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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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421.  白昼の死角 《ネタバレ》 
角川春樹が「悪魔が来りて笛を吹く」に続いて自社作品以外でプロデュースを手掛けた犯罪映画。戦後を舞台に手形詐欺を繰り返す男の生きざまを描いた大作であるが、多少の雑さはあるものの、詐欺の手口の爽快感に加え、出演している俳優陣も豪華で、中でもやはり主人公・鶴岡七郎を演じる夏八木勲の存在感、あまり主演作を見たことなく、どちらかといえば脇役の印象のほうが強いのだが、鶴岡の冷徹な悪人という部分をうまく出していて主役として見事なはまり役。事件を追う検事役の天知茂もそれ以上の存在感があり、緊張感のあるこの二人の対決もみどころの一つとなっていて、2時間40分近い長尺(村川透監督の映画でここまで長いのは珍しい。)ながら最後まで飽きずに見ることができた。最初のニセ会社を使った詐欺の部分における藤岡琢也演じるニセ社長が鶴岡に演技指導を受けるシーン(この藤岡琢也や西田敏行の使い方がさりげなく良い。)や、原作者の高木彬光がカメオ出演したそのニセ会社の社員を募るオーディションのシーンは思わず笑ってしまう。カメオ出演といえば初期の角川映画では角川春樹がほぼ必ずカメオ出演しているのが常だが、本作では鶴岡に金をだまし取られた専務(佐藤慶)の会社の社長役で、出番やセリフもいつもよりも多い気がする。冒頭は隅田(岸田森)の焼身自殺というショッキングなシーンだが、それに対してラストは鶴岡が替え玉を使って焼身自殺を装って国外逃亡というのが見事にリンクしていてそういうところも良かった。(ちゃんと伏線となるセリフも劇中にあり。)ただ、鶴岡の詐欺をひとつひとつもう少しじっくりと見たかったという思いもあって、そういう意味では映画よりも連ドラ向けの物語なのかなと思った。渡瀬恒彦の連ドラ版も機会があればいつか見てみたい。とはいえ、今まで見た村川監督の映画の中ではいちばん面白かったことは確か。ダウンタウンブギウギバンドの主題歌も映画によく合っていたと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2018-05-03 19:29:30)
422.  安城家の舞踏会 《ネタバレ》 
階級の消滅によって没落した華族 安城家の最後の一夜を描いた吉村公三郎監督の映画。実際に新憲法が公布され、華族制度が廃止された年の映画で、当時としてはかなりタイムリーな内容。それを今見るのはいくらなんでもいかにも古い映画に感じてしまうのではと見る前は思っていたのだが、実際に見てみると歴史の1ページを垣間見ているような感じで、最後まで興味深く退屈することなく見ることができた。今までの立場がなくなることへの安城家の人々のそれぞれの思いも繊細に描かれていて群像劇としても見ごたえのあるものになっているが、中でも父 忠彦(滝沢修)や長女 昭子(逢初夢子)が動揺しきっている中、一人物おじせずにしっかりしている次女 敦子(原節子)と達観しきったような長男 正彦(森雅之)。この二人がとくに印象的で、この二人の存在がこの映画を引っ張っている。話がほぼ安城家の敷地内のみで展開し、出演者も舞台出身者が多く、全体的に舞台劇臭さもあるのだが、吉村監督の演出は冒頭から冴えていて、いかにも映画的で、このおかげで冒頭から引き込まれた。信じていた新川が実は自分の肩書だけを信用していたと知り、落胆する忠彦など、人間関係の気薄さや、人間の弱さなどもしっかりと描かれているのもよかった。戦後2年ほどのころの映画なのだが、どこかヨーロッパあたりのおしゃれな外国映画のような雰囲気が漂っているのも新鮮でちょっと驚く部分でもあるのだが、華族という世界のエレガントさを表現するにはこの日本映画離れしたような雰囲気が最適で、これが見事に成功している。舞踏会を背景に描かれるそれぞれの人間模様も見どころなのだが、やはり舞踏会が終わった後のラストシーンの忠彦と敦子のダンス。舞踏会でのドロドロした人間模様が描かれたあとのこの二人のダンスシーンはそれまでの人間模様のドロドロさがウソのような一切の汚れもない美しさがなんとも印象に残る名シーンで、ここに作り手である吉村監督や脚本を担当した新藤兼人監督のメッセージが集約されているような気がする。カーテンから差し込む朝日はこれから始まる安城家の人々の新しい人生の希望の光なのだ。(このときカーテンがダンスをするように風に舞っているのがなんともニクイ。)最初に書いたように見る前は不安のほうが大きかったのだが、じゅうぶんに面白かったし、見終わったあとの余韻もたまらなく、本当に見てよかった。ところで、原節子はこの映画の2年後に同じ新藤兼人脚本の「お嬢さん乾杯」(木下恵介監督)でも主人公の没落華族の令嬢を演じているが、それもなかなか興味深い。小津作品や成瀬作品で市井の人を演じていてもハマる人なのだが、こういうお嬢様役もやっぱり良いなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2018-04-08 00:30:03)
423.  クレージーだよ 天下無敵 《ネタバレ》 
植木等と谷啓がいがみ合ってばかりいる二人の男(役名が猿飛と犬丸というのが既に笑える。)を演じてダブル主演をしている東宝クレージーキャッツ映画の一本。ライバル同士の隣どうしの会社のサラリーマンである二人が互いにスパイになり、それぞれの会社の新製品についての情報を得ようとするのだが、もうこの二人のバカなやりとりを見ているだけで楽しいし、とくに植木等の豪快で明るいキャラクターを見ていると自然と疲れや悩みなんかぶっ飛んでしまって元気が出てくる。やはり無責任シリーズやその他のクレージー映画での植木等のポジティブな演技は大好きだと感じられたのが嬉しい。植木等の会社の新製品であるモデルハウスの近未来的な感じが今から見るとすごくレトロに感じた。国際的産業スパイが登場する終盤の展開も無茶苦茶だが、この無茶苦茶さがクレージー映画、田波靖男脚本作品の良いところである。後半は立体テレビをめぐる話になるが、今から見ればこの時代に立体テレビというのはかなり時代を先取りしている印象を持ってしまうのは仕方がないか。(当時はもちろんギャグでやってると思うけど。)二人がクビになり会社を去っていくラスト近くのシーンは坪島孝監督らしく少しペーソスも感じさせるものになっているのが良い。かなり久しぶりに見たクレージー映画だったのだが、やっぱり面白かったし楽しかった。こういう映画は肩の力を抜いて気楽に見るのがいいね。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-03-26 01:06:05)
424.  家族はつらいよ2 《ネタバレ》 
山田洋次監督が「東京家族」のメインキャスト全員を起用して手掛けた喜劇映画シリーズの2作目。前回が単純明快な喜劇だったのと比べると無縁社会がテーマの今回はちょっと湿っぽくなってしまったような気がするが、それでも(前作までとはいかないまでも。)けっこう楽しめた。家族から運転免許の返納を薦められた周造(橋爪功)のその後の態度など今回も前回同様に「男はつらいよ」シリーズを思わせる部分もあるのだが、今回はそれ以上に寅さん以前のハナ肇が主役をつとめていたころの山田監督の映画のようなブラックな笑いが多く、まだ山田監督にそういう部分が残っていたのかとちょっと驚いた。とくに周造が家に泊めた友人(小林稔待)が翌朝突然死していたあたりからの展開が死体を使ったギャグなど「運が良けりゃ」や「喜劇 一発勝負」を思わせるブラックな笑いが中心になっていて、個人的には山田監督の寅さん以前のこういうブラックな面も好きなので、この部分も面白かったし、ちょっと嬉しい面もある。だが、反面、やっぱり今更そこまで戻るのかという気がしないでもないし、そのブラックな笑いが独居老人の孤独や、交通事故につながる高齢者ドライバーの問題という「死」を意識したどちらかといえばシリアスなテーマとはどうしても相容れない気がしてしまうのも正直なところではあった。(シリアスなテーマを喜劇で描くこと自体には抵抗はない。)前回で登場しなかった次男(妻夫木聡)の妻(蒼井優)の家族(母親と祖母)が登場しているが、この妻の実家の家庭環境が平田家とまったく逆なのはいかにも対比的な感じがした。(無いと思うけど、このシリーズをずっと続けていくなら、次男夫婦が主人公になるんだろうなあ。)前回はキレイに終わっていたのだが、今回は終わり方が唐突で、とくに前半の主題だった周造の運転免許返納の話が解決されないままだったのがちょっと不満だったりもするのだが、まあいいか。それにしても「男はつらいよ」シリーズで満男役でレギュラーだった純(=吉岡秀隆)に続いて蛍(=中嶋朋子)も山田監督の喜劇映画のシリーズのレギュラーになるとは思ってもみなかったなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2018-02-03 19:34:59)
425.  網走番外地 大雪原の対決 《ネタバレ》 
シリーズ第7作。沖縄が舞台だった前作の反動からか今回はこのシリーズらしく雪の北海道が舞台。それも前半の大半が刑務所を舞台にしている。そこでのエピソードがけっこうしっかりと描かれていて、登場する囚人たち(田中邦衛、由利徹などシリーズおなじみの面々。)もそれぞれ個性的で、ここだけでも面白い。後半の出所した真一(高倉健)の行動理由も刑務所の中で起こった集団脱走事件の濡れ衣を着せられて死んでしまった刑務所仲間の汚名を晴らすためという前半の刑務所でのエピソードを活かした構成になっていてかなり原点回帰を意識した作風になっている。このおかげで見てて久しぶりにこのシリーズに刑務所映画らしさを感じることができた。今回の悪役の親玉(上田吉二郎)が鬼寅(嵐寛寿郎)の名を騙って悪事を働いているというのもシリーズものでは定番の偽物登場編で、見ていて楽しいし、真一の指摘からそれが露見し、その場にいた本物がニセ鬼寅を吊るし上げるという展開もこの手のパターンだと定番で、そこにやっぱりカタルシスを感じずにはいられない。(鬼寅にこんなカタルシスを感じるのはたぶん初めて。)クライマックスの対決シーンも真一の目的はあくまで脱走の真の首謀者である白熊(内田良平)にあるというのもブレがなく、徹底していて、この親分には直接手を下さないというのも、異例だとは思うがあまり気になることはなかった。でも、敵役は白熊だけでも良かったような気もしないでもない。
[DVD(邦画)] 7点(2018-01-27 17:22:47)
426.  大空港2013<TVM> 《ネタバレ》 
三谷幸喜監督が「shortcut」に続いて手掛けたWOWOWの単発ドラマ。今回も一度もカットを割らずにすべてワンカットで撮影しているが、山の中が舞台で基本的に二人芝居だった前作に対し、今回は空港が舞台で10人以上の人物が登場する。これだけで前作以上の撮影の大変さが伝わってくるのだが、同時に前作同様に舞台人である三谷監督ならではの作品とも思う。ストーリーは天候不順のため松本空港に緊急着陸した羽田便の乗客たちを出発までの間、竹内結子扮するグランドスタッフが対応するというもので、「THE 有頂天ホテル」のような群像劇にしようと思えばできたところを、主人公が対応する乗客を一組の家族に限定したことで、逆にシンプルになっているのが良かった。(ワンカット撮影で本格的に群像劇をやろうとしたら撮影はもっと大変かも。)その家族はそれぞれ事情を抱えているのだが、ひとりひとりの描き方が強烈で個性的なのも三谷監督らしく、安心して見ていられるし、楽しい。そんな家族に振り回される主人公を演じる竹内結子もハマリ役で、とくにラストのヘリを見送るシーンの笑顔がなんとも言えず、印象的だった。それともう一つ、本作はワンカット撮影に加えて、劇中の時間を実際の時間と一致させているみたいなのだが、それもなかなか効果的だったと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2017-12-03 17:28:52)
427.  殿、利息でござる! 《ネタバレ》 
この砕けたタイトルと、ポスターやDVDパッケージの印象からはっちゃけたコメディー映画を想像してしまうのだが、これが実話がベースのけっこうシリアスな話。でも、語り口は先週見た同じ中村義洋監督、阿部サダヲ主演コンビの「奇跡のリンゴ」とは対照的にそこまで深刻ぶることなく軽妙で明るい雰囲気で描いていて、それだけで個人的には「奇跡のリンゴ」より好み。それにこのタイトルは非常に映画の雰囲気とマッチしていて、それでいて話としてもなかなか面白く、そのバランス感覚も絶妙。磯田道史原作で「武士の家計簿」同様にお金がテーマになっているが、そこは千両を三億円など現代の円でナレーター(濱田岳)や劇中テロップで随時解説しているので見ているほうとしては実感がわきやすく、分かりやすかった。ドラマとしては親子や兄弟の確執という人情ものではありがちなストーリーが展開するが、このドラマも丁寧に描かれていて、また、映画の軽妙な雰囲気を壊すようなものではないのがうまく、思わずほろりとさせられた。それに「どこを見て仕事をしているのか」という劇中のセリフも考えさせられるものがあり印象に残り、前向きな気持ちにさせてくれたのは嬉しい。ちょい役でラスト近くに登場する殿様役をフィギアスケート選手の羽生結弦が演じているのがかなりのサプライズだったが、俳優としての演技にとくに違和感はなく、むしろ堂々としていてなかなか良かったと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2017-09-24 15:04:56)(良:1票)
428.  昭和おんな博徒 《ネタバレ》 
加藤泰監督最後の東映作品となる任侠映画。主演は江波杏子というのが東映任侠映画では珍しいのだが、本作の企画意図としては時期的に藤純子引退後に新しい任侠映画のスター女優をというのがあったのだろう。どうかなあと思っていたのだが、江波杏子は大映で任侠映画のシリーズを持っていたらしく、そのせいか特に違和感はなく、良かったと思う。主人公・お藤が雨の中、標的を仕留める冒頭からいかにも加藤監督らしい演出で格調高く、ここだけでも印象に残るものとなっている。(この冒頭の雨とタイトルロールの汽車を見ると加藤泰の映画だなあとすごく感じられる。)物語としては夫(松方弘樹)を殺されたお藤の復讐劇で、夫 新二郎が殺されるまでのエピソードを前半に回想形式で描き、後半の復讐劇につなげるという二部構成になっているが、脚本としては前半部分が丁寧に描かれているのに対して後半部分がちょっと急ぎすぎに感じるのは尺の都合上仕方がないとはいえ、なにか物足りない感じがしたのが少し残念だったのだが、前半の松方弘樹も後半の天知茂もお藤と関わっていくドラマがみごたえあるものになっていてあまり退屈はしなかったのでもう30分ほど長ければもっと良かったかもとも思った。ところで、DVD特典映像の予告編を見ると「新シリーズ」とうたっていて、最初はシリーズ化を計画してたのがうかがえるのだが、2作目は作られることはなく、東映ヤクザ映画は翌年から任侠映画に代わって実録路線へ。そして加藤監督は次回作から松竹を中心に映画を手掛けるようになる。やっぱこの時期(70年代初頭)の東映の任侠映画を見るとそういう移り変わりの時期だったことを思わずにはいられない。
[DVD(邦画)] 7点(2017-09-09 23:58:54)(良:1票)
429.  懲役十八年 《ネタバレ》 
加藤泰監督作で脚本が笠原和夫というのがまず珍しい。終戦直後に遺族を救うために仲間とともに非合法行為に手を出し、その仲間に後を託して服役した男 川田(安藤昇)と、彼が服役している間に考えが変わってしまったその仲間 塚田(小池朝雄)という構図はいかにも笠原和夫らしいプロットで、ドラマとしても骨太で、加藤監督の演出もリアリズムにあふれていて良く、見ごたえがあるものになっていてなかなか面白かった。「懲役十八年」というタイトルの割りには刑務所の中でのエピソードが本筋にあまり関係ないのだが、そこがやたら濃く、ここに登場する人物たちがみんなイキイキとしていて、加藤監督の演出もここにいちばん力が入っていて、刑務所映画としての面白さも損なっていないあたりはさすがといったところ。(ひょっとしたら本筋の二人の男の話よりもこの刑務所の中の話のほうが面白かったかも。)安藤昇の主演映画を見たのはこれが初めてのような気がするが、演技力はちょっと微妙かもと思うものの、主役としての存在感は抜群で、一方の小池朝雄も前半の主人公の仲間としての姿と、後半の豹変した悪役ぶりがうまく、やはり小池朝雄はこういう役をやっているとうまくハマる人だと改めて思う。本作の川田と塚田を見ているとこういう話は当時実際にあったのではと思えてくるようなリアリティーを感じることができ、そのあたりも笠原和夫や加藤監督らしく、またこの頃の東映作品としては任侠映画とは違った印象があるアクション映画でもあり、そんなところも本作の見どころの一つだ。
[DVD(邦画)] 7点(2017-09-03 00:33:14)
430.  ルドルフとイッパイアッテナ 《ネタバレ》 
原作は20年以上前の小学生の頃に学校の図書室かなにかで読んでいたし、NHKで放送されたテレビ絵本も見ていたので、本作はそのストーリーを丁寧に映像化していてこんな話だったなあと懐かしさがありながら、うる覚えの部分がかなり多かったので新鮮な気持ちで見ることができた。間違って岐阜から東京にやってきたルドルフがイッパイアッテナやブッチーと出会うことによって広い世界を知っていく過程がよく描かれていて、ルドルフの成長物語としてはもちろんのこと、イッパイアッテナとの師弟関係も見ごたえのあるものになっていて、原作の良さは出ていると思う。イッパイアッテナがルドルフにかける言葉はどれも重みがあって深く、考えさせられるものがあるし、ルドルフとイッパイアッテナのそれぞれの飼い主への思いもしっかりと描かれ、それがきちんとドラマになっているのも良かった。ルドルフがたった一人(一匹)で岐阜を目指し、飼い主の家にたどり着いてからの展開は予想がついてしまうものの、やはり切なくついルドルフに感情移入してしまった。でも、そこから一人(一匹)で生きていくことを決意して東京に戻るルドルフの姿には勇気づけられた気がした。欲を言えばルドルフが東京から岐阜に帰るヒッチハイクの部分をもう少し見たかった気がしたくらい(この部分をロードムービー的に描いても面白いかもしれない。)であとは特に大きな不満はなく、最後まで楽しく見ることができたので、見て良かったと思う。そうそう、ヒッチハイク中のルドルフを乗せるトラック運転手の声をNHKのテレビ絵本で語りを担当していた毒蝮三太夫が演じていたのがなんだか嬉しかった。また機会があれば原作を読んでみたいなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2017-08-24 01:11:48)
431.  アシュラ(2012) 《ネタバレ》 
東映アニメーションが原点回帰を掲げて製作した作品で、社会的に物議を醸し、発禁本となった漫画が原作となっている。こう書くと話題性だけの映画かと思ってしまいそうなのだが、まったくそうではなくきちんとしたメッセージ性のある社会派映画になっていてとても見ごたえがあった。けだもの同然の主人公 アシュラが生きるために人を食う描写はかなりリアルなのだが、同時にアシュラの悲しさもうまく表現されていて、ここに手抜きがないからこそ本作の重いテーマがぐいぐいとこちらに伝わってきて、東映アニメーションといえば子供向けの企画ものアニメというイメージを覆すにじゅうぶん。切ないシーンも多いが、アシュラが初めて心を許した存在である若狭の恋人を傷つけたことで彼女から遠ざけられるシーンは思わずアシュラに感情移入して見ていた。若狭たちに飢餓がきてアシュラと立場が逆になるという展開もうまく、普通の人間であってもひとたび極限状態に陥ればアシュラと同じようなけだものになるという人間の本質をリアルに描いている。アシュラが馬の肉だから食べてと差し出した肉を人肉と疑い、食べようとしない若狭に対してアシュラが必死に説得するシーンは胸が痛くなるほどの切なさで、このシーンが本作の中でいちばん重く感じた。アシュラの声を担当する野沢雅子はまさに名演技で、どうしても自分の世代だと悟空のイメージが強いのだが、あらためて名優の一人だと思うし、また本作は彼女の晩年の代表作になると言っていいほどだ。75分と短い(ところどころ端折られている感があったのでもう少し長くても良かった気はするのだが。)映画だが、見る価値はじゅうぶんにある映画だと感じた。
[DVD(邦画)] 7点(2017-08-04 00:06:11)
432.  暗黒街大通り 《ネタバレ》 
井上梅次監督の東映暗黒街シリーズ最後の作品で、これまでの2作で主演していた鶴田浩二が出演しておらず、高倉健、梅宮辰夫、待田京介の三人が演じる三兄弟を主人公にヤクザの息子に生まれた彼らの考え方に徐々に亀裂が生じていく様子を描いている。最初は仲の良かった兄弟が考え方の違いによってやがて対立し、破滅していくという悲劇的なドラマが丁寧に描かれていてとても見ごたえがあり、待田京介演じる次男が父の敵(安部徹)の娘(中原早苗)と恋愛関係になるという「ロミオとジュリエット」的要素もあってシリーズ3本の中ではドラマとしていちばん面白かったと思う。ただ、長男役の高倉健はほかの二人と比べると若干地味な印象で少し浮いて見えるのはちょっと残念だったかも。それよりも今回は悪役陣が豪華で、前2作にも出演していた安部徹に加え、金子信雄に菅貫太郎まで出ていて、主演の三人がこれに霞んでしまいそうな雰囲気がすごかった。とくに金子信雄のこういうずる賢い悪役はやはりすごくハマっていて見ていて楽しい。冒頭、男が射殺されるシーンから始まるのだが、それが誰なのかいちばん最後になって明かされるのも映画としてはありがちといえばありがちなのだが、やはりうまい構成で印象に残る。
[DVD(邦画)] 7点(2017-07-15 22:06:44)
433.  暗黒街最後の日 《ネタバレ》 
東映のヤクザ映画というと明治や大正が舞台で着流しにドスというのを思い浮かべるが、本作はまだ任侠路線が確立する前の映画で、製作当時の現代が舞台で、鶴田浩二演じる主人公ら登場人物たちがスーツにピストルといういで立ちなのが新鮮だし、悪役である安部徹を殺すのが主人公ではないというのも意外に感じる。この後、鶴田浩二とともに任侠映画を引っ張っていく高倉健が二番クレジットで出演しているが、話の中心は鶴田浩二と三國連太郎であり、後年の高倉健と鶴田浩二が共演する任侠映画を見慣れていると少し物足りない気がしないでもないのだが、鶴田浩二と三國連太郎という珍しいこの二人の共演がなかなか見ものだった。高倉健はまだ本格的に売れる前で、思いっきり若手のぺーぺーという感じ(「宮本武蔵」シリーズで佐々木小次郎を演じるよりも前。)なのだが、それもまた新鮮に感じた。井上梅次監督の初の東映作品だそうだが、アクション映画としてもけっこううまい作りになっているのは、さすが日活からフリーになった監督という気がする。クライマックスの入り乱れての銃撃戦はジョン・ウー監督がリメイクしてもおかしくないような壮絶さで、かなり見ごたえがあり、印象にも残る。このシーンに1点プラスの7点。虚しさの残るラストシーンも良かった。
[DVD(邦画)] 7点(2017-06-29 23:31:08)
434.  アヒルと鴨のコインロッカー 《ネタバレ》 
中村義洋監督が初めて伊坂幸太郎の原作を映画化した作品。どんでん返しというのはクライマックスになって出てくるものというイメージが強いのだが、始まって一時間ほどして出てきてそこから改めてトレースしていくのがうまく、「ポテチ」でもそうだったのだが、本作も二度見たくなるような映画でよく出来ている。ゆるい感じだった前半に対して河崎(瑛太)が真実を告白してからの後半がシリアスで悲劇的なので、若干戸惑う部分もあるものの、そこからが面白く、引き込まれた。ボブ・ディランの「風に吹かれて」がストーリーのカギとなる曲として使われているが、この物語によくマッチしていて良く、見てからは曲を聴くたびに本作を思い出しそう。仏教徒のはずのブータン人が神云々のところや、短期間で日本語がぺらぺらになっているところなど、確かに突っ込みどころはあるが、見ている間はそれをまったく気にさせない勢いがあるのも、中村監督の伊坂幸太郎原作映画らしいところ。印象に残ったシーンといえば、やはりラストの椎名(濱田岳)とドルジが駅で交わすやりとり。東京の実家に帰ることになった椎名に「また帰ってくるよな。」と声をかけるドルジ。これまで語られたドルジの過去を思うと、また一人ぼっちになりたくないという彼の気持ちがひしひしと伝わってきて切ない。この二人がその後どうなるのかは描かれていないが、椎名は必ずドルジのところに帰ってくる気がした。重苦しいまま終わるのではなく、爽やかな後味と余韻を残した終わり方も好きだ。出演者に目をやると、ミステリアスな男を演じる瑛太が最初はかっこつけただけの印象だったのが、メインになる後半になると徐々に印象が変わっていくあたりはうまいし、ただのイケメン俳優というだけではない魅力に気づかされた気がした。そのほか、松田龍平も大塚寧々もいい味を出していたし、ヒロイン・琴美を演じる関めぐみも良かった。そして、濱田岳。中村監督の伊坂映画には必ず出演しているが、4本すべて見てどの映画の雰囲気にもよく合っていたと思う。やはり素朴な感じがして良い。
[DVD(邦画)] 7点(2017-06-10 20:30:54)(良:1票)
435.  ゴールデンスランバー(2009) 《ネタバレ》 
あまり期待してなかったというか、予備知識がほとんどない状態で見たのだが、典型的な巻き込まれ型サスペンスで最初からテンポもよく、展開もスピーディーで伏線の張り方や回収の仕方もうまく娯楽映画としてなかなか面白かった。中村義洋監督はこの前見た「白ゆき姫殺人事件」でもそうだったのだが、本作でも真犯人は誰という方よりも、濡れ衣を着せられた主人公・青柳(堺雅人)がいかに逃げるかに重きを置いていて、(単に原作がそうなっているだけかも知れないが。)そこがけっこう面白いし、最後まで真犯人を明らかにしないのもこの手の作品だとずいぶん思い切った印象があり、コレにモヤモヤする人もいそうだが、本作については真意がそこではないので別に違和感は感じないし、これでいいと思う。それに見終わった後、結局犯人は誰だったんだろうと想像してみるのも楽しい。よく考えたら重いテーマなのだが、全体的に軽いつくりでリアリティもなく、漫画チックな感じがミスマッチな感じがするのだが、そんなに気にならなかった。後半部分はちょっとご都合主義的すぎたかなという気がしないでもないがギリギリ許容範囲というところで突っ込みながらもそれも含めて楽しんでいた。ファーストシーンがラストにというのはいかにも映画的で良いなあ。整形して別人として生きていかなければならなくなった青柳を思うと少し切ない気持ちになるんだけど。出演者に関しては堺雅人と竹内結子は去年「真田丸」でずっと見ていたので少し引きずってしまうかもと思っていたのだが、よぎることもなく見れたのでちょっと安心した。ほかの出演者たちも概ね好演しているが、中でも通り魔・キルオを演じる濱田岳が良い味を出していて印象に残る。「はじまりのみち」の便利屋役も良かったが、やはり最近の若手俳優の中ではわりと好きな役者だ。あと、青柳を追う刑事を香川照之が演じていて「鍵泥棒のメソッド」を思い出していたら、青柳の整形後の姿を演じていたのは滝藤賢一。「半沢直樹」は見ていないのだが、思わず少し見てみたいと思ってしまった。中村監督の映画を見るのはまだ2本目で、伊坂幸太郎原作の映画を見るのも本作が初めてだったのだが、このコンビの映画は何本かあるようなので、この中村、伊坂コンビのほかの映画も見たいと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2017-05-03 00:49:59)(良:2票)
436.  白ゆき姫殺人事件 《ネタバレ》 
2時間ドラマのようなタイトルからまったく期待せずに見たのだが、殺人事件そのものよりも事件に対するネットの興味本位の書き込みやそれにまた踊らされるマスコミの報道によってもたらされた情報が何の確証もないまま真実であるかのように広まっていく怖さがリアルに描かれたまさに現代ならではの社会派エンターテイメント映画となっていてなかなか面白かった。構成的にはそんなに目新しさは感じないのだが、ネットとメディアを題材にしたことで、話がとても身近に感じられるのが良いし、それがこの映画のリアルな怖さにつながっているのだろう。だからというわけでもないが、ヒロインの城野美姫(井上真央)には感情移入できる部分もあった。ディレクター赤星(綾野剛)が城野の関係者たちを取材していくシーンはフェイクドキュメンタリーを見ているようで面白い。ワイドショーの取材VTRをそのまま流すシーンが二度もあったのはひょっとしたら映画館で見ていたらチープに感じたかもしれないが、あれがあることによって本作全体をワイドショーのように見せるという意図があったのだろうと思う。城野が犯人ではないと分かった後、今度は赤星が書き込みに批判され、今まで批判されていた城野が一転して書き込みに擁護されるようになるのはネット社会というものを痛烈に表していて思わず笑ってしまう。「告白」の湊かなえ原作であるが、監督が違うせいか「告白」ほどのインパクトはない。でも「告白」よりも分かりやすくとっつきやすい感じであるので、本作のほうが他人には薦めやすいかもしれない。城野がいちばん最後に赤星に言うセリフである「いいことありますよ」がなにか皮肉めいて聞こえるのは気のせいだろうか。その前にある実家に帰ってきた城野と小学生時代の友人・谷村夕子(貫地谷しほり)とのロウソクのくだりは別になくてもいいように思いながらも少しほろっとしてしまった。(原作知らないのだが、こういうところがいかにも松竹だよなあ。)それと、本作ではテレビ局がどこも製作に参加していない。別に珍しいことでもないのだが内容が内容だけについ納得できてしまう。まあ、これも憶測にすぎないけど。
[DVD(邦画)] 7点(2017-04-09 01:21:41)(良:1票)
437.  釣りバカ日誌20 ファイナル 《ネタバレ》 
シリーズ最後の作品となる第22作。今回の舞台は脚本を担当している山田洋次監督の映画でも舞台になることの多い北海道で、最後にここを舞台に選んだのはなにか嬉しい。また、末期の作品ではスーさんの出番が少なくなっていたのだが、最後となる今回はスーさんも出番が多く、あらためてこのシリーズの主役は浜ちゃんとスーさんだと感じさせてくれるのも良かった。前半ではいつものように若いカップル(吹石一恵、塚本高史)の恋愛と、ヒロインと母親(松坂慶子)の母娘関係が描かれていて、まさかいつものようにこのまま終わるのではと思っていたらそうではなく、後半にスーさんが倒れてしまうという展開になるのは完結編らしい展開で、いよいよ終わるという一抹の寂しさが漂っている。でもスーさんが亡くなって終わりという風にはならないのがこのシリーズらしく湿っぽくならずに良かった。最後はスーさんの会長退任で終わるのだが、それに続くエンドロールのバックの映像でレギュラー出演者が一同に会し、カーテンコールを行うという演出は今までこのシリーズを見てくれていたファンに対する関係者たちの感謝の気持ち、これがじゅうぶんに感じられ、途中飽き気味になった時期もあったものの、このシリーズをまだ寅さんシリーズを見始めるより前の中学の頃からずっと見ていることもあってか感慨深いものがあり、無性に感動してしまった。確かに寅さんシリーズ同様に初期の頃、寅さんと同時上映していた頃、栗山富夫監督の時代の作品の方がシリーズとしては面白かった気はする。でも、このシリーズは紛れもなく、寅さんシリーズとともに松竹を代表する喜劇映画で、誰もが安心して楽しんで見ることができるシリーズなんだと思う。そんなシリーズを21年間の長い間、支えてきた西田敏行と三國連太郎、浜ちゃんとスーさんにこちらからも感謝したい気持ち、そしてお疲れさまという気持ちが自然と湧いてくる。本当に今までありがとうの気持ちを込めての7点。それにしても、少年時代から長い間見ていたシリーズの最後の回を見るっていうのは感慨深さもあるんだけど、それ以上にやっぱり寂しさを感じるなあ。そういえば最近は寅さんや釣りバカのような毎年必ず作られるような実写のシリーズもの日本映画がないのがまた寂しい。これも時代だろうか。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2017-03-15 01:21:58)(良:1票)
438.  お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷
沢島忠監督による錦之助主演の推理もの時代劇で、原作は横溝正史。横溝正史というとなんといっても金田一シリーズであり、それ以外の作品の存在を知らないのでなかなか興味深かったし、沢島監督と錦之助のコンビ作のせいか、おどろおどろしさがありながらもカラッとした娯楽作で、金田一ものとは違う面白さのある映画になっていてなかなか楽しめた。東映の時代劇ではよく共演している錦之助と中村賀津雄に加えて錦之助の実兄や実父もそのまま主人公の兄と父役で出演するというかなり豪華な仕様で、劇中に歌舞伎公演のシーンまで出てくる。この歌舞伎のシーンがちょっと長く感じるのが不満ではあるものの、沢島監督はやはり錦之助のお茶目でコミカルな部分を引き出すのがうまく、「宮本武蔵」シリーズなどで見せる重厚な演技とはまた違う錦之助の魅力を感じることができるし、後半に披露される錦之助の役者という設定を生かした数々の変装も面白い。結末も金田一のような後をひくような感じではなくて本当にめでたしめでたしという感じの終わり方で後味も良い。片岡千恵蔵演じる大岡越前がいいところ全部もっていくのもなんだか許せてしまう。シリーズ化していてもよさげな気もするのだけど、続編は作られていないっぽいのがちょっと残念。
[DVD(邦画)] 7点(2016-12-03 17:14:16)
439.  次郎長三国志 甲州路殴り込み 《ネタバレ》 
東映版「次郎長三国志」シリーズ最終作となる第4作。今回は前作ラストで捕らわれの身となったお仲さんを救出する部分から東宝版で言えば6作目の終盤となるお牒さん(佐久間良子)の死までを描いていて、東宝版最終作にあった中途半端なもやもや感はない。しかし、大木実が大政役に復帰している一方、今までと役者が交代してしまった人物が前作よりも多くなり、中でも前作で捕らわれたところで終わったお仲さんを演じる女優が交代してしまっているのは登場する冒頭部分から違和感がありすぎて戸惑うし、東映では後年の「仁義なき戦い」シリーズでも役者の交代は頻繁だったのだが、せめて前回と今回のつなぎのエピソードの主軸であるお仲さんは丘さとみで通してほしかった。(丘さとみはこの頃、活動を縮小してたみたいだけど、同時期の「宮本武蔵」シリーズ最終作にはちゃんと朱美役で出ているので、出ようと思えば出れたのではと勘ぐってしまう。)それでもやっぱり東宝版で大感動してしまったお牒さんが死の直前に次郎長一家一人一人に声をかけるシーンは分かっていても泣けてくる。しかしこれも次郎長一家を演じる俳優が一部交代してるせいか東宝版に比べると若干落ちる気がするのは気のせいか。さらに続編があってもおかしくない終わり方をしていて実際東宝版ではまだ続きがあるのだが、お牒さんの死で物語を閉じるのはここらへんがキリも良く、ちょうどいい終わり方なのだと思う。でも、個人的にはやっぱり東宝版のシリーズのほうが好きだな。とはいえこの東映版のシリーズも決して嫌いではない。
[DVD(邦画)] 7点(2016-11-10 23:24:21)
440.  次郎長三国志(1963)
マキノ雅弘監督がかつて東宝で手掛けた「次郎長三国志」を自らの手で東映で再映画化したシリーズの第1作。7年くらい前に東宝版9部作を見たときからいつか東映版もと思っていたのだが、ようやく見ることができた。前シリーズが白黒だったのに対してカラーであり、当然のように次郎長一家役の俳優陣も違うのだが、それでもどこか懐かしさを感じるのは嬉しかったし、「次郎長三国志」といえばマキノ監督というイメージが強いのだが、それを裏切らない明るい作風で気軽に楽しめた。次郎長役は鶴田浩二が演じていて、粋でいなせな雰囲気があり、東宝版の小堀明男の次郎長とはまた違った魅力があり、けっこうハマっていたと思う。(鶴田浩二を時代劇の主役で見るのはかなり久しぶりのような気がする。)またそんな次郎長を慕って次から次に仲間が増えていくのが東宝版同様に序盤である本作の面白いところだ。でも、東宝版に比べてテンポが早く、1時間40分ほどの間に東宝版で言えば2作目の終盤あたりまで話が進んでしまったのはもっとじっくりと見たかった気もするので残念といえば残念。とはいえ、全体的に見ればやっぱりおもしろかったし、東宝版に続いてこの東映版シリーズも全部見てみようという気持ちも強くなった。それともう一つ、デビュー間もない藤純子が初々しくて可愛い。
[DVD(邦画)] 7点(2016-10-22 16:24:10)
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