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201.  K-19
極限状況下における人間の心理を巧みに引き出せるという意味で、いわゆる“潜水艦モノ”は格好の映画的素材で、過去において優れた作品も少なくない。本作は、れっきとしたハリウッド大作でありながら、旧ソ連の潜水艦でのロシア人乗組員たちのドラマという点がユニークで、冷戦下における歴史に隠された秘話を、今日的な視点でどうしても一本の映画に記録しておきたかった製作者側の意図が、極めて明確なメッセージとして伝わってくる。彼らを演じているのがH・フォード以下、英語圏の俳優たちなので、喋っている言葉の問題は、映画のひとつの“約束事”だと割り切って見る必要があるが、勇気ある仲間たちを英雄視するような部分においてだけは、いかにもハリウッド調がモロに出てしまったようだ。ただ、映像的にはよく出来た作品で、画面からくる迫力と密室パニックのサスペンスなど、K・ビグロー監督の演出力の確かさを改めて感じさせられた。
7点(2003-04-11 01:14:30)
202.  戦場のピアニスト
戦争の悲惨さ、とりわけナチスのユダヤ人虐殺をテーマにした映画は、過去にも数多く作られてきた。本作もその中の一本で、評価もかなり高い。監督はR・ポランスキーで、今まで大半が小品ばかり撮ってきた人だけに、そういう意味においても初の超大作だと言える。入魂の一作と言おうか、彼としてはかなり思い入れがあるようだが、果たしてどれだけの人々の心に響いたのだろうか。実在のピアニストであるシュピルマンの回想録を元に映画化されたものだが、本作に限らず、どうもこの“実話に観客は弱い”のが気になる。要は、この主人公にいかに感情移入できるか否かで、評価も変わってくるように思う。個人的には、ピアニストという職業というだけで何故、彼が戦場を渡り歩き生き延びられたのかという部分に、どうしても引っ掛かってしまう。彼は単に運が良かっただけと言う以上に、高名なピアニストだったから助かったような描き方では、他の人が浮かばれまい。そんなにピアニストが偉いのか。終盤のドイツ高官との本来感動的である筈のエピソードも、これではご都合主義ととられても仕方があるまい。目を覆いたくなるような殺戮シーンに比べ、このシュピルマンに対してだけ、やたら描写が甘いのは何故か?そして彼の家族はその後いったい何処でどうなったのか?時間の経過(年数の経ち方)の解り難さも含めて、実話だからと言って、その辺りにもっと説得力ある描写がないから、単なるピアノ好き、音楽映画好きの為だけの作品と言われても仕方がない。
6点(2003-03-21 21:43:38)(良:1票)
203.  アトランティスのこころ
原作はS・キング。監督がS・ヒックス。そして主演、A・ホプキンスとくれば、期待するなと言うほうが無理。しかし彼らにもたまにはハズレもある。ヒックス監督のいつもながらの生真面目な演出スタイルが、きっとキングの原作に合わなかったのだろう。確かに起伏が乏しくて焦点が絞れていない為、結局何を描きたかったのか、やや散漫な印象は免れない。もう少しケレン味があっても良かったのではないだろうか。しかし、本来のホプキンスらしい好演もあって、しっとりとした人間ドラマとして好感の持てる作品だと言える。
6点(2003-03-21 20:01:13)
204.  8人の女たち
ベテランからニューフェイスに至る、それぞれまったくタイプの違う新旧の女優たちがスクリーンの向こうで一堂に会する。その豪華な顔ぶれとそれに負けずとも劣らない華麗なファッションの数々。数ある名女優たちの競演作の中でも、これほど映画としての醍醐味を味わえる作品も滅多にお目にかかれるものではない。サスペンス的要素が強くて重苦しいテーマを逆手にとった演出スタイルでミュージカルに仕立て上げ、重層な人間ドラマとして描き切ったF・オゾン監督の手腕はお見事と言うしかない。
8点(2003-03-18 00:18:50)
205.  ショウタイム
ハリウッド映画のお家芸でもあるポリス・ムービーの企画も、いよいよ手詰まりになってきた感のある一作。今回はベテラン敏腕刑事と刑事ドラマに憧れる警官とのコンビ。そして、その彼らの活躍ぶりをショーとしてTV放映する点がミソ。が、折角のアイデアもあまり作品に生かされているとは思えない。さらにR・デ・ニーロもE・マーフィーも、彼らのいつも通りのキャラを演じているに過ぎず、このミスマッチな組合せから一歩突き抜けた面白さというものが感じられない。要はすべてが予想通りで、まさしく可も無く不可も無くと言ったところだろうか。エンドロールでのNG集のほうが楽しい・・・な~んて言ってるのはだ~れ?(笑)
5点(2003-03-17 23:36:03)
206.  ジョンQ-最後の決断-
映画としては良く出来ているほうだけど、やはり予定調和・ご都合主義という言葉がちらついてくる。子供を助けたい一心で、人質までとって病院に篭城。挙句の果て自分の命を投げ出そうとする主人公。が、だいたいD・ワシントンの作品ですよ!“とんでもない結末”などあろう筈がないでしょ。そういった観客に気を持たせるような作劇が、なんともあざとく感じられてしかたがない。現在の医療制度の問題や保険システムの矛盾といった社会的側面の描き方も中途半端。
6点(2003-03-17 00:03:55)(良:1票)
207.  至福のとき
チャン・イーモウ作品だからといって身構えて見ると、人によっては案外肩透かしを食らったような印象を受けるかも知れない。意外なほどの軽いタッチに戸惑う人もいるかも知れない。盲目の少女が主人公というだけで、チャップリンの「街の灯」を連想する人もいるようだが、むしろ吉本新喜劇風の人情小噺に近い。近代化が進む都会の片隅で、貧しくとも逞しく明るく生きている人々。その彼らが盲目の少女を励ます為に、ひと芝居打つ姿は実に無邪気であり、愛おしい。設定上どうしても深刻になり勝ちな展開を、努めてコミカルに描こうとする監督の苦心が窺い知れる。ただよく考えてみると、彼らのとった行動は一見美談のようだが、障害者をコケにしていることに何ら変わりがない。盲目でありながら彼らの嘘を簡単に見破ってしまう彼女。障害者が一人で生きていくには、健常者以上に強く逞しくなくてはいけないという事を、改めて思い知らされる。そして新星ドン・ジェが、その強い意志をもった少女を見事に好演している。
7点(2003-03-15 00:08:18)(良:1票)
208.  プロフェシー
「隣人は静かに笑う」のM・ペリントン監督作品。まったく油断のできない人らしく、今回もラストにあっと言わせる仕掛け(それもかなりの大スペクタクル)が用意されている。しかし、それまでのミステリアスでしかもかなり地味な物語の展開と、あまりにもトーンが違いすぎて、予想外というよりもまったく違う映画を見せられているようだ。それは、ほとんど意味があるような無いような、取ってつけたような伏線の張り方が機能していない為で、まさに演出プランに計算違いが生じた為でもある。
6点(2003-03-14 15:47:24)
209.  笑う蛙
とある夏の別荘で展開される人間悲喜劇。乱歩の「屋根裏の散歩者」をヒントにしたような、納戸の中と外というどちらも隔絶した世界という構図が面白い。納戸の節穴から好奇の目で覗き見するものの、自らはどうする事も出来ない立場の男。終始覗かれていることも知らずにいる来客たち。たった一人事情を知っている男の妻。このほとんど感情を表さず、自分の気持ちひとつでどの様にも転ぶ、悪く言えば男を手玉に取る女の存在が、恐ろしく痛快である。それを実にクールに演じる大塚寧々は、なかなかのハマリ役。お定まりではなく、少々キツい結末にしたことで、人間ドラマとしての深みと面白さが増したように思う。自分の都合と欲望だけで生きているような人間たちを、庭の蛙たちが高見の見物をして笑っているという図は、あたかも小噺の洒落の世界。監督は平山秀幸。今まさに旬の人だ。
8点(2003-03-07 00:33:08)(良:1票)
210.  ボーン・アイデンティティー
M・デイモンの本格的なアクション映画は初めてのようだが、実はすでに「オーシャンズ11」で、そのアクション俳優の片鱗はみせていた。そのスリムでシャープな身のこなしや面構えなど、なかなか堂に入っている。そして、アメリカ人の中でも典型的なヤンキーっぽい顔立ちの彼だが、ヨーロッパの街並みが不思議と良く似合う。それだけD・リーマン監督が俳優の魅力を巧く引き出せているということなのだろうか。本作の撮影の素晴らしさにも増して、決してCGなどに頼ることなく、終始切れ味鋭い本格的スパイ・アクション映画に徹しきった彼の演出力は高く評価したい。決してこれ見よがしの派手な見せ場はないが、スパイ映画としての緊迫感と、渋くてどこかに懐かしさをも感じさせ、久々に堪能させられた。
8点(2003-03-06 23:42:57)(良:1票)
211.  ごめん
終盤、大阪から京都の彼女のもとへ自転車で激走するシーンが延々と続く。主人公の少年は部活の途中で、しかも剣道着姿のまんま。いつの時代でも若者というのは思いつめたら、なりふり構わず走り出すものだという象徴的なシーンである。“ごめん”と素直に言える純真さ・もどかしさ・不器用さなど、思春期のイタイ想いが詰まった初々しい気分が十分に伝わってくる、近年では出色の青春ドラマとなっている。ぎこちなさがいじらしくなってくる主人公セイを演じる、天才子役の名を欲しいままにしている久野雅弘。この年頃の男の子に常に一歩先を行っているイメージの、マドンナ役の櫻谷由貴花。共に好演で、この作品に生命を吹き込んで、より魅力あるものにしている。
8点(2003-03-06 18:01:21)(良:1票)
212.  マイノリティ・リポート
ほんの50年ほど先の未来を想像した事あるでしょうか。情報手段や機械文明といったテクノロジーの更なる進歩。或いは高層の建築物に代表されるような景観の近代的変化などは想像に難くない。しかし人間はどうかと言うと、やはりまだまだ犯罪が後を絶たないようで、こと人間に関してだけはどうやら進歩がない様子が窺い知れる。要するに現代とそれ程変わらないということだと思うのだが、しかしそれでは映画として面白くない。ひたすら映像で語り続けてきたスピルバーグは、フル・スケールのビジュアルから細やかなアイテムまで、現時点で考え得る限りの近未来を我々に創造してみせた。さすがと言うべきか、やはりと言うべきか、その独創性と映像センスは他の追随を許さず、凡百のSF映画にありがちな絵空事的なものとは決定的に違う。明らかに現代と50年先とは繋がっているのだという基本的なことを、我々に体感させ納得させてくれる。そして原作の持つ雰囲気やそのテーマ性などから、スピルバーグお得意のアクションが、今回だけはピンポイント的で、大スペクタクル・シーンなども極力避けて、全体に渋め・抑えめにしているのが良く分かる。しかしサスペンスのハラハラ度やドキドキ感の演出の冴えはいつも以上で、浴槽の一粒の泡でスパイダー・ロボットがピタッと足を止めるシーンの、その呼吸の間の巧さ。さらに、自分の目玉を追っかけるT・クルーズや嘔吐棒のアイデアなどは、彼の悪趣味が遺憾無く発揮されて、傑作。そして最も好きなシーンに、ジョンとアガサの道行きを挙げたい。この時代でも雨が降れば、やはり傘を差していると思います。(笑)
10点(2003-02-14 00:27:47)(良:3票)
213.  刑務所の中
花輪和一の獄中体験をもとに映画化されたものだが、原作がコミックということもあって、なるほど、それはそれは面白おかしく作られている。来る日も来る日も変わる事のない受刑者たちの規則正しい日常生活を、実に事細かくそして淡々と綴られていく。それはまるで耳心地のいい小噺を聞いているようである。「こんな所なら一度入ってみたい」と観客に思わせれば、それだけでこの映画は成功したと言ってもいい。が、刑務所もいろいろで、この映画でのそれは軽犯罪での受刑者たちがほとんどのようだし、現実はやはり厳しい環境である事に変わりはない。  
8点(2003-02-12 00:09:14)
214.  オールド・ルーキー
現実にあったことでも、描き方によっては嘘っぽくなってしまうという点が、実話の映画化の難しいところ。映画なのだから多少の誇張はあって然るべきなのだが、余りにも事がトントン拍子に運んでしまうと、つい眉に唾をつけたくもなるというもの。そういう意味で言うと、本作の虚実ぎりぎりのところは、J・リー・ハンコック監督のツボを心得た演出(再現と言い換えてもいい)で巧くクリアして、実に好感の持てる快作に仕上がっている。球速を測るのに車の計測器を利用するエピソードなどは、実に憎い演出だと思う。現実のJ・モリスは夢と家庭に悩むという優柔不断な男だが、そこがまた人間臭く魅力的なキャラとして受け入れられたのだろう。そしてその彼を演じるD・クエイド(=万年青年)の屈託のない明るい表情と嫌味のない演技が、この作品をより爽やかなものにしている。だから、ラストは多分こうなるだろうと分かってはいても、やはり泣けてしまうのだ。
8点(2003-02-11 18:11:03)
215.  酔っぱらった馬の時間
えっ!もぅ終わったの?上映時間1時間20分という、昨今の映画の中にあってこれはむしろ短編といってもいいほどの作品だが、いたずらにダラダラ長いばかりでさっぱり印象が残らない映画が多い中、これほど濃密な内容の作品は稀有だといえる。映画はイランとイラクの国境山岳地帯の寒村を舞台に、そこに住むクルド人たちの悲哀と、両親と死別し懸命に生きていこうとする幼い姉弟たちの姿を克明に描いていく。難病の兄を救おうと、大のおとなでも危険な密輸仕事を手伝う次男や、見知らぬ土地へ嫁がされる長女の姿に、貧しさゆえ互いに気遣い力を合わせて生きていこうとする子供たちのけなげさに胸打たれると同時に、地球の向こう側に厳しい現実が紛れも無く存在することを改めて思い知らされる。終盤、密輸のタイヤを運搬させるロバに、(おそらく寒さの気付けの為だろうか)酒を飲ませるシーンがあって、そのあと警備兵の待ち構える国境近くで本当に酔っぱらってしまった事から、次男らが死と直面する事となる。常に危険と隣り合わせで生き抜いていかなければならない彼らの長く苦しい闘いと、子供たちの行く末を暗示するかのように映画は終わる。テオ・アンゲロプロス作品を彷彿とさせる雪山の美しいシーンなど、セミ・ドキュメンタリーのような肌ざわりだが、あくまでもこれは劇映画なのだと理解するには、多少の時間を要するかも知れない。
8点(2003-02-07 00:19:06)
216.  ゴーストシップ
海洋冒険モノのライブ感覚と幽霊(屋敷)モノのファンタジー性とを半ば強引に結びつけた事で、どっちつかずの印象となった作品だ。そもそもゴーストの存在自体、理由や説明のつかないものだからこそ恐怖を感じるのであって、ご丁寧に、事の顛末が説明過多の為か、ゴーストたちや怪奇現象の怖さや神秘性というものが希薄になってしまっている。作り手側は躍起になって観客を怖がらせようとはしているが、少しも幽霊に見えない少女(喋り過ぎ!)や様々な仕掛けなどが、さっぱり生かされていない。要は不気味さが足りないという事なのだが、それと言うのも、自分たちの置かれた危機的状況をほとんど自覚していない、まったく緊張感のない脳天気なクルーたちという設定にしてしまったからだろう。(だいたい40年も前の缶詰や酒を普通、口にするか?)どうやらゴーストよりも無節操な人間のほうが遥かに怖いという皮肉が込められているようだ。
5点(2003-02-05 17:54:28)
217.  たそがれ清兵衛
山田洋次監督初の時代劇ということだが、日本映画の良心作を作りつづけている第一人者だけあって、時代背景こそ違え、その手腕に揺るぎがない。時代劇の衣を纏ってるはいるが、やはり彼が終始一貫こだわり続けている“今”を描いている事になんら変わりがない。個々の豊かな人物像と、環境をとり巻く社会情勢の的確な描写。人が人を大切に思い遣る心の大切さを教えられ、見事な殺陣をも含めて、決して大仰でなく静かに、しかししっかりと地に足がついた演出はさすがだと思う。そして出演者のすべてが素晴らしく、ほとんど奇跡のような作品だと言える。
10点(2003-02-03 00:16:47)
218.  ブラッド・ワーク
ラストの締めくくり方は、いつものイーストウッド作品的通俗さで工夫が足りないが、心臓移植されたヒーローという着眼点が極めてユニークで、その孤軍奮闘ぶりはやはり彼ならではのもの。古い仕事仲間とのやりとりなどは、ダーティ・ハリー以来の伝統を継承しているし、逃げる車や新聞の束に銃をぶっ放すところなど、まさに歌舞伎の大見得を切るシーンそのもの。イーストウッドという役者としての年季が違うのだ。惜しむらくは意外でもない真犯人に魅力が欠けている点だろうか。
7点(2003-02-01 00:44:41)
219.  ハリー・ポッターと秘密の部屋
第一作目よりも評価が上とされている本作だが、暗く閉ざされた魔法学校の中で繰り広げられる物語という点で、いったい何処がどう違うと言うのか。所詮なんでもアリの魔法の世界のお伽噺。その実にとり留めの無い物語は前作と何ら変わることなく展開し、しかもダラダラ長い。魔法を前面に出している割に、ファンタジーのかけらも感じられないのは何故か。世界的超人気の原作にのめり込んでいる人たちは大喜びに違いないが、関心の無い者にとって、これは苦痛以外の何者でもない。
5点(2003-02-01 00:29:02)(良:1票)
220.  ゴスフォード・パーク
30年代のイギリス貴族の屋敷を舞台に繰り広げる、R・アルトマン監督お得意の群像劇。複雑に入り組んだ登場人物を手馴れた演出でひと通り紹介した後、ある殺人が生じる。しかし本作は犯人当てのミステリーと言うよりも、むしろ階上の貴族たちと階下の召使たちそれぞれが織り成す人間模様に、より重点が置かれている。とりわけ表向きは平静を装っているものの、台所事情の苦しい名ばかりの貴族や、様々な思惑が交差する中での退屈極まりない浮世離れした宴といった描写など、彼らのエゴむき出しの俗物ぶりが炙り出されていく。貴族と召使との対比の構図ながら、建前と本音とを使い分けて世の中を生きていくことは、人間すべてに通ずる事。結果的には復讐劇のようでもあるが、これは人間の宿命と情愛の物語と捉えるべきだろう。それにしても、登場人物それぞれに見せ場をもたらすこのアルトマンの新作には、ある種の爽やかさと品格を感じずにはいられない。
8点(2003-02-01 00:01:35)
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