481. ベッカムに恋して
《ネタバレ》 サッカーが好きってのは分かるんだけどねぇ、もうちょっと情熱みたいなものが欲しかったです。練習シーンなんかもそれこそ汗や泥にまみれたりなんかして・・・(って、変な想像しているわけじゃないです(^^;)。サッカーと家庭、夢と現実の狭間で揺れ動く主人公少女の心情描写はまあまあかなとも思ったけど、個人的にはもっと肝心のサッカーの方に重点を絞って欲しかった感じ。インドの伝統的(?)な踊りと結婚式が見られる辺りは思わぬ拾い物か。それから最後の空港のシーンでジュールズが「あ!ベッカムだ」って言った時にはちょっとドキッとしたけど、その後出てきたのは当然の如く本物ではなく別人でしたね。当たり前ながら少しセコイと思ってしまいました。ついでに言わせてもらうと最後にあの二人がくっ付く辺りがどうもよく分かりません、あれで増々キーラ・ナイトレイが可哀想だと思ったのは僕だけでしょうか? 6点(2004-06-26 17:07:26)(良:1票) |
482. 酒とバラの日々
《ネタバレ》 こういう映画を観ると思わず、「これから先絶対に酒は飲まないぞ」と自分に誓いたくなってしまいます。アルコール中毒者の悲痛がこれでもか!と言わんばかりに存分に伝わってくる。酒を追い求めるアル中患者の心理描写としてはビリー・ワイルダーの『失われた週末』の方が上だと思うけど、こちらは夫婦揃って酒浸りなのでその分どんより感も二倍。どうしようもない悲哀感が漂ってきます。最終的に二人の内片方はやめられて、もう片方はやめられないというラストが何とも無情ですが、「どうせ最後はハッピーエンドなんだろ?」と高をくくっていた僕には良い意味で期待を裏切られました。ハイ、ごめんなさい。文句なしの傑作です(^^;。それにしてもこれほどオープニングとラストのギャップが激しい映画も珍しいですね。 8点(2004-06-20 11:03:33) |
483. 母(1926)
最近までフセヴォロド・プドフキンという人は全く知らなかったのですが、聞いたところによるとエイゼンシュテインらと並ぶ旧ソ連の偉大な監督なんだとか。さすがに70年以上も昔の映画なので多少見苦しい部分はあります、そのせいか観ていてついウトウトとしてしまいました(汗)。タイトルにもなっている母親の絶望に沈んだような表情がとにかく凄く、特にラストシーンなどは一度見たら一生忘れられなくなるような衝撃を受けます。旧ソ連の映画はこれからも勉強していきたいですね。 7点(2004-06-12 23:58:50)(良:1票) |
484. 都会の牙(1950)
結婚を目前に控えた独身男性が、いつの間にか毒を盛られ余命あと1日と宣告されてしまう物語。医者が主人公に対して放った一言、「君は殺されたんだ」という言葉は非常にショッキングです。最初はなぜこの男が毒を飲まされたのか?というミステリーで話が進んでいき、次第に事件の真相を暴いていくサスペンスになります。裏でうごめく陰謀が明らかになっていく後半場面はストーリーがグングンと面白くなり、物語の中に引き込まれます。それにしても死を覚悟した人間というのは末恐ろしいもので・・・、もはや自分には何も失うものが無いわけですから、どんなことだってやってのけられるわけです。もし自分がこの映画の主人公と同様、毒を盛られ死の宣告を受けたら?と考えさせられてしまいます。主人公と同じように命を懸けて犯人究明に乗り出すか、それともひたすら絶望に打ちひしがれているか。はたまた最愛の人と最後の時を過ごすのか・・・。そういうことも考えさせられるとても奥深い映画です。 8点(2004-06-12 12:53:36)(良:1票) |
485. パス・トゥ・ウォー 戦争へと続く道
監督ジョン・フランケンハイマー、豪華キャストの出演に上映時間約2時間半という気合の入ったTV映画です。映画などではあまり語られることのない、ジョンソン大統領の半生を描いた伝記物語。ジョンソン大統領にマイケル・ガンボン、その友人役にドナルド・サザーランド、マクナマラ国防長官をアレック・ボールドウィンが演じていて、それぞれが骨太な演技を見せてくれます。ベトナム戦争を泥沼化させ更にはアメリカ中を混乱の渦に陥れたということで、何かと批判されがちな方のようですが、こういうドラマが実際にあったことを知るとやはり多少なりとも同情の念を禁じ得ません。長尺な分だけ見応えはありますが少し疲れた感がありました。 7点(2004-06-10 19:30:36) |
486. パットとマイク
名女優キャサリン・ヘプバーンが、あらゆる競技に挑戦する(と言ってもゴルフとテニスだけだけど)スポーツ物。実はキャサリン・ヘプバーンとスペンサー・トレイシーが共演した映画を観たのは、67年の「招かれざる客」を除いて初めて。こういうコメディ物もいっぱい撮っているんですよねぇ、もっと観たくなりました。聞いたところによるとこの映画での彼女のプレーはほとんどスタンドイン無しなんだとかで・・・、素人目で見てても上手いな~と思います。 7点(2004-06-08 23:13:08) |
487. 地下室のメロディー
《ネタバレ》 銃の入った箱を背負い、建物の屋根を走り回るアラン・ドロンの姿はこの上なくカッコ良い。観る前はてっきりフィルムノワール感バリバリな現金強奪モノかと思っていたけど、意外にも洒落っ気のある犯罪ドラマでした。見所はやはり後半の金庫を襲撃してからの展開にあるんだろうけど、個人的にはバカンス全開!な前半部分も好き。ラストはちょっとキューブリックの「現金に体を張れ」を思い出したかな、こういう皮肉な終わり方は好きです。 8点(2004-06-08 19:13:05) |
488. 奇人たちの晩餐会
《ネタバレ》 「馬鹿を馬鹿にする者は馬鹿に泣く」、これすなわち鉄則。 [地上波(字幕)] 8点(2004-05-30 20:39:56) |
489. 世にも怪奇な物語
1話目が一番制作費がかかってる?ジェーン・フォンダの美貌だけで保っている作品というような印象も受けたけど、あれはあれでなかなかに中世の独特な世界観を作り上げていて良かった。燃え盛る炎と黒馬が不気味・・・。個人的には最もストレート(?)で分かり易い2話目がお気に入り。監督はルイ・マル、一人の男が自分のドッペルゲンガーの存在に悩まされる。美男子アラン・ドロンの異常なサディスティック振りに注目。そして中でも一番人気の3話目。さすが巨匠フェデリコ・フェリーニといった感じで、冒頭の空港のシーンから明らかに異質な空気を感じる。怖さでも他の二作をずば抜けています。貞子やサマラを見て物足りないと思った方は是非どうぞ。 7点(2004-05-30 10:06:18)(良:1票) |
490. 妻として女として
《ネタバレ》 夫が十数年間も浮気をしていて、しかもそれを奥さんが承知しているという状況が凄い。一見幸せそうに見える夫婦関係も裏では不信と疑惑が渦巻いている。この前観た『妻(53)』もそうだったけど、成瀬巳喜男監督の映画には夫婦間の問題をテーマにした作品が多いのかな?後半の子供を巡る展開、子を産んだ女と子を育ててきた母の対決、こうなると夫の立場はかなり情けないものになってくる。淡島千景の「いかれてるわねぇ」連発発言には失笑。最終的に家庭崩壊で終わるというラストが何とも無情のようにも感じるけど、有耶無耶で終わるよりかはスッキリしたこっちの方がかえって良かったのだろうと思う。というかそう信じたい。 8点(2004-05-29 11:35:12)(良:2票) |
491. 愛しのタチアナ
カウリスマキの映画にしては人がよく喋る、笑う。それでもまだまだ普通とはいかない。モノクロ画面の中に男と女、おまけにロードムービー。まるでジム・ジャームッシュの世界。それでも目の前に広がるのは間違いなくアキ・カウリスマキの世界。今まで酒とコーヒーばかり飲んでいた二人が、タチアナとクラウディアに差し出された紅茶を飲むシーンは素敵。そしてこれがマッティ・ペロンパーの遺作でもあるのです。 7点(2004-05-25 18:18:26) |
492. ラヴィ・ド・ボエーム
アンリ・ミュルジェールの原作「ボヘミアン生活の情景」を、フィンランドの名匠アキ・カウリスマキが映画化。何やらプッチニーニのオペラ「ラ・ボエーム」は原作を台無しにしてしまっているとかで大激怒したそうな・・・。時代設定がよく分からない19世紀のパリを舞台に、ボヘミアンな生活を送る3人の若者の物語。いきなりあのマッティ・ペロンパーらが音楽や芸術について真剣に議論し始めるのには笑ってしまうが、物語自体はけっこう本気。お金がないから生活を切り詰めて仕事を探したりと、貧乏な芸術家たちの放つ哀愁のオーラが画面一杯に広がってきます。しかしそこはカウリスマキの映画だからユーモアも忘れない、例のごとく登場人物が留置所に入れられたりする展開はもはやお約束事。劇中にチョイ役として出てくる役者さんたちもやたらと豪華で、主人公ロドルフォのパトロンにはトリュフォー映画の常連ジャン=ピエール・レオ(「コントラクト・キラー」にも出ていました)、鬼才監督のサミュエル・フラー、そして今は亡きフランス映画界の大御所ルイ・マル。う~む、一体どこに出ていたのでしょうか・・・(汗)。エンドロールに流れる「雪の降る町を」のメロディも、いつまでもいつまでも耳に残ります。 8点(2004-05-25 18:06:01) |
493. レディ・キラーズ
コーエン兄弟の新作コメディ。最初はビデオでも十分な内容かな?と思っていたのですが、これがなかなか楽しめました。まずはコメディ作品としてしっかり笑わせてくれます。本当ベタベタな感じなのですが、このベタベタ感が観ていて逆に心地良いです(ただ少々ギャグが下品なので注意)。それから予告編などでは主演のトム・ハンクスを念頭に置いて宣伝されているようですが、この映画の主人公はむしろ泥棒グループから命を狙われる老婦人の方だと思いました。このおばちゃんが最高で物語の重要人物の一人になっています(ていうかこの人がいないと話が進まないし)。ラストの展開もよくやってくれました、やっぱりコーエン兄弟は面白いです。 7点(2004-05-22 14:16:26) |
494. キートンの探偵学入門
あれだけスピーディーな夢を見られたら気分爽快だろうなぁ。この映画はあらすじだけを読んでもよく分からないので、まずは実際に本編を観た方が良いでしょう。・・・すると度肝を抜かれます(^^;。こういう映画を観るたびに思うのが、「昔の人たちは頑張っていたんだな~」ということ。もちろん今の映像技術が発達した映画業界も凄いけど、CGもない時代によくあれだけのものを作れたなと思います。おそらく当時に存在する限りの、ありとあらゆる技術をかき集めて撮影したのでしょうね。その映画人としての熱意と根気だけでこの点数を差し上げられます。やはりウディ・アレンもキートンが好きだったのでしょうか。 8点(2004-05-21 23:20:17)(良:1票) |
495. ワンダー・ボーイズ
《ネタバレ》 どんどん自暴自棄になっていくマイケル・ダグラスが面白い。半ばヤケクソになりながらも最後にはしっかりと再生するところで希望が開けた感じ。監督のあざとらしさが前面に出ている「小説家を見つけたら」なんかよりはずっと共感できる。それにしてもこの映画でのトビー・マグワイアの奇怪な役柄にはツボ~、この青年が後にニューヨークを救うスーパーヒーローになるとはなぁ・・・。 7点(2004-05-21 19:51:58) |
496. こねこ
《ネタバレ》 文部省選定映画?そんな堅苦しい肩書きを抜きにしても十分に面白い作品。猫は人間になつかないって言うけど、この映画ではめちゃくちゃなついていましたね。まずは主人公こねこチグラーシャのイタズラっぷりが可愛い、うちの家の近くにもよくあれと同種の猫がウロウロしているので親近感を覚えました。個人的には何ともふてぶてしい顔をしたペルシャ猫のシャフが堪りません、売られそうになってもまた戻ってくる辺りなんてかなりの曲者!それからあの猫好きのおじさんが本物の調教師だったということで、納得しながらもちょっと驚き。途中で出てくるドーベルマンはその飼い犬なんだとか、ほえ~・・・。思わず犬好きから猫好きに転向してしまいそうです(^^;。 9点(2004-05-19 20:32:33) |
497. 醜聞(1950)
しごく普通な映画だが、これほど感動的な「蛍の光」は聴いたことがない。 7点(2004-05-18 21:53:14)(良:1票) |
498. 穴/HOLES
ビデオ屋へ行くとよく『穴』というタイトルの映画を何本か見かけますが、中には傑作もあれば「あれれ~?」と思うような作品もあります。そんな中でもこれは映画ファンとして満足のいく一本だと思います。つい最近まで僕も全く知らなかったのですが、実際に観てみたらかなり奥の深い子供から大人まで楽しめる良質のコメディ・ドラマであることが分かりました。どうやら日本では劇場未公開だったそうで・・・、どうしてこんなに面白いのに未公開だったんだろう?とにかくストーリーを口で説明するのは難しい、この物語の面白さは実際に映画を観てみないと分からないでしょう。それでも簡単に説明すると、無実の罪で鑑別所に送られた主人公が他の少年たちと一緒にひたすら穴を掘り続けるという話です。脱走物ではありません(一部脱走するシーンはありますが)。現在から過去、人々の交流や運命などを交えて描くアドベンチャー物とでも言ったところでしょうか。タイトルが『穴』だけにまさに思わぬ”掘り出し物”でした。 8点(2004-05-17 18:26:55) |
499. キングダム(1994)
あの黄色い色調の映像は気味が悪すぎる!というか見ていて気分が悪くなります。幽霊マニアのおばあちゃんに、スウェーデン人のオモシロ医師、謎の皿洗い二人組みなど。登場人物はこれでもかっ!というくらいに個性(異常)的で魅力的なのですが、それでも今一つ物語にのめり込むは出来ませんでした。まずやっぱり全体的に流れる病院の鬱屈とした雰囲気が気持ち悪すぎます、ここでまず自分の相性と合わない。デンマークの人たちはこんなものを普通にテレビドラマの感覚で見ているのかなぁ、と思うと軽いカルチャーショックを受けます。ホラーとしての作りは悪くないと思うけど、個人的にはそれよりも時折挿入されるギャグの方がかなり面白く、寧ろコメディとしての完成度の方が高いんじゃないのか?と思ってしまいました(^^;。それにしてもラストは本当どうにかならないのでしょうかねぇ、続きがめっちゃ気になりますよ(笑)。何が「私は結末を知っている」だ、ラース・フォン・トリアーさん!! 5点(2004-05-15 11:51:00) |
500. 第十七番
《ネタバレ》 もともとは舞台劇の映画化らしいのですが、ほとんど小男のコントになっちゃっています。通過する電車の雑音と死体の映像がシンクロするところや、手の影がドアノブに迫るシーンなど。時折「おぉ!」と思わせられる場面も多い。でも単純な話ながらも観ていてけっこう混乱してしまいましたよ。「あれ、この人さっきの人じゃん」とか「いつの間にか登場人物増えてる?」みたいな感じで・・・。クライマックスの暴走列車はモロに模型なんだけど、それなりに迫力感があって良かったです。 5点(2004-05-15 09:59:30) |