201. 帰ってきたヒトラー
《ネタバレ》 多彩な映画だったと思います。前半の、ワタシはマイケルムーアっぽいなと思いましたが、ヒトラーみたいな人に対する一般ドイツ人のリアクションを見るドキュメンタリーっぽいパート。後半の、ザヴァツキを病院送りにしてしまうような権力がそこにあるみたいなディストピア世界。「ヒトラー 最後の12日間」の有名シーンのパロディがあったり。しかし、多彩でありつつ軽薄にならず。ヒトラーが現代にあらわれても、むしろ容易に同じ道を駆け上る。野暮な邦題以外は、相当いい映画だと思います。ザヴァツキが赤いベストを着続けたのは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のマーティのアレか、と勝手に思っています。 [インターネット(字幕)] 9点(2021-07-25 14:37:32) |
202. 宮本から君へ
《ネタバレ》 こんなものは、愛ではないだろ。 [DVD(邦画)] 1点(2021-07-23 17:57:08) |
203. ダラスの熱い日
《ネタバレ》 まるでケネディは暗殺されるために、ダラスに赴いたかのよう。キリストの処刑を彷彿とさせるようなところも(そんなのワタシだけ?)。死ぬためにパレードしているような気がするんだ。他のケネディ大統領暗殺をモチーフにした映画も見て考えてみたい。 [DVD(字幕)] 6点(2021-07-21 14:17:28) |
204. アバウト・タイム 愛おしい時間について
《ネタバレ》 これはいい。是枝裕和監督風(ふう)とも思う家族の物語。過去にだけ行けるタイムトラベル能力って、実は、ワタシたち、誰しも持っているんじゃないでしょうか。後悔したり、回顧したり、追憶したり。あいや、タイムトラベルという事象について、ことさら今までの作品のように、タイムパラドクスを持ち出したり、科学的理屈をつけたりしない、まるで、「個人のクセ」みたいに位置づけている本作に、そんな風に思ったりしました。そして、父親の結婚式での言葉。「人生は結局、同じなんだ」。振り返ってみても、同じこと。であれば、目の前にいる人に感謝し、慈しみあい生きるほかないのではないでしょうか?…なんちゃって。そういう説教くさいところがイヤなので、1点引いて、それでも9点です。 [インターネット(字幕)] 9点(2021-07-10 08:28:49) |
205. トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男
《ネタバレ》 この人は一体誰かに似ているなあと思いつつ鑑賞していましたが、漫画家(不条理日記、失踪日記)の吾妻ひでお氏にそっくりじゃないですか。芸術家気質は強いが、世の中が下手くそそうだった吾妻氏のことを時々思い出してみたりしてました。なんのこっちゃ。本作について。自分の才能を信じ切れる芸術家が最強なんじゃないでしょうか。ヘンテコな副題と、最後演説で終わらせるのがどうかとも思いましたが、面白かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2021-07-01 21:16:23) |
206. 天国に行けないパパ
《ネタバレ》 皆さんおっしゃるとおり、あの足回りの悪そうなクルマで行われるカースタントは、今まで見てきたあまたのそれらと比べて一番怖かったかも。そうなんですよ。スリリングとか言うんじゃなくて、現場を想像して、率直に怖い。ハートウオーミングなコメディなのに。原題「Short Time」が気になって調べてみましたが、「残りの滞在[在任]期間の短い人」とのこと。なるほど、二つの意味がかかっていたのね。 [DVD(字幕)] 7点(2021-06-19 09:00:44)(良:2票) |
207. 私をくいとめて
《ネタバレ》 ガチャンといわせないようにドアをロックする。恋愛のはじめの頃の、ため口と丁寧な口調が混じったたどたどしい様子など。せっかくお呼ばれしてきたのにバイク乗ってくる多田。そして、みつ子が部屋の中を取りなそうとした様子を素早く察知した気遣いにも思えるシーン。初めての料理で、かき揚げをだす黒田は本当に料理がうまいんだなとか。監督、巧いなと思うシーンを数えればいくらでもある。そして 語尾にハートマークをつけるしゃべり方が”苦手”な演技とか、のんがさすがだなともうシーンもたくさんあるのだが。でも、なんかちぐはぐだったんじゃないでしょうか。めんどくさい女性が、一歩踏み出すというか、すこし変わる映画だったんだと思いますが、なんか、まだひたすらこじらせ続けているようでした。【追記】のんのその場の空気を制圧する力は、往時の藤谷美和子のそれに似て。 [インターネット(邦画)] 7点(2021-06-17 21:04:33)(良:1票) |
208. ジョニーは戦場へ行った
《ネタバレ》 あの、花のような「ローマの休日」を書いたトランボだからこそ、書くことができた名作だと思う。ジョーと父親との関係が本筋に深みを与えていると思う。愛されていたのか、そうではなかったのか。 [DVD(字幕)] 9点(2021-06-13 13:30:34) |
209. バニー・レークは行方不明
《ネタバレ》 これは…。度肝を抜かれました。奇妙な大家さんや園長先生の造形やドールホスピタルのシーンなどから、クラシックなホラーでありそして教科書的な作品なのだなと、したり顔してみていましたが、最後の15分。こんな展開ありましたっけ。クラシックでありながら最新型(オラには)。ひと一人の痕跡をそんなに簡単に消せるものかとか、転居前の住所地に問い合わせれば、バニー不在説はすぐ消えるだろうとか、無理筋もありましたが、それよりラスト展開の衝撃が勝る。使われている音楽も好きでした。 [DVD(字幕)] 9点(2021-06-12 17:08:54)(良:2票) |
210. コンフィデンスマンJP プリンセス編
《ネタバレ》 終幕近く20分くらいから、解答編が入る。決して期待を裏切らない、どんでん返し。クセのある3人組のストーリー。とくれば、我々がなじんできた大好きな物語なワケです。ものすごく心揺さぶられるワケではないけれど、間違いなくそこそこおもしろい。だから「コンフィデンスマンJP」こそが、現代の大衆演劇。ダー子、ボクちゃん、リチャード各氏は、2代目あるいは3代目と演者を交代しながら、毎年1作くらい作り続けていくってのはどうでしょうか。アレ、ひどいこといったかな。いやいや、フォーマットが手堅すぎて、演者のモチベーションの維持が難しいような気がして。ワタシは、市川実日子さんのダー子が見たいです。 [DVD(邦画)] 6点(2021-06-09 11:03:37) |
211. ウソから始まる恋と仕事の成功術
《ネタバレ》 ジェニファー・ガーナーが、アメリカの「綾瀬はるか」。 [DVD(字幕)] 7点(2021-06-04 13:22:37) |
212. 幸せなひとりぼっち
《ネタバレ》 ああ。まんまとよかったです。術中にはまったというところです。最初のデートのレストランの告白シーンで、あっという間に泣かされました。不幸なフラグが立っていた、幸せそうなスペイン旅行が見てられませんでした。人差し指と大きな手のひらで、繋がっていたのですね。オーヴェ役の男優さんは、手のひらの大きさで選ばれたのでしょう。出演シーンこそ少なかったソーニャですが、彼女に愛されたオーヴェの物語だからこそ、こころ安らかに見ていられたのだと思っています。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-05-29 21:08:19)(良:1票) |
213. パブリック 図書館の奇跡
《ネタバレ》 面白い。「Based on a true story」の、いわゆる社会派ドラマなのだろうと思い、観るのが億劫だったのですが、そうではありませんでした。結構ちゃんとエンタメ。不条理劇を見るよう。なんとなく「遊びの時間は終わらない(1991)」を(少し)彷彿とさせますし、「ダイ・ハード(1988)」すらも思い出しました(インチキなマスコミ)。銀行でも高層ビルでもなく、公立図書館なのに。やっぱり、漢気が見たいよね。コレは、いいぞ。 [DVD(字幕)] 8点(2021-05-28 21:28:40) |
214. 女中ッ子
《ネタバレ》 面白い。不思議な映画。これは、古い日本の映画というよりもう全く別の世界のお話のよう。いたいけな初の輝きと、やはりいたいけな勝美の無垢から、どう延長しようと今の日本につながるような気がしないんだ。■イランの映画を見たときの息苦しさに近いような気がする(「運動靴と赤い金魚」とか)。■だいぶ高い所まで行く木登りのシーン、何度も撮る徒競走のシーン、初の名前を口ずさみながら雪道を歩くシーン。きっちりやるナマハゲのシーン。好きなシーンがたくさんあります。■ただし、このような終わりかたをせざるを得なかったのかもしれませんが、最後にほんとのことを言わなかった初に少し憤りを感じます。黙ってしまうことは、おおきな信頼を寄せてくれていた奥様の気持ちを裏切ることになるし、いつか本当のことを知ってしまう勝美の気持ちも傷つけるものでしょう。 [インターネット(邦画)] 8点(2021-05-24 22:02:07) |
215. 引っ越し大名!
《ネタバレ》 内気な主人公がガールフレンドの応援を得ながら、持ち前の人柄の良さを武器に成長していく、っていう今までざんざん見てきたストーリーなワケですよ。ベーシックなフォーマットが嫌いなワケじゃないんだけど、ちょくちょく気になるシーンがある。■引っ越し奉行に抜擢された当初の春之介がとても2ヶ月で仕事を仕上げられる感じがしない。それだけで、ああ、例の(前記)フォーマットなのだな、と覚悟する(先が見える)くらい。■本を焼くのが考えられない。情報過多の、現代の引っ越しなら、資料・書物のダウンサイズは大事だと思いますが、江戸時代の引っ越しで、他の事物と同様に本(情報や知恵)を扱うのは蛮行に見える。■「百姓になる」ことの扱いが大袈裟すぎる。農業は単に職業のひとつ(当時であれば、なおさら)。■あれだけリストラして、(一応逡巡もあったが)簡単に於蘭をお嫁にして連れて行くか。■武士の子が、今時のこまっしゃくれた坊主のよう。■家宝の薙刀がどうしても武器として弱そう、など。ここがおもしろポイントなんだろうなというのはわかるんだけど、それらがどうにも雑な感じがしてなりません。□星野源氏の結婚祝いとして視聴しました(え、そうだったの?)。【追記240728】初見以降、すっと本を焼いたシーンが頭からはなれません。「大丈夫です。燃やしたものは、全て頭に入れました」って、主人公のセリフがなお罪深い。そういうことではないだろう。この主人公なら、必ずどこかに寄贈することを考えたはずだが、なぜ焼いてしまう展開にしたのか。すごくいやだ。4→1点。 [インターネット(邦画)] 1点(2021-05-21 23:14:49) |
216. 大脱獄(1975)
作品の前提となっている「高倉健さんはカッコいい人」というのを知らない外国の人が、英訳されたタイトルが「Great Escape」だったりした本作を見たとしたら、「What is this?」ってなもんだったんじゃないでしょうか?なんちゅう言いがかりとも思いましたが、日本のオッサンのワタシが見ても、「なんだコレ」って思ったもんで。2点は田中邦衛さんの役作りに。 [DVD(邦画)] 2点(2021-05-17 16:28:03) |
217. JUNK HEAD
堀監督は、全部自分でやりたかったのだと思う。終幕後、観客は異様なエンドロールを見るわけです。そこには、堀監督以外の名前も見えるのですが、本当は全部自分でやりたかったんだろうなと思う。他の人のアドバイスや意見なんか聞かず。「JUNK HEAD」の世界の神は、パートンやましてやポン太ではなく、堀監督自身なのだから。誰のものでもない世界を作り上げたいと願ってそれを実現した。カッコいいよ。でも。カッコいいんだけど、それが空恐ろしいことのような気持ちもするんだよね。本作について。面白かったですよ。劇場なので声は出しませんでしたが、「あああ″あ″〜(苦笑混じりの困惑の声)」という心の声を上げることしばしば。次回作も見たい。これはもう、映画館で。堀監督には、お金を払いたい。10点は、3部作が終了するときに残しておきます。【追記】「いらすとや」の作者の方に近い情熱を感じます。【追記②】ここで終わって、これでいいと思うオレもいるな。 [映画館(字幕)] 8点(2021-05-10 18:44:04) |
218. 翼よ!あれが巴里の灯だ
《ネタバレ》 ビリー・ワイルダーによる宮崎駿の世界!(いやいや、もちろん宮崎監督が影響を受けているのだと思うが、そう言いたい。【追記】でも、そんなこと言ってるの、オレだけ?)カッコよくって、やはり美しい。好きなシーンがたくさんあります。離陸のシーン。滑走路がぬかるむって、こういうことなのね。大勢のオトコたちに助けられながら悪路を進むセントルイス魂号。泣けてきます。着陸のシーンも好き。長時間のフライトで、着陸のカンがおかしくなるって。人間くさいリンドバーグがものすごい好きです。もちろん、飛行機製作のシーンも好きだし、娘さんが手鏡持って、スーッと現れるシーンも好き。最後のシーン。ワタシ、今後とも何事もなく人生を終えてしまいそうですけど、偉業を果たした人には、せめて名前を連呼して賞賛できるようになりたいと思いました。これは、いいぞ。 [DVD(字幕)] 9点(2021-05-09 21:31:54) |
219. 三島由紀夫VS東大全共闘 50年の真実
《ネタバレ》 ワタシには、この作品がわからなかったです。900番教室で行われた討論はイライラするくらいわからなかったし、ちょうど50年という節目の年でもないのに、このタイミングで公開される意図もわからない。この映画の監督が豊島圭介氏であることも何故?と思うし、なによりこのフィルムは秘蔵するような類のものか(そんなセンセーショナルなものと思えない)。わからないんですよ。でも。作中、内田樹氏も触れていますが、三島由紀夫氏はなんて粘り強いんだろう。このくそボンズの大学生を相手に一つ一つ丁寧に応対する三島由紀夫氏の姿に誠実を感じます。なんかよくわからないが、三島由紀夫の魅力だけはわかった。今度、食わず嫌いだった氏の小説を読んでみようと思います。 [DVD(邦画)] 5点(2021-05-06 21:54:26)(良:1票) |
220. メランコリック
《ネタバレ》 古谷実の漫画のよう(主人公に望むべくもない恋人ができるところとかも)。とにかく不穏で良くないことしか起きない予感。どんな陰鬱な結末が待ち受けているんだ、と後ろ暗い期待をしながら見ていました。しかし。確かにオレにもそんなふうに思えた瞬間がたくさんじゃなかったけどあったよという幸せな場面で、この映画は終わる。余りにも直接的に語られるそのメッセージは、ヤボったいなと思いつつ。心から誰かと信頼し合えるってどういうことって映画、だったのかもしれない。酔っ払って笑うマツモトは、もはやこの世のものとは思えない。天使のようだ、殺し屋なのに。これは、いいよ。2018年にこれ観ないで、なに観てたんだろうと思うぐらいでした。【追記】ああ、2018年は「カメラを止めるな」の年じゃないですか。あれに隠れて、こんないい、また低予算な映画があったなんて。 [インターネット(邦画)] 9点(2021-04-27 17:25:54)(良:1票) |