481. ダイヤルMを廻せ!
《ネタバレ》 「ロープ」でもお馴染みの映画がほとんど部屋から出ない密室劇。冒頭の2人の男のやりとりが少くどくはありますが、物語が動き出して以降、例えば実によく計算され尽くした、パーティ会場から電話をかける前後の細かいアクシデントの挿入や登場人物の行動の微妙なズレと、それがもたらす緊迫感。さらに相変わらず巧みな数々の小道具の使い方も見事。夫と妻、観る者がどちらに感情移入すべきか迷わせる巧みな登場人物の設定とその心理描写。限られた作品の行動範囲を実によく計算された演出で見事に使いきった、ヒッチコックの妙技の数々を堪能できる作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2010-09-05 16:20:53) |
482. リトル・ロマンス
大人から見ればまだまだ子どもですが、もう僕らは子どもじゃない、なんて思う年頃が誰にでも訪れる。そんな年頃の二人の幼さと時折見せる大人っぽさ、そしてそんな二人の恋がとても上品に微笑ましく描かれた作品です。 そんな二人のリトル・ロマンスと共にローレンス・オリヴィエが素晴らしい。彼の存在とその演技、発する一つ一つの台詞は作品に実に味わい深いユーモアと意味をもたらす。自らの代表作である「明日に向って撃て!」や「スティング」の名シーンが登場するのもジョージ・ロイ・ヒルの映画が好きな者にはたまらなく嬉しい。 これがデビュー作であるダイアン・レインの可憐な魅力や義父の優しさ、美しいジョルジュ・ドルリューの音楽と旅先の風景も心に残る愛すべき映画であるとともにジョージ・ロイ・ヒルの優しさと映画作りの上手さをあらためて感じる作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2010-08-28 20:53:31) |
483. 藍色夏恋
《ネタバレ》 80年代のホウ・シャオシェンの作品を思い出させる雰囲気を持った映画でした。日本人から見てもどこか親しみを感じさせる台湾の街の風景、そして音楽や登場人物の台詞を意識的に抑え、何かドラマチックな出来事がある訳でもない。しかしそんな淡々とした描写の中に彼ら、彼女らが表情や動作で表現する感情が切なくも生き生きと伝わってきます。 特に後半の体育館でのけんかのシーン。体を激しくぶつけあって喧嘩している二人の姿を少し離れた位置からカメラが捉える。その間二人は一言も発しないのですが、体をぶつけあう二人が同時にぶつけあっている感情までもが伝わってくるような見事なシーンでした。そして一つ一つが短くてとてもシンプルな台詞からも彼らの今の素直な気持ちが実に生き生きと伝わってきます。 本作で描かれる二人の恋の行方は・・・?その答が出るのは彼らが言うように1年後か3年後になるのかもしれない。しかし本作はそれでいいのだと思えました。自転車で爽やかに風を切り夏の台湾の街を駆け抜ける、まだ成長の過程にある二人が本作の一番最後に見せる本作の一番の笑顔を見ているとそれだけで十分でした。彼らはまだ若くどんな可能性だってあるし何も慌てることはない。そんな若さとその可能性が実に爽やかに描かれたラストシーンでした。 原題「藍色大門」を「藍色夏恋」とした邦題も上手くこの作品を表現しています。 [DVD(字幕)] 8点(2010-08-26 19:38:02) |
484. トップ・ハット
この作品は僕が初めて見たフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの映画です。そのきっかけは、ある日テレビで見たウディ・アレンの「カイロの紫のバラ」。この作中で使われているのが本作の“cheek to cheek”。その曲の素晴らしさ、時には優雅で時には盛り上がる曲調に合わせるように舞う2人の華麗なダンスの素晴らしさにすっかり魅せられたのでした。その後初めて本作を見て、“cheek to cheek”のシーンを通してみた時の感動は今でも忘れられません。と言うか、何度見ても感動することが出来るのです。勿論それ以外の曲もダンスも素晴らしく、アステアーロジャースの映画には「カイロの紫のバラ」の中でミア・ファローが夢見心地でうっとりとスクリーンを見つめるのと同じように今なお見る者を夢見心地にさせてくれる、何十年経とうとも色褪せることが無い素晴らしさがあります。 [DVD(字幕)] 8点(2010-08-11 20:12:15)(良:1票) |
485. 男はつらいよ 寅次郎子守唄
《ネタバレ》 前半は寅さんが連れて帰ってきた赤ん坊の騒動で笑わせてくれます。しかし子どもが欲しくても子宝に恵まれなかったおばちゃんがわが子のように赤ん坊を可愛がる姿と、自分の子どもをいとも簡単に置いて姿をくらました挙句、気が変わって軽い気持ちで迎えに来る若い親との対比が少し悲しくもあります。 後半は寅さんがしっかり恋愛モードに突入してくれます。ここでいい味を出すのが江戸川合唱団のリーダー、大川弥太郎。中期以降の作品では寅さんは完全に若い二人の恋の指南役に回ることも多くなります。本作でもその傾向はあるものの、寅さん自身も大川と同じ相手にしっかり恋をしており、大川は寅さんのれっきとした恋のライバルでもあるんですね。これは第14作。まだまだ寅さんは若いなあと感じ、嬉しくなるのです。 そしてその恋の相手は十朱幸代演じる看護婦さん。寅さんのマドンナは悩みを抱えていたりどこか影のある女性像が多い中、そんな影を感じさせない十朱さんが演じる庶民的で明るく元気一杯のマドンナ像と寅さん、とらやの人々との絡みは陽気で明るく、シリーズの中のお気に入りの一作です。 [DVD(邦画)] 8点(2010-07-30 22:10:13)(良:2票) |
486. がんばれ!ベアーズ
テイタム・オニールは「ペーパームーン」といいい本作といい、ちょっと勝ち気で生意気な女の子の役がいいですねえ。ダメチームだったベアーズの監督になった、飲んだくれで一見だらしなくてひと癖ありそうな中年男のウォルター・マッソーもまたハマリ役でした。試合は負けるより勝ったほうがいいに決まっている。でも勝ち負けだけが全てじゃない。決勝戦の終盤の大切な場面で試合に出してもらった、補欠だった少年が外野フライをキャッチしたシーンなんて本当に素晴らしかった。大人も子どももそれぞれの感動があってそれぞれの楽しみ方ができます。いい映画です。 [DVD(吹替)] 8点(2010-07-25 00:07:48)(良:1票) |
487. モーターサイクル・ダイアリーズ
《ネタバレ》 後に歴史にその名を残す革命家となる医大生の南米大陸放浪の旅。大袈裟な出来事を無理に挿入する事も無く控え目な音楽や演出で非常に淡々としていますが、だからこそ旅の風景の描写や旅先で出会う名も無き人々との心の通い合った交流を見ていると、きっと本当にこんな感じの旅だったのだろうと思えます。 後に革命家となる恵まれた環境にあった医大生が、一つ一つの出会いを通して世の中に対する矛盾や疑問、そして使命感が心の中で少しずつ芽生えていく過程が淡々とした中にもとても上手く描かれていました。 若者の純粋なエネルギーを感じさせてくれる良質の青春映画であり、人間の力強さや自然の偉大さを感じさせてくれる、ロードムービーや人間ドラマとしても心に残るいい映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2010-07-20 23:12:12) |
488. パリ空港の人々
《ネタバレ》 スピルバーグが豪華キャストで撮った「ターミナル」と比べると空港の華やかさも無く美女とのロマンスも無く地味な作品ではあるのですが僕は本作の方に惹かれました。 ここは確かにパリのはずなんだけれどパリじゃない。世界中のどこでも無い場所。そんな場所に世界からそっぽを向かれてしまった、この世界に行く場所も帰る場所も失ってしまった人々の少し物悲しくも可笑しな人間模様。 大晦日の夜にテーブルの上に再現したパリの街、そしてこっそり空港を抜け出したパリの街が良かったですね。雑踏と華やかなネオンに彩られたパリではなく、人気が無くどこか淋しげな深夜のパリの雰囲気がいい。 恐らくもうあと何日か辛抱すれば自由にパリの街に出ていける主人公の男とは違い、それが叶わない人々の身近なようでとても遠い街であるパリの夜景を眺める淋しげな表情とそんな彼らの心の内を表しているかのような淋しげな深夜のパリの風景、そして主人公の男とギニア人の少年が歩き出す先にはきっと希望があると信じたいラストシーンが鑑賞後も不思議な余韻となって心に残ります。 [DVD(字幕)] 8点(2010-07-14 22:48:17) |
489. 鉄道員(1956)
既に大人になった姉、兄とは随分年が離れた幼い末っ子の少年の目線で見つめた、どこにでもありそうな家族の崩壊と再生の物語。よくある設定のホームドラマではありますが、その人物描写が素晴らしいです。 家族の心が離れ離れになっていく前半から中盤、重い雰囲気も漂いますが、微笑ましさやユーモアを感じさせる末っ子の言動、父、そして優しい母や姉と末っ子との触れ合い、鉄道員の父の仕事仲間であり親友の独身男の存在や行きつけの酒場の常連客達の生き生きとした描写が心を和ませてくれます。 僕はイタリアの庶民やその家族の物語を描いたドラマが好きなのですが、それは人生には辛い時期もありますが、そんな中に派手さは無いですがイタリア映画が見せてくれる人間臭さや可笑しさやあたたかさがとても好きなんです。ですが何故か本作はずっと見落としていた作品でした。それを映画館で見る事が出来た。ありがとう、午前十時の映画祭。 [映画館(字幕)] 8点(2010-06-29 15:13:02)(良:2票) |
490. バック・トゥ・ザ・フューチャー
もう何度も見ていますがやはり面白いしいい映画です。ドクへの手紙に家族写真に今のパパとママとビフ、30年前のパパとママとビフ、そして戻ってきてからのパパとママとビフ。今と30年前のマーティと家族、そしてドクの全てがしっかり結びついていて全てが楽しい。大人でも子どもでも、いつどこで誰と何度観てもワクワクできて楽しめる一本! [DVD(字幕)] 8点(2010-06-26 14:20:50) |
491. オーケストラ!
予想に反してベタな笑いドコロがふんだんに盛り込まれており、よく笑わせてもらいました。全編を通して人情喜劇的な流れの中、今もロシアの人々の心やロシア国内に根深く残っているのであろうソ連の時代の負の影響や、人々のその時代への様々な思いが分かりやすく上手く描かれていました。最後に来て最高の盛り上がりを見せるコンサートのシーンは素晴らしかったし、メラニー・ロランの輝く存在感が際立っていました。更に、残念ながら他の作品を見る機会がなかなか無いロシアのベテラン俳優たちの人間味あふれるコミカルな演技も素晴らしかったです。 [映画館(字幕)] 8点(2010-06-25 20:48:57)(良:1票) |
492. 幸福の黄色いハンカチ
《ネタバレ》 70年代初頭のトニー・オーランド&ドーンの「幸せの黄色いリボン」という全米№1の大ヒット曲(これがいい歌!)を聞いた山田監督が本作のアイデアを考え出されたそうですね。 この曲は刑期を終えた男が故郷で待つ女の元へ今でも自分を待っていてくれるなら目印に樫の木に黄色いリボンを結んでおいてほしいと手紙を出す。故郷に戻るバスの車中、目印の黄色いリボンを怖くて自分の目で確かめられずにいたら樫の木に数え切れないほどの黄色いリボンが結ばれており、バスの中が歓喜に包まれたというアメリカで語り継がれる実話に基いた3分ちょっとの歌。 これを山田監督は人生の行くあてをほんの少し見失いかけた若い男女を登場させ見事に日本流のストーリーを創り上げました。国民性や価値観は違っても人の心に響くモノは万国共通なんですね。台詞なんていらない、車中で見守る若い2人と同じ目線で再会する様子を遠くからそっとカメラが捉えるラストも何度観ても感動します。 ムサ苦しくて脚が短くてダサくてカッコ悪い青年を演じた武田鉄矢(武田さんゴメンなさい!)、これもアクが強い人物像を見事に演じた桃井かおりの二人。健さんの存在感に負けていない素晴らしい演技でした。 [映画館(邦画)] 8点(2010-06-22 21:11:13) |
493. 男はつらいよ 寅次郎純情詩集
《ネタバレ》 本作は「人はなぜ死ぬのか」という重いテーマがメインとなっているという点では異色の作品。前半、寅さんがご贔屓の一座の公演の中で、「車センセ!」の台詞でお馴染み、一座の花形大空小百合の「人はなぜ死ぬのでしょうね」という台詞があった。そして後半、複雑な事情を抱えた柳生家のお嬢様を演じた本作のマドンナ、京マチ子も同じ台詞を呟く。 マドンナを迎えてのあたたかいとらやの団欒はどの作品でも僕の大好きなシーンなのですが、本作のそのとらやの団欒のシーンは素晴らしかったと思います。柳生家のお嬢様の仕事は何がいいか平和に語り合う。しかし全ての事情を知っている檀ふみ演じる娘とさくらだけは悲しげな表情を浮かべる。楽しくてあたたかくも、少し悲しさのある本作のとらやの団欒でした。それに続くクリスマスムードの柴又で「花屋がいい」と寅さんが語るさくらとの別れのシーンも悲しいけれど良かった。 マドンナが死んでしまう・・・。作品のテーマ上仕方が無いのかもしれませんが、それ以外はとても好きな作品です。マドンナと寅さんの心のふれ合いの深さが感じられる作品でした。 [DVD(邦画)] 8点(2010-06-03 20:17:11)(良:1票) |
494. チェブラーシカ(1969)
実に不思議な魅力のある人形アニメです。楽しいし見ていて癒される愛らしさがある作品ですが、何でしょうかね?このあまり味わったことのない独特の雰囲気は・・・。淋しさが漂いつつもその中に明るさや無垢さがあり、どの話もチェブラーシカとゲーナの行動は人の良心に基づいている。小さな子どもにも大人にもそれぞれの感じ方、楽しみ方が出来る今に見ても良質のアニメだと思います。チェブラーシカとゲーナの表情の豊かなこと!勿論チェブラーシカの愛らしさも魅力ですが僕はワニのゲーナに惹かれました。子ども達が見たらきっとチェブラーシカの愛らしさのとりこになることでしょう。この手作り感、あたたかみがいい。 [DVD(吹替)] 8点(2010-05-17 19:50:47)(良:1票) |
495. 小さな恋のメロディ
”メロディ・フェア”、”若葉の頃”・・・ビー・ジーズを知らない人も、本作を知らない人もこの曲を耳にしたことがない人はいないのではないか。CMや何かの番組で挿入曲として使われて耳にする度に、メロディが金魚の入った瓶を持って街を行く姿が、メロディとダニエルが手を繋いで歩く姿が思い出されます。主題歌が心に残る映画として真っ先に思い浮かぶ作品の1つです。前半から中盤はメロディとダニエルが絡み言葉を交わすシーンは意外なほど少ないですがそれがいい。まだ幼さが残る頃に誰もが経験したような何てことのない毎日をとても丁寧に積み重ねていく。素敵な歌の数々に乗せて見せるまだ少し幼い恋、そして友情や悪ふざけがとても微笑ましく彼らと同じ年頃だった頃のことが懐かしく思い出される。何度見ても瑞々しく色褪せることがない、エバーグリーン。 [DVD(字幕)] 8点(2010-05-08 21:48:46)(良:2票) |
496. 男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎
《ネタバレ》 この第27作は寅さんらしさがとてもよく出ているシリーズ中期のお気に入りの一作です。この前の第26作「かもめ歌」では伊藤蘭演じるマドンナに対し恋する、と言うよりは妹か娘のような関係でしたが、やっぱり寅さんはこうでなくっちゃ!という到底手が届くはずもない高嶺の花に恋する寅さんの復活が嬉しい作品です。けれども訪れた大チャンスに尻尾をまいて逃げ出すところも寅さんらしい。ついでに「おふみちゃん、いけねえよ。こいつで勘定してくんな」と財布を渡すもののロクな持ち合わせがないところもやっぱり寅さんらしい。マドンナ(松坂慶子)のお美しさに関してはシリーズ屈指の作品でもあります。旅暮らしの歌手のリリーに本作以外にも第17作でも登場しましたが芸者さん、こんなマドンナ像と寅さんはやはりとてもいい絵になりますね。そしておふみさんのお姉さま方に新世界の宿屋の人間模様もいつもの寅さんとは一味違う可笑しさがありました。特に芦屋雁之助と寅さんの二人がそれぞれの男の道を語り合う別れ際はいいシーンでした。 [DVD(邦画)] 8点(2010-04-20 20:45:00)(良:2票) |
497. ナチュラル
《ネタバレ》 本作のレッドフォード、年を取り過ぎて見えるというのも一理あると思います。しかし、夢半ばで銃弾に倒れた男が事件の後遺症が残る体で30半ば、引退を考えてもいい歳になって苦難を乗り越え夢の舞台にカムバックする。僕にはそんなロイ・ハブス・ストーリーと本作のレッドフォードはとても良く合っているように思えました。 ロイ・ハブス自身の人生も、鮮烈なデビュー、スランプ、体の不調、八百長、そして最後の試合と短い現役生活も山あり谷あり。しかし苦難を乗り越え夢を追いかける男の生き様が爽やかで感動的な野球映画でした。 何が書かれていたかは語られなかったものの観る者にその文面が伝わってくるような手紙、そして想像通り、いや、期待通りと言いたい見事なホームランとその後の演出、そしてちょっとだけしか見せてくれませんが、それで全てが伝わってくるようなキャッチボールのラストシーンとレッドフォードの表情が実に爽やかな余韻を残してくれます。 冒頭で汽車を追いかけてくる少年にボールボーイの少年、スタンドで目を輝かせ憧れのメジャーリーグを見つめる少年達。こうして少年達が野球に魅せられ、バットを置く者もいれば彼の姿を見てメジャーリーグに憧れ、そして次の世代に受け継がれていく。そんな少年達の表情も心に残る野球映画でした。 [DVD(字幕)] 8点(2010-04-16 22:17:48) |
498. アイガー北壁
《ネタバレ》 時代は1930年代。ナチスの国民の煽動に利用されたアイガー北壁への挑戦。戦争に突き進むナチスは死への恐怖に打ち勝ち果敢に困難に立ち向かう勇敢な若者の姿を利用しようとしたのでしょうか。本作で描かれる実話の数年後にナチスによって利用されたアイガー北壁への挑戦は成功するが、そのドラマを描かず成功の数年前の今回の事実を映画化した所と、挑戦者の恋人がラストで上司に放つ痛烈な一言にこの作品に込められた監督の思いが感じられます。 北壁の麓の豪華なホテルで優雅にこの挑戦を見つめる人々も本作の重要な要素ではありますが、ロマンスの要素と終盤の挑戦者の恋人の行動を追いかける部分がちょっと詰め込みすぎに感じられました。しかしそれでも見応えのある映画でした。困難を極めたであろう撮影が推測できる映像の圧倒的迫力とそのカメラワーク。やはり壮大な山と人間のドラマを描いた映画は映画館で味わいたいジャンルの一つです。 [映画館(字幕)] 8点(2010-04-01 19:00:11)(良:1票) |
499. 北北西に進路を取れ
《ネタバレ》 ヒッチお得意の巻き込まれ型サスペンスですが、途中までは巻き込まれる背景や事件の説明が無いので途中まで観る者も映画の中のケイリー・グラントと一緒に巻き込まれさせてくれます。美女が登場するヒッチ映画の定番、キスシーンのハッピーエンドは容易に推測できる作品でもありますが、崖から引き上げられてキスシーンと思う所をヒッチ一流のユーモアのセンスあふれる予想を超えたラストはお見事。 本作で後味の悪い結末を望む人は少ないと思うし、それを承知の上で二転三転するストーリーとテンポの良さでそのラストに至るまでのプロセスをしっかり楽しませてくれる、ヒッチコックの映画作りの上手さは流石だと思わされる一作。 更に本作は今までに観たヒッチさんのカメオ出演の最高傑作です。バスに乗り遅れるヒッチさんがお茶目でした。この「ヒッチさんを探せ!」は観る者のお楽しみの一つにまでなっていく。それを承知でカメオ出演を続けてくれた彼のサービス精神にも脱帽です。 [DVD(字幕)] 8点(2010-03-26 20:23:06) |
500. ラブ・アクチュアリー
自分の身近な人を大切に思う気持ちや、今までよりもうちょっと勇気を出してみようという人生に対する前向きな気持ちや、人間の善良さとユーモアにあふれたとてもいい映画です。よくぞこれだけの登場人物、これだけのストーリーを上手くまとめたなあと思います。冒頭の語りから見事につながる幾つもの素敵なストーリーとエンディングまでの構成、その脚本が素晴らしい。更に挿入曲も実に効果的に使われ作品を盛り上げます。公開時からずっと気になっていながら初めて観たのですが、観て良かったです。心に余裕が無くなった時やもうちょっと勇気を出したい時なんかにいつでも観る事が出来るようにDVDを買って手元に置いておきたいと思いました。 [DVD(字幕)] 8点(2010-03-20 20:43:34)(良:1票) |