301. シェルター 狂気の秘密
《ネタバレ》 ※思いっ切りネタバレです! 何のひねりもない原題(直訳すると「危険な場所」かな?)だと内容がまるで分かりませんが、観終わってみると邦題のサブタイトル「狂気の秘密」には二つ意味がありそうです。 ひとつはビーの「狂気の秘密」。逃げて来た女性への仕打ちですね。一定期間監禁し、おそらくはその後殺害してコヨーテの餌にしてしまう。ただ、詳しく語られることはないので彼女が何故そんな行動に走るのかは想像するしかありません。それはそれで短い尺の作品としては良いのかも知れませんが、ここは多少尺を延ばしてでもビーの心理や背景を描いて欲しかったです。 もうひとつは母娘の「狂気の秘密」。暴力夫殺害後の後始末は描かれているものの殺害シーンはエンディングまで登場しません。登場してなるほど納得でした。 逃亡中の車中もシェルター生活開始後も、二人の間には微妙な距離感というかズレを感じていましたが無理もないことですね。ダーリーンは夫の存在から逃れた後もビクトリアに新たな恐怖或いは不安を抱いていたということでしょう。 一方ビクトリアも、肉切り包丁や果物ナイフを寝床に忍ばせていないと安眠すら出来ない。父が母に暴行を加える家庭内で身に付いた自己防衛手段なのでしょう。なるほどPG12ですね。 短めの尺の中でシンプルに纏め上げられた作品。上に書いたようにもう少しビーの秘密や心理、その背景を描いて欲しかったと思いやや低めの6点献上です。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-04-04 10:43:05) |
302. 睡蓮の人
《ネタバレ》 わずか16分の尺で、寂しく生きる一人の男が一匹の亀との出逢いを契機に考えまいとしていた思い出の世界に自ら入って行き、失われつつあった温かみを取り戻していく姿が表現されています。 リアリティを排除しつつも細部にまで拘ったラフなクレイモデル。特に主人公と亀は随分とデフォルメされています。そのラフさが逆にストーリーの深みを照らし出すのに功を奏していて、表情らしい表情は作らずとも主人公の感情の移ろいが伝わって来ます。 なにせ尺の短い作品、ある意味大いに説明不足ですが、予備知識なしに観るといつの間にか主人公のこれまでの人生とこれからの人生に思いを馳せている自分がいました。 強いて言わせていただくとしたら、16分とは思えないゆったりとした時間の流れに少々退屈してしまうかも知れません。とは言え、これ以上エピソードを詰め込むのも如何かなとも思え、ショートムービーであるからこその作品なのだと理解しました。 [インターネット(邦画)] 6点(2023-01-10 11:11:28) |
303. 象のなみだ
《ネタバレ》 冒頭のラブホテルシーンだけ観てしまうとポルノ寄りの作品かと思ってしまうところですが、未熟なカップルが自らの内面を見つめつつ二人の関係を見つめ直し、(少なくとも女子の方は)やがては相手のことも見つめ直すというラブストーリーと受け止めました。ショートフィルムならではの展開ですね。 ラストシーン、彼女の瞳に映ったのは何だったのか?ベッドで語った思い出話のように、象の前に佇む彼氏だったのか?それとも象の瞳に吸い寄せられ、吸い込まれて行く自分の背中を見ていたのか?そして、その先に待ち受けているのはハッピーエンドなのか、それとも別れなのか?狼狽え泣き崩れるばかりの男に情けなさと怒りを感じつつも、エンディングではどこかこの二人の行く末に対して晴れやかな気持ちを抱きました。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-10-27 11:45:14) |
304. 湿地
《ネタバレ》 アイスランドが舞台の作品は珍しいと思うのですが、この色調、この空気感、北欧の映画に通じるものがありますね。重く寒々しくBGMとも相まって只管に不安を煽られます。 主人公の刑事(名前が難し過ぎます)は、映画に登場するベテラン刑事あるあるの気難しく陰気なタイプ。そのくせさり気なく優しさも身に着けている。この刑事をメインキャラに据えたシリーズものの映画化なのですね。 ストーリーは一見バラバラに感じるファクターが、神経線維腫症という難病をキーに次第に収斂していくというもので、流石原作がベストセラーというだけあって、短めの尺の中で特に破綻することもなければ難解になり過ぎることもなくスッキリと纏め上げられていると思います。 個人的には、この物語は小説で読む方がずっと面白いだろうと思いました。映像として鑑賞するよりも、小説として自らの脳内でイメージを膨らませて読み込んだ方が、ハラハラドキドキの連続のような気がします。可視化しないことで、犯人は誰だかクライマックスまで分からないという推理作品ならではの楽しみ方が出来るような気がします。 ドライブスルーで羊の頭が買えることとか、いざ実食となると目玉からいっちゃうとか、アイスランドの人々の珍しい生活ぶりも分かったりして、トンデモなく重苦しいテーマにも拘らず興味深く一気観出来た作品でした。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-10-07 23:40:27) |
305. 世界沈没(TVM)
《ネタバレ》 大西洋の島が海中に没したことで発生した150メートルを超える巨大津波がニューヨークを飲み込み、街を瞬く間に壊滅させる。地球に衝突する軌道にある小惑星に対し人類は核ミサイルによる迎撃を試みるが、小惑星は粉砕して複数の巨大隕石となりベルリンに降り注ぐ。航空機の乗客が持ち込んだ殺人ウィルスが凄まじい勢いで流行し、イギリスで過去に例を見ない多数の犠牲者が発生する。ある企業の先進的実験により地球上にブラックホール状の現象が生じてしまい、やがて全てを飲み込んでしまう。 4つの異なる大災害(少なくともひとつは完全に人災)による人類滅亡の物語が、4つ目の物語に登場する主人公をキーマンとして順番に語られるという構成は、フィクションに寄ったモキュメンタリ―とでも言いましょうか。流石のBBCさん、TVMですが劇場版にひけを取らない迫力とスピーディな展開で、飽きさせることなく一気に語ってくれます。 感染症の大流行や突然の天変地異、予期せぬ戦乱等々。混沌とした今日だからこそ、それぞれの物語が真実味をもって伝わって来ます。ただし、4話目は少々SF色が強めで違和感を感じてしまいますけれど。 本国でのTV放送の際にはもうひとつ火山のエピソードがあったということですが、インターネット配信版(DVD版)ではカットされています。折角制作したのですから全編配信して欲しかったところです。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-07-17 23:40:24) |
306. アウトランダー
《ネタバレ》 予備知識ゼロの状態で鑑賞。始めは、未来の地球の宇宙船が事故の衝撃でタイムスリップしたのかと思っていましたが、話が進むにつれ状況を理解。 スピーディな展開は退屈こそしないまでも、現地の言葉を自由に操ること以外、主人公が高度な文明を持つ星から飛来した知的生命体であることの必然性が見出せず(武器は早々に失ってしまうし、最新鋭の武器なしでも強過ぎるし)、人喰い怪獣とて元々現地に生息していた伝説の魔獣という位置付けでも良いような気がしてならず(事実、最初はそう思ってました)、SF作品であることは回想シーンとエンディング以外、意識することなく鑑賞可能。 俳優陣も渋く揃えてますし、多少の既視感を伴ったりお約束の展開が連続したりするものの、クリーチャー系のアクション映画として視覚的には十分に楽しめます。ですが、SF作品としての設定が殆ど生かされていないことがただただ残念。 あと少しだけ工夫してくれれば、かなりの高得点を献上出来る作品だと思うのですが、どうにも残念な6点献上です。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-03-31 14:16:34) |
307. エグジット・スピード
《ネタバレ》 素晴らしいB級っぷりに十分楽しめました。パニック映画お決まりの人間ドラマの描き込み、かと思いきやサワリだけで深みなし。只管切った張ったの戦闘モード。ここまでB級の王道を行ってくれると清清しいです。ハッピーだかなんだか分からないハッピー風エンドも無責任極まりなくて良し。たまには観たくなるタイプの作品です。 それにしても人が死に過ぎ、殺し過ぎ。でも、切羽詰ればこれって実は現実味あるかも。 対して現実味ないのはリー・トンプソンの走りっぷりかな? [地上波(吹替)] 6点(2014-09-07 20:49:14)(良:1票) |
308. セール・オブ・ザ・デッド
傑作かと思いきや、イマイチ感が付きまとい、かといって少なからず満足感の伴う不思議な作品。突っ込みどころはいろいろありそうだけれど、妙に納得感があって自然に楽しめてしまいました。18世紀を舞台に選んだのは正解ですね。現代劇だったとしたら、多分ダメです。 この緩~い時間の流れは一瞬イギリス映画を思わせますが、これってアメリカ映画なんですね。のんびりと過ごすひとときには良いかも。 [DVD(字幕)] 6点(2014-06-07 21:13:31) |
309. ブラッド・クリーク
《ネタバレ》 予告編で損してますね。チープな部分ばかりが紹介されてしまってる。ジャケットでも損してますね。「ヒトラーがゾンビを開発。ナチス製ゾンビに兄弟が挑む。」って、ちょっと違うんじゃないの? 冒頭のモノクロ部分の出来栄えといい、現代になってからの丁寧なつくりといい、役者さんたちのしっかりとした演技といい、まぁ内容的には結局はB級なんだろうけれど、そこらのB級ホラーとは全然違って、見応えのある良く出来た作品と思います。 それにしても可哀想な一家。たまたま目を付けられちゃっただけなのにね。死を受け入れることが幸せだなんて悲しすぎます。 ところで、あからさまな続編指向。流石にそれはやめましょうね。 [DVD(字幕)] 6点(2012-04-30 01:40:58) |
310. ギャング・オブ・ニューヨーク
あまりにも現代日本に生きる私には遠いお話過ぎて、正直なところコメントしにくいところです。ノンフィクションがベースと言うから尚更に困ってしまう。ニューヨークの暗黒の歴史なのか、その頃の欧米では当たり前の殺し合いの世界なのか、現実感を持って受け止められない。てか、受け止めたくない。こんな歴史があって、こんなご先祖様の末裔が暮らす街には行きたくない。そのあたりが率直な感想です。 ただ、これぞエンターテインメント!良くぞここまで創りあげた!さすがのハリウッド大作ですね。ここまで力を込められてしまうと6点献上では足りないかなぁ…? [DVD(字幕)] 6点(2012-01-22 20:45:39) |
311. コリン LOVE OF THE DEAD
《ネタバレ》 ゾンビ映画としては画期的と言うか、一人の男がゾンビに噛まれ、やがてゾンビ化して街を彷徨う。それをゾンビの一人称的に撮ってるところが新しいですね。 ゾンビとなりながらも、その歩く先には目的性があって、肉親の呼びかけや悲鳴をあげる弱い者には心を動かされているように見えて、そのくせやっぱり人間を食ってしまう。そのあたりには、人間性ならぬゾンビ性が表現されているようです。 ただ、どうせならその視点を大切に徹底して欲しかった。途中に挟まるゾンビの饗宴シーンとか、やたらグロに走って無駄なカットが目立ったりして、それと、全体的にグレーっぽいトーンの画面も気になるところ。 あとひとひねりで名作になるかも知れなかったけれど、制作者は少しばかり自己満足に走ってしまったのかも。ちょっと甘目の6点献上。 [DVD(字幕)] 6点(2012-01-04 01:21:34) |
312. フェーズ6
《ネタバレ》 シチュエーション的には、かなり使い古された感がしないでもないけれど、犠牲者が安易にゾンビ化しないのが現実的。 いたいけな少女が感染している。感染しているから触れることも出来ない。でも、死にそうに苦しんでいれば思わず手を差し伸べたくなる。その結果感染…。現実に、こんな絶望的な状況に追い込まれたら人間はどんな行動に出るのだろう?ついさっきまで愛を誓い合っていた相手でもあっさり見捨てる?血を分けた兄弟でも引き金を引ける? テーマが重いだけに、もう少しじっくりと描いて欲しかったかも。なので6点止まり。 [DVD(字幕)] 6点(2011-11-28 00:43:05) |
313. 冷たい雨に撃て、約束の銃弾を
《ネタバレ》 ノンストップでスピーディな展開に惹き付けられるものの、ここで描かれる「男の世界」には今ひとつ共感や感情移入出来ない。復讐の気持ちはひしひしと伝わって来るものの、ヒットマンたちの死に様がどうにも受け入れられず、無駄に死に急いでいるとしか思えない。だから、その時点で作品世界から出てしまった。 更にはラストシーン。コステロの単独行動は無謀であり、仮に行為に走ったにせよ描くべきだったか。描くにしても長過ぎないか? やたらドンパチが激しいばかりで、少しずつ引いてしまった作品でした。 [DVD(字幕)] 6点(2011-11-13 21:46:42) |
314. サブリミナル
《ネタバレ》 何かが足りない、そんな第一印象の作品。もっと難解に構成できなかったものか、はたまた、敢えて万人が容易に理解できるレベルに留めたのか、いずれにしても消化不良感が残ります。てか、消化容易で物足りない感が強く残ります。 そもそも終盤、登場人物たちが1点に収斂して行く設定に必然性があるのだろうか?運命論だけで説明するのには極めて無理があります。 もっとヒネリを加えて、パラレルワールドも1人の脳内世界で留めないで、哲学的なエッセンスを加えれば、きっと傑作になったと思うところです。 [DVD(字幕)] 6点(2011-10-31 00:56:27) |
315. シャッフル2 エクスチェンジ
《ネタバレ》 内容的には2時間ドラマ的。目新しさはなく、この手の作品がお好きな方なら先読み容易。だいたい「シャッフル2」とか言って続編じゃないし。 ただ、退屈はしないで観れました。そこそこ面白かったりもします。ラストのどんでん返しも先読み可能なんですけれど、観ている方としては出来ればスピリチュアルな内容に纏めて欲しかったです。あの終わり方だと、結構いろいろ矛盾が出て来ちゃうのではないかと。もうひとひねりあればなぁ… [DVD(字幕)] 6点(2011-10-24 00:22:07) |
316. GAMER ゲーマー
《ネタバレ》 アクションだけ観ている限りは、かなりハイレベルな作品ではないかと…。 でも、それだけじゃね。この手の作品はストーリー次第で評価は大きく異なるもの。いまひとつ設定に魅力がないかな?そもそも、世紀末的状況になると、人は他人の死に様を見たくなるものかな?人間は刺激ナシでは生きていけないものなのかな? 作中のゲームそのものが理解できないことも含めて、せいぜい6点献上が限界。ちょっとアクションに走り過ぎてしまいましたね。じっくりストーリー重視で行けば、かなり評価は違ったかも。 [DVD(字幕)] 6点(2011-10-23 21:37:08) |
317. 踏み切り
《ネタバレ》 最初のうちはチープなホラー、それが上手い具合に後半のミステリーに絡められてくる。良く出来た作品だと思いますよ。登場人物の行動が薄っぺらで、今ひとつ感情移入出来ないし、ツッコミどころはいろいろあるけれど、ホラー味と謎解き味、一粒で2度美味しい作品だったりします。意外と掘り出し物だったかな? [DVD(字幕)] 6点(2011-05-29 03:18:37) |
318. 戦場でワルツを
《ネタバレ》 ラストの実写がどうにも納得出来ないです。曖昧な記憶部分をアニメで、完璧に取り戻したクリアな記憶は実写で、という住み分けなのかもしれませんが、アニメとしての表現が出色のものと思えるだけに、最後を実写に頼った(?)ことが只管残念。なので6点献上に留めます。 ただ、ここで語られている体験は非常に説得力あるものと感じます。ストーリーと展開は決して斬新ではありませんが、アニメならではの表現力で力強く訴えてきます。 この戦争体験の語り口、狂気の捉え方は、評価の分かれるところでしょう。そもそも戦争への考え方自体、十人十色、千差万別。万人に受け入れられる主張などあり得ません。だから、主張そのものよりもテーマとして評価するのが妥当なのかもしれないです。 そんな訳で、「戦場でワルツを」踊る心理がどうこうと言うよりも、「戦場でワルツを」踊ってしまう現実が悲しいと思いました。 [DVD(字幕)] 6点(2011-04-30 17:51:12) |
319. ドニー・ダーコ2
《ネタバレ》 前作「ドニー・ダーコ」で描かれた時空の概念が、妹の時間軸から描かれています。ただ、前作の方がストレートかつシンプルだったような気がします。 ひとりの男を「死」から救ったことで、時空が歪んでしまい別の「死」を招く。そしてついには「世界の終わり」が訪れる。それでは別の「死」を止めることで世界は救われるかと言えば、再び別の「死」を招いてしまう。一度狂ってしまった歯車は、世の中の全てにその影響を及ぼし、始めの一歩を正さない限り暴走していく。 ある種の「タイムパラドックス」ものとも言えるこの作品世界は、個人的には非常に好きです。でも、この作品はどうもそのあたりを表現し切れていないのではないか?と思えてしまう。何故だろう?キャスティングのせい?脚本?演出? あえて、同じテーマを同じアプローチで描いたが故に、結果オリジナルを超えられない。他にもありますよね? 好きなテーマだけに、残念な気持ちになってしまいました。 ちなみに、前作のDVD。再販して欲しいなぁ…。 [DVD(字幕)] 6点(2011-04-18 01:26:52) |
320. 最終爆笑計画
《ネタバレ》 「永遠の子どもたち」と「アザーズ」という、私としてはお気に入りの2本をモチーフにしているのでやや贔屓目の得点ですけれど、この作品、この手のパロディものとしては結構きちんと作られてます。1発芸的なパロディのコマ割りを無理やり繋げてるのではなく、まとまりのある作品に一応なってます。てか着眼点がシブいですね。原題はそのまんまストレートでヒネリのひとつもありませんが、その辺りも好感持てるかも。 関係ないけど、途中「REC」のパロディが出ますけど、アンヘラ嬢は本国でも「やかましい!」と思われてるのが分かってニンマリしたりして。 それにしても、この手の邦題による無理やりのシリーズ化(?)はいい加減に止めたらと言いたくなるなぁ…。 [DVD(字幕)] 6点(2011-04-03 15:29:43) |