381. 透明人間(1933)
H.G.ウェルズ原作のSF映画。透明人間になると凶暴になり遂に自らを破滅に追い込むという怪物モノ映画だが、いきなり透明人間になるところから話が始まり、以前の博士の性格や生活ぶりなどが全く書かれておらず、どう変わってしまったのかが全くわからないため、怪物になりきれていない。以前の博士からしっかり書いていれば深い脚本になっていただろうだけに残念。ただ製作が1933年という古さ。当時の人たちには小説で楽しむしかなかった透明人間というものを映像化してしまったことにこの映画の価値があるのだろう。 [インターネット(字幕)] 6点(2006-08-13 16:06:08) |
382. 許されざる者(1992)
よくこれまでのヒロイズムに頼らないイーストウッドによる西部劇の総括と評される作品だが、これまでの西部劇と大して変わる物でもない。そう捉えられるのはやっていることが全く変わらないからこそ。変わったのは世間のヒロイズムである。イーストウッドはそれをわかっていながら敢えてこれまでと同じ映画にしたのだ。そして世間はこれまでのように迎合するのではなく考える。答えは出ない。そしてそこで幕を引いた。そしてかつての偉人にそれを捧げた。実に巧みな総括である。 [DVD(字幕)] 7点(2006-08-13 08:35:16) |
383. モンスター(2003)
ある猟奇殺人犯をモデルとした映画という物は多数存在するが、ここまで伝記に近いものというのは画期的であった。それも題材はあのアイリーン・ウォーノスである。人間が連続殺人という猟奇的な行為に走ってしまう背景、それも女性のケースであるこの事件ほど個人的に興味深い題材というものは無い。ハードボイルド小説でもホラー小説でもない。アメリカンニューシネマでもない、実話であるからこそ漂う虚無感。理解や同情など関係ないしする必要も無い。これはこの社会の中で起きた実話なのだからもうどうしようもないのだ。彼女はモンスターではなく、社会の構成員であったがある時から構成員でいることが出来なくなった1人の女性である。自己の欲求であったりすることが多い男性の連続殺人犯のケースとは重ならないことが見て取れる。信じがたい狂演を見せたシャーリーズ・セロンはもちろんだが、クリスティーナ・リッチの相変わらずの怪演ぶりにも完敗。 [インターネット(字幕)] 9点(2006-08-12 18:53:11)(良:1票) |
384. ドラゴンボールZ 激突!!100億パワーの戦士たち
後の作品と比べると戦闘シーンもしっかり作っている。ドラゴンボールZアニメの絶頂期であったフリーザ編の遺産がまだ生きているか。ギャグと格闘のバランスもよくまあ及第点かと。しっかしフリーザ一族はSだね [映画館(邦画)] 6点(2006-08-12 18:27:21) |
385. ムーラン・ルージュ(2001)
名作と呼ばれるミュージカル映画はいくつかの名曲の中の名曲と残りの映画を長引かせるものでしかない退屈な駄曲で構成されていて、それがミュージカル映画の一つの欠点でありましたが、この映画は惜しげもなく投入される既存の大ヒット曲だけで構成されており、それもニコールとユアンが全て吹替えなしで素晴らしく歌いきっています。ミュージカル映画が衰退した時代の中、今後ミュージカルの再興があるとすれば主流はこのような映画となるでしょう。ストーリーは椿姫であり、ロミオとジュリエットでしかない所に、逆に製作者がこの映画の歌曲や踊りといったエンターテイメントの部分に大きな自信を持っていることが窺えます。ムーラン・ルージュという実在の、華やかな歴史がある社交界を舞台にしてムードを高める演出もニクイ。最初から最後までハイテンションで、観客は考える暇も無く、次から次へと押し寄せる音と光の波にのまれるしかありません。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2006-08-12 01:14:00)(良:2票) |
386. クイズ・ショウ
いわゆる一つのヤラセだが、元々番組が圧倒的な支持を受けたのは、それこそが視聴者の求めるものであったからであってこの事件のケースは視聴者が何らかの不利益を被っているとも思えず、一種のエンターテイメントであるという見方をすればそれほど問題とも思えない。まだテレビが全面的に信じられる時代であったからこその騒動であろう。それよりも大きなテーマは、テレビにとって数字は魔力であるということ。日本テレビのプロデューサーが数字を金で買っていたなどという事件が日本でもありましたがテレビの人間にとってはそれが全てであり、そのためにはどんな真面目一徹の人間ですら悪魔に魂を売ってしまうこともあるのだ、という様子がよく描けています。 [DVD(字幕)] 7点(2006-08-09 15:42:31) |
387. アマデウス ディレクターズカット
確かに彼は堕落した人間であるようだが、音楽という現在でも直に触れられる作品が残っている以上、その天才ぶりは疑い様が無い。本当に彼の残した作品は凄い。モーツァルトの有名作品の見せ場を繋ぎながら、彼の華やかでありつつ闇にも満ちた波乱万丈の人生を描いた映画は、さながらそれ自体が一つのオペラのよう。 [DVD(字幕)] 8点(2006-08-09 15:24:40) |
388. アメリカン・スクール・トリップ
かつて一世を風靡した青春エロ映画アメリカン・パイの系譜を踏む作品のようだが、どうもこの映画はただ下品なだけでC級の壁を越えられていない。下品でも笑えればよいのだが、下品で寒い映画ほど酷いモノは無い。 [DVD(字幕)] 3点(2006-08-09 12:03:35)(笑:1票) |
389. リーマン・ジョー!
ごく普通で何の工夫も無いそこそこに面白い程度のオフィスコメディ。こういう映画を見るたびに、いつもこういう映画に一つスパイスを与えているジム・キャリーの凄さを思い知る。 [DVD(字幕)] 5点(2006-08-07 19:58:02) |
390. 推定無罪
《ネタバレ》 皆まで語って深さを無くす典型的な例。ラストのハンマーを洗うシーンで終わらせておけば彼がやったとも取れるし、妻がやったとも取れる。そこに映画のタイトルも相まって疑おうにも疑えないという深い終わり方になったと思うのだが。小説では確定させずに終わっていたはずだがなぜこのような愚かな変更を加えたのだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-08-07 19:54:16)(良:1票) |
391. ステート・オブ・グレース
《ネタバレ》 バッジを放棄した時点で彼はもう警察官では無いわけで、最後の行動は私的な復讐に過ぎない。この時点で他のギャング映画と何ら変わりは無いのであるが、ではギャング映画としてこの映画は優れているかと考えると全く並である。せっかく潜入捜査という流れで来ていたのだからもう少し他と違った終わり方には出来なかったのだろうか。何もギャング映画は全て最後は選択枝が無くなってドンパチやればいいというものでも無いのだし… [DVD(字幕)] 6点(2006-08-07 19:37:09) |
392. マイノリティ・リポート
カメラが上下左右に動きまくるスピルバーグには珍しい攻撃的な意欲作。SFにしては分かりやすく適度にサスペンスしていて期待をはるかに超えていたと思いますよ。スピルバーグやトム・クルーズの映画が万人受けするのは、SFというマニアックなジャンルですらここまで素人にも分かりやすい映画にできるからこそだと思います。 [地上波(吹替)] 8点(2006-08-06 04:49:53) |
393. 摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に
コメディアンとしては最高の部類に入るマイケル・J・フォックスですが、決して肉体的に優れていないマイケルにこういうヒロインを引っ張らせるラブロマンスやらせたらダメなのでは。かつてトム・クルーズとニコール・キッドマンのカップルを見たときに似たある種の滑稽さが感じられました。SITCOMのレベルのオフィスラブコメディドラマにして欲しかった。彼の才能はそこでこそ生きますから。 [DVD(字幕)] 6点(2006-08-06 04:43:06) |
394. トレーニング デイ
目的を達成する手段としてはアロンゾのやり方も最良のうちの一つです。戦争が正にそうですが、殺し合いも大儀さえあれば正当化されてしまうものです。観客に悪とは、正義とは何かを答を出さずに問いかける映画として、なかなかの出来だと思いますが最後はやりすぎでは。観客に嫌悪感を感じさせると自ずと一方的に偏った視点に流れるでしょう。 [DVD(字幕)] 6点(2006-08-06 04:33:45)(笑:1票) |
395. ローマの休日
下界に放り込まれた王女の反応を見る楽しさは過去から未来へ飛んできたタイムトラベラーを見るのと同じようで興味を惹かれる。客と同じように彼女の一挙一動を楽しむ傍観者ペックと常に何かを見ては好奇心を見せる子供のような愛らしいオードリーの演技はコミカルで初めから終わりまで映画にのめりこみ退屈なシーンが無かった。2回続けて見ても飽きない映画。全く古さを感じさせない。それにしても王女が消えたってのにみんなのどかですねえ。 [DVD(字幕)] 10点(2006-05-22 22:11:09)(良:1票) |
396. ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版
映画が民衆にとって娯楽の王様だった時代から、次第にテレビ他に移り変わっていく時代の流れを、昔ながらの親父のような近所のおじさんと悪ガキの人間ドラマを交えて描く。過去の大作やスターが所々に登場するのは映画ファンにはうれしい。長すぎて完成度がイマイチだったが、こち亀風味(実際かつての映画館に纏わる似たような話は取り上げている)の良いノスタルジックムービーだった。涙を誘うための演出やストーリーも練りに練られ、涙する映画が好きな人には最高傑作になりうると言ってよい。なのだが完全版はあまりにも冗長でストーリーに集中できない。ノーカット完全版が必ずしも良いとは限らないと実感させてくれた映画。これから見る人はノーマルバージョンを見たほうが良いでしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2006-05-22 17:59:47) |
397. マネー・ピット
普通すぎるなあ。ドリフを見てきた日本人は家が壊れるの見たって今更笑わないんですよ。そんなのは使い古されてますから。もっとストーリーラインで笑わせて欲しかった。なんせ主演トム・ハンクス、製作総指揮スティーヴン・スピルバーグですぜ。 [DVD(字幕)] 5点(2006-05-22 17:41:53) |
398. 駅馬車(1939)
1939年公開なんてどんなもんかねと半信半疑だったがなんと質の高い「ロードムービー」。同乗者達の心理描写の人間臭いこと、一方的なヒーローにはならないジョン・ウェイン。そして今のトレンディドラマのような恋愛まで絡めることをこの時代にやってしまっていたことが驚き。これが西部劇というものなんですねえ。 [インターネット(字幕)] 8点(2006-05-19 18:42:54) |
399. 戦国自衛隊1549
全く期待に応えてくれなかった前作と比べると、いかにも小説な奇を衒いすぎたストーリーだが無いに等しかった前作より随分マシだった。そもそも無茶なプロットを、それらしいものにしようという努力すら無かった前作に憤りを感じただけに、今回の無理やり無茶苦茶なこじ付けで必死にそれらしくしようとしている痛々しさをむしろ微笑ましく思ったことがこの評価。たとえ子供騙しに近い映画だったとしても、多くの注目を集めて、制作費もかけて、そしてヒットするという最近の邦画には中々無かった流れを作れたことはよかった。 [DVD(邦画)] 7点(2006-05-19 18:40:45) |
400. シルミド/SILMIDO
国家の対外的評価を歪めかねないものを映画化してしまった関係者達に拍手です。実話とは違うなんて必死の弁論が聞こえてくる時点で実話なんでしょう。実行前の指揮官のあの演説、何ですかあの迫力。あんな小さな国がよくもこんな事件を抱えていたもんですね。デモ行為の激しさを見ればわかるが、考え付くと一気に燃え上がってしまって後先考えずに行動してしまうのは国民性なんでしょう。出来ればあまり係わり合いにはなりたくないが、外部から観察するには本当に楽しい国です。 [DVD(字幕)] 9点(2006-05-19 18:23:43) |