1. ヴェラ・ドレイク
《ネタバレ》 映画の終盤、ヴェラは悲しい泣き顔だったのに、観終わった後に残ったのは心が暖かくなるようなヴェラの笑顔だった。もう一度、ヴェラの笑顔を観たい、残された家族たちに早く、ヴェラの笑顔を返してあげたい。映画の中では、ヴェラがなぜ、困った娘さんたちを助けはじめたのかが描かれていない。描き方次第では、堕胎が罪なのか、そうでないのか、問い掛けるような映画にもなったのに、そんなことは監督にはどうでもよかったのだろう。今よりも、さらに保守的な時代に、性に関する犯罪、宗教上の罪になる犯罪で刑務所に入るというのは、女性としてとてつもなく恥ずかしく、忌まわしいことだったに違いない。思いあまって堕胎を依頼する娘さんたちの様子からも、想像できる。そういう罪を犯した女性の夫が、子供たちが、どういう扱いを受けるのかも。それでも、家族はヴェラを受け入れ、信頼し、愛し続ける。ラストシーン、ヴェラの笑顔がない部屋で、家族が待つ姿は辛い。刑務所の中にいるヴェラよりも辛そうにみえた。 [映画館(字幕)] 9点(2005-10-23 00:40:22) |
2. 誰も知らない(2004)
《ネタバレ》 最後の30分くらいは、いつ、発覚するのかと思いながら観ていました。 おとなの手で助けてほしいと願いながら、同時に、だけど、発覚したらどうなるのか。 明は、京子は、何を思い、その先を、どんな風に生きていくのだろうかと。 とても静かな映画でした。子どもたちは、ほとんど話しをしません。 もっと怒ったり泣いたりしてもいい筈なのに、何も言わない。 唯一、おとなである母親に要求するのは、「いつになったら学校に行かせてくれるの」 勝手で子どもっぽい母でも好きだったから、たくさん我慢して、あきらめてきたのだろう、と。 セリフで語らない分、いろいろな気持ちが、子どもたちの目から伝わってきました。 でも、私はこの映画では泣きません。泣いて、感動して、終らせてはいけない気がするのです。 9点(2004-09-12 00:29:18)(良:1票) |
3. アマデウス ディレクターズカット
《ネタバレ》 サリエリは、 モーツァルトを妬み、羨望し、 同時に、まるで恋焦がれるように その才をまるごと、独占したかったのだ。 最後の夜、 あれほど追い詰め、衰弱させておきながら、 なんて、嬉しそうだったことか。 [CS・衛星(吹替)] 8点(2008-02-18 00:17:07) |
4. マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
キラキラと、幸せな映画。 [映画館(吹替)] 8点(2008-02-17 01:27:46) |
5. スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師
《ネタバレ》 ティム・バートンは化け物が好きなのだなと。いそいそと楽しげに人肉パイの製造販売に励むラヴェット婦人は、最初から十分化け物だけど、それはそれで不気味に可愛かったです。確かに、食べられるお肉を無駄にするのは、もったいないし。 でも、昔々は幸せな人間だったスウィニーは、復讐を果たす見込みがなくなったので、人間をやめて食肉処分場をはじめました。化け物になったから、良心の呵責なんて感じないし、さくさくと仕事が進む日々は、それなりに楽しそうで充実している。けれども。ラヴェット婦人の妄想の中のスウィニーは、からっぽ。 スウィニーは人間をやめたけど、化け物にもなりきれなかった。復讐にとりつかれるのも、娘を思う気持ちも、人間をなくしきれなかったから。人間だから化け物を殺し、化け物だから人間に殺される。 ビートルジュースだったら、楽しかったのにね。 [映画館(字幕)] 8点(2008-01-27 01:11:59) |
6. ホテル・ルワンダ
主人公のポールは英雄ではない。ホテルの支配人としては、こういう支配人のいるホテルは居心地がいいだろうな、と思うけど特別ではない。人々を救うために立ち上がったわけでもないし、正義感にかられたわけでもない。大切なのは家族と、あとは、家族が大切に思う人たち。目の前で、殺されたり痛めつけられる人を見ても、目をふさいでいたことも多い。だけど、目の前で鉈をふりかざされたとき、折り重なる死体を見たとき、襲ってくる民兵を見たとき、ポールのようにふるまえる人がどれだけいるのだろうか。自分は、逃げ出さずにいられるだろうか。 [DVD(吹替)] 8点(2007-06-26 00:44:45) |
7. ククーシュカ ラップランドの妖精
アンニの、自然そのままの生き方がすてきでした。言葉が通じなくても、2人の男たちを仕切っている様子が、たくましく優しい。ファシストだと思い込んで聞く耳を持たないロシア人の疲れた中年男に対して、話せば話すほどすれちがいながら、それでも一生懸命説明しているフィンランド人のしつこいほどの善良さが、若いなぁと思いました。あの二人をまとめて面倒みてたアニタは大きい。 [DVD(字幕)] 8点(2007-05-20 18:17:17) |
8. モンスター(2003)
あたしを連れ出したのだから幸せにしてくれるよね。 愛してるならできるはず。おいしいディナーも、素敵な家も。 あたしは幸せになりたいの。幸せにしてくれるっていうから来たのに。 あたし全然幸せじゃない。これって、愛されてないから。ひどすぎる。 なのに何もかもあたしの為っていうの?こんなこと頼んでない。 悪いのは全部あなた。あたしは悪くない。 [地上波(字幕)] 8点(2007-01-04 00:36:15)(良:2票) |
9. リトル・ダンサー
題名も何もわからずに見て、惹きこまれました。実在のダンサーの話なのかと思って、大人になった少年のバレエが観たいなぁと調べてみたら、フィクションなのですね。お父さんも、少年も、炭鉱の町も、リアルでした。 Tレックスの音楽がいっぱいだったのも、嬉しかったです。 [地上波(字幕)] 8点(2006-08-26 11:13:54) |
10. キャリー(1976)
《ネタバレ》 ホラー映画だと思っていたのですが、悲しい映画ですと書いてあったので借りてみました。 悲しい映画でした。キャリーも、おかあさんも、先生も、クラスメートも悲しい。 ひどい悪だくみをした顔だけ可愛い子なんて、あまりにも馬鹿で、悲しかった。 [DVD(吹替)] 8点(2006-05-17 23:16:42) |
11. 寝ずの番
途中、少し長いなと思わせる場所もありましたが、終わったときに、暖かな気持ちになる映画でした。人に対する愛おしさが伝わってきて、笑っているのに、涙がこぼれてきました。 [映画館(邦画)] 8点(2006-04-30 01:35:51) |
12. マザー・テレサ(2003)
マザーテレサの愛というよりも、自分の信ずる道を歩む人の強さが印象に残った。強く、同時に、他の人たちを巻き込むやりかたには、茶目っ気も感じられ、きっと、実在のマザーテレサもこんな人だったのだろうと感じた。最後まで、凛ととおる、オリビアハッセーの声質も、マザーらしさを感じました。マザーの声を覚えていないのですが、きっと、こんな風に、必要ならば凛としてとおる、声だったのだろうなと。なお、観終わった帰り、コーヒーでも飲もうと店に入りましたが、思わず罪悪感を感じて、ケーキはやめました。3ドルの水より高いし。 [映画館(字幕)] 8点(2005-11-24 00:07:56) |
13. 宇宙戦争(2005)
《ネタバレ》 たまたま、最後に宇宙人は絶滅してしまったけれど、絶滅しなかったら、どうなるのだろうか・・・と。 別に、絶滅しないで、人間のほうが絶滅してしまってもよかったのではないか。 こんなにリアルな終末の風景を、見たことがなかったので。 [映画館(字幕)] 8点(2005-07-10 00:54:22) |
14. サイダーハウス・ルール
とても好きな原作だったので、繰り返し読んだあとで、映画を観ました。メイン州の自然の風景が映し出されたことで、原作の世界が広がりました。ただ、原作の時からなのですが、どうしても、主人公のホーマーよりも、ラーチ医師のほうが印象深かったです。 8点(2005-02-25 01:24:44) |
15. Ray/レイ
前から好きだったレイチャールズだけど、この映画で、ほんとに「出会えたっ」て感じです。 8点(2005-02-25 00:57:27) |
16. ALI アリ
とても、静かな映画だと思いました。 アリの暴言は、それは、なかなかのもの。BGMも、激しい。 それでも、とても、静かな映画だと思いました。 饒舌じゃない。 主人公のアリの描き方が、少し離れたところから撮っているような、印象を受けました。 アリがどう思い、どう感じ、どう考えてるということは、一切説明しない。 映画が饒舌じゃない。 言葉で表すかわりに、主人公の視点で、観客にさまざまな情景を見せる。 そして、言葉で説明するかわりに、彼の、目を映す。 いろいろ説明されるのに食傷している私には、この描写の仕方は、とても心地よいものでした。 そして、そのせいか、女性関係だらしなくて、挑発的なアリが、とても、真摯な人のように思えてしまいました。 8点(2004-09-30 01:48:06) |
17. 戦場のピアニスト
戦場にピアニストがいても、全然似合わないし、何の役にもたたない。 何の役にもたたないけど、彼を助けてくれる人がたくさん居た。 ピアニストは一生懸命生き抜いて、助けてくれたたくさんの人は死んで、 家族も失って、だけど、ピアニストだからピアノを弾くんだな。 8点(2004-09-20 15:20:10)(良:2票) |
18. バティニョールおじさん
バティニョールおじさんは、ぼやき顔が良く似合っている。 朝5時から夜まで、働いているだけのおじさんは、家の中では影が薄い。 いろんなことに納得しているわけではないけれども、 言っても仕方がないし、奥さんその他になんだかんだ言われるのも面倒。 ま、商売がうまくいくのはいいことだし、ドイツは敵国だけど、今は逆らっても仕方ない。 だけど、目の前に居る子どもを密告するのはもう嫌だし、放っておくわけにもいかないし・・・ 世話をしているうちに、どんどん巻き込まれていく。 おじさんが良い人、正義の人かって言ったら、違うと思う。おじさんは、普通の人。 だけどおじさんは、前の戦争でドイツ軍と前線で戦った。それは誇らしい思い出。 なのに、敵国ドイツの言うがままになっている今のフランスがやっぱり腹立たしい。 気がついたらドイツの協力者として、動かされてしまっている自分だって気持ちよくはない。 そんなこんながいろいろ絡まりあって、巻き込まていくうちに、思いもよらないことをやってしまう。どこか困ったような、ぼやいた顔をしながら。 8点(2004-08-13 14:49:47)(良:2票) |
19. フリーダ
《ネタバレ》 いつも怒ってるような、つながり眉毛と、ツンとした唇のフリーダの顔が印象的でした。 あんなに痛そうな絵なのに、描いている本人は、煙草をふかしながらだったり、 どこかそういう痛さとか辛さとか、絵の中に突き放しているように見えました。 これじゃぁ、ディエゴが離れられなかったのも、無理はないなと。 子どもを流産した後に描いた絵を、ディエゴが膝に抱いて、泣いていたのが印象的でした。 8点(2004-08-08 23:25:25) |
20. 青い鳥(2008)
《ネタバレ》 静かな阿部寛の、優しい目がとても印象に残りました。 何に対しても、静かに、丁寧に、対応する先生、 苛立って教科書をバンバン叩きつけた生徒を、ただ見つめて、 彼が落とした教科書を、静かに広い、丁寧にホコリを払って机に置く。 その穏やかな所作が、もしも、本当にこんな教師がいたとしたら、 太刀打ちできないだろうなと思わせる説得力がありました。 何もかも、見透かされてしまうような。 何一つ解決してはいないのかもしれないけれど、 生徒達の心に、強い印象を残したのは確かだったと思います。 全員が、最期の反省文を書いたわけではないけれど、 書いていない生徒でさえも、 意識していないわけではないと思わされました。 それは反省したとか、しないとかではなく、 自分がしたことを、あらためて思い出したという意味で。 それにしても、阿部寛、よかったです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-06-08 00:33:25) |