341. ウォンテッド(2008)
《ネタバレ》 映像は面白いと思う。弾丸の衝突を何回も繰り返すのはどうかと思うけど、カーチェイスも銃撃戦も列車も迫力があった。もともと、ある種の“超能力”を備えているSFと考えれば、弾道が曲がるのも、よしとしよう。それが最後への伏線にもなっているのだし。それより、名前が出てくる仕組みの方が問題だ。そもそも名前だけって「同姓同名」が出てきたらどうするんだ。列車にもたくさん人が乗っていたはずなのにいなくなっちゃうし。最後だって、あの状況を引き受けるオトリがいるわけないじゃん、とか、ストーリーの突っ込みどころは色々あるけど、まあ、映像がそれなりに面白かったので、そこそこかな。 [映画館(字幕)] 6点(2008-09-30 00:28:09) |
342. ディパーテッド
《ネタバレ》 かなりガッカリ。なぜ、これがアカデミー賞(しかも作品賞)を取れたのか、わからない。ジャック・ニコルソンの迫力はあるものの意外に凡庸な展開かと思っていたのが、デカプリオが CITIZEN の封筒を見つけたあたりから盛り上がるのかと思いきや、だんだん筋がわからない展開に。コステロ側のネズミじゃないのにネズミにされて沼に沈められた奴は、なぜネズミだと思われたのか。女医に渡した封筒はどうしたんだ。そうでなくてもプール(?)に沈めた隠しマイクは伏線かと思ったぞ。結局、女医の子供は誰の子なんだ。伏線回収しなさすぎ。それに、マーティン・シーンは、あんな録音を持っていたなら誰がネズミがわかっていたんじゃないか。用心しろよ。それに、なぜ警察側のもうひとりのネズミは別のネズミ(マット・デイモン)がネズミだと知っていた上に居場所がわかったんだ。しかも相手が知らないことまで知っているみたいだし。最後の展開がグダグダになり、もう1点上げられるかと思うところが、1点減点。まあ、役者はよかったですよ。 [DVD(字幕)] 5点(2008-09-24 00:01:01) |
343. ザ・コア
《ネタバレ》 SFとは言え、非科学が過ぎる印象がある。あんな乗物を作る物質も、破壊性のあるビームも非現実的であるというのは目をつぶるにしても、衝撃に脆いはずのダイヤモンドに傷つけられてしまうとか、傷ついたユニットを切り離す仕組みって操縦ユニットが傷ついたらどうするんだとか(せめて傷つきやすい後ろにしておけ)、何より地球の中心に行けば無重力になるはずだろうと思っていたのに、そういう演出が何もなかったのは拍子抜けしてしまった。無難な話の進め方をしているので、まったく楽しめない映画ではないが、誰かにお勧めできるものではない。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-09-22 18:15:56) |
344. それでもボクはやってない
《ネタバレ》 これ以上の点をつけないのは、そもそものテーマからして「これこそが一番の映画」という印象になりえないからである。そうした地味なテーマではあるが、優れた映画であることに違いはない。以下、ネタバレしてしまうが、何しろタイトルからして大いに「ネタバレ」しているではないか。それにもかかわらず、検証ビデオや女性の証人など、被告人に有利な展開もあり、どのように決着させていくのかについてハラハラさせられる。親身に活動してくれる友人、別れた女性、不信を抱きつつ引き受ける女性弁護士、そして主任弁護士など、“良い人”たちであふれている映画でもあり、彼らの努力が報われないことが最初からわかってしまっている。また、冒頭で主人公の手から繊維を採取しようとしなかったことや、必要なく袖を引っ張っていたという伏線も見事に回収されている。一方で、数をこなさねばならない裁判官の立場や問題点にも触れ、問題提起はするものの一方的な責任問題としていないところも好感がもてる。何より「痴漢を疑われてもしかたがなさそうな」主人公のキャスティングは(失礼ながら)絶妙である。気になる点があるとすれば、勇気を振り絞って訴え出た女子中学生の“勘違い”が、そのまま悪者にされかねない点だろうか。「この中学生の勇気に応えるのは、主人公を有罪にすることではなく、真犯人を見つけることだ」といった展開に少し期待したが、そうした配慮はなかった。また、田口浩正演じる証人(←彼は真犯人なのか?)は、女性の証人の冒頭の発言に対して嘘に近いことを言っていたわけであり、この点が突っ込まれていなかった。ただし、実際の裁判もその程度という理解の上で、意図的にこのように構成したのかもしれない。裁判費用(弁護士費用)も気になるところだが、保釈金が高額だという以外、どのように費用を工面しているかということも表現されていなかった。しかし、そのような点まで描こうとすると冗長になってしまうという判断があったのかもしれない。重ねて優れた映画であると思う。 [DVD(邦画)] 8点(2008-09-21 00:55:37) |
345. マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
《ネタバレ》 え、これで終わり?というのが正直な感想。映像はよく作られていると思うし、ダスティン・ホフマンはそれらしい雰囲気を醸し出しているが、あまりに話が単調。おじさんが“いなくなる”までにそれなりに引っ張ってはいたが、さて、ここからどう展開していくのか、と思ったら、ちょっと挫折して、すぐに回復して、あっさり終了。ホットドッグの話も、少年の買収話も、たいした意味を持っていない。ナタリー・ポートマンは演技は悪くなかったが、クライマックスの踊りがいまひとつ。 [DVD(字幕)] 4点(2008-09-20 03:20:35)(良:1票) |
346. フラッド
《ネタバレ》 そんなに悪くないと思う。トラブルが起きて、ギリギリのタイミングで命拾いし、カーチェイスならぬボートチェイスがあり、裏切りが発生し(しなかったら間がもたない)という、いかにもな脚本ではある。とはいえ、特段おかしな展開もなく、クリスチャン・スレーターとモーガン・フリーマンなので、それなりに安心して見られた。それに、あの洪水の撮影は大変だっただろうと思う(ミニチュア・ダムを除く)。まあ、逆にとれば、洪水という状況でもなかったら、なんの変哲もないストーリーではあるのだが。 [DVD(字幕)] 6点(2008-09-19 01:45:10) |
347. ダークナイト(2008)
《ネタバレ》 評判がよいという噂は聞いていたものの、事前の予備知識まったくなし。いったいどんな映画なのかを全く知らずに見たので、冒頭でジョーカーが出てきても、バットマンが出てきても、しばらくバットマンの映画だと気がつかなかったくらい(『バットマン・ビギンズ』は未見)。それにしても凄い映画。まず俳優陣が凄い。あのマイケル・ケインまで出てきたのは驚いた。ジョーカー役のヒース・レジャーが、また良い。かつてのジャック・ニコルソンを見て、彼を超えられないのではないかと思ったが、あっさりとジョーカーをものにされてしまった感じだ。レイチェル役のマギー・ギレンホールも知的な女性という印象があるし、ゲーリー・オールドマンやモーガン・フリーマンは、改めて語るまでもないだろう。脚本は「バットマン」の骨子を守りつつ、あえて漫画調をやめ普通の都市の話にしたというのも結果論的ではあるがよかったと思う。ジョーカーが無茶をしすぎるので、「放っておけばまた無実の市民が殺されかねないのに生かしておく」ことにやや疑問を感じたものの、遠慮のない映像にもどんどん引き込まれていく感じで、映画館で見てよかったと感じる作品だった。 [映画館(字幕)] 9点(2008-09-17 23:50:52) |
348. ミスト
《ネタバレ》 宗教おばさんが半主役なのだとは思わなかった。恐怖につつまれる中で、あんなに喋り続けられたら、たしかに盲信してしまう人はいるかもしれない。が、それを話の中心にもってこられると辛いなあ。ああなる前に何とでも対処しようはあった気がするのだが。ニューヨークの弁護士は、あっさりいなくなってしまった。それにしても最後、なんでいきなり心中しちゃうのさ。「怪物に殺させないで」って、「その前に殺してね」という意味じゃないだろう。最後まで守ってくれって話じゃなかったのか。 [DVD(字幕)] 6点(2008-09-17 03:44:49) |
349. ハンコック
《ネタバレ》 苦悩するスーパーマン、という設定は面白いが、脚本が無理やりな感じ。ハンコックが自宅を訪れるときに、メアリーが意味ありげな顔をするので、その後の展開は予想できなくもなかったのだが、超能力を持つ二人が引き寄せあう、って言っても、あのPRマンを救ったのはただの偶然じゃないの? そもそも冷蔵庫を放り投げたりしなければ(ただ、ヤメテ、と言っておけばよかった)、メアリーの素性がばれることもなかったわけで、もうちょっと納得できる理由がほしい。何より気になったのは、二人が一緒にいると普通の人間になって超能力がなくなって普通に歳をとるはずなのに、なぜ3000年前から“長生き”できたのか。どこか見逃したポイントがあったのかなあ。あと、“お兄さん”が遠く離れていたら、ジェイソンとメアリーは一緒に歳をとれないわけですね。子供が赤ん坊の頃から歳を取っていないのであれば、どうせ、そろそろ気づく頃なのかもしれませんが。 [映画館(字幕)] 5点(2008-09-17 03:32:46) |
350. 突入せよ! あさま山荘事件
《ネタバレ》 やや露骨な感じもしたが、役所広司の佐々氏ぶりがよかった。犯人側の心理を描写せず、警察側だけに集中したのもよい。それにしても、あんな問題噴出の中、よく無事に救出できたものです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-09-15 23:22:46) |
351. マディソン郡の橋
《ネタバレ》 いい映画だと思う。メリル・ストリープ演じる「田舎のイタリア出身の主婦」が何より素晴らしい。この人は何でも演じられるのではないだろうか。しかし、そういう設定ではあるのだろうが、不倫で噂が広まったルーシーと仲良くしてはいけないんじゃないか。田舎なんだから、それ自体が皆の噂になるのは当然で、夫は気に留めない“フリ”をしていただけなんじゃないだろうか。夢を与えられなかった負い目があるからなのかもしれないが。という細かい点を除けば、(不倫とはいえ)すぐれたラブストーリー。 [DVD(字幕)] 8点(2008-09-15 23:11:25) |
352. 大誘拐 RAINBOW KIDS
《ネタバレ》 初見は15年くらい前(なにしろLDだった)。映画公開時には「ひさびさに日本の映画が面白い」という、邦画にとって自虐的なコピーだったと記憶しているが、たしかに面白いと思った。ほんとうの悪人が一人もいないという設定でのドラマがよくできている。中盤に少しだれる気がしないでもないが、オチがよかった。まあ、若者俳優陣の大根ぶりは気になるが、あれはあれで味があってよい。しかし、すべては北林谷栄の素晴らしい演技。“やさしいおばあちゃん”から“プライド高き当主”への変化からは、本人の気性が透けて見える。 [DVD(邦画)] 9点(2008-09-15 22:24:26) |
353. レオン/完全版
《ネタバレ》 素晴らしい映画。初見は数年前。仲間内で集まってワイワイガヤガヤやっているときに、テレビで放送がはじまりかけていたのをなんとなく見ていたら、「ちゃんと見た方がいい」と言われてテレビを消した。そのあと、改めて見て、その意味がわかった。トニーが食わせ者なのかどうかわからないのが少し不満ではある。そういう設定なんだろうけれど。ラストシーンで、レオンとスタンスフィールドが初めて会うという筋書きは秀逸。ベスト・アクターはゲーリー・オールドマンでしょう。 [DVD(字幕)] 9点(2008-09-15 22:04:29) |
354. 崖の上のポニョ
《ネタバレ》 評価は「子ども用に作った」という話を聞いたので。息子は喜んで観ていたし、また観たいというので、もう一度観たくらいだ。でも、それなら、あの声優はないだろうというので、これ以上の点はつけがたい。そうでなくても、海から来た魚なんだから「金魚(淡水魚)みたい」だとしても金魚ではないのだから水道水に入れるなよ、とか、津波が来そうなところで無理やり車を走らせるなよ(子どももろとも死ぬぞ)、とか、あんな大災害が起きているのに子供を置いて出かけるなよ、とか、色々問題のある描写が散見される。この一昔前を思わせる能天気さはなんだろう。まあ、あくまで「フィクション」であって「サンタクロースは不法侵入者か」みたいな野暮な文句を言いたいわけではないのだが。そういう意味では、大人が見るものなら、良くて5点。タレント声優陣はともかく、ストーリー発散しすぎ。町が水没してるだけじゃなく、天変地異が起きるほどに影響力が大きい液体なら扉の建付け悪いという前に密閉しておけよ。最後の質問だって、まだ5歳だから“無理”なんじゃなく、まだ5歳だから(後先考えずに)“ウンって言ってしまう”んじゃないか? 別にケチョンケチョンにするほど悪い映画ではないんだけどね。ポニョの疾走シーンは、もう一度見たい。 [映画館(邦画)] 7点(2008-09-14 21:59:36)(良:1票) |
355. ザ・シューター/極大射程
《ネタバレ》 あまり期待していなかったが、そこそこ見られる。冒頭の展開が、あまりにも予想通りだったので、ありきたりな展開なのかと思ったが、新米捜査官の使い方がうまい。ヒロインもよい。銃撃戦で“不死身”になってしまうのは、しかたがないところか。しかし、終わり方はいただけない。あの写真をマスコミに流せば、関係者の社会的“生命”を絶つことはできたはず。あまりに安直な終わらせ方。 [DVD(字幕)] 6点(2008-07-29 12:40:37)(良:1票) |
356. シャフト(2000)
《ネタバレ》 短いシーンで考えれば「かっこいい」といえるのかもしれないが、全体的にはかなり厳しい。最後のオチがそれなら、最初にやっていれば、巻き添えで(というわけでもないが)死人が大量に出ることもなかったわけで、後味がよくない。主人公も警察を辞めたのかどうかもわからないまま(というか、辞めたと思ったら、そうでもなかった)話が進むし、そうでなくても、あんなに“積極的”に殺していたら相当問題なんじゃないだろうか。そもそも「金は腐るほどある」悪役が、たかが4万ドルごときで真剣になるなんてセコすぎ。とにかく、かっこいい“だけ”の映画を作りたかったのかもしれないが、話に期待するとガッカリする。 [DVD(字幕)] 4点(2008-07-29 12:31:11) |
357. スピード・レーサー
「『マトリックス』(の続編)は、SF映画ではなくアニメの実写映画化」という意見を聞いて、見方は色々だなあと思っていたウォシャウスキー兄弟の作品。色遣いといい、動きといい、まさにアニメの実写……いやCG映画化だと言える。のっけから「わざとらしい説明シーンが多すぎる」という点で脚本には大いに文句を言いたい。しかし、その点に目をつぶれば意外にまとまりのある話になっており、十分楽しめる。オープニング&エンディングの音楽もよい。トリクシーはとてもよかったが、真田広之はいかにも無駄遣い。まさに“役不足”と言えよう。 [映画館(字幕)] 7点(2008-07-16 01:44:11) |
358. ロマンシング・ストーン/秘宝の谷
《ネタバレ》 面白い。24年も前の映画なので、ところどころチープな印象を受けるのはしかたがないが、“秘宝探し”にやたらと時間をかけるというありがちな展開にならず、その前後で楽しませる仕掛けがよい。よくできた娯楽映画。 [DVD(字幕)] 7点(2008-07-07 02:30:05) |
359. ワールド・トレード・センター
《ネタバレ》 印が付いているとはいえ、いきなりネタバレを書いて申し訳ないが、ああ2人とも助かる映画だったんだ、と思った。まあ、そうでなきゃ「実話をもとに」できないわけだが、あまりに2人に焦点を合わせすぎている気がする。あの事件では、色々なエピソードがあったはずだろうに、家族愛とか死の恐怖といったことだけが強調された凡庸な内容になってしまった。 [DVD(字幕)] 5点(2008-07-07 02:23:43) |
360. インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国
《ネタバレ》 あまり前評判がよさそうでなかったという点を踏まえて鑑賞。面白くもなんともない、とまでは言わないが、その一歩手前。とにかく脚本がひどい。冒頭に事件があって、途中にカーチェイスがあって、一作目のヒロインが出てきて、最後に“宝物”を見つけると大崩壊がはじまる……って、それが「インディ・ジョーンズ」なのかもしれないが、もうちょっとひねってくれ。冷蔵庫ひとつで核爆弾から逃れられるって設定もかなりどうかと思うが(あんな勢いで飛んでたら即死するって)、飛んできた冷蔵庫からインディが出てくるのも、「そうなるだろう」と思ってしまうだけに、インパクトがない。いまどき、その手の「撮影・編集の妙」で驚かないんじゃないか。なんだか、過去へのノスタルジィに頼りきった作品になってしまった気がする。 [映画館(字幕)] 5点(2008-07-01 02:24:54) |