341. ファイナルファンタジー
大方の感想に違わず、映像的にはまず申し分なし!CGでの再現によるそのリアル感には驚嘆するばかりで、とりわけシド博士の造型は見事と言うしかない。ただ案の定、ストーリーが伴なっていないと言うか、彼らはいったい今、何をやっているのかという、このテの作品にありがちなシチュエーションの希薄さで、作品の印象が曖昧なものになってしまったのが残念だ。 6点(2001-09-29 23:35:07) |
342. 千と千尋の神隠し
R・ゼメキス監督作品「コンタクト」のワンシーン。J・フォスターが乗ったポッドの落下する一瞬に見る夢幻空間。成長過程にあって人間誰しもが経験していくであろう大人への憧れと不安というものを、千尋が体感したのはまさしくこのまばたきするほんの一瞬の夢の出来事だったのだろうか。両親を助ける為に働くことを余儀なくされ、様々な人々と関わり合いながらやがて生きていく為の知恵をつけていく。冒頭、車の後部席に横たわったペスミスティックな表情の彼女と、トンネルの向こうを振り返るラストのその横顔との決定的な違いを、少女の成長と見るのは早計かもしれないが、しかし多様な見方が出来るのはそれだけ懐が深い作品だということだろう。とは言うものの、宮崎ワールドのまさしく豊穣なイマジネーションと極彩色の世界を思う存分堪能することが、この作品の正しい楽しみ方であることは言うまでもない。 9点(2001-09-25 00:20:00)(良:1票) |
343. 大河の一滴
ベストセラーは確かエッセイのはずで、そのタイトルを借りただけの全くの創作。従って厳密な意味での原作の映画化ではないのだが、それではいったい何故この様なお話になったのだろうか。とりわけ話の中核である若い男女の三者三様の行動には理解し難いものがある。ひたすら真面目で常識と礼儀をわきまえたロシア青年が、事もあろうにビザが切れていたことを忘れていて、本国へ強制送還されてしまう。さらに頑なに拒否しながらも結果的には好きな女に従ってしまう優柔不断な男。そして果たして愛していたのかどうかも自覚の無いまま、青年をロシアまで追っかけて行きながら、結局逢わずにそのまま帰ってしまうという何事にも曖昧さが残る女・・・といった具合に、観る側としてはこの作品から結局何を汲み取ればいいのか、さっぱり解からないでいる。年頃の男女の不可解さがそのままこの作品の感想とも言える。 5点(2001-09-22 23:19:06) |
344. チアーズ!
アメリカ映画でしか成立し得ないような、高校生のチアリーディングの全米選手権をクライマックスに描いた青春物。他校のライバルとの確執や彼女たちの日々の奮闘をひたすら追いながら、結果はどうであれ、それぞれの誇りを賭けた戦いの潔さに、ある種爽快感を覚えてしまう。彼女たちのきびきびした見事な競技に、大いに元気が貰える作品となっている。 7点(2001-09-15 23:51:21) |
345. デンジャラス・ビューティー
鼻を鳴らすS・ブロックがご愛嬌だが、変身前に顔にベタベタと塗りたくったり、ボディコンで颯爽と登場して男たちの視線を集めたりと、まさに肉体派(?)女優の体当たり演技で最後まで飽きさせない。実に肩のこらない作品に仕上がっている。それにしてもM・ケインはどんな役を演じても、それなりの存在感を示せる数少ない個性派だと、今さらながら感心してしまう。 7点(2001-09-15 23:34:56)(良:1票) |
346. ザ・メキシカン
S・ペキンパー作品を連想してしまう程、内容はかなり殺伐としたものではあるものの、その味わいは不思議なほど爽快ですらあるのは何故なのだろうか。それはいかにもスター然とした主役二人のキャラクターの果たした役割も決して小さくはないが、むしろ多くの殺戮シーンの直接的な描写を極力さけるというG・ヴァービンスキー監督の方法論が効果的に働いたということなのだろう。さらにJ・ロバーツに恋のカウンセリングをする、J・ガンドルフィーニの殺し屋とのエピソードや彼の生き様に力点を置いているという視点もまたユニークだ。今後、注目しておきたい監督だ。 7点(2001-09-15 23:16:20) |
347. 夏至
ヴェトナムの何気ない日常生活から始まるこの物語。ここで戦争があったのが不思議に感じるほど、平和で幸せな家族の日々の営み。しかし一見何の隠し事もないかのような彼ら(彼女ら)にも秘密があり、悩み事を抱えている事がしだいに分かってくる。洋の東西を問わず、男と女の関係とは微妙で複雑だ。映画ではきっちりとした形でそれぞれの問題を結論づけないまま終わるが、それだけにその後の彼らの行く末が気になるところだが、ひとたび雨が降ると洪水のようになる街並みや人々の活気、主人公の女たちの艶めかしい会話や彼女らの色香といった、本来ストーリーとは関係のないような部分に魅力を感じさせてしまう作品だ。 8点(2001-09-09 00:40:09) |
348. キス・オブ・ザ・ドラゴン
この夏、最高最大の興奮が味わえる、まさに「ニキータ」と「レオン」をカンフーで味付けした、全編シビレまくりの今年一番のアクション超大作。このテの映画には見慣れている筈だが、やはり生身の格闘技の凄さとスピード感には圧倒されてしまう。クライマックスの前門の虎、後門の狼を倒したあとの救出劇は案外呆気ない気もするが、この最後になって“キス・オブ・ザ・ドラゴン”の意味が解かるという仕掛には、思わずニヤリとしてしまう。 9点(2001-09-09 00:16:43) |
349. ドリヴン
クラッシュした弾みでタイヤが高く舞い上がり、やがて観覧席に落下するというシーンを、上空からワンカットで捉えたショット。あるいは雨粒が風防ガラスに当たる様を、わざわざCGで克明に再現したり、さらには、レーシング・カーが夜の街をド派手に走りまくるという(おそらく映画史上前例がない?)シーン等々。レーサーたちを主人公にした作品というのは、どこをどうヒネってもお定まりのストーリーにしかならない訳で、後は如何にして観客の興味を引くような趣向を展開するかがポイントとなる。そういう意味では、未だ誰も見た事の無いアクションを常に追い続けているR・ハーリン監督らしさが随所に発揮された作品だと思う。 7点(2001-09-02 11:24:13)(良:1票) |
350. パール・ハーバー
ハリウッド映画なんだから日本人の描き方が奇妙なのはいつもの事で、今更とやかく言ってもしょうがない。所詮よその国のことはお互い理解できない部分が未だに存在するのだから、我々も偉そうな事は言えない。で、良くも悪くも予想通りの作品だが、M・ベイの前作「アルマゲドン」より少しは好感がもてる出来に仕上がっている。エンターティンメント作品として見た場合、彼のアクション監督としての才能が十分に生かしきれていると思うし、なんともチャーミングなK・ベッキンセールに思わず評価を上げてしまった。 7点(2001-08-19 00:56:03)(良:1票) |
351. 追撃者(2000)
S・スタローンとしては地味で渋さを際立たせた作品だが、肝心の話の筋にどうしても釈然としないものを感じてしまう。しかもこのストーリーではアクションも派手になりようがないし・・・。そんな事よりも気になったのは、M・ロークが近年こういった役柄が多いということ。何かパターン化された役しか演らないのか、出来ないのか、あるいはそういう役しかオファーが来ないのか。いずれにせよ、何とも寂しい限りであります。 6点(2001-08-19 00:03:21) |
352. ジュラシック・パークIII
オープニングと後半に出てくるパラ・セイリングや自家用小型飛行機、そしてプテラノドンといい、その飛翔シーンにこだわりを感じさせるのは、やはりJ・ジョンストン監督ならばこそ。通常シリーズ三作目ともなるとどうしても新味に欠け、前二作の焼直し的な印象しか受けないものだが、本作はその点アドベンチャーものとして、立派にひとつの確立した面白さを獲得している。それは観客にとって一番理想的な上映時間と言われる1時間30分にアクションが凝縮され、その計算され尽くした演出に些かもダレることがないことでも証明されている。日常と非日常の世界を携帯電話で繋ぐということが、いかにも“今”を感じさせるユニークな視点だし、電話の相手が全てを知り尽くしているローラ・ダーンだけに、ラストの大援軍は大いに納得できるのである。 8点(2001-08-18 17:04:02)(良:2票) |
353. PLANET OF THE APES/猿の惑星
「猿の惑星」(第一作目)のリメイクと言うよりも、「最後の猿の惑星」の姉妹篇のような作品となっている。“猿のメイクに数段の進歩が・・”とか“猿の跳躍力が云々・・・”と言うように、いかにも興行サイドが“売り”に苦慮しているのも頷けると言うものだ。いったいそれが何だと言うのか!と言いたくなるほど見所のない作品で、パロディともギャグともつかない中途半端な仕上がりとなっている。ラストなどは昔のTV秀作SFシリーズ「アウター・リミッツ」のパクリそのもの。オリジナルを知らない世代や、あまり物事に拘らない人にはそれなりにウケるかも知れないが、これではあまりにもオリジナルに対して失礼というものだ。興行側は「猿の惑星」ではなく「おサルの惑星」とするべきではなかったか。 2点(2001-08-18 14:59:24)(笑:2票) |
354. ふたりの男とひとりの女
車に撥ねられたのであろうか、道路に横たわっている牛を安楽死させてやろうとするが・・・というシーンには大笑いさせて貰った。J・キャリーは個性が強すぎて、ちょっとついて行けないところがあるんだけれど、ヒロインのレニー・ゼルウィガーのキャラで巧く中和させているし、“本来”の父親に似て利発な三人の息子とのアンサンブルもこの作品に膨らみを持たせている。 7点(2001-08-05 17:29:29) |
355. A.I.
この作品をS・キューブリックが撮っていたら・・・などとは言うまい。死んだ子の歳を数えるようなものであり、まさに無いものねだりと言うものだろう。かなり乱暴な意見だが、キューブリックはその才能のほとんどをすでに枯らしてしまっていたことは「アイズ・ワイド・シャット」でも見てとれるし、それを本人が一番良く分かっていた筈だ。それだけにこの壮大なストーリーを友人でもあるスピルバーグに遺言として託したのは当然の成り行きだったと思う。かつて「時計じかけ・・・」でM・マクダウェルがそうであったように、オスメント君とJ・ロウはこの作品のために生まれてきたような存在として感じるし、また夜空に浮かぶサイケな高速道路のイメージ・デザインや、そこを二人を乗せた若者たちの車が疾走するシーンは「時計じかけ・・・」だし、水没したマンハッタン上空をヘリで飛行するシーンは「2001年・・・」の月面上空を飛行する探査船とイメージが重なる。これらの視覚映像にこだわったのも、キューブリックに対しての敬意の表われだと思う。とりわけ海上のビル群をカメラが舐めるように飛行するスペクタクル・シーンは、「未知との遭遇」のマザー・シップの登場シーンに匹敵するほどの圧倒感があり、個人的にはこのシーンだけでもこの作品を観た甲斐があったと言うものだ。結末の捉え方によっては評価が分かれるところだが、少年デイビッドは母親と言うよりも、既に絶滅し、もはやクローン(もしくはバーチャルな世界)でしかその姿形を示せない人間そのものに涙しているのであろう。ロボットを造っておきながら、それらを否定するという人間のエゴと彼らに対する絶望感は、まさしくキューブリックの描いた終末観そのものだが、ファンタジックな優しさに包まれたエンディングにすることで、これこそが紛れもなくスピルバーグ作品だといえるのだ。 10点(2001-08-05 16:35:30)(良:4票) |
356. レクイエム・フォー・ドリーム
主人公たちの"堕ちていく様”を、かつてこれほど徹底的かつ冷徹に描いた作品などなかったのではないだろうか。劇中、薬が注入され瞳孔が開くといったドラッグのイメージ映像が繰り返し挿入されるが、だんだんその間隔が物語の進行につれて短くなってくる。彼らの中毒状態を我々観客が否応なしに体感させられる気分になる実に効果的な映像だ。エレン・バースティンの演技と言うにはあまりにも物凄い形相の、その迫力には圧倒されてしまう。何か見てはいけないものを見てしまったという感想だが、でもやっぱり見ておいて良かった、今年一番の衝撃作だ! 9点(2001-07-22 17:20:30) |
357. ダンジョン&ドラゴン
いわゆるRPGをそのまま映画化した作品で、"売り”のドラゴンが登場するシーンは冒頭とクライマックスに集約されている。しかしそのバトル映像たるや、TVゲーム的映像の域を一歩も出ていなくてまったく迫力がない。しかも、なぜか唐突に"彼ら”が大空を駆け回って空中戦を展開しているかに至っては、漠然として観ていると状況がよく飲み込めない。まぁ、ストーリーはなんの工夫の跡もみられないほど単純なものだし、主人公たちが繰りひろげる冒険にはなにやらアナログっぽさすら漂うという、少なくとも"今どき”の映画とはとても思えない作品となっている。 5点(2001-07-22 16:35:21) |
358. みんなのいえ
前作のユニークな「ラヂオの時間」と趣を変え、何気ない日常生活をテーマを描いているという点では、どうしても伊丹作品を連想してしまう。当初は目新しさで注目されはしても、本数を重ねるにつれて飽きられるのが世の常!三谷幸喜が監督として、あと何本撮るかは分からないが、そのあたりをどうクリアーしていくか、興味のあるところだ。日本映画としては水準以上の作品だが、コメディという意味ではあまり笑えない。むしろほのぼの系の作品だろう。出演者では田中直樹が儲け役で、キャラどおりの良い味を出していると思う。 7点(2001-07-15 01:17:31) |
359. オーロラの彼方へ
当初予想していたストーリーが、どんどん意外な方向へ展開していく事に、ある種快感すら覚えてしまう。良い意味で期待を裏切ってくれる作品の登場だ。ストーリーの矛盾点や強引さを指摘することは、こういう作品に接するときにはマナー違反で野暮というもの。それを言い出したらこういったジャンルの作品は成立しなくなってしまう。コミカルとサスペンスとの違いこそあれ、「BTTF」と同様、タイムパラドックスを巧くストーリーに組み込ませた脚本の妙とアイデアの勝利だと思う。 8点(2001-07-15 00:53:16) |
360. テイラー・オブ・パナマ
従来のスーパーマン的役柄のイメージから、スマートでカッコ良さばかりが目立っていて、俳優としての魅力を感じていなかったP・ブロスナンに、初めてそれを感じさせてくれた作品じゃないだろうか。ストーリーそのものよりも、登場人物たちの生々しい現実感を、豊かなキャスティングによって見事に演じ分けられ、作品を魅力あるものにしている。ただ、サスペンス色をもっと前面に押し出して、エンターティンメントにしようと思えば出来たであろうが、敢えてそれを目指さなかったのは、J・ブアマンの作家としての基本姿勢なんだろうなぁ。 7点(2001-07-15 00:16:35) |