401. フレディVSジェイソン
ホラー映画は苦手で、「エルム街の悪夢」&「13日の金曜日」両シリーズともまともに観たことがない僕だが、「フレディVSジェイソン」というホラー映画史を代表する二大スターの対決には映画好きの好奇心を掻き立てられないわけにはいかなかった。両シリーズを全く観ていないで今作を評するのもおこがましいが、夢と現実、二人のモンスターによる獲物の獲り合いを軸に展開していくストーリーは両作品のファンを裏切らないクオリティを備えたものだったと思う。それぞれのキャラクターの見せ場もバランスよく繰り広げられホラー性というよりは、エンターテイメント性が高かったのではないかと思う。ホラーが苦手な者にとっては「大いにひねくれたヒーローもの」とも言えるテンションが非常に楽しめる塩梅となった。ホラー映画のお約束とも言えるラストシーンには爽快感すら残る。 7点(2004-05-10 02:09:38)(良:1票) |
402. きょうのできごと a day on the planet
「日常におけるドラマ」という題材自体は、多くの物語制作者が考えることである。しかしながら、その題材を1本の完成された映画に仕上げることはなかなか容易ではない。今作を観終わって先ず感じたのは、その辺を難なく越えてくる監督行定勲の優れたプロフェッショナルぶりであった。単純に面白く、それ故に深遠。それこそまさに、「日常」の果てしなさだ。何気なく過ぎ去る時間の中で、それこそ無数のできごとがある。極めてシンプルで普遍的なこのテーマをさらりと描き出すこの映画監督の力量は本物だ。 [映画館(邦画)] 7点(2004-04-11 01:04:31) |
403. 明るいほうへ 明るいほうへ -童謡詩人 金子みすゞ- <TVM>
今作がテレビ放映された数ヵ月後に同じく童謡詩人金子みすゞを描いた劇場公開版「みすゞ」が公開されたが、観客が受ける感動の大きさとしてはこのテレビ放映作が優れていた。同じ題材を扱いながら明らかに製作費をかけ、丁寧に作られたはずの劇場版がなぜ劣ったのか、その理由はひとつである。金子みすゞを演じた主演女優の差であったと思う。劇場版に主演した田中美里は決して悪くはなかった。しかし今作の主演である松たか子の存在感は際立っていた。これは女優としての実力の差というよりも、適性の問題だと思う。松たか子という女優はこの時代の古き日本女性を演じさせればおおよそ右に出るものはいないだろう。それはテレビ版の「蔵」を見ても明らかだ。それが歌舞伎役者の血によるものかどうかは分からないが、とにかく、今作の松たか子は素晴らしかった。 [地上波(字幕)] 7点(2004-03-27 11:46:30) |
404. ペイチェック 消された記憶
ストーリーの流れ、特に終盤部分については、フィリップ・K・ディックらしいと言える展開に楽しみつつも何度か観たことがあるようなものだったと思うが、ここぞとばかりに活躍する20個のガラクタという要素は小気味よくスリリングであった。ヒッチコック風のサスペンスという触れ込みにふさわしく、グレーのクラシカルスーツに身を包んで追っ手を掻い潜る主人公の姿は、「北北西に進路をとれ!」を思い起こされる。ただ、映画自体は出来の良い作品だと思うが、これをジョン・ウーが撮る必要があったのかと言えば疑問が残る。「M:I-2」以降、「方向性見失ってんな~」という彼に対する懸念はいまだ拭えない。 7点(2004-03-23 18:44:37) |
405. 壬生義士伝
《ネタバレ》 新撰組隊士吉村貫一郎という存在に、これまでにはない侍の在り方とその崇高さを見たように思う。演じた中井貴一の濃厚な演技と、彼に対する斉藤一を演じた佐藤浩市の格好良さに惚れ惚れする。何よりも愛する家族への忠義を優先させる侍という点では、確かに「たそがれ清兵衛」に似通った部分はあるが、今作の方が新撰組、幕末の動乱が舞台になっていることで映画としての説得力と迫力に溢れていたと思う。他の俳優陣の秀逸な競演、力のある殺陣と全体的な満足度は高いが、やはり終盤の間延び感が気になるところだ。鉄砲構える官軍に単身突っ込んで行く壮絶なシーンの後の、主人公の死に際の語りはあまりに長く、映画のバランスとしては余計だったと言わざるを得ない。(劇中の)現在と過去の交錯シーンも多過ぎたと思う。優れた幕末当時の描写の合間に挿入される現在の描写は展開的に不恰好であった。9割近くは非常に秀逸な作品であるだけに、演出面での詰めの甘さがあまりに惜しい。 [ビデオ(邦画)] 7点(2004-03-05 03:08:31) |
406. シービスケット
競馬はやらないし、競走馬についてもあまり知識はない私だが、この映画には一頭の競走馬の伝説に留まらない濃厚なヒューマンドラマがその核として存在する。運命に打ちのめされ、人生に行き詰った3人の男たち、そして彼らと同じように厳しい運命を歩んできたシービスケット、彼らの運命的な出会いこそ奇跡であり、伝説の始まりだった。人生は一度しかないが、苦節を迎えても耐えて望めば、必ずセカンドチャンスはある。彼らが体現したその事実に、当時の多くの人たちが勇気づけられたのだと思う。一頭の競走馬に寄り添い、共に戦い抜いた男たちの生き様に感動する。 [映画館(字幕)] 7点(2004-02-23 19:18:02)(良:1票) |
407. S.W.A.T.
思ったよりもアクション映画としてバランスのよい良作だったと思う。リアリティのない無意味に派手なアクションシーンは単純に楽しめるし、SWATを主体にした映画というのも今まであまりなかったので新しかったと思う。全体的に無難と言えばそうだが、紅一点で体を張ったミシェル・ロドリゲスはとても魅力的な存在感があった。映画として印象が強いということはないが、満足度は高い。 7点(2004-02-06 19:24:49)(良:1票) |
408. 28日後...
細菌が広まり、凶暴性のみが全面に現れる人間に埋め尽くされていくという設定は非常に斬新で緊迫感と恐怖感に溢れている。ダニー・ボイル監督ということで、下手にパニック描写のみを強調した偏った作品にならず、人間の心理葛藤と恐怖感を巧みに引き出している。独特の爽快感を持ったラストシーンも印象的。 7点(2004-02-06 19:09:50) |
409. トーク・トゥ・ハー
この映画で描かれるものは紛れもなく「愛」であるが、その形は非常に生々しく、奥深い。この愛の形は、人間が人間である以前にひとつの動物であること、その極めて本能的な愛を象徴している。ストーリーだけを追えば、何ともどろどろしく、嫌悪感さえこみ上げるものだが、ペドロ・アルモドバル監督の技量がそれを否定している。ひたすらに美しく、ひたすらに真摯に描き出すその映画世界は、人間の社会としての常識を超越した極めて濃厚な愛の映画として完成している。 [DVD(字幕)] 7点(2004-02-06 18:06:19) |
410. アニマトリックス
このダジャレみたいなタイトルはどうかと思うが、中身は非常にクオリティの高いアニメーションのオムニバスでその完成度の高さに驚いた。ショートムービースタイルで「マトリックス」の番外編的物語をテンポ良く見せてくれるので、興味深く引き込まれる。今作を観ると、マトリックスシリーズがアニメーションの上に出来上がったものだということを強く感じる。 [DVD(字幕)] 7点(2004-02-05 18:40:19) |
411. トリプルX
映画界的に最近この手のアクションスター型アクション映画は不調気味であるが、今作は久しぶりに面白いスター型アクション映画だったと思う。成功の要因はやはりヴィン・ディーゼルのキャラクターに尽きる。モロに悪役面でキャラクター的にもアンチヒーローな彼を主役にすることで今までの映画にないエキサイティングさがあった。続編も期待できる。 7点(2004-02-04 19:02:33) |
412. ザ・コア
ストーリーの展開としては、同じく地球破壊規模の自然災害を描いていることで、「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」と似通ってはいるが、他作と違い、この作品が描く「危機」は地球外からのものでなく地球の核そのものであることが非常に目新しかった。核に到達するために集められたメンバーやその方法がリアリティとしては欠ける部分はあるが、エンターテイメント性に優れたものがあった。核に向かって地中を突き進んでいく描写も迫力があった。災害系娯楽映画の要点を抑えた良作。 [映画館(字幕)] 7点(2004-02-04 18:11:26) |
413. アザー・ファイナル
2002韓日ワールドカップ決勝戦の同日、ブータンで行われた世界最弱国決定戦の模様を綴ったドキュメンタリー。世界最高のゲームが行われているその日に、世界で一番サッカーが弱い国を決めるというこの企画は一面ブラックなユーモアに見える。しかし、そこで行われたことは紛れもない好ゲームだった。レベルはもちろん横浜で行われたゲームとは雲泥の差であるが、そこにひしめき合うスポーツマンスピリットは、ロナウドやカーンのそれと何の変わりもなく、感動的である。 7点(2004-02-03 19:45:01) |
414. キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
娯楽超大作監督として頂点を極めたスティーブン・スピルバーグ。まさにハリウッドエンターテイメント界の頂点に君臨する彼が「マイノリティ・リポート」に続いて発信した作品がキッチュなコメディとサスペンスに満ちた今作であることに驚いた。彼は娯楽映画の支配者である、それと同時に永遠の挑戦者である。 [映画館(字幕)] 7点(2004-01-30 17:43:36) |
415. イン・ザ・ベッドルーム
《ネタバレ》 息子を殺した犯人を殺してきた夫を妻(シシー・スペイセク)がベッドルームに迎え入れるラストシーンが何とも感慨深い。アメリカ映画には珍しいと言える徹底したローテンションが逆に新鮮でじわりとこころに響く。なかなか好きになれる映画ではないが、印象度は強い。 7点(2004-01-30 16:12:59) |
416. たそがれ清兵衛
「ラストサムライ」を観ても実感したが、真田広之は殺陣が非常に巧い。俳優としての長年の経験と修練によるものだろうが、侍を演じた彼の立ち振る舞いにはほれぼれするほどの説得力と力強さがある。脇を固める俳優陣の演技も良かったが、今作の成功は、真田広之を主演に据えたことが何よりも大きかったと思う。。 7点(2004-01-30 16:08:51) |
417. プレッジ
サスペンスを超越した男の運命の破綻を描いた秀作。ショーン・ペンの非凡な監督センスもさることながら、少しずつ人生の歯車をくるわせていく老刑事を演じたジャック・ニコルソンが素晴らしい。確固とした意志をもった男が次第に狂っていく、その表情の変化が凄い。 [ビデオ(字幕)] 7点(2004-01-30 15:59:33) |
418. トレマーズ3<OV>
史上最高のB級モンスター映画の名にふさわしい「トレマーズ」であるが、さすがにパート3ともなるとぐだぐだになっているかもという危惧はあった。しかしその不安を跳ね除ける内容に仕上がっている。もちろんオリジナルを越えるということはないが、このB級ぶりであれば、ファンを楽しませることは確実だ。ここまでくれば、どうしようもなくなるまで続編を作り続けて欲しいもの。 7点(2004-01-28 16:40:37) |
419. スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
[個人的にべらぼうに面白くなかった要因は、どうやら過剰に描き出されるディープなSWの世界にあるらしい。もはや伝説的な娯楽映画でありながら「一見さんはお断り」状態である。もちろん私は全シリーズ一応見てはいるが、それほどシリーズ自体が好きでないため楽しむ余地がなかった。次作ではもう少し幅広く楽しめる映画に仕上げないと、興行的に悲惨な目に合うのは必至なように思う。] ←と、いうのが初見時の感想だったが、今回見直してみるとずいぶんと楽しめる余地が膨らんできた。さすがに2回目ということと「エピソード1」と続けて見たというのがその要因だと思う。物語の世界観の造形という点でさすがに手抜きは無いし、自分の中でストーリーの概要が消化できた分、メインのバトルシーンにもすんなりと迫力を感じることができた。あからさま過ぎるほどに、アナキンが暗黒面へ“堕ちていきそう”な過程の描写も3部作の“つなぎ”の部分としてはアリだと思う。 シリーズ自体が相当に好きというわけではなかったので、あまり期待はしていなかったのだけれど、公開を前にした「エピソード3」がとても楽しみになってきた。 [DVD(吹替)] 7点(2004-01-28 16:23:30) |
420. ギャングスター・ナンバー1
鑑賞前に「時計じかけのオレンジ」のマルコム・マクダウェルのクレジットを見て、てっきり若きギャングスターを演じているのが彼だとばかり思い込んでしまった。冷静に考えれば、「時計じかけ~」はもう30年以上前の作品なわけで、そんなことはありえるわけがないのだが、若きギャングスターを演じたポール・ベタニーの風貌は「時計じかけ~」のアレックスそのものに見えたのは私だけだろうか。特にベタニーがステーキを食べるシーンがあるが、その口の動きはまさにアレックスのそれだった。まあとにかく、これほど似ていればギャングスターの役だけ現在と30年後の俳優が違うことも納得できるわけで…。あ、そうか、何よりも先にマルコム・マクダウェルのキャスティングが決まっていたわけか。作品自体の評としては、若きギャングスターの惨殺シーンがくどい感はあったが、全体的なセンスの良さと、老いたギャングスターの苦悩に満ちたラストシーンで巧くまとめ上げている。 7点(2004-01-28 15:54:38)(良:1票) |