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枕流さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 496
性別 男性
年齢 42歳
自己紹介 皆様のレビュー、いつも参考にさせていただいております。私のレビューも参考になれば幸いです。

2012年以降忙しくなったので、レビューを一言にしています(上半期分は6月末にまとめて投稿)。参考にしにくいかもしれませんが、あしからずご了承ください。採点基準は以前と同様です。

私の連絡先はこちら⇒えむいーあーる75jp[あっとまーく]yahoo.co.jp

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361.  チェイサー (2008) 《ネタバレ》 
昨年の韓国映画では「母なる証明」かこれかと言われるほどの作品だっただけに期待しながら観たが、そこまでの作品ではなかった。  「オールド・ボーイ」以降の近年の韓国映画は、異様なエネルギーに溢れ、凄まじい暴力描写を伴うのが特徴だが、この映画も基本的にその線を踏襲している。追う者と追われる者が出会いと別れを繰り返す構成も面白い。サイコキラー役の俳優も桑田佳祐似の主人公も演技は良かった。  ただし、残念ながら、物語のバックボーンとなるメッセージ性にイマイチ欠ける気がした。例えば、映画と小説でジャンルは違うが、宮部みゆきの「火車」は「人を追う」というその一点のテーマを突き詰めた作品で、それがラストの静かな感動につながる。それに対して、この作品は途中で犯人が警察に捕まってしまうので、人をchaseするという面白さがあまり伝わらない。彼が釈放された後に、主人公は再び鬼のような追撃を始め、その部分は面白いのだが、中盤が若干だれる。確かに犯人に対する精神分析のシーンはゾクゾクするほど愉しいのだが、必ずしも必要なシーンではなく、周りから浮いてしまっている。  また、ラストの展開は、確かにミジンが助けられるよりも死ぬほうがドラマ性は増すのだが、あんまり酷くて可哀想でちょっといただけない。理不尽さや犯人の残虐性を強調したいのは分かるが、そっちにばかり焦点が行ってしまっている気がして嫌な気分だった。  原題はあくまでも「チェイサー」なんだから、もっと追う者追われる者のドラマを見せてほしかった。撮り方とかは好みなので、監督の次の作品に期待したい。
[DVD(字幕)] 6点(2010-02-16 22:47:10)(良:1票)
362.  クラッシュ(2004)
群像劇の王道みたいな作品で、何と言うか「まっとう」な作品。一口にアカデミー賞作品賞と言ってもいろいろな映画が取っているが、この映画が取ったときは地味な映画だったけど、凄く納得感があった。ただし、群像劇だと「トラフィック」の方が僕は好きだけど。  様々な人種に属する人々が暮らすロサンゼルスのある2日間をどちらかと言うと淡々と描いた映画なのだが、脚本が自然でありかつ巧みで観客を飽きさせない。メインの登場人物だけでも優に10人は超えているが、一人ひとりの職業や性格、バックグラウンドが効率的に描かれており、日本人の僕が見ても混同しにくいつくりになっているのが、特にうまいと感じる。人種の違いから来る感情的なすれ違いや経済的な格差。それらを原因として多くの悲喜劇が生まれ、そして消えてゆく。この映画が特定の感情を押し売りしてこないところ、あっさりとしているところも僕の好みだ。  こういう映画を観るとアメリカと言う国はつくづくすごい所だなと感じる。よくこれで治まってるなと感心する。英語をしゃべれない国民がこんなにいて、どうして一つの国としてやっていけるのだろうかと不思議に思ったりもする。そして、こういう国に住んでみるのも面白そうだなと思う。たとえ、この映画にあるように人種差別が横行していたとしても、それもまた刺激的だなと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2010-02-03 21:40:43)(良:1票)
363.  鬼が来た! 《ネタバレ》 
「純粋に」映画として観ると言うことが可能なのか、観終わった後一日考えたが、結局無理だと感じた。終盤のオチはやたら長い宴会シーンのあたりから見えてくるのだが、これはかなり残虐な話であり、実際にこのようなことが無かったのならば、やっぱり映画にされるのは嫌だ。たぶん他の国の人も自分の国がこのように描かれたら、同じように感じるのではないか。  確かに「天皇陛下万歳」を叫びながら、中国人をチャンコロと呼びながら国土を蹂躙した日本兵に対して、中国人が良い印象を抱くはずは無く、反日映画ができるのは当たり前だ。しかし、この映画に関して僕が問題だと思うのは、この映画について、「純粋に」映画としての面白さが存在する作品だと言う内容のレビューが非常に多いことだ。確かにそれが可能な人もいるかもしれない。しかし、この作品を観た後に、日本人に対して悪感情を持たない人(政治的に中立な、例えば外国人)はまず存在しないだろう。現代の日本人はそうは見えなくても、この映画で描かれるような特異な獣性や不気味さを心のどこかに隠した国民だと思うのは間違いないだろう。個人的には映画の出来を「純粋に」評価する以前に、この作品は政治的にヤバい作品だと思うのである。  映画の観客が皆歴史に詳しいとは限らない。例えば、レビュワーの中にも国民政府軍と八路軍の違いが分かっていない人もいる。そんな人がこの映画を観ることは危険だし、veryautumnさんが書いているように、「この映画は入門には向かない」のである。そして、誰がこの映画を観るかはコントロールできない。歴史を題材として扱う場合は、あくまでもそれがフィクションであること(当たり前のことなのだが)を強調してもし過ぎることは無い。特にこのようにリアリティ溢れる映画ならば尚更だ。
[DVD(字幕)] 4点(2010-01-24 22:37:33)
364.  ぐるりのこと。 《ネタバレ》 
正直に申し上げると、あまりリリー・フランキーが好きではなくて、何故かと言うとあの自然体に不自然な印象を持っていたからだ。飄々としているぜ、超然としているぜ、と言っていないのに言ってる気がして、そこから引きずりおろしたかったのである。でも、この作品のリリー・フランキーは、すごく良かった。まさに自然体だった。こういうタイプ以外の役ができるのかは分からないけれど、少なくともこの作品にはぴったりだった。  法廷画家のカナオと小さな出版社で働く翔子の結婚生活が、その時代の大事件と被せて編年体で語られるという地味な作品だが、人の心の動きを丁寧に追うという意味では、とても優れた作品になっている。いい加減なカナオと几帳面な翔子の生活は、最初はコミカルに描かれるのだが、娘の死を境に翔子はうつ状態に陥る。そこの部分の描写がちょっと弱い(実際のうつ病はもっと本人も周りも大変)かな?と言う印象は受けたが、許容範囲には収まっていると思う。その後、翔子が回復していく過程の描き方も温かくて気分が良かった。  あとは、翔子の兄夫婦を演じている寺島進と安藤玉恵の演技は特に良かった。倍賞美津子とか他の脇役も味のある演技でストーリーを盛り上げていた。
[DVD(邦画)] 8点(2010-01-24 21:43:07)
365.  かいじゅうたちのいるところ 《ネタバレ》 
名作「かいじゅうたちのいるところ」の映画化という意味では、非常に良くできた作品だったと思う。子どもの頃に読んだ時のわくわく感やかわいいんだけどちょっと怖い「かいじゅう」の雰囲気は良く表現できていた。ダイナミックなかいじゅうおどりやかいじゅうと子供で作る砦の壮大感も子供の気持ちを捉えられるのではないか。主役の子供の演技もわざとらしくなくて良いし、ちょっと悪ガキだが可愛い。  何よりも良いのは音楽。予告編で「Wake up」(Arcade Fire)を聴いて泣きそうになり、これは観に行かなきゃと思ったが、全編を通じて素晴らしかった。子供の声を効果的に使いながらもパンクな曲調を維持し、子供の持つエネルギーや破壊衝動をうまく掬い上げている。  でも、結局このお話のキモは「やっぱりおうちが一番」というどちらかというと陳腐(親には都合が良い(笑))なメッセージであるだけにそれを超える深い何かはないし、期待しないほうがよいだろう。子供が観るにはちょっと怖いかもと言う意見もあるが、僕は子供がいたら観せたいなと思った。
[DVD(字幕)] 7点(2010-01-24 20:09:27)
366.  3時10分、決断のとき 《ネタバレ》 
根本的な映画のつくり方に問題がある。終盤のベンの決断に全く感情移入できない。それまでの人の命とか仁義とかをハエみたいに扱う態度から豹変して、急にダンに肩入れしだす過程が説明不足である。ホロリとしなさそうな奴がホロリとする、という事象に観客はホロリとするのだが、これはあんまりではないか。ベンの生き様を描く機会は十分にあったし、実際護衛を殺すシーンは多かったのだが、終盤につながる彼の人格がわかるシーンはほぼ皆無と言っても良いのではないか。石炭掘りの乗った汽車を爆破するような男がホロリとしていけないわけはないが、何かしらの伏線を張っておいていただきたいものだ。  ラストでウィリアムの前で電車に乗ることを選択し、かつての仲間を撃ち殺すベン(ちゃっかり馬も呼んでいるが)には一貫性を感じたが、そこに至る過程が描ききれていないだけに唐突感が残る。主演二人は好演していたし、久しぶりに「西部劇のドンパチ」を観られたと言う嬉しさはあるが、これじゃちょっと消化不良だ。
[DVD(字幕)] 5点(2010-01-16 00:21:09)
367.  グエムル/漢江の怪物 《ネタバレ》 
ポン・ジュノ監督の映画なので、色々と背後に隠れたものを考えながら観ようと思ってみたが、結局馬鹿笑いしながら見てしまった。化け物のコミカルな体型とか主人公の駄目っぷりとか、主人公一家のハチャメチャぶりとか。シリアスな中にもどこかコミカルな雰囲気を持った作品を作る監督だから、ある程度は意識的にやったことだと思うが、ここまで来るとコミカル要素の方が強すぎてちょっといただけない。ストーリー自体は結構バッドエンドだったりするし、もちょっと真面目にやってよーって感じがする。  ラストのご都合主義は確信犯だとして、知らんルンペンとエージェント・イエローが出てくる終盤は正直微妙。あのガス程度の威力じゃ、化け物がよっぽど近くにいないと通用しないわけで。結局モロにガスを浴びた主人公一家も軽症で済んでるし。逆に化け物をおびき寄せるために米軍がデモを仕組んだのだとしたら、それはそれで面白いけど、それが分かるシーンはない。  この後、監督は傑作「母なる証明」を撮るんだから、「ブラインドネス」でこけたメイレレス監督も次はやってくれるかもしれないと期待してみたり。
[DVD(字幕)] 6点(2010-01-15 23:54:24)(良:1票)
368.  仁義なき戦い 代理戦争
僕にとって広島のイメージを決定付けるシリーズとなってしまった「仁義なき戦い」。ヤクザ映画自体初見でしたが、これにはやられました。「昨日の敵は今日の友」という言葉がぴったりの乱世を生きる男たちの熱い戦い、そして権謀術数の数々。菅原文太の演技がうますぎで怖いこと怖いこと。他のヤクザ映画とは出来が違うと評されるのも頷けました。  それにしても深作欣二監督は昔はこんなに面白い映画を作っていたんですね。「バトル・ロワイアル」で騒いでいる若人たちにはこちらを観てほしい。かと言って僕は「ピストル・オペラ」で懲りているので、他の作品に手が伸びるかと聞かれれば伸びませんが。このシリーズをもっと観るかどうかは迷いどころです。
[DVD(邦画)] 7点(2010-01-10 16:39:02)
369.  日の名残り 《ネタバレ》 
英国人作家カズオ・イシグロの1989年のブッカー賞受賞作品を映画化した作品。  カズオ・イシグロの小説は独特のノスタルジーや丁寧で抑制された文体が魅力的(邦訳されたものしか読んだことはないですが)ですが、この映画はその魅力をとても忠実に写し出している作品だと思います。  英国貴族の執事を主人公に据えるという原作の着想が素晴らしい上に、その登場人物たちの言葉にならない様々な思いが音もなくぶつかり合う様を主演のアンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンをはじめとした俳優陣が見事に演じています。主人のためには自分の思いを殺すことが最も大事だと信じて疑わない主人公ですが、その考え方を否定しつつもそのストイックなダンディズムに一定の理解を示し、敬意を表するかのようなカメラの視点が心地よいです。この映画は何度も観ていますが、去り行く時代への懐旧の情や仕事に生きたがゆえに実ることのなかった昔の恋を思い、果たして自分が過去にとった行動は正しかったのかと自問自答しながら旅に出る主人公の姿を観る度に、いつもなんとも言えない気持ちになります。  また、いくつもの屋敷で撮影を行ったと言うだけあって、当時の屋敷の雰囲気もリアリティがあります。風景の美しさも見所の一つでしょう。  お涙頂戴に堕しない、心で泣く映画です。
[DVD(字幕)] 8点(2010-01-10 00:19:51)(良:2票)
370.  母なる証明
何とも気味が悪い上に後味も悪いストーリーで、観終わった後、言いようのないモヤモヤ感に包まれた。自分としては分かりやすい映画が好きなので、こういう映画は低評価をつけがちなのだが、それはできない。何せ心に残るものが大きすぎる。端的に言うとこの監督の嫌らしさが大好きなのだ。  ★あらすじ★  知的障害者の息子が女子高生殺人犯として捕まった。真犯人探しに狂奔する母親。果たして母親は息子を助けることが出来るのか。。。  上のあらすじを読めば、まあまず間違いなく感動系の作品を誰もが期待するだろう。ラストシーンの法廷で、審理は意外な方向へ展開し、皆があっと息を呑む真犯人が逮捕される。抱き合う母と息子…という感じの。  でもこれが全っ然そんな作品じゃない。ネタバレしないためには、あまり多くは書けないが、母親と息子の複雑な関係性や息子の悪友、悪徳弁護士なども絡んできて、一筋縄ではいかない話になっちゃう。ここら辺の持って行き方がジュノ監督ならではで、ちょっとコミカルな状況とかシーンとかを散りばめながらうまいこと進めていく。社会派映画とエンターテイメントの狭間を突いてくる感じがツボ。  そして、最後には思いっきりズーンと落としてくる。あのラストシーンは「レスラー」を超えて今年一番だったかもしれない。プロローグのシーンともつながり、構成のうまさも感じる。おばさんが意味不明なダンスを踊るどちらかと言うと変なシーンなのだが、事件の全貌が分かってラストで観るとべっとりとどす黒い雰囲気。非常に簡単に言うと「心の闇」が凝縮されているシーン。最高。  涙が出なくても、爆笑しなくても傑作は傑作です。この映画が好きな人は同じ監督の「殺人の追憶」も是非観てみてください。期待を裏切らないゴツさですから。
[映画館(字幕)] 9点(2009-12-23 21:50:47)
371.  戦場でワルツを 《ネタバレ》 
かなり期待しながら観ただけに、内容に関しては少し期待はずれだったが、ドキュメンタリーをアニメで描くと言う独創性や作画の独自性には満足した。  冒頭の犬が走ってくるシーンからアニメでないと描けない迫力だ。繰り返し効果的に使われるレバノンでの水浴びのシーンも、戦争と言う非日常にイマイチ溶け込めない若者たちの心象風景が反映されていると感じた。彼らの無表情は、あまりにも残虐な行為が横行する外界に対する拒否反応の現れと理解できる。レバノン内戦はユダヤ人の彼らにとっての「ベトナム戦争」だったのだろう。  ただし、もっと脚本に劇的な要素を取り入れてほしかったとも感じる。せっかくアニメと言う媒体を使っていながら、十分にそのメリットを活かしきれていない。あくまでも主人公である映画監督の「個人的な体験」を映画化するのであれば、実写でよかったのでは?と感じざるを得ない。
[映画館(字幕)] 6点(2009-12-06 23:24:47)(良:1票)
372.  手紙(2006) 《ネタバレ》 
この作品には本当に期待していて、ぼろ泣きを想定してタオルまで用意して観たが、何と自己レビュー史上初の2点をつける結果になり、分からんものだと感じた。でも、これで0点から10点まで全ての点数をつけられたので、メルクマールとしての機能は果たしてくれたようで、ある意味満足している。  ここから、レビューというかこき下ろしに入るので、読みたくない方は読まないようにお願いします。まず一番個人的に受け付けないのは直貴の性格・態度一般。兄貴のせいで人生をぶち壊しにされた彼の気持ちは分からんでもないが、由美子に対する態度があまりにも酷すぎる。干渉を恐れるが故の態度だとしてももう少しやりようがあるだろう。対して由美子の直貴に対する入れ込みぶりもちょっと気味が悪い。確かに愛はどこにでも生まれうるが、人間としてちょっとおかしい(と思う)直貴に対する愛情の注ぎ方がよく分からなかった。そして、コンビ解散後に、急に由美子と仲良くお好み焼きを食っている直貴。その間の経過が全く描かれていないので、いきなり談笑しているシーンが来たときには腰を抜かした。何と言うか「自分」を持ってない奴だとしか感じられなかった。  あとは、リアリティの無さとベタベタさも酷い。テレビはほとんど見ないのでよく分からないが、出来の悪いトレンディドラマ並みの酷さだろう。兄貴が刑務所に入っているとわかった途端に優しくなる仕事の先輩。相方の祐輔に屋上で殴られるシーン。中条家の朝美の親父そしてメイド。ケーズデンキ(笑)の会長。公園で露骨に帰りだす団地の奥様方。ことごとく鳥肌が立ちまくりで、一回一回映写を止めて休憩した。一つ一つに突っ込む余裕はないが、マンガでももう少しマシな演出をするのではないかとだけ書いておく。沢尻エリカのかわいさとラストの被害者宅での謝罪シーンに免じて2点。これが限界。  レビューを書くため、何とか最後まで観たものの、改めて現代邦画のレベルの低さに仰天した。「ジョゼ」は物凄い例外なのか。但し、本作の予告編でまた観るべき邦画を発見。ほとんどMの領域だが、新しい眼を持つためにもっと邦画を観ていこうと思う。
[DVD(邦画)] 2点(2009-11-19 00:08:17)(良:4票)
373.  バリー・リンドン
史劇もキューブリックも苦手と言う全くこの映画に適性の無い僕だが、観てみると意外とおもしろかった。3時間と言う長い尺にもかかわらず、過不足なくバリーの人生を描いており、特に長さを感じることも無かった。原作がサッカレーだそうだが、いかにも彼らしい皮肉たっぷりなナレーションも良い。  また、何と言ってもこの映画の見所は、衣装や音楽、背景に一分の隙もない点だ。完璧主義者の異名をとるキューブリックだが、今までは何でそう呼ばれるのか良く分かっていなかった。でもこの作品においては、何から何までビシッとはまっていて凄い人だったんだと実感した。  一癖ある映画監督の中でもひときわ異彩を放つキューブリックだが、ある意味で、これが一番一般に分かりやすい作品だと思った。でもやっぱり話の筋にあまりにも救いが無くて愛せないんだよなあ。キューブリックファンじゃないけど、この作品は好きです。
[DVD(字幕)] 8点(2009-11-18 23:42:23)
374.  スペル 《ネタバレ》 
出だしでちゃちゃっとプロローグとヒロインの紹介を済ませ、あとはもうひたすら怖がらせる演出の連続。怖がらせ方も昔ながらで、音と映像でシンプルに攻めてくる。和製ホラーの精神的な嫌らしさは全く無く、どこまでも陽性な攻撃を仕掛けてくる。  いや、でも本当に一人で見なくてよかった。一人だったらマジで怖かったはず。安心してるところで急に襲い掛かってくるから、本当にこのジプシーの婆さんは悪質。何回かたぶんでかい声で「ぎゃっ」とか「うわっ」とか叫んだと思う。  怖いんだけど笑えるというよくわけの分からない展開もまた良い。ヒロインはとあるきっかけで婆さんに呪われるんだけれども、この婆さんがマジで気味が悪い。臭そうだし、色々と変な色の液体を出すし、入れ歯は鋭くとがってるし。死体になっても攻めてくるからね。その婆さんの復讐の一生懸命さとか気持ちの悪さが逆に笑える。逆に、最初は怖がってたはずなのに、段々と戦闘モードになっていく強気なヒロインもツボだった。ラストは酷いんだけど笑うしかなくて、なぜか逆に清清しい気持ちになる。ヒロインとそれを演じたアリソン・ローマンには心からの拍手を送りたい。お疲れ様でした!  サム・ライミが「スパイダーマン」シリーズで溜めたストレスを一気に吐き出したという印象の映画。これで気持ちはリセットできただろうか。次は何で来るか楽しみだ。
[映画館(字幕)] 7点(2009-11-16 19:49:12)
375.  アンドロメダ・・・
古い映画なので、いかにも古典的なSF然とした基地の様子など、違和感はあるものの、プロットやクリーチャーの撮り方などはさすがワイズ監督だと感じた。中でもクリーチャーの増殖が一瞬モニターに映し出される場面はその不気味さが際立っていてうまい。ほとんどが密室劇なのに飽きが来ないのは、原作の筋立てがしっかりしているからだろう。  映像技術が現在ほど進歩していないため派手さは無いが、70年代の初めにこういう作品があったとは知らず、先駆的な作品として評価できると感じた。「時計じかけのオレンジ」と同じ頃に製作されたと言うのがちょっとおもしろい。
[DVD(字幕)] 6点(2009-11-14 10:49:33)(良:1票)
376.  お早よう 《ネタバレ》 
小津作品の中でもコメディー色の強い作品。何となくジャック・タチの映画を思い出した。どうでもいいおしゃべりこそが大切なのだと言う説教臭いテーマを見事に軽妙なコメディに昇華した傑作だ。 同じシーンの繰り返しのような展開が笑いを誘う。近所づきあいというものの難しさを軽妙に描く実力は流石だ。ただの口さがない女たちのおしゃべりを芸術作品にしてしまうのだから凄い。ここでは、杉村春子の圧倒的な演技力が光る。 また、本作の主役は子供たちなのだが、彼らの使い方もうまい。いつも親が子供たちに甘いのは小津作品に共通なのだが、この子供たちもやりたい放題で観ていて微笑ましい。くだらないことに一生懸命になっていたあの頃を思い出した。 最後に、ラストのオチが素晴らしい。明日から知らない人にも挨拶したくなる。そんな映画。
[DVD(邦画)] 8点(2009-11-03 17:31:21)
377.  沈まぬ太陽 《ネタバレ》 
爆発的な面白さはなかったが、202分と言う長さにもかかわらず、最後まで飽きずに観られたのは原作の功か渡辺謙のおかげか。ただし原作は未読。 この原作を映画化するには、角川映画をはじめとした各社の並々ならぬ努力があったと聞くが、それも頷ける濃い内容だったことにまずは賛辞を送りたい。主人公の恩地元は国立航空(日本航空がモデルとされる)の元組合長。その彼が、左遷を繰り返されながらも会社のため、社員のために会社組織と奮闘する姿が感動的に描かれる。僕のように左翼に対してかなり厳しい目を持つ人間でも「こりゃ酷い」と感じるほどだから、一般的に観ればかなりの同情票は集まると思う。それほど会社側が酷い。一社員に対して組織的な陰謀で対抗するようじゃ全然ダメだ。正々堂々と戦うべきだ。それで勝てないならば、よっぽど会社のあり方が間違っているんだろう。一方で、彼は継続的に会社を改善しようとひたすら努力する。それは観る者の心を打たないではおかない。「そんなに会社に嫌われているのになぜ?」と皆訊くが、それは彼の意地が許さないのだ。何となく分かる。 演技では、恩地を演じる渡辺謙の迫力も物凄い。この映画はほとんど彼のためにあると言っても過言ではないだろう。プレミアで涙したと聞くが、それも頷ける熱演を見せる。「演じきる」とはこういうことかと思った。しかもそれが過剰になっていないのがまた素晴らしいところ。脇役も三浦友和、松雪泰子、石坂浩二と顔ぶれが揃っているが、ちょっと次元が違う印象がある。海外進出する実力は伊達じゃない。 それでも最後に言わせてもらえば、現実の日航七労組の主張は目に余るものがある。彼らの主張に興味がある方はサイトを見れば、組合ニュースが載っているから見てみればよい。これじゃ会社が危機に瀕するのも無理は無い。
[映画館(邦画)] 7点(2009-10-27 00:06:51)
378.  東京物語 《ネタバレ》 
この映画は何回も観てきたけれど、そのたびにボロ泣きなので、今回も泣くかと思いきや、意外に泣かなかった。分析的に観てしまったせいがあるかもしれない。そのせいか、小津監督の映画作りのうまさを改めて感じたし、やはりこの作品が代表作とされるのはその様式美が遺憾なく発揮されているからだろうと思った。同じカットを映しながら、人や物の配置を替えたり、あえて配置しないことで、その違いを際立たせたり、同じ人物を近くから撮ったり、遠くから撮ったりすることでその心象風景を描き出したりと、この映画には彼のテクニックがてんこ盛りに詰め込まれている。  話の構成・展開も見事だ。老夫婦が東京に来てから少しずつ際立つ違和感、彼らの子供たちの生活に投げかける波紋が残酷なほどに丁寧に描かれる。子供たちとて歓迎したくないわけじゃない。ただ忙しいだけなんだ。だが、その「忙しい」という言い訳がどこまで通用するのか?彼らはそれにかまけて逃げているのではないか?小津さんの追及は厳しい。長女しげを演じる杉村春子の演技はあまりにも見事で身につまされるが、僕らの大半は彼女なのだ。悲しいことに。  しかし、彼らは背景に過ぎない。本作の女神は紀子だ。親不孝な僕たちにとっては美しくも怖ろしい。怖ろしいほどイノセントで神々しい彼女が最後に漏らす「私、ずるいんです。」という一言は見るものすべてに止めを刺す。それがずるいのなら、僕らはどれくらいずるいのだろうか。と僕たちは感じざるを得ない。キリストが人間だとしたら、尚更その神性が際立つようなものだ。  今の世界に小津さんがいたら、果たして彼は何を描いただろう。観終わってそんなことが気になった。しかし、ちょっと考えると、彼はまた同じ物語を作ったのではないか?とも思った。それほど時代を超えて(あるいは国を超えて?)普遍的な物語がここにある。
[DVD(邦画)] 9点(2009-10-25 00:49:56)(良:1票)
379.  情婦 《ネタバレ》 
こういう映画があるから、昔の映画を観ることはやめられない。まずもってウィルフリッド卿のキャラクターからしてイカす。前半はほぼ彼のキャラクター紹介に終始すると言っても過言ではないが、これがその後に活きてくる。彼と自分が同一化し、彼のユーモア、直感、そしてその後の焦燥感すべてを観客は共有する。彼の思いを観客はしっかりと受け取る。ここはチャールズ・ロートンの名演が光る。  そして、衝撃のラスト。「ユージュアル・サスペクツ」を超える衝撃をお約束する。余計な伏線が一切無いだけに尚更最後の衝撃は物凄い。ああ、そうだったのか。そういうことか。 ラストの衝撃の後に残る一抹の哀しさは観なくては分からない 。「情婦」という安っぽいタイトルをつけた日本の配給会社に対しては怒りを感じる。「検察側の証人」、この原題で十分だ。そもそも全然「情婦」じゃないし。
[DVD(字幕)] 9点(2009-10-23 19:34:57)(良:1票)
380.  湖のほとりで 《ネタバレ》 
湖畔に横たわる若い女性の遺体。皆から好かれる美貌の彼女がなぜ殺されねばならなかったのか?片田舎で起きた事件が村人たちの秘密を暴いていく…。何だか「ツイン・ピークス」を連想させる展開が楽しみで、映画館に足を運んだ。  音楽の使い方がおもしろく、渋い感じの刑事も出てきて滑り出しは上々なのだが、その後が伸び悩む。刑事の家庭環境や村人の人間関係などいくらでも面白くなりそうなネタが散りばめられているのに、どれも表面をなでる程度でうまく映画の進行に絡められていない。大して事件も起きないまま、そうこうする間に映画は終了。なんとも不完全燃焼な映画だった。「真実」もそんなに美しい話ではなかったし。
[映画館(字幕)] 5点(2009-10-23 19:32:07)(良:1票)
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