2681. 蝿男の恐怖
《ネタバレ》 蝿男が何千万の蝿を率いて街を占拠する、蝿男が未知の病原菌を街にばらまく、ような恐怖を想像して、つい借りてしまいましたが、蝿男が恐怖ではなく、蝿男になってしまった事が恐怖の『悲しみの蝿男』というタイトルがぴったりの物語でした。登場人物全員が善意の人々からなる見事な脚本で、科学者として抑えきれない好奇心が生み出す悲劇が科学の進歩と隣り合わせの危険な落とし穴を感じさせ、妻を愛しているという人間としての意識がある内にという思いから彼がとった行為には胸が詰まるものがあります。左手だけ見せて頭の黒い布がここが最高というタイミングで取れて変わり果てた姿があらわになる恐怖の演出にも唸らされます。自分の予想を良い意味で裏切られた印象に残る作品でした。 8点(2005-02-13 15:51:01)(良:2票) |
2682. アデルの恋の物語
イザベル・アジャーニの原点であり、物語の展開は手に取るように分かりました。燃える様な想いもお互い何時変わるかも分からなく、人の心とはそういうものであり、理屈ではないその事を責めたり責められたりしても何も得るものがありません。愛されなくても愛するという一途な想いも、その想いの振りかざし方が肝心で、愛する気持ちが人を美しく、賢く、強く、優しくしてくれるはずなのに、醜く朽ちてしまったアデルは無残です。本屋さん、下宿のおばさんといった暖かい心の持ち主と接していただけに残念です。 7点(2005-02-09 16:01:24) |
2683. インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
いやはや、本当に魔宮です。中学生の頃、何度かムカデに噛まれてひどい目に遭っている自分は、大ムカデがうごめいているシーンに「こんなんに噛まれたら死ぬで」と全身硬直してしまいました。他にもこれでもかという程グロテスクなシーンが満載ですが、何度か観ているのは怖いもの観たさの心理なのでしょうか。 7点(2005-02-06 21:33:31) |
2684. インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
指定席料金を払って(北野劇場の二階席でした。)鑑賞した唯一の作品で、出費に見合う面白さで満足して帰った事を覚えている、自分の思い出の一本です。ラストの手に汗握るハラハラ、ドキドキ感は最高で、エンディングの爽快感も素晴らしいです。 8点(2005-02-06 21:02:01) |
2685. 逃亡者(1993)
無実の罪を何としても晴らす執念と、逃亡した死刑囚を何としても逮捕する執念を二人から強烈に感じました。この二人が遭遇し間一髪のところでキンブルが逃れる意地と意地のぶつかり合いは迫力満点でした。逃亡劇は追手のキャラクターが優れている事が大切であるように感じる作品です。 8点(2005-02-06 20:30:20) |
2686. ディック・トレイシー
初めて観ました。パチーノが最初に登場したとき顔では判断できませんでしたが声で分かりました。激昂する、説教する、小悪党を思う存分演じていて「おっ、やってるやってる、今日も快調」と声をかけたくなります。もう一人のお目当てホフマンの役柄と登場シーンの少なさは残念でした。原色の街は美しく幻想的で、うまくまとまっているストーリーも良くなかなか楽しい作品でした。 7点(2005-02-01 21:11:19) |
2687. 戦場のピアニスト
「生きて歴史の証人となる」事は値打ちのある事だと感じます。ナチスの所業とドイツ国防軍の存在。ポランスキーがその時代に見聞きしたことなのでしょう。シュピルマンが万感の想いで演奏したように、ポランスキーも万感の想いで作り上げたのでしょう。忘れられない作品です。 8点(2005-01-31 18:09:16) |
2688. ダイ・ハード2
舞台のスケールが大きく派手な爆発炎上シーンが盛り沢山ですが、一作目にあったような殺すか殺されるかという切羽詰った緊迫感が感じられないのが物足りません。ソーンバーグのアホさ加減の描かれ方も悪乗りが過ぎているようでしらけてしまいました。そして何といいましても今回の知性の感じられない悪役は大いに不満です。アラン・リックマンが偉大過ぎるので仕方ないのかもしれませんが。 5点(2005-01-31 17:40:41) |
2689. ドランク・モンキー/酔拳
ジャッキー・チェン出演の中で印象に残っている作品です。やる気というのは、傍から千回、万回叱咤激励されるより、自身が一回途方も無い屈辱を受けて、「今に見てろよ、見返してやる」思いを抱いた時に湧いてくるもの、という明快なストーリーは良いです。泰然自若としたお師匠さんは大好きなキャラクターで、隙のある師弟コンビはリラックスして観ることが出来、爽快感を感じます。自分がその昔飲めば飲むほど頭が冴えて?饒舌になっていった事を思い出します。 7点(2005-01-28 00:20:31) |
2690. 踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!
大山鳴動して何とやら・・犯人達のどうでもいい様な描かれ方はお粗末で大いに不満です。女性管理官が本当の敵であるといいたいようで、組織の幹部が組織の患部である様子が彼女のエキセントリックな言動から伝わってきます。理不尽な命令を下す側と従わされる側、不条理であってもそこには人間の上下ではなく役職の上下が存在するのですね。偉くなりたい事と偉くなって組織の力で大きな仕事をしたい事は違うものであるように感じました。 4点(2005-01-26 08:39:04) |
2691. 誘拐(1997)
《ネタバレ》 今も印象に残っている作品です。大掛かりなロケには辟易しましたが、謎解きの部分から俄然惹き込まれました。津波の覚悟を抱いての所業もさることながら、津波に協力する人々の、彼の後姿に向ける自分達の思いを託した祈る様な眼差しに、罪を犯させた者達への怒りがこみ上げてきます。復讐はしても命まではとらなくていいよ、罪を犯したのだから罰を受けなさいよ、と愛した家族が夢に出てきて言ったのでしょうか。一人また一人と自首する様子は、今思い出しても胸に迫るものがあります。新米刑事の葛藤する様子に厚みを感じられなかったのが少し残念ですが、素晴らしい作品です。 8点(2005-01-26 01:06:26) |
2692. フォロー・ミー
学生時代に一度観たきりですが、妻と探偵が街を歩く姿は、バックに流れる音楽と共に忘れる事はありません。心の触れ合いの大切さ、感じることの素晴らしさを教えてもらいました。パンフレットを眺めては、もう一度観たいと思いながら何十年も過ぎました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この度、映画館での鑑賞が叶い感慨無量のひとときを過ごしました。 あてどなく街を歩く妻、お愛想の付き合いをそつなくこなす夫、激務で寂しさを麻痺させたと話す探偵。それぞれが孤独に耐えている。ときめきは歳月と共に色褪せてゆく。そうであるからこそ、ロンドンの街を歩く二人、ラストのチャールズのはにかんだ笑顔に胸が締め付けられるのです。 [映画館(字幕)] 9点(2005-01-23 23:08:38) |
2693. スーパーの女
ダメスーパーをふらりと訪れた女が立て直すお話を、監督、キャスト共に小慣れた感じで見せてくれます(花子の男口調には辟易しましたが。) スーパーの色々なエピソードをサラッと紹介しつつ、二つの店の物凄いネーミングやカーチェイスなど、お笑い部分も盛り込まれた、観ていて肩の凝らない楽しい作品に仕上がっています。精肉チーフの「どうせ、素人には判りゃしねぇんだよ」とほくそ笑む姿に、昨今の産地偽装など「見つからなんだら、何をやってもええんや」とでも考えている倫理観の欠如している方々が思い浮かびます。もっとも、 お客の側はお客の側で「見つからなんだら、何をやってもええんや」と思っている人もいるのでしょうね。 6点(2005-01-23 16:44:47) |
2694. マルサの女2
マルサの面々と鬼沢との攻防は、権藤との攻防に感じたワクワク感は無く、胸が塞がる様なハラハラする思いが続き、誰が悪の根源で彼らの実力が如何に強大かという現実を思い知らされるラストに、ため息をつきながら映画館を後にした事を今でも覚えています。あの時代にあの題材で作品を作り上げた伊丹監督は凄い方だったと思います。 9点(2005-01-19 23:59:56) |
2695. 刑事コロンボ/黒のエチュード<TVM>
指揮振りの違和感が強いのはいただけませんが、カサヴェテス演じる犯人は印象深い人物でした。妻、姑、愛人の狭間にあっての犯行は、彼が愛したのは自分自身で三人の誰でもなかったようで、ラストの妻にかけた言葉が一層うそ寒く(妻も同様に感じたのではないでしょうか)響きました。花が彼の致命傷になる予感を最初から感じさせられ、かなり強引な所もありましたが、妻の丹精込めた花であったのが何とも皮肉です。 ラスト、敗者が雄弁に語っていましたが、警部、彼に花を持たせてあげたのですね。心憎いです。 6点(2005-01-16 10:12:06)(良:1票) |
2696. アガサ/愛の失踪事件
自分が観た映画の中のキスシーンでこの作品が一番です。美しさ、切なさが学生だった自分にもおぼろげながら感じられ、大人の恋、一期一会の恋に憧れた事を今でも鮮明に記憶しています。自分がこの年齢になってどの様な事を感じるのか、現在、最も見直してみたい作品です。 8点(2005-01-15 16:32:03) |
2697. ケープ・フィアー
《ネタバレ》 弁護士一家三人から滲み出る下品さは観ていてとても不快でした。悪あがきすれどもマックスのほうが一枚も二枚も上手で徐々に追い詰められていく知性の感じられない姿も不快でした。船での攻防はヒール同士の場外乱闘を見ている様で笑いが止まりませんでした。火炎攻撃にもダウンしないマックスに「三人とも殺してしまえ」と声援を送りましたが、余りと言えば余りな最期の姿を見せ付けながら沈んでいきました。だからと言って少しも同情心は湧いてきません。結局、どちらが死んでも、皆死んでもよかったという身も蓋も無いような結論に至る作品でした。 6点(2005-01-13 22:09:00) |
2698. スリーパーズ
殺してやりたい程の憎悪を抱いていても、大抵の者は実行はしません。敢えて実行したのであれば、その責任をとるべきと考えます。自分の尻を他人に拭いてもらって喜んでいる二人の末路は、それなりのもののようでした。いろんな点でデ・ニーロ神父は印象に残りました。神父さん 、貴方の二人にかけた情けは二人のためになったのですか。 5点(2005-01-13 21:40:30)(良:1票) |
2699. フェイク
情よりも重い掟、情よりも重い任務。組織の一員としての責任を果たす厳しさを互いに理解していた二人の姿に胸が痛みます。レフティが小引き出しに一つ一つ身に着けているものを置いて部屋を後にする姿はパチーノ名場面集の中でも1,2位を争うシーンです。己の不明さを悔いているのか、一花咲かせようと挑んだ事に悔いなき想いなのか、何時も考えさせられます。私がパチーノにのめり込むきっかけとなった記念すべき作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2005-01-01 07:50:10)(良:1票) |
2700. 肉体と悪魔
台詞のない作品と言う事であまり期待はしていませんでしたが、素晴らしい作品でびっくりしています。心底ウルリッヒの事を大切に思いながらも、フェリシタスの美しい魅力に抗し切れず、もがき苦しむレオ。そんなレオの思いをとことん弄ぶフェリシタス。レオがフェリシタスを葬ろうとした際の感情の爆発の凄まじさ、フェリシタスがウルリッヒに助けを求めて(自分の想像ですが)あげる叫び声、画面から聞こえてくるようでした。彼女の本質を見抜いていた神父さんの台詞がこの作品のテーマなのでしょうね。最後まで観るのに力が入り通しの作品でした。 8点(2004-12-30 00:52:04) |