2561. ナチョ・リブレ/覆面の神様
小学生の頃からのプロレスファンです。マスカラス対デストロイヤーの一戦を記憶しています。多少の期待があったのですが、しょっぱい作品でした。脚本と俳優と映像から漂う薄汚さとヘタレ感、笑えぬギャグ、見所のない試合模様。早送りしたいのを堪えながらの鑑賞でした。上映時間の短さに免じて1点です。 [DVD(字幕)] 1点(2009-04-24 22:21:34) |
2562. リスボン特急
小学生の頃に観たいと思ってからウン十年、念願の初鑑賞となりました。犯行時に犯人達は一言も語らず非常ベルや列車の音のみが響いています。丹念な描写とあいまって見入ってしまいました。 そして全編を通じて登場人物全てが必要最小限しか語りません。しかし、その胸の内の溢れ出そうな想いは分かるのです。犯人一味のリストラされた重役とその妻、頬を黒い涙が伝っているゲイの情報屋、スコッチを空けるコールマン、シモン、カティのスリーショット等々。監督の力量と言えるのでしょう。 「刑事が人間に抱く感情は疑いと嘲りだ」と言い放つのとは裏腹さで現実を受け入れているラストシーンのコールマン。「因果な商売だが、これが私の仕事」との胸の内が想像されました。子供時分に抱いた憧れは薄れていますが、本作のドロンは素敵でした。 [DVD(字幕)] 7点(2009-04-19 15:07:50)(良:1票) |
2563. 刑事コロンボ/美食の報酬<TVM>
うわべは上品かつ知的でありながら腹のうちはとてつもなく狡猾。私好みの見応えのある犯人ですが、墓穴を掘ってしまった最後には拍子抜けしました。全編に亘ってカロリーの高そうな料理を食している警部に「肥えるよ」という思いと、被害者の友人達の心意気も味わっているのかもしれないという思いが浮かびました。 [DVD(字幕)] 6点(2009-04-15 15:35:59) |
2564. 刑事コロンボ/死者のメッセージ<TVM>
《ネタバレ》 記憶に残っていない作品でした。高名な推理作家との対決で、情の部分では警部のスピーチ等見るべき点はあるものの、知恵比べの部分では釈然としない点が幾つかあり、また、彼女の犯行だと感づいていた秘書と弁護士も中途半端な存在で終わり、盛り上がりに欠ける作品でした。 [DVD(字幕)] 6点(2009-04-15 13:24:42) |
2565. 007/慰めの報酬
前作の終了直後の設定と言う事なので、駆け出しのままの007です。私怨を抱くなとのMの言葉が耳に入らないのは当然なのでしょう。派手なアクションは洗練されていない粗野な感じが良く出ていましたが、大掛かりな陰謀の幾つかで意味不明な点があり、今ひとつ面白さに欠けました。風貌からポランスキー監督が思い浮かんだグリーンは、今後の作品を考え、敢えて線が細い悪党としたような気がしました。 [映画館(字幕)] 6点(2009-02-01 22:49:33) |
2566. マンマ・ミーア!
予備知識はアバのみ。中学・高校時代アバに夢中でしたので、全編に亘る楽曲の数々に歌い出してしまいそうになるのを何とか堪えました。もう、ストーリーは二の次、三の次です。期待以上だったのが、メリル・ストリープ、コリン・ファース、ピアーズ・ブロスナン、ステラン・スカルスガルドが歌って踊っていた事で心底驚きました。弾けている皆さんに「眉間に皺寄せてばかりでなく、元気出して、明るく暮らそうや」と励まして戴きました。 ♪♪So I say thank you for the music ♪♪ [映画館(字幕)] 8点(2009-02-01 22:11:25)(良:1票) |
2567. 最高の人生の見つけ方(2007)
旅から戻った後の二人の食事風景が私には本作が言わんとしているところに思えました。白けた思いで眺めていた旅の模様でしたが、途方も無いほどの豪勢さであるからこそ、このシーンが生きてくるのだと感じました。また、伴侶を一生愛し抜ける事について考えさせられた作品です。両優は流石の好演で良作ですが、邦題がいただけません。人生に最高も最低もないと思いますし、見つけ方とはどう解釈してよいのか 考えても分からないです。 [DVD(字幕)] 7点(2009-01-23 23:41:51) |
2568. 赤い殺意(1964)
《ネタバレ》 初めて観ました。貞子、その亭主、貞子にまとわりつく男、亭主の愛人、それぞれ個性が際立った4人が織り成す人間模様の生々しさは、手に汗が滲むものでじわりじわりと画面に引きずり込まれてゆきました。従順で愚鈍な貞子は哀れみを誘いますが、なかなかどうして、打たれ強く生きる女性だったのです。依存するだけの男と中途半端に利口な愛人が共に自滅してしまったのとは対照的です。写真を見せられてもシラを切り通す貞子の姿は圧巻でした。誰が誰を手にかけるのか?と数多の想像が空振りしてしまった結末は、妻を露骨に使用人扱いする嫌らしい亭主の立場が将来は逆転するであろう事が想像されるもので、私の考えは浅いと思わされるものでした。 [映画館(邦画)] 8点(2008-11-02 20:26:20) |
2569. 白い馬(1952)
《ネタバレ》 躍動感、臨場感、ほのぼのさが溢れる映像です。心穏やかな少年の内に秘めた芯の強さ、白馬の誇り高さには驚かされます。絆の強さ故の戻る事を全く考えぬラストシーンに呆然とさせられました。白馬と少年が穏やかに過ごせる場所がこの世にはないのでしょうか。世間の常識、倫理観とやらいうものから外れた友情や愛情がこの世から除外されなければならないのでしょうか。そうであったとしても絆を互いに切る事をしない「意志」に感じ入った作品です。 [映画館(字幕)] 8点(2008-07-28 01:15:53)(良:1票) |
2570. 赤い風船
《ネタバレ》 映画の旧称が活動写真である事を思い起こさせる、動く写真の魔力を実感させられました。ラストは切ないです。少年と風船が穏やかな日々を過ごせる場所は空の彼方しかなかったのでしょうか。 [映画館(字幕)] 8点(2008-07-28 00:58:52)(良:2票) |
2571. 幸せのちから
成功に到るまでの過程で丹念に描かれていた極貧生活は、理不尽さによるものではなく、払うべきものを払わぬ当然の報いによるもので誰の身にも起こり得る事です。子供に愚痴を一言も洩らさぬ姿勢に頭が下がります。かつ、貧しても鈍することなく、上司やビジネス相手に引き立ててもらえる資質に、気位が高いばかりだけでは成功できない事を気付かされます。父の頬を一筋の涙が伝う2つのシーンは押さえ切れぬ感情が胸に迫ってくる名場面です。ただ、観終わって今一つ物足りなさを感じました。それは成功の秘訣「数字と人に強いこと」の数字に強い部分の描写の物足りなさによるものでした。 [DVD(字幕)] 7点(2008-07-26 22:45:55) |
2572. 社葬
劇場で2度鑑賞した稀有な作品です。細かな部分は忘れていますが、大奥の女たちも裸足で逃げ出すであろう、男たちの群れを作って裏切り裏切られの権力争いのリアルさとコミカルさが印象深いです。佐藤浩市演ずる社長の息子に「あなたは父親のパンツでも洗いそうですね」と揶揄された緒形拳が「いけませんか、家族のためならパンツだってサルマタだって洗いますよ」と憤然とするシーンは忘れ難く「こんな人と結婚できればいいな」と思ったものでした・・・・・・。 [映画館(邦画)] 7点(2008-07-14 02:10:46) |
2573. インファナル・アフェア
《ネタバレ》 ディパーテッドを鑑賞して本作の存在を知ったクチです。結末に到るまで展開は同じでしたので、常に「次」が分かるのですが、リメイク作の不要で醜悪な演出が皆無のため、全編に亘りヒリヒリする緊張感が漂う良作でした。唯一違いがあった結末もリメイク作とは雲泥の差で、公僕・納税者のあるべき姿について考えさせられます。職務に命を張れるのは、この国を自分たちの手で良くしたいという一念からでしょう。保身しか感じられないラウが、無念の最期を遂げた二人の墓に敬礼する姿はこれ以上ないうそ寒い光景でした。 [DVD(字幕)] 7点(2008-07-02 19:37:17) |
2574. 告白(1981)
重い題材です。デ・ニーロとデュバルの抑えた演技に作り手の主張に奇を衒わない姿勢を感じます。追い落とされた真っ当な司祭が「砂漠が好きなんだよ」と言う毅然とした姿と彼の砂漠の墓標に、人の心のよりどころである信仰の世界においてさえ、このような不誠実が存在するのかと、ビリー・ジョエルのHonesty is such a lonely wordが身に沁みる作品でした。 [DVD(字幕)] 6点(2008-06-15 04:19:35) |
2575. 愛の流刑地
《ネタバレ》 信頼し愛する者の手にかかって息絶えたいという望みを愛しているから叶えてあげるという理屈。肌を合わせる事においてはパートナーの身体の安全に対する考え方に男性の真価が問われるものと考えます。よって痴情に溺れたただの殺人者が選ばれた殺人者だと悦に入っている姿は噴飯ものです。欲情のおもむくまま互いを貪り尽くした不倫の男女の行き着く果てが見えますが、臨場感のない脚本、演出、演技でした。例外であった冬香の母に3点、裁判長に1点を進呈します。特筆すべきはお水のおねえさんの如き検事とその上司で、本作の価値を決定的に貶める意味不明の駄キャラでした。 [DVD(邦画)] 4点(2008-06-15 03:49:21) |
2576. また逢う日まで
《ネタバレ》 念願の初鑑賞。伝説のキスシーンに関しては、生涯ただ一度交わした口づけがガラス越しであったと想像していましたので肩透かしを受けました。しかし、互いを隔てるガラスという障害は克服出来た二人が戦争という障害に抗えずまた逢う日が訪れなかった儚い恋物語は見応え充分でした。「1間でいいから・・・フライパンを買って・・・子供は何人がいいかしら・・・」「絵の勉強をしなさい・・・・本は読まなくちゃいけない・・」「何としても生きてなきゃ・・」別れの悲しみは口にせず将来を語り合うシーンは何ともやるせないものです。「お国の為」を謳いながら国の民のささやかな願いを踏み潰す戦争の過ちを唱える監督の信念がずしりと響く作品で、この先忘れる事はないでしょう。 [DVD(邦画)] 8点(2008-06-07 00:38:16)(良:1票) |
2577. ディパーテッド
本作の予備知識はニコルソンが出演していると言う事だけでした。ボス対司直もので双方共に相手方に内通者を送り込むという仕掛けは見応えたっぷりのはず。ところが評価できる点は、薬の力に縋るギリギリの精神状態がよく表れていた、整った顔立ちだけが売りという私のイメージが覆されたディカプリオの演技のみでした。目に余る下品さで老醜を振りまくフランクのボスとしてのお粗末さ。女医の薄っぺらさ。やっつけ仕事丸出しの結末。何の余韻も残らない作品でした。こちらを先に観られたら、お口直しにオリジナル作品を観られる事をお薦めします。 [DVD(字幕)] 3点(2008-06-01 02:45:34) |
2578. エビータ(1996)
《ネタバレ》 一切の予備知識無しの鑑賞でした。歌声の美しさもさることながら映像の美しさに目を見張りました。お話の中身はエバのサクセスストーリーです。台詞が全て歌であるのは面白い試みですが、彼女の人となりや価値観に共感できず、気分が盛り上がりません。狂言回しの男性の存在が絶妙で最後まで鑑賞できました。彼女は民衆に慕われましたが、国を治める者の役目は、貧しい者に単に施しを与えるのではなく、働いて対価を得て自活し、胸張って生きていく環境を整える事だと思います。夭折がアルゼンチンにどのような影響を及ぼしたのでしょうか。興味深いです。 [DVD(字幕)] 7点(2008-05-25 15:59:24) |
2579. 髪結いの亭主
《ネタバレ》 深刻ぶらず心地よさだけを求める事を信条とする表面上の穏かさとは裏腹の激しい心情を持つ夫婦の朝も昼も夜も離れずに暮らす10年の歳月。客は「今は魅力でも何時か消える、魅力を感じなくなったら他のを探すだけ・・・」と語ります。苦楽を共にする、表裏一体の愛憎。これらの心地よくない部分を受け入れる事を拒否した女房の幕引き。残された亭主の佇まい。浮世離れしたお伽噺にほろ酔い加減の心地よさとほろ苦さを噛み締める作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2008-05-18 14:49:04) |
2580. オーシャンズ13
11は1度観ましたが内容を忘れ、12は観る気無く未見、13はパチーノ目当てに観ました。金にものを言わせて金を盗る、徒党を組んだ面々の小洒落ているだけでひ弱さ漂う魅力の無さは予想通りです。彼らをまとめて縮み上がらせる凄みを持ち合わせているパチーノが、拙い脚本のせいでちょい悪オヤジでしかなかったのが致命的。緊迫感が微塵もない『新春スターかくし芸大会』如きに加えて、かつて『シー・オブ・ラブ』でパチーノと競演したエレン・バーキンの当時と変わらぬうっとおしさにとどめを刺されてしまいました。 [DVD(字幕)] 3点(2008-05-11 14:38:44) |