521. 未知への飛行
《ネタバレ》 特にこの映画が見たかったという訳ではないのですが、自分がこないだ買った5枚組DVDボックスの中にこの作品があったので見てみました。 私もこの映画は前評判通り必見の映画だと思います。人に薦めることのできる一作ですね。S.ルメットの隠れた名作ではないでしょうか。 私はモノクロ映画が好きでよく見るのですが、モノクロで撮って大正解ですね。映像面での技巧さは本当に素晴らしい。カメラの角度や光の当て方、カットやズームのしかたなど、非常にメリハリのあるセンスの良い映し方で画面に引き込まれてしまいそうになります。 キャスト陣もみんな迫真の演技でどの人もいいのですが、一人挙げるとしたらやはりH.フォンダでしょう。さすが4回も大統領役をこなしてきただけあってとても味のある貫禄たっぷりの振る舞いを見せてくれます。ファンからH.フォンダを大統領にとの声が上がるのもよくわかります。 また、個人的にはグロテシェル教授役のW.マッソーが好きですね。彼はこの映画を面白くさせるのに大変重要な役割を果たしています。こういうキャラがいなければこの映画はここまで面白くならなかったはず。このグロテシェル教授と周りの人とのやり取りが見ていて本当に面白いです。映画の序盤で限定戦について語っているところなどは、何気なく聞いているとたいした内容ではないように聞こえるかもしれませんが、結構ドキッとするところがあります。 ストーリーの前半はやや退屈気味で余計なシーンも混じっているような気がしますが、後半あたりからの緊迫感は見事としか言いようがありません。爆撃機が目標に刻一刻と迫っている中、水爆を落とすまいとする両国の懸命の努力とその努力のために自国の軍事機密を提供してしまうことに自問自答する切迫感とが重なり合い、巧妙な駆け引きを繰り広げています。また、大統領の最後の命令を学友ブラッキーに指示するところなどは、皮肉というか何と言うか・・・。 副音声の監督の解説では、低予算だったことを繰り返し喋ってそれを自分で笑ったりしていますが、そんなことは全く気にならない優れた作品であると言えます。 あえて欠点を挙げるとすれば、あまりのリアルな緊迫感のため気軽に見れないといったところでしょうか。 私は「博士の異常な愛情」をまだ見てないのですが、見たらこのレビューを更新をします。 9点(2004-06-18 19:45:03) |
522. チャンス!(1996)
《ネタバレ》 お昼の民放でやってるのを見ました。 私は女性でもなく会社の重役ポストに就いているわけでもないので、そういった人たちの女性の扱い方がどのようなのかは知らないが、会社の役員というのはひどく女性を卑下するものなんだなと感じた。最後にそれをスカッとやってくれたところが気持よく、また、全てのキャストがみんな役にハマってたところが良かったと思う。 しかし、オチはあれでいいものだろうか。サリーがフランクの相談を例のセリフでお断りするところまではいいが、その後にローレルが直接フランクに何か皮肉めいたことでも言って追い返してやれば良かったのになあと思った。 ローレルの満面の笑みを最後に出したいという気持ちはわからなくもないが・・・。 ややメッセージ性が強すぎたのとアメリカ映画臭がプンプンしたのでちょい減点。 6点(2004-06-14 17:08:30) |
523. 死霊の盆踊り
《ネタバレ》 ついに見ました“盆踊り”!なんと私が借りたそのレンタル屋さん、御丁寧に“店長のおすすめ”なるラベルが貼ってあり、レジに持って行くのを躊躇してしまいましたが、思い切って借りてきました。この映画、私は大好きです。完全に“狙ってます”。確信犯です。アホな映画を作ろうとし、アホをとことん追求し、完璧なまでにアホ映画として仕上がっている本作を誰が否定するでしょうか。夜のドライブなのに昼の映像を織り交ぜるテキトーさもよし、チープなセット(明らかにロケではなくスタジオのセット)もよし、夜の帝王の一点を見つめる演技もよし、です。闇の女王を夜の女王と間違える字幕なんかも字幕制作に携わった人のヤル気のなさが伝わってきて実にいい味だしてます。この映画の日本語タイトルといい、まさに日米合作のおバカ映画と言えるでしょう。しかし、全てにおいてがテキトーというわけではないのです。本作のメイン、それはやっぱり死霊たちの裸踊りに尽きます。見て下さい彼女らの裸踊りを。どう見ても素人のなせる業ではありません。最後、“羽飾りのために命さえも捨てて殉じた女”のダンスはスゴイです。だって、乳首が円を描くようになんて踊れませんよ普通。さすが、大トリを務めるだけの事はあるな~と実感しました。やっぱりこの映画、ダンスがメインなだけあってそれだけは手を抜けないという監督の映画制作へのこだわりを感じさせます。どうしても単調になりがちになってしまいそうですが、所々に傍観者の会話を挟み飽きさせないよう配慮がしてあったり、側で踊りを見ていたカップルの人間模様も最後まで目が離せずきれいにエンディングを迎えるところなど、ただのアホな映画とは一線を画くような気がします。コメディ映画によくあるように、ギャグをとばして笑いをとることは誰にでもできます。しかし、ギャグを言わずしてこれほどまでに笑いをとった映画が他にあったでしょうか。ここまでアホに徹した映画を褒め称える場合、10点を与えるのはナンセンスであります。もちろん監督も10点なんか望んでないに決まってます。この映画を賞賛するならば、やはりこの点数しかありません。みんな脱力感に襲われるとか書いてるけど、私はこの映画を見て元気が出ましたよ。・・・・・しかし、もし予備知識なしで映画館にカネ払って見に行ったら、マジギレするだろうな~~。 0点(2004-06-12 01:57:48)(笑:7票) (良:4票) |
524. シベリア超特急
見る前に皆さんのレビューを見て、完全にウケを狙った映画なんだなと思いました。 しかし、実際に見てみると、とんでもない!!!思いっきり真面目に作ってんじゃんこれ。 だから許せない!真面目に作ってるんだったら、もっとちゃんとしたのを作って欲しかった。 何だよあのチープなセットは。恐ろしく低予算。晴郎の演技も最悪。もっと練習してから撮れよ。他の真面目に演技してるキャストに失礼だよ。言っちゃ悪いけど、外人女優のチョイスもダメ。あの人たち絶対映画の顔じゃないよ。シベリアの電車のはずなのに何故か車掌が日本人なところも???だし。あの車掌を外人に見せたかったからなのか、髪を茶色に染めてたよね。モロ安易な発想。英語も下手だったっていうのはもう演技以前の問題。・・・って、まだ他にも突っ込みたくなる個所山ほどあるけど、言い出したらきりがないよ。晴郎がおふざけでこの映画を撮ってるんだったらこれらの事もみんな笑って済ませられるんだけど、スッゴイ本気。「戦争はイカン!」とか真顔で訴えてるしさぁ。晴郎はこの映画が海外進出してもいいようにと思って英字幕つけたんでしょ。オマケに主題歌まで作ってるし。なにが作詞水野晴郎だよ(ここだけはマイクではない)。マイクって何?晴郎の道楽に付き合わされた関係者達に同情するよ全く。本気だとしても、ウケ狙いだとしても、いずれにしろ0点だこんな映画。監督と視聴者との間で見方の食い違いが出るどころの問題ではなく、完全にカラ回りしているところが非常に見苦しい。滑稽を通り越して腹が立ってきた。 (’04.10.8追記)先日、某深夜番組に2005年お正月公開の「シベリア超特急5」の宣伝をしに水野晴郎がゲスト出演していましたが、その場にいた蛭子能収さんに「シベ超の1と2は見ましたよ」と言われて、「3、4、5も是非見てください!」と満面の笑みで自信タップリに言ってたのがとても印象的だった。あの子供みたいな水野晴郎の笑顔を見て、この映画に0点をつけるのはちょっと忍びないなぁと、不覚にもそのような邪念がよぎってしまった。MIKE水野のあの笑顔に1点プラス!! [ビデオ(邦画)] 1点(2004-06-08 20:24:48)(笑:2票) |
525. 三十九夜
みんなどえらい評価高いなあ。最後の39stepsの謎をしゃべるところなんかは、あの内容は当時にしてみれば凄く驚愕モノのネタだったのだろうか。私は、な~んだ、そんなことか、とガッカリしてしまったのだが・・・。しかし、ヒッチコックはよっぽど逃走ものが好きだったみたいですね。似たような作品がほかにも多数あるけど、どれも自分の好みではないです。汽車が走り出してから列車に飛び乗るシーンが妙に印象的でした。時代を感じさせますね。今じゃ絶対ありえない・・・。 4点(2004-06-06 14:33:11) |
526. 逃走迷路
ヒッチコックDVDコレクションVol.1に入っていたので見てみたが、このDVDボックスの中では一番評価が低いです。ヒッチコックの逃走ものの映画って何でみんな似たり寄ったりなんだろ?自由の女神のシーンだけで客を呼べると思ったら大間違いだ。 4点(2004-06-06 14:19:49) |
527. 見知らぬ乗客
《ネタバレ》 “交換殺人”と聞いて、はたと膝を打ちました。そしてその次の瞬間、大笑いしてしまいました。だって、“Swap murder”って言ってるんだよ。そりゃ、ガイも笑うわなぁ。ま、それはともかくとして、私が好きなのは、メリーゴーランドが大破してブルーノが下敷きになったとき、ブルーノが最後まで悪あがきをしていたところにポケットからライターが見つかったところです。ブルーノのあの態度が許せなかっただけに最後はうまく締めてくれて本当に良かったです。あと、皆さん触れられてませんが、ガイが夜中に抜け出してブルーノの家に忍び込んだときが一番ハラハラしたところだと思いますが、どうでしょう。 7点(2004-06-06 12:39:24) |
528. 疑惑の影(1943)
《ネタバレ》 いつも映画を見るとき、何を訴えたかったのかなんて特に考えないが、この映画に限っては言いたい「何が言いたいの?」と。エンディングは本当にあれでよかったのか。線路に落ちた後、ちょっとでいいから何かが欲しかった。良かったのは、あのおマセさんな小さな女の子かな。 4点(2004-06-06 10:55:03) |
529. 北北西に進路を取れ
ヒッチコックの十八番は2種類あると思う。1つは三十九夜や逃走迷路、そして本タイトルのような逃走劇。そして2つ目はサイコ、ロープ、裏窓のような密室劇である。あくまで私の好みの問題だが、さすがヒッチコック!と言わせるのは後者の方なのである。(だったら、レビューするなってか?) 4点(2004-06-06 10:29:20) |
530. 裏窓(1954)
《ネタバレ》 はっきり言って点数低いですワタシ。なんで、包丁とのこぎりを持っていただけで犯人と決め付けてしまうのか。軽率すぎるその推理にあっと驚く急展開をも期待してしまいました。が、ジェフたちの推理は的中し私は消化不良のままエンディングを迎えてしまいました。ジェフが、家宅捜索をしてくれと刑事に依頼したのも馬鹿げているなあと思ってしまったりで主人公の考えに共感できなかったのが点数の低さに繋がったのだと思います。それはともかく、この映画での評価すべき点はそんなところではなく、皆さんのおっしゃる通り、斬新な見せ方にあると思います。最後、ジェフが落とされそうになった時になって初めて視点が外からになってハッとした人も多いはず。終始ずっと家の内側からのみの視点で見せといて(悪く言ってしまえば、退屈させといて)、そして、クライマックスでいきなり外からのアングルで映すことによってそこにある緊張感がより高められる。さすがですね。しかし、この映画の見所はやっぱりグレース・ケリーの美貌につきますね。最高!!!J.スチュワートもオイシイ役もらったなぁ。※ 7点(2004-06-06 00:06:32)(良:1票) |
531. ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!
はっきり言ってこの映画(映画といって良いのかも疑わしい)はストーリーは二の次と考えたほうが良いでしょう。プロモーションビデオにオマケとしてストーリーが付いてきたものと思って見た方がいいと思います。プロモーションビデオ見るよりこれを見た方がいいと思いますよ(笑)。ポールのおじいちゃんがポーカーをやっている時のとなりにいた巨乳のオネーチャンのおとぼけ具合がいい味だしてます。 8点(2004-06-05 22:28:52) |
532. シルミド/SILMIDO
《ネタバレ》 特に期待してたわけでもないんですけど、公開初日1本目に見てきました。よくある話だな、というのが見た印象です。 まぁ、もともとあの31人は死刑囚だったから国家から粗末に扱われるのは仕方ありません。南北統一が平和的に解決するのならシルミドの31人は必要なくなってしまい、さらにそのような野蛮な計画が進行していた事が北に知れるとマズいわけで、31人を抹殺しようとするのはごく当たり前のこと。部下に31人の抹殺をやらせ、さらに抹殺したその部下もシルミドの口止めのために殺してしまうというのは、そのような重大な国家機密を持っているならばその保持のためにそのようなことをするのはどの国でもごく普通に行われていたことだと思います。少し話は違いますが、現在の日本の企業でも、首切り役(嫌な役回り)を1人つくり、社員をリストラし、その首切り役もリストラされるということは往々にしてありえることなのです。途中、見てて腹が立ったのは、最初3枚目キャラだった男が強姦に走ったことです。3枚目キャラにそのようなことをやらせるのはどうも納得がいきません。最後まで3枚目キャラで通してほしかったが最後まで3枚目キャラがいるとストーリーに締まりがなくなってしまうのであれでよかったのかもしれないですけど・・・。しかも、縛られた状態で連帯責任で罰を受けてる残りの訓練兵を罵倒するところがよけい腹が立ってきてしまった。そこは、主人公がスカッとやってくれたので、そこだけは良かったかな。最後はお涙頂戴もののシーンだけど、あそこまで追い詰められたら自決は必至だと思います。ごく普通なストーリーだったのでは。 6点(2004-06-05 16:13:20) |
533. サイコ2
《ネタバレ》 続編って、よく叩かれるけど、これはいいと思います。メグ・テイリ―がかわいかっただけにあのエンディングはちょっと・・・。あれだけノーマンのことをかばってきたのに、うっかり刑事を階段から突き落として殺してしまい、最後にお母さんも殺され、挙句の果てにその母親殺しの犯人に仕立て上げられてしまってはかわいそすぎる。あと、家の構造についてだが、日本にはないつくりだったせいか、よく分からなかった。 7点(2004-06-04 19:42:09) |
534. サイコ(1960)
《ネタバレ》 こないだ、再度DVDで観てみたが、やっぱり面白い。 変更前に書いた、私立探偵アーボガストが階段を登るときの緊迫感溢れる映し方や、サングラスの警官のドアップ、最後の地下室で照明を揺らすことによって骸骨に陰を持たせて不気味さを増幅させていたりという映像の超絶テクニックを再確認し大満足であったが、今回の再鑑賞では、脚本の技巧さも随所に感じられた。 脚本を作る際に工夫したと思われるポイントは“母親が実在することを如何に信じ込ませるか”という事だと推測できるのだが、私立探偵アーボガストはノーマンとの会話で、マリオンがノーマンの母親と会ったという事は一切出てきていないにもかかわらず、ライラとの電話では母親と会ったという彼なりの推理を展開しており、これがあたかも母親が実在しているかのような錯覚に観客を陥れることに成功している。また、ライラの「相手は病気の老人よ」や、サムの「事の次第は母親が知っているか」など、真相が明らかになる直前までこんな台詞が出てきており、保安官夫婦の証言など簡単に吹き飛んでしまうほど上手く誘導されるのだ。 他にも、多くの方々が書いてらっしゃるので言うまでもないが、4万ドルを持っての逃走から主人公が入れ替わり、連続殺人へと展開するストーリーの組み方や、バーナード・ハーマンの耳を引き裂くような音楽など、クラシック映画の醍醐味を存分に堪能できる一本である。文句ナシの10点! [DVD(字幕)] 10点(2004-06-04 14:38:12)(良:2票) |
535. サイコ3/怨霊の囁き
《ネタバレ》 サイコ・サイコ2・サイコ3と見ましたが、だんだんつまらなくなっていくような気がします。やっぱ、人形を使っちゃイカンでしょ。さめます。別に、最初に鳥を殺さなくてもよかったんじゃないの?残酷だよ。鳥は本物で人は偽物かよ。何回かあった殺人シーンも、見る側に恐怖を与えようとする感じがイヤというほど伝わってくるが、初代サイコのようなキレイな(?)殺人シーンではない。ただ、グロいだけ。 5点(2004-06-04 14:07:32) |
536. CUBE
《ネタバレ》 イマイチですね。現実離れしすぎ。結局最後まで、なぜあのキューブの中に入ってしまったのかという疑問が解消されないまま終わってしまったのが後味の悪さにつながったのだと思う。誰かが言ってたけど、まさに“取って付けたような”ストーリー。 立方体の牢獄を作った。登場人物たちを脱出させなければならない。しかし、ただ歩き回って出口を見つけるだけじゃつまらない。では、数学的な謎解きを仕掛けよう。そのためには数学が得意な役を入れなければいけない。みんなのリーダー的な役も入れないと…。では警察官の役を加えよう。だんだん数字が難しくなってこないとつまらない。では、それについてこれる知的障害者を入れよう。最初のインパクトが必要だ。じゃあ、格子状の刃物で切り刻んでやろう。怪我の処置ができるやつも必要だ。医者も入れとこう・・・・・。監督のオ●●ー映画だねこれは。 3点(2004-06-04 13:39:19) |
537. 羊たちの沈没
《ネタバレ》 羊たちの沈黙のパロディのはずなのにサイコがメインになってるところがダメ。笑える場面はいくつかあったけど、大爆笑するほどの場面はひとつもなかった。いや、「F・B・ア~~~~~~~~イ」のところはウケたかな。最後のどんでん返しのところ(自分の顔の特殊メイクを剥いでいくところ)は、まあ、評価に値する…かも。ちなみに、この映画でマーティン・バルサムは“探偵バルサム”役で出ています。おい!自分の名前をそのまま使うか普通・・・? 4点(2004-06-04 12:46:00) |
538. ロープ
《ネタバレ》 「確かに面白いことは面白いけど、ナンバーワンに挙げられるかと言えば、答えはノーだ。」この映画を見た人のほとんどがこんな感じの意見だと思う。けど、自分にとっては間違いなくナンバーワンの映画だ。この映画全体に流れる微妙なコメディ感・独特の緊張感がたまらなく気に入ってしまったのだ。死体がある場所を先に知らせる意義についてだが、先に知らせることによってこそこの映画の面白さが成り立つのである。これは間違いなくそう断言できる。死体を先に見せ、その隠し場所を観客に見せることにより、あたかも我々があのパーティ会場の壁の隙間からこっそりと覗き見をしているかのような錯覚を持たされてしまうのである。さらに言えば、先に死体の置き場所を知らせることによって、その後の登場人物同士の会話の全てが意味のある会話になってくるのだ。 そのおかげでこの映画には中弛みのポイントが全く存在せず、終始一貫して緊張感を醸し出すことに成功している。この映画が素晴らしいのは極端な長回しによる緊張感溢れる撮影方法よりもワンシーンで全てストーリーが進んでいくシナリオよりも何よりも脚本が優れているからなのだ。つまり、この映画の面白さはパーティに招かれた人たちが犯人たちの愚業を如何に暴くかなどということではなく、パーティに招かれた人たちの決して故意的ではない(←ここがポイント)何気ない言葉によってフィリップが心理的に追い詰められて顔が青ざめていくところ、そして、ブラントンが幾多ものピンチを機転を利かせて巧妙に難逃れをするところにあるのだ。従って、この映画では登場人物の誰かに感情移入をしてしまうと全く面白みのない映画となってしまうので、登場人物たちと一定の距離をおいて客観的に見るべきである。また、可能な限りカット割を入れず(背中にカメラを近づけてカットするところはともかく、会話の間でカットを入れるところは凄くナチュラルでいい!)長回しで撮ることによって現場の緊張感を高め、さらに、背景を時間の進行とリンクさせているところも注目である。 「ハリーの災難」でもそうだが、人間の死というものをここまでコメディタッチに描くことのできるヒッチコックにはただただ舌を巻くばかりである。 10点(2004-06-03 18:59:34)(良:3票) |
539. ブレア・ウィッチ・プロジェクト
まぁ、そこそこ面白かったと思う。終わり方が良くないと言えば良くないが、いかにもノンフィクションらしくていいと思う。けっこう緊張ししながら見てた。 6点(2004-06-03 17:40:08) |
540. 少林サッカー
《ネタバレ》 日韓ワールドカップの時に上映してたから、ワールドカップのブームにあやかろうとする魂胆がいやらしくて好きになれず、食わず嫌いのままでいたけど、意外におもしろい。完全なおバカ映画ではないところがよかった。ところどころに考えさせられる場面とかあったし、恋愛シーンも悪くないと思う。ゴールキーパー役の“魔の手”がかっこよかった。 ただ、気になるのが、CGの荒さがすご~く目に付いた。だってあれ、ボールがちゃんと足に当ってないでしょ。主人公が壁に向かって1人で練習してるシーンも、真っ直ぐ足の甲にヒットしてないのに真っ直ぐボールが飛んでいくのはかなり違和感があって気になってしまった。 あと、最後のオチ(オチと言えるかわからんが)で、「ボーリング大会2連勝!」っていうのが意味分からん。あれって笑うとこなの? 7点(2004-06-02 23:46:25) |