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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2258
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

2024.1.1


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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301.  ナポレオン・ダイナマイト
まずいです。めちゃくちゃ面白いです。何度観ても飽きません。初見では、淡々と進む展開に少々戸惑いましたが、このテンポに慣れると抜け出せません。とにかく、主要キャラが良すぎます。彼らの一挙手一投足に釘付けです。大爆笑ではないのですが、ツボをビシビシ突かれるような笑いです。そしてクライマックスでの感動。クラスのみんなからは下に見られてしまう、変な奴だとレッテルを貼られている(実際そうだけど)ナポレオン。そんな彼がラストで見せるきらめき!イケてるとかイケてないとか、そんな判断基準はおかしい。勝手に決めるなと言いたい。たぶん、これからもナポレオンは変な奴だと思われ続けるだろうけど、「でも、あいつは凄えよ」と少しだけみんなの見方は変わったはず。ナポレオンも、ペドロも、デビーも、キップも、リコ叔父さんもみんな前向きに(リコ叔父さんは違った)生きている。不器用な生き方でも素晴らしい。鑑賞後の清々しさを味わいたくて、また観てしまう、そんな作品です。
[DVD(字幕)] 10点(2010-01-26 22:44:43)(良:2票)
302.  トウキョウソナタ 《ネタバレ》 
母親はオープンカーを「屋根がなくなっちゃった車」と称しました。それはこの家族の状態に似ている気がする。父親はリストラで職を失った。家計を支える収入が途絶えるのは、家屋で言えば屋根が無いのと同じ。雨ざらし、風さらし。大切な家財を守れない。でもそんな事実に家族はみな目を背けてしまう。屋根が無いのを認識するのは怖いから。でも容赦ない風雨に心と体は荒んでいく。限界を迎えた黒須家は悲惨な最期を遂げました。佐々木家も危うく同じ轍を踏むところ。でも彼らはその前に逃げた。散り散りになって。母が漆黒の海の彼方に見つけた光は何だったのでしょう。この先にある希望の象徴?でも目を離した隙に消えてしまう。何とあやふやなものを頼りに、私たちは今まで生きてきたのか。全てを諦めた彼女が口にしたのは「今までの人生が全て夢だったらそんなにいいだろう」。期せずして同じ頃、夫も同じく「やり直したい」と。長い歳月と、膨大な労力を払ってきた大人にとっては、これまでの生き方を否定するのは耐え難いこと。絶対に口にしたくない“本心”を吐露したとき、2人の心は一度死んだのだと思う。黒須よりも彼らは弱かったのかもしれない。でも弱さを認めたからこそ再生できた。バラバラになったから、また集うことが出来た。生き様を肯定したまま命を絶った黒須、人生を否定して生き延びた佐々木。その差は僅か。もし強盗が入らなかったら、大金を手にしなかったら、彼らは走り出していただろうか。この物語は少しも他人事とは思えませんでした。父に自身を重ね、体を硬くして観入りました。もちろん自分もかつての子供。息子たちの戸惑いも判ったし、母の想いも想像できました。痛くて、苦しくて、ずっと泣きそうでした。終始この調子だったら、最後まで観られなかったかもしれない。ですから、役所教官の運転教習に笑わせてもらったのが救い。重苦しい物語ほどユーモアが欠かせません。ソナタは、2つの主題を対比的に用い、主題の提示・展開・再現の3部で構成される器楽形式。コンダクター黒沢清の、家族再生のソナタが心に響きました。
[DVD(邦画)] 9点(2010-01-26 00:36:41)(良:4票)
303.  2012(2009) 《ネタバレ》 
崩壊する住宅街、巨大ビル群、そしてランドマークの数々。家が一戸つぶれても結構なインパクトなのに、それが連鎖するのですからもう大変。大海原に大陸プレートが引き込まれていく様など圧巻の一言。これほど見事に文明を壊すとは恐れ入りました。恐怖を通り越して、ある種の爽快感さえ感じる大崩壊劇でした。さらに素晴らしいのは、アクションに娯楽性が存分に加味されていること。車が行過ぎる傍から崩れ落ちていく道路。火山弾と爆煙を掻い潜り飛ぶ飛行機。アニメ等ではよく見かけるシーンですが、実写だと荒唐無稽過ぎて意外と敬遠されがち。実際リアリティなんてありません。でも徹底してそんな場面ばかりだと、これまた快感になってくる。もう何でもやっちゃって頂戴って感じ。自分の中の「想像の幅」が広がりました。これぞスペクタクル。これぞパニック映画。極めて正しいCGの使い方を見せていただきました。脚本は一貫してバカなのですが、悪いとは思いませんでした。助かるために必要な権力と財力が無い主人公は、人脈と運と必死さで勝負した。この世は不平等だけど、嘆いていても仕方が無い。死に物狂いで道が開けることもある。希望のある結末だったと思います。なお、個人的にはどうしても助けたいキャラが2人いました。一人はゴードン医師。主人公一家結束のダシに使われたのは可哀想。頑張った彼には助かって欲しかった。そしてもう一人、強烈キャラのロシア人大富豪。『エンジン・スタート』は笑撃の名台詞でした。彼もまた助かるに足る人間力の持ち主だったと思います。こういう映画は劇場で観なくてはダメだと痛感しました。満足度の高い映画でした。
[映画館(字幕)] 9点(2010-01-22 00:18:10)(良:1票)
304.  秋深き 《ネタバレ》 
「オッパイを失うくらいなら死んでもいい」ではなく、「どうせ死ぬならオッパイを残しておきたい」が一代の気持ちだと受け取りました。彼女は自分の死期を悟っていた気がする。手術でボロボロになって寺ちゃんを悲しませるより、治癒の希望を夫に抱かせたまま死にたいということ。ブラを焼き捨てたのは生還出来ない事を知っていたから。自らの選択のケジメでもある。胸が痛みます。自分は当初、「オッパイを切らないで頑張ってみたい」という一代の言葉を、寺ちゃんは鵜呑みにしたのだと考えていました。その結果、狂って暴走したのだと。だから腹が立った。少しでも長く彼女の傍に居てやれ。一刻も早く手術を受けるように説得しろ。殴って目を覚まさせてやりたかった。でもラストの寺ちゃんの顔を見て、それが勘違いだった事に気づきました。あれは悔いのない人間の顔。彼はちゃんと一代の想いを受け止めていた。何もかも承知で彼女の我侭を許したのだと感じます。それがどんなに辛い決断だったことか。励ましの言葉をかけるのは容易い。でも「無理しないでいいよ」は愛していなかったら言えません。彼は間接的に“このまま死にたい”という一代の願いを叶えたのだと思います。勿論、ガソリンを飲んでも助からないことや、壷がインチキだってことは百も承知。でも、奇跡を願わずにはいられない。それが人の心。後追い自殺だけは許せませんが、彼の精一杯の足掻きを自分は批難できません。終末医療については様々な考え方があると思います。自分自身、当事者になってみないと判らない。でも最期は自分で決めたいと思う。秋深き。冬支度の頃。少しでも穏やかな冬が我が身に訪れんことを、心から願います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-01-19 20:25:16)(良:2票)
305.  戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTH 《ネタバレ》 
劇場でお化け屋敷を体感するアトラクションタイプの映画を想像していたのですが、どうも様子が違う。飛び出るお化け、迫り来る凶器、なんて描写は数えるほど。3Dを意識した陳腐な演出ばかりでも弱りますが、セールスポイントをないがしろにされても困る。“3Dじゃなくても面白い”のは当たり前。“3Dで見なきゃ損”と思えなければ、劇場まで足を運んだ甲斐が無いというもの。残念ながら本作は後者の作品ではありませんでした。では前者の映画かというと、そういうワケでもない。脚本は平凡。演出は拙いです。例えば、主役とヒロインが互いに手を伸ばし合う印象的なシーン。手の位置関係ひとつで、置かれている状況と気持ちを伝えられる。だのに構図は無頓着。天を見上げると降ってくる人の顔!フェイスクラッシュの戦慄が走る衝撃的なシーンなのに、ただのボディプレスに見えてしまうカット割の悪さ。恐怖演出はキレを欠きました。ジャパンホラーお得意の「切なさ」も空振り。人物造形が薄いので、感情移入が適いません。柳楽を筆頭に、ステレオタイプな演技プランも目立ちます。割り増し料金を払ってまで3Dで観るのはちとツライかと。ただ発見はありました。3D映画向きの女優がいるということ。日本の女優なら綾瀬はるか、小池栄子、佐藤江梨子あたり。その魅力5パイ増し、いや5割増しは固いでしょう。
[映画館(邦画)] 5点(2010-01-16 20:53:58)(笑:1票)
306.  神様のパズル 《ネタバレ》 
学業優秀な母とスポーツマンだった父の血は受け継いでないけれど、ウッカリ屋と頑固な性格はしっかりコピー。最近は髪の薄さも父に似てきて(苦笑)。これが親と照らし合わせた時のわたしの姿。だからどうしたって話ですが、サラカには出来ないこと。自分が何処へ向かうかを決めるため、まず何処から来たのかを確かめたい。巣立ちの一歩。飛ぶためにまず大地を踏みしめます。その土台がアイデンティティ。サラカは誰よりも高く飛ぶ能力を持っているのに、飛ぶ事はおろか立つ事さえままならない有様。危なっかしくて見ていられません。足場を固めるのは子の仕事。でも土台の原料を提供するのは親の役目。それを知る由もないサラカは、独りでもがき苦しんできたのだと思う。その心の痛み、不安たるや想像するに余り有ります。ただ、彼女はツイていた。最悪を避けられたのは、魂の応援歌を歌ってくれる人がいたから。弱っているとき、栄養をくれる人がいたから。母親だって不器用だっただけ。悪い人じゃない。自我を手に入れるのは、自分の力を証明すること?いや、ただ只管に、自分自身を肯定すること。綿貫の腕の中に飛び込んで、彼女は自我を手に入れました。それは“自分の宇宙”を創り出したのと同じ。彼女はもう何処へだって飛んでいける。正直、サラカが『無限』を乗っ取った時はやり過ぎだと思いました。でも綿貫が天井を突破ったとき、見方が変わりました。一線を越えた馬鹿演出が胸に刺さりました。何故スタンドマイクがあったのか?サラカの心に想いを届けるためにマイクが必要だったから。綿貫の滑舌が悪すぎる!けどアイツの気持ちは伝わってきた。初めて三池監督の演出を凄いと思いました。谷村美月のオッパイも、いやいや演技にも感心。市原くんの歌も良かったです。ただ脚本の粗さは目立ちますし、三池映画特有の品の無さも気になります。お世辞にも出来のいい映画だとは言えません。しかし自分にとって愛すべき映画ではありました。
[DVD(邦画)] 8点(2010-01-13 20:18:09)(良:1票)
307.  接吻 (2006) 《ネタバレ》 
漆黒の背景に浮かぶ「接吻」の赤い文字。エンドロールをしばし呆然と眺めました。意味が分らなかった。でも改めて彼女に自分を重ねてみると、おぼろげながらその行動が理解できた気がします。以下自分なりの京子の心情の解釈。誤読ご勘弁ください。彼女が坂口に惹かれたのは、彼に共感したから。同じ虐げられてきた仲間。初めて出合った同胞でした。バッシングに立ち向かう私。悲劇のヒロイン。彼女は自らの境遇に酔い痴れます。ところが坂口は控訴すると言い出しました。なんで?世間が私たちを無視してきたように、今度は私たちが世間(司法制度)を無視する番じゃないの?彼女の想いは裏切られた。失意の中、京子は坂口を殺すことを決意します。彼と同じ人殺しの心境を味わうため。当初の計画通り、世間に復讐するためでもある。“2人を殺して死刑に”。それが彼女の新しい筋書きでした。ところが坂口を刺した瞬間、彼女の中の枷が外れた。もうどうなってもいい。錯乱状態の中、抑圧されていた願望が露になります。それは長谷川への愛。本能は彼女に接吻を命じました。交わりたい。一つになりたい。坂口との間で適わなかった同一化を、長谷川との間で成し遂げようとします。思い返してみると、京子が長谷川を意識した台詞は随所にありました。いつも自分を気にかけてくれた人。それが彼の職務だとしても、彼女は嬉しかったに違いありません。それに京子が坂口に傾倒したのは、辛い現実から逃れるための、ある種の逃避行動。一方、長谷川への好意は交流の中で芽生えた自然な感情。縛るものが消えたとき、彼女は自分の本当の気持ちに気づいたのだと思います。京子の去り際の言葉は、戻ってきた理性が言わせた偽り。本心は「助けて欲しい」「愛して欲しい」。以上です。タイトルにすっかり騙されましたが、こういう裏切りなら大歓迎。トヨエツの演技は圧巻でした。小池も及第点以上の出来。女優の素質十分でしょう。今後の活躍を期待します。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-01-07 18:23:36)(良:1票)
308.  エイリアンVSヴァネッサ・パラディ
初めて観た時は、あまりのぶっ飛びぶりにさじを投げました。思えば自分も若かった(ウソ)。ただB級以下の映画をある程度鑑賞してから本作を観直したところ、印象はかなり改善されました。これは「良い」部類に入るB級映画。カメラワークは悪くないし、何よりノリがいい。ツクリモノ感ありありの「歯抜け犬」の悲しみのハーモニーに大笑い。驚愕のエンディングに放心状態。2度観てもコンチャ分身の術の意味は分らなかったですが、細かい事はどうでもいいと思えました。本作を『ピンチランナー』とか『デビルマン』といった正真正銘のトホホ映画と同列にしておくのは忍びないので、評点を大幅変更することにします。(2010年1月1日再鑑賞につき書き直し 2点→5点に変更)
[DVD(字幕)] 5点(2010-01-01 00:13:59)
309.  犯人に告ぐ 《ネタバレ》 
“連続児童誘拐殺人”や“劇場型捜査”という刺激的な題材を扱っていますが、メインは主人公が警察組織の中で味わう“理不尽”や“軋轢”。誰でも普段から感じていること。共感し易いと思います。主人公の境遇は身に摘まされるものでした。役者の力量も総じて高く、見応えのある作品でした。ただ、リアリティを欠く箇所が多いと感じました。劇場型捜査のデメリットは、犯人を刺激したことで、次の犯行を誘発してしまうこと。現実にこういった捜査が行われない所以です。しくじった場合の世間の風当たりは、警察が無策だった場合の比ではありません。主人公をスケープゴートにする算段があったにせよ、警察の幹部がそんなリスクを冒すとは思えない。劇場型捜査に踏み切る過程に説得力が欲しいところです。また、狙われる可能性の高い主人公の息子に、警護が1人も付いていないのは謎。その必要性を感じていなかった主人公にも疑問符が付きます。トップ自らが証拠捏造に関与していたのは失笑もの。上に登りつめた者ほど、自分の地位を守るために慎重になるのでは。なお、これはリアリティ云々の問題ではありませんが、先の誘拐事件の容疑者を指して、主人公が蔑んだ物言いをしたのは残念でした。彼にしてみれば、「あいつが犯人だ!」いう絶対の自信があるのでしょうが、観客はそこまで感じていない(犯行シーンは描かれていない)。警察の執拗な責めに気がふれたという可能性も否定できません。「社会正義」なる言葉を主人公が使いたいのであれば、死亡した容疑者はあくまで“容疑者”として扱わなければダメだと思います。どんなに悔しくても、です。総評は、「いい作品だけどワキが甘い」という感じ。これら短所を原作が補っているならば、多分それは傑作に違いないと思います。
[DVD(邦画)] 7点(2010-01-01 00:11:26)(良:3票)
310.  T.R.Y. 《ネタバレ》 
これは…厳しい。観終えて思わず絶句しました。何がマズかったのか考えてみましたが、なかなか考えが纏まりません。暗殺者赤眉VS主人公のアクション関係は全部要らなかったと思うし、たどたどしい日本語が多いのも作品の質を下げている気がする。肝心の詐欺プランも切れ味を欠きます。そして織田裕二。けっして彼を嫌いではないのですが、いつも同じ『織田裕二』なのが気になります。具体的に言うと“格好つけている”。主人公は詐欺で命を賭けるのは馬鹿だと言います。ヤバくなったら逃げると言う。でもそれが本心でないのは明らかです。だから彼がどんなに頑張っても驚きがない。軽くて情けない奴が、ポリシーに反して命を賭けるから感動するのだと思います。渡辺謙の演技は流石の迫力ですが、一人浮きまくっていたので結果的に好演とは言えないのかな?新作映画『アマルフィ』宣伝のため、しきりに織田主演の映画をTV放映していますが、どれもパッとしません。これで誘客効果があるのか心配です。
[CS・衛星(邦画)] 3点(2009-08-24 21:39:19)
311.  タイムライン 《ネタバレ》 
伏線の張り方も、タイムワープの整合性もちゃんとしています。過去への干渉というタイムスリップのタブーも“戦時中ゆえ人は死ぬ”という要素で上手にカバー。スムーズに観ることが出来ました。娯楽作品として上質だと思います。ただ、全てが予定調和に思えました。今ひとつ心に訴えかけられるもの無いというか。何でもいいです。サプライズが欲しかったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2009-08-21 21:28:03)
312.  OUT(2002) 《ネタバレ》 
小説の中の人間に、匂いやかたちはありません。声色も分からない。読み手が頭の中で、作者の世界を“再構築”する訳です。言わば映画もひとつの解釈例。自分の原作解釈とは随分違いますが、監督の“理解”は面白いと思いました。遺体をバラバラにする主婦たちの会話。「まずは頭を落としましょう」「魚じゃあるまいし」。水着に着替えるかどうかで、じゃれあう2人。ニュースの中の出来事が、いざ目の前で起きている現実に心が追いつきません。泣きもせず、気も触れず、罪悪感で押し潰されもしない。いつものように笑っている自分に驚きます。追い詰められた4人がカラオケボックスで集うシーンが秀逸。『人生いろいろ』の歌詞が彼女らの生き様にオーバーラップします。挿入される解体場面。えも言われぬ不快感が胸を過ぎります。忘れていた古傷が疼くような。ああ、こうやって今までも不具合に目を瞑り、自分を騙してきたのだと気づかされます。何も今回が特別なことじゃない。法という枠組み、倫理観の縛り、自分が知っている自分を、飛び越える「OUT」。境界を踏み越えるのはかくも容易い。終盤の流れは映画オリジナル。これがまたいい。雅子と邦子を乗せたトラックが、大平原の一本道をひた走ります。脇道が無いのは、選択肢が無いあかし。彼女らの行く末の暗示です。先は霞んで見えません。これを恐怖と感じるか、希望と捉えるか。邦子はともかく、雅子の瞳には後者の輝きがありました。しがらみを捨て去った開放感と、人生の半分を無駄にした虚しさが入り混じった眼差しでした。最後にキャスティングについて。間寛平は普段のイメージが少し邪魔をしました。香川は滅法上手い。室井、倍賞、西田は100点。原田美枝子は200点。彼女の描いた雅子の魅力的なこと!素っ気無い口ぶりがたまらないです。あの雅子なら、家庭の崩壊も、一連の事件の成り行きも、妙にしっくりきます。イケてる女は、倒れてもまた、立ち上がる。
[DVD(邦画)] 8点(2009-08-12 19:20:22)(良:2票)
313.  それいけ!アンパンマン ゴミラの星 《ネタバレ》 
『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』の映画シリーズは、子供向けでありながら、大人の鑑賞にも堪え得るというコンセンサスを得ていると思います。自分も大ファンです。魅力的なキャラクターとブレのない世界観、それに優れた物語性が人気の秘密だと感じます。そこで『アンパンマン』。キャラクターの知名度や人気は先に挙げた2作品に劣るものではありませんが、映画としての評価はあくまで“幼児・子供向け”の範疇。でもそれは本シリーズのコンセプトを考えれば正しいですし、設定やストーリーの甘さが、逆に面白いと感じます。ハマるとちょっとクセになるかも。本作もまさしく、そういうアンパンマン映画には違いないのですが、少々路線を間違ったと思いました。大人に迎合するような安易な感動を追っているように見えました。ゴミラの選択した行動は自己犠牲。アンパンマンの精神に沿うものです。でも命を捨てる選択を簡単に是として欲しくない。子供向け映画だからこそ、そう思います。アンパンマンは、いつまでも「小さな子供に安心して見せられる」作品であって欲しいと思いました。(2009.8.8追記)ヤーダ姫…(泣)ダメ。ゼッタイ!
[DVD(邦画)] 5点(2009-08-08 21:19:33)(良:1票)
314.  NEXT-ネクスト- 《ネタバレ》 
主人公クリスが運命の女カーリーと出会う場面のこと。彼は未来を読み、アプローチのリハーサルを重ねます。でも何度やっても上手く行きません。するといい加減呆れた彼女はクリスが動く前に「お願い止めて」と遮ります。でもこれは変。彼女は彼の試行錯誤を知らないはずですから。彼女もまた主人公と同じ特殊能力の持ち主なのでしょうか?でも違うみたい。となると「止めて」の彼女は何だったのか?あれはクリスの予知ではなく想像(願望)の彼女の姿ではないかと。コレって結構重要なポイントだと思う。主人公が見ているのは「ただ過ぎていく未来」ではなく「こうあって欲しい未来」が含まれているからです。其処には主人公の意思が在る。数々の神業(ライフルの弾避け、車&丸太回避とか)も納得できるというもの。ニュアンスとしては“避けている”のではなく“周囲を思うように動かしている”。本作のテーマ『未来は変わる』は、より強いメッセージ『未来を変える』に転化していきます。なかなかニクイつくり。それだけに“2分後までの未来が予知できる”という肝となるルールを徹底しなかったのが悔やまれます。制約は緊張感を生む格好のアイテムなのに。勿体無いです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2009-08-06 20:58:15)(良:1票)
315.  NINE -ナイン- (2005) 《ネタバレ》 
デニス・ホッパーは登場人物のうち最もネームバリューのある俳優。彼の登場するファーストカットも印象的です。TVの2時間サスペンスを見慣れた身としては、早い段階で彼に犯人当確マークを付けたくなってしまう。善人キャラも如何にも怪しいですし。でもまさかの早とちり。本当にただの神父だったとは。これが本作最大のサプライズでした。『CUBE』『SAW』以降の数多あるソリッドスリラーの中では、そつなく纏めた方だと思います。でも面白味には欠ける。もし自分が被験者だったら、とりあえず監視カメラを全部探し出して壊します。
[DVD(字幕)] 5点(2009-08-01 19:51:19)
316.  トゥームレイダー
アトラクションムービーとしての出来の良し悪しを問う映画にあらず。これはアンジェリーナ・ジョリー嬢のおっぱいを愛でる映画です。間違いない。久々に観返して確信しました。松坂大輔夫人の柴田倫世元アナは、かつてロケットおっぱいと称されていましたが、本物のロケットおっぱいはアフロダイAの事を言う。いやもとい、アンジェリーナ・ジョリー姫の事を言う。圧倒的な存在感、天然ものだけが持つナチュラルな揺れ、極上の一品です。個人的には小ぶりで形の良いおっぱいが好きなのですが、アンジーのおっぱいの前にはそんなポリシーも吹っ飛んでしまう。最高です。おまけにタンクトップ姿満載。無類の腋の下&二の腕フェチとしてはもう平謝りするしかありません。彼女より美形の女優やモデルは腐るほどいますが、彼女ほど魅惑的な女優は他にいない。メロメロでございます。右のおっぱいに+3点、左のおっぱいに+3点、濃厚な唇に+1点。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-07-30 22:07:16)(笑:1票)
317.  燃えよ!ピンポン(2007) 《ネタバレ》 
ジャック・ブラックからアクを抜いたような主演ダン・フォグラーの好感度はなかなか。良い人感が滲み出るナイスなキャラクターです。マギーQの美女ぶり+キレのある体さばきもグッド。上手くハマれば結構なコメディになったと思うのですが、ちょっと残念な仕上がりでした。ギャグセンス云々より、軸となる脚本が良くない。リベンジへの流れをアッサリ反故にしたり、最終的にメインのピンポンがどうでもよくなったり。要所を押さえていないので、どうにも締まりが悪いです。それにしても卓球シーンはどれもお見事でした。ラストの対決は別にしても、CG臭がほとんどしません。結構リアルに打っているのかな。
[DVD(字幕)] 5点(2009-07-29 20:56:01)
318.  仄暗い水の底から 《ネタバレ》 
『リング』により一般に浸透したと思われる“水・閉鎖空間・霊”の密接な関係。そもそも川縁の柳の下に立つ幽霊など、水と幽霊は日本人に馴染み深いもの。本作の“水”を使った恐怖の演出や、貯水槽を幽霊の拠所とする設定は、日本人に受け入れられ易い土壌があるのだと思います。親権を巡る調停。保育士に問い詰められる子供。そこから派生する嫌悪感は、恐怖とは別の感情。でも類似しているために、恐怖を呼び起こす感情の伏線になっています。いわゆる吊り橋効果。なかなか上手いです。そうは言っても本作のホラー要素は、水で薄めたかのように弱い。でもこういうホラーもいいんじゃないかと。さて本作のテーマ、親子愛について。母親が自らの身を犠牲にして娘を守ったという結末。少女の霊にしてみれば目論見どおりです。少女の真の狙いは、娘ではなく母親にあったのは明らかです。母親はまんまと策略にはまったのだと思う。このとき母親は、その計画に気付いていた(抱きつかれて瞬時に理解した)と見ていいと思いました。少女の思惑を承知で、その願いを受け入れた。もちろんこの決断は、我が娘を守りたいがため。でも同時に彼女には強い“母性”があったのだと思います。だからこそ少女はこの母を選んだとも言える。このあたりの心情は、正直自分には分からない。我が子を愛おしむ気持ちとは別次元の“母性”。女性が持つ性(さが)は切ない。もっとも実の母親を失った娘にしてみれば、“自分を救ってくれた感謝”と“よその子供に自分は負けた”という両方の想いを抱いたはずです。これもまた悲しい。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-07-28 20:00:24)
319.  鳶がクルリと 《ネタバレ》 
仕事を請け負ってくれる鳶職人を探す貴奈子。この時彼女はパンツスーツです。でも万策尽きて再び「日本晴れ」を訪れた時はピンクのスカート。おやっ。つまり彼女は、1日の間にパンツ→スカートと着替えています。“フ・エロモン”を強調するため、わざわざ着替えたのでしょう。でも単なる制作上のミスではないかと思えてしまう。このあたりが本作の弱点。“丁寧なものづくり”が感じられれば、自然と良い方へ受け取ったと思います。凝った視覚表現やアイデアは悪くない。でも全てがその場限り。言い方は悪いですが、思いつきのよう。例えば、つみちゃんの身軽さ。結構アピールが強いので最後の大仕事の伏線かと思いきや、結局活かされないまま終了。肩透かしもいいところ。意外とベールに包まれた鳶という仕事。その題材選びはいいと思いますし、興味深い点もありました。でも“伝えたいもの”が何か分からなかった。なお、随分とベタ?な鳶職人像でしたが、関係各位からクレームは無かったのでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2009-07-24 22:23:33)
320.  ビキニ・キラー/真夏のくい込み殺人
レンタルDVD屋で本作を見つけた時、ぶっちゃけ大きな釣り針に見えました。一部のバカ映画好きにはヨダレもののタイトル。あざとい。実にあざとい。でも抗えないから不思議。レジへ直行でした。当然ながら三流以下の映画を予想していました。ツッコミを楽しむつもりです。でも違いました。『ラストサマー』や『スクリーム』系のサスペンス。いたって真面目に作られていました。食い込みも言うほど食い込んじゃいない。ただし、真面目だから出来がいい訳ではありません。キャラクター造型は薄いし、肝心の連続殺人が起きた理由も分かり難い。原題『秘密を知りたい?』は煽りすぎです。観客へアピールする部分が見当たりません。故にこういう邦題を付けるしかなかったのでしょう。そうそう、DVDのパッケージで殺人鬼は斧を持っているのですが一度も使ってないです。狙った邦題をつけるなら、それ相応のバカ映画じゃないと逆に期待を裏切ってしまうから難しい。
[DVD(字幕)] 4点(2009-07-23 21:13:59)
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