2421. ドリームガールズ(2006)
《ネタバレ》 予備知識なく観はじめたので、30分ぐらいたつまでスープリームスとダイアナ・ロスがモデルのお話とは気づきませんでした。なんだかサウンドがあまりモータウンっぽくなかったからでしょうか。とは言え、ミュージカルとしては十分楽しめる出来でした。特にエディー・マーフィーの熱演は迫力ありましたね。彼の歌は吹き替えじゃないんですか?本人が歌っているとしたら、オスカー獲れなかったのは本当に惜しい!ジェニファー・ハドソンよりもずっと良かったと思いますがね。 [DVD(字幕)] 7点(2009-05-09 00:19:30) |
2422. 長距離ランナーの孤独
《ネタバレ》 この物語のエンディングはあまりにも有名で、その後の映画や演劇に多大な影響を与えています。改めて鑑賞してみて、これは青春映画の傑作だと思いました。なんか主人公の心情が痛いほど伝わってくる映画なのです。50年近く前に制作されたとは思えない、21世紀の現代に時代設定を変えても十分通用する普遍性をこの作品は持っているのです。トニー・リチャードソンは、あえて押さえた演技と、早回しを使ったコミカルな演出を使っていて、それが主人公コリンの心象をうまく表現しています。院長は長距離競走に出場する選手たちにまるで競走馬を調教するように接していますが、彼は同世代であるコリンたちの親たちを象徴したカリカチュアなのでしょう。閉塞感に苛まされているのは若者たちだけではなく、社会全体の問題なのだということなのです。本当に良い映画でした。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-05-09 00:16:22) |
2423. 愛する時と死する時
《ネタバレ》 メロドラマの名手ダグラス・サークが撮った唯一の戦争映画で、原作は「西部戦線異状なし」のエーリッヒ・レマルクです。レマルクは主人公エルンストの恩師役で出演していて、結構達者な演技を見せてくれます。ロシア戦線に出征していた主人公が休暇で故郷へ帰り、空襲で破壊された街で行方不明の両親を捜すうちに幼なじみの女性と再会して恋におち結婚しますが、休暇が終って前線に復帰すると命を助けたパルチザン青年に撃たれて戦死してしまうというのがストーリーで、戦争映画といっても戦時下のドイツの市民生活や恋愛模様の描写がメインです。映像はサークらしく非常にきれいで、空襲シーンは結構迫力がありました。いかんせん、レマルクの原作小説自体が凡作なのであまり印象が残らない映画の出来になってしまいました。ラスト、妻から来た子供ができたと知らせる手紙に手を伸ばしたところで息絶えるのは、「西部戦線異状なし」のまるっきり二番煎じでした。サークはナチス迫害を逃れてアメリカに亡命したオーストリア人ですが、俳優の息子はドイツに残りロシア戦線で戦死しています。きっとサークは亡き息子のことを偲びこの映画を撮ったのではないでしょうか。 [DVD(字幕)] 6点(2009-05-06 08:58:25) |
2424. 寒い国から帰ったスパイ
《ネタバレ》 原作はジョン・ル・カレのスパイ小説の金字塔です。東西冷戦時代、東独の保安司令官ムントによってエージェントを次々に抹殺された英国情報部員リーマスはロンドンに召喚されます。そこで彼は憎きムントを失脚させるべく計画された「ローリング・ストーン作戦」が計画されていることを聞かされ、情報部をクビにされた様に装いムントを陥れるために東独(寒い国)に潜入する指令を受けます。早速東独工作員が接触してきて首尾よく東独国内に連れていかれますが、そこでは思わぬ展開が待ち受けていました。とにかく、名優リチャード・バートンの重厚で陰鬱な力演に圧倒されます。スパイ活動と言っても派手な見せ場は皆無で、敵をそして味方をいかに騙していくかというプロセスがリアルに描かれています。人間が将棋の駒のように使われる世界を、静かで陰影が濃い映像で見せてくれる映画です。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-05-05 22:34:13)(良:1票) |
2425. 哀愁の花びら
《ネタバレ》 この映画はジャクリーヌ・スーザンの小説「人形の谷」を映画化したものです。ストーリーは、ブロードウェイのショウビジネス界で生きる三人の女性が成功して転落する生きざまを描いたメロドラマです。巷ではマンソン事件で殺害されたシャロン・テートのこの映画での大根演技が伝説となっていますが、ちょっとそれは可哀そうです。はっきり言わせていただくと、あとの二人(バーバラ・パーキンス、パティ・デューク)もひどい演技で、シャロン・テートばかりが話題になるのは不公平でしょう。アメリカではこの映画は「史上もっとも陳腐な映画」という称号が与えられているそうですが、確かにお昼のメロドラマで半年かけて放送する様な波乱万丈のストーリーを2時間余りで見せようとしていますから、ほとんど大映テレビものを観ているような感覚です。ただこれでもかこれでもかと続くキッチュな展開は、観ているうちに麻痺してきて快感を覚えるほどです。スーザン・ヘイワードが大御所ミュージカルスター役で出ていますが、彼女の公演シーンの舞台装置のショボイのには口あんぐりでした。まあディオンヌ・ワーウィックが歌う主題歌が良かったので、プラス2点としておきます。 [DVD(字幕)] 3点(2009-05-05 00:45:05)(良:1票) |
2426. セブン・ビューティーズ
《ネタバレ》 パスカリーノ役のジャンカルロ・ジャンニーニの色男ぶりがすごかったです。イタリア映画らしく顔のアップ映像が多用されているので、余計に印象が強かったのかもしれませんが。パスカリーノの家族や女収容所長など、やたら太い女性ばかり出てきた印象がありましたが、なるほどこの監督はフェリーニ映画の脚本家だったのですね。女性監督ながら女性の描き方にフェリーニ的なタッチだったような気がしました。確かにこの主人公は生き残るためにとことん卑劣になりますが、人間の生への執着本能として肯定する描き方がされていて、それは自分としては納得できると思いました。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-05-02 18:57:09) |
2427. デス・プルーフ in グラインドハウス
《ネタバレ》 一言で言うと、緻密に計算して撮ったおバカ映画でした。あのタランティーノらしさが爆発の、女たちの下品な無駄話についてこられるかがこの映画を楽しめるかどうかのハードルでしょう。後半のカーチェイスは、1970年代映画でよく観たプロットを21世紀の感性で再現した興奮ものです。ラストは本当に爆笑ですが、あそこら辺は完全にラス・メイヤー映画のオマージュになっていますね。予告編が流れる前のチープな音楽と静止画面は、30年前の洋物ポルノ映画館で観たものを思いださせてくれて懐かしかったです。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-02 09:38:06) |
2428. G.I.ジョー(1945)
《ネタバレ》 第二次世界大戦のアメリカ人従軍記者で、ピュリッツアー賞を受賞したアーニー・パイルが主人公です。彼は北アフリカ戦線でロバート・ミッチャムが率いる部隊に配属され、その後彼は部隊とともに転戦し、イタリアのモンテ・カッシノ戦でロバート・ミッチャムが戦死するまでを描いています。一応アーニー・パイルが主人公なのですが、映画はアーニー・パイルの眼に映った兵士たちの群像劇になっています。派手な戦闘シーンはほとんどなく、陣地や塹壕での兵士の描写がメインで、一般の兵士の不安・怒り・喜び・悲しみが伝わってきます。ロバート・ミッチャムが押さえた演技で好演しています。アーニー・パイルはその後沖縄戦取材中に伊江島で戦死します。映画が公開された1945年にはすでに亡くなっていたのですが、作品中でそのことに触れていないのがちょっと奇異に感じました。GHQは戦後接収した東京宝塚劇場を「アーニー・パイル劇場」と名づけて彼を偲びました。 [DVD(字幕)] 5点(2009-05-01 21:39:45) |
2429. タロットカード殺人事件
ウッディ・アレンとスカーレット・ヨハンセンの漫才コンビは意外といけますねえ。アレンのマジシャンぶりがまた良く似合っています。NYが舞台だとマスコミ業界人を演じることが多いですが、ウッディ・アレンは売れない芸人役が似合っていると思いませんか。相変わらずヒッチコックとかの過去の名画へのオマージュがちりばめられていて、楽しませていただきました。この映画を見てふと思ったこと…日銀総裁とウッデイ・アレンは顔面相似形だ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-04-30 22:54:15) |
2430. 殴り込み戦闘機隊
《ネタバレ》 両足義足のハンディキャップをものともせず、第二次世界大戦での英空軍エースパイロットになったダグラス・バーダーの伝記映画です。第二次世界大戦のエースパイロット(撃墜王)の伝記・自伝で映画化されたのは他に「撃墜王アフリカの星(ハンス・ヨアヒム・マルセイユ、独)」「大空のサムライ(坂井三郎・日)」があります。三人の中ではダグラス・バーダーが最も出世していますが、その分エピソードとしては地味で、映画でも戦前に墜落した彼が、苦労して義足で空軍に復帰して再び戦闘機乗りになるまでのストーリーに重点が置かれています。上映時間の半分強がこのエピソードなので、戦争映画というよりも難病もの映画という雰囲気でした。戦時中のエピソードも時代考証が甘く、これといった見せ場もなく終ってしまいます。伝記映画を本人が存命中に作ると、やはりいろいろ配慮があるのでつまらない代物になってしまいます。ちょっとマニアックですが、誰かアドルフ・ガーランドの伝記映画を撮ってくれないかなあ。 [ビデオ(字幕)] 4点(2009-04-30 21:50:46) |
2431. 黒猫・白猫
《ネタバレ》 クストリッツァワールド炸裂で、観終わったあと頭の中にもジプシーブラスが鳴り響いていました。ほんと、癖になります、クストリッツァの映画は。ダダンも良かったけど、個人的にはあの尻で釘を抜く芸をするサングラスの歌手がツボでした。結構素人を使っているみたいだけど、こういうテンションの映画にしてしまうとあまり違和感ないですね。ちなみに、ゴッド・ファーザー役はただの靴屋さんだそうです。そしてラストにはクストリッツァ映画には欠かせないミキ・マノイロヴィッチが出てきて嬉しかったです。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-04-27 19:06:36) |
2432. 非情の罠
《ネタバレ》 キューブリックの実質的デビュー作で原作も彼のアイデアですが、結構ストーリー展開に粗さが目立ちますね。でもそこはキューブリック、あのマネキン大乱闘を筆頭に随意にキューブリックらしい構図と伏線があって興味深い作品です。ただあの女の描き方だけは訳わからんし、とってつけたようなラストにも納得がいきません。そこら辺は、キューブリックも若かったということでしょうか。 [DVD(字幕)] 6点(2009-04-27 00:08:38) |
2433. 何という行き方!
《ネタバレ》 他愛のないストーリーなのですが、ほとんどジョークと言えるほど豪華な男優陣キャストで見せるシャーリー・マクレーンのコスプレ映画です。マクレーンが結婚する4人の旦那が始めは貧乏だが(3人目のロバート・ミッチャムを除く)、成功して金持ちになるが不運に見舞われて死んでしまう。未亡人になるたびにマクレーンに遺産が転がり込みますが、亡き夫の苗字をミドルネームにするので、マクレーンの名前がどんどん長くなってゆくのが傑作です。見どころは、イーディス・ヘッドが手がけたマクレーンの衣装で、特にロバート・ミッチャムと結婚しているときのドレスのとっかえひっかえはすごいです。ポール・ニューマンの珍しいおバカ演技も見ものです。こんな楽しい作品があるので、1960年代の映画は目が離せません。 [DVD(字幕)] 7点(2009-04-24 22:58:30)(良:1票) |
2434. コールド マウンテン
《ネタバレ》 骨太のラブストーリーで、ゲスト・スターが豪華でした。アメリカの美しい風景を見事に映したカメラが素晴らしく、ストーリーよりもはるかにこの作品の価値を高めていると思います。南部訛りで演技しているらしいですが、レニー・ゼルウィガーの口調が私にはわざとらしすぎるように感じて鼻につきました。全体として、この作品は男が悲惨な扱いを受け過ぎではないでしょうか。ジュード・ロウはなんだかニコール・キッドマンに種付けするためだけに650キロも悲惨な目にあって旅したようなものですよね。かわいそうすぎます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-04-24 22:57:17) |
2435. オリバー・ツイスト(2005)
《ネタバレ》 原作は未読ですが、キャロル・リードが撮った「オリバー!」のイメージがありもっと明るい話かと思っていましたら、ポランスキーの手にかかるとヴィクトリア朝時代のドロドロしたロンドンを全面に押し出した作品となっています。意図は良いのですが、原作どおりなのかオリバーが主体性のない泣くことしか能がないような少年でイライラさせられます。そして感じたのは、オリバーと「戦場のピアニスト」の主人公シュピルマンは行動がなんか似ている気がすることです。そう思い出すと、「戦場のピアニスト」でシュピルマンを助けたドイツ軍将校と、行き倒れたオリバーを助けたフェイギンも共通性がありますよね。なんか、ロンドンの貧民街がユダヤ人ゲットーに見えてきてしまいました。 [DVD(字幕)] 6点(2009-04-24 00:46:32) |
2436. 父親たちの星条旗
《ネタバレ》 アメリカ人にとって“Iojima”は今や苦戦の代名詞になっていますが、「苦痛を背負うヒーロー」を描いてきたイーストウッドには最適の題材だったのではと思います。確かにやり過ぎとしか思えないほどショー化した戦時国債募集キャンペーンには誰もが嫌悪を感じるでしょうが、アメリカが戦費調達にこれほどまで苦労していたとは意外でした。命を危険にさらす兵士が戦争では絶対に必要とされますが、大衆を扇動してでも国債を買わせて財政を運営しなければならなかった官僚も近代戦では必要な存在なのです。しかし、硫黄島の3人に銃後での道化役までさせたのは、あまりに残酷なことでした。「手紙」で描かれているように、日本兵は家族を守るために日本領土である硫黄島で死んでゆくのですが、攻める米軍にはもっと抽象的な「大義」が必要になっているのが対照的で面白いです。でも戦場の地獄の中では「大義」などけし飛んでしまい、海兵隊兵士も疑似家族である戦友を守るために戦うのです。ラスト死の床で主人公が硫黄島の海岸で戦友と泳いだことを思い出すシーンに、イーストウッドのメッセージが込められていた気がします。 [DVD(字幕)] 8点(2009-04-24 00:43:01) |
2437. スイート・チャリティ
《ネタバレ》 ミュージカル映画には疎い私ですが、ボブ・フォッシーの振り付けは昔からストライクです。この映画では、60年代とは思えない切れの良いダンスに目を見張ります。シャーリー・マクレーンがNYの街中で踊るシーンの躍動感は、何度観ても素晴らしい。いろいろ意見はありますが、私はこのアンハッピーエンドのラストの方が、チャリティの健気さが出ていて好きです。 [DVD(字幕)] 8点(2009-04-20 23:41:16)(良:1票) |
2438. 誘惑のアフロディーテ
《ネタバレ》 こういうシチュエーションコメディ好きです(オチはちょっと強引でしたが)。子供が養子、倦怠期の夫婦で妻が事業を始めたがっている等他のアレン映画に共通する設定ですが、今作はそこを巧みに脚本に織り込んでいて楽しい仕上がりになっています。ギリシャ演劇のコロスを狂言回しに使うアイデアが楽しかったです。心優しい娼婦兼AV女優を演じるミラ・ソルヴィーノは可愛かったなあ。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-04-20 23:36:23) |
2439. ホームドラマ
題材が題材だけにもっとグロくなる可能性が多いにありましたが、最後はオゾンらしいまとまり方でした。ブラックユーモアはちりばめられていたみたいですが、私としてはオゾンのブラックユーモアはピンとこないし、はっきり言って趣味が合わないというのが感想です。 [ビデオ(字幕)] 5点(2009-04-20 23:33:35) |
2440. 戦場(1949)
《ネタバレ》 「バルジの戦い」に於いてバストーニュで包囲された「バンド・オブ・ブラザーズ」の米第101空挺師団を描いた作品です。ただその視点は限りなくミクロで、一分隊10人前後の登場人物の眼を通して物語は展開します。フランスでクリスマス休暇を楽しむはずだった彼らは、「ドイツ軍が攻撃してきた」と聞かされただけでアルデンヌの森に送り込まれます。末端の兵士である彼らには、戦況がどうなっているのかさっぱり分からず、ドイツ軍の砲撃にさらされながら雪降る森の中でタコつぼを掘って懸命に戦います。全編派手な戦闘シーンはほとんどなく、サスペンスになりそうな史実通りのエピソード(米軍に変装した独特殊部隊に遭遇したり、降伏勧告に来た軍使に“Nuts!〔馬鹿野郎〕”と師団長が返答して追い返したり)もありますが、脚本はあえてサラッと流しています。その分人物描写が的確で、戦場での日常がリアルに描かれていました。軍曹役のジェームス・ホイットモアはオスカーにノミネートされていますが、この人若い時からこんな顔してたんですね。とても30前とは思えないおっさん顔でした。 [DVD(字幕)] 6点(2009-04-20 21:23:25) |