201. マイ・フレンド・フォーエバー
《ネタバレ》 スニーカーよりもデグスターのお母さんが家に引っ張り込んで叱咤するシーンよりも、病院からの帰りの車で泣きながらエリックを抱きしめるシーンが一番ぐっときた。 細かいことは他の方が書いてくださっているので略。とりあえず、よくわからず死体探しに行く「スタンドバイミー」よりも、まさに命のためにたった一人の友達と川へ乗り出す本作の方が圧倒的にいいと思った。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-11-06 23:56:31) |
202. サマーウォーズ
《ネタバレ》 そこまで期待してはなかったがかなりいい出来だと思う。 映画自体が完全にエンターテイメント+おいしいとこ取り、という構造なので、展開のご都合主義には目をつぶるべきでしょう。だからその意味では宮崎アニメとは比較云々ではなく次元を異にしている気がする。おいしい部分のくっつけ方としては、地球の危機、家族、みんなの協力、世界的つながり、等々をうまく振り分け、また多くの登場人物にきちんと役割を与えているあたりがうまくやっていると思う。 なお、一番興味深かったのは、アニメーションだからこそ可能な映像を存分に生かしている点だと思う。ウェブをインターフェイスによりあらわすことで、空想の領域を極限まで体現している。これは実写化は100%不可能だろうし、そういうものこそアニメの本領の気がした。 [映画館(邦画)] 8点(2009-08-23 00:17:50) |
203. 抵抗(レジスタンス) 死刑囚の手記より
《ネタバレ》 非常にシンプル。ただ逃げるだけ。わざわざドキドキさせるためにギリギリのタイミングで看守がやってきたりはしない。掘るのも壁じゃなくてドアだからあんまり掘ってる気がしない。道具作りの時間ばかり。 けど100分吸い込まれる不思議。 やっぱり「穴」と同じでリアリティがあるからだろう。「穴」の方がエンターテイメントを出している分面白さは上だが、こっちの方が現実度は高い。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-08-17 00:16:26)(良:1票) |
204. バンク・ジョブ
《ネタバレ》 これが実話だというのが驚きだ。銀行強盗がさまざまなスキャンダル品を持って行ってしまい、それによって狙われるとは・・・ 駅での駆け引きの絶妙なところとか、パトカーで銀行を探すところとか、細かなところに手に汗握るような仕掛けがあって面白い。地味だけどいい作品。 [DVD(字幕)] 8点(2009-07-21 11:02:20)(良:1票) |
205. アメリカン・クライム
《ネタバレ》 残虐。だけど、おそらくいじめというものの構造の本質がここにある。自分があの場にいても虐待に加担しなかったとは断言できないところに恐ろしさがある。 [DVD(字幕)] 8点(2009-06-27 16:25:53) |
206. 疑惑(1982)
《ネタバレ》 ■ここまで腹の立つ人間はそうはいないんじゃないか、っていうぐらい桃井は完璧な悪女を演じている。あんな手紙残さなきゃきちんと死刑にできたのに、っていうぐらい死刑にしてやりたい人間。 対する弁護士岩下は、これまた別の意味で腹立たしいというかなんというか。どっちかというと手練手管の女性たちにダメダメな男どもがやられる物語なんだな。 ■おそらく一番の悲劇は桃井が犯人ではなかった(断言はしてないけど、法廷もので完璧な回想シーンが入ることはあまりないから、あれが真実だと見ていいでしょ)ことだな。父さんはあんな証拠残しちゃダメだよ。 ■エゴイズムの塊の桃井と、全部法の理論で当てはめて通す岩下。だが最後の子供との別れのシーンで、岩下がわずかにも法の理論の限界を感じとって変わろうとしたのかなと思わされたのに対し、桃井は相変わらずだったというところが、物語の収束なのかな。 ■けどあんなに法廷でバカやってる人間が、男を手玉にとって世をうまくくぐり抜けているとはどうも思えないんだけどなぁ。悪女ならもっと賢そうなものだが(ウザくはあったが) ■あと、他のレビュワーさんが書いているようには、僕は笑えませんでした。別にいたって普通な。 [DVD(邦画)] 8点(2009-04-25 01:05:02) |
207. 世界大戦争
《ネタバレ》 世界戦争になっていく状況を、一般市民の生活にスポットしながら描いた作品。 ただ、この映画のメッセージは勿論反戦なんだろうが、この映画では結局「日本政府は武力によらないでひたすら平和のためのメッセージを発し続けるが、それは意味がなかった」わけで、だとすると、軍事的背景のない口先で唱えているだけの平和にはなんの意味もないともいえよう。実際、状況を何も見ずに日本政府の発した「ともかく戦争をやめてください」みたいなメッセージは相当空虚に感じた。最後のテロップも、具体的方向性なくただ「平和を」では話にならない。戦争はみな「平和のため」と称して起こすのだから。 ただ、そうした点を除いても、描写それ自体のリアルさなどは迫ってくるものがあったので高い点をつける。 最後に。この映画がツタヤの「特撮」コーナーにおかれるのは、理解はするにせよ、やはり普通のドラマのところに置いてほしい [DVD(邦画)] 8点(2009-04-12 18:44:15) |
208. トーク・レディオ
《ネタバレ》 DJが2時間毒舌マシンガントークを続けるだけの映画と言ってしまえばそれだけなのだが、不思議と飽きさせられない。 やっぱり終始口げんか≒戦争だし、ところどころに出てくる脅し、リスクみたいなものも大きいのかな。 匿名性とメディアのありよう、怖いもの見たさの聴衆と視聴率に従ってウケる番組を作るシステム、そしてお偉さん、みたいなメディアがらみの問題をいろいろと考えさせられる。逆にいえばどうとでも読めるともいえるが。 まあ特異な映画ですね。そしてこれだけ売れてしまった今のオリバー・ストーンにはこんな映画は作れないだろうなぁ。 [DVD(字幕)] 8点(2009-04-07 23:50:28) |
209. エレファント・マン
《ネタバレ》 ■この映画を、単純に差別はいけない、人は見かけで判断しちゃいけない、のレベルで消化していいものなのだろうか。 ■最初、徹底してメリックの容姿は隠されている。だが途中から一転してメリックの容姿は出ずっぱりとなる。我々は最初隠されているメリックの容姿が「見たい」と思うはずだ。そしてその容姿を見てショックを受けるはずでもある。(メリックを見て悲鳴を上げる看護婦のシーンが、容姿を隠すか見せるかの転換点である。) だがこれはいたって「自然な」感情であり、それを「私にはそんなものありませんよ」とうそぶくのは偽善である。 ■メリックに対する「蔑み」と「憐み」は、本質的には同じ穴のムジナである。蔑みは上記のような感情に忠実に行動した場合、後者は上記のような感情のネガである。「憐み」によって自分のメリックに対する優位を確認し、憐れんであげれるほど優しい自分に自己陶酔する。 ■ちなみに、この話だと「象が醜いこと」の方は問題なく、また自明なものとされているようだが、それは本当に自明だろうか。この論は「動物/人間」の二項対立の存在によって支持されており、動物が醜いことは自明視される。つまるところ、動物への差別心をあらかじめ認めている。 ■そして「容姿の醜い人は心が優しい」というつまらないステレオタイプは健在のようだ ■最後の「何も死なない(nothing dies)」はいったい何だろうか。まさか「メリックの母親の恐怖はそこで終わらずメリックに容姿として残された(=伝わった=恐怖は死なない)」ということでは・・・ [DVD(字幕)] 8点(2009-03-28 19:04:29) |
210. 地球の静止する日
《ネタバレ》 古典SFの大傑作。ストーリーはテンポもよく文句なし。映像は今の特撮には勝てないが、最近のCGをガンガン使う映像には飽きている頃だったので、この程度のが素朴でちょうどいい。 電気を落とすときに「お前、被害でないとかいうけど、電気止まったら病院の患者は生きてらんないぞ、ダメだなぁ」と突っ込んでいたら、あれま、抜け目のないことで。 [DVD(字幕)] 8点(2009-01-04 23:46:19) |
211. ノー・マンズ・ランド(2001)
《ネタバレ》 こういう戦争映画は今までなかった。徹底して(直接描写せずとも)残酷な戦闘シーンを描くか、あるいは徹底してコメディ化して皮肉るか、が戦争映画のセオリーだった。 だがこれは違う。ある意味で戦場の凡庸な日常と凡庸な生が描かれている。戦闘シーンと言えそうなのはオープニングだけ。あとは3人の兵士を取り囲んで時が過ぎていく。だがそこで描かれたものは重い。敵対しあう必要のない者同士で敵対しあい、最後には死んでいく。そして結局無力な国連軍と、結局金のためにひっかきまわすマスコミと。最後に一人地雷を背に残された男はいったい何を思っているのだろうか。あまりにも不条理にすべてから見捨てられた男、だがこれこそが戦争なのだろう。 [DVD(字幕)] 8点(2009-01-03 23:44:00)(良:1票) |
212. ゴーン・ベイビー・ゴーン
《ネタバレ》 これは単純なミステリーではない。重厚なドラマであり、重い重い問いが投げられている。 もちろん誘拐事件の裏側を解き明かすミステリーとしても十分面白い。まさかああいう動機でああ動いていたとは・・・ だがそれよりも重大な問題。子どもにとってはどっちがよかったのか。最後まで結論は出ない。それは観客一人一人が悩まねばならない。 もう一つのエンディングでは「間違っていた」というセリフが入るが、あれはない方がいい。これを削った監督は正解だと思う。 悔みつつも、どっちかが正しいわけでもない、そういう宙づりの状態にあるのだ。 [DVD(字幕)] 8点(2009-01-01 23:05:43) |
213. イースタン・プロミス
《ネタバレ》 バイオレンス&サスペンス目的で見始めたが、自分の予想をよい意味で裏切ってくれた。 そこで描かれてる闇世界のさまざまな人間模様に引き込まれた。 誰もが皆不完全な感じ(完璧な善や完璧な悪がない)で、そのもつれた中で皆がもがいているようだった。 バイオレンスの特徴としては、銃ではなくてナイフというところがバイオレンス性をはるかに高めているように思う。 前作「ヒストリー・オブ・バイオレンス」では何とも思わなかったが、今回は冒頭のシーンからそのバイオレンスにやられた。 有名なサウナシーンは、裸であるがゆえにその傷も生々しい。 この内容を100分でまとめ上げたのはお見事。 画も美しいし雰囲気に引き込まれる。充実した100分だった。 [DVD(字幕)] 8点(2008-12-31 00:53:49)(良:1票) |
214. ブラッド・シンプル ザ・スリラー
《ネタバレ》 コーエン兄弟作品は初めてだが、かなりよかった。 いわゆる「堕ちていく系」+一部に巻き込まれ要素、だが、誰にも感情移入できないので、見ていても不快にはならないところはいい点だ。 この短さでまとめ上げたのも評価すべきだろう。 誰も状況を分かっておらず、ただただ邁進していってドツボにはまっていくのは世の縮図であろうか。 細かいカットにも恐怖を引き立てるシーンがあって、こっていることがわかる。 個人的には最後女も死んでほしかったところだが、まあそれは仕方がないところかも。それにしてもあのナイフは痛そう。 [DVD(字幕)] 8点(2008-12-24 09:27:34) |
215. バンテージ・ポイント
《ネタバレ》 とりあえず見ている間はのめりこめたのでこの点数。 見せ方のワザはもう「運命じゃない人」とかで慣れてるから、目新しくはないんだけど、まあテンポの良さのみで逃げ切ってる。 もうちょいひねりを加えられる場所は十分にあるし、見せ方をもっとよくできたとは思うけどね。 最後があまりに都合よすぎるし、あんなにテロリストいっぱいいてあんなに準備されてて、で、あんなやり方・・・って思うけど。 [DVD(字幕)] 8点(2008-11-27 17:40:24) |
216. マーフィの戦い
《ネタバレ》 もう完全に振り切れちゃった男の戦争映画。 仲間の復讐に燃え、助けてくれた人が被害にあおうが、戦争が終わろうが、かまわずUボートを沈めにかかる。 それはもはや異常と呼ぶしかない。 派手なシーンは皆無だが、戦争の狂気というかなんというかを見せられた気がした。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-10-05 23:52:56) |
217. 11:14
《ネタバレ》 非常によく練られた脚本で、最後まで引き付けられました。息を抜く暇がないというか。 最初の方の被害者っぽい人達が実は相当悪いことがラストで判明して驚いた。 しかしていきなり死体に直面したらみんな動転しちゃうんだろうなぁ。 二番目の話はちと痛いです。特に男にとっては(笑 最近の、「メメント」「運命じゃない人」「キサラギ」「バンテージ・ポイント」などと同じ系譜の、時間軸行き来もの。僕はこういうの好き。 だってコンパクトで、最後まで画面にくぎ付けだったもの。しょうがない。 そういえば今11:14分。 [DVD(字幕)] 8点(2008-09-26 23:14:14) |
218. テキサスの五人の仲間
《ネタバレ》 さすがに落ちは読めました。しかし、まさかタイトルまでが伏線になっているとは・・・ ストーリーは秀逸です。かなり巧妙ですね。 なんか説明しちゃうとよくないので、細かいことは言いません。見てください。 あ、ビデオパッケージ、ストーリー書きすぎです。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-09-20 23:36:43)(良:1票) |
219. キングダム/見えざる敵
《ネタバレ》 単純なアクションやサスペンスではない映画。 とりあえず冒頭のテロ、まさかの二段攻撃見ていて驚いた。あれをやられたら死ぬしかない。 そしてFBIがとかく傲慢に乗り込んでいく。 他国にずかずか入って行って好き勝手する。 ラスト20分の戦闘はすさまじい。 なんていうのかリアルさを感じる。 だがFBIは何をやっても死なない流れ。 いわゆる「ご都合主義」 そこら辺で白ける流れで、あのラストの一言でひっくり返される。 結局アメリカの力での解決ではテロは終わらない。 ぐっさりとやられて幕が下りる。 [DVD(字幕)] 8点(2008-09-16 22:45:20) |
220. 背信の日々
《ネタバレ》 う~む、単純な流れではあるのだが、決して一筋縄ではいかない映画。 流れ自体は「フェイク」+恋愛、なのだが、その絶対に成就しない恋愛というのが悲しくも美しい。 人種ものでもある。 日常では非常にいい人が、人種の問題でだけは悪魔に変わってしまう。 この現実は、ある意味でどこのホラーにも勝てない恐怖がある。 そして、そうした差別主義者を追うはずの人々も、逆にそうした人々への差別感情で埋もれてしまう。 ラストの一瞬希望を持たせられる画と、しかしそれは叶わないんだろうなぁということを暗示させるような悲しくつめたそうな眼のカットはとどめとして印象に残る。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-09-06 23:38:10) |