21. 地獄(1979)
《ネタバレ》 本当の地獄は人間のいるこの世…とかいう寓話的なお話かと思いきや、「マジ地獄」なのでちょっと驚きました。登場人物は全員罪人で誰一人感情移入できない(させようとしていない)あたりのメーターの振り切り方が、今の日本ではなかなかできないでしょうねえ。原田美枝子の淫乱っぷりはなかなか面白いが、これまた今の日本ではウーマンリブとかに怒られそうな感じ。80年代に入る直前の、日本映画のあだ花としてご覧いただくのがよろしいかと思います。個人的には非常に気に入った一本。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-04-14 00:58:01) |
22. プリンセスと魔法のキス
ミュージカル映画としての運動神経はなかなか。ここぞというときに歌が入り、アニメーションならではのきらびやかなショーシーンが繰り広げられるが、いかんせん楽曲が弱い。見終わった後、印象に残る曲がひとつもないのはミュージカル映画として痛すぎるなあ。それでもディズニーのDNAを存分に散りばめたぜいたく感はお見事。アトラクション展開やブロードウェイ展開まで見越してのこの題材なのね、などと邪推しない人には素直におすすめできます。 [映画館(字幕)] 5点(2010-03-29 11:04:59) |
23. シカゴ(2002)
《ネタバレ》 「NINE」に投稿したので勢いでこちらにも(笑) シカゴには欲深き女がおりました、じゃだめなんだよ、ロブ・マーシャル。この事件を容認してしまうアメリカという国の深さ・愚かさ・崇高さを欠かし、代わりに驚くほど下品な振り付けのダンスを加え、ショーシーンを単なる妄想にとどめてしまった監督の罪は重い。オリジナルの舞台と比べてはあまりにもかわいそうだが、品も思想も足りなすぎる。ミュージカルファンとしてこんなのをミュージカルとするとは、断固として認めるわけにはいきません。 [映画館(字幕)] 2点(2010-03-24 12:23:18) |
24. NINE(2009)
《ネタバレ》 『シカゴ』と同じく回想・妄想シーンがショーシーンになっているというつくり。もうね、この時点でミュージカル映画として失格。ジャンルとしては「妄想ダンス映画」とでも呼ぶべきでしょう。ロブ・マーシャルという人は基本的にミュージカルを理解していない。だからトニー賞でも無視されまくりなのよ。…とまあ個人攻撃はおいといて、映画のほうは女優さんたちがとてもがんばっています。短い出番の間に濃密な芝居をし、カメラもそれをしっかりととらえてはいますが、なんだか全体にとっちらかっちゃってるなあという印象。グイドの悩みの本質が見えてこないので、絡む女優たちもただ官能的なだけに見えてしまう。結果、イタリアという国とイタリア人たちがものすごく薄っぺらな人たちに見えてくる。もうひと味もふた味も深みがあれば…すごく残念な映画です。ダンスは『シカゴ』同様、振り付けが非常に下品。 [映画館(字幕)] 2点(2010-03-24 12:14:15)(良:1票) |
25. シャーロック・ホームズ(2009)
欧米発「やおい」映画キター! 腐女子文化がアングロサクソンにも浸透したのかと確信してしまうほど、ロバート・ダウニー・ジュニアとジュード・ロウが組んず解れつ、付かず離れず、ステキ光線だしまくり。2人のイチャイチャっぷりが楽しさの約半分を占めますが、演出のテンポもよく、薄汚れたロンドンの雰囲気もおもしろく、見どころは満載。あちこちの映画館で満席が続いているようですが、これなら納得。映画らしいダイナミズムもケレン味もたっぷりなので、ぜひ映画館で見ることをおすすめします。 [映画館(字幕)] 9点(2010-03-23 11:46:32) |
26. フィリップ、きみを愛してる!
《ネタバレ》 愛してる、といいながら実は愛してないじゃん、愛してるのは自分じゃん?とツッコミまくりの2時間。HIV陽性は偽装できてもその後の細かい血液検査をいちいち偽装できねえだろうというツッコミもあり。実話に基づいた映画の割には全体的にウソっぽさが満載でまったく共感できませんでした。なんだか全体に腹立たしい映画。 [映画館(字幕)] 2点(2010-03-23 11:36:15) |
27. COACH 40歳のフィギュアスケーター
《ネタバレ》 登録要望しておいて0点ってのもアレなんですが、これは言わずにいられない。「夢をあきらめないっ!」というキャッチコピーがついてますが、お願いだからあきらめてくれ、と心から願ってしまいました。せっかく安藤美姫が出ているのに、ものすっごいトンデモ映画です。誰もやったことのない技「ブルーローズ」(どうやら開脚したまま空中で回転するらしい)が出てくるあたり、この監督はフィギュアスケートに対する敬意がないことがわかります。いや、ギャグだったらいいのよ、ギャグだったら。でもそうじゃなくてシリアス路線なんだもん。引き合いにだしちゃ悪いけどこれはもう『だいじょうぶ、マイ・フレンド』の再来。ホントにひどい。 [映画館(邦画)] 0点(2010-03-09 17:03:54) |
28. ハート・ロッカー
ハッキリ言わせていただくが、これはれっきとしたエロ映画です。過剰なまでのオスの表現が最後までみっちり詰まってます。男の記号【無茶・無謀・大酒のみ・無意味な裸】が満載。個人的にはかなり萌えましたが、日本女子にはうっとうしいだけかもね。気になったのは全体にわたる手ブレ映像。ライブ感があるけれど、だんだん見るのに疲れてくる。それでもスクリーン全体から匂いたつようなオスの香りでチャラになります。なんていやらしい。 [映画館(字幕)] 8点(2010-03-08 11:35:14)(笑:2票) |
29. 時をかける少女(2006)
《ネタバレ》 ヒロインとぼくはたぶん20年以上も世代が違うはずなのに。なんなんだろう、この共感は。この共感こそが、この映画を名作たらしめている最大の要因。(共感をよぶために細田監督は夏の風景やプリンやカラオケなど最大限の努力をしているけれど)胸がしめつけられるような切なさが最初から最後まであふれています。なんというセンチメンタル。すばらしい。 [DVD(邦画)] 10点(2010-03-01 11:50:36) |
30. 時をかける少女(2010)
《ネタバレ》 「時かけ映画祭」(原田知世版、アニメ版、仲里依沙版の連続上映)で見てきました。 前の2本に比べてもデキは悪くないと思うけれど、最近の「泣かせようと躍起になってる日本映画」の血脈を受け継いでるなあ、という印象。泣きの視点がちょっと子供っぽい。大人が共感する心に響く切なさがこれまでの時かけに比べると少なめだなあと感じました。それがいいか悪いかは好みの問題だけどね。仲里依沙はいい女優だと思う。芝居に緩急があるし、感情表現に無理がない。なによりスクリーンを支配する華もありました。今後に期待。 [試写会(邦画)] 7点(2010-03-01 11:32:31) |
31. 時をかける少女(1983)
中学生の時にスクリーンで見て、そのあと何度もDVDで見て、こないだ「時かけ映画祭」でまたスクリーンで見てきました。2006年のアニメや2010年版に比べてツッコミどころが多いのは確か。間抜けなセリフやこっぱずかしい歌の入り方、高柳良一の比類なき大根っぷりなど、マイナス点はいっぱい。でもね、この映画には他にはない「せつなさ」がたっぷり入っています。こんなせつない映画、つくろうとしてつくれるもんじゃない。知世と原作と尾道の風景、どれか1つ欠けてもなしえなかった奇跡のような偶然の産物です。見てない人はぜひご覧あれ。 [映画館(邦画)] 10点(2010-03-01 11:21:48)(良:2票) |
32. サンシャイン・クリーニング
《ネタバレ》 前半の軽いコメディ調が後半になって重いファミリードラマになるあたり、すいません、好みじゃないんだなー。手ざわりとしてよくありがちなアメリカン・インディペンデント映画。もうこういう家族ものって飽き飽きなんだよね、といいつつ、エイミー・アダムスのがんばり方はよろしいと思う。 [映画館(字幕)] 5点(2010-02-25 11:59:10)(良:1票) |
33. 正義のゆくえ/I.C.E.特別捜査官
《ネタバレ》 「貧乏な移民はかわいそう!」「もっと寛容になるべき!」といったバリバリサヨク映画を期待していったら、手ざわりは違った(笑)。正義とは人道的正義ではなく法正義のほうでした。ハリソン・フォード(脂っけがぬけちゃってパサパサしてる)は主役ではなく、いろんなエピソードにいろんな主役級がいて、それぞれがなんとなく交差したり離れたり、という構成。芯が見つかりにくいので映画を見慣れていない人はワケわかんないかもしれません。 [映画館(字幕)] 6点(2010-02-25 11:50:57) |
34. ジュリー&ジュリア
徹頭徹尾、ノーラ・エフロン映画。相変わらずひと味足りない(料理映画なのに)。たぶん人物の描きこみが甘いのでしょう。ジュリーもジュリアもまったく魅力的に見えないのだが、力技でなんとかしちゃってるメリル・ストリープはやっぱりすごい。逆に言うと彼女の芝居しか見るべきものはありません。決定的にヤバいのは料理がマズそうなことだな(笑) [映画館(字幕)] 3点(2010-02-25 11:40:24) |
35. 抱擁のかけら
みんな見てないのかな? さすがアルモドバル!「こっくり甘辛煮」といった映像とストーリー展開。わかりやすさはないけれど、登場人物の心の動きが手に取るように感じられ、どっぷりとつくられた世界に浸ってしまう。ただし、この監督の旧作のような(例えば「オールアバウトマイマザー」)キレのある、スパッスパッといった展開がないのが退屈に感じる人もいるかも。 [映画館(字幕)] 7点(2010-02-25 11:33:45) |
36. カティンの森
《ネタバレ》 暗い。この暗さをきちんと描ききれるのは監督の技量でしょうね。暗さを観客として楽しめました(起こっている事件は楽しめないけどさ)。気になったのは、ひとまず歴史解釈が終了している事件とはいえ、視点が一方的に過ぎやしないか、ということ。ソ連を断罪するだけのように見える。それともうひとつはあまりにも未来への希望がなさ過ぎること。ま、歴史検証映画なので希望なんかなくてもいいんだけど、ちと後味が悪くて… [映画館(字幕)] 6点(2010-02-16 16:00:33) |
37. Dr.パルナサスの鏡
《ネタバレ》 ぼくは映画を見る人として我慢強いほうだし、難しい映画を理解しようともするけれど、これはひどいと思った。観客に理解を促そうとする気ゼロ。なんという高慢な映画でしょう。何がなんだかぜんぜんわかんない。脚本も映像もひとりよがり。ただ個性的な映画をつくりゃあいいっちゅうもんじゃないでしょう。監督は昔の自作・ブラジルに謝れ。あと、ファンタジー表現はぶっちゃけ言って凡庸です。色使いも汚らしい!…なんだか書いてるうちに興奮しちゃった(笑)。 [映画館(字幕)] 1点(2010-02-16 15:55:15)(良:1票) |
38. サロゲート
最近こういうの多いなあ、「勝手に仮想未来をつくり」、「その未来はよくない!」と切り捨てる映画。マッチポンプという言葉が頭の中を巡ります。それはさておき、誰が味方で誰が敵なのか、ちょっとわかりにくい。気を取られるとストーリーについていけなくなってしまいます。短い上映時間の中、誰が味方かということを半分ぐらい考えてました(笑)。ラストシーンは圧巻。なので、ちょっと甘めの採点にしました。 [映画館(字幕)] 5点(2010-01-25 11:48:24) |
39. アバター(2009)
《ネタバレ》 引き合いに出して悪いんだけど、CGがすごい映画という意味でどうしても『2012』と比べてしまう…もちろんあっちが薄っぺら。こちらは映像美を堪能できるだけでなく、舞台設定の奥深さ、人間描写の細かさなどもしっかり楽しめます。この描き出される世界に、目も心も入り込んでしまいます。まさに夢心地。とはいえ、SFとして見るならば異人種の造形がちょっと類型だったり、ストーリーがありきたりだったりするのは小さくない欠点ですが、それでも魅力にあふれた映画ではあります。余談ですがシガニー・ウィーバーがナヴィになっても顔がまったく変わらないってのはいかがなもんだろう。本人怒らなかったのか? [映画館(字幕)] 8点(2010-01-14 15:53:37) |
40. 2012(2009)
《ネタバレ》 ご都合主義選手権ワールドカップが開催されたら、まず間違いなく優勝。そんな映画です。地球の崩壊を描く映画にしてはなんとも救いがないですな。結局生き残るのが金持ちと権力者なんて…ぼくは自他共に認めるバリバリの右派人間で、格差・競争容認派だけど、さすがにこれだけはいただけない。貧乏人は死んでしまってもしょうがない、という映画はやはり「愛」に欠ける。それは人間の心をまったく揺さぶらないものでもあります。CGのすごさに驕り高ぶり、まったくもって鼻持ちならないサイッテーな映画です。ジョン・キューザックはこんな映画に出なきゃいけないほどお金に困ってるのか。ふん。 [映画館(字幕)] 1点(2010-01-14 15:32:05)(良:1票) |