3841. 龍城恋歌
《ネタバレ》 最初見たときは全然面白くないと思っていたのですが、よく見ると案外悪くない内容でした。家族を根絶やしにされたヒロインの復讐譚なのですが、前置きは凄い勢いですっ飛ばされていく。肝心の復讐もさっぱり前に進まない。しかし、ポイントの場面は転換機能をきちんと果たしていますし(敵の息子の登場とか敵宅に泊まらされるくだりとか)、オチのつけ方も他にあまり例をみないもので、かえって説得力があります。それと、再三出てくる2人の拠点(階段を上がった部屋)の、どことなく殺伐とした空虚な雰囲気もいい感じでした。 [DVD(字幕)] 5点(2006-01-28 03:45:33) |
3842. マイノリティ・リポート
アイディアもストーリーもつまらないが、近未来の進化した社会のはずなのに要となるシーンの演出がすべて超がつくほど古典的なのに失笑。とてもスピルバーグとは思えない。色彩感覚の趣味の悪さにも参った。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-01-28 03:39:01) |
3843. 新幹線大爆破(1975)
当時にこのアイディアを思いついて、実際にそれを撮影して完成しちゃったというだけで表彰ものです。スリルの維持にひたすら気を遣っているので、今見てもその迫力は色あせていません。登場人物がことごとくステレオタイプで、さほどの個性が感じられないのが難点なのですが、それを凌駕する映画としてのパワーがあります。また、山本圭扮する古賀が実に格好良く、彼の醸し出す「陰」の雰囲気が作品に厚みを与えています。 [DVD(邦画)] 7点(2006-01-27 02:14:37) |
3844. 日の名残り
《ネタバレ》 冒頭、エマ・トンプソンの気品と迫力溢れるモノローグで、一気に作品に引き込まれる。職務に忠実であることを至上命題とする(しかし、それに嫌味がない)執事と、理知的でありながら自然に内面を表している女中頭の、無言の心理攻防戦。本を取り上げようとするシーンの一瞬の接近がもたらす官能性と、ホプキンスの冷たい一言にエマ・トンプソンが涙するシーンがもたらす感情の重さ。これこそ名演だと思う。さらには、音楽や美術や照明関係の充実も素晴らしく、まさに作中の使用人たちのような職人芸の誇りを感じさせる。つまり、この映画そのものが、私たちにとってのダーリントン・ホールなのだ。 [DVD(字幕)] 9点(2006-01-23 00:49:41)(良:3票) |
3845. オーバー・ザ・レインボー
《ネタバレ》 ほどよく切なさが漂う良い話です。イ・ジョンジェの悩める青年役もなかなかはまっています。で、本来ならもっと感動できたはずなのですが、そうならないのはなぜかというと、最大の理由は、過去と現在の仕切り方が雑然としすぎという点。結果、ヒロイン以外の女性キャラはほとんど存在が死んでしまい、オチが最初から見えすぎることになってしまいました。主人公の職業がお天気キャスターというのも、工夫なしですね。 [DVD(字幕)] 6点(2006-01-20 01:24:16) |
3846. 櫂
この時期の他の五社作品に比べると、単に夫婦間の不和の問題や複雑な親子関係の問題がじめじめと続いているというだけで、何となく世界がこぢんまりとしており、それを突き抜けるような登場人物の強烈な個性にも欠ける印象が否めない。ただし、さほど期待していなかった石原真理子がなかなか堅実なサポートを行っていたのは意外だった。それと、高橋かおりの子役離れした演技力には驚嘆。朝ドラで主演デビューする前の加納みゆきが端役で登場しているのも見逃せない。 [DVD(邦画)] 6点(2006-01-19 04:36:36) |
3847. LOVE SONG(2001)
《ネタバレ》 冒頭のあっけない別離、迷いと変化を切り取ってみせたラストなど、いくつかは優れたセンスのある場面もあるのに、それ以外の部分の駄目さとほとんど全員の無表情演技で価値が壊されてしまった。結局、大半は雰囲気でそれっぽく進んでいるだけ。それと、この展開なら伊藤英明は最後のぎりぎりまで出さない方がよかったのでは? [DVD(邦画)] 4点(2006-01-17 04:00:59) |
3848. サハラ(1983)
砂漠で頑張って撮影して、部族の騎馬隊のコスチュームも揃えて、ブルック・シールズという美女を登場させて、音楽もそれなりになんとか盛り上げて、どうしてこんなにつまんないんだろう?族長とのロマンスがいい加減だとか、レース展開が適当だとかいう以前に、導入部の陳腐さからしてすでにつまらなさがありありなんですよ。ものすごく行き当たりばったりで作られたとしかいいようがありません。 [地上波(吹替)] 2点(2006-01-16 01:12:29) |
3849. 肉体の門(1988)
冒頭に登場する娼婦のお姉様たちだけであまりにも強烈。加納みゆき+山咲千里+長谷直美+芦川よしみですよ。はまりすぎなキャスティングです。もっとも、気合充実のかたせ梨乃に引っ張られたのか、みんな少々オーバーアクション気味ですけどね。加納みゆきなんて、NHKの朝ドラで清純にデビューしたのに、よくぞこんな役を受けたものです。偉い!内容の方は、ほとんどかたせ梨乃の独壇場なのですが、娼婦たちの生き抜くことへの貪欲なまでの強烈な意欲がよく表現されていて、十分楽しめます。ラストはちょっと中途半端ですが。それと、根津甚八と渡瀬恒彦のキャストは逆の方がよかったと思う。 [DVD(邦画)] 7点(2006-01-12 02:37:20) |
3850. 殺人の追憶
《ネタバレ》 そりゃ、あんな適当でいい加減な捜査だったら、捕まるものも捕まらないでしょう、としかいいようのない作品。不思議なのは、あれだけ犯行が頻発したら相当な大事件のはずなのに、人手が投入されているように少しも見えないことと(最後まで4人ぐらいで実働しているように見える)、集めた情報や資料をもとにディスカッションや方針決定をしている場面がまったくないこと。なので、そもそも刑事たちが熱心に捜査しているように見えません。と、内容だけで見るとそうなるのですが、カメラとか風景設定とかはところどころ異様に優れていたり(これぞ何もないどんよりした田舎町!という撮り方とか)、冒頭と同じ場所に回帰するラストシーンの不気味な余韻はさらに異様に優れていたりして、映画としては強烈に印象を残すという、何とも困った作品。 [DVD(字幕)] 6点(2006-01-11 02:51:24)(良:1票) |
3851. デイズ・オブ・サンダー
ホワイトスネイクのヴォーカル、デイヴィッド・カヴァーデイルのソロ曲"The Last Note Of Freedom"のためだけに存在価値がある作品。いや、内容的にここまでカスとは思わなかったよ。たまたま遭遇した女医をへらへら追いかけながら、都合よく大事なレースだけ勝ってるんじゃありません。オートレースというものがすごく簡単に見えてきます。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2006-01-09 15:56:14) |
3852. 月夜の恋占い
タイトルに偽りありまくりですね。ラブロマンスなどではまったくありません。要は、いろんな人のちょっとした行動が、知らないところでいろんな人に影響を与えていて、それが見えないところで交錯・循環している、というだけの話です。ストーリーはかなり細部まで凝っているものの、結局は制作側の一存でどのようにでも設定できる内容であり、登場人物が主体的に動いているわけではないため、内容的な深みはそれほどない。 [DVD(字幕)] 5点(2006-01-06 03:00:36) |
3853. MUSA-武士-
この趣旨不明なタイトルからほとんど期待していなかったのですが、なかなか面白い時代劇ではないですか。誰が敵なのか味方なのかはっきりしない、先が読めない序盤から、キャラが加わるとともに段々と勢力が確定して、興味を維持したまま最後の決戦へとなだれ込むのです。ただし、進行が大味で、ところどころ演出に都合の良いように進んでいるのがまるわかりなのが難点です。あと、カメラがちょっといい加減かな。 [DVD(字幕)] 6点(2006-01-05 00:25:22) |
3854. ブロウ
すべてのエピソードを盛り込もうとするあまり浅薄な内容になってしまうという、実話ものにありがちな落とし穴に陥っている。例えば、最初にマリファナの売却がいきなりうまくいくというのは、当時のヒッピー・ムーブメントと密接に関わっているはずなのだが、それについての表現もまったくできていない。そもそも、麻薬密売のトップというのはそれだけで一般人と異なる特殊な表現テーマであるはずで、それならば描写の対象も商売や営業の状況に集中する方がその特殊性を生かせると思うのだが(家族関係の部分などは、ほとんどが不要)。ジョニー・デップも、この役に適しているとはまったく思えない。それと、最初の逮捕のときにあっさり釈放されていますが、あれだけ大量に所持して卸までやっていたら、日本ではそれだけで実刑10年以上ですので。 [DVD(字幕)] 3点(2006-01-04 12:40:04) |
3855. アウトサイダー(1983)
目がくらむような豪華キャストですね。これで悪くなるわけがありません。中盤、主役の2人にポイントが当たりすぎで、スウェイズやロブ・ロウやエステベスの見せ場をもう少し見たかった。音楽が中途半端にゴージャスなのも気になった。 [DVD(字幕)] 6点(2006-01-04 01:59:01) |
3856. ブルークラッシュ
主人公が馬鹿すぎなのが最大の難点。種目を問わず、スポーツというものは、頭が悪くてはトップには立てないのではないだろうか。大体、本番前日までろくすっぽ練習もせずに色恋沙汰に悩んでいるようなプレイヤーが勝てるわけないでしょうが(本当に勝ったとしたら、大会のレベル自体がその程度だったということ)。ついでに、ホテルのメイドとしてのモラルの低さも重大なマイナス。点数は波の映像のみに対して。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2006-01-04 01:44:32)(良:1票) |
3857. ザ・プロフェッショナル
《ネタバレ》 冒頭の宝石店強奪のスピード感はそれなりですが、プロ集団にしては妙にもたついている(それに、伏線っぽい「顔が映っている」は結局その後何も生かされなかったのでは?)。その後は、ところどころスリリングなくだりも挿入しつつ、やっぱり全体としてはグダグダ感が漂っている。ジーン・ハックマンもミスキャストっぽいけど、敵ボスがあまり怖そうじゃないのも、スリルを削いでるんじゃないかなあ。ダニー・デヴィートも、演技適当だし。 [DVD(字幕)] 3点(2006-01-03 20:47:34) |
3858. 愛しのローズマリー
古典的なテーマなのだから、作り込みをしっかりしないと映画としてはつまらないと思うが、例えば、催眠術にかかった後での世界の見え方の違いとか、ほかの人と自分の感覚の違いによるギャップなど、おいしい視覚ネタを含んでいるはずなのに、それが全然生かされていない。なので、最後も安直にしか映らない。制作者が考えているはずの「心の美しさ」とは何なのかが見えてこないのもマイナス。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2006-01-03 20:43:39) |
3859. ペイ・フォワード/可能の王国
《ネタバレ》 対象と描写手法がまったく合っていません。"Pay It Forward"運動の拡がりを扱いたいのなら、母親と教師のどうでもいいような恋愛沙汰を何であそこまでしつこく映し続けるの?サイドストーリーの部分があまりにも雑なので、本来なら重要な転換である「記者の登場」の場面も、予定調和的にしか感じません。むしろ、記者側を主役にするか、または5つか6つぐらいのストーリーが同時進行する形にした方がまだましだったでしょう。点数は、不気味な存在感を示していたジム・カヴィーゼルに対して。 [DVD(字幕)] 4点(2006-01-02 03:51:01)(良:1票) |
3860. フォーエヴァー・ヤング/時を越えた告白
《ネタバレ》 タイトルと設定から感動作になることは期待できるのに、方向性がばらばらで、結局素材の良さを殺している。この話は、かつての恋人を捜し求める主人公の心境だけで十分人を感動させられるのだから、FBIが追っかけてくるなんて部分はまったく不要。ジェイミー・リー・カーティスとの出会いも安直極まりないし、そもそも彼女の立ち位置自体が不明確(結果、子役のイライジャに食われている)。タイムトラベルならではのギャップや戸惑いの部分も、ほとんど表現されていない。それと、最初の過去の部分も、ちょっと手抜きでしたね。 [DVD(字幕)] 5点(2006-01-01 03:02:51) |