241. デス・フロント
《ネタバレ》 戦場ホラーということで、同年のアメリカ映画「ビロウ」みたいな感じかと思ってたら全然違いました。ストーリー的に良く解らない部分もあったんですけど、【ぶるぅす・りぃ。2】さんのレヴューを読んで納得。なるほど、そういうことだったんですねぇ。でも穴に落ちた後、一堂に会していた面子の中に、シェイクスピア本人もいましたよね。あれは何だったんでしょう。あと、逃げたドイツ兵も死神だったんでしょうか? 彼ら全員、まだ死んでなくて、生死の境界を彷徨っていたという解釈も成り立ちそうですね。最後にシェイクスピアだけが蘇生したのかもしれません、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-07-14 00:02:57) |
242. エンド・オブ・オール・ウォーズ
日本軍の残虐行為ばかりが強調された「反日映画」という評も見かけますが、全くそんなことはない。実際、当時の日本軍は劇中で描かれた通り残虐だったんだから仕方ない(日本の捕虜収容所での死亡率は、ドイツのそれの3倍だったとか…)。むしろ、「なぜ日本軍は残虐なのか?」という部分が描かれていて、非常に興味深い作品になってます。天皇陛下の御為に簡単に使い捨てられる当時の日本人の命は、それはそれは軽いもの。同胞の命でさえ、そんな軽々しいものと考えてる日本軍が、敵軍兵士の命に寸分たりとも価値を見出すことなどあり得ない。その上、武士道に生きる本物の帝国軍人は、自らの命にすら重きを置かないのです。生きて恥を晒すより、死して護国の鬼たらむ。…黙祷を捧げつつ、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-07-14 00:02:26) |
243. ゴッホ
1952年のハリウッド映画「炎の人ゴッホ」と比べると、当然の如くかなり大人しい印象。また、言われなければロバート・アルトマン作品とは気づかない程にエネルギーも感じられない。原題通り、物語の基本は、ゴッホと画商である弟テオドルスの関係がメインになってるんですけど、どうしたって話の中心はゴッホにならざるを得ない。しかし、狂気の芸術家の内面なんてパンピーには解りっこないんですから、これなら「正常な一般人」であるテオを語り部として物語を組立てた方が良かったと思う。お陰でテオの内面も今一つ判り難くて、物語に入って行けませんでした、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-07-14 00:02:00) |
244. マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺
確かにタイトル通りの作品ではある。病院内の広めの治療室(?)みたいな部屋で、鉄格子越しの観客に対して、サドと患者達が劇を演じる。しかしフランス革命を勉強したことの無い私は、そもそもジャン=ポール・マラーなる人物を知らないので、劇中劇である「迫害と暗殺」がどういうストーリーなのか、全く理解できなかった。所々で院長の検閲が入ったり、患者が暴走したりして、劇の進行がスムーズじゃなかったのも一因。また、果たして「マルキ・ド・サドの演出」が本作通りであったかどうかも判らない。全体的には、当時の再現やサドの視点によるフランス革命と言うより、いかにも60年代のアナーキーなカルチャーを、サドや精神病患者に当てはめただけという印象。タイトル程の深みは感じられませんでした、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-07-14 00:01:33) |
245. SOSタイタニック 忘れえぬ夜
最近BSで初めて鑑賞したんですけど、1997年の「タイタニック」とほぼ同じ内容だったことに驚き(あちらからジャックとローズを引いただけ)、また、セットや特撮が300億円かけた「タイタニック」に負けてないことにも驚きました。謝辞としてクレジットされる、この映画に協力した関係者(生存者他)の名前の量だけでも、如何に忠実に事実を再現してあるかが判ります。目と鼻の先にいて事故に気づかないカリフォルニア号の描写も、悲劇性とサスペンスをより強調している。確かにドラマ性は希薄ながら、この「史実」を知るには過不足の無い見事な構成だったと思います、7点献上。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-07-14 00:01:08) |
246. 日本沈没(2006)
《ネタバレ》 「日本沈没」のリメイクと言うより、日本限定の「ディープ・インパクト」か「ザ・コア」って感じ。このリメイクに私が期待したのは、最新技術によるディザスター映像は当然として、それよりも、リアルな政治シミュレーションであり災害シミュレーション。流石に特撮(及び音響)には30年以上の進歩を感じることが出来ましたけど、それ以外の部分は30年前のレベルと全然変わってなかった。「政治」がほとんど描かれず、トヨエツの役も古臭い一匹狼のマッド・サイエンティスト風。テーマである「日本人のアイデンティティ」を無視した上、リアリティの欠片も無い話にするんだったら、本作も前述のハリウッド映画風に、最初っから「プレート切り離しプロジェクト映画」(大体、何であんなにまどろっこしい起爆システムを使用せにゃならんのだ?)として作っておけば、まだパニック娯楽SFとして単純に楽しめたでしょう。ということで、良く出来てた特撮部分に+1点して、3点献上。 [試写会(邦画)] 3点(2006-06-28 00:04:56) |
247. ALWAYS 三丁目の夕日
(ちょい長め) 確かにエピソードがバラけてしまいオムニバス風になってしまってますけど、春夏秋冬それぞれに泣き所が用意してあって、これは見た目以上に巧みな構成だったと思います(これこそ「泣きのエンターテインメント」)。そして何よりも圧倒的なヴィジュアルの力。良く見れば意外と安っぽいCGなんですけど(これは多分DVD鑑賞の為。劇場ではそれほど目立たなかった筈)、映画である以上、見せないよりは見せてくれた方が絶対良いに決まってる。また、小雪や堀北真希さえも、ちゃんと昭和33年の人間に見える所こそ、最近の邦画としてはCGより凄い点かもしれない。デジタル技術を駆使して再現された当時の東京は、リアルでもファンタジーでもなく「記憶の中にある東京」。だからこそ多くの人が共感できたのでしょう(それに、現在の「ニーズ」にピタリと合致した)。そして私は、ハリウッド大作に影響されて「娯楽」と「特撮」にアレルギーを持つことなく育った日本の映画監督が、ようやく日本独自の「大作」を撮り始める時代になったことが感慨深いです。誰も見向きもしない様な作品を「芸術」と称して持て囃し、娯楽映画の作り手を育成してこなかったことによって誰も見向きもしなくなった「産業」が、いよいよ本格的に盛り返してきそうな予感を本作は抱かせてくれました、7点献上。 [DVD(邦画)] 7点(2006-06-28 00:04:26)(良:5票) |
248. トニー滝谷
西島秀俊の抑揚の無い声はナレーションではなく、【はちかつぎ】さんのお書きの通り「朗読」。演者達に生気は感じられず、彼らは読み上げられる物語に沿って動く人形。それを彩る静かなカメラワークと坂本教授のピアノ伴奏。本作は完全にサウンドノベル。時折、「劇」と「朗読」に接点が設けられてましたが、こうでもしないと映像が朗読に負けてしまうんだと思う。そんな訳で、本作を観てても、とても「映画鑑賞」してる気分にはなれない。かと言って「読書」してる気分でもない微妙な感じ。室内シーンも含めた大部分を屋外セットで撮ってたり、確かにこれは実験作です、5点献上。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-06-28 00:03:59) |
249. オーバードライヴ(2004)
金が無いなら無いなりに、チープ・ポップな馬鹿映画として仕上げようとした製作の方向性は間違ってなかったと思う。しかし如何せん、金が無い上にセンスも無さ過ぎて、単にチープなだけの映画になってます。売れてない元バラドルとアイラインきつめのグラビア・アイドルというヒロインが、更にチープ感を増進。「三味線虎の穴」の内部も場末のお化け屋敷レベルじゃ、馬鹿映画にもなりきれない。そもそも金が集められなかった上、こんな映画で2時間越えを許してしまうプロデューサーが一番悪いと思う。そんな出来損ない映画の中で、唯一の見所が柏原収史のバチさばき。本作がきっかけだったのか、以前から練習してたのか知りませんが、自身のプロフィールに「津軽三味線」を加えるだけのことはありますネ、4点献上。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2006-06-28 00:03:36) |
250. g@me.(2003)
似た様な題材の「カオス」よりは全然面白い。前半は犯罪の匂いがしないどころか、かなり無機的。生活感の無い高層マンションの一室で、正にゲームのキャラクターみたいにリアリティの無い男と女が策を練る。そして、犯人サイドの「読み」だけで父親側の動きを見せるという演出が、後になって効いてくる。キャラクター達に徐々に血が通い始めると、誘拐ゲームの騙し合いに加えて、ラヴ・ゲームの騙し合いも加わり(この程度のラヴシーンで話題になったの?)、最後の瞬間まで楽しませてくれます。ビックリはしませんでしたけど、中々良く出来た映画だと思います、6点献上。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2006-06-28 00:03:10)(良:1票) |
251. HAZAN
近代陶芸の開祖と言われる陶芸家・板谷波山の伝記映画(最近、孤高の芸術家づいてる榎木孝明は中々「威厳」のある俳優なんですね)。しかし彼のバックボーンを全く描かず、唐突に陶芸の道を志す所から始まるので、映画からは「極貧の中で自らの技巧を極めた陶芸家」という、他の芸術家と大して違わない部分以外、波山独自のパーソナリティがさっぱりと判らない。なぜ職を捨て、家族を犠牲にしてまで陶芸に魅せられたのか? そして、彼の科学的アプローチの源泉は何処にあったのか? これこそが波山を語る上で最も重要な部分だったんじゃないでしょうか、5点献上。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-06-28 00:02:47) |
252. ドラゴンヘッド
評判からは「デビルマン」に匹敵する程の駄作を想像してましたけど、意外や意外、私は普通に観れました。大掛かりな廃墟のセット、大規模な爆発シーン、そしてカタストロフのCG(中盤、自衛隊員の車が噴火から逃げる所と終盤のヘリは安いCGでした)。ウズベキスタンまで行ってきた甲斐もあり、迫力ある映像を観てるだけでもそんなに退屈はしません。かなりヘタレな二人の高校生の終末行脚というのも面白い(原作未読)。語り口がモタモタしてる割に(穴から這い出すのに40分以上もかけてる!)、静岡(?)~東京間の距離を感じないのが最大の難点でしたね、5点献上。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-06-28 00:02:23) |
253. ゲロッパ!
《ネタバレ》 評判から想像してたよりは遥かに面白く観れましたけど、余りにも長いクライマックスで評価が一気に下がりました。この物語では西田敏行が「セックス・マシーン」を歌う場面から、常盤貴子との和解までが本来のクライマックス。後はエピローグ的に、常盤母娘が刑務所へ面会に訪れた場面か、例の金で勢力の増した組に西田が帰ってくる場面ででも締めれておけば良い。なのにその後、ホテルでの別れから連行、移送中の無罪放免、挙句の果てには子供の学芸会にまで話を引っ張る。確かに全体的にグダグダでしたけど、ラストが一番グダグダです、4点献上。 [地上波(邦画)] 4点(2006-06-28 00:01:50) |
254. チルソクの夏
説明的で不自然な脚本は同じでも(こちらは更に少し恥ずかしい)、思春期のプラトニック・ラヴ・ストーリーとしては「パッチギ!」より良く出来てるし、演出力は井筒和幸に一日の長があったとしても、時代の再現力ではこちらの方が遥かに勝ってる(「初恋のきた道」をパクッた様な現在のシーンは要らないか)。そして、韓国人の日本人に対する「憎悪」と同等に、日本人の朝鮮人に対する「嫌悪」を描いてるのが良かった。塩谷瞬の歌う「イムジン河」よりも、私は淳評の歌う「なごり雪」に感動しました。チルソクの如き隔たりは、30年経過して少しは狭まったのでしょうか…、6点献上。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2006-06-28 00:01:23) |
255. 日本沈没(1973)
私としてはTVドラマ版の方が強く印象に残ってます。ドラマでは一話毎、各地に各様の天変地異が起こり、日本全体が壊滅していく様子をじっくりと描いてました。映画ではもちろんそんな悠長なことは出来ないので、日本は一斉に災害列島と化す。しかし、TV版と比べても映画ならではの「大作感」は希薄。例によってマクロな「政治」や「科学」もほとんど描かれず、フィクサーみたいな爺さんが悲壮な日本人論を展開したかと思えば、いしだあゆみ演じる訳の判らない根暗女が物語にしゃしゃり出てきたりする(ヒロインもTV版の由美かおるの方が良かった)。悲惨な話なので仕方ないのかもしれませんが、パニック映画としての盛り上がりにも欠ける。ということで、本作には子供時分から余り良い印象はありません、4点献上。 [映画館(邦画)] 4点(2006-06-28 00:00:53) |
256. M:i:III
チーム壊滅から始まった悲壮な印象の「Ⅰ」や、ジョン・ウー節炸裂の馬鹿映画だった「Ⅱ」と比べれば、手持ちカメラによる「流行の」カメラワークの鬱陶しさを除けば、極めて真っ当な「特殊部隊映画」(決して「スパイ映画」ではない!)になってると思います。始めの2回の「ミッション」は比較的じっくり描かれるので、本シリーズの醍醐味は満喫できます。以降は大掛かりな「戦闘」(「トゥルーライズ」からシチュエーションとセットを流用?)や、「ミッション」を省いた派手なアクションが続くので、充分満腹になるでしょう。存在感を振り撒くマギー・Q(美しい!)に対し、ヒロインのミシェル・モナハンに全然魅力が感じられないのと、序盤でラストの展開が読めてしまうのが玉に瑕ですけど、私はたっぷり2時間6分楽しめました、7点献上。 [試写会(字幕)] 7点(2006-06-23 00:04:41)(良:1票) |
257. ウルトラヴァイオレット(2006)
(ちょっと長めで失礼します) 「訳の判らない世界観の中で暗躍する、超絶身体能力を持った女暗殺者」というオープニングは、嫌でも「イーオン・フラックス」の苦い記憶を呼び覚ます。また、かなり見飽きた感のある「人間vsミュータント」という図式が、不吉な予感を抱かせる。実際、ほとんど「イーオン~」や「リベリオン」と変わらない雰囲気だし、物語に新味は無いし、全体的な映像は「CASSHERN」を髣髴とさせるレベル(何と全編デジタル撮影とか…)。それに、見せ場が前半に集中してて非常にバランスの悪い構成です。しかし本作には、観る者を説き伏せるだけの(同時にツッコミ所でもある…)ヴィジョンとアクションがある(これがインディ上がりの女流監督とオタク系監督との違いか。かなり北村龍平にも影響されてそう)。そしてミラ・ジョヴォヴィッチ嬢は、こういう役をやらせればシャーリーズ・セロンが霞むほど輝く逸材なので、とにかくカッコ良い。様々なアーティストが描いた(風の)、各国版の架空コミックの表紙をコラージュしたタイトル・バックもカッコ良かった。たぶん酷評が並ぶとは思いますけど、そんな訳で私的には全然OKでした、6点献上。 [試写会(字幕)] 6点(2006-06-23 00:04:17) |
258. 卒業の朝
本作の舞台となるのはアメリカのエリート寄宿学校。この学校が教える様々な学科の中で、たぶん最も重視されてるのは歴史や数学ではなく「帝王学」。生徒は裕福な家庭や上流階級の子弟で構成され、将来、様々な分野で「人の上に立つ」人材を育成してる訳です。正に「皇帝クラブ」(それにしても、もの凄くいい加減な邦題)。その学校でハンダート先生は、歴史上の皇帝達にも名を残す者と消え去る者がいることを、そして、それは何故なのかを未来の皇帝達に教えようとする。しかし三つ子の魂百まで。現実は「先生!」と叫んで泣きながら抱きついてくる生徒ばかりじゃない(てか、そんな生徒見たことない)。一つの失敗にくよくよせず、99の成功を見つめて前に進むことを選ぶ先生は、現実的で良かったです、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-06-23 00:03:54) |
259. トゥー・ウィークス・ノーティス
ラヴ・コメディに新味なんか求めてないし、こういう映画はお約束の展開とハッピー・エンドを楽しめてナンボのもの。それにも関わらず、私はちっとも楽しめなかった。「頼りない金持ちのプレイボーイ」という余りにも代わり映えのしない役柄のヒュー・グラントと、「女らしさの無いゴリゴリの環境弁護士」という見飽きた役柄のサンドラ・ブロックに、更に「お約束」のストーリーを演じられても、流石に乗りきれない。しかも、「普段は化粧っ気の無い女がドレスアップするとゴージャスに変身」なんて、今更こんなの禁じ手ですよ! こうなると、お約束じゃなくて「陳腐」なだけです、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-06-23 00:03:26) |
260. モンテ・クリスト伯(2002)
まず、少しサクサク進み過ぎなのが勿体ない。伯爵のお披露目パーティーなんか、もっともっと豪華絢爛に、そしてじっくりと見せて欲しかったし、フェルナンも真綿で首を絞められる様に没落して欲しいのに、あっと言う間に破産。終盤の登場人物達の台詞が説明的になってるのも、かなり白ける。嫌味な男を好演したガイ・ピアーズに対し、ジム・カヴィーゼル(「髭面で鞭打たれる」という「当たり役」に開眼した作品?)から復讐に取り憑かれた男の迫力や怨念も感じられなかった。と、色々と不満を並べましたが、それでも話自体は楽しめたので(原作未読だからかな?)、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-06-23 00:03:02) |