2741. ダイ・ハード
16年前、映画館で観終わって帰宅するまでの90分間「あぁ、面白かったぁ、最高やぁ」と感激し続けた事を今も覚えています。自分の中ではアクション映画の最高傑作です。マクレーンの「えらいこっちゃ、どないしょう、考えろ考えろ。」「しかし、ワシ一人何でこんな目に遭わんとイカンのや。」「嫁ハン助けるまでやめられへん、死んでたまるかいな」という思いが台詞と共に汚い姿から滲み出ていて、完全無欠・天下無敵では決してないオッサンの、『やらなあかん時はやる』のた打ち回りながらの奮闘ぶりは素晴らしいです。それと敵役のハンス・グルーバー。子供の時から悪役好きの自分にとって史上最高の敵役です。一つ一つの台詞と仕草、表情、あの散り様は忘れられません。こんな知的で冷酷非道な紳士が何でオッサンにやられるのか何時も腹立ちますが、そこがまた面白いところです。他にもホリー、パウエル、タカギ社長、カール、いらん事しいのソーンバーグの脇役陣、よく練られた脚本など何度観ても飽きることがありません。【2016/1/16追記】shoot the glass! 思い出すたびに身震いするワンシーン。さようなら、ハンス。 [映画館(字幕)] 10点(2004-07-21 23:25:47)(良:1票) |
2742. 飢餓海峡
《ネタバレ》 三時間の長さを全く感じなく、片時も目が離せませんでした。十年ぶりに再会したシーンに考えさせられます。願いを叶える事を心の支えに生きている時の幸せは成就した時に終わりとなる。ままある事なのでしょう。犬養の涙は八重を思ってのものではなく自身を思ってのものでしょう。犬養の自ら幕をひいた行為に、人の一生は大小の差はあれ飢餓の中で過ごすものであり、如何なる時においても貪り尽くす行為は身の破滅を招く事を知らしめられます。日本映画ここにありの作品です。 [ビデオ(邦画)] 10点(2004-07-13 17:10:41) |
2743. 日の名残り
《ネタバレ》 執事たる者、女中頭と恋に堕ちてはならない、主人に自分の主義主張を口にしてはならない。執事としての信条を貫き通したスティーブンスですが、機械の様に無感情ではなく、人として湧き上がる感情を自ら淡々と押さえ込む様子を観て、悲しくなりました。中でも、恋愛小説をケントンに無理やり取り上げられるスティーブンスの姿、あの右手は動かなかったのか動かさなかったのか、は胸が痛くなる忘れられないシーンです。ダーリントン卿の最期を、バスで去ってゆくケントンを、それぞれどのような気持ちで見送ったのでしょうか。ケントンが「愛しています」と自分から一言も口にしなかったのは、執事というものを理解し尊敬していたからなのでしょうか。二人の見事な演技を観終わった後、いろいろな事を考えさせられ、自分なりの答えがまだ見つからない作品です。 8点(2004-07-09 05:59:01)(良:2票) |
2744. セルピコ
不合理だと誰もが理解しながらも決して口には出さずまとまっている組織の中にあって、筋を貫き通そうとしたセルピコ。仕事の実力、何事にも動じない精神力、信念、共感して協力してくれる者が無いと出来ない事ですね。理想を言うと、組織の為を思うなら、ヒラ刑事の現在は出来る限り我慢して、一日も早くトップになってやりたい改革をやる事だと思いますが。彼女はセルピコのもとを去っていきました。試練に見舞われた時、相手が自分と同じく苦しい事を分かろうともせず、自分の苦しみだけを喚きたてるというお馴染のシーンが繰り広げられ、ラスト、セルピコの側にいたのがアルフィのみだったのは寂しかったです。 8点(2004-07-01 05:38:55) |
2745. タンゴ(1993)
寝取られ男、逃げられ男、独身主義男の会話には苦笑させられどおしだった。フランス女性というのは、そんなアホなーっと言うくらい、とてつもなくしなやかというのか、したたかというのか口がアングリ状態になってしまう。こんなの相手にするフランス男性も自然と鍛えられるのかしらん。ゲームを楽しむような恋愛を夫婦で出来るっていうのもいいものやなぁと、ちょっぴり憧れてしまう。いやぁ、面白い作品だったー。 7点(2004-06-11 00:11:36) |
2746. ラスト サムライ
アメリカ人が描いた武士道は、このあたりが精一杯なのか。自分を律し、日々黙々と精進を重ね主君に仕え、事が起これば主君のため命を捨てる覚悟で臨む。真田広之、福本清三から、これぞ武士道というものが窺われたが、肝心の勝元の覚悟が曖昧だったのが残念。出陣の時、沿道から黙って頭を下げて見送る者達の姿は武運を祈りつつ最後の別れになるかもしれないという覚悟が感じられるとても印象に残るシーンだった。 5点(2004-06-10 20:46:23) |
2747. ニューヨーク 最後の日々
仕事・趣味・家族(もしくは友人)の三つが程よいバランスを保つのが大事だなあと感じさせられる。体も心もズタズタ・ボロボロでありながら、彼女に「私はタフだ」と強がる姿は男らしいが痛々しい。イーライにとって仕事は苦行でしかないようだが、良い仕事をするにはもっと楽しんで仕事を受けて立たなければ。途中からラストは予感でき、その通りだった。このような役もこなすパチーノは流石の一言。 7点(2004-06-01 16:05:04) |
2748. Z
《ネタバレ》 脚本・演出・撮影・音楽・キャスト、全てが素晴らしい。自分の欲を満たすために、相容れない主義・主張を国家権力を駆使して抹殺しようとする権力者達。身の危険に動じないイブ・モンタンや、検事に良心を問われてそれに起訴で応えたジャン・ルイ・トランティニャンの静かな怒りと気迫(渋すぎる)に、信念を持った人間の強さを感じた。ラストで実話を元にした作品のせいか、国家の力が個人の力よりも圧倒的に優位だという絶望的な現実を見せつけられる中での僅かな希望、ナレーションの『Z』の意味が胸に響いた。 10点(2004-05-26 22:31:51)(良:1票) |
2749. 世界の中心で、愛をさけぶ
成就しない初恋、片思いであっても死別であっても破局であっても、その後幾つになっても、色々な思い出は消え去ることがない。もう他の人は愛せない人、新たにめぐり合った人を愛する人、それは人さまざまであるが、思い出を抱えたまま寿命ある限り自分の時間を生きてゆかなければならない。胸を痛くさせられるその思い出が同時に自分を力づけてくれるものであったら幸せだと思う。若い二人の駆け引きも邪心もない純愛模様は若いっていいなぁと感じるが、歳のせいなのか涙はおろかグッと胸に迫ってくるものもなかったなぁ。平井堅の『瞳をとじて 君を描くよ それしか出来ない』という歌詞だけが、本当にその通りだと胸にこたえた。 6点(2004-05-20 21:18:04) |
2750. クライング・ゲーム
アカデミー脚本賞受賞も納得の作品。12年ぶりに観て秘密の部分は分かっていても、ファーガス、ディル、ジョディの三人には惹きこまれてしまう。愛する人のためには理屈や損得がすっ飛んでしまう人間の性を見事に言い表している蠍と蛙の話は当時から忘れられない。 7点(2004-05-16 22:27:17) |
2751. モーリス
愛している事を他人に隠さなければならない苦しみは同性愛だけに限らず切ない。自分にとって何が一番大切か、モーリスとクライブはそれぞれ選んだ道を進んでいった。正しかったのはどちらかという答えはないと感じた。 7点(2004-05-09 19:46:44)(良:1票) |
2752. 魚影の群れ
『板一枚の下は地獄』『一攫千金』を実感させられる作品。命がけの博打うちの様な一匹狼の漁師を演じる緒形拳は圧巻。 7点(2004-05-09 19:25:07) |
2753. たそがれ清兵衛
幸せ、不幸せは自分の心の持ちようで、自分が感じるもの。自分の胸の内に譲れる事と譲れない事をしっかりと抱き、他人に何と思われ何と言われようが、娘の成長を楽しみに日々を過ごす清兵衛。その淡々とした様子が芯の強さ、優しさを見せ付けてくれる。ところで、今の世の中、便利で手間要らずしんどさ要らずの豊かな生活ぶりだけど、大量の資源を使った上に成り立っていて、子孫の時代に資源も自然も枯れ果てているように思える。幕末時代に戻る事はないが、便利さ一辺倒ではなく少し時代を戻したほうが良いように感じた。 7点(2004-05-02 00:35:15) |
2754. スケアクロウ
《ネタバレ》 変わる事が出来なかったのが、知り合って付き合ってゆくうちに心揺さぶられ、変わってゆける事が出来るのを実感させてもらった作品です。そして壊れてゆくライオンを観て、辛さ、苦しさ、悲しさに一人で持ちこたえていて、いよいよアカンという土壇場の時に、助けを求めて一緒になって持ちこたえてもらう(逆の立場でも勿論です)。一人でいいからそういう友を持つ事が出来れば幸せだと感じました・・・・・・・・・・・・が、近頃、自分にとって真に大切な人を、自分が吐きだした悲しみや辛さを受け止めてもらう便器や洗面器にしてはならないと考えるようになり、この作品を思い出しました。どれだけ悲しくても辛くても腹に呑み込み、それで壊れるのも止む無しです。ライオンはこの後必ずや復活するものと信じています。 [DVD(字幕)] 7点(2004-05-01 00:43:35) |
2755. 永遠のマリア・カラス
全盛期が偉大であればある程衰える事は辛い。昔に戻れないと分かっているであろうに夢を見てしまったカラスとラリー。夢の部分である「カルメン」。オペラの知識が無い自分には、理屈ぬきで胸に響いた。このまま突っ走るのか、どこで夢から覚めるのかと観ていたのでラストの二人は切なかった。早くに逝ってしまったカラスは、第二の人生の舞台は自身考えられなかったのかと思うと悲しい。威厳に満ちた姿、美しさ、痛々しさ。ファニー・アルダンの演技は圧巻。 7点(2004-04-26 08:20:16) |
2756. アマデウス ディレクターズカット
大好きなモーツァルト。全て聴いていないが、優雅で不自由のない生活を送る中で、幼少の頃から数々の名作を作り出した貴族と思っていたのが、音楽以外の事は子供並みの無邪気さと、お金に苦しむ姿は意外だった。神に類い稀なる才能は与えられたが、あまりに早く召されてしまったのは幸せだったのか不幸せだったのか。音楽を心から愛するが故に嫉妬に苦しむサリエリには胸が詰まる。敵わないと認めるのは辛い事だけど、認めた上でたとえちょっとでも近付けるために出来る事をやるという様に考えれば楽になれたのではないだろうか。 8点(2004-04-14 22:16:36) |
2757. ローマの休日
絵に描いた様な美男美女が演じるラブストーリーの王道と呼べる作品。成就しないと理解していても、人は恋をしてしまう。切なさがたまらない。この歳になって初めて観た作品で、グレゴリー・ペックにのたうちまわってしまった。 10点(2004-04-07 07:40:10)(笑:2票) |
2758. 恋愛適齢期
ニコルソンとダイアン・キートンのキャスティングは絶妙。色気が漂う名優が演じる、恋愛について知り尽くしているはずなのに、初恋のような青い気持ちがあらわになる姿を見て、心がときめく想い、恋心、ベッドで愛し合う事に年齢制限はなく、歳はとってしまうものでなく重ねてゆくものなのだという事を感じさせられる。 8点(2004-04-05 22:04:22)(良:1票) |
2759. 訣別の街
《ネタバレ》 どんな世界でも若い駆け出しの頃は、理想に燃え夢を抱くものだが地位が上になればなるほど、清濁併せ呑む事が必要となってくる。超えてはならない一線を超えてしまい、息子のように思う補佐官から引導を渡され、もはやこれまでと腹を括った市長。ラストのパチーノは圧巻で台詞の一つ一つが心に残る。補佐官は今後どのような政治家になるのだろうか。自分はパチーノの抱擁シーンが好きだけれども、この作品のジョン・キューザックとのシーンが一番好き。ミュージカル大好きのアンセルモ役のダニー・アイエロも素晴らしく、地味だけれども見応えのある作品。 8点(2004-04-01 00:13:23) |
2760. 幸福の黄色いハンカチ
男女が愛し合って結婚して夫婦になる。生活って楽しい時と同じ位苦しい時もあり、自分がとびっきり悲しく苦しい時は相手も同じなんだと思える事が愛情だと思う。健さんのラスト臆しているのは自分の事だけを考えていた事に対する妻への申し訳ないという後悔に見えた。 7点(2004-03-24 15:59:02)(良:1票) |