3321. ザ・セル
《ネタバレ》 観終わった瞬間の感想、「とんでもないモン観ちゃったな」。悪い意味で、ですよ。連続猟奇殺人の犯人がついに逮捕された、しかし最後の人質がどこかに監禁されたまま、早く救出せねば命が危うい!ってんで、ここでハリー・キャラハン刑事なら犯人を拷問するところだが、肝心の犯人が昏睡状態って事もあり、何故かジェニロペが妙な装置を用いて犯人の脳内に入って行くという----ってオイ!監禁場所の装置は犯人一人で準備できる訳も無し、受注業者とか当たって行けば、容易にアシがつくんじゃないのか?何を回りくどい事やってんの、真面目に捜査しろっての。ジェニロペの方はやはり上手く行かず、案の定ドツボに。しょうがないなあ、と思って観てたら、映画終盤、実は裏でちゃんと捜査は進めてたもんで手掛かりアッサリ掴めちゃったよ、と急転直下、事件は解決、人質も無事。ジェニロペそっちのけ。何やねんこのストーリーは。でまあ、見所と言えば、犯人の脳内映像、ってとこなんでしょうが、残念ながら、「ホラ、色んなイメージ、とりあえず一生懸命考えて作ってみましたよ、どうですか」ってな感じで、どうにも見え透いてます。これなら例えばデヴィッド・フィンチャーの描く「現実世界」の方が余程、根源的に迫ってくるものが。まあそもそも、現実世界の犯人からして、行動が異常とは言え妙に一貫性もあるもんで、異常性が表面的で迫力不足。しかも内面世界の描写まであんな人工的ときた日にゃあ、犯人がちょっと可哀相にすらなってきちゃう。しかもこの映画、悪い事に、さすがにこれだけでは不足だと思ったのか、現実世界の映像までアレコレ凝っちゃったもんで、対比の面白さもヘッタクレも無くなっちゃった。抑えるところは抑えるってのも必要では? ってな訳で、こういう映画の製作は、もっとケタ外れの独自の世界観を持った人でないと、つとまらないでしょう、人目気にし過ぎちゃダメ。そうそう、ハワード・ショアの音楽については、たっぷり堪能させていただきました。 3点(2004-01-25 13:20:07) |
3322. トゥルーマン・ショー
STING大好き様のコメントを読んでついニンマリ。実は私、今さっき久しぶりに『ウェストワールド』を観て、こりゃまるでトゥルーマン・ショーだな、と笑っちゃったとこだったんで(→ウェストワールドの方を先に観てる以上、本来なら私も、トゥルーマン・ショーを観た時点で気づくべきであった。トホホ)。でまあ、この映画なんですけど、すでに観た人から事前に「こんな面白いとは思わなかった」と絶賛の声を聞いて期待が高まったのが災いしたのかも知れませんが、どうもイマイチ映画にのっていけない。ドダイ無理のある設定、もっとユーモアを盛り込んで膨らませてくれれば、リアリティの欠如なんか全然気にならなかったハズのところなのに、どうも煮え切らない(この設定ならさらに色んなギャグのパターンが盛り込めそうだが・・・)。やっぱりピーター・ウィアーにコメディは不向きなのか?ユーモアはジム・キャリー頼み、では、この大胆な設定を支えきれていないような感じを受けてしまいました。作品のテーマがかなり表に顔出しちゃってますからねえ、処理の難しいところです。後半は確かに尻上がりに面白くなってきますが・・・。 6点(2004-01-25 02:17:52)(良:1票) |
3323. カンパニー・マン
う~ん途中でオチが完全に見えてしまった。映画でも小説でも大抵オチが読めずに驚いてばかりいる私、その私に読まれてしまうなんて、さすがにマズイのではないか?と思ったけど、まあきっと今回はマグレだったんでしょう。(少なくとも途中までは)二転三転するストーリーに振り回され、これが、ややいじりすぎ(?)の映像とマッチしており、わりと嫌いじゃないノリの映画です。地下施設とかエレベータの描写なんか見てると、ちょっとCUBEを思い出して「ふふ、やっぱりこういうの撮りたかったのね」と、ちょっとニヤリ。さらに、めったにオチが読めない人間の悲しいサガ、たまにオチが読めると逆に嬉しかったりするわけで・・・。 7点(2004-01-25 00:54:31) |
3324. ガンバス
これ、めっちゃオモロいかと訊かれれば、答えに窮してしまうんですが、少なくとも「楽しい」タイプの映画ですね。時は第一次大戦、アメリカの強盗2人組がひょんな事から、ポンコツ戦闘機に乗ってドイツ軍と戦うハメになるわけですが、その敵というのが、何故か「空飛ぶ巨大戦艦」、というハチャメチャな設定。『ワイルド・ワイルド・ウェスト』なんか観てる時、ふとこの映画を思い出してしまいました。と言ってもこちらは、大スターが出てる訳でも無し、特撮に気合い入っているわけでもなし。でも開き直って荒唐無稽さを前面に押し出した分、ホノボノとした味わいがあって、なかなかの好感触。 7点(2004-01-25 00:33:10) |
3325. ヒューマノイド/遊星寄生体
何やら、プレデターが処刑ライダーになって襲ってくる、と言った趣きの映画、こう言うと何となくオモシロそうに聞こえるではないですか。まあ、どっかの山小屋でテキトーにロケしてでっち上げたような雰囲気ですからね(きっとロケ現場では和気あいあいとして楽しかったに違いない、なんてことを観ながらふと思った)。限りなくチープなんですけれども、この襲ってくる処刑ライダー(っぽい奴)、意外とカッコいいんで、仮面ライダーファンならきっと楽しめますよ、多分。何よりも、超能力者役のオネーチャン、お世辞にも美人とは到底言いがたく、かなりイタダケナイ(そのくせ、超能力で男性隊員の心を読むと、自分が彼に襲われている光景を読んでしまうという・・・観てて気が滅入る)。という訳で、意外な拾い物、と言いたいのはヤマヤマだが、マイナスポイント多数で相殺してしまい、「しょうもない」の半歩手前くらいの作品ですかねえ。 4点(2004-01-24 02:26:32) |
3326. ハンニバル(2001)
こりゃまあ、原作読んだ時点で「なんじゃこりゃ?」と思ってたもんで、何ともかんとも。主人公~レクター~犯人の多層構造が生み出すサスペンスはもはや見られず、構成力を犠牲にしてまでも好き勝手書きまくる暴走ぶりにはちょいとついていけませんでした。で、これを映画化ということで、う~ん、例のシーン、どうやって映像で表現するのか、と思いきや。「ホンマに映像化するなっ!」。ちょっと唖然としてしまいました。さすがにラストばかりは、原作通りっちゅう訳に行かず、映画らしいオチに変更されてて、ホッといたしました。まあ、そういう訳でですね、原作が好きになれなかった以上、あまり大きな期待は持たずに観た訳ですが、さすがにリドリー・スコット、悪趣味な描写とは別に、ちゃんと「光と陰」へのこだわりの映像を展開してくれて、これはこれで楽しめたわけです。でもやっぱり趣味悪いぞ。 7点(2004-01-24 01:31:44)(良:1票) |
3327. 羊たちの沈黙
こりゃ見事に映画化してくれました。ベストセラーを映画化するとなると、注目は集まるものの、逆に「原作のイメージに合わない」とか「脚色によって原作の良さが損なわれた」とか、原作のファンに袋叩きにされる事もしばしば。イバラの道です。その点、本作は、原作と映画が実に幸せな関係にあると言えるんじゃないでしょうか。映画が原作のイメージに合ってるのやら原作が映画のイメージに合ってるのやら、よう判らんほど。映画の説得力と言っていいのか衝撃力と言っていいのか。無類の不気味な雰囲気とサスペンス性が横溢しております。その中で、奮闘するクラリス、「あ~ジョディ・フォスターって意外と小さいんだなあ」などと思った途端、妙に彼女にも好感が持ててしまったりするのでした。 9点(2004-01-24 01:14:23)(良:1票) |
3328. レッド・ドラゴン(2002)
やはり『羊たちの沈黙(沈没じゃないョ)』の成功、ってのが背景にあるんでしょうね。あの映画はベストセラーを忠実に映画化して第一級のサスペンスに仕上げた事で、原作ファンも映画ファンも見事に喜ばせてくれました。その影響か、コレも驚く程、原作に忠実。しかしまあ、第2,3作が映画化された後で第1作に遡る事自体、何だか見え透いた企画である上、も一つ難しいのは、この原作、ラストはさておき、中盤は、犯人ダラハイドの生い立ち、内面を掘り下げる事で、一種のメロドラマでもあるんですよね、その点では『羊~』を凌駕してるのかもしれませんが、映画化の際のバランスが難しい。結局本作も、ダラハイド幼少期の描写は割愛せざるを得なかった訳で、それでも(or それ故?)中盤の展開はやや妙なフンイキになってしまった感が。ま、しかしですね、ラストだけはアレンジして来たせいだか何だか知らんけど、結構興奮してしまい、観終わって、アレ意外と面白かったなあ、と思えてしまったのでした。途中を抑え気味にしたのが良かったのでしょう。ただコレだけは言いたい。全体的に音楽はちょいと下品ではないか?大したシーンでも無いのに、音量で人を驚かせているだけではないかね。 8点(2004-01-24 00:42:24)(良:1票) |
3329. アンダルシアの犬
冒頭いきなりの衝撃シーン(ウンコシーンを最後に持って来たピンクフラミンゴとは逆のアプローチですな)。いきなり繰り出されあ先制パンチ、「サア、オレ達これから何しでかすかわからんゼよ、観てるアンタ、覚悟しな」という宣言のようでもあります。まあしかしそっから先は基本的に無声ドタバタコメディのノリですな。テンポいいので意味ワカランでも退屈はしませんでした。むしろ、カメラアングルをあれこれ工夫してるあたり、「正気」の部分が垣間見えちゃう気がするのは、何となく残念な気もします。けど古い映画ですからね。こういった映画が後の映画に影響を与え、そういった諸作品を先に観た上で比較しちゃうのは、さすがに酷。むしろ、「こんな映画をこの当時に作るなんて、きっと作っててメチャクチャ楽しかったに違いない」などと想像すると、それだけでも、何かと触発されるものはあります。ただ、えらく短い作品なので、思い入れにも限界が。 7点(2004-01-18 16:12:46) |
3330. 裸の銃を持つ逃亡者
さっきもKBS京都(関西のUHF局)で放送してたんですけどね、実はコレ布石があって、先週の同時刻には『逃亡者』が放送されてる。しかも、コレの元ネタの映画・・・ではなくて何故かマイケル・チミノの『逃亡者』の方。全然関係無いんでやんの。この計算の行き届いたシラジラしさには何か感動に近いものを。ま、どうでもいいことでした。さて本作、おなじみドレビン警部、じゃなくて、役名「ライアン・ハリソン」(ナメてる)がテキトーにボケまくり、何か知らんがやっぱり笑えてしまう映画にはなってます(ところどころ、マジでオモロい)。これもまあ例によって、他の映画のパロディが多いので、万が一「初めて観た映画がコレ」なんて言う人がいたら、理解不能でしょう。エンド・クレジットの中にあれこれ一生懸命ギャグを盛り込んでるのも、本来は「探す面白さ」を楽しむべきところなんでしょうけど、字幕で出ちゃうと、ちょっとブチ壊しですね。ま、面白かったからいいや。 7点(2004-01-18 02:42:34) |
3331. ワイルドバンチ
まさにガビガビに乾き切ったような映画。全編これ砂煙。始めの方で、馬に乗った一行が砂山を転げ落ちるシーン、別に意味無いシーンとは言わないまでも、単に砂煙上げるために「撮ってみたかった」だけじゃないの?と思えてくる。そんな殺伐とした雰囲気の中、登場人物の男たちはまるで最初から死に場所を求めているよう。いや別に自殺願望があるわけじゃないけど、全然前向きな態度でもナイ。端から見れば徒労のようにも見える危険を犯しながら、荒野を彷徨う。そして。 "Let's go." " Why not?" これだけで通じる。観る側にも通じるのである(敵地に赴く四人。シビレタ・・・)。まさに壮大なる犬死に、その犬死にの美学。砂煙、銃声、血しぶき。もう戦争映画にすら凌駕しそうな壮絶さ。ペキンパーっちゅうと悪く言えば(私にとってはむしろ褒め言葉ですが)「コケオドシ」、しかし、本作はその「コケオドシ」の究極の結晶体ともいうべき、一つの奇跡のような作品、でありましょう。 9点(2004-01-18 02:20:47)(良:1票) |
3332. ポルターガイスト2
コレって確か、スクリーミング・マッドジョージが特殊メイクで抜擢されて一躍名前を売った映画ですよね?? まあ確かに映画が全然怖くないので、気を散らさずにじっくり特殊メイクの出来が堪能できますな(それでいいのか?)。前作では、発端はポルターガイストで、次第に背景に隠された真実が見えてくるような展開になってましたが、この一応ケリのついたハナシに、本作を何とかつなげようとして、結局、ポルターガイストなんてあんまり関係ない、ただのお化け映画になってしまいました。コレを観ると、前作がどれだけよく出来たかわかります。前作は余裕を持って観客をアレコレ手玉にとり、怖がらせてくれる「計算」があったんですが、本作、余裕無いですね、ホント。迷走しまくった挙句、クライマックスは・・・絶句。 5点(2004-01-17 01:49:34) |
3333. ポルターガイスト(1982)
あんまり脚本を書かないスピルバーグ、書いた作品ってせいぜい『未知との遭遇』と『A.I.』くらいかと思ってたら、そうそう、コレも脚本に噛んでたのでした。お陰でもうこりゃ完全にスピルバーグ「監督作品」、すでに何人かの方も書かれてますね↓。しかしラストのシッチャカメッチャカぶりはここで確かにトビー・フーパーの血肉となり、ちゃんと『スペースバンパイア』でも生かされているのだ(と言い切っていいのかな?)。さて私は無類の怖がり、当時は恐怖映画なんて絶対観たくないタチで、「自分ごときがこんな恐ろしい映画に観ようなどとまさに分不相応な挑戦ではないか」と、もうドキドキして臨んだのでした。そして無事この映画をクリアした時、人生の新たな1ページが(大袈裟だなあ)。そういやこの映画、仲間内で何故か妙に流行った時期があり、「ポルターガイスト」がほとんど合言葉になってたのよね、なぜか。その位、衝撃的な映画だったのです。今観直したら、実は結構モノスゴイ内容だったという事に気づき、新たな衝撃が。まあでも、窓の外の大木の不気味さなど、怖さだけじゃなくノスタルジーを感じさせる味わい。はたまた、超常現象で娘がスワ押し潰されたか、とドキドキさせる怖さ。洗面所のシーンに至っては、つい目を覆ったね。というわけで、「人を殺さないホラー」という制約の中でもたっぷり楽しませてくれる、実にアイデア満載の映画であります。 7点(2004-01-17 01:29:34) |
3334. ミスター・ベースボール
この映画の困った所は、「日本を勘違いした」映画じゃなくて、「日本を勘違いした主人公」の映画だ、っちゅうところですね。さすがにアメリカ人も最近では日本の事をある程度は知ってる訳で、トム・セレックがトンチンカンな事をしてるってのはアメリカの観客にも判るハズ。そこが本作の笑わせどころ、と言いたいのかもしれませんが、この「カマトトぶり」、観ててどうしても鼻についてしまう。日本人の名前を「サン」付けで呼ぶ表現も通用するようになってきたからこそ映画で使えるわけで・・・。で、カルチャーギャップをネタにした割には、日本を理解するようになったのかならなかったのかイマイチはっきりしないまま妙に無難に映画は終わっちゃう。何でこんな映画作ったの?単に日本を舞台にすることで日本の映画市場を狙っただけじゃないのか、という気も。最後に一つ言わせてくれ、トム・セレックよ、ソウメンはちゃんとツユにつけて食べたら本当は美味しいんだからね!(←すでに映画に乗せられてます)。 5点(2004-01-12 16:50:54) |
3335. マスク・オブ・ゾロ
イキのいいチャンバラやってくれてるだけでもう捨て難いですね~。単純に面白いし。ゾロが2代目を育てるという趣向ですが、先代がイギリス紳士のアンソニー・ホプキンスなのに対して、2代目襲名は、何とも正反対、色気ブリブリのアントニオ・バンデラス。何でまたこんなギトギト男を後継者に・・・。これはまるで、かつての名作を、とりあえず金だけかけてバカ超大作としてリメイクしちゃう昨今の映画業界の構図をそのまま投影しているかのような設定だ。「でも要するに面白けりゃいいんだろっ」という製作者サイドの深層心理の表れに違いない!と勝手に解釈。さらにはホプキンスの生き別れの娘も、これまた何故か(!)キャサリン・ゼタ・ジョーンズ(こう見えて実は英国出身らしいので構わないっちゃあ構わないけど)。この2代目とこの娘のカップルは、まさに現代のハリウッドが総力を結集したかのような究極の濃厚さ。まさにこの時、一つの時代は終焉を告げたのだ(何のこっちゃ)。 8点(2004-01-12 16:06:34)(笑:2票) |
3336. シン・レッド・ライン
公開当時に観に行った時、有給休暇とって平日の朝から観に行ったせいもあるのでしょうが、観客の大半が年配の男性だったのが非常に印象的でした。やはり太平洋戦争への関心からなのか? で、いざ映画が始まってみると、戦争や人の生死をもまるで自然の風物の一つとして、言わば「天の視点」で描いているかのような描写、これには観客の皆さん反発を感じていやしないかと心配したものでした(プライベート・ライアンはこれとは対照的に「地の視点」でしたね)。私自身は、戦争を知らないからだと言われりゃそれまでですが、別に悪い気もせず、この映画のある種不思議な世界に約3時間どっぷり浸かっていたのでした。この映画、既成の音楽を色々引用しており、特にクライマックスシーンのバックには、アイヴズの「答えのない質問」がアレンジされて流れているのですが、これが見事にハマってます。映像にマッチし過ぎて、曲がしばらく流れてようやく気づいたくらいですから(この曲好きなんですよ。それでも最初気づかなかったのです。余談ですがこの曲ラン・ローラ・ランでも使用されてます。引っぱりだこですな)。このセンスには脱帽です。ところで、気になった点も無い訳ではなく、ニック・ノルティ演じるトール中佐についての、深入りしそうなしなさそうな半端な描き方、コレだけは正直「えっ?」と思ってしまったのですが。それでも、気分を削がれるまでには至らなかったので、全体的には好きな雰囲気の映画なのであります。 8点(2004-01-12 02:24:25) |
3337. ジョーズ'98/激流篇<OV>
ジョーズ98ってことで、ジョーズの第九十八作目。ではナイ。どう考えてもユニヴァーサルの本家ジョーズとは縁もユカリも無さそうな激安の代物。"Inspired by a true story"とある通り、一応、昔実際に起きた事件、すなわち、サメが川を上って来て人を襲ったという事件を元にしてるそうですが、ストーリー自体は実話では無く、むしろ本家ジョーズのシリーズを適当に参考にして、というかパクって作り上げてます(そもそも、どこが激流やねん。ユルユルの川やんけ)。主人公の役者がそこはかとなくブロディ署長に似てるような気すらしてくる(ごくかすかに、ではあるが)。でまあ、どうパクってるかと言いますと、川で変死事件が発生、主人公はサメの仕業だと主張するも相手にされない。主人公は息子に、川に入らぬよう注意するが、友人に川遊びに誘われ・・・「ボクは親父に止められてるから行けないんだ」「ちぇっ、つまんねえヤツだぜ」「じゃあ行くよ」ってな感じで、結局川に入っちゃう。浮き輪でプカプカ浮かびながら「いやあ川って楽しいぜ!」・・・ははは、そんなに楽しそうには見えんが。あまりにも牧歌的かつ健康的過ぎる若者像に、少し目眩が。勿論、そこにタイミングよくサメが現れ、彼らが襲われる事は言うまでもない。救出に向かう主人公、果たして間に合うのか、さらには凶悪なサメを退治することができるのか?(と言ってもこのサメ、映画的には随分小さくて貫禄がない。さらに水準以下のCG描写が本作のショボさにトドメを刺す)。と言う訳で、TV作品にこれ以上ムチ打つのは少々つらくなって来ましたので、観なくても損は無い作品、とだけ言っておきましょうか。ところで、製作総指揮は、MIYOKO SAITOとか言う人なんですが・・・あんた誰?? 2点(2004-01-12 01:03:47) |
3338. ビッグ・マグナム77
殺された妹の復讐のために、刑事が犯人を追うという、一見何の変哲もない映画ですが、ラストがちょいと悲しいというか虚しいというか、意外にいい感じなのです。中盤のカーチェイスが何と言っても見どころ。カーチェイスと言えば、「関係ない通りすがりの車が巻き添えになって大破して行く中を、主人公の車だけが妙に無傷で颯爽と走っていく」ってのが本来の見どころ(?)なのですが、この映画のカーチェイスの場合、予算の関係なのか何なのか、追う車と追われる車がボコボコになりながら、無理矢理カーチェイスを続けていくという、見ごたえあるのか無いのかよく判らないスバラしいアクションになってます。そしてラスト!マグナムってのは、何だかものすごい威力があるんだねえ・・・。 7点(2004-01-11 02:15:13) |
3339. マルホランド・ドライブ
先日久しぶりに帰省した妹が、「最近マルホランド・ドライブという映画を観たけど全然訳が判らんかった、メモ取りながらもう一度観たがやっぱり判らんかった」と言う。だもんで、ココのネタバレレビュー読ませてみると、ナルホドナルホドを連発。どうやら納得したらしく、ついでに私にも観ろと勧める(勿論私にはレビューを読ませてくれない)。だもんで、早速レンタル。何だか映画理解度をテストされてるような気分で観てたのですが・・・はは、やっぱり判らんかった。で、ニヤニヤする妹に降参してネタバレ読んでみたら。何とそういう事か。「そんなん納得いくかい!何でもアリやんけ!」。ま、事前に他の人からも、「意味は判らんけど引き込まれる映画やで」と聞かされていたので、やっぱりその通りだったなあ、と。というわけであまり目くじら立てずに映画の不思議な雰囲気を楽しみましょう。(最後に。無断で登場させてしまった妹よ、スマン。) 7点(2004-01-11 01:54:25) |
3340. 戦場のピアニスト
《ネタバレ》 シュピルマンというピアニスト、知らなかった(というか日本では無名「だった」)のですが、この映画をきっかけに、ドキュメンタリー番組が放送され、CDもリリースされて有名になりました。その彼の驚くべき体験が、むしろ淡々と描かれています。エイドリアン・ブロディ演じる主人公シュピルマン、箸より重いものは生まれてこの方持った事がないというタイプ、少し惚けたような飄々とした感じですが、その彼も否応なく戦争の波に飲まれていきます。ナチスの残虐行為、激しい戦闘シーンも、彼の目を通しているかのように敢えてロングショットで描かれているのが、不気味なまでのリアリティがあります。隠れ家を転々とする彼が、久しぶりにピアノと対面するシーン、非常にあっさり描かれていますがそれでも感動的です。実際に音を立てて演奏する事はできない。しかしその音楽は彼の中で確かに鳴り響いている。後半、ワルシャワ蜂起以降の描写は圧巻です。絶望的な逃避行。ついにドイツ将校に見つかってしまった時のシュピルマンの姿は、髪もヒゲもボサボサの、そりゃまあヒドイ状態(と本人もTV番組のインタビューで言ってましたが)。自分の職業をピアニスト「だった」(「です」を「だった」と言い直してましたね)と答えた彼に対し、ドイツ将校は、何か弾いてくれと言う。何年かぶりにピアノ演奏に取り掛かるシュピルマンのボロ姿、これも決して大袈裟には描かれていないのに、何と神々しく見えたことか! 戦火の中で右往左往するだけだった彼の中には、確かに「芸術」という不変の魂が息づいていた。そう、どんな状態に陥っても、人間の精神は不滅。その精神とは、ある人にとってそれは民族の精神でもあろう。シュピルマンにとってはそれはたまたま音楽、特にポーランド人の魂とも言えるショパンの音楽だったわけである。あのシーンはそういう不屈の魂を象徴したシーンと言えるでしょう。(ところで余談ですが、当代髄一のチェリスト、ミッシャ・マイスキーも、チェロを全く弾く事の出来ない不幸な収容所生活を経験した後、今や屈指のチェリストとして活躍している。演奏家にとっては、練習のみならず、体験もまた、音楽の糧となりうるのです。) 9点(2004-01-11 01:38:09)(良:1票) |