441. ニコライとアレクサンドラ
政治史というよりも家族史というテイストで、題名にも象徴されるように夫婦関係を中心として息子・娘たちも交えた家族の物語として人物像中心に描かれている。よって、単なる教科書的な歴史モノではない作品に仕上がっており映画作品として評価できる内容。逆に言えば、ロシア崩壊の政治ドラマを期待するとその辺の背景・経緯は結構省かれているので物足りないと感じる人もいるのかもしれない。ラストの処刑前の地下室のロマノフ一家の緊張感ある沈黙はとても印象的。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-11-21 12:08:56)(良:1票) |
442. 山猫は眠らない5 反逆の銃痕<OV>
女性スナイパーの登場という現代性はあるものの、基本的にはチーム行動なのでスナイパーモノというよりもは単なる特殊部隊モノになってしまっている。ベケットパパの復活はあるものの、舞台も転々とするし、やや散漫な印象。それでもついつい見てしまうこのシリーズ。どうやら2020年時点でシリーズ8まであるらしい。ここでは人気ないのか現時点では6~8の登録はないようだが・・・。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2020-11-19 11:44:36) |
443. 山猫は眠らない4 復活の銃弾<OV>
《ネタバレ》 アフリカ舞台で場所が限定されているし、話も単純で緊張感だけが継続するので、原点に返った印象。とは言っても、以前のようなシンプルに敵をやっつけるというよりは、味方による裏切り(見えない敵)への復讐というパターン。これも国際紛争の厄介さが原因なのだろうか。それにしても脚色とは言え、内戦による治安がここまでヒドイとなると、人権の観点からも国際的にもうちょっと介入してもよいのではないかと思うが、コンゴにも国家として自主独立の権利があるので、難しいところでもある。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2020-11-19 11:32:49) |
444. ビバリーヒルズ・コップ
80年代テイスト満載で中高年が懐かしむ分にはいいのだろうが、若い人が今見てもあまり面白くはないかも。音楽は今でも使われる事があるし現代的ではあるのかもしれないが。尚、ある意味エディーマフィーらしさが伝わる富山敬の吹き替えで見る事をススメる。それが日本人が受容したエディーマフィーの歴史なので。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2020-11-17 11:07:16) |
445. 昼下りの情事
《ネタバレ》 パパ活が本気になって、父親もOKしちゃうのかよ! [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-11-12 11:26:49) |
446. エアポート’75
パイロットがダメになってCAが操縦する系という意味では『乱気流/タービュランス』と設定が同じだが、比較するとこっちの方がかなりノンビリしていて盛り上がりに欠ける印象。客もあんまりパニクってないし・・・。CAに魅力がないという点は似ているが。 [地上波(吹替)] 4点(2020-11-11 16:59:38) |
447. スターリンの葬送狂騒曲
実際にあった権力闘争をドタバタ劇風に描いた事を評価できない事もないが、なんだか中途半端。ガチでシリアスに作るか、『帰ってきたヒトラー』のようなもっとファンタジー的にコメディ化した方がよかった。そもそも他国のリアルなある種の負の歴史をこのようにブラックコメディ化する事に疑問がある。226事件が中国によってブラックコメディとして製作されたらと想像してみればいい。まあ、中国が自ら毛沢東のコメディを製作したらたいしたもんだが、自分が生きている間にそういう時代は来るんだろうか? [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-11-07 12:26:34) |
448. ブラック・シー
《ネタバレ》 てっきり金塊発掘冒険アクションかと思ったら全然違ってた。カネか命か。冷静に考えれば命に決まっているが、大金を目の前にして尚且つ閉鎖空間だとまともな思考能力が働かないのかもしれない。最初はカネを巡って殺し合いが始まるが、最終的には命を巡って殺し合いに。この手の因果応報系の似たような話はこれまでにもあったが、潜水艦という限定された空間というのが特徴的。ラストは綺麗にまとまってしまったようにも思うが、緊張感のある展開が継続する見応えのある作品だった。 [地上波(字幕)] 7点(2020-11-06 12:03:02) |
449. リバー・ランズ・スルー・イット
兄の自伝とされる原作は未読だが有名なようで、所謂「詩的な表現」が随所にあるのだろうと推測する。その映像化への挑戦なわけだが、ある種の「宗教的台詞」を盛り込みつつ原作への敬意は感じられるものの、結果的には映像化に失敗したというかそもそも映像化には不向きな作品なんだろう。優秀な兄と自由な弟というのは使い古されたステレオタイプな形式ではあるが、『エデンの東』のようなヒネリもなく、よき兄弟・親子関係のまま物語は終了してしまった。回想する当人にとっては思い出深い話なんだろうが、もうちょっと兄弟を取り巻く人間が兄弟関係に揺さぶりをかけないと見ている方にとっては退屈でしかない。綺麗な自然の映像が見たいなら紀行番組で十分なわけで。ブラピは弟キャラを上手く演じていたとは思うので見所はそれぐらいかな。もうちょっと屈折しててもよかったと思うが。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2020-11-03 18:58:19) |
450. いつか読書する日
訳あって別れた高校時代の彼女が30年以上独身を貫いて、自分の事を想い続けてくれて、妻が死んだら結ばれるというご都合主義的な男の妄想満載の作品。逆の見方をすれば、健気に想い続けたら奥さんが死ぬという女の妄想も入っているのかもしれないが。介護や虐待等々のリアルな夫婦の現実と対比させる事により、ファンタジー色を際立たせているのかもしれないが、ラストはベタだしアレコレ痛々しいだけだった。男は公務員で安定した暮らし、女は牛乳配達とスーパーのレジ打ちというステレオタイプな対比もどうにかならないのかね? [地上波(邦画)] 3点(2020-11-03 02:17:59) |
451. 365日のシンプルライフ
中々興味深い実験的生活ではあると思うが、たいした盛り上がりもなく予定調和で終わってしまった。ケータイやめたら友人が減るみたいなシーンがあったが、実はモノ(物)よりも人間関係(者)を断捨離する方がラクだったり自由になれたりする。そういう所にもっと踏み込んでいけば映画として面白い作品になったと思う。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-11-02 01:57:13) |
452. 山猫は眠らない3 決別の照準
《ネタバレ》 今度は依頼主である身内から狙われてしまうトーマス・ベケット。相棒はアジア系の警察官でこれまでの軍人とは違うが、中々のコンビネーション。ただし、これまでのシリーズでは無色透明的だった「獲物」に、キャラクター色が結構付いてしまったので、普通のワケアリ系のアクションになってしまったような。でも、スナイパーものとして、仕事は責任もってしっかりやっているとは思う。 [CS・衛星(吹替)] 5点(2020-10-29 14:39:48) |
453. 山猫は眠らない2 狙撃手の掟
《ネタバレ》 捕まった仲間を救出するトーマス・ベケット。凄腕スナイパーなんだが、ちょっとお人よしで不器用な所が魅力。「人を信じた事はない」と偉そうな事言ってるわりにはよく騙されちゃうし・・・。このシリーズはなんか嵌る要素がある。 [CS・衛星(吹替)] 6点(2020-10-29 12:49:08) |
454. ザ・サークル
「民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが」と言ったのはチャーチルだが、大衆社会で危惧された状況から、IT社会の到来によってこの「最悪」がどう転ぶかが試される状況となっている。基本的には「自由」の国アメリカにおいては中国のような監視・管理社会になる事は考えにくいが、監視・管理社会の方が昨今のコロナ禍においては好結果をもたらすという皮肉な状況もあり、IT社会における民主主義のオープン性やアカウンタビリティーのあり方が問い直されている。作品のテイストとしては監視・管理よりも自由というアメリカらしい感じにはなっているが、「安全」や「秩序」においては監視・管理社会に優位性があがる事を提示しているし、情報(知識)共有を基本的人権としている点等は中々斬新でもある。全体的には政治色が強く娯楽系のサスペンスではないし、明確な善悪の価値観提示もなく、物足りなさやモヤモヤ感が残る部分があるのかもしれないが、IT社会のあるべき姿や最適解(自由と管理のバランス)を決めていくのも民主主義である。その問いかけを行い、視聴者に考えさせる価値ある作品である。 [地上波(字幕)] 7点(2020-10-28 13:08:47) |
455. ファイト・クラブ
《ネタバレ》 「お前は"物"に支配されている」という所謂消費社会批判の作品だが、現代なら「お前は"ネット(SNS)"に支配されている」というIT社会批判になるんだろうか。なら、ネットで映画の感想なんかゴチャゴチャ書いてないで「ファイト・クラブ」に加入すべきなんだろうが・・・。確かにソ連崩壊以降、資本主義は世界最大の宗教となり、多くの人間が疑問を持たずに信仰している。そこから脱するのは容易ではない。ましてや、道徳や倫理といったものもある種の宗教であり、そこから脱するのはさらに容易ではない。しかしながら、相対化すれば反資本主義や反道徳・倫理もある種の宗教であり、かといって、物質主義のみならず精神主義からの解放を求める肉体主義(快楽主義)も宗教である。これらのXX主義といった「宗教」に依存しなければ人間は生きられず、しかも1人の人間の中で様々な宗教を信仰する「私」がいる。そういった内在的な自己矛盾を巧みに表現した傑作ではあるのだが、ラストに向けて貧困・下層民を救うべくグレートリセットを目指す平等主義(のテロ活動)に傾斜してしまったところがやや陳腐かつイデオロギッシュで残念。映画は何らかのメッセージを伝えなければならないので、イデオロギー性を完全排除する事は困難なのかもしれないが、もうちょっと煙に巻くやり方があったのではないだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2020-10-27 21:53:22)(良:1票) |
456. ケープ・フィアー
善人ぶってる小市民が裏ではインチキな事しているのは日常茶飯事であり、その影では泣いたり傷ついている人がいるのも事実である。そこに、復讐の鬼と化したデニーロが大魔神の如く現れ鉄槌を下す。そう、これはサイコサスペンスなどではなく、日本人が大好きな自業自得・因果応報の物語である。そこにデニーロの演技力も加わって(もちろん他の小市民役はデニーロを上手く引き立てるよい演技をしているし、少女の危うさも抜群でもある)、いつしか観客はデニーロに共感し応援する事となる。デニーロが天罰を下す過程にはある種の爽快感すらあるのだが、鑑賞後は、自分の所にもいつかデニーロが現れるかもしれないという恐怖の余韻も残す。 [地上波(吹替)] 8点(2020-10-27 18:37:31) |
457. THE PROMISE/君への誓い
《ネタバレ》 このような歴史があった事は知らなかったのでそれを教えてくれた事は評価する。が、主演男女が不倫まがいの双方二股というどうしようもないメロドラマに萎える。他方、友人を救ったが故に徴兵され、仕舞には処刑される青年の誠実さが際立ち心が洗われる。クリスチャン・ベイルは骨のあるジャーナリストで二股にも目を瞑る大人の対応ではあったが、大局的に見れば「欧米的自由民主主義」の正義と「アジア的専制」の悪を訴えているだけの偏向報道をしていると言えなくもない。ラストでトルコの所業に類比するかのように真珠湾攻撃に立ち向かう話が挿入されてくるのが象徴的。でもその後の原爆投下の虐殺には触れず。歴史は勝者によって作られる事を痛感させられると共に、映画の役割についても考えさせられる。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-27 11:11:33) |
458. OK牧場の決斗
ガッツ石松のおかげ?で有名な本作だが、カーク・ダグラスはカッコイイものの、内容的には退屈。娼婦役の言動がどうしようもないのが印象的。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2020-10-25 12:58:54) |
459. スイス・アーミー・マン
今流行りの「総合的・俯瞰的」に見れば、無人島で絶望して死を選ぼうとしていた若者が「死者(?)」と出会う事により、生(性?)の喜びや生きる事の素晴らしさに目覚めるという実存主義系の結構ベタな話ではある。そこには「オナラ」をメインテーマとして「醜い自分」や「弱い自分」をさらけ出して生きる事の大切さに気づくという若者の成長・変化も盛り込まれており、ある意味王道系のストーリーでもある。描写としては諸々と下半身系の話が多いので、そういうのを毛嫌う人を排除する作品ではあるのだが、ある意味それが狙いというか、人間の生理的醜さを毛嫌う事への批判も込められているのだろう。それがラストの各々の反応に現れているように思える。気になったのはメニーの死因が事故死なのか自殺なのかハッキリしなかった事と、メニーの「役に立つ」モノ扱いが過剰であった事かな。ハンクが低脳・無能と父から罵られてきた事のアンチテーゼなのだろうが、これでは生きるためには「役に立つ」友人が必要であり、自分も「役に立つ」人間である必要があるというメッセージにも成りかねない。好意的に見れば「生きている」だけで、人の役に立てるという事が言いたいのかもしれないが、そもそも「役に立つ」必要があるのか?という疑問は残り続ける事に変わりはない。 [地上波(字幕)] 7点(2020-10-22 14:29:03) |
460. レッド・サン
《ネタバレ》 1870年頃の設定のようなので既に明治である。にもかかわらず、使節団が丁髷と羽織袴姿で刀振り回すというのはちょっと変な気もする。また、そういった外見だけではなく、武士道等の精神面もすんなり理解しちゃうブロンソンも、あくまでも現代人感覚であり、当時の人間にはなりきっていないように思える。と、アレコレ変な所があるのは娯楽作品だから仕方ないとしても、女性を登場させてしまったせいで、締りのない冗長な作品になってしまったのは残念。とはいえ、世界のミフネが名優相手に堂々と演技しているという点では貴重な作品ではあるので、そこだけを楽しむ分にはいいのかも。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-10-22 02:43:06) |