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Nujabestさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 112
性別 男性
自己紹介 10点---- 個人的ツボ。欠点なんて知ったこっちゃない映画。
9点---- 完成度高し。人にすすめたくなるような映画。
8点---- 良作。ちょっと気になる点も。

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21.  遠い空の向こうに
名作すぎて、今更投稿する内容も語りたいことも特にありませんが、素晴らしい映像と脚本ですね。官能が高まってるシーンで、蒸気機関車のフラッシュはベタすぎて笑いましたが。日本ではヤカンですよねw October Skyという原題が美しいなと思っていた所に、アルファベットの並べ替えだと知った日には鳥肌が立ちました。あと、ライリー先生が只の良い教師じゃないところもいいんだよなあ。音楽も地味に良い。ロケットが真っ直ぐに青空を裂いていくシーンは爽快。
[DVD(字幕)] 9点(2009-06-24 14:53:03)
22.  アパートの鍵貸します 《ネタバレ》 
1960年の作品なので話としては退屈な箇所もあるかもしれないが、それでも楽しめる映画。白黒だが古さはあまり感じず、逆に粋だと感じさせる映画。自分の中ではMatt Dennisを聞いたときの感覚と似ている。落ち込んだときに手が伸びる映画のうちのひとつなので、点数は甘めで。
[DVD(字幕)] 9点(2009-02-06 01:48:49)
23.  インファナル・アフェア 《ネタバレ》 
傑作。まず設定の段階から良い。善と悪のどちらにも大きな秘密が隠されているので、緊張感が生まれる。そして随所に渡って緊張感を保つように脚本が良く練られている。台詞も◎。問題は、やはりラストにウォン警部の死付近以上の盛り上がりが欲しかったのと、もっとどちらかのキャラクターに感情移入させても良かった所か。時間が短いので、人物の掘り下げをプラスしても良かったと思う。しかし、傑作であることに変わりはない。
[DVD(字幕)] 9点(2009-02-02 12:56:44)(良:1票)
24.  パルプ・フィクション 《ネタバレ》 
脚本としての骨格はよくできていて斬新だが、余分な肉が多い。それが筋肉なのか、脂肪なのかは観る人によって変わる。個人的には、前者だ。かなり無駄な部分が多いと思うが、いつの間にかそれが作品の味となってしまう。その辺りを、題名と、レストランでミアの台詞で示しているのだと思う。好きなら、無駄が気にならなくなるといったくだり。タランティーノのお遊びに、いっしょに参加できるかが評価の分かれ目だろう。好きなシーンは、「好きよパンプキン」「俺もだハーニバーニー」の箇所と、ダンスシーン、ブッチの「パンケーキ代だ。たっぷり食えよ」の後のシーンの変貌ぶり、「そのオートバイどうしたの?」「こいつはチョッパーだよ」の箇所。とにかく、ブッチがカッコ良さが異常です。それに、死んだ筈のトラボルタが生き返って平然と出てくる(時間軸を操ってるだけだが)奇想天外な脚本も笑えますね。タランティーノの最高傑作ではないと思っているので9点で。
[DVD(字幕)] 9点(2009-02-02 10:41:32)
25.  ゴーストワールド 《ネタバレ》 
好きな作品。オタク少女のモラトリアムを描いた作品のサブテクストとして、オタク男の妄想の話が隠れているという解釈でいいのだろうか。前者だけでとると、何度見ても最後の10分程度の意味が分からない。シーモアは何の病気で入院した(てる)のか。エンドクレジットの後に挿入されてるシーンも、意味が分からない。やはり、シーモアの妄想の話なのだろうか…。そしてGhostWorldというタイトルが何を意味するかも未だに消化し切れていないが、オタク少女の話としてもすごく良くできてるので評価は変わらない。随所で流れるピアノの旋律がすごく切なくて良い。話としても切なさで押し潰れそうになる。イーニドとレベッカもシーモアも、3人とも素敵だ。
[DVD(字幕)] 9点(2009-02-02 04:48:52)
26.  アメリカン・ビューティー 《ネタバレ》 
特に印象に残ったのは、幸せと必死で思い込んでるレスターの妻、ゲイカップルの異常なほどの笑み、ホモフォビアな隣の父親、隣の奥さんの悲しそうな佇まい。終盤のシーンは4~50年心の奥底に隠してきた思いを、告白した瞬間に拒否られたから殺したのでしょう。しかもアメリカの象徴のような銃で。自分に素直に生きている人間は、本当の感情を抑圧して生きている人間に憎まれてしまう。何とも皮肉な結末です。細部に渡り良く出来ている映画だと思います。ビニールが舞う同じようなシーンを実際に目撃したことがあるので+1点。
[映画館(字幕)] 9点(2009-01-26 00:51:54)
27.  ハッシュ! 《ネタバレ》 
この監督、繊細な感情を表現するのが上手だと思います。良いシーンが沢山あります。例えば、一夜明けた朝に寝呆けたまま「ぬくもり」を探すシーン。コーヒーの湯気を顔で感じるシーン。居酒屋前で打ち明けようか悩んでいた所を「気持ち悪い(本人は飲みすぎで)」と言われて断罪されてしまうシーン。ボウリング場での「母子家庭とかで苛められちゃうかも」「ちゃんと育ってんじゃん青年」。兄ちゃんが実はゲイだと知っていたシーン。河原の土手のシーン。書ききれませんが、良いシーンが沢山詰まっている良い映画だと思います。ただ一点、この家族の形は「ありorなし」で言えば個人的には無いなーと思いました。その辺りを考え出すと評価は下がってしまいますな。
[DVD(邦画)] 9点(2009-01-25 23:03:26)
28.  ブロークバック・マウンテン 《ネタバレ》 
ブロークバックマウンテンの大自然を見る行為と供に、二人の思いを感じ取る映画だと思います。台詞としての説明はかなり省略され、観る者の想像に委ねられています。感情の機微が鋭い時、弱ってる時、そんな時に見るとやられてしまいます。ラストのシャツの入れ替わりがガツンときましたね。ジャックの死因も、ジャックの親の行動がすべてを語ってるのでしょう。余談ですが、ジックがおっさんに仕事を貰いにいくシーンで、吹き替えで見ると市民ケーンのあれが出てきます。字幕じゃ語らないですが…。ああ、ネイティブになりたい。
[DVD(字幕)] 9点(2009-01-25 22:10:21)
29.  カサブランカ 《ネタバレ》 
ラズロが先導して、フランス国家を歌い、ドイツ軍の歌をかき消すシーンが、なんといってもこの映画の一番の見所だと思います。ラストの余韻もよいですが。あれを見せられると、結婚という形式的な束縛もあったにせよ、イルザがなぜラズロを選んだのかが分かります。かっこいい男とはまさにラズロのことですよ、奥さま方。戦意喪失し、キザな男全開だったリックも、最後の最後に「本当の意味でのかっこいい男」になりますね。彼のかっこよさは、クライマックスへ向けて変化する前の彼ではなく、ラストから、違う物語で続いていくのです。帝国主義から、自由を奪い返す為の、語られなかった物語の中で。
[DVD(字幕)] 8点(2011-09-15 05:07:22)
30.  いまを生きる 《ネタバレ》 
キーティングの教えは、人間とは自由であるということだったと思う。それは、嫌なことから逃げ出せ、嫌いなものからは逃げろというような自由ではなく、自分の中で吐き出される感情を、正しい形でアウトプットする方法を教えたかったのだろうと思う。  スポーツやバンドをやってる人は、何も考えずとも思春期特有の鬱屈した感情が蒸発していくもんだろうけど、そういう術を知らない子供達にとってはひどく重要な問題だ。環境的に束縛されていても、アウトプットする手法さえ知ってれば、そう簡単に追い詰められることはない。  芸術家は負のエネルギーを、創作活動にぶつけることができる。 内部にたまったものを形にするという方法さえ知っていれば、感情の捌け口として、内部のエネルギーを外に逃がすことができるのだ。ブログ、レビュー、SNSなんかも同じ。 どこまでも、自分の内なる世界にとどまっているだけでは何も生み出さない。 外に向かってアウトプットすることで、他者と出会い、他者の価値観に触れ、それを認識することで自分というものが分かってくる。新しい発見がある。この映画では詩作という方法で、友人同士が自分の内的世界を外に向かって吐き出し、ぶつけあっていく。何と平和的で生産的な方法だろうか。  では、なぜ友人は死んだのか。 彼の失望は、舞台での成功を褒められなかったことよりも、陸軍学校に送られることよりも、親に愛されていないことをはっきりと自覚したからだと思う。自分の中で、そんなはずはないと気づかないふりをしてきた感情、親のロボットになることで愛されていることを確認していた感情が、そうじゃなかったんだと、意識する形で現前と姿を現してきたのだと。子供たちにとっては、親の言いなりになることよりも、それを自覚する瞬間が一番の恐怖なんじゃないか。 キーティングは、感情を外に表現することを教えた。しかし、彼の根底は、両親という基礎によって形作られている為に、その感情を知ってしまったら、もう、自己表現することも、家を飛び出すことも、口論することさえ空虚なものに感じられてしまったのだろう。  親がやることは、安全な道を強制的に歩かせることではなく、安全な道を歩けるように上手に軌道修正させて導いていくことだと思う。この映画は、もちろん青春映画なのだけど、青春時代を過ぎ去った大人たちに向けられた映画でもあると思う。
[DVD(字幕)] 8点(2011-09-15 04:53:45)
31.  潮風のいたずら 《ネタバレ》 
映画の途中、恋人達の伝説の話を聞いた時点で、「ああ、この話がラストの伏線で使われるんだな」というように先が読めてしまうし、船の上で汽笛がなった瞬間に「あーくるぞくるぞ」と身構えてしまうのですが、主演のゴールディ・ホーンが海に飛び込む前に見せる、「アルトゥーローォォォ」の演技が実にいいんですよね。あの瞬間のためにこの映画を何度も見てると言っても、過言ではないかもしれません。レスリー・ディクソンの脚本は、娯楽作としてはハズレが少ないと思います。さて、リメイクはどうなることやら。
[ビデオ(字幕)] 8点(2010-11-24 04:10:36)
32.  殺人の追憶 《ネタバレ》 
ラストシーンのソンガンホのアップ、好きです。2次元の映画の世界に陶酔していた観客を、唐突に現実の世界に引きずり戻す社会的メッセージの凄まじさ。もしかしたら、映画館の隣の席でポップコーン頬張りながらこれを眺めているかもしれない犯人と、主人公が対峙する瞬間。当時韓国の映画館でこれを見ていた観客達は、震え上がっちゃったんじゃないかなあ。チェイサーでは途切れてしまった、追う者の執念というか、社会的メッセージの糸がこちらの世界にまで繋がっているのを感じる映画でもあります。こういう作品が出てくるくらいなんだから、韓国社会ってのは、あの時代よりも今のほうが、警察への怒りが蓄積されてんのかな。ストレスは溜まりますが、心に残る映画だと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2010-11-24 04:04:19)(良:1票)
33.  ボーイズ・オン・ザ・ラン 《ネタバレ》 
田西君は誕生日の夜にデリヘルのおでぶちゃんと抱き合ってました。自分は誕生日の夜に、この映画を見てしまいました。すごい偶然です・・・。嫌になるくらい。  この映画の田西君はほんとうにかっこ悪かったと思う。 最初のうちは上から目線でくすっとなるんだけど、段々と自分と目線がシンクロしてきて、痛すぎて途中で見るのが苦痛になった。 どうにかして彼女を取り戻そうとする田西君。色々な作戦に出ます。 結婚式のスピーチも自分に酔ってる節があったと思う。 殴りこみに行く事だって、彼女の為というよりも、情けなくて無様な自分の自尊心を傷つけられたことに怒ってた節があったんじゃないかなと思う。彼女は、それを無意識的に感じてたんだと思う。だから届かなかった。  最後、お漏らしまでして無様の底辺の状態になった田西君。 駅のホームで初めて、自分を捨てて彼女にぶつかっていきます。 最後の最後に、かっこつけや、ナルシシズムなんか捨て去った本音の言葉を吐くのです。 それが、彼女の胸を打ったんだと思う。 言ってることは、卑猥で下劣でどうしようもないけれど、今まで見た映画の、どんな「愛している」という言葉より、弾丸のように胸に届いてくる愛の告白だと思った。 かっこいい男とは、無様な自分をさらけ出して、それでも勇気をだして前に走っていく奴のことなんだな。 ラスト、街を疾走していく田西君は、ナルシシズムに溺れたままのタクシードライバーのトラヴィスなんかより、最高にかっこよく見えました。
[DVD(邦画)] 8点(2010-11-24 02:41:09)(良:2票)
34.  告白(2010) 《ネタバレ》 
子供を叩き治す超スパルタ教育映画にも見えました。現実感覚を喪失した状態に陥っちゃうと、自分の痛みをなくし、他人の痛みも分からなくなり、殺人やったり、いじめやったり、リスカやったり・・・。とまあ、こんな人間沢山いるのではないでしょうか。物語の最後、主人公の少年が、内的世界から現実世界に舞い戻ってきた瞬間に、鼻血を流す描写が秀逸。HIVの伏線が効いてくるわけです。少年の嘘も黙秘も吐くふりも通用しない、生理的反応。現実感を喪失した世界で一番信じられるものです。本当に起こったことのように感じさせることが重要であって、実際に起こったかはあまり重要でない気がします。演出含め、結末さえも不確実に描いちゃうから上手いです。観客自身も、映画の中で起こっている胡散臭い世界から、後半につれていつの間にか痛みを感じることができるという物語の構造も良し。エヴァあたりから一気に量産された感のある、現実感覚を喪失した自分をモチーフとした作品群の流行に喝をいれた、インパクトのある快作だと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2010-11-16 17:38:11)
35.  (500)日のサマー 《ネタバレ》 
恋というものの残酷さを、見せ付けられた。なぜなら、失恋によって人は、それまで築き上げてきた人間性を木っ端微塵に打ち砕かれ、自らを見つめなおす機会を、強制的に提供されるから。その意味で、サマーが心を占有した500日を研究対象のように、時系列をバラバラにして振り返っていったこの構成は、成功していると思う。トムのように、失恋したら、(○○)日の○○という形で、自分を振り返ることは非常に重要だろう。誰しもが、恋の"ごっこ"を繰り返して、自分を知り、愛を学んでいくのだと思う。トムの場合、別れた原因は、深い関係を結んでることから外見的な問題ではない。つまり、内的な問題で、ナルシシズムからの脱却以外に道はないんだと思う。自分>サマーなんですね。彼女に理想の女性像をあてはめ、価値観を決め付け、運命の女の幻想に恋してただけ。その為には、まずは自分を捨て現実を見つめることから。運命の相手なんて後からついてくる。 映画を総じて、アメリカの文化的アイコンが散りばめられていて、細部まで楽しめる作りだった。趣味という点から人物を掘り下げているのも○。自分はThe smithがきっかけとなり、恋に落ちるトムを見せられて、どっぷりと引きずり込まれてしまった。映画の全体的な雰囲気も良い。アメリのように、お洒落な要素である特定の観客をひきつけ、食虫植物のように食らいついてくるんだから、やられたという感じです。指摘されてる方もいましたが、まさに現代版アニーホール(より身近になってる)ですね。現代の男は、より繊細になってるのかなあ。
[DVD(字幕)] 8点(2010-11-14 19:46:02)(良:1票)
36.  疾走 《ネタバレ》 
干拓地という、言ってみれば”海の生物の墓場”が、美しく撮られていたことにまず感動した。そして、鬼ケンと茜は、生き物の匂いを充満させていて、その殺伐とした雰囲気に良い味を添えていたと思う。 シュウジにとって、沖で出会った人たちとのふれあいと、その地を踏みしめて走る瞬間だけは、生の実感に溢れていたのではないか。  この映画における、学校で起こるいじめと、社会で起こっている部落差別には差がないと思う。暴力の執行者である、いじめっ子、ヤクザ。それらを静観するクラスメート、噂をする住人。犯罪者の弟だからとか、沖に住んでいる人だからとか、そんな理由で暴力がまかり通る。閉塞した土地では、それほどに血や土地は重く、自分より、上なのか下なのかで暴力の方向は決まる。人類史とは、血とともに、暴力を継承してきた歴史でもあるのだと思う。 ではそのような暴力に立ち向かうためには、どうすればいいのか。シュウイチのように下層に継承するか、シュウジのように上の階層の人間を殺すのか、はたまたエリのように心を殺して耐え抜くのか。神父の弟が問うたように、己の肉体を殺すという選択肢もある。しかし、その答えは、これだけではないはずだ。人間と犬は、きっと違う。  兄が家を出て行く瞬間の、「早く家に入らないと風ひくぞ」のシーンはぞっとするほど怖い。兄との繋がりが断ち切られた瞬間を、シュウジが皮膚感覚として感じる瞬間だから。同時に、両親との別れがほぼ描かれないことも怖い。言語を捨てたシュウジの放った遠吠えは、観賞後もずっと頭の中を反芻して離れなかった。
[DVD(邦画)] 8点(2010-10-30 18:12:05)
37.  チェイサー (2008) 《ネタバレ》 
映るもののほとんどが暗くじめっとしていて雰囲気がある。映画の舞台が車が行き違うこともできないような狭く入り組んだ坂道に隣接するところで、これだけで奇妙なゾクゾク感に襲われてしまった。殺人の追憶では徹しきれていなかったが、この映画は痛烈な公権力批判を行っている。杜撰な犯人のさらに上をいくお粗末な警察と検察が主人公の行動を阻んでいく。終盤で、主人公が犯人を殺そうとする瞬間に警察が踏み込んでくるというのは陳腐かもしれないが良かった。私刑さえも許されなかった主人公と被害者達のやりきれなさだけが残る。ただし、その後のシーンにそれ以上踏み込んだものがなかったのが残念。社会的メッセージよりもエンタメを選んでしまったという印象。主人公の心理に迫る深みや、観賞後に残るものも余りない。事件から5年ほどしか経っていない重い事件をモチーフにしているわりに軽すぎる気がした。エンタメとしては良作、社会派としては凡作といったところか。実際の事件はカニバリズムなども絡んできてもっと凄惨で、犯人と警察に対する憤りばかりが募ったと記憶している。被害者遺族に警察が足蹴りしたなんて報道もあったし。犯人の心理を掘り下げていかなかったのは個人的に○。不気味さが漂っていた。妙にあっけらかんとしている所や、行き当たりばったりな所も怖い。
[DVD(字幕)] 8点(2010-01-31 19:36:08)(良:1票)
38.  イントゥ・ザ・ワイルド 《ネタバレ》 
パッケージの爽やかさとロードムービーという情報のみで借りたのだが、かなりヘビーな内容。主人公が口にすることは一見強くて意志のある人間にも見えるが、彼のとった行動は愛情欲求の裏返しでしかないのだと思う。彼に生の実感がないのは、安全が満たされすぎて生の実感がわかないという豊かな社会における特権的欲求というよりも、親からの愛情欲求が満たされてない所から生じているように見える。故に、荒野で死の危険と隣り合わせになっても解き放たれることはない。旅の過程で温かい心の交流もあり、心を開いていけるチャンスはあった。しかし、彼はいつもあと少しの所で踏みとどまってしまう。表層的な接触しかなく、深部ではつながっていない。嫌われるくらいなら、いっそのこと親密にならないほうがいいし、荒野に行けば訳の分からぬ物足りなさは満たされると思っている。だから逃げる。物語の最後、彼が出した答えには考えさせられた。生の実感というものは、人との関係性の中で見つかるもので、荒野で見つかるものではない。他人と共有する、楽しさや一体感などの見えない感覚の中にこそあるのだと思う。独りで身の危険を冒して得る生の実感は常に虚しさと隣り合わせなのですね。彼はアラスカで独りになるんじゃなくて、行く宛ても無い旅を続けて色々な人ともっと交流していくべきだったのだろう。彼が命を懸けて、親の愛情、そして人間の愛情に飢えていることを自覚したのがとても切ない。
[DVD(字幕)] 8点(2010-01-16 09:01:08)(良:1票)
39.  さびしんぼう 《ネタバレ》 
この映画の秀逸な所は、普通の恋愛映画では隠してしまうような嫌悪的なもの、例えば肉親の恋愛などを挟んで、堂々とファンタジーとして表現していることだと思う。普通は恋愛に肉親が絡んできただけでも気恥ずかしい気持ちになる。もしそれを表現しても生々しくて野暮ったく、この映画のような純粋性や叙情性は保たれないように思う。母親の初恋や、母親とエロ本を見ながら会話するなんてのもそうだけど、父親との五右衛門風呂(?)のシーンは特に印象に残った。17歳という性に悩む多感な時期に、父親が母親に対してどれだけ愛情があるのかを、狭い風呂の中で聞かされる。肉親の性についての会話を、肌を触れ合わせるという身体的会話を交えて体験するのである。これは自分の親に置き換えると恥ずかしくて身悶えそうになるような描写だが、この映画では、負の感情ではなく、無意識に見ないようにしていたものが突然目の前に落ちてくる様な不思議な感情になった。それは、嫌悪や恥というよりも、すごくあったかい。主人公の彼もきっとそういう気持ちになったと思う。なぜなら自分がなぜ存在するのかを無意識に知らされているわけだから。母親の夢見がちな描写に対して、父親のこういう受け皿的描写があるのが物語をどっしりと支えている。この映画は初恋の心情の切なさなんてのもいいのだけど、家族の心のふれあいみたいなものも純粋に表現してるとこもいい。ところで、先生のスカートが事あるごとに翻るのは失笑を通り越して笑える。前半(3点)との落差があるから後半の巻き返しが凄いことには違いないのだが(笑)
[DVD(字幕)] 8点(2010-01-13 02:53:32)
40.  大人は判ってくれない 《ネタバレ》 
子供が自然体で映っている映画はたまにあるけれど、ここまで子供の行動を分かっている映画もなかなかない。本当に子供をよく観察しているなというのが最初の印象。子供が子供らしくて見ていてとても微笑ましい。特に人形劇を眺める子供達の夢中な表情が印象的。だけど、その無邪気な子供達の後方で、盗みの話をしている少年がいる。主人公の少年である。この少年は親に対する信頼が無い。どんなことがあっても最後は親が自分の見方をしてくれるという、子供にとって必要不可欠な感情を失っている。12歳の少年が、幼くしてすでに親をあきらめている。簡単に家出をしてしまったり、つい「母親が死んだ」と嘘をついたり(身内はあるかもしれないが母親というのは中々言えない)。彼はどこでその得られなかった感情の埋め合わせをしていくのだろうか。同い年くらいの普通の子には与えられる愛情をどこで体験するのだろうか。なぜ彼が、あたたかい寝袋を好むのか分かった気がする。本当に見ていて辛い映画だ。そして、何よりも切ないのは少年の数々の悪事の中にも律儀さや人の良さが、ふっと見え隠れしているところ。寝床で夫婦喧嘩の声を聞く彼の憂いを帯びた瞳、そしてラストの海辺での鋭い眼差しは忘れられない。
[DVD(字幕)] 8点(2009-12-31 15:27:25)
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