりもいまいちですが、「命」の意味とか大上段に語らない分、抑制のきいた一本になったのでは。特に寡黙な寺尾聰。微妙な目の演技が秀逸。 横山秀夫のカメオ出演もファンとしては楽しかったです。 7点(2004-01-25 02:16:05) |
8. ラスト サムライ
《ネタバレ》 先行ロードショーで観て、一言でいうと「品の良さ」が心地よかったです。ニッポンといえばサブカル全盛ですが、やはりクロサワの映像、音楽は偉大ということでしょうか? 前評判通りトム・クルーズより格好いい渡辺謙、りりしい小山田シン。緻密なチャンバラ。ストーリーとしては名誉の死とか滅びの美とか、実は苦手なんですが、軍事産業や異文化否定に対する静かな反発を評価。個人的には真田広之さんの見せ場がもっとほしかったのと、最後に福本清三さんの役名を呼んでほしかったです。 7点(2003-11-24 16:03:02) |
9. キル・ビル Vol.1(日本版)
《ネタバレ》 シネコンのレイトショーでポップコーン食べながら、というシチュエーションがぴったりでした。玄関ベルを押す指のアップとか選曲とか、さすが。確かに88人斬りシーンは長すぎると思うけど。キーハンターの千葉真一、好きだったのを思い出しちゃいました。相変わらず演技下手で、うれしかったです。 7点(2003-11-02 01:39:41) |
10. 千と千尋の神隠し
《ネタバレ》 飛ぶ話が多い監督だと思っていましたが、今回はむしろ水。雨が降れば海にもなるさ、でしたか、このイメージの鮮やかさはさすが。 7点(2003-09-23 14:59:36) |
11. マイノリティ・リポート
《ネタバレ》 これから生体認証や個人情報管理といったテーマを論じるとき、頻繁に引用される重要な映画となるでしょう。エンタテインメントとしてはイメージ詰め込みすぎでは。…それからもう一つ、コリン・ファレルの出演歴としても重要な映画になるかしら? 7点(2003-09-23 13:24:57) |
12. サイン
《ネタバレ》 陰鬱な「宇宙戦争」。ストーリーは単純なのに、音楽の少なさと目を離しがたいカメラ目線、ところどころのユーモアで引き込まれる。信仰とはまた別に、すべてが何かの伏線である、というテーマは、思えば作劇の基礎。片田舎に息づく人生も十分にドラマを含んでいるという意味で、妙に胸に届く。賢い兄と勘の鋭い妹、特に「水が汚染されている」という妹の台詞の繰り返しが効果的。絶望に向かい合うということが、意外に真摯に描かれていると思った。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-07-30 21:28:26) |
13. アメリ
《ネタバレ》 ヒロインの切りそろえた前髪と、細い足首がいたずらっ子らしい雰囲気をよく醸していて魅力的。好きな人とすれ違う昼下がりの広場の、オレンジがかった光、そして昼下がりの伸びた人の影が、妙に懐かしい感じでわくわくする。人とわかり合うのは難しくて、とても手間だけれど、手間をかける甲斐はあるのかも、と思わせる一作。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-06-05 22:07:50) |
14. HERO(2002)
《ネタバレ》 皆さん指摘なさってますが、アクションというより舞踏では。砂や葉や水の動きという舞台装置、そして繰り返し出てくる膨大な兵士と矢。この美意識を、実際の映像として撮ってしまう執念に脱帽。「十歩」という数へのこだわり、旗の色の小道具にファンタジーを感じました。 6点(2005-01-25 02:12:30) |
15. ブリジット・ジョーンズの日記
爆笑。ベストセラーの映画化だし、コメディだし、そんなにリキを入れなくても一定の成功を予測できただろうに、ちゃんと体を張って演技するレニー・ゼルウィガーが見事!日本で言えば男女7人の大竹しのぶみたいなものでしょうか…例える必要もないけど。古いし。 6点(2005-01-23 11:59:03) |
16. ボーン・スプレマシー
《ネタバレ》 シリーズ前作同様、陰謀の謎解きは難しく、実はよく飲み込めなかった。でも、手持ちの多い映像と、灼熱のゴアから粉雪舞うモスクワへというスピード感にのせられた。デイモンとカール・アーバンが共に短髪なのが格好いい。それからボーンのサッカー選手のようにいつも周囲を見ている眼の良さ! ただし結末は少しロマンチック過ぎるかと思ったけれど、いかが。 6点(2005-01-15 20:09:11)(良:1票) |
17. ボーン・アイデンティティー
《ネタバレ》 説明が少なく、肝心の「計画」の理屈はよくわからない。だけど、雰囲気はかなり楽しめた。ショッキングな場面の後でさっと時間を確認するような、主人公の職人肌とも言える知的な人物像。冬のヨーロッパの暗い町並み。そして大迫力のカーチェースの直後にふうっと我に返るシーンなどの抑えた演出。これらのバランスが絶妙。一人バランスを崩しているアウトローなヒロインの、奇妙な気っぷの良さがまた良かった。 6点(2005-01-05 00:14:58)(良:1票) |
18. 血と骨
《ネタバレ》 背景に静かに存在するセットの情景や、そこで遊ぶ子供たちが意外に印象的。見たことがない時代なのに、とてもリアルに感じた。それはやはり、丁寧なつくり、ということなのだろうか。原作では読後感が強烈だった父子間の暴力は、スピード感ある場面転換で、むしろユーモラスに感じるほど。たけしの存在感は圧倒的だけれど、むしろ、それと対峙する鈴木京香、中村優子という女の映画、のように思ったのだけれど… 6点(2004-11-20 03:31:20) |
19. フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白
《ネタバレ》 類い希な米国の知性が、なぜ引き返せなかったのか。答えは霧の中なのだろう。ただ言えることは、戦争は何も解決しない、ということではないだろうか。淡々としたフィリップ・グラスの音楽が秀逸。 6点(2004-09-03 00:57:14) |
20. 69 sixty nine
《ネタバレ》 時代背景を絵に散りばめつつ、いつの高校生にも共通の、持て余し気味のエネルギーや恥ずかしさを明るく描いて楽しめました。妻夫木聡は相変わらず年齢を感じさせない瞳で、太田莉菜も可愛い。若い人が多い場内も明るい雰囲気でした。ちょっと悩みが浅くて物足りない感じもあったけれど。キャストが渋い感じ。森下能幸ってキルビルにも出てたんですね! 6点(2004-07-19 00:02:55) |