1. ファーストキス 1ST KISS(2025)
《ネタバレ》 2月14日にファーストキスなんてタイトルの映画を還暦間近のおじいさんが独りで見に行くという、ある種の蛮行を試みたわけですよ。それで、基本的には面白かった。目の玉が熱くなり、のどの奥がキュッとなるような展開。画面を縦横に活躍していたのは松たか子さんであったが、本作は松村北斗さんの映画だと思う。■以下、盛大なネタバレですけど、15年前の未来から命を救いに来てくれたカンナに会うために、また、それまでに15年間こそやり直すために運命を変えない決断をする駈がいいんですよ。そんなタイムリープもの、ありました?(あったかも知れない)■夕日が印象的な映画でもありました。ロープウェイのシーン。カンナが会わずに結婚しない人生を選んだシーン。事故を告げる電話のシーン。夕日に照らされている、なんだか酔ったみたいなフワフワした感じになりますよね。■しかし、ただ離婚まで決意したカンナなのに、若い駈とそんな感じになっちゃって、調子よすぎないか? 駈も駈で、カンナは魅力的とはいえ、なんかこう無理なバランスなのは否めないよなあ。■これ、もし男女反対のバージョンがあったら、企画通ったかなあ。上白石萌音を救いに、田中圭が未来からやってくる。あれ、ありかな? [映画館(邦画)] 7点(2025-02-14 16:37:19)(良:1票) 《更新》 |
2. 沖縄狂想曲
《ネタバレ》 大事な映画。知らないことを、たくさん学んだ。いろんな人が様々に発言していらっしゃいますが、どの方も自信を持っているし、フワフワしてなくって真っ当。一番印象に残った一言は、前泊教授の「沖縄は、日本のカナリア」。みんな、観るべし。 [DVD(邦画)] 9点(2025-02-08 15:35:43)(良:1票) |
3. スパルタの海
《ネタバレ》 戸塚ヨットスクールに関して、ワタシの最大の疑問は、(問題もあったがしかし)成果も上げていた、というところです。しごきと認容の組み合わせによる飴と鞭、支配者へのゆがんだ好意であるストックホルム症候群、それに加え、風をねじ伏せて、ヨットを自由に操舵できた達成感と自信などから、社会性を獲得していく(なんちゃって)。そんなメカニズムなのかと、予想しながら見てましたが、しかし。基本的に映画の中の出来事は、「ワチャワチャやってる」ようにしか見えない。これで、人格が好転するかなあ。■なにか、もっと決定的な違いがこのスクールにはあったのではないかと思いますので、このヨットスクールについて、調べたくなる一作ではありました。「平成ジレンマ」とか見てみたいなあ。■伊東四朗、よかった。 [DVD(邦画)] 6点(2025-02-05 13:24:01) |
4. ソウルの春
《ネタバレ》 ①参謀総長拉致の場面で友軍に向けて銃器を使ったこと、②騙し討ちを賭けたにも関わらず、大統領から決裁が得られなかったことで、チャン将軍側には大義もなく、負けるに決まってるじゃんと思って見てたものです。それなのにこんな長尺な映画、第2空挺旅団が行ったり来たりしているところでは、早くこんな映画終われ、と思って見ていたものです。面白くないドタバタコメディみたいだとも。しかし。これこそ大どんでん返しではないですか。なんだこれと思って見ていた事柄が、全部恐ろしくなる。最後のカラオケパーティみたいなシーンで気持ち悪くなりました。光州事件の前日譚だったのですね。韓国の皆さんは重要な史実として了解した上で見てたのだと思いますが、日本のワタシは唖然とする終幕でした。再度、「タクシー運転手 約束は海を超えて」「1987、ある戦いの真実」が見たくなりました。 [DVD(字幕)] 8点(2025-01-26 15:40:54) |
5. 関心領域
《ネタバレ》 忘れることのできなくなるトラウマ映画。直接的なバイオレンスシーンは挿入せず、遠くの運動会みたいな音で想像をかきたてる。そして、最後に博物館の実物を見せる。ああ、ヘスとその家族の暮らしぶりは、大量のカバンや靴を前にしても、もはや心が動ずることがなくなった、博物館の掃除夫たちのそれと同じなのだ。■年代や場所、登場人物について説明する字幕、ナレーションは一切なく、それで普遍性を確保している。このことに時代やロケーションは関係ないんだ、と。■作中、開かれている会議は、いわゆる「ヴァンゼー会議」であり、これ以降アウシュビッツにおいて「最終的解決」に向けて、ホロコーストはさら加速し、よりむごたらしくなっていく。つまり、この映画は、もっと悲惨なことになっていく場所へヘスが戻っていくところで終わる。この理解でいいのだろうか?(自信がない)■どんなに悲惨なありようも我が身に関係なければ、どれほどにも受け止められるか。それらを一つ一つ、キチンと受け止めていて生活が成り立つのか。■はあーーーーーーーーーーーーーーーーっ(深いため息)。 [DVD(字幕)] 9点(2025-01-18 18:06:50) |
6. ツイスターズ
《ネタバレ》 おお、割と好き。冒頭、頭は良さそうだが無謀な若者の行いを見た際には、そこで重篤な事象が起こることが予想され、(もうこの、主人公然とした人物が真っ先に竜巻の餌食になればいいのに)などと、ゆがんだ視線で見ていました。しかし、徐々に明かされる、彼女の天才性や母親から明かされる竜巻への情熱が理解できるにしたがい、冒頭の事件の意味が変わっていき、物語になじめるようになりました。迷惑系YouTuberかと思いきやキャラ変、ちょいちょいある小ネタ、なんとなくラブコメっぽいところも好きです。で、なにより、ふんだんに盛り込まれている竜巻描写ですよね。惜しみなく、十分披露されています。ワタシ、いちいち顔をゆがめながら、引き込まれていました。これは、おすすめ。 [DVD(吹替)] 8点(2025-01-13 13:25:47) |
7. 男はつらいよ 寅次郎子守唄
寅さんは、「とらや」にさえ近づかなければカッコいいんだ。とらやが鬼門なんだよ。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2025-01-11 21:27:43) |
8. ビッグ・マグナム黒岩先生
《ネタバレ》 どのように面白がったらいいのか、わからない。暴力シーンやレイプシーンが見るのが苦痛。令和のコンプライアンスに耐えられるものではない。つまり、不適切にもほどがある。しかし、不良学生がメチャクチャしつつも、教師に答案に100点つけろと要求するあたりは、昭和の良識のほほえましさでもあるよね。お前さん方、テストの点などどうでもいいのではないのか。 [DVD(邦画)] 2点(2025-01-06 19:40:23) |
9. 掟(2024)
《ネタバレ》 石丸伸二氏のことを描いた映画であることを標榜しているにもかかわらず、違う人物の名前で制作されている。ドキュメンタリーではないし、再現VTRでもない。現実と併走した「フィクション」なんです、と。その上で、ブラックユーモア溢れる映画エンタメとか言って、いくらで言いつくろえるように作ってある。■つまらないというのではなく、ひきょうな映画なんだよ。奥山和由氏を見損ないました。 [インターネット(邦画)] 1点(2025-01-06 05:05:48) |
10. ランボー
《ネタバレ》 30年ぶりくらいの再見。その後のシリーズを知っているから、保安官たちとの戦いは、(なんて無謀な)としか思えないですし、州警察との戦いも同様なのですが、しかし。やっぱりこの第1作が好きなのは、ランボーが弱さを隠さないところですよね。ベトナム戦争の記憶のフラッシュバック、傷を負えば痛がりますし、ネズミにかじられそうになって慌てたり。市街戦になってからのやりすぎや、ラストシーンの心情吐露のシーンを理解しやすくするためにも、物語中盤にもフラッシュバックがあってもよかったか。なんちゃって。 [インターネット(字幕)] 7点(2025-01-02 15:43:55) |
11. 見知らぬ乗客
《ネタバレ》 してもいない約束を守ることを強制されたり、常軌を逸したスピードで回るメリーゴーランド、有名なテニス観戦のシーンなど悪夢的だったと思います。あるいは、なぜ赤の他人に自分のことを軽々にペラペラしゃべっちゃうのか、なんでこんな危ないところで発砲するのか、というはてな?のパートは変な夢を見ているようでした。全体的にふわふわした、落ちつかない展開の物語なのですが、ラストシーン。今際の際まで悪党だったブルーノが力尽きた瞬間だけが物語が我に返ったみたいでしたね。 [DVD(字幕)] 7点(2024-12-25 21:37:22) |
12. マッド・ハウス(2020)
《ネタバレ》 マッド・ハウスとは、さえない邦題をつけたものだとは思いますが、それを抜きにすれば面白い。▪️原題の「1BR」はキッチン付きリビングルーム+寝室1つの間取りとのことだが、共用スペースの多いソーシャルアパートメント(隣人交流型賃貸住宅)の典型間取りらしい(だと思う)。▪️最初の、配管から音がするあたりはつまらないホラーを引いちゃったと思ってましたが、ホラーというより寓話のよう。▪️この気味の悪いアパート内の有り様は、つまりいわゆる家族だったり、町内会だったり、学校・会社だったり、もっと大きくは国のような、大小さまざまな「社会」の濃縮エッセンスで、デフォルメではなかったか。▪️「無私 心の解放 受容 監視」。これらを求めてくるグループには気をつけようと思いつつ、確かにこれを受け容れてしまえば、住み心地良くもなるんだよなと思ったり。ウへェ〜。 [DVD(字幕)] 8点(2024-12-23 21:24:38)(良:1票) |
13. 侍タイムスリッパー
《ネタバレ》 めちゃくちゃ好きだ。なんて愛らしい映画なんだろう。「ちょんまげぷりん」みたいで、「蒲田行進曲」みたいで、でもやっぱり「カメラを止めるな!」みたいで。■なんで「カメ止め」を彷彿とさせるかと言えば、彼の作が盛り上がってたころに、ちまたで言われていた「映画愛」を感じるところですよね。時代劇が好きで好きでしょうがないのだろう、と。これだけ殺陣シーンを固唾を飲んで視聴したことはなかったぞ。■主人公の高坂が、わりにすんなりこの状況に順応していくところも良かったし(性格が良くて頭が良い)、風見の中打ち上げでのあいさつ。トップランナーとして業界全体を盛り上げようとする気概に、おもわず映画館でワタシも拍手したくなりました。「すべる落ちるネタ」って、令和にやっても面白いんだな(しかし、演じる人が微妙にやりにくそうなのがうまい。メタっぽい感じ、え、コレやるのって言ってるような)。■きっとこの世にはタイムスリップしてきたお侍さんがもっとたくさんいて、一生懸命世の中支えてくれているんですよ。そうだといいな。 [映画館(邦画)] 10点(2024-11-28 16:43:41) |
14. ダム・マネー ウォール街を狙え!
《ネタバレ》 ※是非とも、証券用語の「空売り」を押さえた上での視聴をおすすめします。 「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」の監督の作であり、公式サイトの雰囲気、主人公のいでたち、邦題の「ウォール街を狙え!」のダサさなどから、コメディだと思ってましたが、いたってマジメなドラマじゃないですか。ワタシ、今「変更作品要望」でジャンルから「コメディ」を外す申請をしています。この思い込みが鑑賞する上で邪魔だったと思いしたので。■で、面白かったです。ちまたの小口投資家たちが、資産家グループに一杯食わすお話であり、また小口投資家たちの群像劇みたいな面もあり、まあ面白くないハズがない。■ただ後半、小口投資家たちから「ローリング・キティ」が神格化されていくプロセスが怖いような気もしました。なんかこう、思考停止に陥っていくような。 [DVD(字幕)] 7点(2024-11-25 20:34:28) |
15. ルックバック
《ネタバレ》 見終わった今、率直にいうと気持ちをもてあそばれてしまった感じです。好きなシーンはたくさんある。京本(天才)に認められたことが分かった藤野(秀才)がスキップしながら帰るシーン。お互いの能力を信じ合える13歳の二人。町に出て、賞金で豪遊(5000円)するシーンとか、ほんとにうらやましいなあと思いました。しかし。■進む道が分かれた二人は、必ずまたどこかで出会うのだと想像していましたが、こんな別れですか。前半がすばらしかったから、”あのとき出会わなければ良かった二人”なんて妄想は、ワタシにはあり得ないんだけどなあ。■なにかもっと深い覚悟がありそうな作品ですが、ワタシにはこの点です。【追記】「京本死んだの、アレ、ワタシのせいじゃん」。なんという傲慢な。京本の主体性を踏みにじる言葉。ここをどう理解したらいいのかわからないのです。藤野には、京本に対しては畏れのようなものを持っていて欲しいのだ。 [インターネット(邦画)] 5点(2024-11-24 20:26:36)(良:1票) |
16. 教祖誕生
《ネタバレ》 地下鉄サリン事件前の作品。たけしが本作を作るに当たって、オウム真理教のことが念頭になかったはずがない。■「やっと、神の影が見えたと言うことかな」。終幕近くで、司馬(たけし)がそうつぶやくわけです。集金のために利用していたかと思いきや、実は彼も神を希求していた、ということなのだと思います。つまり、司馬は上祐史浩だったと。しかし、何かそれまでにフリがないとカタルシスはない。何か、物足りない。■宗教者の日常を描いた作品としては、森達也氏の「A」が抜群に面白いわけで。とはいえ、本作が、ドキュメンタリーである彼の作に何となく雰囲気似てるのはすごいなと思いますね。 [DVD(邦画)] 6点(2024-11-03 05:55:13) |
17. ドライヴ(2011)
《ネタバレ》 バイオレンスなシーンがちょっと引くほどグロいけど、繊細な映画だったと思ってます。好きなシーンもある(窓越し、ガラス越しの不穏、影の戦いなど)のだけど。■なんか分からないよね。軽々に弱みになりそうなものを作らなそうな主人公が、なぜアイリーンたちに惹かれてしまったのか、ドライビングテクニックが武器のハズの主人公が、なぜそれを見せ場にしないのか?■それが理解できる方は、評価が高いんでしょうなあ。あいや、分かればおもしろそうなんですよ。 [DVD(字幕)] 5点(2024-10-27 18:53:57) |
18. 首(2023)
《ネタバレ》 本作の信長は、人は惹きつけられずにいられないような部分があってしかるべきだったのだと思うが、なんせ狂人一辺倒。■たけし演じる秀吉が一番のワルになるのだろうが、相変わらず覇気のない演技。監督だけやってればよかったのに。■いやしかし。たけしに現場を仕切る力は残ってるのだろうか。本作の現場も、たけしを支える黒田官兵衛や秀長がいてからこそであったような気がする。■好きなシーンは、大竹まことと木村祐一の差し違えのシーン。 [DVD(邦画)] 4点(2024-10-24 17:24:26) |
19. パージ:エクスペリメント
《ネタバレ》 はああ?びっくりするくらいつまらなくなってしまいましたね。いちおう、製作年を追ってシリーズを視聴してきましたが、シリーズ全体を毀損しているのではないでしょうか。そもそもの「24時間犯罪合法化」というとんでもない設定が、当局の社会実験のインチキ事例が元だったなんて、ケチな話になったものです。ポピュリズムのなれの果てみたいなイメージだったんだけどなあ。隣人同士が殺し合うのがキモだったはずじゃないですか。傭兵投入なんて、どうかしてますよ。わざと毒抜き目的で作りましたか?、てなもんです。ガッカリしたなあ。 [インターネット(字幕)] 1点(2024-10-19 16:52:26) |
20. 12モンキーズ
《ネタバレ》 未来から来たわりには、状況をそのまま話してしまっては受け入れる側としては基地外としか解釈できないであろうことに無防備すぎるし、何よりも乱暴で粗雑なのが嫌だなんて思いながらジェームズをみてました。しかし、次第に自分の現在がわからなくなっていく流れを見て、なるほどこれがやりたかったかと、合点がいきました。▪️ラストについては諸説あるようですが、ワタシは人類の99%が死亡は避けられなかったという解釈に一票入れたいです。空港でサンプルのふた開けてますよね。また、起こったことは変えられないという無情さがカッコいいとも思うので。▪️面白かった。 [DVD(字幕)] 8点(2024-10-14 19:49:07) |