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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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321.  忠臣蔵(1958) 《ネタバレ》 
大映オールスターによる忠臣蔵映画。これで忠臣蔵映画見るの三本目だけど、大映だけあって出演者はもちろん、セットも豪華で凝っていてこれぞ大映!という感じの映画になっていて数ある忠臣蔵映画の中でも特に名作とされているのもうなずける。次から次に出てくる豪華な俳優陣の中でもやはりのちにNHK大河ドラマ「赤穂浪士」でも同じ役を演じる長谷川一夫の大石と滝沢修の吉良が見事なはまりぶり。それに群像劇のようにエピソードてんこ盛りで描いているが、166分間、決してだれることなく見せきっているのはうまい。そのエピソード群は泣かせるものが多いが、とくに時間を割かれている鶴田浩二演じる岡野と若尾文子演じる大工の娘との恋のエピソードがやっぱり印象に残り、吉良邸の絵図面を手に入れるために最初から自分に近づいたのかと問う若尾文子に対し、鶴田浩二が本気で惚れていると告げるシーンは良いし、ふたりの別れのシーンも良かった。川崎敬三と志村喬のエピソードも泣ける。すべてのエピソードが史実とは限らないのだが、忠臣蔵はこのように浪士ひとりひとりの物語として見ても面白いものなのだとあらためて気づかされたし、これがこの物語の人気の理由のひとつなんだなと思う。男優陣だけではなく、先ほど書いた若尾文子をはじめ、京マチ子や山本富士子など女優陣も魅力的に描かれていてその点でも満足できた。冒頭に登場する浅野役の雷蔵もうまく、むしろこういう出番の少ない役なのは勿体ない気がするが、それもオールスター映画の贅沢なところ。それにもし、雷蔵がもっと長生きしていれば彼の大石役が見られたかもとつい思った。勝新演じる赤垣源蔵の別れのエピソードもいいのだが、やはり勝新はもっと後年のほうが好きだな。なにはともあれ、大映時代劇自体をかなり久しぶりに見た気がするのだが、じゅうぶんに大映らしさを堪能できる娯楽大作で、最後まで楽しめた。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-02-18 00:21:01)(良:1票)
322.  思い出のマーニー 《ネタバレ》 
「風立ちぬ」と「かぐや姫の物語」のあと、ジブリがもう一度子供のための作品をということで制作された作品。まったく期待してなかったが、そこまで悪くはなく、米林宏昌監督の前作「借りぐらしのアリエッティ」よりは良い感じ。暗く内向的で病弱な主人公やミステリー仕立ての展開などはジブリらしくないが、宮崎駿監督や高畑勲監督の時代とは違うものを目指そうというスタッフの意気込みが感じられ、ジブリとしてもいろいろ模索しているのだろう。しかし、決して万人請けする内容ではなく、本作公開時になぜあまり話題にならなかったのかも分かる気がする。アンナとマーニー二人のヒロインの友情を描いているが、セリフなどから二人の関係が同性愛的に見えてしまうのはジブリというブランド力のある会社の作品としてはちょっとまずいのではないかと思うし、悪役的存在のばあやも中途半端な感じだ。(「借りぐらしのアリエッティ」でも少し思ったことだが、無理にこういう悪役キャラ作らなくても・・・。)後半に登場するメガネっこがいい味を出していて印象的で、彼女の登場後、物語の雰囲気が少し変わったのは良かった。それにしても、本作のあと、ジブリは製作部門の休止を発表し、米林監督も退社した。ジブリは今後どこへ向かうのだろうか?。
[地上波(邦画)] 6点(2016-02-13 16:26:01)
323.  昭和残侠伝 唐獅子仁義 《ネタバレ》 
シリーズ第5作。この間見た山下耕作監督の「人斬り唐獅子」と比べるといかにも娯楽作といった感じなのがマキノ雅弘監督らしいところなのだが、話自体はけっこう暗く、同じくマキノ監督が担当した「血染の唐獅子」(このシリーズ、はじめて見た作品。)に比べると快活さが足らないような気がしたし、最後の殴り込みシーンで助太刀に入る待田京介もなんか浮いてしまってる印象だった。それでも面白くないということはけっしてなく、楽しめるし、藤純子がヒロインを演じているのも見ていて安心感がある。今回、志村喬が親分役で出演している。東映任侠映画で志村喬のこういう役柄を見るのは意外な気もするが、新鮮だったし、さすがに重厚な存在感のある演技で映画を引き締めていて、あっけなく殺されるシーンも無情感があって印象に残る。
[DVD(邦画)] 7点(2016-02-11 16:48:33)
324.  春を背負って
木村大作監督の前作「剱岳 点の記」よりも万人請けしやすい感じで見やすいのだが、山や自然の美しさだけが印象に残り、木村監督は本当に山が好きというのはよく伝わってくる。しかし、人間ドラマとしてのみどころが薄く、ありきたりな感じで深みも感じられず山好きが作った山の映画という、それ以上でもそれ以下でもない感じなのは前作と同じ印象でハッキリ言って凡作。ただ前作で感じた木村監督以下本作の関係者たちの自己満足感は感じなかったのでそこは良かったかなと。
[DVD(邦画)] 5点(2016-01-28 17:54:42)
325.  昭和残侠伝 人斬り唐獅子 《ネタバレ》 
山下耕作監督が手掛けた「昭和残侠伝」シリーズの一本。このシリーズ自体を見るのがまだ二本目で、しかもかなり久しぶりだったのだが、見ごたえがあり面白かった。山下監督ならではの美しさや障子の影なども丁寧にしっかりと作り込まれていて、監督の代名詞ともいえる花もここぞというシーンで印象的に使われていて、重厚さを感じさせる作風も山下監督らしい。主演のふたり、高倉健演じる花田秀次郎と池部良演じる風間重吉もカッコよく、義理と人情の葛藤がうまく描かれているが、中でも風間の葛藤が印象深く描かれている。山下監督の「戦後最大の賭場」で主人公の妻を演じていた小山明子がヒロインを演じているのもやっぱり新鮮な感じがする。それに千恵蔵演じる親分も存在感があり、いい味を出していてよく、とくに殺されるシーンの静かな演技が印象に残る。そのほかの脇役たちもそれぞれイキイキとしている。そんな脇役たちの演出がしっかりとしているからこそ主演のふたりがひきたつのだ。クライマックス近くで風間が組を抜け、秀次郎とともに殴り込みをかけるシーンも美しさがあり、たまらないし、「死ぬときは一緒だ。」という秀次郎のセリフに秀次郎の風間に対する深い思いを感じられるし、殴り込みで負傷した風間に「死ぬときは一緒だっていったじゃねえか。」と声をかけ、風間に肩を貸し、二人去っていくシーンも美しさやぐっとくるものがあり、感動的だった。
[DVD(邦画)] 8点(2016-01-23 14:39:21)
326.  拳銃は俺のパスポート 《ネタバレ》 
カルト映画と呼ばれる宍戸錠主演のハードボイルドガンアクション映画。モノクロの画面が渋い独特の雰囲気を醸し出していて、やはりこういう映画にはモノクロの映像がよく似合うとあらためて感じる。冒頭の組長暗殺シーンも緊張感にあふれていて、見せ方も手を抜かずリアルでこれだけでもう見てよかったと思える。暗殺の標的になるこの組長をこういう雰囲気の映画にはあまり似つかわしくないようなアラカンが演じているのが意外に感じるが、同時にそこがツボだった。(一言もセリフがないというのがまた良い。)そのあとは主人公たちの逃避行とそれを追うヤクザたちの攻防が描かれているが、それも見ていてハラハラドキドキさせられる展開で飽きさせない脚本が良い。途中で出会うヒロインを演じる小林千登勢も可愛らしく魅力的だ。冒頭のタイトル部分から西部劇のような音楽が流れているのもカッコいいが、クライマックスの決闘シーンは本当に西部劇を思わせる演出で、なるほどと思った。それにリアルタイムで見る宍戸錠というのは西部劇にかぶれた人という印象があるのだが、それも妙に納得。ラストこの主人公は殺されるのではと思わせておいての大逆転劇も(確かに敵が少し油断しすぎのようにも見えるのだが。)見事。これがデビュー作となる共同脚本の永原秀一はこの後、加山雄三や松田優作主演のハードボイルド映画を手がけることになるのだが、その片鱗はじゅうぶんに感じられる作品になっている。少し甘めなのだが8点を。
[DVD(邦画)] 8点(2016-01-15 23:30:05)(良:1票)
327.  LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標 《ネタバレ》 
「峰不二子という女」に続く「ルパン三世」のスピンオフシリーズ第2弾。前作を未見なため、このシリーズは初めて見るが、ファーストシリーズを意識したようなおちゃらけ感0のひたすらハードボイルドに徹した作品で、テレビスペシャルのようなぬるさもなく最初から最後まで楽しめた。ルパンを演じるクリカンの声も低くシリアスで、今までと違う感じが出てて良かったし、渋みのある作風もいかにも大人向けのアニメという感じで、こういうのが本来の「ルパン三世」の魅力なのだろうとあらためて思う。次元を主軸に置いたストーリーで彼と殺し屋・ヤエル奥崎との対決がみどころになるが、このヤエル奥崎のキャラクターも手を抜かず作り込んでいて印象的で、だからこそこの二人の対決が盛り上がる。レギュラーの五右衛門が終盤写真でしか登場しないなど、登場人物たちが絞られていて、これが作品をよりテンポのいいものにしているのも良い。でも、後編のエンドロール後の銭形とマモー(西村晃が既に亡くなっているので、声優は違うはずだが、まったく違和感がなかったのは良かった。)の登場シーンは必要だったのかどうか。
[DVD(邦画)] 7点(2016-01-09 13:38:42)
328.  名探偵コナン 江戸川コナン失踪事件 史上最悪の二日間<TVM> 《ネタバレ》 
内田けんじ監督が脚本を担当した「名探偵コナン」のテレビスペシャルで、内田監督のヒット作「鍵泥棒のメソッド」の続編的作品でもある。冒頭でコナンが銭湯で転倒し、記憶喪失になるという展開はやや二番煎じ感があるが、(転び方が「鍵泥棒のメソッド」のコンドウの転び方とまったく同じなのが笑える。)時系列の入れ替えなども利いていて面白いし、警察関係者は目暮警部などコナンに登場するレギュラーの人物が一人も登場せずに本作限りの刑事のみ登場するというのも、あまりコナンの世界観に縛られずに内田監督が脚本を書いているのが分かる。「鍵泥棒のメソッド」は一年前に見ているが、本作のストーリーは「鍵泥棒のメソッド」を見ていないと理解できない部分もあり、とくに後半の桜井の登場は「鍵泥棒のメソッド」を見ていない人には唐突に感じた人もいるかも。「鍵泥棒のメソッド」と同じ役で広末涼子と香川照之が声優として出演しているが、この桜井の声は堺雅人ではないのはアニメとはいえちょっと違和感を感じなくもないし、ラストは内田監督お得意のどんでん返しだが、そこは「名探偵コナン」に縛られてしまった感もあるのが不満といえば不満だが、それでも、いつものコナン(あまり見ていないのだが。)とは一味違う内田監督らしいテイストの作品になっていて面白かったし、それに見終わったあとにまた「鍵泥棒のメソッド」が見たくなった。
[地上波(邦画)] 6点(2015-12-31 15:53:59)
329.  桜田門外ノ変 《ネタバレ》 
桜田門外の変を描いた時代劇だが、事件に至る経緯がメインではなくて、大老暗殺に参加した藩士たちのその後がメインになっているのが若干の肩透かしを感じる。冒頭で桜田門外の変を描き、そこに至る経緯はそのあとの回想シーンで描かれているが、この構成が本作をちょっと分かりにくいものにしていると思うし、藩士たちの逃亡劇にドラマがあるというわけでもないので歴史をなぞるだけに終始し、純粋に物語として面白味がほとんどなく、まさしく歴史の授業で見せられる映画という感じ。いちばんの見せ場である序盤の変のシーンはけっこう力が入っているが、そこに至るまでが描かれていてこそカタルシスを感じられるのにそれは後回しなので見せ場として非常に物足りなく感じ、もっとそこを描くべきだったと思う。大作感は佐藤純彌監督の前作「男たちの大和」に続いて巨大なセットを使った撮影に見られる。キャストの中では藩士の一人を演じる生瀬勝久はコミカルな役どころの多いイメージがあるが、(今BSで再放送されている「トリック」を見ていることもあって矢部のイメージが強くなってる。)それとはまったく違うシリアスな役柄を違和感なく演じているのが印象に残る。ほか、主人公を匿う本田博太郎や温水洋一がいい味を出していた。それだけに、映画に物語としての面白味があればなあと思ってしまう。
[DVD(邦画)] 5点(2015-12-30 12:12:39)
330.  恋山彦 《ネタバレ》 
マキノ雅弘監督による大川橋蔵主演の時代劇。仇討を描いたマキノ監督らしい娯楽映画でそこそこ面白いし、橋蔵が二役を演じているが、一方がもう一方を助けるために命を捨てるという展開もベタはベタだが、良かった。主人公を匿う絵師の男を演じる伊藤雄之助はやっぱり出てくるだけで印象に残る。マキノ監督の映画ではどちらかと言えば平均的な作品でやや物足りない部分もあったが、久々に見た東映時代劇で最初から最後まで安心して見ることができた。
[DVD(邦画)] 6点(2015-12-26 08:17:28)
331.  ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発!<TVM> 《ネタバレ》 
「ルパン三世」テレビスペシャルの第1作。後の作品のように特定のレギュラーキャラを主役に据えた作品ではなく、それぞれの見せ場がそこそこあるような作風は1作目ならではか。でも、出来としては既に微妙な感じでどこか散漫な印象。ゲストキャラの小生意気な少年がいい味を出している。この少年と母親の再会がドラマとして描かれているが、その母親が色仕掛けを使う敵組織の幹部というのはいただけなかった。そのため、親子の再会シーンは何か急にお涙ちょうだいな雰囲気になってしまったのは見ている側としてはすごく冷めてしまい、もっとこの母親を違う設定で描いていればもうちょっとは良かった気がする。それと五右衛門は既に女に利用されるだけされるというヘタレキャラで、テレビシリーズの頃から徐々にそうなっていったとは思うけど、本当にこのテレビスペシャルではこんなんばっかな気がする。少年の声を田中真弓が演じているが、彼女はクリカンが初めてテレビスペシャルでルパンの声を担当した作品にも出ていたことを思い出した。
[DVD(邦画)] 5点(2015-12-19 11:18:22)
332.  ごろつき(1968) 《ネタバレ》 
高倉健とまだ東映に入って間もない頃の菅原文太が共演するマキノ雅弘監督の任侠映画。任侠映画には違いないのだが、前半は任侠映画というよりはキックボクシングを題材にした青春スポーツ映画のようになっていて、いつもの東映任侠映画とは毛色が違うが、それがかなり新鮮だったし、こういうのもいいなと思う。菅原文太はこの頃まだ東映では売出し中の頃なので、チョイ役なんだろうなと見る前は思っていたが、高倉健と一緒に田舎から上京する友人役で、完全にもう一人の主人公という立ち位置で描かれていて、これが本作最大のみどころではないだろうか。中でも、高倉健が流しの歌手として菅原文太のギターで「網走番外地」と「昭和残侠伝」の主題歌を歌うシーンは珍しく、今となっては貴重すぎる映像で、もちろん、マキノ監督の東映任侠映画ファンに対するサービス心のようなものも感じられる。ヒロインとなるボクシングジムのトレーナー(大木実)の妹を演じる吉村実子、決して美人というわけではない、どちらかと言えばバタ臭い感じのする女優だが、ボクシングジムという男臭いところにいる女性としては美人女優よりもこういう感じの女優が演じているほうがしっくりくるかもしれない。脇役たちが光っているのもマキノ監督らしいところだが、とくに主人公ふたりを何かと気に掛ける男を演じた石山健二郎が良い。当時のキックボクシングのスター選手だった沢村忠も出演しているなどしているのは当時のキックボクシングの人気をうかがい知れる。任侠映画なので仕方がないが、個人的にはヤクザを絡めずにボクシングの話だけで終わっていても良かった気はする。でも、久しぶりに見たマキノ監督の映画で、見ていて単純に楽しめたし、今年何本か見た高倉健と菅原文太の共演作の中ではいちばん気に入った映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2015-12-10 00:45:25)(良:1票)
333.  神戸国際ギャング 《ネタバレ》 
高倉健の東映専属時代最後の主演映画で、菅原文太とも最後の共演作となるアクション映画。なのだけどなんかバタバタしすぎていて落ち着かない印象で、高倉健の演じる役柄も彼のイメージとかけ離れていて違和感を覚える。(どっちかというと文太が演じてしっくりくるような役柄。フリーになるのを前にイメチェンを図ったのか。)それに文太との共演も同年の石井輝男監督「大脱獄」のほうが良かったように思うし、クライマックスの二人の対決もあっけない印象でイマイチ。登場後、すぐに殺されてしまう丹波哲郎や、この後、健さん映画の常連俳優となる大滝秀治が変な日本語を喋る中国人を演じているのもなにかもったいない感じしかしなかった。
[DVD(邦画)] 5点(2015-12-04 22:04:51)
334.  戦後最大の賭場 《ネタバレ》 
鶴田浩二と高倉健の共演する山下耕作監督による任侠映画の一本。ついこの間、山下監督の「博奕打ち外伝」を見たばかりで、一週間ほど間を開けて見たのだが、タイトルに「戦後」とあるように製作当時の近現代(昭和37年)が舞台で、この頃の東映任侠映画といえば明治時代あたりが舞台というイメージが強いので少し異質に感じてしまうのだが、面白かった。山下監督の演出はやはり重厚感があり、話としてはよくある任侠映画のパターンのように思うのだが、それをドラマとして飽きさせずに見せていく手腕はやはり見事だ。東映の悪役俳優の一人である山本麟一が主人公に子供のためにこの世界から足を洗えと説得される仲間を演じているのが珍しく、とくに彼が岩佐(安部徹)のところへ殴り込みに行くシーンで堅気の親子とすれ違うシーンは何とも言えない哀愁が漂い、本当は妻や子供と平穏に暮らしたいと思っているであろう彼の悲しみがたまらなく印象に残る。裏切られ、虫けらのように殺されてしまう高倉健の最後の言葉が兄弟分である鶴田浩二を思っての言葉なのがグッとくる。ついに殴り込みをかけることになった鶴田浩二に離縁を切り出された妊娠中の妻(小山明子=大島渚監督の映画以外で見るのはけっこう新鮮。)が言う「女は嫁いだらその家が死に場所なんです。」というセリフがいつまでも耳に残る。岩佐と菊池(金子信雄)を倒してエンドではなく、主人公もまた無残に殺されてしまうという結末はやりきれないものがあり、切なさが残る。そのシーンの鏡を使った演出も良かった。ところで、金子信雄は「博奕打ち外伝」ではコミカルな医者を演じていたが、やはりヤクザ映画ではこういう憎たらしい悪役のほうがハマっている。
[DVD(邦画)] 7点(2015-11-30 00:02:43)
335.  博奕打ち外伝 《ネタバレ》 
山下耕作監督による鶴田浩二主演の任侠映画。今月一周忌を迎えた高倉健や菅原文太も出演するなど豪華なキャストで、ストーリーも対立する二つの組のドラマを対等に描き、明確な悪役の存在はなく、ドラマに重きを置いた内容で、ただの勧善懲悪にはなっていない。「博奕打ち 総長賭博」もそうだったが、誤解やしがらみによる争いが本作でも描かれていて、あの映画には及ばないものの見ごたえのある映画でなかなか面白かった。ストーリーのカギとなるのが若山富三郎率いる組の代貨し(松方弘樹)で、彼の親分を思っての勝手な行動がやがて悲劇を生むという展開なのだが、終盤近くの若山富三郎と松方弘樹のやりとりは、そこまでして親分である若山富三郎を思う松方弘樹の気持ちが伝わってきて本作の中ではとくに印象に残る。鶴田浩二と若山富三郎のどちらにも恩義があり、なんとか争いごとを避けたい高倉健の苦悩はもう少し掘り下げていても良かった気がしてしまうが、まあ仕方ないといえば仕方ないか。(でも、この役を高倉健が演じていることによって安心感はある。)誤解から鶴田浩二の弟たち(菅原文太、伊吹吾郎)が殺されてしまう展開も悲劇的なのだが、最後まで自分の弟を守ろうとする文太には思わず感動させられた。とはいえ健さんと文太、一緒のシーンが一回もなかったのは残念だし、既にこの時期藤純子も引退してるせいか、出演しておらず、浜木綿子(冒頭で鶴田浩二が彼女に向かって「見ない顔だな」というシーンがあるが、東映任侠映画では本当に見ない顔。)が芸者役で出演しているが、この役を藤純子で見たかった気もする。東映任侠映画としては最末期の作品(本作から約半年後に「仁義なき戦い」が公開され実録路線へ。)で、モヤモヤが残り、あまり後味がいいとは言えない本作のラストは物語の終焉だけでなく、10年近く続いた東映任侠映画そのものの終焉を感じさせている気がして、よけいに物悲しく、そして印象的だった。
[DVD(邦画)] 7点(2015-11-21 17:06:37)(良:1票)
336.  花と竜(1962)
舛田利雄監督による裕次郎主演のアクション映画だが、基本的に現代劇という印象がある日活アクション映画では珍しく明治時代が舞台の任侠映画っぽい雰囲気の作品になっている。ストーリー自体はそこそこ面白いと思うし、浅丘ルリ子扮するヒロインの技もインパクトがあって強烈で、裕次郎演じる玉井金五郎のタフさにも驚かされるのだが、いかんせん初めて見る着流し姿の裕次郎には違和感がつきまとい、見慣れた東映の鶴田浩二や高倉健の着流し姿と比べてしまうとその似合わなさが際立って見えてしまい、この役に裕次郎というのはちょっとミスキャストに感じ、もっとほかにいなかったのだろうかと考えてしまった。もちろん裕次郎主演ということがウリな映画ということは分かってはいるけれど。
[DVD(邦画)] 6点(2015-11-14 16:57:36)
337.  いつでも夢を(1963)
橋幸夫の代名詞的な代表曲をモチーフにした日活の青春映画で、いかにもそれらしいカラッとした明るさがあり、安心して見ていられるプログラムピクチャーの一本。橋幸夫本人もメインで出演していて「いつでも夢を」のディエットの相手である吉永小百合(どうでもいいが、「あまちゃん」を見た後だとこの曲のディエットの相手と言えば宮本信子を思い浮かべてしまう。)と浜田光夫の日活青春映画黄金コンビに橋幸夫が加わっているというキャスティングだが、違和感は特になく、スッと入っている感じなのが良かったし、演じるトラックの運転手のチャキチャキした江戸っ子なキャラクターもよくハマっていて、強引にねじ込んだ感は0。タイトルの出演者クレジットで橋幸夫が吉永小百合と浜田光夫を差し置いてトップ表記なのも彼が当時いかに人気があったかを物語っている。(出番の少ない松原智恵子が吉永小百合よりも先に名前が出るのは確かに謎だ。)映画の印象としてはやはり平凡だが、リアル三丁目の夕日といった雰囲気があり、あの映画を見るよりは実際に当時作られた映画を見ているほうが有意義な気もする。(あのシリーズ、決して嫌いというわけじゃないけど。)橋幸夫演じるトラックの運転手の母親が田舎から出てくるくだりは、母親を演じているのが飯田蝶子のためか、小津安二郎監督の戦前の名作「一人息子」を思い出した。ひょっとしたら意識してやっているのかもしれない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-11-08 14:29:30)
338.  探偵物語(1983) 《ネタバレ》 
松田優作が探偵役で出演していてタイトルが「探偵物語」というとつい「工藤ちゃーん!」のほうを思い浮かべてしまうが、薬師丸ひろ子主演の角川のアイドル映画である。(ああ、紛らわしい。)主演の薬師丸ひろ子の可愛さは本作でも出ているが、先日までBSで再放送されていた朝ドラ「あまちゃん」をすべて見終わった直後のせいか、それと比べると演技がすごくぎこちなく見え、今まで気にしたことがなかったが、こんなものだったのかと思ってしまった。確かにこの頃の薬師丸ひろ子は可愛くてわりと好きだが、女優としてはやはり今のほうがいいかも。(でも、いちばんの代表作は「Wの悲劇」)松田優作は工藤とはまったく違う探偵を演じているが、やはりタイトルのせいか、どこか違和感があったし、この役に松田優作というのはもったいない気がする。ストーリーにヤクザが絡んでくるところなどは、赤川次郎原作ということもあってか「セーラー服と機関銃」を思い出した。そのストーリーも対して面白味があるわけではないので、映画としては可もなく不可もなくといったところ。ラストの空港のシーンは原田知世の「早春物語」の逆パターンだが、エンドロールの間、ずっと立っている松田優作を映し続ける長回し演出もあってか、こちらのほうが印象に残る。それに映画の主題歌といえばエンドロールで流れるイメージだが、本作ではラストシーンの直前に流れ、エンドロールではインストが流れるというのが意表を突いていた。ところで本作を見たのは「あまちゃん」で薬師丸ひろ子と松田龍平が共演しているのを見たからなのだが、本作では若手として松田優作と共演していた薬師丸ひろ子が「あまちゃん」ではベテラン女優としてその息子である松田龍平と共演していることは時の流れを感じるとともにちょっと感慨深くもある。(見た順番、逆だけど。)ロングショットで分かりにくくはあるが、ワンシーンだけ蟹江敬三が出演しているのも「あまちゃん」にハマって見ていた者としては嬉しい。ひょっとして自分、立派な「あまロス」か?
[DVD(邦画)] 5点(2015-10-31 13:17:13)
339.  本日休診 《ネタバレ》 
冒頭からテンポが早く、コメディタッチなのだが、反面、シリアスな社会派作品でもあり、戦後の貧しさや傷跡といったものが痛切に描かれている。医者である三雲先生は本日休診の札をかけて休もうとしているが、そういう貧しい人たちを放ってはおけず診察に応じる。この三雲先生のキャラクターがなんとも飄々としていて魅力があり、演じる柳永二郎といえば「座頭市物語」などで悪役のイメージがあるだけにこのギャップはすごいが、こういう善人役もうまく演じられるのはやはり名優の証拠で、主演で見るのはもちろん初めてだが、本作は彼の代表作といっていいのではないだろうか。出演者クレジットのトップは柳永二郎ではなく鶴田浩二なのだが、指を詰めるのが痛いからと麻酔を打ちに来る若いヤクザ役というのが後年の東映任侠映画での彼を知っているとものすごく笑える。でも、まだ若すぎて貫ろくは足らない。本作で戦争の傷跡をいちばん感じさせるのが三國連太郎演じる気のふれた男で、コミカルに描写されてはいるが、重く、戦争の愚かさについて考えさせられるし、この男の敬礼の下、雁をみんなで見守るラストシーンも、戦後の復興に向けた力強いメッセージのようなものを感じられ、とても印象に残る。しかし、渋谷実監督の演出はコメディとシリアスのバランスもよく、この監督の映画を見るのは初めてだったが、雰囲気としては川島雄三監督の映画に近いものがあり、もっと渋谷監督の映画は見てみたいと思った。それにしてもこの映画、作られた時代の空気というものがよく出ているのも良い。それはこの時代だから出せるものであって、後の時代では決して出せるものではない。そういうのを見るのも昔の日本映画を見る醍醐味である。
[DVD(邦画)] 7点(2015-10-24 14:34:42)
340.  サイドカーに犬 《ネタバレ》 
あまり期待はしていなかったし、淡々とした印象もあるのだが、だんだん引き込まれた。話自体は大人の視点から見ればけっこうなドロドロ系なのにあくまで小学4年生の少女・薫とヨーコさん(竹内結子)との交流に主題が置かれているためあまりそうは感じないし、純粋に小学生のひと夏の思い出を描いた作品としてよく出来た清涼感のある映画になっていて、ヨーコさんと自転車を一緒に練習したり、コーラを買ったり、一緒に旅行に行ったりといったエピソードや、そんなヨーコさんとの交流を通して少しずつ変わっていく少女が丁寧に描かれている。それがあるから、突然訪れるヨーコさんとの別れや、ラストの父に対する頭突きが切ない。ヨーコさんがとても魅力的で、演じる竹内結子もすごくハマっていた(とくにファンである女優というわけではなく、見た役柄で思い出すのは未だに15、6年前の朝ドラのヒロイン役だったのだが、それが少し変わるかも。)し、もちろん、主人公の少女を演じた松本花奈の演技の自然さも良い。同じく両親が離婚することになった小学生を描いた映画としては相米慎二監督の「お引越し」があり、見ながらつい思い出したが、あの映画とはまた違った良さがある。そして出番は少ないが、樹木希林のコミカルで強烈な演技はやっぱり面白く、シリアスな演技もいいが、やっぱりこの人にはこういう役がいちばん合っている気がする。
[DVD(邦画)] 7点(2015-10-17 23:21:36)(良:1票)
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