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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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1.  ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃
ガメラの金子修介が満を持して念願だったゴジラを監督ということで期待して見た。ゴジラが初代に近い感じでとても良かった。だけどやっぱり初代を超えてはいないと思うし、金子作品としてもガメラのほうが面白いと思う。でも、天本英世をまた特撮映画で見られたことに感動。これだけでもこの映画に10点つける価値はじゅうぶんにある。
[ビデオ(邦画)] 10点(2005-03-25 11:07:34)(良:1票)
2.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 《ネタバレ》 
「ルパン三世」に「カリオストロの城」があるように、「うる星やつら」に「ビューティフル・ドリーマー」があるように、テレビアニメの劇場版には時々本来の作風とは全く違った作品が存在する。「クレヨンしんちゃん」にとっては本作がまさにそうで、徹底的に凝った時代考証はこれが本来子供向けのアニメであることを忘れるほど徹底している。合戦シーンはリアルで、とても素晴らしい。それにも増して素晴らしいのが又兵衛と廉姫のラブストーリーだ。高虎との合戦に出かけて行った又兵衛を心配して廉姫が思わず駆け出していくシーンは、彼女の心情が伝わってきて感動的。そして、又兵衛が撃たれるシーンからエンディングまでずっと泣きっ放しだった。こんなことここ何年かではなかったことだ。本当にみんなに見てもらいたいと思う傑作中の傑作である。
[ビデオ(邦画)] 10点(2005-03-11 00:24:56)(良:4票)
3.  父と暮せば
黒木和雄監督の映画を見るのは「浪人街」に続いて2本目で、黒木監督の「戦争レクイエム三部作」と呼ばれる作品群の中では初めて見る映画。最初は地味な二人芝居にちょっと退屈するのではと心配していたが、見ているうちに不思議と惹き込まれていった。宮沢りえと原田芳雄演じる親子の会話の内容が原爆のことだけに偏っていないのであまり難い雰囲気にならずに見ることができるのがいい。でも、やっぱりこの映画の主題は広島原爆。原田芳雄が一人芝居を演じるシーンや宮沢りえが原爆投下後に友達が死んでいくのを語るシーンではその光景を思い浮かべてしまい辛かった。映画ってのは映像で見せるものだけど、こうやって映像を見せないで語られてることを想像するのは映像見るよりリアルに感じられる。見てとても良かったと思えたし、文句なしで傑作だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2006-09-05 02:34:32)
4.  おばあちゃんの思い出 《ネタバレ》 
感動短編シリーズ第3作。これも「ドラえもん」の有名なエピソードの一つで「STANDBYEME ドラえもん2」でも話の発端となるエピソードとして使われていたのだが、改めてこちらの映画も久しぶりに見てみることに。のび太がおばあちゃんに会うためにドラえもんと一緒にタイムマシンで向かった過去で幼い自分がおばあちゃんにわがままを言って困らせるのを見てショックを受けるところは妙なリアルさがあり、故人との思い出は美化されがちだけど、そうじゃない部分もあるよなぁということを思わずにはいられないし、そう思わせてくれるのはやっぱり「ドラえもん」ならではの良いところだ。それに「のび太の結婚前夜」を見て間を置かずに見ると小学生ののび太から熊のぬいぐるみを取り返そうとする幼いジャイアンとスネ夫にのび太への思いも感じることができて、こんな幼い頃から大人になるまで変わらず友情が続いていることに感動してしまう。そして何よりもおばあちゃんの優しさ。意を決してランドセルを背負っておばあちゃんの前に現れた小学生ののび太が正体を告白しても優しく受け入れるおばあちゃんにやっぱり泣かされるし、初めて見たのは父方の祖母が健在だった二十歳前後の頃で、もちろんその時も感動したのだが、祖父母がみんな亡くなってしまった現在になって見ると、もうたまらない。本作ではラストのオチを変えてあるのだが、このオチの部分もあたたかみがあって良かった。とにかく、全体に渡って優しさとあたたかさを感じられる作品で、やはり名作だと思う一品だ。(2023年3月12日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2005-10-25 14:03:26)
5.  ジョゼと虎と魚たち(2003) 《ネタバレ》 
昔から気になっていた映画だったが、アニメ映画化を機に初めて見た。健常者の青年と身体障害者の女性の恋愛を描いたラブストーリーだが、本作に登場するジョゼ(池脇千鶴)はよくある障害者を扱った作品にありがちな描き方をされておらず、それが却ってリアルに感じられるし、そのせいか、恒夫(妻夫木聡)との恋愛も障害者云々をあまり気にせずに見ることができたし、映画自体に独特な雰囲気と力強さがあって見ているうちにだんだんと引き込まれた。なんといってもジョゼの強烈で個性的なキャラクターが印象に残るのだが、そんなジョゼの身の周りの世話をしていた祖母(新屋英子)が亡くなり、心配してやってきた恒夫に対し、はよ帰れと言ったあとにやっぱりおってくれ、ずっとおってくれと言うシーンは普段は強がっているジョゼの孤独さやさびしさ、いじらしさといったものが感じられ、つい、見ながら感情移入してしまった。(ただ、そこから次のシーンでああくるとは思ってなかったのでちょっとビックリしてしまったのだけど。)池脇千鶴もものすごくハマっていて、素晴らしく、今まで何本か出演作見てるのだが、こんなに良いと思うのは初めてかもしれない。映画は冒頭から恒夫のモノローグで始まり、それがクライマックスの二人での旅行につながるわけだが、そのモノローグで何気なく語られていた水族館が休みだったエピソードはジョゼの気持ちを考えると切なく、本物の虎は見れたのに、本物の魚は見られず、結局、ホテルの部屋で壁に映された魚を見るというのが見ていてなんとも言えない気持ちになる。冒頭のモノローグで既に二人の別れを暗示していて、死別とかいうありきたりなものだったらヤダなと思ってしまったのだが、この結末はそんな安直な結末とは比較にならないほど重く、見ていてすごくリアルに感じた。果たしてハンディを持った人をパートナーに迎えたときにそのパートナーのことをどれだけ受け止めることができる人がどれくらいいるだろうと考えさせられるし、またもし、恒夫の立場ならパートナーを受け止める覚悟があるかということも考えさせられ、これが本作の真のテーマだったのではないかと思えてくる。ジョゼを受け止めきれなかった恒夫の弱さや、ジョゼの一人でも生きていくという意思の強さといったものをこのラストシーンではしっかり描いていて、犬童一心監督の演出も巧み。これから別々の人生を歩む二人にとってこの出会いは決して小さなものではなかったと思いたい。本当にいろいろと考えさせられる良い映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2021-01-11 02:29:12)(良:2票)
6.  クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ 《ネタバレ》 
劇場版シリーズ第12作。「雲黒斎の野望」と「アッパレ!戦国大合戦」の2本で時代劇をやっている劇場版シリーズだが、それに対して今回は西部劇になっているのは理にかなっていて、前2作のようなタイムスリップという要素を使わず、さびれた映画館で上映中の映画の中に入り込むという「カイロの紫のバラ」や「ラスト・アクション・ヒーロー」で用いられた手法を使うことで違いを出している。なので、作中の西部劇の世界はあくまで映画の中の世界ということで、「アッパレ!戦国大合戦」のようなリアル路線でなくてもそんなに気にならないし、逆に映画の中だから何でもありという荒唐無稽さが楽しく、とくに終盤のたたみかけるようなアクションはいかにも劇場版「クレヨンしんちゃん」らしい躍動感があって圧巻だった。そんな終盤とは違って前半は舞台となる西部劇映画の世界での日常を淡々と描いていて、この部分が冗長という意見もあるのだが、とくにそうは感じずに見れた。映画の世界でしんのすけ以外のカスカベ防衛隊の面々が現実世界の記憶を失って映画の世界の住人として生活している中、ボーちゃんだけは完全に映画の世界に染まらずにいるというのがなんかボーちゃんらしくていい。馬で引きずられる老人や、しんのすけとみさえが気絶するまで暴行されるなどバイオレンス度が高めなのは子供も見る映画としてはどうかと思うものの、このシリーズは監督の作風や趣味・嗜好がもろに出るので、水島努監督のそれが出た結果なのだと思えば一応理解はできる。今回登場する悪役である知事の名前がジャスティス・ラブというのがなかなかだし、声を演じているのが小林清志というのもなにかこだわりを感じる。声と言えばチョイ役で登場する荒野の七人。セリフのある三人は実際に「荒野の七人」の吹き替え版で同じ役を演じていた小林修、内海賢二、大塚周夫の三人を起用しているのも「クレヨンしんちゃん」らしいところだが、ジャスティスの部下である保安隊隊長と副隊長の声を演じているのが二人とも「ターミネーター」1作目のDVDと最初のテレビ放送版でそれぞれT800の吹き替えを演じていた声優(玄田哲章と大友龍三郎。)というのもツボだった。今回のしんのすけは中学生くらいのヒロイン・つばきに恋をするというのが新鮮なのだが、ここはもうちょっと突っ込んでほしかったかな。それでも、映画が終わって消えてしまったつばきを必死にさがすラストのしんのすけの姿には思わずうるっとさせられた。このラストを見てそれこそ「カイロの紫のバラ」のラストを思い出したのだが、このラストを見てやはり本作は西部劇よりも映画そのものを題材にしているのだとあらためて感じることができた。「オトナ帝国の逆襲」と「戦国大合戦」がすごすぎて逆に本作以降の劇場版シリーズに興味が持てなかった(「栄光のヤキニクロード」はこの二つの間で鑑賞済。)のだが、本作を見てやっぱり劇場版「クレヨンしんちゃん」は面白いと思った。また劇場版シリーズを少しづつ見ていきたい。
[DVD(邦画)] 8点(2019-04-19 00:29:37)
7.  しゃべれども しゃべれども 《ネタバレ》 
一人の若手落語家(国分太一)を主人公にした平山秀幸監督の映画。以前から気にはなっていたがなかなか食指が動かず、今になってようやく見たのだが、いかにも日本映画らしい雰囲気のよく出た映画になっていて、それに落語という題材がうまく合っていて生かされていてまさにこれぞ日本映画にしか出来ない映画といえる映画になっていて素直に面白かった。主人公である三つ葉(本名:外山達也)はなかなか真打に上がれないでいるが、それでも落語が好きで決してあきらめようとはしない姿勢が、見ていてつい応援したくなるし、彼の開いた落語教室に集まってくる三人がそれぞれ他人との会話が苦手な女性や、しゃべりが下手な野球解説者などコンプレックスを抱え、この三人と三つ葉の関りもちゃんとドラマとして面白くできていて、見始めてすぐは三つ葉が真打になるまでの話かと思っていたのだが、そうではなく三つ葉を含めた四人が自分のコンプレックスとそれぞれに向き合い、互いに一歩踏み出すまでが描かれていて、本作のテーマは落語そのものよりも他人との関り、自分の思いを伝えることの大切さ、これにあるのだと感じることができ、そうしたらとてもこの四人がとても身近な存在に思えてきた。三つ葉の元にやってくる三人の中でも、関西から引っ越してきた阪神ファンの少年がとくに良い味を出していて、この少年は本作の中でも特に印象に残った。その他の出演者でいうとやっぱり三つ葉の祖母を演じる八千草薫がなんともチャーミングで、落語の演目をつぶやきながら玄関先を掃いたりしている姿がなんとも言えないし、思わずこういうおばあちゃん、良いなあと感じさせてくれるのが嬉しい。落語が題材の映画とあって劇中に落語が披露されるシーンが多いのだが、三つ葉の師匠を演じる伊東四朗も、独演会における国分太一演じる三つ葉の落語も本当に自然な感じで、今まで一回もライブで落語を聞いたことがないのだが、思わずライブで落語を聞いてみたい、そんな気持ちになれたのも嬉しかった。物語としては、さっきも書いたように四人それぞれが一歩踏み出たところで終わっていて、明快にそれぞれの問題が解決したというところまでは描いていないが、それが逆に良かったし、この後のそれぞれの人生を想像してみるのも楽しい。なんだか見終わって久々に気持ちの良い映画を見た気がしたし、見て本当に良かった。平山監督は大作映画も手掛けているが、それよりもこういう地に足のついた映画のほうが持ち味が出ているように感じる。
[DVD(邦画)] 8点(2018-05-05 21:58:15)(良:1票)
8.  フラガール 《ネタバレ》 
最初は「シコふんじゃった。」や「ウォーターボーイズ」、「スウィングガールズ」のようなよくあるタイプの映画かなと思って見始めたのだが、とにかく中盤あたりの紀美子(蒼井優)とその親友・早苗(徳永えり)の別れのシーンあたりからのめり込んでしまい、それまではどこか傍観者的立場で見ていたのにそこから一気に引き込まれてしまった。炭鉱の事故で家族に犠牲者が出て、急遽帰ることを決めたまどか(松雪泰子)たちだったが、小百合(山崎静代)の一言でみんなの前で笑顔で踊ることを決めるシーンももちろん泣けるし、その結果、小百合の父の臨終に間に合わずに責められてまどかがすべて自分の責任ですと東京へ帰ろうとするシーンは、まどかのフラガールたちを思う気持ちが伝わってきてやはりここでも泣ける。このシーンと(前後するんだけど)早苗が父親(高橋克実)からフラのことをめぐって暴行を受け、許せないとまどかが風呂屋で入浴中の父親に殴り込みをかけるシーンは、まどかの非常に情に厚い性格をうまく表現していて、見ているこちらもついまどかを慕いたくなる。だからこそ今まさに列車に乗って東京へ向かおうとするまどかに向かって「私はあなたを心から愛しています。」という手話の意味を持つ踊りで自分たちの思いを伝えるシーンはこちらもフラガールたちと一緒にまどかに思いを伝えている気持ちになって見ることができ、大感動してしまった。(思い出しながらこれを書いていても泣けてくる。)娘のやりたいことについて頭ごなしに否定し、理解しようとしない紀美子の母親(富司純子 初めて登場したときにどことなく東映任侠映画の姉御のように見えてしまった。)がフラを練習する紀美子のところへ早苗からの郵便を届けに来て、フラを練習しているところを見て娘の思いを理解するシーンもベタといえばベタなのだが、二人ともこのシーンでは一言のセリフもなく、二人の表情だけで思いを語らせる演出が利いていて、そのおかげか、この二人にじゅうぶんに感情移入することができ、思わず感動してしまった。本作の中ではこのシーンはいちばん心に残るシーンだったし、このシーンを見るだけでまさにこういうのを映画というんだと実感できる名シーンだと思う。クライマックスのフラのショーは圧巻で躍動感があり、見ごたえじゅうぶんでこのクライマックスも感動的だった。しかし、本作はフラを練習して上達していく過程以上に、フラガールたちと周囲の人々との人間ドラマが深く丁寧に描かれていて、その点で最初に挙げた三作品とは一線を画すような印象があるが、その完成度は高く、人と人との絆の美しさや大切さ、そういったものを見事に描き切っている。正直見る前はあまり期待していなかったが、素直に傑作だと思えるような映画で、本当に見て良かったと感じられる良い映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2016-10-01 16:06:44)(良:3票)
9.  やじきた道中 てれすこ 《ネタバレ》 
先週見た同じ平山秀幸監督の「必死剣 鳥刺し」はシリアスな本格時代劇だったのに対し、それ以前に作られた本作は落語をベースにした道中もので肩の力を抜いて気楽に楽しめるコメディーに仕上がっている。冒頭から「近松物語」のパロディーに始まるのだが、そこからもう引き込まれ、一気に見てしまった。中村勘三郎、柄本明の弥次喜多コンビと小泉今日子演じるお喜乃のやりとりが見ていてなんとも楽しい。中でも柄本明のコメディアンぶり。この人は志村けんのコント番組でコントをやっていたことがあるのだが、この映画でも忠臣蔵の舞台で浅野をやっているシーンで松の廊下で吉良を刺してしまうなどコメディーリリーフとしての存在感はじゅうぶんで、大いに笑わせてくれる。お喜乃を演じる小泉今日子もハマリ役で、アイドル時代の主演映画「快盗ルビイ」(和田誠監督)で助監督だった平山監督が小泉今日子の見せ方を分かっているのか、既に40を超えているのにそれよりだいぶ若い役を演じていてもほとんど違和感をあまり感じないし、逆に魅力的だなと思った。ラスト近くで弥次さんが死んだ妻子の夢を見るシーンはほろりとさせられるが、「雨月物語」のパロディーのようでもあり、笑えるシーンでもある。とにかく本当に何も考えずに楽しむことができた映画だった。平山監督は「愛を乞うひと」や「必死剣 鳥刺し」のようなシリアスな映画もいいが、こういった肩の力を抜いて楽しめるコメディー映画のほうがより本領を発揮できる監督なのではないかと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2012-07-12 11:28:52)
10.  アキレスと亀 《ネタバレ》 
北野武監督の「芸術家三部作」の第三作。「TAKESIS」と「監督・ばんざい!」では自分自身をそのまま主人公にしたような映画になっていたが、本作は少年時代に絵という芸術に魅せられ、画家を志した男の一代記を描いており、前2作とは毛色のだいぶ違う映画になっている。主人公の少年時代と青年時代は暗いトーンで描かれており、セリフも少なめで、それでいてブラックユーモアも織り交ぜてあるなどいかにもたけしらしい映画に仕上がっている。(登場人物が死にまくったり、寺島進がヤクザ役でワンシーン出るのもたけしらしい。)後半、中年になった主人公(ビートたけし)が妻(樋口可南子)と歩む芸術家人生は喜劇タッチになっていてつい笑ってしまうシーンも多くあるが、そうまでして自分の芸術に対する思いを爆発させる主人公を皮肉っているようにも見える。しかし、ちょっとおだてられるとすぐにその気になる人というのは確実にいて、でも、やがてそれが趣味の域を出ないものと分かってしまったり、自分にはそんな才能なんかないと思い始めて、自信を無くしてしまう人も中にはいるだろう。少年時代から中年に至るまで絵のことしか頭にないようなこの主人公はそんなこと一切なしにひたすら自分の信じた道を異常なまでに突き進むのだが、ここまで自分の信じた道をなんの疑いも迷いもなく突き進む人って現実にはなかなかいないと思う。今はまったくそうではないが、僕自身が昔、できるだけ多くの映画を見ようと今よりもたくさん映画を見ていた時期があり、(将来は映画評論家だねと周囲におだてられてその気になっていた。)この映画とはちょっと違うのだが、一つのことに熱中する姿にその頃の自分と重なる部分が感じられ、どんなに絵を酷評されても描くことをけっしてやめようとしないこの主人公には少し感銘を受けた。それだけでも見て良かったと思える映画だ。主人公を皮肉っているように見えると書いたが、それでも「芸術家三部作」の中ではたけしが唯一本気で芸術を描こうとしているのが分かるし、三本の中ではこれがいちばん良かった。それに全盛期(「その男、凶暴につき」から「HANAーBI」くらいまでの作品。)には及ばないが、久石譲を音楽に起用しなくなってからのたけし映画の中ではこれがいちばん映画監督としてのたけしの良さが出た映画だと思う。たけしは「HANAーBI」や「バトル・ロワイアル」でも自作の絵を登場させていたが、この映画では自身の絵描きとしての側面をテーマにしたこともあってか、登場する自作の絵の持つ意味がその2本よりも大きいのは言うまでもないだろう。
[DVD(邦画)] 8点(2011-10-13 16:38:35)(良:1票)
11.  河童のクゥと夏休み 《ネタバレ》 
「構想○○年」とうたい文句にしている映画はあまり面白くない印象があり、この映画も原恵一監督が20年ほど前からあたためていた企画を実現させた作品と聞いていたので、見たい反面、不安もあり、なかなか手が出ずにいたが、ようやく見た。ほのぼのした前半からマスコミがクゥのことを嗅ぎつける中盤あたりからシリアスになり、やがてそれが広まって報道陣が上原家の前に陣取る様子はものすごくリアルで、テレビの取材に興奮する康一の描写なども実際こういうことに遭遇すると仕方がないよねという感じでものすごくリアリティがある。ストーリーはこの後半からつらい方向にいき、自分がいることで上原家に迷惑をかけていると自責の念に駆られるクゥに感情移入し、虐待を受けていたオッサンの過去もついついウルっときてしまった。テレビに出演したクゥが父親の腕を見せられるところや、クゥを守ろうとしたオッサンが跳ねられて死んでしまうシーン、それに東京タワーのシーンはそのときのクゥの気持ちが痛いほど分かり、見ていて本当に泣けてくる。とくにオッサンが死ぬシーンはそれまでのクゥとの関係や、これまでのオッサンの生き様を考えると切なくてたまらない。全体的にはややいろいろ詰め込みすぎてしまった感はあるが、この映画の主軸はひとりぼっちになってしまった河童と現代の家族の交流を描いたひと夏の物語であり、登場するのはごく普通の平凡な家庭。中盤以降にある動物の目線から見ると人間社会はこうだというやや批判めいた描写が強烈で、マスコミや野次馬の描き方なども露骨ではあるが、でも決してそれが後半の主題になることはなく、クゥと上原家、クゥと父親、それに康一と菊池の関係がずっと主題として描かれている。おそらく「クレヨンしんちゃん」映画シリーズと同じく家族や親子、友情を描くことに原監督のこの映画に対するテーマというか、そういうものがあるような気がする。アニメの絵柄が最新のデジタルでなく、地味なアナログのような絵柄なのは原監督の意向かもしれないが、絵柄が素朴な分、映像もなんとなく優しさが感じられるものになっているのもいい。どこかで原監督は松竹大船調を受け継ぐ監督だと聞いたことがあるけど、それもよく分かる。それにしても最近殺伐とした映画ばかり見ていたような気がするのでこういうあたたかい映画を久しぶりに見ると、やっぱりこういう映画っていいなあと思える。見る前の不安はすっかり消え去り、見終わったあと、素直にこの映画を見てよかったと思えたし、原監督らしい佳作だったと思う。これからも原監督の作品はできる限りずっと見ていこう。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-05-29 16:12:15)(良:1票)
12.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 
「下妻物語」があまりにも予想外に面白い映画だっただけにどうかなあとあまり期待を持たずに見た。運命に翻弄される女性の波乱に満ちた53年間の生涯を描いた作品で「下妻物語」のようなバカバカしさや軽さといったものは若干抑えられてる感じがするものの、不幸のどん底にたたき込まれた主人公 川尻松子(中谷美紀)の物語をことさらに悲劇性を強調するでなく、逆に明るいエンタテイメントとして描ききるというのが斬新。普通に考えれば失敗してもおかしくないのだが、この映画はそれでいて一代記ものドラマとしての見ごたえもじゅうぶんあるという只者ではない映画になっていて、まだ見るのは2本目ながら中島哲也監督のうまさを改めて感じられる。ストーリーのほうはもう松子が父親(柄本明)から愛されたい一心で変な顔をするという序盤からもう切なくなり、松子にこの時点でかなり感情移入してしまった。その後もとにかく必死で愛を求める松子の姿が切なくてたまらないのだ。そんな彼女の最期はとてもあっけないものだった(でも、元教師らしい最期だ。)が、ラストの階段を昇り切った彼女が、出迎えた妹(市川実日子)の「おかえり」という言葉に対して「ただいま」と返す。この瞬間、不覚にも泣いてしまった。下の方も書かれているが、これが松子にとって本当の幸福を手に入れた瞬間だろう。これをハッピーエンドというのかは人によると思うが、個人的にはハッピーエンドだと思いたい。ミュージカルのようにたくさんの楽曲が使われているが、中でも「まげてのばして」が冒頭から効果的に使われており、特に印象的。このラストシーンで松子がこの歌を歌いながら階段を昇っていくシーンも泣けて仕方がなかった。松子を演じる中谷美紀も素晴らしく、撮影中は中島監督との対立が激しかったようだが、その要求によく応えて名演技をしていて、まさにこの女優だからこそこの松子といういかにも不幸で魅力にもちょっと乏しいようなキャラクターをここまで魅力的に表現できるのではないかと思う。本当に見てよかったと思える映画だった。本作は人によっては好き嫌いははっきりと分かれるかもしれないが、邦画新時代の新しい女性映画の傑作として高く評価したい映画である。
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-17 15:58:52)(良:3票)
13.  下妻物語 《ネタバレ》 
深田恭子、土屋アンナという主演の役者に興味がない上、ロリータファッションには嫌悪感を覚えるし、ヤンキーにも抵抗感がある。つまりこの映画を見たいと思う要素が自分には皆無である。なので見る前はたぶん自分には合わないだろう、つまらないだろうと思って全く期待していなかったが、それなのにいざ見始めると気がついたらのめりこんでいる自分がいたことにビックリ。中島哲也監督の映画を見たのはこれが初めてだったのだが、アニメやCGを多用していたりして映像にかなり凝っていて、しかも大林宣彦監督なんかと同じでCM演出家出身ということもあってか、その絵作りがとてもうまく、また演出もよかった。登場人物とキャスティングに関してもミスキャストが一人もおらず、みんなはまっている。特に主演の二人のはまり具合が絶妙で、中でも桃子役の深田恭子は今まで何本か見てるけど、はまり役と言えるものを見たのはおそらくこれが初めてだろう。クライマックスで別人の如くキレるシーンは痛快。ハイテンションでバカバカしく笑える前半から女同士の友情ものへと転換する後半、この後半に持っていくところまでにドラマ的にもう一山欲しかったところだが、それでもこれがなかなか良くてほろっとさせられる。挿入歌として流れる「美しく青きドナウ」などのクラシック音楽や尾崎豊の楽曲の使い方もうまい。とにかく今まで食わず嫌いだったのがウソのように面白い映画だった。最近の日本映画では間違いなくエンターテイメント映画として成功している一本だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-11 02:41:02)(良:2票)
14.  スウィングガールズ 《ネタバレ》 
この映画の公開中の頃だったかに見た「ひみつの花園」がいい意味で余りにも突き抜けた勢いのある喜劇映画ですごく面白かったため、逆に今まで敬遠していた本作だが、ようやく見た。話としては「ウォーターボーイズ」と完全に同工異曲なので新味はあまりないが、それでも矢口史靖監督らしい勢いのある演出はやはり健在で、強引な展開やつっこみどころ満載なのもギャグ映画と割り切れば、何も考えずに見られる娯楽喜劇映画としてはかなり笑えるし充分に成功していると思う。(若大将シリーズなんかとノリとしては同じような気がする。)青春映画としては同じアルタミラピクチャーズ作品の「がんばっていきまっしょい」なんかと比べてしまうとドラマ的に物足りなさを感じるのも事実ではあるが、全体的にはなかなか面白かった。ラストの演奏シーンでは見ているこちらも思わず会場の観客たちと同じくノリノリで聞き入ってしまった。(演奏終了後エピローグを描かずすぐにエンドロール突入するというのも潔い。)今になって見てみると出演者に上野樹里(本作の後「のだめカンタービレ」でジャズからクラシックに行っちゃった?。)貫地谷しほり、本仮屋ユイカ(二人ともこの後NHKの朝ドラに主演してる。)など「ウォーターボーイズ」同様けっこう今を時めいている若手女優が出ていてその意味でも貴重か。チョイ役だけど竹中直人が通う音楽教室の先生を谷啓が演じているのがちょっと嬉しかったりもする。
[DVD(邦画)] 8点(2010-06-16 17:34:44)(良:1票)
15.  おくりびと 《ネタバレ》 
去年のアカデミー賞で稲垣浩監督の「宮本武蔵」以来、約半世紀ぶりに日本映画として4回目の外国語映画賞を受賞したことで突如注目を集めた本作。タブー視されがちなテーマだが、ちょっと伊丹十三監督の映画にも通ずるようなところがあり、導入部をはじめコミカルなシーンも多く、それがこの映画のテーマの重さを和らげているので、そう硬くなることなくすんなりと入っていけるのが良い。本木雅弘は「ファンシイダンス」や「シコふんじゃった。」の頃とは違う味のある演技をしているのだが、最初にこのテーマで映画を作ろうと企画を自ら持ち込んだだけあってその演技からこの映画に対する思いというものも感じられ、特に素晴らしかった。NKエージェントの社長を演じる山崎努(彼の起用も伊丹監督の「お葬式」を意識しているんだろうなあ。)、事務員役の余貴美子の演技も素晴らしく、思わず、自分が死んでしまったらこういう人たちの手で棺に納めてもらいたいなあという思いに駆られる。ただ、既に何人かの人が言われているように妻役の広末涼子の「汚らわしい」というセリフだけはまあ気持ちは分からないでもないがやはりちょっとどうかと思う(このシーンが予告編に使われているのにビックリ。)し、演技も同じくアイドル出身の本木雅弘と比べるとまだアイドル臭が抜けていない感じでなぜこの役に彼女を選択してしまったのかが大いに疑問に感じる。また脚本に関しても家出した妻が帰ってきたその日に銭湯の女将さん(吉行和子、好演。)が急死するとかご都合主義と思える展開や余計なセリフがあるのが気になるのが少々残念ではあるが、それでも本作はそういう欠点と思われる部分を感じさせながらも、同じ滝田洋二郎監督の「壬生義士伝」ほどのくどさは感じられず、むしろアカデミー賞受賞という色眼鏡を捨てて見てもじゅうぶんに温かく感動的で、これぞ日本映画らしい日本映画の傑作だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2010-04-15 15:01:53)
16.  それでもボクはやってない
周防正行監督といえばコメディー映画の印象が強いが、(と言いながらこの監督の映画でこれまで自分がまともに最初から最後まで見たのって「Shall We ダンス?」1本しかないのだが。)痴漢冤罪事件を描いたこの映画は周防監督本人が公開当時某番組で語っていたように全く笑えない硬派な社会派映画。とにかく作り込みがかなり徹底されていて、主人公(加瀬亮)を通して痴漢冤罪被害者の現実が淡々とリアルに描かれていてとてもみごたえがあり、そして見ていてとても怖かった。はっきり言って今時の日本映画でこれだけ社会性が強く、作り手である監督のメッセージがストレートに伝わってくる作品は(とくにこのような大手のテレビ局などが絡んだ大々的に公開される映画では)珍しいのではないだろうか。結末もいかにもありがちな甘いものではなく現実的であり、(裁判長を演じる小日向文世の演技が冷徹で淡々としているのも妙なリアルさがあって怖い。)ここにいちばん周防監督の力強いメッセージを感じることができる。この映画を見ると実際に痴漢冤罪に苦しむ人たちのことを考えさせられるし、なにより自分も電車に乗る(満員電車に乗ることはあまり無いが。)ので気をつけたいという意識が自然と一層強くなった。出演者も実に適役で、中でも主役の加瀬亮はもちろんだが母親役のもたいまさこの抑えた演技が特に良い。
[DVD(邦画)] 8点(2009-09-23 14:46:32)
17.  デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム! 《ネタバレ》 
テレビシリーズ一度も見たことない状態だったので、一見さんお断りな映画だったらどうしようかと思っていたが、これが本当に東映アニメフェアの子供向け映画として公開された映画なのかと思うほど緻密に作られていて、ネットの中に現れたモンスターがデータを食い荒らすという展開もリアルにコンピューターウイルスを連想させていてひょっとしたら実際にこんなことが起こるかもしれないと思わせる設定で見事だし、細田守監督の演出もしっかりとしていて大人の鑑賞にじゅうぶん堪えうる作品に仕上がっていたのでかなり驚いた。NTTやペンタゴンなど実在のものがそのままの名前で出てくるのがちょっと子供相手の東映アニメでは異色な感じだが、そうすることでなおも映画にリアリティーを生むことに成功している。それに下の方も書かれているけど主人公たちが戦っているのを知らないで日常生活を送っている一般の人々の描写も細かで丁寧でこれが入ることによってストーリーに厚みが出ているのもうまい。確かにテレビシリーズ見ていないから登場人物たちのバックボーンとかがよく分からない点は少し残念だが、この映画は今まで見た東映アニメ映画の中でもいちばん面白いと思うし、純粋に映画という枠で考えても快作といえる作品だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2008-12-23 01:03:49)(良:1票)
18.  ニワトリはハダシだ
最初は在日朝鮮人や知的障害者というテーマから堅い映画なのではと思っていたが、冒頭の養護学校の先生の「オハヨ・オハヨ、スズメもチュンチュン・・・」という歌と、その後のサムと父親とのやりとりの中で「けっこう毛だらけネコ灰だらけ・・・」という「男はつらいよ」シリーズの寅さんが使う文句が出てきてこの二つで笑ってしまい、そこから一気に引き込まれた。とにかく養護学校の直子先生の元気なハッスルぶりや、原田芳雄と倍賞美津子演じるサムの両親、塩見三省のキレまくる刑事など出てくる登場人物たちがどれもこれも熱く魅力的。(中でも直子先生のはつらつとしたキャラクターは気に入った。)晩年を迎えて枯れているのではと心配だった森崎東監督の演出もパワフルでとても撮影当時70代後半だったとは思えないほどの勢いと若々しさがあり、前回見た森崎作品がデビュー作の「喜劇 女は度胸」だったのだが、その頃と比べても全く演出力が衰えていないと感じた。確かに映画としては後半がムチャクチャな印象があるし、変わったバカな映画かも知れないが、人情喜劇としての楽しさはじゅうぶんだし、それでいながら堅苦しくなりがちなテーマもさらっと描いていて、その中に森崎監督の社会に対する怒りも感じ取れ、これが森崎東という監督の本質なのだなと思う。今どきの日本映画には珍しい社会派喜劇の傑作。
[DVD(邦画)] 8点(2008-10-07 19:18:12)(良:1票)
19.  武士の一分
山田洋次監督の藤沢周平三部作完結篇。主演がキムタクということでかなり心配だった本作だが、いつもはテレビドラマやバラエティー番組などでかっこつけた印象のあるキムタクが全く違った一面を見せていて、アイドルではなくちゃんとした一俳優として素晴らしい演技をしているのが新鮮に思える。山田監督もこれまでの二本で相当こなれたようでキムタクに媚びることなく自分の作風を前面に押し出して夫婦愛を描いた傑作に仕上げているのはさすがと思う。キムタク以外の出演者で良かったのはなんといっても妻役の檀れい。初めて見る女優だったのだが、この3本の中のヒロイン役女優ではいちばん良かったと思う。キムタクの相手役女優といえば山口智子や常盤貴子、松たか子など既にテレビでお馴染みの人気女優がやることが多い中で、映画初出演の元宝塚女優というテレビではあまり知られてない女優を起用したのは正解だろう。笹野高史も大きな役はおそらく見たのは初めてと思うが、味のある抑えた演技でとても良かった。3本とも同じ点になったが、個人的には世間的評価の高い「たそがれ清兵衛」より「隠し剣 鬼の爪」や本作のほうが山田監督らしくて好きだな。
[DVD(邦画)] 8点(2007-10-11 07:01:48)(良:2票)
20.  ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ!
シリーズ初の長編。今までの三本の短編がどれも面白かっただけに90分近い長編になると間延びしてつまらなくなるのではとちょっと心配だったが、そんなこともなくとても面白かった。それは確かなんだが、短編に比べると普通のアニメになってしまっていて、クオリティーも下がった気がするのがちょっと残念。ひとつの作品としてはいい出来とは思うが、このシリーズとしては短編のほうがいい。
[ビデオ(吹替)] 8点(2007-03-06 11:23:52)
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