3461. セルラー
危機の振り方にしてもその解決の仕方にしてもものすごく単純で、何か目新しいことをしているわけではないのですが、手がかりが偶然つながった回線のみという設定をフルに活用し、ほかの次元の問題に色目を使わないところが誠実で良い。それにしても、ひたすら泣き顔で座っているだけなのに何とも言えん色気を感じさせるキム・ベイシンガーはやはり凄い。以前の大女優然としていた頃よりも好感度アップです。 [DVD(字幕)] 7点(2007-09-10 01:59:40)(良:1票) |
3462. 青の炎
青と黒を基調とした画面構成の迫力はなかなか。脚本は、最初に見たときは説明台詞が多いかと思ったのだが、再見したらそうでもなかった。全体的なじっとり感の統一は演出の芯の強さを窺わせるが、難点は、母親が物語の上であまり機能していないところかなあ。というか、秋吉久美子だと結局は何でもできそうに見えて「追い詰められ感」に欠けてしまうので、ここはもっとやつれた感じの人を当ててほしいところでした。 [DVD(邦画)] 5点(2007-09-10 01:46:03) |
3463. チャイナタウン
主人公の調査なり行動が最初から最後まで一本調子で、真相の判明も単に運良く適当に分かっただけという印象が拭えませんでした(事件の背景自体、そんなに新鮮味のあるものでもないし・・・)。ラストシーンも、インパクトや意外な着地を狙ったというよりは、単にちゃんとした締め方が思いつかなくてああなってしまったという感じ。気怠い音楽で雰囲気はよく出ているので、点数はそこに対して。 [DVD(字幕)] 5点(2007-09-09 03:00:24) |
3464. クリビアにおまかせ!
オランダ語で歌われるミュージカルなんて、普通接する機会はないですから、それだけでわくわくしてしまうではありませんか。で、やっぱり内容的には大したことなくて、老人ホーム(?)をめぐる家主と経営者のやりとりが延々と繰り返されるだけなのですが、そんなどうでもいいようなことにここまで熱くなれる出演者の皆様が素晴らしい。とりあえず、好奇心は満足されました。 [DVD(字幕)] 5点(2007-09-09 02:18:54) |
3465. ショウタイム
デニーロもマーフィも手を抜きまくりの演技で、テンションの高さを全然感じない。せっかくのカメラの後追いという設定も、本当にただついて行っているだけで、特段意味のある絡みがあるわけでもなく、登場人物にとってと同様、見る側にとっても邪魔になっているだけ。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2007-09-04 03:44:17) |
3466. 幸せになるためのイタリア語講座
落ち着きのないカット割と不自然に揺れるカメラ、もうこれだけで駄目です。筋からいえばごく日常的なほのぼのした内容のはずなのに、何でこんな殺伐とした撮り方をするのかな。語学講座を題材とした新鮮さに2点、美容院でのさりげないラブロマンス描写に2点。 [DVD(字幕)] 4点(2007-09-04 03:30:45) |
3467. やわらかい生活
特に見るべきところのない登場人物のどうということもない日常生活を延々と流されても、別に面白くもありません。また、男が4人寄ってくるというのがポイントのようなのですが、みんな同じような人にしか見えませんでした。 [DVD(邦画)] 4点(2007-09-01 02:46:52) |
3468. ハーレムのヴァイオリン教室
《ネタバレ》 「ミュージック・オブ・ハート」で描かれたヴァイオリン教室のドキュメンタリー版です(こっちが先ですが)。「ミュージック~」では、教室ができあがるまでとできあがってからが半々くらいの割合でしたが、こちらは後半部分がほとんどで、つまり教室の存在が有名になって、生徒たちが詰めかけるようになってからの状況を前提としています。つくり上げるまでの苦労や裏話の部分も見たかったのですが、その無名な頃の映像なんて誰も撮ってないんだろうから、仕方ないか(とはいえ、インタビューや資料撮影はできたと思うけど)。その代わり、日常的な指導の光景は、存分に見ることができます。「ミュージック~」ではメリル・ストリープが演じていたロベルタ・ガスパーリ先生の、叱るときは容赦ない、しかし決して感情を爆発させない、ヴァイオリンへの真剣さに満ちた指導は、教育モデルとしても参考になります。カーネギー・ホール公演の実際の映像も最後に登場し、いかに凄い光景だったかが分かります。 [地上波(字幕)] 6点(2007-08-31 01:22:30) |
3469. 終わりで始まりの4日間
主人公が何をそんなに悩んでいるのかもさっぱり分からないし、サムとの出会いがどのような変化をもたらしたのかは尚更分からない。心理描写を通り過ぎて、雰囲気とそれっぽい台詞だけで進んでいくドラマは虚しいです。ナタリーに免じて5点。しかし、彼女もレオンの後はいい主役の作品に恵まれないね。 [DVD(字幕)] 5点(2007-08-30 02:35:44)(良:1票) |
3470. 12人の優しい日本人
《ネタバレ》 まさかオリジナルより面白いとは思いませんでした。とにかく、12人の陪審員がいちいち「いるいるこんな奴」という人たちばかりで、ずれまくる論点やかみ合わない会話を聞いているだけで笑いが止まりません(何人か、人格を強調しすぎで浮いている人もいますが)。また、オリジナルの弱点であった証拠関係の細かさについても改善されています。衝突寸前の2人の立ち位置とか、かなり無理がある論証もありますが、被害者の酔った度合いとか、移動のルートや経過時間の意味とか、目撃者の位置関係など、実際にも重要である要素にもきちんと言及されています。ただし、製作者が自分の想い(祈り)を正面から具現化したオリジナルに比べ、こちらの方は技巧に走りすぎているというイメージは拭えず、その点ではオリジナルの方が上ですね。あと、1人ずつ出て行きながらそれに合わせて字幕を出していくラストの長回しは良かったです。 [DVD(邦画)] 7点(2007-08-30 00:27:30) |
3471. 冬冬(トントン)の夏休み
《ネタバレ》 台湾版「プロヴァンス物語」でしょうか?(こちらの方が先ですが)祖父母の家に預けられた幼い兄妹の一夏の物語、と一言で済ませられてしまいますが、強盗事件に遭遇した顛末をめぐる一幕があったり、妹が間一髪で列車に轢かれそうになったりと、よく見ればかなりへヴィな部分もあったりします。しかし、そんなことでも、近所の子との川遊びなんかとまったく同じ次元で淡々と描写されるのが凄い。これこそ少年少女の視点です。しかも、妹が命を助けられたことは、周囲の大人にはまったく伝わっていません。目撃した兄も最後の方は忘れているっぽいので、完全な妹だけの秘密です。こういうところからも、監督が子供の視線を大切にしていることが分かります。あと、屋外でも空間を存分に使い、室内でも奥行きを駆使するカメラワークも印象的でした。 [映画館(字幕)] 7点(2007-08-27 04:58:32) |
3472. マスター・アンド・コマンダー
荒くれ男たちの汗まみれ海水まみれの大海戦展開劇かと思って見たのですが、ほとんどは何かほのぼのしたのんきな感じで、合戦シーンなどはごく一部で、むしろ「ジャック・オーブリーの航海日記。今日はこんなことがありました」を延々と見せられている感じでした。まあ、当時の実際の航海なんてのはこんな感じだったんでしょうね。ただし、結果として見た側も「乗った気にさせられる」力は、なかなかのものだと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2007-08-27 02:35:01) |
3473. 雨鱒の川
《ネタバレ》 少年時代の部分は、子役の演技力のなさに目をつぶれば、まあまあ見られる範囲内なのです。ところが、肝心の現在部分が、「なぜそこで君はそうするか?」「え?この関連はここで終わり?」の連発で、見るに堪えません。クライマックスであるはずの川辺の部分なんて、ほとんど崩壊しかかっています(しかもそこで閉幕とは・・・)。都会でめぐりあう同級生も、一体何のために出てきたのか分かりませんでした。いつの間にかお祖母ちゃん役をやるようになってしまった(!)星由里子に3点。在りし日の荒木道子のような雰囲気でした。 [DVD(邦画)] 3点(2007-08-26 21:29:14) |
3474. 涙そうそう
《ネタバレ》 何がまずいかって、至る箇所で頻出する説明台詞・説明描写の数々。それと、兄妹関係についての、味付けも何もない陳腐な描写。再会の夜に会話を求めて隣で寝るとか、兄の彼女にちょっと妬いてみながらも友好的に接してみせるとか、それがただちにいかんというのではないけど、それをストレートに画面上に出すだけしか能がないのはダメです。中盤以降の適当な展開については何をか言わんやです。大体、大学には当初は家から通学することも考えていたのだから、大学近くに別居したといってもそれほど遠い距離ではないはずなのだが、入学後1年以上も何も互いに音沙汰なしで、ある日突然再会に向けて盛り上がるって何なのよ。こういった基本的設定すら疎かにされると、醒めます。森下愛子に2点。 [DVD(邦画)] 2点(2007-08-26 19:22:27) |
3475. 手紙(2006)
《ネタバレ》 主人公は最初は誠実に受刑者の兄に接し、途中からは疎遠になるが、それでも兄の存在が自分に負の影響を与え続けることを知り、ある日縁切りの通知を行う。兄はそれによって弟の本心を知り、突然考えを改め、それと同時に対被害者との関係も一応の解決を見る。要するに、「逆ギレ一発」によって全部が都合良く解決しているのである(他方、主人公家族に偏見・圧迫を加えていた周囲との関係はどうなったのか、といったあたりは何も描写されていない)。物語の解決として、何とも安直だと思う。それまでの受刑者との意思疎通の部分をほとんど全否定し、自分の本音だけを押しつければ事足りると言わんばかりの持って行き方は、あまりに一面的に過ぎるし、かつ雑である。 [DVD(邦画)] 2点(2007-08-26 13:28:45) |
3476. 裸の銃を持つ男 PART2 1/2
予想通りの内容で悪くはないのですが、対象を環境問題がらみなんて真面目なものにしない方がよかったかも。雰囲気が合ってません。 [DVD(字幕)] 5点(2007-08-18 00:42:15) |
3477. ワイルド・フラワーズ
《ネタバレ》 特に期待していなかったので、意外な内容の良さにびっくりしました。一番良かったのは、リング上のトレーニングや試合のシーンを、小細工をせずに素朴に正面から撮り切っていること。リングのバタンバタンという音、選手の息づかいや表情、肉体の衝突する音や質感、まわりの声援(罵声?)なんかも全部そのまんま伝わってきます。こういうところで真剣にやっているからこそ、台詞がイモ臭かろうが、中心2人以外のレスラー陣が途中からほとんど無視されていようが、クライマックスに至る過程が都合良すぎだろうが、それらを押しのけて作品として心に残るのです。最初と最後に出てくる主人公の母親の手紙と同様、製作者のプロレスに対する深い愛情を感じる作品です。懐かしの志生野温夫アナの登場にもびっくり。 [DVD(邦画)] 7点(2007-08-17 22:31:07) |
3478. モンスター(2003)
シャーリーズ・セロンの変貌のインパクトのせいでそれなりの内容はあるように見えてしまうが、実際にあのような特殊な人生を歩んだ死刑囚の内面なり背景なりをどれほど突っ込んで深く描写できていたかというと、疑問符をつけざるをえない。セルビーとの出会いに至るまででも、彼女の人格を形成した要素はたくさんあったと思うし、逮捕後はどうだったのか、裁判後は何か変わったのかどうなのかというところもきちんと見せてほしかった。逆に、大半の重点を置かれているセルビーとのやりとりも、特段目新しいものがあるとはいえず、かえって作品を単調にしてしまっている。むしろ、彼女の登場時間はもう少し絞った方が、主人公の人生の中での存在の意義を高められたと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2007-08-17 00:12:45) |
3479. イヴの総て
《ネタバレ》 冒頭の女優の絶頂としてのイヴと、返す刀で出てくるただの一少女のイヴ。この2つのアン・バクスターの演技を見ただけで内容十分な作品の予感がしてくるのですが、はたして期待通りでした。俳優陣の名演を生かすべく、一つ一つのシークエンスを十分に延ばして、心理戦のやりとりをたっぷり見せてくれるのが嬉しい。中でも印象的だったのは、バスルームに消えたイヴとアディソンのやりとりで、アディソンが(イヴにとって)やばい質問を発するのですが、そのときにバスルームのドアを映すだけで(本人をまったく映さずに!)イヴの内心の動揺を表現していたシーンです。これには痺れました。皮肉と回帰を感じさせる着地部分も、見事に決まっています。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-15 23:52:01) |
3480. 靴に恋して
《ネタバレ》 環境はそれぞれ違うが、5人の主役の描写はみんな似たような感じ。つまり、日常生活にストレスを抱えていて、内面に新しい変化が起こっても(その多くは男性関係なのだが)上手く対応することができず、もやもやしたまま停留してしまう。そんな風に基調のトーンが全部似通ってしまっているため、趣向を凝らして5人の登場人物を設けても、それがしかるべく絡み合っても、訴えるものがないのです。結果、ラストも都合良くまとまってしまっただけという感じでした。筋立てとしては悪くないので、一応この点数。 [DVD(字幕)] 5点(2007-08-14 03:08:30) |